今年のIg Nobel Prize 贈呈式が9月22日、米ハーバード大で開催された。

東山篤規・立命館大教授と足立浩平・大阪大教授が「知覚賞」を受賞した。日本人の受賞は10年連続となる。


受賞テーマは、前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると、実際より小さく見える「股のぞき効果」である。
実験心理学が専門の東山教授が主に研究を行い、足立教授が統計分析に協力して、2006年に専門誌に論文を発表した。

股のぞきをして景色を見ると、天地が逆さまになり、直立した姿勢で見た時より平らで奥行きが少ない印象を受ける。

計90人に股のぞきなどをしてもらい、離れた位置に置いた目印(三角形の板)の見かけの大きさや距離を当ててもらう実験を繰り返した。

その結果、股のぞきをすると、直立して見るより目印が小さく、遠くの目印が手前にあるように感じる錯視の効果が確認できた。

「逆さ眼鏡」をかけて股のぞきをすると、見える景色は直立した姿勢と同じになるが、その場合も、同じような錯視が起きていた。

錯視が起きる原因に、前かがみの姿勢が深く関係していることも示した。

姿勢などの体感が視覚に直接影響する証拠の一つという。
「人間は、歩き始めると、直立した状態でモノを見るので、直立した状態の体の位置が、周りの空間を見るときの基準となっているのではないか」としている。

他の受賞は下記の通り。

生殖賞 ポリエステル、綿、ウールのズボン着用がラットの性生活に与える効果の研究 
ズボンの材料

100% polyester
50/50% polyester/cotton
all cotton
all wool.

綿やウールの場合は比較的正常だが、ポリエステルの場合の性行動は "significantly lower"。 多分、材料の帯電のせいか?

人間の男性にも同様のテストを実施。

経済学賞

「営業およびマーケティングの視点から石のブランドパーソナリティを評価」

「ブランドパーソナリティ」は、製品のブランドに「健全」や「若さ」、「知性」など、人格的な属性を付与する考え方に対するマーケティング用語。

いろんな石の写真を学生に見せ、どう見えるかを聞いた。

答えの例。

石 G :ニューヨークタイプのビジネスマンで、黒いブリーフケースを持ち、・・・・
石 I :ジプシーかヒッピーというものや、リベラルで魅力的な30歳代半ばの女性とするものなど。

物理学賞

偏光2件

① 白馬がアブに刺され難い理由

アブは獲物を探すために皮膚からの偏光を使うため、白馬よりも黒馬や茶毛の馬に魅かれる。

② トンボが黒い墓石に引き付けられる理由

ハンガリーの墓地で、餌はどこにもいないのに、トンボが黒い磨かれた墓石の上で時間を過ごしている。雌は墓石のうえに卵を産みさえする。
昆虫は水辺の巣を探すのに水面に光る偏光を探す。

化学賞

自動車の排ガステストの際に、自動的に、電気機械的に排ガス量を減らし、自動車の排ガス 公害問題を解決した。

排ガス不正を摘発されたVolkswagen が受賞した。

医学賞

腕にかゆみを与える薬品を注射して、鏡を見て、かゆい方の腕を掻かせるテスト。

右腕がかゆい場合、鏡に映った右腕(実際にはかゆくない左腕)をかいた場合も、かゆみが直ることが分かった。
脳が右腕をかいていると錯覚するため。

心理学賞

千人の嘘つきに、何回嘘をついたかを聞き、その答えが本当かどうかを検証。

人間は幼児から成長するにつれ、次第に多くの嘘をつくようになり、思春期にピークになる。大人は通常1日2回嘘をつく。
例外はあるが、齢をとると嘘は減る。
嘘つきは自分に対しても嘘をつき続ける。

平和賞

論文「あたかも意義深く聞こえるデタラメな言葉の受容と検知」

名言や、名言を一部変えて出鱈目な表現にしたものを学生に示し、どう反応するかを調べた。

生物学賞

野生動物を理解するための2つの実験

①人間以外の動物の世界観を理解するため、アナグマ、カワウソ、キツネ、鳥 と同じ野生の生活を体験
  ・アナグマとして昼間は寝て、夜中、食料のみみずを探して森を四つ這いで歩き回った。
  ・都市のキツネとして、ゴミをあさり、庭で寝た。

② 象の真似をしたかったが、危険なのでヤギの真似をした。
  特製の義肢をつけ、訓練した後、3日間 スイスアルプスでヤギと暮らし、草を食べ、群れに入り込もうとした。
  階級制度の群れのなかで友達をつくることが重要だと分かった。

文学賞 離島で、死んだハエ、まだ死んでいないハエを 収集する喜びを記した 3巻もの自伝。


イグノーベル賞の賞品は特製の時計と毎年恒例のジンバブエの「10兆ドル」札(米国の40セント相当)。

過去のイグ・ノーベル賞については、下記を参照。

2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞
2007/10/8 2007年イグ・ノーベル賞
2008/10/4 2008年イグ・ノーベル賞
2009/10/3 2009年イグ・ノーベル賞
2010/10/7 2010年ノーベル化学賞とイグ・ノーベル賞
2011/10/1  2011年度イグノーベル賞
2012/9/25 2012年 Ig Nobel 賞に日本人の「スピーチジャマー」
2013/9/16 2013年 Ig Nobel 賞、日本の2チームが受賞
2014/9/20 2014年イグ・ノーベル賞
2015/9/22 2015年 イグノーベル賞

