1.JXTG

JXTGホールディングスは3月26日、2020年3月期の損益予想の修正を発表した。

新型コロナウイルス感染症拡大に起因する原油価格の下落や国内外における石油・石化製品需要・マージン等の状況から2019118日に公表した予想を修正した。

営業損益では、一般損益が3100億円悪化、在庫評価で1800億円悪化し、前回2800億円の利益と予想したのが、現時点では2100億円の赤字とした。

石油業界は「石油の備蓄の確保等に関する法律」によ り、営業活動に必要な在庫に加え、消費量の70日分相当量の石油の備蓄義務がある。原油価格が急激に変動する場合は、これが損益に大きな影響を与える。

今回、エネルギー部門の損益は、需要の減少と、このマージンの縮小で1950億円の悪化となった。

備蓄分を含めた在庫については、安価な購入品を含めた総平均法により簿価は期首よりは下がるが、期末の時価よりは非常に高い水準にあり、低価法で時価に置き換えると、2500億円の評価損となる。2019年11月時点では700億円の損失を見込んでいたが、更に1800億円悪化する。

2019/11/8
予想
修正 2020/3/26
予想
営業損益 一般  エネルギー 1,950 -1,950 0 需要減少、マージン大幅に縮小
石油・天然ガス開発 550 -1,050 -500 資産の減損
金属 500 -100 400
その他 500 0 500
合計 3,500 -3,100 400
在庫影響(低価法) -700 -1,800 -2,500
総計 2,800 -4,900 -2,100
当期損益 1,550 -4,550 -3,000


2020/3/28 JXTGホールディングスも大幅減益発表 

東京市場でのドバイ原油価格は2月末が48.50ドルであったのが、3月31日は24.30ドルとなっている。
なお、 5月29日は34.40ドルとなっている。これは2カ月後渡しの価格で、実際の購入価格ではない。

最終決算では、営業損益で、在庫影響が-2,098億円にとどまり、一般が967億円に増益となった。

この結果、営業損益は-1,131億円、当期損益は-1,879億円となった。 

次年度予想では平均原油価格を当年度の半分の30ドルとみているが、在庫影響は550億円の損失を見込む。
原油価格は2020/3/31時点から大きく下がるが、2021/3/31時点ではかなり上昇すると見ていると思われる。

  2018年度

2019年度

2020年度
実績 予想2020/3/26 実績 予想
平均ドバイ原油価格(/バレル) 69ドル 60ドル 30ドル
営業損益 一般  エネルギー 3,541 0 437 900
石油・天然ガス開発 378 -500 -388 0
金属 681 400 479 290
その他 557 500 439 460
合計 5.,157 400 967 1,650
在庫影響(低価法) 214 -2,500 -2,098 -550
総計 5,371 -2,100 -1,131 1,100
当期損益 3,223 -3,000 -1,879 2,279


2. 出光興産

出光興産は2019年4月1日に昭和シェル石油を統合した。

2018/7/11  出光と昭和シェル、来年4月に統合 

対比のため、前年実績は出光と昭和シェルの合計で示す。また、コア営業損益として、営業損益+持分法損益を採った。

在庫影響を-893億円としている。

セグメント別では、燃料油は在庫影響とそれを除く本体での赤字化で大幅減益となったが、それ以外の部門も基礎化学品(石油化学)を中心に大きく減益となった。

次期予想では、在庫影響はなしとしている。これを除く損益は燃料油は回復を見込むが、それ以外は更に悪化するとみている。


単位:億円
2019/3 2020/3 2021/3予想
売上高 68,666 60,459 39,000
営業利益+持分法損益 2,291 -262 250
  在庫影響 108 -893 0
一般損益 2,183 631 250
特別損益 -557 -33 -67
株主帰属損益 945 -229 50
  在庫影響除き 870 390 50


営業利益+持分法損益 セグメント別 内訳

2019/3 2020/3 2021/3予想
燃料油(在庫影響除く) 690 -201 350
 同  (在庫影響) 108 -893 0
基礎化学品 504 119 0
高機能材 332 284 0
電力 再生可能エネ -75 -5 -50
石油開発 371 178 -30
石炭 515 240 0
その他 -154 15 -20
合計 2,291 -262 250
在庫影響除く 2,183 631 250

