BPは4月19日、同社主導のAIOC (the Azerbaijan International Operating Company) がカスピ海のAzeri-Chirag-Gunashli (ACG) 油田コンプレックスのAzeri Central East 油田の開発を決めたと発表した。

日量10万バレルで、2023年に生産を開始し、操業期間中に合計3億バレルをの生産する。

投資額は60億ドルで、既存のCentral Azeri platformと East Azeri platformの間の水深140mの地区にplatformと採掘設備をつくる。既存のACGパイプラインに接続し、陸上のSangachal Terminalに繋ぐ。


BPは2016年12月23日、AIOC (the Azerbaijan International Operating Company) がアゼルバイジャンで操業中のカスピ海で最大の海底油田 Azeri-Chirag-Gunashli (ACG) の開発を2050年まで(その後、2049年12月31日までに変更続けることで、同国国営石油会社 SOCAR (the State Oil Company of the Republic of Azerbaijan) と基本合意したと発表した。2017年に契約締結した。

既存の契約は1994年9月に30年間の期限で締結された。

ACG地区の開発は1994年の契約締結以降、順次行われ、これまでに合計で360億ドル以上が投資されている。

・ 1997年にChirag油田が生産開始(Early Oil Project )
・ 2005年にCentral Azeri 油田の生産開始(Azeri Project Phase 1)
・ 2006/10にWest Azeri、2006/10にEast Azeri が生産開始(Azeri Project Phase 2)
・ 2008/4にDeepwater Gunashli が生産開始(Azeri Project Phase 3)
・ 2014/1 にWest Chiragが生産開始(Chirag Oil Project)

今回のAzeri Central East (ACE) project は契約延長後の最初の計画である。

ACGは super-giant 油田で、これまでに35億バレル(474百万トン)以上の生産を行った。Bakuの近くのSangachal Terminalから、主にBTC(Baku-Tbilisi-Ceyhan)パイプラインを通して欧州に輸出される。
2018年の生産量は平均して日量584千バレルであった。

権益保有者は下記の通り。

  当初 延長後 参考
BTC Pipe Line
BP 35.78% 30.37% 30.10%
Chevron 11.27% 9.57% 8.90%
SOCAR(アゼルバイジャン国営石油会社) 11.65% 25.00%
国際石油開発帝石(INPEX) 10.96% 9.31% 2.50%
Equinor(旧称 Statoil ) 8.56% 7.27% 8.71%
ExxonMobil 8.00% 6.79%
TPAO (トルコ) 6.75% 5.73% 6.53%
伊藤忠商事 4.30% 3.65% 3.40%
ONGC Videsh(インド) 2.72% 2.31% 2.36%
Azerbaijan (BTC) 25.00%
Eni 5.00%
TOTAL 5.00%
CIECO 2.50%



2017/9/19 国際石油開発帝石、カスピ海ACG鉱区の権益期限延長 

欧州委員会の Secretary-General の Martin Selmayr はこのたび、TVで述べた。

はっきりさせよう。合意なき離脱の場合、アイルランドとの国境沿いに hard border (物理的壁)が設けられる。

これは最悪のシナリオだ。

アイルランドにとって非常に厳しい状況だ。だから、これを避けるため、全てのことをする必要がある。

EUは、合意なき離脱は国境の壁につながり、国境の壁は北アイルランド紛争の再発につながるため、絶対に避ける必要があるとし、離脱協定の締結を迫っている。


米国民主党の
Nancy Pelosi下院議長は今週、議員団を率い、英国とアイルランドを訪問した。何を議論したのかとの質問への答えは、"Brexit, Brexit, Brexit"。

議長はアイルランド共和国と北アイルランドの国境を訪問し、厳しい発言をした。

英国が合意なき離脱を行い、Good Friday Agreement (北アイルランド紛争を終結させた1998年4月10日のイギリスとアイルランドの間の協定)になんらかの害があれば、米英貿易協定を締結しない。
("That's just not on the cards if there's any harm done to the Good Friday accords.")

