公取委は7月11日、「確約手続に関する対応方針」(案)を作成し、意見募集を始めた。

環太平洋パートナーシップ協定において、競争政策は第16 章に規定されているが、次の規定が含まれている。

「各締約国は、自国の国の競争当局に対し、違反の疑いについて、当該国の競争当局とその執行の活動の対象となる者との間の合意により自主的に解決する権限を与える」

このため、「環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」(平成28年法律第108号)により、独占禁止法の違反の疑いについて公正取引委員会と事業者との間の合意により自主的に解決するための手続(「確約手続」)が導入された。

これを受け、公取委では、確約手続に係る法運用の透明性及び事業者の予見可能性を確保する観点から、まとめたもの。

確約手続きとは、独禁法違反の疑いに係る公取の通知を受けた者が、その疑いの理由となった行為を排除するために必要な措置に関する計画を作成して公取委の認定を申請し、公取委が当該計画を認定した場合には、排除措置命令及び課徴金納付命令をしないという制度。

下記の行為は確約手続きの対象としない。

・ 入札談合、価格カルテル等のいわゆるハードコアカルテルである場合
・ 違反被疑行為に係る事件について10年以内に同一の違反行為を行ったことがある場合
・ 刑事告発に相当するような国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質・重大な違反被疑行為である場合

確約措置の典型例

・ 違反被疑行為をT李辞めること、又は取り止めていることの確認
・ 取引先・利用者等への通知又は周知
・ コンプライアンス体制の整備
・ 契約変更
・ 事業譲渡等
・ 取引先等に提供させた金銭的価値の回復
・ 履行状況の報告

施行期日

環太平洋パートナーシップ協定が日本国について効力を生ずる日。
(少なくとも6か国がそれぞれの国内法上の手続を完了した旨を寄託者のニュージーランドに通報した日の60日後)

エーザイ及びアルツハイマー薬で同社と提携するBiogen, Inc は7月6日、両社が共同開発している抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体 BAN2401 の早期アルツハイマー病856人を対象とした臨床第Ⅱ相試験において、有意な結果を得たと発表した。

臨床第Ⅱ相試験の18カ月の最終解析で、統計学的に有意な臨床症状悪化抑制脳内アミロイドベータ蓄積減少を証明した。

米国イリノイ州シカゴで開催されるアルツハイマー病協会国際会議(Alzheimer's Association International Conference)において、7月25日に口頭発表する。

この発表を受け、同社の株価は高騰した。

ーーー

エーザイとBiogen は2017年10月23日、臨床第III相試験進行中のaducanumabを含むアルツハイマー病治療剤の開発・販売に向けた提携契約を拡大すると発表した。

両社はアルツハイマー関連で下記の製品を開発しており、エーザイが以前から販売しているアリセプトを除き、開発で提携している。

今回の提携契約拡大で、エーザイは、Biogenの抗アミロイドβ(Aβ)抗体BIIB037=aducanumab に対する共同開発・共同販促オプション権を行使した。

エーザイ アリセプト 〈既存製品〉
(donepezil)
エーザイの杉本八郎博士らが開発
アルツハイマーでは、神経伝達物質のアセチルコリンが脳内で減少している。

アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、アセチルコリンの濃度を高める。

新規ヒト化モノクローナル抗体
「BAN2401」
2007/12 スウェーデンのBioArctic Neuroscience ABから全世界の研究・開発、製造、販売の独占ライセンスを受ける。 アルツハイマー病の原因と考えられるベータ・アミロイド成分を除去
βサイト切断酵素(BACE)阻害剤
elenbecestat「E2609」
エーザイが創製

βアミロイドの脳内の沈着はアルツハイマー型認知症の病因の一つ
アミロイド前駆体タンパク質のβサイト切断酵素であるBACEを阻害することでβアミロイドの総量を低下させる。
Biogen 抗アミロイドβ(Aβ)抗体
aducanumab
(BIIB037)
Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとに導入 アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。

aducanumab 投与でアミロイドプラークのレベルを下げる

2017/10/27 エーザイとバイオジェン、アルツハイマー治療剤での提携契約を拡大 

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今回の「BAN2401」は、スウェーデンのBioArctic Neuroscience ABが開発した、アルツハイマー病に対する免疫療法剤創製を目的としたベータ・アミロイド(Aβ)に対するヒト化モノクローナル抗体で、2003年1月に同社を設立した Uppsala UniversityのProf. Lannfelt により発見された家族性アルツハイマー病の原因であるアークティック変異Aβに関連する研究に基づいたもの。

アルツハイマー病発症には、神経毒性を有するAβの脳内への蓄積が重要な役割を果たしていると考えられている。病理学的には、繊維化し不溶性となったAβを主成分とする老人斑が脳内に認められる。

近年の研究により、アルツハイマー病の発症プロセスとしての神経毒性の本体は、繊維化し不溶性となったAβではなく、その前段階であるAβプロトフィブリルを含む可溶性のAβ凝集体であることが明らかにされている。

アルツハイマー病免疫療法には、
Aβを投与して生体内でAβに対する免疫反応を惹起させるワクチン療法や、
Aβをターゲットとしたモノクローナル抗体を投与する抗体療法がある。

BAN2401はBioArctic が有する技術を用いてAβプロトフィブリルをターゲットとした抗体療法を目指すもので、アルツハイマー病発症の原因の一つと考えられている脳内のAβプロトフィブリル量を低下させるもの。


エーザイとBioArctic は、2007年12月3日、BAN2401について、全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発、製造、販売に関する独占ライセンス契約を締結した。

