米航空機エンジン・機械大手 United Technologies 傘下の空調大手 Carrier は11月30日、メキシコに移転予定だったインディアナ州のIndianapolis 工場の1,000人の雇用を維持することで、Trump 次期大統領と Pence 次期副大統領(同州知事)と合意したと発表した。

Carrier は2016年2月にメキシコ移転を発表した。Indianapolis 工場は閉鎖とな る。移転は2017年に始まり、2019年に完了、約1,400人の雇用が犠牲になる。

Trump 氏はCarrierが2月のメキシコへの生産移転を発表した直後からこれを批判しており、最近も同社の名前をあげて移転を阻止する方針を明らかにしていた。

しかし、会社側は計画を進め、7月には労働組合が退職条件で会社側と合意している。

大統領選挙での勝利を受け、Trump氏はCarrier の親会社のUnited Technologies のGregory Hayes CEOに電話し、計画取り止めを求めた。CEOがメキシコに新工場を建設済みだと反論したのに対し、「貸すか、売るか、壊すかしろ。知ったことか」と応えたという。

インディアナ州知事でもあるPence 次期副大統領とHayes CEOが水面下で交渉した。

今回の合意に伴い、インディアナ州はCarrierに10年間で700万ドルの助成金を支給する。

具体的には以下の通り。

The Indiana Economic Development Corp. (インディアナ経済開発公社)は Carrierに対し、平均時給 30.91ドルで 1,069人の雇用を維持する条件で、

1)  年50万ドルの税額控除を10年間行う。(計500万ドル)

2)  従業員訓練費用の補助金として100万ドルを支払う。

3) Carrierが同工場に将来投資をすることを条件に100万ドルの税額控除を行う。

Carrierはこの取り決めで、工場の従業員1400人中 800人前後と本社の開発・ 管理要員など 300人前後の雇用を継続する。

United TechnologiesのCEOは、Indianapolis 工場を維持するため2年間で1600万ドル以上を投資すると表明している。

合計でも1年当たり70万ドルの助成で、工場移転で想定していたコスト削減効果のごく一部に 過ぎない。

米メディアによると、Carrier はメキシコでの平均賃金を日給11ドルと見込んでおり、30.91ドルとは大きな開きがある。
1,069人をメキシコに移す場合の人件費の差は年間 45百万ドルに達する。

親会社のUnited Technologies は子会社にジェットエンジン製造のPratt & Whitney を持つ防衛関連のコントラクターで、連邦政府向けの売上高は全体の約10%の56億ドルもある。連邦政府はまた、同社に15億ドルの研究開発費を払っている。

メディアでは同社とTrump 次期大統領との間でなんらかの約束があるのではないかと見ている。

United Technologiesが軍用機事業で政府側の取引停止など報復を恐れたとの報道もある。
Trump次期大統領はUnited TechnologiesのCEOに対し、メキシコ移転で失業する従業員の多くを救済する道を探さなければ、次期政権の怒りを買うと警告していた。

同社は「Trump - Pence 次期政権がビジネス社会を支え、国内ビジネス環境の改善と競争力強化を進める方針を力説したため、今日の合意に至った」と表明した。

Trump次期大統領は12月1日に同工場を訪問した際、他の企業へのメッセージとして、生産を海外に移す企業が製品を米国に輸入する際、その製品に厳しい関税を課するとの誓約を実行する積もりだと 述べた。「我々は米国の労働者を守らねばならないということをCorporate America は理解する必要がある」と述べた。

12月4日のツイッターでは海外移転企業の米国への輸入品に35%を課税すると述べた。

また、NAFTAは「全くの災害」と批判し、「それは変わるだろう」と見直しの必要性を改めて示唆した。

Ronald Trump は10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 "Donald Trump's Contract With The American Voter" を発表している。
その中で、米国の労働者保護のため、7つのアクションを行うとし、「TPPからの撤退宣言」と「米・加・メキシコの北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表」などを挙げている

2016/11/11 トランプの公約 

今回、Carrier はメキシコに雇用を移す予定であった1400人のうち、800人をIndianapolis 工場に残すが、残り600人分の雇用をメキシコ工場に移す。Carrier は更に、インディアナ州Huntingtonの工場を閉鎖し、700人分の雇用をメキシコに移す予定である。

United TechnologiesはCarrier のほかに Pratt & Whitney(ジェットエンジン)やOtis (エレベーター)を持ち、20万人を雇用するが、そのうち米国での雇用は1/3に過ぎない。

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米国の資本主義はルールと法をベースにする。

Carrierに関しては、次期大統領は飴と鞭を使って自分の望むようにやらせた。

Reagan 大統領の空港管制官ストライキへの対応は小さな行動だったが大きな影響を与えた。今回のことも小さなことだが、そうなるのではなかろうか。

大統領が、国民が何を求めているか見当をつけ、それを国民に与えるよう企業に圧力をかけるのが良いことだという原則が確立されつつある。

中国が自分の意思をどんどんと課している香港のように、我々は、ルールに基づく資本主義(rule of law capitalism)からその場しのぎの合意に基づく資本主義 (ad hoc deal-based capitalism) への逆行の第一歩を踏み出したのかも知れない。

大統領は大きな権限を持つ。しかし、その使用を制限するのが、我々と独裁国 (banana republics ) との重要な違いの一つだ。

もし、企業が大統領の望む場所に工場をつくり、大統領の再選の選挙資金を寄付し、大統領が望む人を雇用し、大統領が望む研究開発を行い、大統領が支援したい人に金を貸すなら、どうなるか?