2020年3月期の医薬会社の決算は下記の通り。
斜線はIFRS方式。

売上高


営業損益

経常損益(IFRSの場合は税引前損益)

当期損益(株主帰属損益)

武田薬品は既報のとおり、2019年1月8日付でアイルランドの製薬大手Shire plc 買収を完了し、今期は売上高は急増した。
コア営業利益も倍増したが、
買収の影響(企業結合会計の影響と買収・統合関連費用)のため、営業損益、税引前、株主帰属損益は異常なものとなっている。

アステラス製薬はほぼ前期並み。

第一三共は増収増益。

エーザイも増収増益。

田辺三菱は、三菱ケミカルHD決算参照。仲裁中のライセンス収入を除外したため大減益となったが、今後、仲裁で勝利した場合、売上収益から除外している部分については一括収益計上するとしている。

塩野義は下記のロイヤリティを含み、これが営業損益に貢献する。

'17/3 '18/3 '19/3 '20/3
ViiV HIV治療薬 733億円 1,035億円 1,244億円 1,271億円
AstraZeneca クレストール 330億円 226億円 220億円 220億円
その他 94億円 289億円 339億円 165億円
合計 1,157億円 1,550億円 1,830億円 1,656億円

また、主にViiVからの配当金が増大した。(営業外損益)

'17/3 '18/3 '19/3 '20/3
配当金 180億円 265億円 299億円 276億円


2017/11/29 塩野義製薬参加のViiV Healthcareの2剤配合錠、抗HIV治療でFDAの承認取得


大正製薬は前期(2019/3)に富山化学の株式を富士フィルムに売却し、429億円の売却益があった。


大日本住友製薬は住友化学の決算参照。


これまで各社の決算を報じたが、信越化学を除き、他社(三菱ケミカルホールディングス住友化学三井化学、東ソー三菱ガス化学)は全て減益である。

特に三菱ケミカル、住友化学、三菱ガス化学の減益は大きい。

しかし、それほど減益とならなかった企業も多い。

一般的に石油化学は損益が悪化しているが、当期はまだその程度が少ない。
2021年3月期に大きな影響が出ると思われる。(多くの企業が次期予想を発表していない)

三井化学の場合、石化・基礎化学品を中心とする基盤素材事業は当期の営業損益は前期が +278億円、当期が+87億円で、次期予想は-115億円としている。

当期の損益悪化が大きいのは、特定品目の比重が高い場合である。

三菱ケミカルの場合はMMAであり、2018年3月期の1,096億円の利益が当期は243億円にまで落ち込んだ。

住友化学も量は三菱より少ないがMMAを持つ。同社の場合はさらにメチオニンの価格下落が大きい。

三菱ガス化学の場合は、メタノール等の価格下落と、サウジのJVの出資比率変更の影響が大きい。

ダイセルの減益は、小の影響が大きい。この関連で米国で減損も計上した。


各社の結果を比較した。斜線はIFRS方式の企業。

売上高

営業損益

経常損益(IFRS方式の場合は税引前損益)

当期損益(株主帰属損益)

xx

米下院本会議は5月27日、中国新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族への弾圧に関与した中国の当局者に制裁を科すようトランプ政権に求めるウイグル人権法案を賛成413、反対1の圧倒的多数賛成で可決した。

米政府が弾圧や人権侵害に携わった人物のリストを180日以内に作って議会に報告、これらの人物を対象に、ビザ(査証)発給の停止や資産凍結などの制裁を科す内容。

米上院本会議は5月14日、ウイグル人権法案を全会一致で可決した。

下院は2019年12月に類似の法案を407対1の圧倒的な賛成多数で可決していたが、上院で内容を修正したため、再度可決した。

成立にはトランプ大統領の署名が必要だが、大統領は香港情勢を巡る米中対立の激化も踏まえて対応を判断する。


この投票は下院で史上初めて遠隔投票(remote voting)が認められた。

下院は5月15日、新型コロナウイルスの影響で議会運営が停滞するのを避けるため、「遠隔投票」(remote voting)を可能とする規則変更の決議案を賛成多数で可決した。

