米財務省は10月17日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表した。

Macroeconomic and Foreign Exchange Policies of Major Trading Partners of the United States


日本と中国のほか、韓国、ドイツ、スイス、インドの6カ国を引き続き「監視リスト」に指定した。

貿易戦争を繰り広げる中国については、経済制裁に道を開く「為替操作国」と指定するのは見送ったが、報告書は「6カ月かけて再審査する」と同国へのけん制を強めている。

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2016年2月24日、2015年貿易円滑化・貿易履行強制法成立した。これはアンチダンピング法、相殺関税法および貿易救済法などを強化したものだが、上院の審議で為替操作国に対する措置が盛り込まれた。

対象は、重大な対米貿易黒字と実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った米国の主要貿易相手国で、米財務省は次の基準で選ぶこととした。

重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上
実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上
外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入

財務省は2016年4月の報告で、3つの基準全てに当て嵌まる国はないことを確認したが、米国の主要貿易国の5カ国が3つの基準のうち2つに該当することを見つけた。
このため、新しい「監視リスト」を創設し、この5国を監視していくこととしたもの。

2016/5/2 米、日本や中国などを為替操作「監視リスト」に

その後の「監視リスト」の対象は次の通り。

  日本 中国 韓国 台湾 ドイツ スイス インド
2016/4
2016/10
2017/4
2017/10
2018/4
2018/10


日本は(1)と(2)で条件に抵触した。

中国は、2016/10以降は(1)の1つしか基準を超えていないが、対米貿易黒字が膨大なため、次回の報告書でも自動的に指定される。今回も同様である。

台湾は2017/4 に1つしか基準を超えなかったが、外為市場介入で対象外となったのが一時的かどうかをチェックするため、監視国に残った。2017/10からは外れた。

インドは、2017年第1・四半期から第3・四半期にかけて外貨購入を拡大した。通年では過去最大の560億ドルと、同国のGDPの2.2%の水準に達した。対米貿易黒字も230億ドルであった。

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今回の分析結果(2018年6月までの4四半期):

日本:モノの対米黒字700億ドルと経常黒字がGDPの4%で基準を超えた。

外為市場介入は過去7年間無しとなっている。

財務省は、着実な成長を利用し、構造改革を行うべし、とコメントしている。


中国:モノの対米黒字3900億ドルのみが基準を超えた。対米輸出は5250億ドル、輸入は1350億ドル。
    なお、サービスは米国の400億ドルの黒字。

経常収支は下図の通りで、サービスの輸入(海外旅行支出を含む)が大きく、モノの黒字を帳消しにしている。

外為市場への政府介入はない(±ゼロ)としているが、最近の人民元下落が大きく、注目している。為替介入をしないという中国政府ののG20での約束を重視 するとしている。

Treasury continues to place considerable importance on China adhering to its G -20 commitments to refrain from engaging in competitive devaluation and to not target China's exchange rate for competitive purposes.

  Treasury also strongly urges China to provide greater transparency of its exchange rate and reserve management operations and goals.

  今回も、1つしか基準を超えていないが、対米貿易黒字が膨大なため、次回の報告書でも自動的に指定される。


韓国:
モノの対米黒字210億ドル(前年の280億ドルからは減少)と経常黒字がGDPの4.2%で基準を超えた。

若干(GDP比 0.3%)の為替介入があったとみる。韓国政府が2019年から為替介入について開示すると発表したのを好感。


ドイツ:
モノの対米黒字670億ドルと経常黒字がGDPの8.2%で基準を超えた。

EUメンバーのため、ドイツとしての為替介入問題はない。


スイス:
経常黒字がGDPの10.2%で基準を超えた。為替介入は大きく、GDPの2.4%となっている。


インド:
モノの対米黒字230億ドルで基準を超えた。
   インドの場合はサービスでも対米で40億ドルの黒字となっている。医薬とIT関係が中心。

インドは、2017年第1・四半期から第3・四半期にかけて外貨購入を拡大した。通年では過去最大の560億ドルと、同国のGDPの2.2%の水準に達した。
しかし、今回は介入はGDPの0.2%に止まり、「
GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入 」という条件から外れる。

今回は、1項目だけの基準超えのため、次回も同様なら、リストから外れる。

トランプ米大統領は10月9日、ホワイトハウスで記者団に米連邦準備理事会(FRB)の利上げについて「早く動く必要はない」と述べた。「再びインフレにはならない」と説明し、利上げによる金融の引き締めよりも、経済成長を優先すべきだとの考えを示した。

大統領は翌10日夕、「FRBは間違いを犯している。彼らは(金融政策を)引き締めすぎている。FRBはクレージーだと思う」と利上げ路線を改めて批判した。

11月の中間選挙を控え、金利上昇を通じた経済の減速を避けるため、FRBを改めてけん制した。

大統領は10月16日、FRBについて「私の最大の脅威だ」と述べ、利上げ路線を再びけん制した。「利上げが早すぎるので(パウエルFRB議長がやっていることを)よく思っていない」と述べ、インフレ率は「非常に低い」として利上げを急ぐ必要がないとの持論を展開した。


