G7出席のため訪日中の英国のRishi Sunak首相はは5月18日、東京でのレセプションの席上、日本企業が英国への約180億英ポンド(約3兆円)の投資をコミットしていると述べた。英首相官邸が発表した。
丸紅などからの英国への投資が戦略的なクリーンエネルギー産業で質の高い雇用を生むとするとともに、英国がTPPへの参加準備を進める中、Octopus Energy、Mott MacDonaldなどの英国企業が日本でのチャンスを掴もうとしているとしている。
英国は2020年1月30日にEUを正式離脱したが、2021年2月1日にTPP加盟を申請した。
日本はすでに英国に920億ポンドを投資し、英国 への第5位の投資国となっており、昨年の英国の商品とサービスの貿易額は277億ポンドに達して いる。英国がTPP貿易圏に参加すればさらに増加する可能性が高いとしている。
Sunak首相によると、日本企業の英国投資は次の通り。(概算170円/英ポンドで換算)
1.丸紅 10年間で100億ポンド(1.7兆円)
洋上風力発電、低炭素水素、その他のクリーンエネルギープロジェクト(Scotlandでの海上風力発電、Wales、Scotlandでのグリーン水素計画を含む)への資金提供
同社は既に2001年に電力卸売・小売事業の子会社SmartestEnergy Limitedを設立、2008年からは市場で調達した電力を個別の大規模需要者へ販売する事業も開始し、今では 「ビッグ6」と呼ばれる大手電力会社に匹敵する規模にまで急成長している。
契約電力量の約83%(2019年度)が再生可能エネルギー由来となり、容量換算で大型石炭火力発電所2基分のCO2排出量削減に相当する。米国・豪州にも拠点を設立している。
2.三菱地所と三井不動産 35億ポンド(6千億円)
ロンドンに手頃な価格の住宅、高品質のオフィススペース、ライフサイエンス研究所を建設、首都圏の活性化に貢献
3.住友商事 40億ポンド(6800億円)
英国の洋上風力発電プロジェクトを拡大 (Suffolk and Norfolk 沖のプロジェクト)
2030 年までに 50GW の洋上風力発電設備を導入するという英国政府目標をバックアップ
4.住友電工 2億ポンド以上(340億円)
スコットランド高地に戦略的に重要な高電圧ケーブル製造工場を建設
英国が洋上風力発電プロジェクトなどの重要なインフラ向けに強靱なサプライチェーンを構築するのに貢献
5.東芝
ケンブリッジ研究所での事業(高度な量子安全暗号通信ソリューションの設計と提供)を拡大 、英国の最先端産業の成長を支援 当初は30人以上の新規雇用を創出し、新技術開発に2,000万ポンドを超える投資を行っている。
以上の1~4の合計で177億ポンド
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英国企業の日本での活動例は下記の通り。
英国企業Octopus Energy Groupは当日、2027年までにアジア太平洋地域のエネルギー市場に15億ポンドを投資し、この地域のよりクリーンでスマートなエネルギーシステムへの移行を加速するというコミットメントを発表した。
同社は持続可能なエネルギーを専門とする英国の再生可能エネルギー グループで、ファンド管理会社オクトパスグループの支援を受けて2015年に設立された。
既存のアジア本社を倍増して、東京の技術革新とエネルギー小売拠点の拡大に3億ポンドを投じる 。
日本との防衛協力を拡大する中、Leonardo UKは川崎重工業と提携し、海上自衛隊にさらなる世界クラスの海軍ヘリコプターと中型改修キットを提供する契約を結んだ。その額は1億5,000万ポンドを超える。
Leonardo UKは、2018年に設立された英国のTeam Tempestプロジェクト(英国空軍と英国の業界パートナーが戦闘航空技術の発展を目的として共同出資したテクノロジーイニシアチブ)の創設メンバーで、第6世代戦闘機の技術開発に携わっている。三菱電機とは2018年からレーダーの共同開発に取り組んでいる。
英国のコンサルタント会社Mott MacDonaldも、英国の洋上風力発電に関する専門知識を基に、西日本で17万5000世帯以上の家庭にクリーンエネルギーで電力を供給できる最先端の洋上風力発電所の開発を支援する大型契約を獲得した。
モットマクドナルドジャパンは2009年の設立以来、日本国内においてはエネルギー分野のテクニカルアドバイザーとして、特に電力セクターにフォーカスしてきた。
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Sunak首相は次のように述べた。
これらの新しい投資は、日本の一流企業のいくつかからの、英国のダイナミックな経済への大きな信頼の表れです。政府や英国産業と協力して、私たちは全国各地で提供しているような、高品質で信頼性のある雇用と地域への変革的な投資を創出します。
また、英国の主要企業が日本での成長と協力の巨大な機会を活かしているのを見ることも素晴らしいです。
私たちが貿易関係をさらに拡大し、巨大な地域のCPTPP貿易ブロックに加わるにつれて、英国と日本の企業や起業家にとっては可能性が無限大です。
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