BAN2401は、Aβの可溶性凝集体の一種であるプロトフィブリルを選択的に認識するヒト化モノクローナル抗体であり、前臨床段階にある。

エーザイは、自社で創製したE2012(ガンマ・セクレターゼ・モジュレーター)とともに新規性の高い抗体であるBAN2401の開発を進めることで、低分子化合物と免疫療法という異なるアプローチで次世代のアルツハイマー病治療薬の創出を目指す。「アリセプト®」によって切り開かれたアルツハイマー病の薬物療法のパイオニアとしての使命を果たすため、自社開発および他社との提携を通じて、次世代のアルツハイマー病治療薬の開発を加速させていく 。

アリセプト(donepezil) は、コリンエステラーゼ阻害剤の1種であり、アルツハイマー型認知症(痴呆)、レビー小体型認知症進行抑制剤として利用される。

E2012はエーザイが創製した低分子化合物で、ガンマ・セクレターゼ・モジュレーターとして病因となるAβの産生を抑制する。
一方、BAN2401は免疫療法薬を目指すヒト化モノクローナル抗体で、アルツハイマー病の原因と考えられるAβ成分を除去する。

2014年3月にBAN2401に関する共同開発・共同販促契約をBiogenと締結した。

エーザイは2006年3月31日、ディナベック ㈱(NNAVEC:現在のIDファーマ)との間で アルツハイマー病に対するワクチン療法の創薬研究に関する契約を締結。
ディナベック ㈱
1995/3 遺伝子治療関連技術開発を目的とした、国家研究プロジェクトが開始され、医薬品機構及び製薬会社7社が出資し、㈱ディナベック研究所 設立
2003/9 経営陣と製薬会社4社(協和発酵工業、三共、久光製薬、山之内製薬)が出資、上記から営業譲渡を受け、ディナベック㈱を設立
2006/3 エーザイと「センダイウイルスベクターを用いたアルツハイマー病用ワクチンの開発」に関する研究協力契約を締結
2013/10 ㈱アイロムホールディングスの子会社に
2015/4 ㈱IDファーマに改称
エーザイは2002年以降、TorreyPines Therapeutics, Inc.との間でアルツハイマー病に関する遺伝子の発見の共同研究を行ってきたが、2008年11月にこれを終了し、TorreyPines Therapeuticsの研究結果を全て買い取った。


この領域で世界初の薬「アリセプト(一般名ドネペジル)」を1997年に発売すると、ピーク時の2010年3月期には世界で約2900億円を売り上げた。

しかし、アリセプトの特許は米国で2010年11月に、日本では2011年6月に切れ、売上高は激減した。

今回の発表を受けての株価高騰は、この新薬への期待を表している。

しかし、Nuclear Regulatory Commission は4月5日、今までの情報では資金面で十分であるとの認識は出来ないとし、両社に詳細な説明を求めた。
NRCがライセンスの移転を認めないと、売却は意味がない。

州のPublic Utility Commission は7月6日、NRCが結論を出すまで、売却承認の決定を延期すると発表した。

両社は依然、12月31日までに売却することを期待している。


米当局は7月10日、企業秘密の窃盗で米Appleの元社員 Xiaolang Zhang を起訴した。自動運転車に関連した設計図を個人のパソコンにダウンロードし、出国しようとしたという。

最高10年の懲役と25万ドルの罰金を科される可能性がある。

Xiaolang Zhang は、2015年12月に 自動運転車のソフトウエアとハードウエアの開発者として採用され、回路基盤の設計やテストに携わった。

Appleの 自動運転車プロジェクトのデータアクセス権限を持つ従業員はざっと5000人で、その中でもZhangは、より高度なアクセス権を認められた約2700人の「コア従業員」だった 。


本年4月に子供が生まれ、4月1日~28日の間、父親としての育児休暇をとり、家族と中国に一時帰国した。

米国に戻り、4月30日に上司に、Appleを辞めて病身の母親のいる中国に戻り、中国の電気自動車会社のXMotors (Xiaopeng Motors:小鵬汽車) に転職する意思を伝えた。

小鵬汽車は電気自動車のスタートアップ企業(2014年設立)で、インターネット通販のAlibaba と世界大手電子機器受託製造企業の鴻海科技(Foxconn Technology)から出資を受けている。

上司は 彼の言動を不審に感じ、社内のセキュリティ部門に連絡、調査を開始した。

その結果、下記が判明した。

4月30日までの数日間にAppleのネットワークへのZhangのコンタクトが過去2年と比べて「指数関数的に増加」して いる。
大部分は膨大な資料探索と秘密データベースからの情報のダウンロードである。

休暇中の筈の4月28日の午後に、自動運転車のソフトウエアとハードウエアの研究所に現れ、1時間後にコンピューターのキーボード、ケーブルと大きな箱を持ち出すのが映っていた。

AppleはZhangを呼び出し、証拠を示して尋問すると、下記を認めた。

Apple在籍中にXMotorsに移籍の話をしていたこと。
休暇の前に、ハードウエア研究所からの2枚の回路基板とLinuxサーバーを持ち出したこと。
その理由は、Appleの他の部署への異動の話があり、新職場で役立つと思ったためであること。
持ち出したデータは妻のパソコンにダウンロードしたこと。