金利上昇の背景は次の通り。

(1) FRBによるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標のアップ

米国は、2008年11月~2010年6月の量的緩和策 QE1(Quantiative Easing Program-1 )、2010年11月~2011年6月に実施されたQE2に続き、2012年9月にQE3 を開始し、以降、毎月850億ドルの債券買い入れを行ったが、2014年1月には、債券買い入れ規模を減らし、量的緩和(QE3)の縮小を継続する方針を決め、その後、毎月の債券買い入れを月850億ドルから順次減少させ、2014年11月には買い入れをゼロとした。

2015年12月16日に、米経済は2007-09年の金融危機による打撃を概ね克服したとの認識に立ち、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を 0%~0.25% から0.25%~0.50% に引き上げた。
その後、引き上げを続け、本年
9月26日に2.00~2.25%に引き上げることを決定した。

年内は12月にあと1回の利上げが実施されると予想、2019年は3回、2020年は1回との見通しを示した。

2008/10 2.00%→1.00%
2008/12 1.00%→0.00%
  0.00%
2015/12 0.00%→0.25%
2016/12 0.25%→0.50%
2017/3 0.50%→0.75%
2017/6 0.75%→1.00%
2017/12 1.00%→1.25%
2018/3 1.25%→1.50%
2018/6 1.50%→1.75%
2018/9 1.75%→2.00%
(2018/12 ) (2.00%→2.25%)

2018/9/27 FRBが本年3度目の利上げ

(2) FRBによる保有債券の縮小(市中のドルの減少→金利アップ)

FRBは2014年11月には債券買い入れをゼロとしたが、満期のきた債券については同額を買入し、残高は維持してきた。

しかし、FRBは2017年9月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2008年の金融危機後の量的緩和政策を完全に終結し、大幅に膨らんだ保有資産の縮小を始めると決めた。

但し、償還期限がきた分をそのまま償還すると、市場に出回るドルが減少し、FF金利アップと合わせ、長期金利がアップし、経済に影響を与える。

このため、FRBは10月から償還の時期が来た国債などを再び買い入れる額を少しずつ減ら すこととした。

年内の3か月は1か月当たり100億ドル(米国債が60億ドル、住宅ローン担保証券が40億ドル)を上限に資産規模を縮小する。

その後は3か月ごとに買い入れ額を減らし、1年後には1か月当たり500億ドル(米国債が300億ドル、住宅ローン担保証券が200億ドル)を上限に資産規模を縮小していく。

2017/9/23 米連邦準備理事会、資産縮小開始を決定

当月の償還額のうち、下記を超える額は再び買入する。(各月 億ドル )

国債 住宅ローン
担保証券
合計
2017/10~12 60 40 100
2018/1~3 120 80 200
4~6 180 120 300
7~9 240 160 400
10~12 300 200 500
累計 2,700 1,800 4,500
2019/12 累計 6,300-α 4,200-α 10,500-α

当月の満期額がこれを下回る場合は当然、満期額がそのまま縮小額になる。

今後は現行の圧縮ペースで固定し、ピークに2.5兆ドル近くあった残高は2019年末には2兆ドル割れをうかがう可能性が高い。

FRBの試算では、量的緩和は米長期金利を最大1%押し下げた。保有残高をどこまで減らすかはまだ決まっていないが、半減でも0.5%の金利上昇要因になるという。

(3) 中国の米国債売却

米財務省の10月16日の発表によると、中国の米国債保有は1兆1650億ドルと、7月の1兆1710億ドルから減少した。
外国勢の米国債保有残高で中国に次ぐ規模の日本は1兆300億ドルで、前月の1兆360億ドルから減った。サウジアラビアは27億ドル増加し過去最高の1695億ドル。

中国の駐米大使が2018年3月に、米国の関税への対抗策として米国債購入を縮小する可能性もあると示唆したことがある。

ムニューシン米財務長官は10月13日、中国が保有する米国債を両国間の貿易交渉で切り札として使ってくる可能性を巡り懸念してはいないと説明した。
  
「米国債市場は極めて流動性が高く、この問題がわれわれの交渉の中で議題に上ったことは全くない」と述べ、「米国債には多くの買い手がおり」、中国は「自由に自らがしたいように行動できる」と付け加えた。

米財務省は10月15日、2018会計年度(2017年10月~18年9月)の財政収支の赤字が前年度比17%増の7790億ドルだったと発表した。

2017年末に成立した大型減税で法人税収が減少したのが主因。赤字は3年連続で拡大し、6年ぶりの高水準となった。

source: https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2018/02/hist07z1-fy2019.xlsx