私が間違っていることを望むが、結果として我々がより貧しくなるだけでなく、より不自由になると考える。

OPECは11月30日にウィーンの本部で開いた総会で、8年ぶり(国別)の減産で合意した。

総会では9月28日のアルジェリアでの臨時総会で合意した日量3,250万~3,300万バレルの下限である3,250万バレルに減産することで加盟国がまとまった。
2017年1月1日から実施し、実行をチェックするためのHigh-level Monitoring Committeeの設置を決めた。

発表文では「OPEC14カ国の生産枠を3,250万バレルとする」としているが、報道されている国別枠の合計では32,682千バレルで、現状からは1,164千バレルの減産となる。 (「現状」は新生産枠と減産量から逆算したもので、10月の外部ソースの実績とは一致しない。)

当初は全加盟国に減産協力を求めるサウジと、減産の適用除外を求めるイランが対立していた。また、政情不安によって生産量が一時的に落ち込んだリビアやナイジェリアも生産量の回復を目指していた。

今回、アルジェリアの仲介で、イランへの譲歩に難色を示してきたサウジが軟化し、下記の調整をすることで合意に達した。

政情不安などで生産量を落としているナイジェリアとリビアは減産の適用を免れた。

昨年、
OPECに再加盟したインドネシア は、石油の純輸入国であることから減産への参加を見送り、加盟を一時停止した。

イランはかねて、米欧の経済制裁前の生産量である日量400万バレルへの回復を主張してきた。
今回の合意では、現状の生産量を9万バレル上回る380万バレル弱の生産量を割り当てた。

これ以外の加盟10カ国は現状から4.6%の減産となる。
当初はイランなどの例外措置の分をサウジが引き受けると見られていたが、そうはなっていない。

OPECでは、生産調整に協力する姿勢を示すロシアなどの非加盟国と12月上旬に協議する 。

非加盟国の合計で60万バレルの減産を求める考えで、非加盟国の参加を減産実施の条件とする。
OPEC議長国カタールのサダ・エネルギー相は総会後の記者会見で、「ロシアは30万バレルの減産に応じる」と述べ、他の非加盟国にも減産への参加を呼びかける。

今回、約120万バレルの減産が決まったが、新しい生産枠は2016年の第1四半期の生産量より多く、たいした減産ではない。
原油市場の需給は2017年に均衡に向かう
見通しだが、シェールオイルが増産する可能性が高く、高価格が続く可能性は少ない。

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OPEC発表の生産実績(外部ソース)と報道による国別の減産量と新しい生産枠は下記の通りとなる。

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OPEC生産枠の推移は下記の通り。(千バレル/日)

2007/2 2007/11 2008/1 2008/9 2008/11 2009/1 2012/1 以降
Algeria 794 1,357 1,357 1,357 1,286






Iraq
 含まず

Iraq
 含む

Iran 3,788 3,817 3,817 3,817 3,618
Kuwait 2,065 2,531 2,531 2,531 2,399
Libya 1,371 1,712 1,712 1,712 1,623
Nigeria 2,123 2,163 2,163 2,163 2,050
Qatar 663 828 828 828 785
Saudi 8,399 8,943 8,943 8,943 8,477
UAE 2,257 2,567 2,567 2,567 2,433
Venezuela 2,970 2,470 2,470 2,470 2,341
Angola     ー     ー 1,900 1,900 1,801
Equador     ー     ー 520 520 493
Iraq (ー) (ー) (ー) (ー) (ー) (ー)
Indonesia 1,370 865 865

離  脱

2015再加盟
Gabon

離   脱

2016再加盟
Total 25,800 27,253 29,673 28,808  27,300 24,845 30,000

枠なし

Relianceはこのたび、サムスン重工業の巨済市の造船所で世界初の大型エタン輸送船(Very Large Ethane Carrier:VLEC) 2隻、Ethane Crystal と Ethane Emerald の引渡しを受けた。

Relianceが2014年に発注した6隻の最初の2隻で、輸送量は87,000 m3、これまでで最大のエタン輸送船である。
フランスのGaztransport et Technigaz SA (GTT) の新しいメンブレンを使用している。

LNGやエタンの輸送には球形独立タンク方式(モス方式)とメンブレンタンク方式がある。後者は船体内部に防熱材を取り付けてその表面をメンブレン(金属の薄膜)で覆った構造となっている。メンブレンは貨物漏れ防止の液密を保持することが目的である。

本船はGTT社製のMarkIII メンブレン型のカーゴタンクシステムおよび再液化装置を搭載しており、約 -92℃の液化エタンを輸送する。
LNG船が約 -162℃、LPG船が約 -42℃の貨物を想定しているのに対して、VLECはいわば両者の中間に位置づけられる。


価格は1隻 120百万ドル。


商船三井(Mitsui O.S.K. Lines)が2014年12月にこれらの船の管理の契約を締結した。2016年末より順次竣工を予定するVLEC6隻の建造を監督し、竣工後は長期契約のもと本船の船舶管理および運航を行う。

日本の海運会社として初めて、本格的な液化エタン輸送に参入する。

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Reliance は米国のシェールのJVからの年間150万トンのエタンをインドのGujarat の石化コンプレックスに輸送する計画。

RelianceはMarcellus shaleでChevron及びCarrizo Oil & Gasとの2つのJVを持っている。

Reliance Industries は2010年4月9日、米国のAtlas Energy, Inc.との間で米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアでのシェールガス開発でAtlasの権利の40%を取得する契約を締結したと発表した。

Relianceは、Atlasが権利を持つ合計30万エーカーの未開発鉱区のうち不可分の40%の権利を取得する。
操業はAtlasが行うが、Relianceは将来、Atlasの主操業地区以外で操業を行うオプションを持つ。