そして、自宅に取りに戻り、妻のパソコンと持ち出した回路基板とLinuxサーバーを提出した。

AppleはFBIに通報、データの60%が問題を含むものであると伝えた。

Zhangは5月5日にAppleを退職、XMotors のMountain Viewオフィスに入社した。

FBIは6月27日、自宅の捜査令状をとり、尋問した。

FBIは7月7日に、Zhangが同日の北京行き飛行機の予約を取ったことを知り、空港で逮捕した。

小鵬汽車はZhangの起訴について、「非常に驚いており、事態を遺憾に思う」との声明を出している。法律事務所の協力の下で独自の社内調査を実施しており、Zhang はすでに「正式に解雇した」という。

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Appleが自動運転技術の開発に取り組んでいるという噂は数年前からあったが、詳細は不明だった。

今回の事件で、研究体制の概要が明らかになった。

Appleは本年4月、社内ブログで、昨年のうちに「29件の情報 漏洩が発覚し、12人が逮捕された」と述べるとともに「失業するだけでなく、他社での再雇用も非常に困難になるかもしれない」と警告したと報じられてい る。

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小鵬汽車(広東省)は4月23日、同社初の市販車「G3」を発表した。

人工知能(AI)を駆使し、ドライバーが降りたあと、リモコンのボタン一つで車が自動で縦列駐車をするなど便利な機能を搭載した。

価格は20万~28万元(約340万~約480万円)だが、政府の補助金を受けられるため、価格は実質200万円台となる。納車は年末になる見込み。

車の屋根部分に360度回転するカメラを搭載、風景を撮影しながらドライブし、車内のタブレット画面やスマホで見て楽しめるようにするといった工夫をした。
20分で、8割の急速充電ができる。

何小鵬・董事長は日経(2018/2/27)のインタビューで次のように話している。

来年半ばに年産20万台の自前の新工場も完成し、事業を本格化する。

米テスラからは自動運転の責任者を採用し、シリコンバレーに開発拠点を設け、優秀な人材を集めている。
日本メーカーの経験者も多く、元マツダのデザイナーもいる。
年内には自動運転の技術者は6倍の600人にする予定。


イタリアのディ・マイオ経済発展・労働相は7月13日、EUとカナダの包括的経済貿易協定(CETA)について、「イタリアは批准しない」と述べた。


CETAの正式な発効には28のEU加盟国全ての議会での批准が必要で、EUが目玉としてきた協定が破談となる可能性も出てきた。

イタリアの農産物の保護などが理由で、6月に発足した政権は公約に「自国産の農産物を守る」と盛り込んでいる。

経済発展・労働相は、CETAはイタリアの特産品の保護を十分に保証していないとし、カナダからの輸入増加がイタリア産品に悪影響を与えると懸念を示した。

EUは地域の高品質な農産品や食品を保護するため、「原産地呼称保護(Protected designation of origin:PDO)」や「地理的表示保護(Protected geographical indication:PGI)」という制度を運用しており、イタリアはパルマハムなど約290品目が認定されている。

しかし、カナダとのCETAで保護対象になっているのは40品目ほどにすぎない。農業生産者団体は「多くの偽物が出回るリスクがあり、地元農家などが不利益を被る」と反発している。

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カナダとのCETAは当初から揉めた。

2014年に交渉が終わり、2016年10月27日に正式調印を目指していた。

CETAが実現すれば、関税が98%撤廃されるだけでなく、手厚く保護されているEUの農業市場をカナダの農家に開放するほか、EU企業がカナダの公共部門の調達市場にアクセスできるようになる。
同時に、労働および環境の基準、公共サービスなどについての国家の選択に新たなセーフガードも設けられる。

具体的な内容:

  • 関税撤廃:協定発効後、ほとんどの品目(全ての関税品目の99%以上)で速やかに関税を撤廃

   農産品関税については https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/1dfdcf14c5f14bcb/20170075.pdf

  • 非関税障壁(NTBs):双方の適合性評価承認の改善を図ることで、技術的な規則における透明性の改善
  • サービス貿易:企業従業員の一時的派遣(移動)の容易化や専門職資格の相互承認
  • 投資:無差別で公平かつ公正な扱いと、収用権を行使する際の適切な賠償を保証するEUの投資家保護規定を盛り込む
  • 公共調達:連邦政府より下位の全てのレベルでの調達市場を2国間で開放
  • 地理的表示保護制度(GI):特定の地理的起源を持つ多くのEU農産品リストに対して、カナダ市場での特別な地位を承認、保護
  • 紛争解決メカニズム:公式な協議を通じた合意形成に失敗した場合、独立した法律専門家を入れた仲裁パネルの設置を要請できる
  • 調停:EU・カナダ間の貿易と投資に有害な影響を与える措置に取り組むため、任意の調停メカニズムを用意

正式調印にはEU加盟の28カ国の全ての承認が必要である。

当初、ブルガリアとルーマニアがCETAに留保を表明した。

これについては、両国からカナダへの渡航者に対する査証(ビザ)取得義務を2017年後半までに撤廃することにカナダが合意し、政治的解決を見た。

しかし、ベルギーのWallonia地域議会が投資家を保護する紛争解決手続きに問題があるとして反対を決定した。ベルギーの条約締結には地方議会の承認が必要なため、ベルギーは国として承認できない状態となった。

反対の核心は、投資家と政府の間の紛争を解決するための独立した法廷を設置することで、多国籍企業に強すぎる権力を与えることを懸念した。

欧州委員会は、CETAでは新たに設置する法廷が政府にサービスの民営化を迫ったり国営化を阻んだりするために利用されないよう確約するなど、強力なセーフガードを設けてあると主張したが、了解を得られなかった。