共和党 民主党 無所属 合計 欠員
賛成 217 217
反対 185 3 1 189
棄権 11 13 24
合計 196 233 1 430 5

注 その後の補欠選挙の結果、現在は共和党が +1人

欠席議員が代理人を登録し、代理の議員が代わりに投票する。

この日は民主党議員74人がこれにより投票した。(全議員の17%に相当)

遠隔投票に反対の共和党は出席して票を投じた。

下院共和党議員は5月26日、憲法違反を理由に遠隔投票を阻止すべく Pelosi 下院議長を訴えた。遠隔投票で議決された法案は法律にならないことを求めている。

なお、下院の委員会では1995年以前は代理投票が認められていた。

EUと英国は5月15日、5日にわたった第3回会合(テレビ会議)を終えたが、「公正な競争環境の確保」や「漁業」など対立する重要分野での進展は今回も見られず、「期待外れだった」(EUのバルニエ首席交渉官)。

最大2年の期間延長を決定できる期限が6月末に迫る。6月初めに予定する次回会合で正念場を迎える。

特に溝が深いのが「公正な競争の確保(Level Playing Field)」 で、EUは関税ゼロを目指すFTAの締結の条件として、労働者や環境保護、国家補助の規制、競争法、税制などのルールをEUの水準に合わせるよう求めている。

これは、2国間のFTAではなく、実質的に英国が重要な分野でEUに残留するものである。

世界のFTA交渉でこんな条件はなく、英国が受け入れる筈はない。

漁業に関しては、英国はEU離脱で主権を回復し、領海内での漁業を自国で管理しようとしているが、EUは従来通りのEU諸国の操業権を求めている。

2020/4/30 英国の「EU離脱後」交渉、難航

最後の交渉でEUが降りない限り、英国は年末に「FTAなし」で離脱する可能性が強まっている。

英・EUの間では移行期間を2022年末まで延長できることになっており、6月末に判断する。

しかし、仮に延長しても、EUが態度を変えない限り、今後決着する可能性は少ない。

また、移行期間中は英はEU域外とFTAを発効させることはできず、EU予算への拠出金の負担を強いられる。

ジョンソン首相は離脱関連法案に、EUとのFTAの締結が間に合わない場合でも本年12月末までの移行期間を延長したり、EU法の英国への適用停止日を延期したりできなくする条項を付け加えた。

2020/1/10 英下院、EU離脱法案を可決 1月末の離脱実現へ



英国は、最後の交渉でEUから良い条件を引き出すため、準備を加速している。

英国は5月19日、これまで適用してきた最恵国に対する関税率表(Common External Tariff)に代わる2021年1月1日以降の英国の関税率表(UK Global Tariff )を発表した。

企業が海外から製品を輸入するのを容易に、かつ安くすることで経済を支援する。現在のEUのそれより簡単で、使用が容易で、関税を引き下げる。複雑な手続きを無くし、不要なバリアを除去し、コストを下げ、消費者の選択を増やす。

無関税の貿易を拡大する。

農業、自動車、漁業などの分野では多くの製品で関税を維持する。

英国産業のバックアップ

  • 肉類などの農産物の関税維持
  • 自動車関税10%維持.
  • ほとんどのセラミック製品の関税維持.
  • 英国のサプライチェーンに入る300億英ポンド相当の製品の関税免除 

関税撤廃で消費者の選択が増え、コストが下がる。

  • 皿洗い機、フリーザー、衛生製品、ペンキ、鏡、ハサミ、クリスマスツリー等

再生エネルギー関連の100以上の製品の関税を撤廃し、再生可能経済を推進

ほとんど全ての医薬品や医療機器は関税を免除する。

ーーー

英国は北アイルランドを含め、EU関税同盟から離脱するが、アイルランド島の国境には物理的な関税等は設けないため、下記の特殊措置をとることとなっている。

2020年末までの移行期間終了後、名目上は北アイルランドを含む英全土がEUとの関税同盟から抜ける。
しかし、アイルランド島の国境付近での税関業務を省略できるよう、北アイルランドに限り関税手続きをEU基準に合わせる。
英本土から北アイルランド向けの品物はいったんEUの関税を徴収されるケースも出る。