Reliance は権利取得に339百万ドルを支払うとともに、7年半の開発期間中に自社枠の開発投資のほか、Atlas分の開発投資の75%(13.6億ドルが限度)を負担する。

その後、2010年11月にChevronがAtlas Energyを買収すると発表した。

2010/4/15  Reliacne Industries、Atlas Energy と組んで Marcellus Shale を開発

Relianceは2010年8月、Carrizo Oil & Gas Inc.とのJVを設立し、Marcellus shaleの鉱区の60%の権利を取得した。

同鉱区では、Avista Capital PartnersのACP II Marcellus LLCと.Carrizoの50/50JVが権利を持っていたが、RelianceはAvistaの権利全てとCarrizoの権利の20%を合計392百万ドルで取得することで、権益の60%を取得する。


Relianceは更に、Eagle Ford Shaleでも権益を有している。

Reliance Industries は2010年6月24日、米国のPioneer Natural Resources CompanyとJVを設立し、PioneerのEagle Ford Shaleの45%を取得すると発表した。

この計画に16%の権益をもつNewpek LLCも権益の一部を譲渡、JVの比率はPioneerが46%、Reliance が45%、Newpekが9%となる。
JVは289千エーカーの鉱区のうちの91%の権益を保有する。

Relianceは対価として13.15億ドルを支払う。

Pioneer Natural Resources と Reliance はその後、このEagle Ford Shale からのコンデンセートや天然ガスを集荷、処理するためのJV Eagle Ford Shale Midstreamを50.1/ 49.9で設立した。

しかし、PioneerとReliance は2015年6月1日、Eagle Ford Shale MidstreamEnterprise Products Partners L.P.に21.5億ドルで売却する契約を締結した。

2010/7/3 Reliacne Industries、Pioneer Natural Resources と組んでテキサスのShale を開発




財務省は11月24日の関税・外国為替等審議会で、特恵関税制度の対象国の要件を見直し、2019年度に実施する方針を示した。

現在は「高所得国」を対象外としているが、これを、3年連続で「高中所得国」で、かつその国の輸出額が世界の輸出額の1%以上の国も対象外とする。

新規定では、高中所得国に属している中国とメキシコ、ブラジル、タイ、マレーシアの5カ国が適用対象外となる。

EU とカナダ も同様の制度改正を行っている。

この報道を受け、中国商務部の報道官は24日の定例記者会見で、次のように述べた。

報道に注意している。中国は今なお世界最大の発展途上国だ。中国の経済規模は世界2位だが、一人あたり平均GDP、都市部・農村部の発展、社会福祉などでは先進国とはまだ大きな開きがあり、近代化実現への道のりは依然として遠い。

中日はともに世界の貿易大国であり、お互いに重要な経済貿易パートナーであり、両国経済は相互補完性が高く、協力の発展は双方の利益に合致しており、双方がともに努力し、同じ目標に向かって進み、中日経済貿易関係の健全な発展を後押しし、グローバル経済の成長に貢献することを願う。

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特恵関税制度は、開発途上国を原産地とする特定の輸入品について、一般の関税率よりも低い税率を適用して、開発途上国の輸出所得の増大、工業化の促進を図り、経済発展を支援しようとするもので、日本では1971年8月から実施している。


対象国については、

農水産品については、一部の品目を対象としており、その関税率は品目ごとに異なる。
鉱工業品については、一部の例外を除く全ての品目を対象としており、その関税率は原則として無税だが、一部有税のものがある。

後発開発途上国(LDC)からの輸入に関しては、特別特恵関税制度で、ほぼ全ての品目に対して無税が適用される。

現在の特恵関税の対象国は、国際復興開発銀行(世銀)が公表する統計において、「高所得国」に分類される国又は地域以外となっており、現在は138カ国と5地域が対象で、そのうち47カ国が特別特恵受益国となっている。

2016年度の世銀統計では、2014年時点の1人当たり国民総所得により分類している。

高所得国 $ 12,736 以上
高中所得国 $ 4,125 超 $12,736未満
低中所得国 $ 1,045 超 $4,125 未満
低所得国 $ 1,045 以下
現在のルールでは、前年までの3か年の世銀統計において、連続して「高所得国」に分類された国は 特恵対象から除外することとなっている。(特恵卒業国)


今回、ウルグアイ、セントキッツ・ネーヴィスセントクリストファー・ネーヴィス、チリの3カ国がこれに該当し、2017年度に卒業する。

過去には、EU加盟国は、上記の条件に関係なく、EU加盟に伴って対象から外れた。

今回、現在の要件に加え、3年連続で、①「高中所得国」以上に該当し、かつ、②世界の総輸出額に占める当該国の輸出額の割合が1%以上で国を対象外とする。
実施は2019年度が適当としている。

背景には、特恵制度の適用実績では、便益を享受している国が一部の高中所得国に偏在していることがある。

2015年度の一般特恵輸入額実績
   高中所得国     1兆320億円
   低中所得&低所得国  390億円

このなかで中国は、日本の輸入額の4分の1を占める。
2015年度に優遇税率を適用されたものの6割が中国からの輸入品。

そのなかで、中国など5カ国は急速な経済成長で輸出競争力を上げており、輸出額が世界の輸出額の1%以上を占めている。

EUとカナダが同様の改正を行っている。

特恵除外 改正時期 特恵対象国
EU 「3年連続で高中所得国に該当」 2014年1月 17785
カナダ 「2年連続で高中所得国に該当」、かつ、
「2年連続で世界の総輸出額の1%以上」
2015年1月 175103
日本 「3年連続で高中所得国に該当」、かつ、
「3年連続で世界の総輸出額の1%以上」
2019年4月 143138