歳入は0.4%増の3兆3287億ドル。個人所得税は増えたが、税制改革で連邦法人税率を35%から21%に引き下げた影響で法人税収が22%減った。一方、鉄鋼やアルミニウムへの追加関税発動などで関税収入は2割増えた。

歳出は4兆1077億ドルで3.2%増えた。国防費(6%増)や社会保障費(4%増)が膨らんだほか、FRBの利上げで公的債務の利払い費(14%増)がかさんだ。

ムニューシン財務長官は声明で「無駄な歳出を削るとともに、強力な経済成長を実現してきたトランプ大統領の経済政策を進めれば、米国の財政は持続可能な方向に進む」と改めて強調した。

ーーー

米議会予算局(CBO) は本年4月9日の報告書で、米財政赤字は従来予想より2年早い2020会計年度(19年10月-20年9月)までに、1兆ドルを超える見通しであるとしている。

2017年6月の報告書では、米財政赤字が1兆ドルを超えるのは2022年度と見込まれていた。

CBOの報告書には税制改革の影響に関する新たな見通しが盛り込まれた。マクロ経済効果と債務返済費用の増加を考慮すると、今後11年間で財政赤字を約1兆9000億ドル増加させる見通し。

トランプ大統領が署名した減税や歳出拡大には、長期的な経済成長率を押し上げる効果はほとんどないという。



  


ドイツで10月14日に実施された保守の牙城のバイエルン州(英語ではBavaria州)の議会選挙で、メルケル政権を支える保守与党、キリスト教社会同盟(CSU)が歴史的な大敗を喫した。

CSUの得票率は前回2013年の47.7%から37.7%に下がり、68年ぶりの低さとなった。連邦議会下院で連立を組むドイツ社会民主党も惨敗し、両党を合わせても過半数を下回る。

逆に緑の党と、極右政党ドイツのための選択肢(AfD)が大躍進した。

難民問題が票を左右した。

下院 (2018/3連立)

バイエルン州議会

今回 従来 差異
キリスト教民主同盟 (CDU) キリスト教
民主・社会同盟
(CDU/CSU)
246 連立
与党
399
キリスト教社会同盟 (CSU) 37.2% 47.7% -10.5%
ドイツ社会民主党(SPD) 153 9.7% 20.6% -10.9%
緑の党 67  

野党

 
310 17.5% 8.6% +8.9%
自由民主党(FDP) 80 5.1% 3.3% +1.8%
ドイツのための選択肢(AfD) 92 10.2% 0 +10.2%
左派党(The Left) 69 3.2% 2.1% +1.1%
無所属 2
Free Voters of Bavaria 11.6% 9.0% +2.6%
その他 5.5% 8.7% -3.2%
合計 709 100% 100% -

メルケル首相はキリスト教民主同盟 (CDU) の党首で、バイエルン州のみを地盤とするキリスト教社会同盟 (CSU) と連携している。

2017年9月24日の連邦議会(下院)選挙で、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は709議席のうち246議席しか確保できなかった。

このため、自由民主党(FDP)や緑の党と連立協議を進めたが、決裂し、2018年2月に第2党の社会民主党(SPD)との大連立交渉がようやく合意した。

2018/3/17 メルケル首相 再選 

しかし、この連立内閣は肝心のCDU(全国組織)とCSU(バイエルン州のみ)の間で問題を抱えている。

バイエルン州は難民がドイツに入る際の入り口に位置し、100万人を超える難民を受け入れたメルケル政権への批判が根強い。

反難民の極右の台頭に対抗するため、CSUは難民抑制にかじを切った。

キリスト教社会同盟(CSU)の党首である Seehofer内相が、寛容な難民政策が「欧州を分断させた」と糾弾し、他のEU諸国で難民登録済みの場合はドイツへの入国を許さず、元登録国に送還する措置の即時導入を要求し た。

Merkel 首相は7月2日夜、対立していた Seehofer 内相と会談し、新たな難民対策で合意した。Seehofer 内相は先に表明していた辞意を撤回、連立政権崩壊の危機はひとまず回避された。
Merkel 首相はSeehofer 内相が主張する国境での入国拒否を認めなかったが、ドイツに向かう難民の「玄関口」にあたるオーストリアとの国境に管理施設 (transit centres)を設け、他のEU加盟国で難民申請登録した人々はその国へ送り返すことで合意した。送還は2カ国間協定を結んで行う。