議長は、メイ首相、保守党の離脱強硬派、労働党のCorbyn党首らに対し、「英国の離脱でGood Friday Agreementとして知られる北アイルランドの平和協定が弱まるなら、英国が米国と締結することを求めている貿易協定を米議会はブロックする」と警告した。

Good Friday Agreementについては、Brexitの問題の根源(続き)-「北アイルランド国境問題」

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北アイルランドのLondonderry で4月18日夜に暴動が起き、取材していた女性記者が流れ弾に当たり死亡した。

暴動はキリスト教の祝日Easter を週末に控える中で起きた(4/19 がGood Friday休日、4/21がEaster:復活祭)。

北アイルランドのEasterは、アイルランド独立につながった1916年の「イースター蜂起(Easter Rising)」をカトリック系住民が祝うとともに、英国の統治に抗議する日となっている。警察は、カトリック系過激派アイルランド共和軍(IRA)から分離した新IRAによる犯行とみて捜査している。

合意なき離脱は国境の壁につながり、国境の壁は北アイルランド紛争の再発につながる という懸念は現実的である。

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英政府は本年3月13日、合意なき離脱となった場合、アイルランドと北アイルランドの厳格な国境管理を回避すると表明した。

合意なき離脱となった場合、アイルランドから北アイルランドへの商品の輸入について新たな検査や管理を導入しない。企業の自己申告に頼り、国境を越えた取引を記録するためアプリベースのシステムを活用するという。新たな輸入関税制度は適用しない。

この計画は一時的かつ一方向のもので、長期的な対策については、EU・アイルランド政府と早急に協議を開始するとしている。

アイルランド首相も、合意なき離脱の場合でも、国境を越えた貿易の検査は避けられると期待していたが、EUは、監視が少しでも欠けたら欧州の単一市場に大きな穴が開くことを懸念し、この方針を退けた。

欧州側は、合意なき離脱に備え、アイルランドには国境を越えた貿易の検査体制を準備すべきだと圧力をかけている。アイルランド・英国間の貿易に対して大規模な検査体制を敷く必要があるとする。

2019/4/6 合意なき離脱の場合のアイルランドの扱い 

EUは合意なき離脱の場合は、英国の北アイルランドとEUのアイルランド共和国との間に国境管理が必要だと主張する。

EUとしては非EU国との間で、関税チェック、品質チェック等の幅広いチェックが必要である。

国境でのチェックは、単一市場、関税同盟の統合性("integrity")を守るために必要である。

安全でない製品やアンフェアな競争をする製品がEUに入ることを望まない。

食品チェックは厳密で、チェックは「輸入場所のごく近くの検査場("in the immediate vicinity of the point of entry")ですることとなっている。

食品チェックと動物のチェックが特に問題となる。

EU側は離脱交渉で、単一市場を守ることがEUにとってキイとなる目的であると繰り返し強調してきた。


米連邦通信委員会(FCC)は4月17日、中国国有通信最大手、中国移動(China Mobile)の米国参入(2011年申請)を認めない方針を明らかにした。

FCCのPai委員長は声明で、China Mobileが米国で通信事業に参入すれば「重大で深刻な安全保障上のリスク(substantial and serious national security and law enforcement risks)となることは明らかだ」と述べ、通信事業免許の申請を却下する方針を明らかにした。
5月9日の会合で正式決定する。

中国政府のスパイ活動などを念頭に安全保障上のリスクが大きいと判断した。

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China Mobile は2011年9月1日、米国と海外をつなぐ通信サービス事業の免許を申請した。米国と外国との国際電話サービス提供を望んでおり、米国内でモバイルサービスを展開するつもりはないとしていた。

これに対し米国当局は中国政府によるサイバースパイを懸念した。FBI、国土安全保障省、司法省、国防総省がTeam Telecom を編成し、延々と検討を続けた。
China Mobileが米国の通信網とつながれば、中国政府がスパイ活動に取り組んだり、大規模障害を仕掛けたりするリスクを考慮したという。

米商務省の電気通信情報局は2018年7月2日、連邦通信委員会(FCC)に対し、国家安全保障上の理由からChina Mobile による参入申請を却下すべきだと勧告した。

China Mobile の申請は「容認できない国家安全保障と法執行上のリスクを突き付ける」と米情報機関などの当局者が結論付けたとし、China Mobile は「完全国有会社」であり、「中国政府に利用・操作されやすく、影響を受けやすい」と指摘した。

「世界の通信市場の統合深化に伴い、さまざまな悪質な行為が頻繁に行われているセクターにリスクと脆弱性が生じている」と説明。中国政府は China Mobileが築くつながりを利用して、経済スパイや情報収集を行う可能性があると指摘した。

