国際商業会議所の仲裁判断で田辺三菱製薬のロイヤリティ収入が復旧

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田辺三菱製薬は同社の多発性硬化症治療剤「ジレニア」のNovartis Pharma AGへの技術ライセンス契約に関し、2019年2月15日にNovartis Pharmaより仲裁の申立てを受け、国際商業会議所において仲裁手続きを継続していたが、2月13日に仲裁廷より同社に有利な仲裁判断を受領したと発表した。

Novartisは、米国、EU等における製品の売上ベースのロイヤリティ支払い義務を定める本件契約の規定の一部は無効であり、Novartisにはロイヤリティの一部の支払義務がないことの確認を求めていた。

仲裁廷は今般、Novartisの主張を全面的に否定する判断を下した。争点となったライセンス契約のロイヤリティ支払い義務を定める規定は全部有効であるとの判断がなされた。

田辺三菱は、本件契約の有効性を検討した結果、何ら問題はないという結論に至っていたが、IFRSルールでは、収益認識基準の要件の一つに「契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している」があり、Novartisが契約の有効性について疑義を提起している部分がこれを満たさなくなったため、田辺三菱製薬は売上収益から除外してきた。 

同社では上記の仲裁判断により、2023年3月期第4四半期で一括して売上収益として認識する。

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田辺三菱製薬は多発性硬化症治療剤「ジレニア」をNovartis(スイス)に技術供与し、そのロイヤリティ収入が同社の収益の柱となっていた。

多発性硬化症治療剤「ジレニア」(一般名:フィンゴリモド塩酸塩)田辺三菱製薬の前身の吉富製薬京都大学の藤多哲朗教授、台糖(現「三井製糖」)との共同研究から見出された世界初のスフィンゴシン1-リン酸受容体調節薬である。

吉富製薬は1997年9月にNovartis Pharma AGとの間でライセンス契約を締結し、全世界における開発権(日本については共同開発権)および販売権をNovartisに対し許諾した。

田辺三菱製薬は、吉富製薬の本件契約上の地位を承継し、ロイヤリティの支払いを受けていた。

2019年2月、Novartisから本件契約の規定の一部の有効性について疑義が提起され、2019年2月15日、国際商業会議所より、Novartisを申立人とする仲裁の申立てがあった旨の通知を受領した。

Novartisは、米国、EU等における製品の売上ベースのロイヤリティ支払い義務を定める本件契約の規定の一部は無効であり、Novartisにはロイヤリティの一部の支払義務がないことの確認を求めていた。

田辺三菱は、本件契約の有効性を検討した結果、何ら問題はないという結論に至っている。

本仲裁は、ICCの仲裁規則に従い、英国ロンドンを仲裁地として行われた。

IFRSルールでは、収益認識基準の要件の一つ に「契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している」 があり、Novartisが契約の有効性について疑義を提起している部分がこれを満たさなくなったため、田辺三菱製薬は売上収益から除外してきた。 

もう一つのロイヤリティの「インヴォカナ」は、ヤンセンファーマシューティカルズに導出した2型糖尿病治療剤


三菱ケミカルホールディングス
田辺三菱製薬普通株式の全てを取得し、田辺三菱製薬は、2020/2/27に上場廃止となった。

田辺三菱製薬コア営業損益の大半がロイヤリティ収益であり、その激減で業績が低迷していた。

単位:億円 売上高

営業損益

税引前
損益
株主帰属
損益
配当(円)
コア うち
ロイヤリティ
非コア 合計 中間 期末
2019/3 4,248 558 631 -55 503 504 374 28 28
2020/3 3,798 191 174 -252 -61 -65 1
非公表
2021/3 3,778 210 159 -795 -585 -577 -46,102
2022/3 3,859 -30 133 -127 -157 非公表 -102
増減 81 -240 -26 668 428    
2023/3予 4,095 180 非公表 0 180 非公表  

ロイヤリティ収益の過年度分の一括認識で本年度の利益は急増する。

業績への影響については本仲裁判断の詳細な内容を精査の上、今後、影響が明らかになった時点で発表する。)


付記  コア営業利益を1,260億円 上方修正した。


なお、田辺三菱製薬では最近、新型コロナワクチンからの撤退を発表
、減損損失が480億円であることを明らかにしている。

  2023/2/4 田辺三菱製薬、新型コロナワクチンから撤退、カナダ子会社を精算へ




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