2016/10/29 EUとカナダの貿易協定、ベルギーの一地区の反対で締結できず 

この問題は最終的に、反対していたベルギーのWallonia地域の説得に成功し、EUとカナダは10月30日、ブリュッセルで首脳会談を開き、署名した。

首脳会談終了後に発表された「共同声明」でも、「公共の利益の観点、特に公共サービスや環境配慮、労働者の権利保護などの分野で政府が規制する権限は、自由貿易協定においても守られることを原則として確認する」とあらためて明記した。

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欧州委員会は2017年7月8日、EUがカナダの「包括的経済貿易協定(CETA)」を9月21日から暫定適用することでカナダと合意したと発表した。

正式発効には加盟国全ての批准が必要だが、加盟国がEUに対して権限移譲している分野についてのみ、欧州議会の批准手続き後に発効に先行して適用を開始するもの。

欧州議会は2017年2月15日に、カナダ側は2017年5月17日に批准を終えていた。

正式発効には時間がかかる見通しである。

韓国とEUは2010年10月6日に、自由貿易協定(FTA)を締結した。欧州議会は2011年2月17日、賛成多数で承認した。

2011年7月に暫定適用を開始したが、イタリアなどの批准手続きに時間がかかり、最終的に協定全体が正式発効したのは2015年12月だった。

今回、イタリアの新政権が批准に反対の意向を表明したもの。

EU離脱を巡り、英国が混乱している。

7月8日夜、デービス欧州連合(EU)離脱担当相が辞任した。メイ首相がEUとの関係を重視する「穏健離脱」の方針を打ち出したことに反発した。
翌7月9日、ジョンソン外相が辞任した。

EUとの合意のないまま「無秩序離脱」を迎えるリスクが高まった。

メイ氏の責任論もくすぶり始めた。保守党内の規定では保守党議員の15%にあたる48人が同意すれば、首相の不信任投票の手続きが可能。

今後英政府が体制を立て直せても、EUは、通商協議のほか、アイルランド国境問題など離脱協定の全てで合意できなければ交渉を「白紙」に戻す方針。

2019年3月に混乱なく離脱するためには、英・EUは2018年10月までに離脱条件や将来関係の大枠で合意する必要がある。10月までの残り3カ月でメイ氏が党内融和とEUとの離脱交渉を進められなければ、EUと合意のないまま離脱する「無秩序離脱」 は現実味を帯びる。

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これまでの経緯は下記の通り。

2016年6月23日英国で実施されたEU離脱の是非を問う国民投票は、大方の予想を裏切る「離脱」という結果となった。

スコットランドは、全選挙区で「残留」支持であった。

2016/6/25 英国、EU離脱 

英国のTheresa May首相は2017年1月17日、EUからの離脱を巡り、移民制限や司法権独立など英国の権限回復を優先し、EU単一市場から完全に離脱すると表明した。

単一市場に残りながら移民を制限する "soft Brexit " は、「いいとこ取り」を認めると他に離脱国が出ることを恐れるEUが認めないことが確実なため、"hard Brexit" に踏み切った。

2017/1/19 BREXIT の12のポイント

欧州理事会(EU首脳会議)のDonald Tusk常任議長は2017年3月31日、今後のEUとしての交渉ガイドラインの原案を公表した。

課題として、次の4つを挙げている。

 1. 英国で生活・就労・就学するEU市民、EUで生活・就労・就学する英国市民の互恵・無差別の権利保全

 2. 英国でのEUの企業、EUでの英国企業に影響を与えるが、法的空白を避ける必要がある。

 3. EUも英国も、離脱前に決めた義務を守る必要がある。全ての法的、予算上の約束、偶発債務を含めた債務についてである。

 4. 英国(北アイルランド)とアイルランドの国境問題について、国境復活などの厳格な対応ではなく、柔軟で建設的な解決を模索すべきである。

2017/4/6 EUのBrexit 交渉ガイドライン

EUは2017年12月15日の首脳会議で、英が払う「清算金」などの離脱条件を協議してきた「第1段階」に「十分な進展」があったと判断。「第2段階」となる通商協議に入るための交渉指針を採択した。

2017/12/20 英のEU離脱交渉、第2段階へ 

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上の4つの課題のうち、英国とアイルランドの国境管理が解決不能の問題として残った。

アイルランド島は、EUに残留するアイルランド共和国と英国の北アイルランドに分かれており、英国が唯一、EU加盟国と陸路で接しているところである。
また北アイルランドは、先住のアイルランド人と後に英国から移住した英国人が、長年にわたり争いを続けてきた。

1998年の聖金曜日の和平合意により、争いが終結した。
北アイルランド人は英国籍かアイルランド国籍、あるいは両方を取得できるようになり、さらに、検問がなくなって国境地域は通商で大きな恩恵を受けるようになった。

英EU離脱はこれら全てを切り崩してしまう。

アイルランドは、逸早く国境問題を英EU離脱協議の優先課題にするようEU諸国を説得した。
英国がアイルランドの要求(北アイルランドの現状維持)に応じない場合、アイルランドは離脱交渉の進め方に拒否権を使うと明言している。

EUの交渉ガイドラインでは、「北アイルランドとアイルランドの国境問題について、国境復活などの厳格な対応ではなく、柔軟で建設的な解決を模索すべきである」としている。