日本人の受賞は次のとおりで、2005年までに11件、2007年からは10年連続で11件(2013年は2件)で、合計22件の受賞となった。
なお、2008年の認知科学賞と、2010年の交通計画賞は、同一テーマの研究の延長で受賞している。

(敬称略)

名前 受賞
1992 神田不二宏, E. Yagi,
M. Fukuda
K. Nakajima,
T. Ohta and O. Nakata
(資生堂研究センター)
薬学賞
足の匂いの原因となる混合物の解明
1994 気象庁 物理学賞
地震が尾を振るナマズによって引き起こされるかどうかを7年間研究した功績
1995 渡辺茂(慶應義塾大学)
坂本淳子
脇田真清(京都大学)
心理学賞
ハトの絵画弁別(ハトを訓練してピカソとモネの絵を区別できるようにした)功績
1996 岡村長之助
(岡村化石研究所)
生物学的多様性賞
岩手県の岩石から古生代石炭紀(約3億年前)の石灰岩中に超ミニ恐竜化石を
発見した功績
(小さな石を顕微鏡で見て超ミニ恐竜化石だと主張して発表)
1997 舞田あき(バンダイ)
横井昭宏(ウィズ)
経済学賞
バーチャルペット(
たまごっち)の開発によりバーチャルペットへの労働時間を
費やさせた功績
1997 柳生隆視 他
(関西医科大学)
生物学賞
様々な味のガムをかんでいる人の脳波を研究
1999 牧野武
(セーフティ探偵社)
化学賞
妻や夫の下着に適用して精液の跡を発見できる浮気検出スプレーの開発
.
2002 佐藤慶太(タカラ社社長)
鈴木松美(日本音響研究所)
小暮規夫(獣医学博士)
平和賞
コンピュータ・ベースでの犬と人間の言葉を自動翻訳するデバイス「
バウリンガル」開発
2003 広瀬幸雄 教授
(金沢大学)
化学賞
銅像に鳥が寄りつかないことをヒントに、カラスを撃退できる合金開発
2004 井上大佑 平和賞
カラオケ
を発明し、人々に互いに寛容になる新しい手段を提供
2005 中松義郎
(ドクター中松) 
栄養学賞
36年間にわたり自分が食べたすべての食事を撮影し、食べ物が頭の働きや体調に
与える影響を分析
2007 山本麻由 化学賞
牛糞からバニラの芳香成分 vanillin の抽出
2008 中垣俊之ほか 認知科学賞
真正粘菌変形体という巨大なアメーバ様生物が迷路の最短経路を探し当てる
2009 田口文章ほか 生物学賞
パンダのフンから抽出したバクテリアを使って台所の生ゴミを分解し、9割減量
2010 中垣俊之ほか 交通計画賞
粘菌が交通網を整備
2011 今井眞ほか 化学賞
わさびの臭いが火災報知器の役割を成す理想的な空気中のわさび濃度
2012 栗原一貴、塚田浩二 音響賞
迷惑を顧みず話し続ける人の話を妨害する装置「スピーチジャマー」を開
2013 新見正則ほか 医学賞
心臓移植したマウスにオペラを聴かせると生存期間が延びた
今井真介ほか 化学賞
タマネギの催涙成分をつくる酵素
2014 馬渕清資ほか 物理学賞
「バナナの皮を踏むとなぜ滑りやすいのか」を実験で解明
2015 木俣肇 医学賞
情熱的なキスの生物医学的な利益あるいは影響を研究するための実験


Samsung Electronicsは9月18日、資金の効率化と中核事業への集中のため、下記の株式を売却したと発表した。
通常の経営活動の一環で、株式を売却した各社との協力関係に影響はないと説明している。

売却した海外企業の株式の額は1兆ウォン(約900億円)台に達するとされる。

オランダの半導体製造装置大手 ASML 持株の半分 1.5%
米のハードディスク駆動装置(HDD)大手Seagate Technology 4.2%全て
米の半導体開発大手 Rambus 4.5%全て
シャープ 0.7%全て


Samsung Electronicsは9月13日には、米の
HP Inc.にプリンター事業を10億5千万ドルで売却することで合意した。
Samsungは売却完了後に、公開市場での株式取得でHP Inc.に1~3億ドルを出資するとされる。

Samsung Electronicsの2015年の売上高 約18兆円のうち、スマホなどIT機器が46%、ディスプレーが12%、半導体が21%、家電が21%で、このうち複写機事業(家電部門)は1%に過ぎない。

HP Inc. は2015年11月1日のHewlett-Packard の会社分割で生まれた。

エンタープライズサービス、ソフトウェア、サーバ事業は、Hewlett-Packard Enterpriseと なり、
PCおよびプリンティング事業は、HP Inc.となった。

HP Inc. は利益の大半を自社製プリンター向けインク・トナーの販売で得ているが、この分野の成長は頭打ちとなっている。
今回のプリンター事業買収で、レーザープリンターの重要な機構である印刷エンジンの製造も可能になる。
HP Inc. では、印刷エンジン技術の取得は利益率改善とともに、レーザープリンターの進化に貢献すると指摘している。

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Samsung はシャープとの資本提携交渉時にシャープの複写機事業の買収を提案していた。

シャープ社内には資金の確保のためにこれに賛成する一派もいたが、日本からの技術流出(特にSamsung への流出)への反対から最終的に拒否した。
実際には日本のメーカー数社との間で相互に特許ライセンスを行っており、技術全体の譲渡は不可能であった。