中国のスパイ活動を懸念する米国側は、中国が米国内にいる中国市民を監視することも警戒している。

FCC はこれを検討するとしていた。


AppleとQualcommは4月16日、Appleの契約メーカー(Contract manufacturers) との間のものも含めて、すべての訴訟を取り下げることで合意した。

合意内容にはAppleからQualcommへの一時金及ぶロイヤリティの支払いも含まれるが、金額は公表されていない。
また両社は、4月1日から6年間のライセンス契約(+2年延長オプション)に加えて、複数年のチップセット供給でも合意した。

Qualcomm の発表:

Direct license between Apple and Qualcomm : six years with two-year option to extend
・ Effective as of April 1, 2019
・ Apple will pay royalties to Qualcomm
Settlement includes a one-time payment from Apple to Qualcomm
Multi-year chipset supply agreement
All worldwide litigation will be dismissed and withdrawn. including claims involving Apple's contract manufacturers
Contributes to increased stability for licensing business
Reflects value and strength of Qualcomm's intellectural property

Apple側の発表は、事実関係のみ。

to dismiss all litigation between the two companies worldwide
a payment from Apple to Qualcomm.
a six-year license agreement, effective as of April 1, 2019, including a two-year option to extend
a multiyear chipset supply agreement.

iPhoneの5G対応に遅れが生じる中、Qualcommからの半導体調達を再開するために、Appleが特許使用料の支払い条件をめぐって歩みよった可能性がある。

Qualcommは2018年2月発表の5Gモデム「X50」の第二世代の「Snapdragon X55」を本年2月に発表した。今回の和解により、Appleは5G対応のiPhoneを発売できることとなる。

今回の和解を受け、Qualcommに代わってAppleにモデムを供給しているIntelは同日、5G対応のモデムの開発から撤退すると発表した。

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これまで、QualcommがAppleにiPhoneの通信機能をつかさどる半導体モデムチップを供給するという協力関係にあった。

世界シェア首位のQualcommは長年、Appleに対し独占的にこの半導体を供給してきた。
QualcommはAppleに対して半導体の代金だけでなく、それに付随する特許使用料の支払いも求めていた。

QualcommはAppleのContract manufacturer にライセンス料の支払を求め、Appleはそれを彼らに支払っていた。

2017年1月、Appleは米国でQualcommを提訴した。連邦取引委員会(FTC)は、2017年1月に、モデムチップセットの不正なライセンス供与に対する裁判所命令を求め、Qualcommを提訴したが、Appleはこれを受け、過去の取引条件の見直しを迫ったもの。 Contract manufacturer に特許料を支払わないよう指示した。

「自社のチップに対して、他社の5倍以上の不当に高いライセンス料を請求している」
「Qualcommが不正なライセンスモデルを構築し、特許技術ごとではなく、販売する製品の単価に応じたライセンス料を求めてくる」
「契約に基づく約10億ドルの払い戻しが滞っている」と主張した。

QualcommはAppleのContract manufacturer に端末卸売供給価格の約5%を特許使用料として要求している。
AppleはQualcommがチップ価格と特許使用料を二重に請求していると主張、「2013年から支払った特許使用料90億ドルを返してほしい」とした。

韓国公正取引委員会は2016年12月に、「不公平なビジネスモデル」で独占的地位を築いたとして、Qualcommに対して約10億ドルの課徴金を支払うよう命じた。
この調査にAppleが協力したことに対する報復として、QualcommはAppleへの払い戻しを留保した。

QualcommはAppleの主張を否定するとともに、特許侵害があったとして逆提訴した。

Appleは同年4月、Qualcommに対し、Qualcommとの紛争が解決するまでは、自社のContract manufacturersに対し、Qualcomm製品へのライセンス分の支払いを行わないと通知した。

Qualcommは同年7月、 米国際貿易委員会(ITC)に苦情を申し立て、一部の「iPhone」を含む複数の製品について、米国への輸入を禁止するよう求めた。

AppleとQualcommは世界で80件の訴訟合戦を繰り広げている。Qualcommは中国やドイツで iPhoneの一部販売の差し止め命令を勝ち取っている。

2018年12月3日、Apple はQualcommとの和解を拒否した。2019年4月15日からカリフォルニア州サンディエゴで特許料をめぐる裁判がスタートする予定であった。