しかし、これを実行すれば、[EU=アイルランド]と[北アイルランド=英本土]が結びつき、人やモノが自由に移動できることとなり、EU離脱の意味が無くなる。

逆に北アイルランドと英本土の間を遮断すれば英国が分断される。
メイ首相は、「北アイルランドは英国と同じ条件でEUから離脱しなければならない。経済的にも政治的にも英国との規制の違いは受け入れられない。英国との一体が損なわれることは認められない」と述べていた。

2017年12月に、下記の通り合意した。

南北アイルランドの間では従来通り、国境管理(規制)を行わない。

北アイルランドと英国本体との間に新たな規制の障壁を設けない。北アイルランドの企業の英国本体の市場へのアクセスを保証する。

英国は南北アイルランドの協力と、南北アイルランド国境に鉄条網や検問所などハードボーダーを設けないと約束する。これは英国とEUとの将来の関係を通じて達成する。

実際には詳細を先送りしているが、今回の合意で、北アイルランドは英国本体と一体となってEUの統一市場と関税同盟から離脱できると解釈でき、英国側の懸念が消えた模様。


しかし、実際には、南北アイルランドにハードボーダーを設けずに、北アイルランドが本土と一体になってEU統一市場と関税同盟から離脱する方法は見つかっていない。離脱交渉の最大の難関となった。

ここにきて、一時的対策「backstop措置」 が提案された。(Backstopは野球のバックネットの意味)

EU案は、英領北アイルランドとアイルランド共和国との国境を目に見えないままにし、北アイルランドを関税同盟に残す もの。

英国は、これは英本土と北アイルランドの間に関税国境をつくるものとして反対した。

英国は正式提案していないものの、EU案を英国全体に適用すべきだとの考えを示唆し た。これはアイルランド島内での国境設置を回避する最後の手段として、英国全体が単一市場と関税同盟の一部にとどまることを意味する。

  しかし欧州委員会はこれに反対しており、北アイルランドに特別な地位を与えるだけにとどめたい意向 である。

英国は6月7日、アイルランド問題解決のためのTechnical note: temporary customs arrangement を発表した。

EUの提案は、英本土と北アイルランドの間に関税国境をつくるもので、受け入れられない。
英国案は、2020年12月に移行期間が終了した後、一定期間、英国全体をEUと関税同盟を結ぶというもの。
但し、将来の協定ができるまでの臨時の措置であり、遅くとも2021年12月末までと期待する。

この期間中も英国は世界の他の国々と貿易協定を結び、施行できる。但し、モノの貿易はEUとの関税同盟があるため、他国との協定はサービスに関することに限られる。

EU側はこれに抵抗感を示した。

6月20日に、現在受け入れているEU法を国内法に置き換えるEU離脱法案が議会を通過した。離脱後も英国内の規則や規制を継続させるためのもので、スムーズな離脱を目指すメイ政権 にとり重要手続きの一つ。


この法案をめぐっては、英国がEUと合意に至らないまま離脱日を迎えた場合について激しい議論があった。
EUとの合意なしの強行離脱に反対する親EU派の議員が、内閣の強硬離脱の提案を認めない権限を英議会に与える修正案を付けた。

メイ首相は交渉の手足を縛られるのを嫌いつつ、親EU派にも配慮し、交渉決裂時には英議会で審議する時間を設けると約束 した。

この結果、修正案は303票対319票の僅差ながら反対多数で否決された。

メイ英首相は7月6日、閣議を開き、EU離脱後の通商関係について議論し、交渉方針で合意した。

EUとの関係を尊重する内容で、EUの影響力を排した完全な離脱を求めるジョンソン外相ら強硬派閣僚が反対し、メイ氏が約12時間かけて説得した。

離脱条件を巡るEUとの実質合意期限が10月に迫る中、「Hard Brexit(強硬な離脱)」から協調優先の「Soft Brexit(穏健な離脱)」路線に修正して交渉の局面打開を図る もの。

内容は次の通り。

「モノの自由貿易圏」創設を提案し、EUとの貿易面での緊密関係を維持する。EUが定める製品や農産物の規格などEUの一定の通商ルールに離脱後も従う。

関税面でもEUと連携し、現状並みの円滑な貿易を確保することで企業が国境を越えて展開するサプライチェーンを守る。

離脱後に米国などとの自由貿易協定(FTA)締結を目指すほか、TPP 11への参加も視野に入れる。

人の移動の自由を終わらせる。EU加盟国の漁船が英国領海内で操業することを認めず、英国の海域を自国でコントロールする。

但し、金融サービス分野の一部では、EUと現状通りの取引ができなくなることを受け入れる。 (EU側の「いいとこ取りは許さない」との主張に配慮)

この案には「いいとこ取り」の面が強く、EUのバルニエ首席交渉官は「実現可能性を吟味したい」と述べた。

強硬離脱派は、メイ氏の方針では部分的に事実上、関税同盟に残ることになり、「EUにさらなる譲歩を迫られやすい弱い立場に追い込まれる」と厳しく批判した。

7月8日夜、デービス欧州連合(EU)離脱担当相が辞任した。「政府方針は離脱を骨抜きにし、英国はEUに対して交渉で弱い立場になる」と述べた。

同氏は7月6日の閣議の前にメイ首相に宛てた書簡で、首相の案を実行不可能とし、首相の新提案は失敗すると指摘した。

デービス欧州連合(EU)離脱担当相に続き、ジョンソン外相が7月9日、辞任した。

ーーー

メイ首相のSoft Brexit 路線の新しい交渉方針では、離脱後に米国などとの自由貿易協定(FTA)締結を目指すほか、TPP 11への参加も視野に入れるとしている。