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Samsung Groupは総帥の李健煕・サムスン電子会長 の指導の下で拡大を続けてきたが、李健煕会長が2014年5月に急性心筋梗塞で倒れ、後継者の李在鎔・サムスン電子副会長がグループの再編を開始した。

先ず2014年11月に、防衛関連と石油化学の4社を合計1.9兆ウォンでハンファグループに売却した。

防衛関連 Samsung Techwin の32.4% 8400億ウォン
Samsung Thalesの 持分(50%)
Samsung Techwinと仏大手電機メーカーThalesのJV
石油化学 Samsung General Chemicalsの57.6% 1兆0600億ウォン
Samsung Total Petrochemicals の持分(50%)
Samsung General Chemicalsと仏 Total のJV


2014/12/1 Samsung Group、防衛、石化事業をHanwhaに売却 

2015年にはサムスン精密化学など残る化学事業をすべてロッテグループに譲渡を発表、2016年に完了した。

1)Samsung SDI の化学部門(エンプラ等)

2)Samsung Fine Chemicals のSamsung 持分

3)Samsung BP の49%(酢酸、酢ビなど)

2015/11/5 Samsung Group、残る石油化学部門をロッテに売却

韓国ロッテグループの辛東彬(重光昭夫)会長(創業者の次男)は9月20日午前、背任や横領の疑惑に絡む事情聴取を受けるため、ソウル中央地検に出頭した。

約18時間にわたる事情聴取を受けたが、これでロッテグループの裏金疑惑に関する捜査は終結に向かう。

検察は創業者、次男、長男、創業者の内縁の妻、徐美敬氏ら創業者一族を全員起訴する方針とされる。

創業者の長女の辛英子氏は、韓国の化粧品会社などからロッテ免税店への出店を認めるよう頼まれ、リベートとして計30億ウォン(約2億6400万円)を受け取ったほか、辛容疑者が実質的に運営する企業に娘3人を取締役にするなどで約47億ウォンを横領した疑いで起訴され、収監されている。同氏は9月12日、裁判所に保釈を申請した。

朝鮮日報は、辛東彬(重光昭夫)会長が逮捕、起訴された場合、同氏が経営の一線を追われる可能性があると指摘し、その場合、「韓国 5位の財閥が日本の経営陣数人に左右されるという、あきれた状況が現実になるかもしれない」と伝えた。 

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韓国の検察は6月10日、ロッテグループの幹部が帳簿外の裏金づくりを行った疑いがあるとして、大々的な家宅捜索を行った。


ロッテは李明博前大統領の政権で最も恩恵を受けた企業だとされる。

辛格浩氏の宿願だったソウルの複合商業施設「ロッテワールドモール (第2ロッテワールド)」の認可を受けるために裏金を使って政界に金品を供与した疑いをはじめ、釜山のロッテワールド用地の用途変更やビール事業進出、免税店運営事業の受注など、前政権時代の恩恵に絡む数々の疑惑がある。

2016/6/15 韓国検察、ロッテグループを家宅捜索 

創業者の辛格浩(重光武雄)氏の次男で韓国ロッテグループ会長の辛東彬(重光昭夫)氏と、長男の辛東主(重光宏之)氏との争いの過程で内部資料が検察に流れたとの憶測がある。

2015/8/1 ロッテの内紛、 2015/8/19 ロッテ、次男中心の体制に

調査の過程で、グループ幹部で、辛東彬(重光昭夫)会長の側近の李仁源・副会長兼政策本部長が、出頭を要請された8月26日の朝、自殺しているのが発見された。

2016/8/27 ロッテグループのナンバー2、検察取り調べ前に自殺

ロッテ創業家の 関係図は下記の通りで、これまでに創業者、次男、長男が事情聴取を受けた。創業者の長女の辛英子氏は別件で既に起訴、収監されている。

創業者 辛格浩(重光武雄)氏

ソウル中央地検は9月8日、高齢で病身の創業者の辛格浩総括会長(94)をロッテホテル執務室で事情聴取した。

ロッテグループの巨額の裏金疑惑のほか、脱税疑惑も調べた。

同氏は2005年に、他人名義で保有していた日本のロッテホールディングスの持ち株を 内縁の妻 徐美敬氏と娘の辛ユミ氏に譲渡した際、米国や香港、シンガポールなどに設立したペーパーカンパニーを通じて譲渡し、約 6千億ウォン(約550億円)の贈与税を脱税した疑惑が浮上した。

徐美敬氏は日本在住で、数回にわたる韓国検察の出頭要請に応じておらず、検察は外交部の協力の下、強制帰国のための手続きを進めている。

検察は徐美敬氏が韓国内に所有している全財産を差し押さえた。

地検とは別に、韓国公正取引委員会は9月21日、虚偽資料を提出した疑いでロッテグループの辛格浩(重光武雄)総括会長を検察に告発した。

事実婚関係にある徐美敬氏と娘、辛ユミ氏が株主となっている「ユニプレックス」とユギ開発、ユウォン実業、ユギインターナショナルの4社に関する資料を故意に 提出しなかった。
その結果、4社はロッテグループの系列会社(相互出資制限企業集団)には編入されず、関連規制から逃れていた。

ホテルロッテなど11社の株主である海外16社についてオーナー家とは関係の無い「その他株主」と誤った記載をした。

韓国では資産5兆ウォン以上の「大企業集団」は系列会社の記載や、系列会社に対する株式保有状況について厳しい報告義務があり、虚偽資料提出容疑では、最高1億ウォン(約900万円)の罰金刑が下される。