本土から北アイルランドに入る段階でEU関税を支払い。(英国が実施するが、EUは立ち合いの権利を持つ。個人の荷物はチェックしない。)
北アイルランドに留まるものは関税還付。
アイルランドに運ばれるものは関税還付なし。

英国は5月20日、本土から北アイルランドに入る製品の扱いについて、北アイルランドに税関を設置しないと発表した。

既存の農業食品のチェックポイントは拡張するが、税関設備はつくらない。

英国の他地域から北アイルランドに入る製品のうち、アイルランド共和国向けのもの及びそこから輸出されるものだけに関税が課せられる。

サムスン電子の李在鎔副会長は5月17日に訪中、西安メモリ工場(NAND型フラッシュメモリなど)を点検し、19日に西安で地方政府の最高責任者たちに会い、「事業・投資」と関連した協力を求め、肯定的な約束を受けた。

訪中は5月1日から開始された「韓中企業迅速通路(Fast Track)」を利用して行われた。

通常なら中国入国後に現地で14日間の隔離が必要だが、企業家などに限って韓国出国前、中国入国後にそれぞれ新型コロナウイルスの検査を受けて陰性判定が出れば、隔離が免除される。

韓国出国前に少なくとも14日間の健康監視を行い、出発72時間以内に陰性確認書の発行を受け、中国入国後もPCR検査を受けて陰性を確認する。

李副会長は韓国帰国時にもPCR検査を受け、2泊3日の中国旅行で3回、検査を受けた。

ーーー

三星電子は5月22日、「韓中企業迅速通路」を利用して、西安の半導体第2工場の増設のために必要な本社・協力会社の技術者300人をチャーター機で派遣した。
西安でバッテリー工場を運営している三星SDIの人材30人も同乗した。

起亜自動車も同日のチャーター便で江蘇省鹽城工場に100人を派遣した。

SKイノベーションは5月21日に鹽城バッテリー工場の建設現場で働く人材120人をチャーター機で送った。

ーーー

5月12日付の日本経済新聞は、中国が日本側に「陰性」などの条件付きで入国制限緩和を打診したことがわかったと報じている。入国規制の緩和に関しては、双方の国で合意が必要となる。


現在、日本政府は、111カ国・地域(5月22日に11か国を追加後)からの入国を拒否しており、他の全ての国・地域からの入国者に対してはホテルなどで14日間の待機を要請する入国規制を行っている。

日本も184カ国・地域から入国制限を受けている。
日本も184カ国・地域から入国制限を受けている。
日本も184カ国・地域から入国制限を受けている。

日本も184カ国・地域から入国制限を受けている。

茂木外相は5月22日、当初5月末までとしていたこれらの入国制限措置を1カ月延長する方針を発表した。

これらの入国規制の緩和に対して、日本国内での感染収束後に3段階での緩和を想定している。まず第一段階の緩和はビジネス客と研究者の往来を対象とし、第二段階が留学生らを対象とした緩和。観光客への規制緩和は第三段階となるが、「観光客を対象とする緩和は、かなり先になる」。

日本政府の入国制限1カ月延長に対し、韓国外交部は「防疫状況が安定している韓国に対して査証制限など入国制限措置が続いているのは遺憾」とし「日本政府に入国制限措置の解除を継続して促していく予定」と述べた。

中国CanSino Biologics(康希諾生物)の研究者は5月22日、医学誌 Lancetで、新型コロナウイルスワクチンの第1相臨床試験でワクチンの安全性と急速な免疫反応の誘導を確認したと発表した。

Safety, tolerability, and immunogenicity of a recombinant adenovirus type-5 vectored COVID-19 vaccine: a dose-escalation, open-label, non-randomised, first-in-human trial