米政府は11月23日、中国を世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」と認定しない方針を明らかにした。


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中国は2001年12月にWTOに加盟した。

その際、中国以外のWTO加盟国が、中国産品についてAD 措置又は相殺措置に係る調査を行う際の価格比較及び補助金額の算定に関し、中国を「非市場経済国 (Non Market Economy)」として扱う特例が、加盟後15年間認められた。

WTO協定では「貿易の完全な又は実質的に完全な独占を設定している国で、すべての国内価格が国家により定められているものからの輸入の場合には、規定の適用上比較可能な価格の決定が困難であり、また、このような場合には、輸入締約国にとって、このような国における国内価格との厳密な比較が必ずしも適当でないことを考慮する必要があることを認める」と規定している。

この結果、「市場経済国」との認定を受けていない国の場合、ダンピング調査の際に、輸出価格は、国内価格との比較ではなく、経済発展レベルが近い代替国の価格と比較して判定される。

これまでにロシア、ブラジル、ニュージーランド、スイス、オーストラリアなど81国(2016/2時点)が中国の市場経済国家の地位を認めた。
しかし、米、EU、日本、カナダなどの多くの国々や地域は未だに承認していない。

中国は、中国を「非市場経済国」とする根拠となっている条項は15年が経過する2016年12月11日に失効するため、自動的に「市場経済国」へ移行すると主張している。

2016/2/12 中国の「市場経済国」認定問題

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プリツカー米商務長官は11月23日の記者会見で、「市場経済国への移行は機が熟していない」と述べた。

中国は15年の経過で移行するとしているが、長官は、「WTO協定は中国が市場経済国に自動的に移行するとは定めていない」と主張した。
そのうえで、移行の条件は法律で決めれれた6つの基準に従って決めるとし、「現時点では機が熟していない」とした。

米国では、1930年関税法第771条(18)(B)で、ある国が非市場経済国であるかどうかを判断する基準が次のように決められている。

 1)どの程度当該国の通貨が他国通貨と交換可能であるか、
 2)どの程度労使間交渉により賃金水準が決まっているのか、
 3)どの程度外資による投資が認められているか、
 4)どの程度政府が生産手段を統制するのか、
 5)政府による資源配分、価格、および生産決定に対する統制はあるのか、
 6)その他当局が適切であると考える要因

鉄鋼製品など中国の安値輸出に歯止めをかける狙いがある。

中国は過剰生産設備の解消が遅れ、鉄鋼などのダンピングが世界的に問題視されている。

中国が「市場経済国」になれば、ダンピングの判断は中国の輸出価格が中国国内の価格に比べて安い場合となる。
しかし、国内の設備過剰により鉄鋼製品の国内価格が国際価格よりも大幅に安いため、輸出価格が第三国の国内価格より安くてもダンピングとみなされないこととなる。

中国国内価格 中国輸出価格 第三国国内価格
非市場経済国の場合:

ダンピング認定可

市場経済国の場合:

ダンピングでない

これに対し、中国外務省は 「中国が市場経済を発展させた成果は世界が認めている」と強調した。

トランプ次期大統領は大統領選中、「為替操作国である中国からの輸入品に45%の関税を課す」と主張してきた。当選後はこの件に触れていないが、中国には危機感が強い。

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EUは2月2日、中国をWTO協定上の「市場経済国」と認めるかどうかの協議を始めた。


欧州議会は5月に中国の「市場経済国」としての扱いに反対するとの決議を採択し、欧州委員会に対して本件についての適切な措置を提案するよう求めた。

欧州委員会は7月20日、中国を12月以降に「市場経済国」として扱う 場合、どのような政治的、経済的及び法的な影響がもたらされるかを中心に、3つの選択肢について審議したと発表した。

 ①中国を「非市場経済国」としているEUの現行法制を維持する 。
 ②中国を「非市場経済国」のリストから外し、ダンピングの認定手続き等について通常の方式を適用する。
 ③WTO加盟国としてのEUの国際的な義務を履行する一方で、貿易上の防御制度を抜本的に見直し、新たな方式によりダンピング問題等に対処する 。

審議の結果、欧州委員会はWTOの法的な枠組みの下でのEUの国際的な義務を尊重するとともに、現在の実態 :特に、現存する鉄鋼製品等の過剰生産問題:に対処することができる新たな貿易上の防御手段を備える必要があるとの点で意見が一致した。

WTO上の義務に違反して中国から損害賠償を求められるおそれのある事態を回避し、同時に「市場経済国」として認定することによってもたらされると考えられる安値競争に対抗できなくなるという事態をも回避するために、EU域内での新たな通商上の救済措置を策定することを選択したこととな る。

カタイネン欧州委員会副委員長(雇用、成長、投資及び競争政策担当)は、今回の審議は中国が「市場経済国」であるかどうかについて行ったわけではなく、過剰生産能力という実態、さらには変貌しつつある国際的な法的枠組みに対処する上でEUの貿易防御手段をこれにどう適合させるかについて行ったものであると述べてい る。

また、マルムストロム通商担当委員は、市場の歪みに対処するための効果的な通商上の貿易手段が今後必要になるとし、新たな経済の実態に適合し、臨機に活用することのできるツールを確保することが必要であると述べ た。

欧州委員会は11月9日、輸入製品が不当にEU域内で安く販売された場合に適用する、反ダンピング課税の算出に関する制度改正案をまとめた。
鉄鋼の過剰生産などで域内企業を脅かす中国を念頭に、WTOルールとの整合性を保ちつつ、制度の実効性を確保するのが狙い。