一方で、Merkel首相が難民送還に動いたことで、右傾化を嫌う穏健な支持層の離反を招いた。

ドイツの民間難民支援団体は難民管理施設を「絶望的な収容施設」と指摘、「政府首脳たちには、追われた人々への同情がない」と厳しく批判 した。

2018/7/2 EU首脳会議、移民問題で不十分な合意、ドイツ内相が辞任示唆 付記


今回のバイエルン州の選挙結果はこれを反映している。

メルケル政権の難民受け入れへの不満から、右寄りの支持層が極右政党ドイツのための選択肢(AfD)に流れた。

慌てたCSUは反難民に転じたが、今度は右傾化を警戒する穏健派が緑の党に流れた。

結局、左右両翼の支持を失うこととなった。


10月28日にはヘッセン州議会選挙がある。ここでCDUが敗北すれば、メルケル氏の党首としての立場がおかしくなる。


米司法省は10月10日、GE Aviation など米国の航空宇宙企業数社から企業秘密を盗もうとした疑いで中国国家安全省の経済スパイを逮捕、起訴したと明らかにした。
経済スパイと企業秘密窃の共謀と実行の4つの罪状で起訴された。


逮捕されたのは江蘇省の国家安全省第六處副處長徐燕軍Yanjun Xu)被告で、4月1日にベルギーで拘束され、10月9日に米国に身柄が引き渡され、逮捕された。

起訴状によると、Xu被告は2013年12月頃から 逮捕されるまで、米国内外の航空業界のリーダーと見られる複数の航空会社(
GE Aviationを含む)をターゲットとして活動。企業に勤務する専門家ら をリクルートし、当初は大学での講演などの名目で中国へ招待し、費用や報酬を払っていたという。

GE AviationはBoeing やAirbus にエンジンを供給しているが、現在、商業機や軍のヘリコプターの新世代エンジンを開発している。1年以上前から捜査が行われ、GE Aviation はFBIに協力してきたという。

徐燕軍、Qu Hui、又はZhang Hui と名乗り、江蘇科技促進協会の職員であると称していた。

南京航空航天大学(中国の産業情報部が設立)と密接に連絡を取っていた。

GE Aviationは徐燕軍のターゲットの一つで、同社を退職したエンジニアが2017年3月以降、南京航空航天大学にしばしばE-Mailを送っていた。

徐燕軍の支援のもと、そのエンジニアは南京航空航天大学で講演を行った。徐燕軍は旅費や報酬3500ドルを支払った。

その後、徐燕軍は重要な情報の提供を求めた。エンジニアは本年2月にファイルを送付、その後、徐燕軍は多くの質問を送った。

2月末に徐燕軍は欧州で会うことを求め、その時に情報を持参することを要求した。

徐燕軍は3月末にエンジニアと会うため、渡欧した。

これらは全て、FBIの監視下で進んだ。政府は4月1日にベルギーで彼を逮捕することを決めた。

関連して、9月末にシカゴに居住する中国人 季超群 が逮捕されている。中国の情報員に密かに協力し、米国の技術者や科学者をリクルートするのを助けたという。このうち7人は防衛関係のコントラクターの従業員で、全員が台湾か中国生まれで米国籍を持つという。


他国の現役の情報部員を逮捕するためには、十分な証拠を揃えていると思われる。

米国の司法当局にはベルギーでの逮捕権はないため、米国とベルギーの司法当局が十分打ち合わせた上のものであろう。

ベルギーがどんな罪状で逮捕できたのか、不明。

拘束から引き渡し(犯罪人引渡協定によると思われる)までに半年かかった理由も不明である。被告側の異議で時間がかかったと思われる。

John Demers 司法次官補(国家安全保障担当)は次のように述べている。

中国の情報部員が米国の航空宇宙企業から事業秘密とその他のセンシティブな情報を盗もうとした。これは単独の事件ではなく、米国を犠牲にして中国を発展させようとする広範な経済政策の一環である。我々は他国が我々の軍事力、我々の頭脳の成果を盗むのは我慢できない。

FBIの Priestap副長官は、「今回の中国情報部員の前例のない引き渡しで、中国政府が米国への経済スパイを直接監督していることが明らかになった」と述べた。

米国では共謀罪および経済スパイの量刑は最長15年。共謀罪および営業秘密窃取罪は最長10年。 加えて罰金が課せられる。

中国大使館や同被告の弁護士からのコメントは得られていない。


中国商務部の報道官は10月11日、米国、メキシコ、カナダのNAFTAに代わる新たな貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の自由貿易協定(FTA)に関する条項について、「自由貿易圏の構築は開放・包摂の原則に基づくべきであり、他国の対外関係の力を制限するものであってはならないし、排外主義であってもならない」と述べた。

このほど合意に達したUSMCAには、
3ヶ国のいずれかが「非市場経済国」とFTAを結ぶ時は、3ヶ月前までに他の2ヶ国に通知しなければならず、
その場合、他の2ヶ国は6ヶ月後にUSMCAを離脱して、2国間の貿易協定を結ぶことができる
という排他的な条項があり、中国を狙い撃ちしたものとみられている。

報道官は、「中国が繰り返し強調してきたのは、WTOの多国間貿易ルールには、『非市場経済国』に関する条項はなく、加盟国の国内法の中にあるだけということだ。中国は一つの国の国内法が国際法の上に置かれることに反対し、一国の意思を人に押しつけるやり方にも反対する」と述べた。


「非市場経済国」について:

中国は2001年12月にWTOに加盟した。

中国は、WTO加盟に伴い、 アンチダンピング(AD) 措置及び相殺措置に係る規則・手続をAD協定及び補助金・相殺措置協定に整合化させることを約束している。

他方、中国以外のWTO加盟国が、中国産品についてAD 措置又は相殺措置に係る調査を行う際の価格比較及び補助金額の算定に関し、中国を「非市場経済国 (Non Market Economy)」として扱う特例が、加盟後15年間認められた。

「市場経済国」との認定を受けていない国の場合、ダンピング調査の際に、輸出価格は、国内価格との比較ではなく、経済発展レベルが近い代替国の価格と比較して判定される。EUは中国に市場経済国待遇を適用せず、しかも中国よりコスト水準の高い国を代替国に採用するケースが多く、この結果、ダンピングと判定される確率も高くなっているといわれている。

2016年2月までにロシア、ブラジル、ニュージーランド、スイス、オーストラリアなど81国が中国の市場経済国家の地位を認めた。

WTOは中国を「非市場経済国」と認定していたが、その根拠となっている条項は15年が経過する2016年12月に失効した。

2016/2/12 中国の「市場経済国」認定問題 

米政府は2016年11月23日、中国を「市場経済国」と認定しない方針を明らかにした。

欧州委員会は11月9日、輸入製品が不当にEU域内で安く販売された場合に適用する、反ダンピング課税の算出に関する制度改正案をまとめた。

WTO上の義務に違反して中国から損害賠償を求められるおそれのある事態を回避し、同時に「市場経済国」として認定することによってもたらされると考えられる安値競争に対抗できなくなるという事態をも回避するために、EU域内での新たな通商上の救済措置を策定することを選択したこととなる。

経済産業省は12月8日、中国のWTOでの立場について、引き続き「市場経済国」と認定しないことを決めたと発表した。

2016/12/1 米、中国の「市場経済国」認定見送り

中国商務部は2016年12月12日、同国の「市場経済国」認定を見送った米国とEUをWTOに提訴したと発表した。日本に対しても近く提訴に踏み切るとみられる。

2016/12/17 中国、「市場経済国」待遇で米欧をWTO提訴 

商務部の報道官が言う通り、2016年12月以降は、「WTOの多国間貿易ルールには、『非市場経済国』に関する条項はなく、加盟国の国内法の中にあるだけ」である。

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USMCA協定の第32.10条 「非市場国とのFTA」は次の通りで、中国とFTAを締結した国は、3国協定から除外されることとなる。

1.USMCA締約国の一ヶ国が非市場国とのFTAを交渉する場合、交渉開始の3ヶ月前に、他の締約国に通知しなければならない。非市場国とは、本協定の署名日前に締約国が決定した国である。

2.非市場国とFTA交渉を行おうとする締約国は、他の締約国から請求があれば、可能な限りの情報を提供すること。

3.締約国は、他の締約国がFTA協定と潜在的な影響を調査するため、署名日の30日前に他の締約国がFTA協定の条文、附属書、サイドレターなど見直す機会を与えること。
  締約国が機密扱いを要求する場合、他国は機密保持を行うこと。

4.締約国が非市場国とFTAを締結する場合、他国は6ヶ月前の通知により、本協定(USMCA)を終了し、残りの二国間協定とする。

5.二国間協定は、上記締約国との規定を除き、本協定(USMCA)の構成を維持。

6.6ヶ月の通知期間を利用して、二国間協定を見直し、協定の修正が必要か決定する。

7.二国間協定は、それぞれの法的手続を完了したと通知してから60日後に発効する。

https://ustr.gov/sites/default/files/files/agreements/FTA/USMCA/32 Exceptions and General Provisions.pdf

この条項は、貿易相手として米国を選ぶか、中国を選ぶかの二者択一を求めるものである。米国を捨てて中国を選ぶ国はないであろう。


日米
は9月26日夕(日本時間27日朝)、「日米物品貿易協定(TAG:
Trade Agreement on Goods 」の交渉入りで合意した。

その共同声明には次の記載がある。

日米両国は,第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の企業と労働者をより良く守るための協力を強化する。

したがって我々は,WTO改革,電子商取引の議論を促進するとともに,知的財産の収奪,強制的技術移転,貿易歪曲的な産業補助金,国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため,日米,また日米欧三極の協力を通じて,緊密に作業していく。

2018/9/27 日米、物品貿易協定交渉へ、交渉中は自動車追加関税回避


今後のTAGの協議において、米国は上記のUSMCA の条項と同じものを要求してくると思われる。


日本は、
ASEAN10か国+6か国(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)の東アジア地域包括的経済連携(RCEP:Regional Comprehensive Economic Partnership)の交渉中。

10月13日の閣僚会合では年末までの実質妥結に向け、「いよいよ大詰めの段階に入った。」(世耕経済産業相)
ただ、「さらなる改善の必要性」も指摘しており、各国間に意見の隔たりもある。