公取委は、ユニプレックスなど4社を2010年10月1日にさかのぼって、ロッテの系列企業に編入する措置を取った。

ホテルロッテなどグループに属する11社が企業集団現況公示、株式所有現況申告で海外の系列会社16社を「その他株主」と虚偽申告していたことについては、過料5億7300万ウォンと警告の処分を下した。

ロッテ側は、日本の系列企業の状況を十分把握できなかったためで故意ではない、と釈明している。

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長男 辛東主(重光宏之)氏

韓国検察は9月1日、辛東主(重光宏之) 氏を事情聴取した。2006年から2015年まで、勤務実体がないのにロッテ建設やホテルロッテなど7~8社の取締役を務め、400億ウォン(約36億円)の報酬を受けた横領疑惑。

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次男 辛東彬(重光昭夫)会長

辛東彬(重光昭夫)会長は9月20日午前、背任や横領の疑惑に絡む事情聴取を受けるため、ソウル中央地検に出頭した。

検察が問題視するのは次の点。

(1)組織的な巨額の裏金作りに関与していた疑い

ロッテ建設がここ10年間に300億ウォン台の裏金をつくった問題で、同氏の直接、間接的な関与があったかどうかを調べた。
グループの司令塔役を担う政策本部の指示や黙認なしにロッテ建設が独自に多額の裏金を作るのは難しく、検察はグループの最高経営陣が裏金作りを進めたとみている。

(2)M&Aの過程で生じた損失を系列会社に押しつけた背任容疑

ホテルロッテのロッテ済州・扶餘リゾートの安値での買収、中国のホームショッピング企業ラッキーパイなどの海外企業の高値でのM&Aで系列会社に損害を与えた。

(3)日本のロッテグループの系列会社に役員として名を連ね、業務の実体がないにもかかわらず、毎年100億ウォン(約9億1千万円)以上の給与を受け取っていた横領容疑

(4)グループ内企業の有償増資に関する不可解な支出や創業家が所有する企業に対する集中的な仕事の発注など

検察は下記の案件に辛東彬(重光昭夫)会長が指示をしたかどうかを調べた。

・資金難に陥ったロッテ PS Net の360億ウォン規模の有償増資を実施し、これに応じたロッテ情報通信、コリアセブン、ロッテドットコムに損害を与えた。

・ロッテケミカルが2008年から昨年まで訴訟詐欺を行ない、270億ウォン台の法人税などの不正還付を受けた件(当時、ロッテケミカルの代表)

同氏の横領、背任の規模は1000億~2000億ウォン台に達するとされる。

これに対し同氏はロッテ建設の帳簿外資金の存在を全く知らなかったと答えるなど、容疑を全面的に否認する趣旨の供述をした。
グループ会社間の資産の移転についても、当時の経営判断によるもので、背任の意図は無かったと話した。


アイルランドに本拠を置く製薬大手のAllergan Plc は9月20日、バイオ医薬品大手の米Tobira Therapeutics Inc. を最大16億9500万ドルで買収することで合意したと発表した。

1株当たり28.35 ドルの現金と、最大 49.84ドルのContingent Value Right (CVR) を与える。
CVRは「不確定価額受領権」で、Tobiraが具体的な開発、登録に成功し、一定の販売目標を達成した場合にその程度に応じて支払われる。

一時払いされる28.35 ドルは前日の終値(4.74ドル)の6倍に相当する。

買収額が高すぎるとの見方もあり、Allerganの株価は下落した。

Tobira は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:non alcoholic steatohepatitis )と呼ばれる肝臓病の治療薬を開発している。

肝細胞の約 1/3 以上脂肪がたまっている状態、又は脂質量が肝重量の5~10%以上を占めるのが脂肪肝。
脂肪肝にはアルコール性と非アルコール性がある。

非アルコール性脂肪肝に、もう一つの原因が加わり、炎症を起こしたものがNASHで、肝硬変や肝癌に進むことがある。

現在、FDAの認可を受けた治療薬はない。

TobiraはNASH治療薬として、Cenicriviroc (CVC) とEvogliptin の2剤 を開発している。これがAllergan の消化器病系のパイプラインに加わる。

Evogliptin はTobiraが韓国の東亜STとの契約で、単独又はCVCとの合剤として、米国、カナダ、欧州、豪州で独占的に開発販売する権利を持つ。
逆に東亜STはCVCを単独又はEvogliptinとの合剤として韓国で独占的に開発販売する権利を持つ。

Tobiraは2016年7月のCVCの第2b相試験において、主要評価項目の脂肪肝治療効果を示せなかったと発表した。しかし、同試験において設定されていた副次的主要評価項目のNASHを悪化することなく線維化を改善させるという項目は有意に達成した。

NASHはバイオでは最もホットな分野で、これがAllerganが高値で買収した理由である。

NASH 治療薬を開発しているIntercept Pharmaceuticals、Galectin Therapeutics、Conatus Pharmaceuticals、大手のGilead Inc. などの株価も軒並み上昇した。

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Allerganは同日、NASH治療薬としてAKN-083を開発中の英国のAkarna Therapeutics Ltd.を買収すると発表した。他に開発中のFXR compounds を持つ。

一時金 50百万ドルで、開発に応じたマイルストーン支払が条件となっている。

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Allergan はWatsonによるActavis、ActavisによるAllerganと、二度にわたる買収で、いずれも買収された会社の社名を新社名にしている。

本社を税率の低いアイルランドに移すため、Pfizerが買収したが、米国の新たな税制では本社移転による恩恵がなくなり、断念した。
最近、Carl Icahnが同社の株を大量に取得したとされる。