2019年3月には、ITCが2件の審理に対する裁定を下した。

ITCは、バッテリー節約技術に関するQualcommの特許を無効とした。Appleはこの件に関して iPhoneの輸入禁止を免れた。

この数時間前にはITCの別の判事が、Appleによるコンピューティングデバイスの電源管理に関する特許1件の侵害を認定し、問題の部品を含むiPhoneの一部旧モデルを米国で販売禁止にするべきだとの判断を示した。この最終決定は7月の予定であった。

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2社の関係は大幅に悪化、Appleは2016年以降、Qualcomm製モデムの搭載比率を引き下げ、代わりにIntel 製モデムを採用している。2018年秋の新モデルからはQualcomm製の製品を排除した。Appleがモデムを自社開発しているといううわさもあった。
これにより、Qualcommの売上高は減少した。

他方、AT&T、Verizon、Samusung電子等が相次いで5G 対応スマホを発売する中、Qualcommから5Gモデムの供給を受けられないAppleは発売できないでいる。

Intelはまだ5Gモデムを発表していない。HuweiのCEOはこのたび、「我々はAppleに対しオープンだ」と述べたが、Huawei製の採用は見込めない。

Appleは最近Samusung電子に5Gチップ購入の意向を打診したがSamusung電子は供給量不足を理由に断った。(中央日報)

コンサルタントは「Appleが来年も次世代 iPhoneを発売できないならば米国をはじめとする世界のスマートフォン市場で競争力を失うだろう」と話している。

現在の5Gスマホはほぼ全て、Qualcommの半導体とGoogleのOSのAndroid を使っている。
このQualcommとGoogleが「反Apple」で距離を縮めている。

本年2月のQualcommの5G向けの半導体についての記者会見に、ゲストとしてGoogleが参加し、「Qualcommと活力ある5Gの経済圏をつくっていくことに喜びを感じる」と述べたと報じられている。

Appleとしては、iPhoneの5G対応を早期に進めるためにも、Qualcommとの和解を急ぐ必要があった。

独Merckは4月12日、米半導体材料メーカーのVersum Material を買収する契約を締結したと発表した。

1株53ドルの現金払いで、負債込みの買収額は約58億ユーロ(65億米ドル)。

Versum は半導体の製造過程で使う高純度材料の大手で、Merckも半導体や液晶向けの高純度材料を手がけており、買収でカバーできる工程を広げる。

買収完了の3年後から年間7500万ユーロの統合効果を見込む。

Versum は1月に米Entegrisと経営統合することで合意していたが、Merckはこれを上回る条件を示し、Versum を翻意させることに成功した。

ーーー

米国の特殊化学品のEntegris は2019年1月28日、Versum Material を買収することで合意したと発表した。

Entegrisは半導体およびその他ハイテク産業の最先端の製造プロセスに対し、歩留まりを向上させる材料やソリューションを提供している世界有数のサプライヤーで、米国、マレーシア、シンガポール、台湾、中国、韓国、日本、イスラエル、ドイツ、フランスの世界各国に製造工場、サービスセンター、研究施設などの基幹施設を持つ。

Versum 株主は1株当たり、Entegrisの株式を1.120株受領する。計算では総額 38.3億ドルとなる。合併後のEntegrisは旧株主が52.5%、Versum株主が47.5%を所有する対等合併となる。

これに対し、Merckは2月27日、Versumに買収提案を行った。1株当たり48ドルで、債務を除く総額は52億ドルと、Entegrisとの合意額を大きく上回る。

Merckはその後、買収額を更に引き上げ、1株53ドルとした。

VersumはEntegrisに対し、対抗案の提示を求めたが、Entegrisは見直す計画は無いとし、Merckによる買収が決まった。

VersumはEntegrisに違約金を支払う。

ーーー

Versum Materials 米国の半導体材料メーカーで、2016年10月1日に分離するまでは、Air Products & Chemicals の一部門として30年以上にわたり営業していた。

材料と送達系システムの2部門から構成され、エレクトロニクスや半導体、フラットパネル・ディスプレイの市場向けに特殊材料を供給し、材料やガスの送達と流通システムを提供する。

「半導体業界に革命をもたらす次世代のCMPスラリー、超薄誘電/金属フィルム前駆体、調製洗浄剤およびエッチング用製品、デリバリー装置を供給する世界一流企業の一角を占めている」としている。