日本は中国を引き続き「市場経済国」と認定しないことを決定しており、 USMCA と同じ条項が入ると、中国とは RCEP を締結できないこととなる。

USMCAも TAGも TPPも RCEPも FTAである。

トランプ大統領は自動車への追加関税で相手国を脅し、無茶な要求を通してきた。

パーデュー米農務長官は、共同声明の記述に反し、日本との農産品を巡る通商交渉で、日本がEUと結んだEPAや、TPPを上回る水準の市場開放を求める考えを示している。

日本政府は、共同声明で、「第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の企業と労働者をより良く守るための協力を強化する」ことで既に合意している。

今後のTAG交渉で、米国の要求を拒否できるであろうか。

WTOの多国間貿易ルールには、『非市場経済国』に関する条項はなく、加盟国の国内法の中にあるだけである。
日本が今すぐ、中国を「市場経済国」と認めてしまえば、上の条項は関係ないこととなるが・・・。

ーーー

これとは別に、ムニューシン米財務長官は10月13日、日本との物品貿易協定(TAG)交渉を巡り「為替問題は同交渉の目的の一つだ」と述べ、通貨安誘導を封じる為替条項を日本にも求める考えを明らかにした。

カナダ、メキシコとのUSMCAにはMacroeconomic Policies and Exchange Rate Mattersの章があり、競争のための通貨切り下げや目標レートを決めることでの不公正な通貨政策をやめ、透明性を増やし責任あるメカニズムをとるとの high-standard のコミットをしている。

通貨政策に関する項目を貿易協定に明記するのは異例で、韓国とのFTA改正の付属書にもあるが、韓国側はFTAとは別だとしている。

2018/10/4 NAFTA、3カ国協定を維持、USMCAに改称

なお、韓国の場合は強制力はないが、USMCAでは対抗措置が取れる。現時点では問題のないカナダ・メキシコとの協定にこの規定を入れたのは、今後のFTA協定に入れるためだとされる。

日本は為替条項は絶対反対としているが、拒否できるであろうか。




福島第一原発の放射性物質トリチウムを含んだ低濃度汚染水は、事故後は構内にため続けており、今年2月時点で約105万トンあるタンク貯蔵水のうち約85万トンを占めている。
タンクの容量は現状で約110万トンで、東電は2020年までに137万トンまで増設を計画しているが、それ以降については未定である。

ここにきて、第一原発の汚染水を処理した後の水にトリチウム以外の複数の放射性物質が残留していることが報道された。

8月19日に共同通信が取り残しを報じた後、8月23日には河北新報が、2017年度のデータを検証したところヨウ素129が法律で定められた放出のための濃度限度(告示濃度限度)を60回、超えていたと報じた。

経済産業省は8月30日と31日に放射性物質トリチウムを含んだ低濃度汚染水の処分方法をめぐり、公聴会を開いたが、海洋放出への反対が続出した。

東京電力は9月28日、福島第1原発の汚染水を浄化した後にタンクで保管している水の約8割に当たる75万トンで、トリチウム以外の放射性物質の濃度が排水の法令基準値を超過しているとの調査結果を明らかにした。

今後、海洋放出など処分をする場合には、多核種除去設備(ALPS)などで再浄化するとしている。

2018/8/29 福島原発のトリチウムを含む低濃度汚染水を巡る問題

これについて、原子力規制委員会の更田豊志委員長から仰天の発言が飛び出した。

更田委員長は10月5日、福島第1原発を現地視察し、報道陣の取材に応じた。汚染水浄化後の処理水にもトリチウムなど複数の放射性物質が海洋放出の法令基準値を上回って残留している問題に関し、 東電が実施する意向を示している放出前の再浄化は必ずしも必要ではないとの認識を示した。

「科学的な意味では、再浄化と(より多くの水と混ぜることで)希釈率を上げることに大きな意味の違いはない」と 述べ、「再浄化は絶対に必要だと規制当局として要求する認識ではない」と述べ、再浄化しなくても希釈により基準値を下回れば、海洋放出を容認する考えを示した。

これは間違っている。

先ず、科学的な意味では、再浄化は放射性物質の総量を減らすものであり、希釈率を上げることは濃度を下げるもので、大きな違いがある。子供でも分かることだ。

海洋放出の法令基準値は、それ以下なら問題ないという数値ではない。放出そのものは問題だが、可能な限り処理をしても、どうしても処理できないものなら、そこまで薄めていれば、止むを得ず認めるというものである筈だ。