2014/10/22 米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦
2015/11/26 Pfizer、アイルランドのAllerganを買収
2015/7/29 後発薬最大手のTeva、米 医薬大手の Allerganから後発薬事業買収
2016/4/7 Pfizer とAllergan、合併計画断念

 

出光興産によるShellからの昭和シェル株式の購入とその後の出光・昭和シェルの統合は難航している。

出光は2016年9月7日に、公取委審査の遅れから、昭和シェル株式の譲り受けは2016年10月~11月とすること、経営統合のスケデュールは、2017年4月1日のままであることを発表した。

しかし公取委のOKが出ても、出光創業家の反対で計画通りの昭和シェル株式の購入は難しい状況である。

出光経営陣は市場外で Shell 所有の昭和シェル株 35%のうち 33.3%を1株あたり 1,350円で買い取る計画であった。

しかし、創業家が市場で昭和シェル株を40万株(発行済み株式の0.1%)を購入したため、これを合わせると出光側の保有割合が3分の1を超えることになり、TOBの義務が生じ、Shell のみから市場外で株を購入することが出来なくなる。
TOBの場合、多数株主が応じるとみられ、買収金額は膨れ上がる。

報道では、会社側はShellからの購入株数を減らす交渉をしているとされるが、創業家側は更なる買い増しも示唆しており、見通しがつかない状況にある。
創業家側は話し合いさえ拒否していると報道されている。

2016/8/5 出光創業家、合併阻止へ強攻策

Shellから昭和シェル株を買ったとしても、臨時株主総会で合併に必要な株主の「3分の2以上」の賛成を得るのも難しい。

昭和シェルは、合併が実現せず、昭和シェルが出光の関連会社にとどまることを恐れ、出光に対し、2017年4月の合併を確約するよう求めていると報道されている。


この状況を受け、9月14日に出光の一部地域の販売店が創業家と出光興産経営陣へ再度話し合いを進めるよう促す具申書を送付した。

業界再編については「かねてより渇望するところ」とし、今回の合併案を「出光精神溢れる壮挙」としている。
創業家と経営陣の「欧米流の主張合戦」を憂慮し、「出光精神のもと大同団結してこの難局を打開されんことを衷心より願う」としている。

この動きが他の出光販売店へ広がっていると報道されている。

創業家側がどう対応するか、注目される。

要旨は次のとおり。

今般の創業家と出光興産経営陣との経営を巡る一連の報道を心より憂慮している。

私どもが誇りとし、守ってきた「出光」の名が巷間にて醜聞として流れ、今まさに地に堕ちようとしている。慙愧に耐えない。

佐三店主が大切にしていた和の精神・互譲互助の精神、そして世のためにことをなすという志は今もなお出光大家族全員の基本的な精神であると信じている。

欧米流の主張合戦には違和感を覚えざるを得ない。双方、「日本人にかえれ」という佐三店主の言葉を胸深く刻み込み、出光精神のもと大同団結してこの難局を打開されんことを衷心より願う。


石油業界の構造的な過当競争体質と需要の縮小傾向が続く中、廃業や撤退を余儀なくされ、会員数も徐々に減少しつつある。

そのような中、今回の業界再編による市場の正常化は、かねてより渇望するところであった。

時の流れが不可逆である以上、創業の精神を守ることは大切だが創業時に戻ることは許されない。精神を守りつつ、時代に即した変化を成し遂げる勇気が不可欠だ。

今回の業界再編の主体的な取り組みは近年まれにみる痛快事であり、出光精神溢れる壮挙として評価すべきと考えている。

今回の再編により、出光ブランドが毀損することは望むところではない。その点については会員の総意として要望した。

出光大家族の一員であるという誇りを以て、そして出光を心より愛する日本人の一人としてこの意見を具申する。


なお、9月22日付けの日経によると、出光の販売店が加盟する「全国出光会」が9月26日の理事会で出光と昭和シェルの合併に賛成の立場を確認し、創業者側に伝えるという。

入閣中は原発反対を封印していた河野太郎代議士が大臣を辞め、再び原発問題を取り上げている。

「ごまめの歯ぎしり」2016年9月11日号では「エネ庁の陰謀」、続いて 9月17日号では「報道ステーションは白旗を上げたけれど」を書いている。

  「エネ庁の陰謀

この夏、エネ庁の中を怪文書が駆け回っている。

その怪文書を持って、議員会館の中をせっせと回る官僚もいる。

それをすっぱ抜いたのが9月8日付けの毎日新聞の記事だ。

東京電力の福島第一原発の廃炉費用や事故の賠償費用に、そのほかの原発の廃炉費用を合計すると8.5兆円(正確には8.3兆円)になり、その負担を電力会社だけでなく、新電力にも求めようというスキームが描かれている。


事故から5年、国民ももはや原発のことはそれほど気にしていない、声を上げない、というのが今のエネ庁の考えだ。

ーーーー

  「報道ステーションは白旗を上げたけれど

報道ステーションを見た人は、違和感を感じただろう。

経産省が原発のコストを新電力に負担させることを検討しているというニュースの中で、経産大臣の「今は検討していません」というコメントをキャスターがおうむ返しにして締めくくった。
本当は、「原発のコストが安いというのは嘘だったのか、という批判は避けられそうもない」というのが締めのコメントではなかったのか。