CanSino Biologicsは旧称 天津康希諾生物技術有限公司で、中国を拠点し、主にヒト向けワクチン製品の研究開発、製造、および商品化に取り組む。

新型コロナウイルスワクチン(Ad5-nCoV)は、組換アデノウイルス5型をベクターとし、体内に新型コロナウイルスのスパイクタンパクの遺伝子を送り込むもの。

アデノウイルスは、呼吸器、目、腸、泌尿器などに感染症を起こす原因ウイルス 。

アデノウイルス遺伝子をHEK293(ヒト胎児腎細胞293)のゲノムに組み込むことで、組換えタンパク質を効率的に産生する。

中国メディアによると、中国軍の生物化学兵器防衛の最高責任者である陳薇少将が率いる軍事医学研究院生物工程研究(Beijing Institute of Biotechnology)の研究チームと共同で開発したという。

臨床試験は3月16日~27日に武漢市の健康な成人18-60歳の108人を対象に行なわれた。3つのグループに異なる量(5 × 1010、1 × 1011、1.55 × 1011 viral particles) を注射した。

主な副作用は、注射部位の軽度な痛みや発熱、疲労感、頭痛、筋肉痛などで、深刻な副作用は見られなかったという。

2週間でウイルス特異抗体(2週間でそれぞれ28%、31%、42%に、7週間ではそれぞれ50%、50%、75%)とT細胞の産生が見られた。

但し、ワクチンが新型コロナ感染症を予防するかどうかは一段の研究が必要としている。

ーーー

カナダの National Research Council of Canada (NRC) は5月12日、CanSino Biologicsとの新型コロナウイルスワクチンでの共同開発を発表した。

カナダ保健省は5月18日、CanSino Biologicsがこのワクチンの臨床試験をカナダのDalhousie UniversityのCanadian Centre for Vaccinology で実施することを承認した。

NRCは2013年にエボラウイルスのワクチン開発のため、CanSino BiologicsにHEK293(ヒト胎児腎細胞293)を提供した。今回のワクチンもNRCのヒト胎児腎細胞293を使っている。

但しカナダ国内では中国軍部の関与するワクチンに対する反対も見られる。

ーーー

これとは別に、CanSinoBIOは5月20日、ナノ粒子医薬品の発見、開発、製造のための革新的なソリューションのグローバルリーダーであるカナダのPrecision Nanosystems Inc.との間で、mRNA-LNPワクチンの共同開発契約を締結した。

PfizerとドイツのBioNTech のワクチンと同じ種類のものと思われる。

Precision NanosystemsのLNPデリバリーシステムとナノ医薬作製装置(NanoAssemblr®)を使うもので、Precision Nanosystemsはワクチンの開発を担当、CanSinoBIOは臨床試験や登録手続き、商業化を担当する。

承認取得後はCanSinoBioは日本を除くアジアでの販売権を持ち、Precision Nanosystemsはそれ以外での販売権を持つ。費用分担やロイヤリティも決めたが、公開されていない。


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日本や東アジア諸国の新型コロナウイルスの死者は欧米と比べ極めて少ない。

5月19日時点の人口100万人当たりの死者は、ベルギーが784人、スペインが593人、英国が513人、イタリアが495人、オランダが332人、米国が273人であるのに対し、ベトナムがゼロ、バングラデシュが2人、マレーシアが3人、パキスタンが4人、日本が6人となっている。 一覧表

本ブログはBCG接種(特に日本型)ではないかとしてきた。

BCG注射と死者数には明らかに相関関係がある。

上記のうち、ベルギー、イタリア、オランダ、米国はBCGの全員接種をしたことがない国である。BCG接種国でも、日本型の国とデンマーク型の国では、同じように接種していても、死者数が非常に異なる。

日本型・ソ連型BCGは欧州で使われるデンマーク株と細胞膜構成成分が異なる。また、日本株とソ連株は他の亜株に比し、結核に対して免疫を起こす力は同程度だが、生菌数が非常に多い。

2020/5/4 COVID-19とBCG接種(その4)