一つ一つの石炭火力発電所などのCO2排出が積もり積もって温暖化に至っている。 薄めたとしても、どんどん放出していけば、海洋にも今後影響が出ないとは思えない。

処理したといっていたトリチウムなどが実は残っていた。放出を始めた場合、本当に基準値以下まで薄めたか、信用できない。

また、科学大国の日本の原子力規制委員長が認め、放出しているとして、今後、他国が処理せずに放出を始めたら大変なこととなる。

東電の場合、ALPSなどで処理すれば、時間はかかるが、処理できるし、東電も再浄化するとしている。それを規制委員会の委員長が、再浄化せずに薄めて流せばよいというのは一体どういうことだろうか。

しかもその法令基準値については、「科学的」であるとは言えないとの意見もある。

この法令に定められた、告示濃度限度は、国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護モデルに基づいているが、この放射線防護モデルは、原発の運転がしやすいように、ある限度は撤廃され、ストロンチウム90などの線量評価は緩められてきた歴史的経過がある。この緩すぎる限度で、原発事故放射能汚染水を海に放出してよいわけがない。放射能汚染水の放射能は、総量で規制すべきである。

公害対策では総量規制が常識である。

硫黄酸化物の規制は濃度規制に始まり、逐次改訂強化がなされたが、特に工場密集地域を中心に環境基準に照らすとなお深刻な状況にあった。このため、四日市市を抱える三重県で1972年に総量規制を盛り込んだ条例が設けられ、これを追って1974年、大気汚染防止法の改正により総量規制が導入された。

汚水処理では中西準子氏の浮間下水処理場調査が有名である。
当時の活性汚泥処理ではシアンや重金属は処理できないが、「濃度が下がっている」と宣伝されていた。中西氏が調べると、それぞれの工場から異なるモノを含んだ排水が流し込むと、見かけ上、それぞれのモノの濃度が下がるだけだと分かった。1971年に研究結果が発表され、1973年に廃止された。

これらは昔むかしの話である。

今頃、濃度規制が正しいので、処理などせずに、薄めてどんどん流せばよいなどと発言する人が原子力規制委員会の委員長でよいのであろうか。

外国企業の対米投資を審査する米国の独立機関、対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化する条項を加えたJohn McCain 国防権限法(NDAA)案が8月13日成立した。


これまでのCFIUSの審査対象は、安全保障に係るものと大統領が判断した買収に限られた。

今回、米国企業の買収を狙いとする取引に限らず、合弁会社設立や、米国の重要な技術やインフラ、個人情報に関わる少額の出資なども審査の対象とする。米政府施設に近い土地取得など不動産取引も含める。

中国が対米投資を通じて技術やノウハウを盗み出し、軍事技術に流用するのを食いとめたい考えだが、審査は外資すべてを対象としており、中国企業だけでなく、日本企業にも影響が出そうだ。

2018/8/17 米、対米投資の審査対象拡大


米財務省は10月10日、8月に成立した新法に基づく外資による対米投資の規制の詳細を発表した。11月10日から実施する。ハイテク分野での覇権を狙う中国から先端技術を保護するのが狙い。

半導体や情報通信、軍事など27産業を規制対象に指定し、少額出資でも当局に事前申告を義務づける。

規制対象となる分野も航空エンジン・部品、アルミニウム精錬、石油化学などと細かく指定した。ナノテクノロジー(超微細技術)の研究開発や光学レンズ製造も対象になっている。 幅広い無機化学品も含まれている。

ANNEX A TO PART 801 --対象産業:具体的には北米産業分類システム(NAICS)コードで定義

航空機、
航空機エンジン・エンジン部品、
アルミナ精錬・アルミ、
ボール・ベアリング、
コンピュータ記憶デバイス、
コンピュータ、
誘導ミサイル・宇宙船、
誘導ミサイル・宇宙船製造装置、
装甲車・タンク・タンク部品、
原子力発電、
光学機械・レンズ、
その他基礎無機化学品 (NAICS Code: 325180) 、
その他の誘導ミサイル・宇宙船部品・備品、
石油化学品
粉末冶金部品、
電力・配電・変圧器、
一次電池、
ラジオ&TV放送・無線通信機器、
ナノテクR&D、
バイオ分野のR&D、
アルミの2次精錬・アロイ、

航空及び航海の探査・発見・誘導システムと機器、
セミコンダクターと関連機器、
セミコンダクター製造機器、
蓄電池、
電話用器具、
タービン・タービン発電セット

規制対象となるのは、上記の対象分野で、外国人投資家が下記のことができる場合。

 ・ その企業が保有する重要な非公開情報にアクセスできること、
 ・ 取締役や類似のポジションに就く、
 ・ 重要な技術の使用、開発、取得、処分等の意思決定に参加すること

§ 801.302に対象を例示、§ 801.303に対象外を例示

規制対象は全ての外国人で、特定の国に限定しないとするが、中国が念頭にあるのは明らか。

規制の対象となる産業への対米投資が完了する45日前までにCFIUSに申告するよう外資企業に求める。これまでは事前申告を義務付けてはいなかった。
違反した場合には最大で予定していた取引額と同額の罰金(Civil monetary penalty up to the value of the transaction) を科す。