もし、あなたがこれはおかしいと思うならば、ぜひ、与党である自民党、公明党の国会議員に働きかけてほしい。肝心なのは、この問題に絞って抗議すること。

毎日新聞の記事(9月8日)、報道ステーション(9月16日)の報道の概要は下記の通り。

政府が原発の廃炉や東京電力福島第1原発事故の賠償を進めるため、大手電力会社だけでなく、新電力にも費用負担を求める方向で調整に入ったことが分かった。

現行制度では、
福島第1原発事故の賠償
は、東電が国の認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」から必要な資金の交付を受け、原発事業者が負担金を同機構に納付する。


原発の廃炉
は、原発を保有する大手電力が自社の電気料金から費用を回収することになっている。

しかし、賠償額はどんどん膨れ上がっている。東電が6月末時点で見積もっている要賠償額は、約6兆5600億円と、すでに前提としていた5兆4000億円を大きく上回る。
エネ庁では総額7兆円と想定し、今後3兆円が必要としている。

福島第一の廃炉費用も必要である。
東電の数土文夫会長は廃炉費用について「今のところ見えていない」とし、「負債が青天井では経営再建に有効な手が打てない」と、国に追加支援を求めている。
エネ庁では4兆円と想定している。

更に他の原発についても、廃炉費用の引当が不足している。

廃炉に必要な見積額は合計で2兆8200億円。
このうち2013年3月末時点で解体引当金として積んでいたのは1兆5800億円で、その後も積み増ししているものの、解体費の上ぶれも含めると1.3兆円が不足するが、電力全面自由化で将来、徴収が進まない可能性もある。


これにより、今後追加で必要となる費用は8.3兆円と想定される。

電力自由化で大手電力から新電力に契約を切り替える消費者が増えた場合、原発を持つ電力会社だけでは巨額の費用を賄えなくなる可能性がある。

このため、エネ庁資料「電力システム改革の貫徹」では、この8.3兆円を、全国の送電線の使用料金に上乗せする形で、太陽光発電などすべての電力会社の電力料に上乗せして回収しようというもの。東京電力管内では毎月180円、それ以外の地域で毎月60円を想定している。

エネ庁資料

金額

標準家庭
 月別電気代
総額 関東負担 その他負担 関東 その他
福島第一 

          

賠償 不足分 3兆円 1兆円 2兆円
廃炉費用 4兆円 4兆円
その他原発 廃炉費用不足  0.8兆円 0.2兆円 0.6兆円
解体費上ぶれ 0.5兆円 0.2兆円 0.3兆円
合計 8.3兆円 5.4兆円 2.9兆円 180円 60円


新電力に切り替えた消費者も、過去には大手電力が原発で発電した電力を使っており、「過去に大手電力の電気を利用した需要家(消費者)と、電力自由化後の需要家の間に負担の公平性が損なわれてはならない」というのが新電力にも負担させる理由という。

世耕経産大臣はこの政府案について「現段階では検討していない」と述べ、今後の可能性については「発言通り」として明言を避けた。

しかし経産省は9月20日、これに関連する二つの委員会の設置を決めた。

 「東京電力改革・1F 問題委員会」 東電の経営問題や福島第一原発(1F)の廃炉費用の負担を議論

 「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」 卸電力市場活性化や全国の原発の廃炉費用負担を検討

経産省は両委員会の議論を受けて、来年の通常国会に電気事業法改正案の提出を目指す。


毎日新聞は原発をめぐる政府の主張と問題点を以下の通り、まとめている。

 <政府>

・電力自由化で大手電力は廃炉や福島原発事故の費用を回収できなくなる恐れがある。
・新電力に切り替えた消費者も、過去には大手電力が原発で発電した電力を使っている。
・原発の廃炉や事故の賠償を円滑に進めるには、新電力を含むすべての契約者に負担を求めるべきだ。

 <消費者や有識者>

・廃炉や賠償の費用は大手電力が経営努力で電気料金から回収すべきだ。
廃炉や賠償の費用を入れても原発は安いと言っていた主張と矛盾するのではないか。
・原発のない新電力や沖縄県の契約者が費用を負担するのはおかしい。大手電力の救済ではないか。

河野議員のブログ発言

「もし、あなたがこれはおかしいと思うならば、ぜひ、与党である自民党、公明党の国会議員に働きかけてほしい。」




米医薬・生活用品大手 Johnson & Johnson (J&J)は9月16日、Abbott Laboratories から Abbott Medical Optics (AMO) を43億2500万ドルで買収すると発表した。
2017年第1四半期に取引が完了する見込みで、AMO社が強みを持つ白内障治療やレーザー治療技術などを取り込み、眼科治療関連ビジネスを強化する。

他方、Abbott Laboratoriesは「選択と集中」を加速させ、循環器系の医療器具や診断分野に経営資源を集中させる。

J&Jは、「目の健康は最も成長が早い分野で、買収により眼科ビジネスの多様化を図る」 と述べている。

同社はコンタクトレンズの「ACUVUE®」を世界展開するが、AMOの買収で治療分野に本格的に進出する。

AMOは売上高11億ドルで、眼科分野で3つのセグメントを持つ。

 ・白内障・緑内障手術
 ・レーザー屈折矯正手術(近視、遠視、乱視の矯正)
 ・眼科関係消費者用製品:ドライアイ用目薬、ソフトコンタクトレンズ用ケア用品

WHOは白内障による失明が世界で約2000万人に達する 、白内障で視力が弱まっている目が少なくとも1億個あると試算しており、J&Jでは今後も白内障患者は増え続け、眼科治療分野の需要が大きいとみる。