但し、日本型と同じ種類のソ連型をみると、デンマーク型の国よりもはるかに少ないが、日本型とはかなりの差がある。この理由は不明である。

ーーー

東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が、日本を含む東アジア人には新型コロナウイルスに対する免疫を持つのではないかとの仮説を唱えている。

「SARSの流行以来、実際にはさまざまなコロナウイルス(SARS-X)が東アジアに流行していた可能性があるのではないか。その結果として、免疫を持っていた可能性があるのではないかということも考えられる」

東京大学先端科学技術研究センターがん・代謝プロジェクトの研究によるもので、川村猛氏らによってまとめられ、The Lancetに投稿済みとのこと。

ーーー

ウイルスに感染すると、ウイルスを排除するための抗体が生産される。

最初に生産される抗体が「IgM抗体」で、早期対応のための幅広いウイルス認識力を持っている。

IgM抗体によってある程度ウイルスの認識が進むと、対象となるウイルスの排除に特化した「IgG抗体」が作られる。

その後、中和抗体が出てくると二度とかからないという免疫ができる。


       図は児玉名誉教授のスライドより


IgM抗体はその後消えるが、IgG抗体は感染を排除した後も残り続けるため、
再度ウイルスが侵入したときに素早く IgG抗体が増殖
できる。

今回、日本人で新型コロナウイルスに対する反応を調べると、上図の動きではなく、IgGが先に反応が起きた。またIgMの反応が弱いということが分かった。

これは、既にlgG抗体を持っている場合と同じである。


5月18日のNature誌に、重症急性呼吸器症候群(SARS)から回復した患者の抗体が、新型コロナウイルスの感染を阻止するとした研究論文が発表されている。

Davide Cortiたちの研究チームは2003年に、重症急性呼吸器症候群(SARS)から回復した患者に由来するモノクローナル抗体がヒト由来と動物由来の両方のSARS関連コロナウイルスを阻害できることを明らかにしていた。

今回、Cortiたちは、これらのモノクローナル抗体のうちの25種について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を阻害する特性(交差反応性)を評価し、遊離ウイルスと感染細胞の双方に結合できる8種の抗体を見つけ出した。そして、これらの抗体候補の1つ(S309)が、SARS-CoV-2に対して特に強い中和活性を有することが示された。

今回の研究では、被験者による実験は行われていない。

SARSの流行以来、実際にはさまざまなコロナウイルス(SARS-X)が東アジアに流行していた可能性がある。

東アジアの人は、すでにさまざまなコロナウイルスの亜型にかかっており、 新型コロナウイルスに効く免疫が出来ているのではないか。


また、重症化は免疫の過剰反応が原因として知られているが、今回の研究では、IgM抗体の生産が緩やかな場合には、重症化しにくいことが明らかになった。

感染の初期において、広範な影響力を持つIgM抗体よりも、専門化されたIgG抗体が多く生産されることで、免疫も過剰応答を避けることができると考えられる。

日本人はIgMの反応が弱いため、重症化しにくい。死者が少ない理由である。


逆に、IgMの反応が普通に起こり、IgMの立ち上がりが早い場合は重症化する。


三菱
ケミカルは5月22日、新型コロナウイルス感染症対策支援のため、「知的財産する新型コロナウルス感染症対策支援宣言趣旨賛同参画したと発表した。

新型コロナウイルス感染症のまん延終結目的とした開発製造販売等行為しては権利者保有する特許権実用新案権意匠権著作権権利行使わないことを宣言するもの

これにより
本宣言対象となる知的財産権する侵害調査やライセンスをけるための交渉などを必要がなくなり迅速かつ最善開発および製造可能となる。

ーーー

世界大手企業や研究所は4月20日、新型コロナウイルス・パンデミックを収束させるために関連の知的財産権のライセンス利用を無償にするプロジェクト「Open COVID Pledge」に参画したと発表した。
新型コロナウイルス・パンデミック対策に研究機関が、幅広い知的財産権を無料で利用できるようになった。