しかし、訪英中のトランプ大統領が冷水を浴びせた。

大統領は7月12日の英紙サンとのインタビューで、メイ英首相が進めるSoft Brexit 手法に賛同しない考えを示し、現状の離脱条件では米英の貿易協定にも悪影響が及ぶことになると警鐘を鳴らした。この案で進められれば英政府は米国との貿易協定を「おそらく結べない」と述べた。

また、辞任を表明したジョンソン前外相については、「非常に能力のある人物」と辞任を惜しみつつ「将来は偉大な首相になると思う」と付け加えた。

トランプ氏は米大統領予備選挙中の2016年5月、英国がEUから離脱した方が良いとの考えを示していた。

7月13日の首脳会議では、トランプ大統領はメイ首相に、英国はEUと交渉するよりEUを訴えるべきだと提言した。

インドネシアのジョコ大統領は7月12日、米鉱山大手 Freeport-McMoRan Inc.の現地法人 PT Freeport Indonesiaの株式の51%を国営鉱業大手のアサハン・アルミ(PT Indonesia Asahan Aluminium:Inalum)が取得すると明らかにした。世界第2の銅鉱山のGrasberg鉱山を取得する。

ーーー

アサハンアルミ(Inalum)はインドネシア国有のアルミニウム精錬会社であるが、2017年に政府の方針で、国有の鉱工業企業の持株会社となった。

2017年11月の政令で、非鉄金属のPT Aneka Tambang (ANTM) の65%、石炭のBukit Asam (PTBA)の65%、錫のTimah Tbk PT (TINS)の65.2%の政府持ち株がアサハンアルミに譲渡された。
各社固有の経営資源と技術の相乗効果を狙う。

シナジー効果の一つは、後述のアルミナ生産計画の加速化である。また、PTBAがこれら他の国有会社と共同で発電所を開発することにより、ANTMのフェロニッケル製錬所やInalumのアルミニウム製錬所に電気を供給するプロジェクトも計画されている。その他には、港湾建設の下流事業への投資も拡充する予定。

インドネシア政府は、国内の豊富な鉱石をそのまま輸出するのではなく、国内での加工を推進しようとしている。

2014年1月12日、国内での加工推進を目的とし、未加工の鉱石の輸出禁止措置を導入した。

2014/1/16 インドネシアが鉱石禁輸実施、直前に緩和 

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大統領は、世界第2の銅鉱山(金、銀も産出)のGrasberg鉱山を運営するFreeport-McMoRanに対し、採掘権や輸出を認める代わりに、株式の51%超を譲渡するよう求めていた。

今回の合意で、政府は現在 9.36%のFreeport Indonesiaの 持株を51.38%に引き上げる。将来的にはGrasberg鉱山があるパプア州政府や地元自治体も一定の株式を持つ見通し。

実際の取引にはRio Tintoも絡む。

Grasberg鉱山の運営会社は、Freeport Indonesiaが60%、Rio-Tintoが40%所有するJVである。

Rio Tintoはインドネシア政府の資源ナショナリズムに
対応し、離脱を模索していた。

Inalumは、JVのRio権益持分(40%)を35億ドルで 買収する。これをFreeport Indonesiaに譲渡し、見返りにFreeport Indonesiaの株式32.66%を取得する。

別途、InalumはFreeport Indonesiaに9.36%を出資するFreeport-McMoRanの投資会社PT Indocopper Investamaを3.5億ドルで買収する。

この結果、既存の政府持ち株を合わせ、Inalumは51.38%を取得する。

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アサハンアルミ(Inalum)は、日本とインドネシアのJVとして設立された。

1975年7月に日本側参加12社とインドネシア政府間の基本協定が締結された。

同年末に日本側投資会社の「日本アサハンアルミニウム」が設立された。

国際協力銀行 50%
精錬5社 各7.5%、計37.5%
7商社合計 12.5%

1976年1月、日本アサハン 90%、インドネシア政府 10%の出資で、P.T. Indonesia Asahan Aluminium (INALUM)が設立された。

北スマトラ、Kuala Tanjung地区にアルミニウム年産225千トンの製錬工場(75千トン3系列)
トバ湖から流れるアサハン川の上流のSiguragura、Tanggaの両瀑布に最大出力513千kwの発電所
原料アルミナは輸入(Alcoa of Australia)

2010/10/14  インドネシア、アサハンアルミの将来

インドネシアと日本のJVのアサハンアルミが操業30年を迎える2013年11月以降、インドネシア政府は日本の出資分を買い取る権利を持つ。

2010年現在の出資比率は日本側 59%、インドネシア側 41%となっている。
JV協定は「生産開始」(1983年11月1日)から30年後に満了、設備は簿価などの補償を条件として、インドネシア政府に移管されることとなっている。

日本の企業連合とインドネシア政府は2013年12月9日、日本側が全保有株を同政府に5億5670万ドルで売却するとの合意文書に調印した。
合弁は解消され、インドネシアが事業を国有化した。

2013/12/11 日本企業連合、アサハンアルミから撤退 

アサハンアルミの現在の能力は26万トンである。

同社は現在、ボルネオ島Kalimantan の新立地で、次の通り35億ドルの拡張を計画している。

アルミ精錬第二工場(20万トン) 7億ドル
 (当初の構想は、
アルミ精錬能力を2020年に50万トンに、2025年に100万トンとする というものであった。

800MW水力発電 10億ドル

アルミナ工場 50万トン 18億ドル

原料アルミナは現在輸入しているが、自製を開始し、輸入依存を減らす。

立地は西カリマンタン。

今回Inalumの子会社となった非鉄金属のPT Aneka Tambang (ANTM) とInalum のJV PT Inalum Antam Alumina が中国のAluminium Corporation of China (CHALCO) と合弁で生産する。
インドネシア側が過半数を持つ。

