2023年1月19日に債務は31兆4000億ドルの上限に到達した。数カ月以内に財政危機を招く恐れがある。
下院議会は4月26日、連邦債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減する法案を賛成217、反対215で可決した。
法案は上院に送られるが、上院民主党トップの"Chuck" Schumer 院内総務は「上院に到着した直後に廃案になる」と述べており、民主党が多数の上院で可決される見込みは低い。
米財務省は早ければ6月1日にも支払い不能になる恐れがあると警告しており、議会が債務上限を引き上げるための時間は限られつつある。
2023/5/2 米債務上限問題で与野党が攻防
付記
バイデン大統領は5月9日、債務の上限引き上げを巡り、下院共和党のマッカーシー下院議長とホワイトハウスで会談したが、上限引き上げの合意には至らなかった。5月12日に再協議する。
一部の法律専門家は、議会が行動しなかった場合、大統領は連邦政府が支払いを継続できるよう憲法修正第14条を発動して危機を回避する選択肢があると指摘する。
バイデン米大統領は5月5日、米国債のデフォルトを回避するために合衆国憲法修正第14条を発動する可能性について、「まだそこには至っていない」と述べた。
この選択肢を排除していないことを初めて示唆したが、関係者によると、ホワイトハウスや他の政権当局者はこの選択肢を検討したものの、法廷闘争を乗り切る可能性の低い最後の策として却下する意見が大勢だったという。
イエレン財務長官は5月7日、議会が債務上限を引き上げることなく「大統領が債券を発行し続けることが可能かどうかを、われわれが検討する必要が生じる段階に進むべきではない」と発言、「こうしたことは憲法上の危機を招くだろう」と語った。
2011年には財務省の特別チームが、第4節前段の適用により債務上限に関係なく財務省証券を発行し続けることが可能かを協議していることが報道された。
しかし当時のオバマ大統領は7月6日に「憲法に論点を移すことなど考えるべきでない」とこの議論を批判し、ホワイトハウスは7月27日に「憲法を引用することで突然借り入れが可能になることはない」との公式見解を示した。カーニー大統領報道官は「容易な解決策などない。トリックはなく、憲法を引用することで突然借り入れが可能になることはない」と言明し、修正第14条が問題の解決策にはならないとの考えを示した。
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憲法修正第14条は、南北戦争後に成立した3つのアメリカ合衆国憲法修正条項の1つであり、元奴隷の権利を確保することが意図されたものである。これには適正手続条項や平等保護の条項が含まれている。1866年6月13日に提案され、1868年7月9日に批准された。
修正第14条
第1項
合衆国内で生まれまたは合衆国に帰化し、かつ、合衆国の管轄に服する者は、合衆国の市民であり、かつ、その居住する州の市民である。いかなる州も、合衆国市民の特権または免除を制約する法律を制定し、または実施してはならない。いかなる州も、法の適正な過程によらずに、何人からもその生命、自由または財産を奪ってはならない。いかなる州も、その管轄内にある者に対し法の平等な保護を否定してはならない。
第2項
下院議員は、各々の州の人口に比例して各州の間に配分される。各々の州の人口は、納税義務のないインディアンを除き、すべての者を算入する。
但し、合衆国大統領および副大統領の選挙人の選出に際して、または、連邦下院議員、各州の執行部および司法部の官吏もしくは州の立法部の議員の選挙に 際して、年齢21 歳に達し、かつ、合衆国市民である州の男子住民が、反乱またはその他の犯罪に参加した こと以外の理由で、投票の権利を奪われ、またはかかる権利をなんらかの形で制約されている場合には、 その州の下院議員の基礎数は、かかる男子市民の数がその州の年齢21 歳以上の男子市民の総数に占める割合に比例して、減じられるものとする。
第3項
連邦議会の議員、合衆国の公務員、州議会の議員、または州の執行部もしくは司法部の官職に ある者として、合衆国憲法を支持する旨の宣誓をしながら、その後合衆国に対する暴動または反乱に加わ り、または合衆国の敵に援助もしくは便宜を与えた者は、連邦議会の上院および下院の議員、大統領およ び副大統領の選挙人、文官、武官を問わず合衆国または各州の官職に就くことはできない。但し、連邦議会は、各々の院の3 分の2 の投票によって、かかる資格障害を除去することができる。
第4項
法律により授権された合衆国の公の債務の効力は、暴動または反乱の鎮圧のための軍務に対する恩給および賜金の支払いのために負担された債務を含めて、これを争うことはできない。
(The validity of the public debt of the United States, authorized by law, including debts incurred for payment of pensions and bounties for services in suppressing insurrection or rebellion, shall not be questioned. )
但し、合衆国 およびいかなる州も、合衆国に対する暴動もしくは反乱を援助するために負担された債務もしくは義務につき、または奴隷の喪失もしくは解放を理由とする請求につき、これを引き受けまたは支払いを行ってはならない。かかる債務、義務または請求は、すべて違法かつ無効とされなければならない。
第5項 連邦議会は、適切な立法により、この修正条項の規定を実施する権限を有する。
問題は第4項で、公的債務の妥当性が法律によって承認されていることを定めている。
第4条の主文の意味を「ChatGPT」に聞いたところ、下記の返答があった。
この文は、アメリカ合衆国憲法第14条の4項目であり、アメリカ合衆国の公的債務の妥当性が法律によって承認されていることを定めています。この債務には、反乱や蜂起を鎮圧するためのサービスに対する年金や賞金の支払いなどが含まれます。この条項は、アメリカの財政的安定性と信用力を維持するために重要であり、政府が債務不履行に陥ることを防止するために制定されました。つまり、アメリカ合衆国の公的債務の妥当性は、法律によって認められており、その妥当性に疑問を投げかけることはできないということです。
政権が債券発行を継続できるかを巡って憲法学者やエコノミストの間で解釈が分かれている。裁判所がこの条項を扱った例はほとんどない。
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