これを受け、5月7日に、日本の20社の経営者、知財責任者が発起人となり、これを発表し、国内外の企業や研究機関などに広く参画を募った。

知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言

我々は、新型コロナウイルス感染症のまん延防止の実現に向けた、医療の提供、感染管理、感染防止その他の感染症対策を一刻も早く進める上で、障害となる知的財産権の行使を行わない環境を整えることを目的に、一切の対価や補償を求めることなく、ここに宣言する。

1. 我々は、すべての個人および団体に対し、この宣言の日から世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症まん延の終結宣言を行う日までの間、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、封じ込めおよび治療をはじめとする、新型コロナウイルス感染症のまん延終結を唯一の目的とした行為について、特許権、実用新案権、意匠権、著作権(以下「知的財産権」)の権利行使を行わない。

一部の権利者はその無償解放する知的財産の範囲や開放期間などに制限を加えたり、使用前の通知を条件に無償開放している。

以下略


5月22日時点の日本の宣言者は54、対象特許数は743,374 となっている。

  https://www.gckyoto.com/covid19


神戸大学分子フォトサイエンス研究センターの立川貴士准教授のグループは、赤錆の光触媒作用によって太陽光と水から水素を製造する際の効率を飛躍的に高める構造制御技術の開発に成功した。

本研究成果は、4月30日にドイツ化学誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版で公開された。

安全・安価・安定で、可視光を幅広く吸収できるヘマタイト(赤錆)のメソ結晶(5nm程度の超微粒子の集合体)を透明電極基板に焼き付けるだけで、極めて高い導電性を有する光触媒電極を作製できることを見出した。

ーーー

光触媒に光が照射されると、触媒表面に電子(e-)と正孔 (h+ :電子が抜けた孔)が生成し、この電子が水の水素イオンを還元することで水素が生成する。

h+ の働き H2O→2H+ + 1/2 O2
e- の働き 2H+ →H2

ヘマタイト (赤錆)は、安全・安価・安定な光触媒材料で、古くから太陽光を利用した水素製造への応用が期待されてきた。
他にも多くの光触媒が開発されてきたが、生成した電子と正孔のほとんどが触媒表面で再結合し、消失してしまうため、光エネルギー変換効率が非常に低いという課題があった。

太陽光と水から水素を作り出す光触媒の実用化には、現状数%にとどまっている太陽光エネルギーの変換効率を10%程度以上に向上させる必要がある。

チームは2019年10月に、光触媒の超微粒子を配向を揃えて三次元構造化した「メソ結晶」をソルボサーマル法(高温または高圧の溶媒を用いて固体を合成する方法)によって合成し、さらに、メソ結晶を透明電極基板に集積・焼結することで、導電性と水分解性能に優れたメソ結晶光触媒電極を開発した ことを発表した。

今回、メソ結晶を構成するヘマタイトを約5nmの超微粒子化し、さらにメソ結晶を透明電極基盤に集積・焼結することで導電性と水分解性能に優れたメソ結晶光触媒電極を開発した。

サイズを5nmまで小さくすることで粒子同士の接触面積を増やし、焼結する際に生成する酸素空孔(酸素の格子空孔)の量を飛躍的に増やすことができた。

酸素空孔の付与によって光触媒電極の導電性が向上するとともに、粒子表面に大きな電位勾配が生じ、電子(e-)と正孔 (h+)の分離が促進される。

同時に多数の正孔(h+)が粒子表面に移動し、水を高効率に酸化分解することで、ヘマタイト系電極で世界最高の光水分解性能を達成した。


擬似太陽光を照射したところ、1.23Vの電圧印加の下、5.5mAcm-2の光電流密度で水分解反応が進行することがわかった。
これは、光吸収特性とコストの両面において理想的な光触媒材料のひとつであるヘマタイトにおける世界最高性能である。

また、ヘマタイトメソ結晶光触媒電極は、100時間にわたる繰り返し実験においても安定に動作することがわかった。

本技術は、太陽光水素製造をはじめ、幅広い用途に向けた光触媒の開発に応用できる。

今後は、ヘマタイトメソ結晶光触媒電極の更なる高効率化と太陽光水素製造システムへの導入を産学協働で進めると同時に、人工光合成を含む様々な反応系への応用展開を図る。

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