まず、輸入品のダンピング判定に関しては、中国を含む15カ国を指定している非市場経済国のカテゴリーの廃止を提案する。

一方で、国家介入によりゆがめられていると見なされる市場を有する国に対し、反ダンピング税算出の特別な公式を策定することを目指している。
これにより中国製品への反ダンピング税は現行水準で維持できることとなり、域内の経済成長や雇用に障害となる安い中国製品の大量流入の可能性に対する産業界の懸念と政治的懸念の双方に対処できる。

これに対し中国は、EUが中国の「市場経済国」としての地位を完全には認めていないことに政府は失望していると述べた。

EUの提案は、 中国が「非市場経済国」であるとの認定を取り下げるものだとみなすが、欧州委員会が「著しいゆがみ」が生じた場合の条項を盛り込んだことに失望していると述べた。

「現状をひそかに維持することを許容したに過ぎない」と述べ 、新しい基準は「公正で合理的かつ、透明性を持つべきであり、新しい形で差別を行うものであってはならない」と主張した。

日本は外交関係も考慮して市場経済国か否かを明確にせず、事実上は非市場経済国としての対応を取るものとみられる。

 

厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は11月24日、米Merck(海外子会社の社名はMSD)が開発中のがん免疫薬「キイトルーダ」を肺癌の大部分を占める非小細胞肺癌向けに承認して問題ないと判断した。12月にも厚労省が正式承認する見通し。

キイトルーダはオプジーボと作用が同じで、対象疾患も競合する。

オプジーボが使えるのは現時点で、皮膚癌の一種である悪性黒色腫と、非小細胞肺癌、腎細胞癌の3種類。
キイトルーダは本年9月に悪性黒色腫への使用が承認され、今回の非小細胞肺癌で2種類目となる。

このほか、下記のヤーボイが根治切除不能な悪性黒色腫で承認を受けている。

オプジーボによる治療は、放射線や手術による治療が難しく、かつ、抗癌剤による化学療法の経験のある患者が対象になる。
これに対し、キイトルーダは肺癌患者に対して最初の抗癌剤として使える点が利点となる。

キイトルーダ の薬価は、今回薬価が50%引き下げられたオプジーボの薬価を基準に決められる。同水準になると思われる。
(キイトルーダは9月に悪性黒色腫への使用が承認されたが、
非小細胞肺がんへの拡大を視野に入れ、オプジーボの新しい薬価が決まるのを待つため、薬価収載申請を見送っていた。)

2016/11/17 オプジーボ 50%値下げ 

オプジーボの類似薬となる癌免疫薬は他に、中外製薬、AstraZeneca、独 Merck/米Pfizer連合がそれぞれ 国内で開発している。
来年以降、日本市場に登場する可能性があり、癌免疫薬を巡る競争はさらに激しくなりそうだ。

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これらの癌免疫薬は免疫チェックポイント阻害薬とよばれる。
(他に、自分のリンパ球を取り出し培養したうえで、活性化したリンパ球だけ、特にナチュラル・キラー細胞を戻すNK細胞投与がある。)

癌細胞には、免疫細胞攻撃を防止する「免疫チェックポイント」という仕組みがある。

1) 癌細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるために、PD-L1 というタンパク質を出し、これが免疫細胞のPD-1 に結合すると、免疫細胞の働きが抑制される。

2) 免疫細胞は、抗原提示細胞である樹状細胞から癌抗原の提示を受けると働きが活発になり、それを目印に癌細胞を攻撃するが、抗原提示を受ける際、免疫細胞のCTLA-4 に樹状細胞のB7というタンパク質が結合すると、逆に免疫細胞の働きが抑制され、癌細胞を攻撃できなくなる。


これらの「免疫チェックポイント」を阻害して、免疫細胞に癌細胞を攻撃させるのが、免疫チェックポイント阻害薬である。

機能 承認 開発中
抗PD-1抗体 免疫細胞のPD-1に結合し、PD-1と癌細胞のPD-L1の結合を防止 オプジーボ(小野薬品/BMS)
キイトルーダ(米Merck)
抗PD-L1抗体 癌細胞のPD-L1に結合し、PD-1とPD-L1の結合を防止 Roche/中外製薬
AstraZeneca
独Merck
/Pfyzer
抗CTLA-4抗体 免疫細胞のCTLA-4に結合し、CTLA-4と樹状細胞のB7の結合を防止 ヤーボイ(BMS/小野薬品)
AstraZeneca

                                   BMS=Bristol-Myers Squibb


米国の人事・組織コンサルティング会社の Mercer は、2009年から世界各国の年金制度を横断的に比較し、かつ最も多角的、包括的に調査した指数であるといえるグローバル年金指数 (Merbourne Mercer Global Pension Index)を毎年発表しているが、本年も2016年度の指数とランキングを発表した。

Mercer はニューヨークを本拠地とし、世界40カ国約180都市にわたるグローバルネットワークに、19,000名以上のスタッフを擁する世界最大の組織・人事マネジメント・コンサルティング会社。1959年にアメリカ大手保険グループである Marsh & McLennan に買収された。

ランキング首位はデンマークで、2012年より5年連続で首位を堅持 しており、同国とオランダのみが最高ランク "A" の評価を得ている。
十分に積み立てられた年金制度や、多くの加入者数、優れた資産構成と掛金の水準、十分な給付レベルおよび法令の整った個人年金制度の提供が首位となった主な理由である。