Steven Mnuchin 財務長官は「これらの暫定的な規制は、米国の極めて重要な技術に対する特定のリスクに対処するものだ」と説明した。

DuPontは10月3日、新生DuPontとなるのに伴い、ロゴを変更すると発表した。

現在のロゴは1909年から変わっていない。

同社の社名は正式には、創業者の名前を取った E. I. du Pont de Nemours and Companyである。

社名の通称は、当初は Du Pont (間にスペースあり)であった。ロゴはDU PONTである。

20年ほど前に、これを DuPontに変更した。
しかし、ロゴについては変更せず、そのまま使っていた。

今回、社名と同様に間のスペースを取り除き、DUPONTとする。
DowDuPontの子会社であり、正式社名も 
E. I. du Pont de Nemours and Company ではなく、Du Pontになると思われる。)

文字をで囲んでいた楕円(border)を取り除くが、元の印象を残すため、 卵型(oval )の中に文字を置く形をとった。

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DowDuPont は2018年2月26日、今後分離する3つの事業会社の社名を発表した。

米司法省は10月3日、日本ケミコンが電解コンデンサのカルテルで司法取引に応じたと発表した。

日本ケミコンはこれまでの電解コンデンサカルテルでは最大の罰金60百万ドルを支払う。また5年間の保護観察となり、その間、コンプライアンス計画を実行し、毎年その報告を行うことを義務付けられた。
同社の社員4名が起訴された。

同社は他社と共謀し、2001/11~2014/1の期間、電解コンデンサの競争を阻害したとされた。

これで電解コンデンサカルテルで合計8社と個人10名が起訴された。8社は全て罪を認め、合計150百万ドル以上の罰金支払いに応じた。
個人10名のうち、2名は罪を認め、それぞれ禁固刑(1年と1日)となっている。

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電解コンデンサカルテルでは、2015年9月2日に NEC TOKIN が罪を認め、13.8百万ドルの罰金を支払うことで合意した。

司法省はその前の2015年3月に日本のコンデンサメーカー(Company A とし、社名を明らかにしていない)の1名を起訴したと発表している。

司法省は2016年4月27日、日立化成が司法取引を行ったと発表した。この時点では司法省と日立化成ともに、罰金額については明らかにしなかったが、後の司法省の発表では 3.8百万ドルとなっている。

2016/4/30  日立化成、コンデンサ事業でのカルテルで米国司法省と司法取引

司法省は2016年8月、ルビコンエルナーHoly Stone の3社と司法取引を行ったと発表した。罰金額はいずれも明らかにしていない。エルナーの1名が罪を認めた(禁固1年と1日)。


日立化成エレクトロニクスは2010年に、三春工場のタンタル・ニオブコンデンサ事業を台湾の禾伸堂企業股份有限公司(Holy Stone Enterprise Co., Ltd. )に売却した。
(Holy Stoneはその後2014年に、これを米国の
Vishay Intertechnologyの子会社ビシェイポリテックに売却した。)

司法省は2016年12月に3名を起訴したと発表した。Company Aの2名、Company Dの1名としている。

2017年2月に松尾電機が司法取引に応じた。罰金額は明らかにしていない。同社の1名が罪を認めた(禁固1年と1日)。

2017年7月にニチコンが司法取引に応じ、罰金 42百万ドルを支払った。(同社は別途、需要家に和解金として21.5百万ドルを支払うことで合意)

今回の日本ケミコンが8社目となる。個人の起訴は10人目となる。

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コンデンサー業界は日本のほか、中国、台湾、米国、韓国、欧州でカルテルの調査を受けている。中国以外で全て有罪となった。

2015/12/15 台湾、日系などのコンデンサーメーカーの価格カルテルに多額の課徴金

2016/4/2  公取委、コンデンサーメーカーに課徴金納付命令

2018/3/30 EU、コンデンサーカルテルで制裁金

2015/10/3 韓国公取委、日本のコンデンサーメーカーの価格カルテル調査


韓国公取委は2018年9月16日、日本のコンデンサー製造・販売企業9社が、アルミニウム・タンタルコンデンサーの供給価格を共同で引き上げまたは維持することで合意していた行為を摘発し、是正命令と共に課徴金360億ウォン(36億円)を賦課したと発表した。

制裁を受けた日本企業は、
アルミニウムコンデンサーではニチコン、三洋電気(現 パナソニック)、エルナー、日立化成エレクトロニクス、ルビコン、日本ケミコンの6社。
タンタルコンデンサーは、ニチコン、三洋電気、エルナー、日立化成エレクトロニクス、トーキン、松尾電気、ビシェイポリテックの7社。

公取委は、ビシェイポリテック、松尾電気、エルナー、日本ケミコンの4法人と日本ケミコン所属の職員1人を検察に告発した。

企業側発表の課徴金:

日立化成:2,012百万ウォン
松尾電機:1,840百万ウォン




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