2022/12/24 米議会、本年度(2022/10~2023/9)予算をようやく可決
Trump前大統領などが2020年の選挙の承認を阻止するために利用しようとした135年前の法律(Electoral Count Act)の見直しが含まれている。
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米連邦議会は2021年1月6日、大統領選の結果を最終確定し、バイデン次期大統領を正式に選出するため上下両院合同会議を開いた。
連邦議会集計は以下のように行なわれる。
上下両院合同会議は、下院議場で午後1時から開催される。上院議長 (副大統領)が会議を主宰し、自ら選挙人から送付された投票証明書を開封する。
開封された投票証明書は、上院議員2名、下院議員2名からなる投票計算役に渡され、読み上げられた後、集計される。
集計結果は、上院議長から発表される。選挙人総数の過半数の投票を獲得した大統領候補が大統領に、選挙人総数の過半数の投票を獲得した副大統領候補が副大統領になる。
上院、下院議員は、投票証明書に異議がある場合、「書面で」反対することができる。
その場合、上院、下院はそれぞれ、2時間以内に、この反対を認めるかどうかを単純過半数で決める。反対を認める場合、両院の一致が必要。
トランプ大統領は1月5日、上下両院合同会議の議長を務めるペンス副大統領に対し、バイデン次期大統領の勝利を受け入れないよう威圧した。ツイッターに「副大統領は不正に選ばれた選挙人を拒否する権利がある」と投稿した。
1887年のThe Electoral Count Act によれば、副大統領が会議を主宰する(assigns the vice president to preside over the session) となっているが、副大統領の仕事の範囲について述べていない。
トランプ大統領はペンス副大統領に対し、副大統領が主宰する1月6日の上下両院合同会議で、主宰者として「当選を決定しない」ことを求めた。
仮に1月6日に大統領、副大統領の当選を決定できない場合(選挙における偶発的事態:electoral contingencies)、米国憲法修正第12条で進め方が決められている。
下院は直ちに無記名投票により大統領を選出する。投票は州を単位として行われ、各州の議員団が1票をもつ。
下院はルイジアナ州決選投票で共和党が勝ち、共和党213、民主党222で、議員数では民主党が過半となったが、この投票では各州1票である。
州別に下院議員数で過半をとったのは共和党が27州、民主党が20州、同数が3州となり、共和党候補のTrumpが選ばれることとなる。
トランプのツイッター:
If Vice President @Mike Pence comes through for us, we will win the Presidency.
Many States want to decertify the mistake they made in certifying incorrect & even fraudulent numbers in a process NOT approved by their State Legislatures (which it must be).
Mike can send it back!States want to correct their votes, which they now know were based on irregularities and fraud, plus corrupt process never received legislative approval.
All Mike Pence has to do is send them back to the States, AND WE WIN.
Do it Mike, this is a time for extreme courage!
ペンス副大統領はトランプ大統領への忠誠を取るか、憲法上の義務を尊重するかで厳しい立場に追い込まれた。
最終的に、副大統領は上下両院合同会議を前に、「熟慮の末に判断した。どの選挙人投票を集計すべきで、どれを集計すべきでないかを決める一方的な権限を私が主張することは、憲法を支持し守るという私の宣誓によって制約される」との書簡を議会に送った。
大統領は副大統領を批判した。
Mike Pence didn't have the courage to do what should have been done to protect our Country and our Constitution, giving States a chance to certify a corrected set of facts, not the fraudulent or inaccurate ones which they were asked to previously certify. USA demands the truth!
ツイッターはこれに「この主張には根拠がない。暴力のリスクがあるので、リツイートするな」という警告文をつけた。
This claim of election fraud is disputed, and this Tweet can't be replied to, Retweeted, or liked due to a risk of violence.
合同会議に先立ち、トランプ大統領はホワイトハウス近くで選挙結果に反対する大規模集会を開催し「敗北を認めない」と重ねて訴えた。
同氏はさらに「ペンシルベニア通りを歩き、この国を取り戻すのに必要な誇りと大胆さを(連邦議会議員に)与えよう」と、支持者に対して議会に向かうよう呼びかけた。
この議場にトランプ支持者が乱入し、大混乱となった。
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トランプ前大統領は、1887年のThe Electoral Count Act が、副大統領が会議を主宰するとなっているが、副大統領の主宰者としての業務が書かれていないのを利用し、議長権限で当選を決定しないことを求めたもの。
また、The Electoral Count Act によれば、各州は投票証明書に異議がある場合、「書面で」反対することができる。その場合、上院、下院はそれぞれ、2時間以内に、この反対を認めるかどうかを単純過半数で決める。反対を認める場合、両院の一致が必要。
現行法では、各州で1名の上院議員と1名の下院議員が主張すれば、州としての異議となる。
トランプ大統領は共和党議員に上下両院合同会議で反乱するよう呼び掛けた。
この会議では、ペンシルべニア州が、上院議員1名、下院議員80名が書面にサインして提出し、異議が受け入れられた。(投票で否決)
他に、いくつかの州で上院、下院いずれかの議員1名が反対を表明したが、条件を満たさず、異議はならなかった。
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今回の改正の結果、次のとおりとなる。
会議主宰者としての副大統領の役割:
単に儀礼的なもので、決定、受諾、拒否、または裁定する権限を持たない。
投票証明書に対する反対:
現在はその州の上院議員1名+下院議員1名の反対で可能だが、これを上下両院議員それぞれの5分の1とし、ハードルを上げた。
これにより、上下両院合同会議は投票結果を正式に承認する形式的なものとなる。
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