デンマークと共にオーストラリア、オランダは3年連続トップ3の順位を維持している。

これに対し、日本の年金制度のランキングは 当初から最下位グループに属しており、今回は27ヵ国中26位となった。

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Merbourne Mercer Global Pension Indexは豪州ビクトリア州政府の支援により、オーストラリアの金融サービスやリサーチの専門分野の頭脳を結集して開発されたもの。

2009年に日本、中国を含む11カ国を対象としたが、順次対象を加え、今回は27カ国となり、全世界の人口の60%近くをカバーしている。

評価は40以上の質問項目から構成され、対象国の年金制度に0から100までの評価が付けられ、「十分性(Adequacy)」、「持続性(Sustainability)」、「健全性(Integrity)」の平均評価値が指数として表される。

各項目の評価指数における構成は次の通り:

十分性(Adequacy) 40% 公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか、老後のための貯蓄は十分になされているか等。
持続性(Sustainability) 35% 年金が支払われるのに十分な環境が整っているか、平均寿命と支給開始年齢の関係は良いか、国家の破綻のリスクがなく持続可能なものか等。
健全性(Integrity) 25% 年金制度をうまく運用するための見直し機能や透明性が担保されているか、また私的年金のスキーム等。
世界銀行が発表している世界ガバナンス指数を評価に加えている。


総合指数の評価は次のとおり。

指数 Grade 評価基準 今回対象国(グラフ参照)
80以上 A 十分な給付を提供、持続可能で、高い健全性を保つ、非常に優れた堅牢な年金給付制度 デンマーク、オランダ
75~80 B+ 健全な構造と多くの優れた特性を有する制度だが、改善すべき点あり。 豪州
65~75 B フィンランドほか
60~65 C+ いくつかの優れた特性を備えるが、同時に対処すべき重要なリスク、欠点がある。
改善なければ、有効性、長期的持続可能性が疑問視される。
アイルランド、英国
50~60 C ドイツほか
35~50 D いくつかの優れた特性を備えるが、同時に対処すべき重要な弱点、欠落がある。
改善なければ、有効性、長期的持続可能性が疑問視される。
イタリア以下、日本、アルゼンチン
35以下 E 構築の初期段階にある不十分な制度 該当なし

日本の場合、健全性は60.9だが、十分性は48.5、持続性が24.4で、総合指数は43.2にとどまる。

過去の順位:

一位 日本の順位 日本より下位
2009年 オランダ 11/11 なし
2010年 オランダ 13/14 中国
2011年 オランダ 14/16 インド(新規)、中国
2012年 デンマーク 17/18 インド
2013年 デンマーク 17/20 韓国、インド、インドネシア(新規)
2014年 デンマーク 23/25 韓国、インド
2015年 デンマーク 23/25 韓国、インド
2016年 デンマーク 26/27 アルゼンチン(新規)

日本の年金制度については、例年指数・ランキング共に大きな変化がなく、制度の安定性はみられるものの、高齢化社会をめぐる課題に対する取り組みなど、引き続き改善の余地があることが明らかになった。

マーサージャパン以下の通りコメントしている。

「日本の総合評価が低いのは、特に、十分性と持続性の評価が低いためです。

十分性に関しては、年金給付による所得代替率(現役世代の年収と年金給付額の比率)が低いこと、税制や私的年金の仕組みが年金受給を促す形になっていないこと、などが評価を引き下げています。また、持続性に関しては、少子高齢化に伴い高齢者人口割合が増加していること、平均余命の増加により公的年金の期待支給期間(平均余命と年金支給開始年齢の差)が長くなっていること、さらには政府債務残高が大きいことなどの要因により低い評価となっています。

日本では他国よりも早いペースで少子高齢化が進行し、平均余命も伸長しています。公的年金では、社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整するマクロ経済スライドが2015年に初めて発動され、年金給付額の伸びは賃金や物価の上昇分以下に抑えられました。このような中、老後の生活資金を確保するには、公的年金に加え、企業年金や個人年金などの私的年金からの収入や活用方法を理解した上で、個人のライフスタイルに応じた早めの資金準備を実施していくことが重要になってきます。」 

ーーー

公的年金の支給額を引き下げる新しいルールを盛り込んだ年金制度改革法案は11月25日の衆院厚生労働委員会で可決された。将来の年金水準を維持する狙いがある。

法案に盛り込まれた新ルールでは、これまで賃金が下がっても物価が上がれば年金が据え置かれていたシステムを変え、新たに賃金の下げ幅に連動して支給額も下げる。

また、支給額が上がる場合でも増加額を毎年0.9%ずつ目減りさせる「マクロ経済スライド」のルールも、2018年度から強化する。

「マクロ経済スライド」は、減益人口が減り保険料収入が減る一方、平均余命の伸びで年金支出が増え、年金会計が悪化するのを補填するため、消費者物価アップなどによる年金のアップを調整するもの。

2004年の年金制度改正で導入されたが、これまでは物価スライド特例措置(物価が下落しても年金を下げない)分を取り戻すために年金アップを抑えた期間は適用せず、2015年に初めて実施された。

2015/2/12  年金のマクロ経済スライド実施 

今までの制度では年金の伸びから0.9%ポイントを減らすことになっているが、消費者物価のアップが低い場合は下記の通り 調整される。

消費者物価 本来の
スライド調整
実際の
スライド調整
年金改定
+2.3 -0.9 -0.9 +1.4 ルール通り適用
+0.8 -0.9 -0.8 0 調整を 0.1%分 棚上げ
-1.0 -0.9 -0 -1.0 調整を全て棚上げ
今回の改正では、賃金や物価が低迷する景気後退期には支給額の抑制を凍結し、代わりに賃金や物価が上昇した局面で過去の調整不足分をまとめて年金額を抑える。2018年度から導入する。