J&J の売上高は下記の通り。 Oral CareにはListerinがある。



30年以上前にAmerican Hospital Supply Corporationの部門のHeyer-Schulte Medical Optics Center が眼科の研究を開始し、Center はAmerican Medical Optics (AMO) と改称した。

1976年に白内障治療用の眼内レンズを販売、その後、超音波水晶体乳化吸引システム(SOVEREIGN® System)を開発した。

1986年にAmerican Medical OpticsはAllergan, Inc. に売却され、Allergan Medical Optics (同じく AMO)に改称した。

2002年6月にAllerganからスピンオフし、独立した。社名はAdvanced Medical Optics (同じく AMO) とした。

2005年にはレーザー屈折矯正手術用品を扱うVISX, Incorporated を買収した。

2009年にAbbott Laboratories がAdvanced Medical Opticsを買収し、Abbott Medical Optics (同じく AMO) とした。買収価額は、借入金込みで28億ドルであった。

Bayerは9月14日、Monsantoの1株128米ドルの現金での買収で合意したと発表した。

債務を含む買収総額は約660億ドル、債務除きでは570億ドルの買収で、9月6日に提示した1株 127.50ドルからさらに引き上げ、ようやく合意にこぎつけた。
買収価格は、Bayerが書面で初めて提案を行う前の5月9日のMonsanto株価に44%上乗せした水準である。

買収は2017年末までに完了する見通し。

買収資金は債務と株式の組み合わせで賄う方針で、株式部分に関しては強制転換社債と株主割当発行を通じて約190億ドルを調達する。金融機関が、570億ドルのつなぎ融資を行うという。

統合会社の農業部門は、種子関係と北米の営業本部は(Monsantoの)St. Louis, Missouri に置き、本部と農薬部門はMonheim, Germany に置く。

ーーー

Monsanto は5月18日、Bayer から買収提案を受けたと発表した。Bayer の5月23日の発表では、1株当たり122米ドル、総額620億ドルで買収 で、これは5月9日の終値に37%のプレミアムとなる。

Monsantoは取締役会がBayerの提案内容を吟味していると述べたが、Bayerは7月初めに、買収価格を 122ドルから125ドルに引き上げると通知した。5月9日の終値に40%のプレミアムを乗せたものとなる。全株を取得すれば635億ドルとなる。

Monsantoは7月19日、この提案を安すぎるとして再度拒否した。交渉は続ける。

Bayer は9月6日、127.50ドルに引き上げた。

今回、128ドルで決着した。

Bayer の一部株主は買収額が高過ぎ、製薬事業軽視につながる恐れがあるとして、警戒感を示している。

ーーー

Bayerは2004年7月にBayer Chemicalsの大半とBayer Polymersの一部を Lanxess として、2015年9月にはMaterial Science部門をCovestro として分離独立させ、純粋なLife Science 会社になっている。

2015/9/2 Bayer のMaterial Science 部門、Covestro として分離独立

2015年の(Covestro分を除いた)Life Science の売上高は343億ユーロ(うちCrop Science が30%、Healthcareが67%)であるが、Monsantoを含めると471億ユーロとなる。
統合では Crop Science が49%と約半分を占めることとなる。

世界の農業会社では、Syngentaを買収したChemChina、DuPont/Dow合併後のDuPont/Dow Agriculture、BASFの各社を大きく上回ることとなる。

2016/2/5 中国化工集団(ChemChina)、スイス農薬のSyngentaを買収

2015/12/14 Dow と DuPont、経営統合を発表

また、将来の事業の元となる投資額についても、他社を大きく上回る。

ーーー

問題は各国の独禁当局がどう動くかである。

DowとDuPontの合併は難航している。

両社は本年6月22日に欧州委に合併計画を提出した。問題点を指摘されたため、7月20日に欧州委の予備的な懸念を解決するため対応策を示したが、同委は深刻な懸念の払拭には不十分だとみなした。

欧州委員会は8月11日、農薬 (Crop protection) や種子、特定の石油化学製品などの分野で市場の寡占を招く可能性があるとして、合併の是非を見極める 精密調査(in-depth probe)に着手したと発表した。調査期間は90日で、12月20日までとなっている。

しかし、欧州委員会は9月初め、調査を中断した。
合併の詳細と、欧州の農業市場での競争への影響について、もっと資料が必要としている。

今回のケースも、米国やカナダ、ブラジル、EUなどの規制当局が時間をかけて、買収を精査する公算が大きい。Monsantoでは買収承認申請を約30地域で行う必要があるとの認識を示した。

規制当局が買収を認める確率は5割と予想するアナリストもいる。

7月初めの値上げ提案時には、Bayerは「独禁当局の認可取得に自信があり、もし認可が得られない場合、15億ドルの "reverse antitrust break fee"を支払う 」としたが、最終交渉ではこれが20億ドルとなっている。 


三菱化学は9月14日、連結子会社の日本化成を完全子会社化すると発表した。

三菱化学は1960年に日本化成に資本参加し、2013年には三菱商事の持つ同社株を譲り受け、現在、64.88%を出資している。

三角株式交換の方法により、日本化成の他株主に三菱ケミカルホールディングスの株式を割り当てる。

株式交換は2017年1月1日を予定しており、日本化成は本年12月28日に上場停止する。

三菱化学グループの無機化学部門における中核企業としての現在の位置づけを更に発展させ、機能性無機事業をはじめ、グループ内の協奏・インテグレーションをより一層進めていくべく、 検討を行い、従来以上に関係を緊密すると同時に、迅速な意思決定を行うことができる体制を構築することが不可欠であるとの認識を共有するに至った。