2018年の売上高は1,372百万ドルで、内訳は下記の通り。

Merck の事業は3部門に分かれ、2018年の売上高及び扱い製品は次の通り。

売上高
百万ユーロ

Healthcare 6,246

がん、腫瘍免疫および不妊治療領域を重点領域に、世界の先進的な医薬品や医療機器

Life Science 6,185

バイオサイエンス基礎研究から創薬、医薬品製造まで
研究室の純水・超純水装置システムや、薬剤を製造するための遺伝子編集ツール、抗体、細胞株、エンドツーエンドのシステムなど

Performance Materials 2,406

液晶やOLEDなどの「ディスプレイ用材料」、
さまざまな製品に彩りを与える「パール顔料」や化粧品用原料、
エレクトロニクス業界に貢献する半導体製造用の特殊化学品、
次世代エネルギー分野を支える「新規材料」のグローバルサプライヤー

Total 14,836

Performance Materials 部門は最も小さい。半導体関連製品も多く、Versum買収で強化を図る。

ーーー

Merck KGaA の起源は1668年にフランクフルトの南のDarmstadtFriedrich Jacob Merckがエンゼル薬局を創業したことに始まる。

1891年、Merck 一族のGeorge Merckが米国に子会社 Merck & Co.を設立した。
この会社は第一次世界大戦で敵国企業の子会社として米国政府に接収され、1917年に独立した。接収後は両社は別会社である。

2006/3/23 2つのMerck社


米石油大手 Chevronは4月12日、米石油・ガス開発の
Anadarko Petroleum を330億ドル規模で買収すると発表した。

買収提示額は1株当たり65ドルで、4月11日終値に39%上乗せした水準。75%がChevron株式、25%が現金払いで、Anadarko株主は1株当たり現金16.25ドルとChevron 株 0.3869株を受け取る。

Anadarkoの債務150億ドル込みでの買収で、これと非支配持分の価値を加えると、企業価値は総額で500億ドルとなる。

同時期にOccidental Petroleum もAnadarkoを1株70ドル(現金と株式)で買収する提案をしていたが、Chevronに敗れた。

Occidental Petroleumの提案はChevron案よりも価格が5ドル高く、現金部分が多かった。

但し、Occidentalの提案にはAnadarko側に望ましくない条項が入っていたという。

買収により、Chevronは石油業界で3位になる。

Anadarko買収によってChevronはテキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地のシェール油田の権益と生産が拡大するほか、メキシコ湾でも事業を強化できる。

Chevronは国内最大のシェール油田地帯、パーミアン盆地への投資を拡大してきたが、ブームの初期段階で機会を逃す一方、Anadarkoなどの独立系生産企業が掘削技術を開発、土地を安く借り受けたとされる。

Anadarkoは、モザンビークのLNG事業にも取り組んでいる。

Chevronは今回の取引の効果を次の通りとしている。

• 事業戦略の強化
 o Shale & Tight ガス -
最も魅力あるパーミアンのデラウェア盆地に計幅75マイルの回廊地帯を持つことになる。
 o Deepwater - Chevronの地位を強化
 o LNG - Mozambique LNG事業を入手

• Synergies: 税引前で年間10億ドルのシナジーあり。投資を10億ドル削減できる。

• Accretive to Free Cash Flow and EPS

• 2020~2022年に150~200億ドルの資産売却を行い、負債の減少、株主への配当に充てる。

• free cash flowの増加で、自社株買いを 年間40億ドルから年間50億ドルに増やす。

ーーー

Anadarko の活動分野は次の通り。



Anadarkoはまた、Western Midstream Partners, LP の55.5%の持分を持つ。Rocky Mountains, North-central Pennsylvania、Texas にまたがって、天然ガス及びLNG・原油等の採集、処理、輸送を行っている。

Anadarkoは、モザンビークのLNG事業にも取り組んでいる。

モザンビークとタンザニアの国境を流れるRovuma川の河口と沖合に世界最大規模のガス田が発見され、開発が始まっている。

モザンビークの海底ガス田の開発は6区に分けて行われており、AnadarkoはArea 1の権益を持ち、三井物産が参加している。

当初 現在
Anadarko (オペレーター) 76.5% 36.5%
Mitsui E&P 20%
モザンビーク国営石油会社 15% 15%
Bharat Petroleum(インド) 10%
Videocon (インド) 10%
Artumas Group(現 Wentworth Resources) 8.5%
PTT Exploration & Production (タイ) 8.5%