韓国政府は中南米との自由貿易協定(FTA)交渉を加速している。

韓国の産業通商資源部長官は11月16日ニカラグアで中米6カ国(グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、ホンジュラス、コスタリカ、パナマ)の通産相とともに、「韓国・中米自由貿易協定(FTA)交渉が実質的に妥結した」と公式宣言した。 昨年6月の交渉開始から1年5カ月ぶりで、来年上半期中に正式署名する。

中米6カ国は自動車や鉄鋼など韓国の輸出品のうち品目数基準で約95%に対し関税を撤廃する。コスタリカは自動車に対する関税をFTA発効と同時になくす。残りの国も発効後5~10年以内に自動車の関税を相次いで撤廃する。冷延鋼鈑など鉄鋼製品に対しても6カ国すべてが発効後10年以内に関税をなくす。
現在これらの国は韓国製自動車に最高30%、鉄鋼製品に最高15%の関税を課している。

韓国はコーヒー、原糖(サトウキビ樹液)に対し発効と同時に関税を撤廃する。牛肉は国によって発効後16~19年、豚肉は10~16年後に無関税で輸入する。
コメ、ニンニク、タマネギなどは関税撤廃縮小対象から除外された。

韓国産業通商資源部はまた、11月21日から2日間、アルゼンチンのブエノスアイレスで南米南部共同市場(Mercosur)との貿易協定の予備交渉を行った。

Mercosurはブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラの南米5カ国の関税同盟で(ボリビアが参加を認められ、批准待ち)、中南米の人口の45%(2億8600万人)、GDPの52.4%(2兆8000億ドル)を占める有望市場。

韓国政府はMercosurとの貿易協定が実現すれば、対Mercosur輸出が35億-37億ドル増えると試算している。

さらにこれに先立ち、産業通商資源部はメキシコとの間で、来年2月に次官級のFTA予備協議を行うことで合意した。

産業通商資源部関係者は「計画通りにFTAが結ばれれば、韓国はカナダからチリに至る北米、南米のFTAベルトを構築することになる。これは最近広がる保護貿易主義に対応する戦略的な足がかりとして活用できる」と述べた。

ーーー

韓国は米国、EU、ASEAN、インド、チリ、ペルー、コロンビアなどの国・地域との間でFTAを締結し、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」と自称したが、その後、中国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどとも締結した。

米国、カナダ、EU、中国の大国・地域については、日本はFTAを締結しておらず、差がついている。

日本は米国、カナダについては、2カ国間のFTAよりも広範な、非関税分野(投資、競争、知的財産)のルールづくりや、環境・労働などの新しい分野の内容を取り決める協定であるTPPに調印し、韓国に追いつき、逆に差を付けたかに見えた。韓国政府も取り残されるのを恐れ、TPPへの参加の要請を行った。

しかし、Trump次期大統領のTPP 離脱の意向表明でTPP の発効の可能性はほぼ消えた。

日本もFTA交渉を続けるしかないが、米国の場合はTrump が「雇用や産業を米国国内に取り戻すための公平な二国間の貿易協定」を主張しており、極めて厳しいものになると思われる。


日本と韓国のFTAの状況は下記の通り。年月日は発効日。

TPP 参加国-2016/2/4 署名
日本 韓国
アジア
個別 ASEAN 個別 対ASEAN
ASEAN マレーシア 2006/7 2009/2/1 2007/6/1
シンガポール 2002/11 2008/12/1 2006/3/2 2007/6/1
ベトナム 2009/10 2008/12/1 2015/12/20 2007/6/29
ミャンマー 2008/12/1 2007/11/27
インドネシア 2008/7 (未発効) 2007/12/7
フィリピン 2008/12 2010/7/1 2008/1/1
ブルネイ 2008/7 2009/1/1  2008/7/1
ラオス 2008/12/1 2008/10/1
カンボジア 2009/12/1 2008/11/1
タイ 2007/11 2009/6/1 2010/1/1
モンゴル 2016/6
インド 2011/8 2010/1/1
中国 2015/12/20
北米 米国 2012/3/15
カナダ (交渉中) 2015/1/1
メキシコ 2005/4 (来年予備協議)
欧州 EFTA
スイス、リヒテンシュタイン、
ノルウェー、アイスランド、
2006/9/1
スイス 2009/9 
EU 28カ国 (交渉中) 2011/7/1
トルコ 基本&物品貿易 (交渉中) 2013/5/1
サービス&投資 2015/2/26 (署名)
オセアニア オーストラリア 2015/1 2014/12/12
ニュージーランド 2015/12/20
中南米 チリ 2007/9  2004/4/1
ペルー 2012/3  2011/8/1
コロンビア (交渉中) 2016/7/15
中米6カ国
グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、ホンジュラス、コスタリカ、パナマ
2016/11/16 (妥結)
Mercosur (予備交渉)

                                     *EFTAとのFTAでは既に発効

韓国青瓦台(大統領府)の報道官は11月23日、青瓦台が昨年12月に性的不能治療薬の「バイアグラ」 60錠を購入したとの報道について、「大統領のアフリカ歴訪の際、随行職員らの高山病の治療のために用意したが、使ったことはなく、そのまま残っている」と明らかにした。

韓国メディアは野党議員が政府機関から入手した資料をもとに、大統領府がバイアグラ60錠を購入していたと相次いで報じていた。大統領が崔順実(チェ・スンシル)被告らの名前で医師から処方されていた疑惑も出ており、関心が高まっていた。