三菱化学は8月5日、日本合成化学工業にTOBを実施すると発表している。

2016/8/9 三菱化学、日本合成化学にTOB、最大430億円 

ーーー

日本化成は1937年に日本水素工業として発足、1939年に小名浜でメタノール、硫酸の製造を開始、その後、アンモニア、硫安、化成肥料などを順次生産した。

1971年に三菱化成、三菱商事などがアンモニア、尿素大型工場建設のため設立した(旧)日本化成を吸収し、日本化成に改称した。

1999年には三菱化学から緩効性化成肥料を全面移管、2004年には三菱化学のアンモニア系製品事業、2005年には合成石英事業を移管した。

現在の日本化成の事業と業績は下記の通り。

2016年3月期実績(百万円)

売上高 営業利益 製品
無機化学品 15,738 392

アンモニア系製品、合成石英粉、電子工業用高純度薬品等

機能化学品・化成品 11,120 381

紫外線硬化性樹脂、ゴム・プラスチック架橋助剤、脂肪酸アマイド、アクリレート、メタノール等

エンジニアリング 4,560 149
貨物運送・荷役 1,163 59
その他 122 19
調整 168 112
合計 32,871 1,112
税引前利益 1,373
当期純利益 895

ーーー

完全子会社化の後の体制は下記の通りとなる。

統合後

ーーー

三菱ケミカルホールディングスの動きは、欧米の企業の動きと異なる。

欧米の大企業は、今後の事業の方向を先ず決め、それに合わせ、買収を行うとともに、自社及び買収企業の不採算事業のみならず、儲かってはいるが将来の成長が見込めない等の事業についても売却したり、スピンオフしている。

2015/12/24  2015年 回顧と展望 再び 「ガラパゴス鎖国」論 

Bayerは今回、Monsantoの買収を決めたが、Bayerは2004年7月にBayer Chemicalsの大半とBayer Polymersの一部を Lanxess として、2015年9月にはMaterial Science部門をCovestro として分離独立させ、純粋なLife Science 会社になっている。

2015/9/2 Bayer のMaterial Science 部門、Covestro として分離独立

それに対し、同社の場合は、集める一方である。三菱樹脂、三菱レイヨン、大陽日酸、日本合成化学、日本化成、・・・ と買収するが、それぞれの企業のどの部門も売却していない。(インドと中国の高純度テレフタル酸事業のように、破綻した事業の売却はあるが 。)

各社の事業全てが成長事業で、同社の将来の事業の方向に合っているとは思えない。今回の日本化成の場合、三菱化学が以前に売却した
アンモニア系製品、合成石英主力製品に含まれている。

企業の規模は大きくなるが、資金効率は悪い。

三菱化学・三菱樹脂・三菱レイヨン3社の統合による三菱ケミカル㈱ 設立時に、方向に合わない事業を放出するであろうか。


なお、三菱ケミカルホールディングスの柱の一つで、利益の大きな源泉である田辺三菱製薬への出資は56.34%のままである。
これこそ100%子会社にすべきだが、2007年10月1日の合併時の約束で、10年間はこの比率を維持することとなっている。

2017年秋に残りを買い取る資金を準備しているのだろうか。

因みに、他株主の株数は245,098千株で、9月15日終値 2,053円で計算すると 5,032億円、2015年下期以降の高値 2,252円(約10%のプレミアムアップ相当)では5,520億円となる。


付記

住友化学の大日本住友製薬も同様で、住友化学の持株は50.12%にとどまっている。

2005年10月1日の合併時に、「議決権の比率を基本的に10年間は50.1%以内に留め、新会社の上場の継続に協力するとともに、公開企業としての長期的な成長を支援する」ことに合意している。

既に10年は経過している。

カナダ肥料大手のPotashCorp (Potash Corporation of Saskatchewan Inc.) は9月12日、カナダ同業のAgrium Inc.経営統合すると発表した。
統合会社の売上高は約210億ドルで、世界最大の肥料会社として経営基盤を強化する。


形式的には対等合併で、新設会社が両社を保有する形となる。PotashCorp 株主は1株につき新会社株式 0.400 株を、Agrium 株主は 2.230 株を受け取る。
PotashCorp 株主は新会社の株式の約52%を、Agrium 株主は48%を保有することとなる。

PotashCorp は加里で強みを持ち、Agrium の硫酸、燐酸などを取り込むことで、2位のMosaic CompanyCargill の肥料部門と米国の肥料会社 IMC Globalが統合、燐酸と加里を扱う)を引き離す。


製品別能力の世界の順位は下記の通り。

Uralkali :2010/12/25 ロシアの2大肥料会社が合併へ

     2013/8/8 加里の国際輸出カルテル 崩壊?

CF Industries:2013年にリン酸塩事業をMosaicに売却し、窒素生産に事業集中

Yara International はノルウェーの窒素肥料メーカー

ーーー

PotashCorp は2010年8月に BHP Billiton から敵対的TOBを仕掛けられた。

カナダの法律では、政府は外国企業によるカナダ企業買収が国益に反すると判断した場合、拒否できる。
カナダ政府が
BHPによる買収を拒否したため、BHPは敵対的TOB提案の取り下げを発表した。

2010/8/23 BHP Billiton、カナダのPotashCorpに敵対的TOB

逆にPotashCorpは2015年にドイツのK+S を88億ドルで買収しようとしたが、断念している。



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