ANTMがカリマンタンで採取するボーキサイトを原料とする。

これまでANTMはボーキサイト全量を 中国などに輸出、アサハンはアルミナを全量、オーストラリアとインドから輸入している。(インドは最近)


Pfizerは7月10日、今月1日に米国で実施した医薬品の値上げを撤回し、当面は以前の値段に戻すと発表した。

値上げの撤回は、同社のCEOがトランプ大統領と直接話し合って決めた。価格据え置きはあくまで一時的な措置で、大統領が進めている薬価引き下げの取り組みを形にする「機会を与える」と説明している。

大統領は早速、呟いた。

Just talked with Pfizer CEO and@Sec Azar (Alex Azar, Secretary of Health & Human Services ) on our drug pricing blueprint.
Pfizer is rolling back price hikes, so American patients don't pay more.
We applaud Pfizer for this decision and hope other companies do the same.

Great news for the American people!

この問題は、大統領が医薬品値下げに懸命になっている時に、Pfizerほかが値上げを発表したことから発展した。

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トランプ氏は大統領就任直前の2017年1月11日、製薬会社は生死にかかわるような医薬品の価格を大幅に値上げし、「殺人」の罪を犯しているにもかかわらず、罰せられておらず、政府に多額の費用を負担させていると批判、薬価の改革を進める意向を表明した。

また海外へと拠点を移す動きが加速しているとして、製薬業界を国内に回帰させる必要があるとした。

トランプ氏は薬価をめぐり、新たな入札制度を導入し、費用を圧縮すると主張、「われわれは世界最大の医薬品の買い手であるにもかかわらず、適切な価格設定が出ていない。入札を開始し、数十億ドルを削減する」と述べた。

トランプ氏は選挙期間中、高騰する薬価の問題に言及してきた。公約では「製薬産業は民間部門だが、製薬企業は公共サービスを提供している」と指摘、メディケア(高齢者向け公的医療保険)プログラムについて、現在は法律で禁止されている政府と製薬会社との薬価交渉を可能にするとしていた。

2017年1月31日の製薬企業幹部との会談では、薬価の引き下げと米国内での製造拡大を求めると同時に、新薬承認の迅速化や規制緩和を約束した。

新薬承認の迅速化は、大統領選直前に公表した「有権者との契約」(就任後100日間で実行)にも盛り込まれていた。
「お役所的な複雑な手続きの打破」を含むFDAの改革を公約、「4000もの医薬品が承認を待っている。特に生命を救う医薬品の迅速な承認を望む」としていた。

2018年1月30日に行った一般教書演説では、薬価の高騰問題について、「政権にとって、最優先課題のひとつだ」と述べた。

医療関連としては、オバマケアの撤回、オピオイド乱用問題、薬価の高騰問題に言及した。

薬価については、「同じ薬剤に対して諸外国の人が払う額は、米国人よりもはるかに安い。非常に、非常に不公平だ」と指摘した。

その後も、医薬品価格の引き下げに度々言及した。

2018年5月11日、トランプ米大統領は処方箋薬の価格抑制に関する演説を行った。製薬会社、保険会社、薬剤給付管理会社(PBM)が処方箋薬を高価で手の届かないものにしたと非難し、競争強化と価格引き下げに向けた措置を取ると表明した。

製薬業界の「中間業者」が大きな富を得ているとして排除する方針を示したほか、医薬業界のロビー団体についても、納税者の金で富を得たと批判した。
外国政府についても、米製薬会社に不当な引き下げを強要しているとして批判した。

米保健社会福祉省は「American Patients First」と題した詳細な計画を公表。メディケア(高齢者向け公的医療保険)パートD(処方せん薬給付)管理会社の製薬会社との価格交渉能力を高めることなどが含まれる。

但し、専門家からは、レトリックにすぎないとの批判がなされた。

5月30日、大統領は突然、主要医薬品会社(複数)が2週間以内に医薬品価格を「自発的に、大幅に」引き下げると発表した。医薬会社の役員(名前を明らかにせず)がホワイトハウスを訪問し、発表すると述べた。

大統領は、末期患者が実験中の医薬品を使うのを容易にする法案にサインしながら、「我々はまた、医薬品のコストの引き下げに努力しており、国民はこの国で初めて、処方箋薬の大幅引き下げを経験することとなる」と述べた。

しかし、その後、値下げの発表はなく、大統領が予告した理由は不明のままである。

逆に、Pfizerは7月1日付で値上げを発表した。

「バイアグラ」を含む同社の代表的製品100品目を値上げした。値上げ率は大半の品目で9%強で、消費者物価指数を大きく上回る。
バイアグラは19.8%の値上がりとなった。
但し、5品目については、価格を16~44%引き下げている。

Pfizerでは、割引やリベート(割戻金)を計算に入れると値上げ幅は「1桁台前半」にとどまるとしている。

Pfizerのほか、イスラエル製薬大手 TevaやスイスのRoche なども最近値上げに踏み切っている。


トランプ米大統領は7月9日のツイッターで、「理由もなしに値上げした。自らを守ることができない貧しい人々などの弱みにつけこみ、他方で海外で安値販売している」と、Pfizer などの製薬大手を批判し、何らかの対策を講じると言明した。

Pfizer & others should be ashamed that they have raised drug prices for no reason.
They are merely taking advantage of the poor & others unable to defend themselves, while at the same time giving bargain basement prices to other countries in Europe & elsewhere.