報道官は「バイアグラは勃起不全治療剤でもあるが、高山病の治療剤でもある。高山病の予防薬としてはアセタゾラミドがあるが、南米歴訪ではアセタゾラミドのみを持って行って苦労をした。そのため、アフリカ歴訪では予防用であり治療用であるバイアグラも持参した」と述べた。

朴大統領は今年5月、エチオピア、ウガンダ、ケニアのアフリカ3カ国を訪問した。3カ国の首都は海抜1000~2000メートルの高原に位置している。

報道官は「刺激的な報道が相次いでいる。自制を求めたい」と述べた。

ーーー

高山病は山酔い、高地脳浮腫、高地肺水腫という大きく3種類の症候群に分けられる。

高地脳浮腫は山酔いが激しくなったもので、倦怠感が強くなり、考えがまとまらなくなり、縦列歩行テストで運動失調が見られる。
高地肺水腫の最初の症状は息切れが激しくなってくることで、次第に安静時にも息切れがひどくなってくる。呼吸困難となり、血痰を吐き、意識不明になって、ついには死に至ることがある。

アセタゾラミド(商品名 ダイアモックス) は、軽い急性高山病の初期だけに効き、高地脳浮腫や高地肺水腫には効かない。

アセタゾラミド、炭酸脱水酵素を抑えることによって、体中の血液の中の酸素量を増やす効果があるとされている。おもに緑内障の治療に使用されている。

脳浮腫にはデキサメサゾン、肺水腫にはニフェジピンが有効だが、両者とも劇薬なので医療関係者が同行するか無線や衛星携帯電話などで連絡できる場合のみに限られる。

最近、バイアグラが高地肺水腫に有効であることが分かってきた。平地でも肺高血圧症の患者に投与され肺高血圧改善によい成績を残している。

低酸素に曝されると肺の血管が収縮し、肺動脈の圧が上昇して肺水腫が起こるが、バイアグラには肺の血管を拡張する作用があり、これにより肺の血流やガス交換が改善され、肺動脈圧も低下する。

アルゼンチンのサッカークラブチームが、ボリビアでの試合でバイアグラを使用したという。世界一高い場所(標高約 3,637メートル)にある公的なスタジアムで、酸素が薄いため、プレーで高山病を発症し、頭痛や吐き気、運動失調などを引き起こす恐れがあるため。



大陽日酸は11月22日、子会社のTNSC (Australia) Pty Ltd を通じて、豪州の産業ガス・LPG 会社である Supagas Holding Pty Ltd を買収する売買契約を締結したと発表した。
買収額は約250億円とみられる。契約手続きの完了は12月中旬を予定している。

同社は、2015年7 月に Renegade Gas Pty Ltd を約150億円で買収し、豪州産業ガス市場への本格参入を開始した。

Renegade Gasの事業拠点はニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州などの豪州東海岸を中心としており、大陽日酸では豪州における更なる事業地域の拡大を計画していた。

Supagas 社を買収することで、未進出であったビクトリア州や西オーストラリア州等を含めた豪州全土での販売ネットワークが完成する。

産業ガスに限れば、傘下の2社合わせて市場の約10%を占めており、今後はLPGの販売も含めてさらに市場シェアを拡大させる。
オーストラリア市場での競合相手は、独産業ガス大手 Linde とフランスの同業 Air Liquide 。

両社の概要は下記の通り。

社名 Renegade Gas Pty Ltd Supagas Holding Pty Ltd
事業 LPG 及び各種産業ガスの充填・販売、関連機器の販売、レンタル LPG、各種産業ガス(酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガス等)、関連機器の販売 
LPG及び産業ガス充填設備の他、空気分離装置や炭酸ガス等の各種ガス製造設備を保有
場所 ニューサウスウェールズ州シドニー近郊 豪州ビクトリア州メルボルン近郊
株主 Mark Michalowsky 90%
Paul Berman 10%
オーナー一族の個人及び資産管理会社 100%
新株主

            TNSC (Australia) Pty Ltd 100% 

設立 1997 年 1968 年


TNSC (Australia)
の株主は次のとおり。

Renegade 買収 Supagas 買収
大陽日酸 85% 約 93%
Renegade経営者
 Mark Michalowsky 90%
 
Paul Berman    10%
15% 約 5%
SupagasのManaging Director
 
Debra Hill
約 2%


同社は2014年5月発表の新中期経営計画で、グローバル規模でM&Aを積極的に推進するとし、米国・アジアなど既に進出している地域に加えて、未進出国(オセアニア・中東・南米・欧州)に対しても積極的に市場参入を図り、事業規模拡大を加速するとしており、今回の買収もその一環である。


大陽日酸は2016年5月に米国子会社のMatheson Tri-Gas, Inc. を通じて、フランスのAir Liquide と米同業のAirgas の資産を買収している。

2015年にAir Liquide がAirgas を買収
することで合意したが、FTC が一部設備の売却を条件にこれを承認したのに伴うもの。

買収資産の内容は下記の通り。残る2基は他社に売却。

Air Liquide Airgas
セパレートガス事業(東部、中西部の計 18 基) 12箇所 4箇所
亜酸化窒素事業(東部、西部に各1箇所) 2箇所
液化炭酸ガスプラント ドライアイスプラントを併設
(某社と交渉中)
2基
ドライアイスプラントを併設 2基
単独 2基
パッケージガス事業(アラスカ州にある営業所) 3箇所


2015/11/24 産業ガス世界大手のAir Liquide、米同業のAirgas を買収

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