2013/1/10 モザンビークの天然ガス開発

Anadarkoは既に多くのLNG供給契約を締結している。
2018/2 フランス電力会社EDF 年間120万トン/15年間
2018/10 東北電力 年間28万トン/15年間
2019/2 中国海洋石油集団(CNOOC) 年間150万トン/13年間
東京ガス/と英国ガス大手Centrica 年間260万トン(2040年初頭まで)
Shell International Trading Middle East 年間200万トン/13年間

Anadarkoでは、「モザンビークは今後数十年間、世界の重要なLNGサプライヤーとなるだろう。LNG長期契約は年間750万トンに積み上がり、残りのLNG売買契約(年間450万トン)も近い将来に見込まれている」としている。

LNG能力は、Eni 主導のArea 4との共同で年産2,000万トンで、Area 1分はこのうち 1,200万トン。

赤字が続き経営再建中のJDIは4月1日、筆頭株主であるINCJ(旧産業革新機構)とも連携しながら外部との提携交渉を行っていると発表した。総額1,100億円超の資本増強としていた。

2019/4/4 ジャパンディスプレイの動き   


JDIは4月12日、台湾の電子部品メーカーなど3つのグループで構成する台中連合から800億円の金融支援を受けると発表した。
メンバー企業1社とは液晶ディスプレイに関する業務提携を、他の1社とは蒸着方式 有機ELディスプレイの量産計画に関する業務提携を行う。

現在の筆頭株主のINCJ(旧 産業革新機構 )は、750億円の優先株の引き受けで Debt-to-equity を行うとともに、770億円の長期貸付で既存の債務(INCJが債務保証)を返済する。

合計で資本増強は1,170億円となる。(他に新株予約権付社債が180億円+200億円あり、全て転換すると1,550億円になる。)

当面の資金繰り不安は解消する。同社では「国内拠点の統廃合を視野に入れている」としており、リストラも示唆した。

日本の官民ファンド、INCJ(旧産業革新機構)に代わり、台中連合が議決権の49.82%(転換社債の転換後は65.41%)を握る筆頭株主になり、日本の電機大手の事業を統合して誕生した「日の丸液晶連合」は外資の傘下で再建を急ぐことになる。

台中連合のSuwa Investment Holdings, LLCと 、800億円の出資契約を締結する。 

  1) Suwa Investment Holdings, LLC  (出資比率は台湾紙の情報)

出資比率
台湾 TPK Holding 宸鴻集団 41.8% タッチパネル大手
Cosgrove Global 23.6% 一族富邦金控が運用・管理する投資会社
中国 Harvest Tech Investment Management
嘉実基金管理)
34.5% 中国最大の資産運用会社 Harvestグループ のプライベートエクイティ投資を行う運用会社



これまでは、下記4社とされていた。

台湾 TPK Holding 宸鴻集団 〔今回出資〕
中国 Harvest Tech Investment Management
嘉実基金管理)
〔今回出資〕
China Silkroad Investmet
(中投絲路資本
敏実集団(Minth Group)

自動車部品メーカー

後の2社はApple問題(文末)の懸念で離脱したとされる。代わりに蔡一族 が加わった。

なお、Harvest Tech が中国政府の意向を受け、支援額引き下げを提案し、TPKが一部を肩代わりし、Appleが原資の一部を支援したと報道されている。
中国政府は過剰投資のリスクを嫌ったとみられている。

 

 2) 出資

普通株式:420億円
新株予約権付社債:180億円+200億円 合計 380億円(うち最後の200億円は資金需要により判断)
総計:800億円

用途は次の通り。
 運転資金:380億円
 R&D:92億円
 設備投資:320億円(蒸着OLED量産 100億円、車載量産化 120億円、新事業投資 100億円)


② 台中連合の2社と事業提携契約を締結する。

TPK :液晶ディスプレイに関する業務提携  (LCD Business Alliance Basic Agreement)

Harvest Tech Investment Management:蒸着方式 有機ELディスプレイの量産計画に関する業務提携

これまで、中台連合は、JDIの技術を活用して浙江省に有機ELパネル工場を建設することを計画しているとされていた。

計画は、第6世代の基盤を3万枚/月、6型パネル 400万台/月の工場の建設で、投資額が約5000億円で、資金は中国政府の補助金を活用する。
早ければ2019年中に建設を開始し、2021年の量産開始を見込む。