We will respond!

これを受け、PfizerのCEOがトランプ大統領と直接話し合い、値上げ撤回を決めた。


Tesla は7月10日、中国・上海にEVの新工場を建設することで上海市政府と合意した。

巨大電池工場「ギガファクトリー」のほか、モーターなどの主要部品から車両の組み立てまでを担う拠点になるとみられる。年50万台の生産を目指す。同社が米国外に工場を設けるのは初めて。

最大市場である中国での販売を拡大すると同時に、過熱する米中間の貿易摩擦の影響を現地生産により回避する狙いもある。

Tesla はこのたび、中国での販売価格を引き上げた。セダン「モデルS」と多目的スポーツ車(SUV)「モデルX」について、販売価格をそれぞれ約2割引き上げた。

知的財産権の侵害を理由に米国が7月6日に発動した追加関税の報復措置として、中国が米国製の自動車などに追加関税を課したためとみられる。

Teslaの2017年の中国販売は約1万5千台と世界販売の約15%を占めるが、全量が米国からの輸出である。

トランプ大統領の強硬策は、Harley-Davidsonと同様、生産の米国からの移転という逆の効果を生むこととなる。

当局の認可が下り次第、着工する予定で、2年ほどで生産が始まる見通し。年産約50万台の生産能力に達するのはそれから2、3年先になる見込み。

今回、投資額が公表されなかった。
Teslaは「モデル3」の生産ペース引き上げが難航し、巨額の手元資金を投じており、手元資金が3月末で27億ドルにとどまった。

アナリストは「投資家にとって現在最大の問題はTeslaがどうやってその費用を賄うかだ。Teslaは資本を得る必要があるだろう」と指摘した。


中国国内に外国自動車メーカーが100%所有する生産施設が建設されるのは初めてとなる。

Teslaは以前から中国で単独出資での現地生産を模索していたが、外資規制(現在50%が上限)などが障壁となり実現していなかった。
しかし、中国政府が今年に入り自動車分野で出資規制を撤廃、単独出資での中国進出が可能となり、5月に上海に中国法人を設立した。

習近平国家主席は4月10日、博鰲(ボアオ)アジアフォーラムで演説し、自動車への輸入関税を今年引き下げ、自動車合弁の外資出資規制を緩和する方針をあらためて表明した。
米トランプ政権が保護主義に傾倒するなか、中国政府は市場開放をアピールする狙いもあるとみられる。

国家発展改革委員会は4月17日、自動車の外資規制撤廃のロードマップを明らかにした。

2018年中に、EVなどの新エネルギー車
2020年に、トラックやバスなどの商用車
2022年に、乗用車

中国での自動車生産JV数(現在、新エネ車を除き原則2社まで)も2022年に制限を撤廃

 

大陽日酸は7月5日、米国のPraxair, Inc.による欧州事業(一部)の分割譲渡に係る入札に参加し、同日付でPraxairと子会社株式の売買契約を締結したと発表した。

本件の実行はPraxairとLinde AGが、各国の競争法当局から合併の承認を得られること、並びに本買収が競争法当局から承認を得られることにより、PraxairとLinde AGの合併が完了することを条件とする。

買収の概要は次の通り。

 取得対象事業

Praxairの欧州事業のうち、
ドイツ・スペイン・ポルトガル・イタリア・ノルウェー・デンマーク・スウェーデン・オランダ・ベルギーの産業ガス事業、
英国・アイルランド・オランダ・フランスにおける炭酸ガス事業、及び
ヘリウムに関連する事業

 取得のストラクチャー
取得対象事業に関連する会社の株式を買収

主要3社

社名 Praxair Espana, S.L. Praxair Deutschland Holdings Praxair Italia
場所 Madrid, Spain Dusseldorf, Germany Milan, Italy
設立 1954 2004 2014
事業

産業ガス及び関連機器・装置の製造・販売


 取得価額:
取得価額:5,000百万ユーロ(約6,438億円)  
取得価額は、クロージング時点での現預金・借入金の残高や運転資金の増減、等により調整が入る。

他に、アドバイザリー費用等:約27億円

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Praxairは2017年6月1日、ドイツのLinde Aktiengesellshaftとアイルランドに新たに持株会社Linde Public Limited Companyを設立して合併することで合意した。

2016/12/24 独 Linde、米 Praxair と対等合併

Linde と Praxair が統合すれば、圧倒的な業界第1位企業となる。

現在、各国の競争法当局による審査が行われているが、欧州委員会は2018年2月16日、予備調査で次の点が問題となり、詳細調査に入ると発表した。

合併は両社の多くの活動分野で競争を減らす恐れがある。

特に、産業用ガス、医療用ガス(及び関連サービス)、特殊ガス、ヘリウムの供給で問題があると懸念する。

需要家の製造工場内にガスの製造プラントを建設できる能力を持つのは(欧州に)4社しかない。世界でヘリウムの供給源にアクセスできるのも彼らである。

このため、需要家は4社が3社に減ることに恐れを抱いている。

これを受け、Praxairは欧州事業(一部)を売却することを決めたもの。

しかし、LindeとPrexair は、他の各国の当局の承認を得るには更なる事業売却が必要と考えている。Lindeは7月5日、両社が2018年後半の統合完了を目指し、各国当局と議論しており、また売却相手候補と交渉を行っていることを明らかにした。

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