③ INCJ (旧 産業革新機構)による750億円のDebt-to-equityと長期貸付金770億円による負債借り換え

優先株 引受 750億円  Debt-to-equity
長期貸付金  770億円
合計    1,520億円

 これにより、下記を返済

INCJの短期貸付金 200億円
劣後CB未償還残高 250億円
INCJの連帯保証債務 1,070億円

なお、劣後特約付貸付 300億円は継続する。

以上により、同社の資本・負債は次のようになる。(単位:億円)

現状         今後       
劣後特約付貸付金 300 劣後特約付貸付金 300
INCJ 短期貸付金 200 1,520 INCJ 長期貸付金 770 1,520
劣後CB 250
NCJ連帯保証債務 1,070 ④INCJ優先株 750 資本増強
 当面 ①+④ 1,170
     +② 1,350
     +③  1,550
③Suwa CB-2 200
②Suwa CB-1 180
①Suwa出資 420
既存資本金 既存資本金


付記

Suwaからの出資は早くても6月になる見込みのため、JDIは4月18日、当面の運転資金として、INCJから200億円のつなぎ融資を受けると発表した。


同社の株主の変遷は次の通り。

当初 その後 2018/3 2019/3/1

今回

増資 全社債転換
Suwa Investment 49.82% 65.41%
産業革新機構→ INCJ 70% 35.58% 26.81% 25.29% 12.69% 8.75%
ソニー 10% 1.78% 1.34% 1.26% 0.63% 0.44%
東芝 10%
日立 10%
日亜化学 3.52% 4.13% 2.07% 1.43%
海外機関投資家計 21.12% 69.32% 34.79% 23.97%
その他現行株主 62.64% 47.21%
合計 100% 100% 100% 100% 100% 100%


今回の決定には、次の問題がある。

1) 「日の丸液晶連合」は台中連合の傘下で再建を急ぐことになるが、米中の貿易摩擦が長引くなか、対米外国投資委員会(CFIUS)などが待ったをかける可能性がある 。

   また、JDIが有機ELパネルの量産技術でApplied Materialsと協業しており、Harvest Tech との蒸着方式 有機ELディスプレイの量産計画に関する業務提携 を提案を米国が問題とする可能性がある。

2) Appleとの契約

JDIはAppleからの増産依頼により、白山工場を建設したが、資金の大半はAppleからの前受け金1700億円で賄った。

問題は、JDIと Apple の契約である。この前受金の契約には下記の条項がある。

・JDIは年間2億ドルまたは売上高の4%のいずれか高い金額を四半期ごとに返済する。

・JDIの現預金残高は300億円以上を維持する。

・上記2つの条項を守れなければ、Appleは、前受け金の即時全額返済、または白山工場の差し押さえを要求できる権利を持つ。

返済原資は貸し手であるAppleからの注文次第であることが問題で、Apple側の理由で注文が減ると、 たちまち返済原資に行き詰まる。

今回の中台連合の出資800億円も、Appleが注文を減らせば、返済不能となり、Appleに流れることとなる。

中台連合の要求に基づいて、2019年以降の返済減額を訴えるため、INCJの志賀会長と経済産業省幹部の2人がApple本社へ乗り込んだが、3月23日に事実上のゼロ回答があった とされる。

今回、出資が決まったのは、Appleとの間で返済繰り延べの合意があったとされるが、報道では、債務残高約 1,000億円について2019年度返済分の一部を2020年度に繰り延べるというだけで、「トリガー条項」はそのまま残るという。JDIの今後はApple からの注文次第で、Appleが「生殺与奪」の権利を握ったままである。


EUと英国は4月11日早朝、英国の離脱期限を10月31日まで再延長することで合意した。

但し、英国が5/23~26の欧州議会選挙中にメンバーである場合、英国は欧州議会選挙の義務を持つ。

英国が5月22日までに協定書を批准しない場合で、それにも関わらず欧州議会選挙をしない場合、延期は5月31日に終了する。

2019/4/11 Brexit 合意書

メイ首相は、それまでに協定書を批准し、離脱しようと図っているが、現状では非常に難しい。

独立党元党首で反EUのNigel Farageは2回目の離脱期限であった4月12日、「Brexit Party」を設立し、欧州議会選挙に向け活動を開始した。
既成の政治勢力を無能だと批判し、「過去数週間の間に目にしたのは、この国の歴史上最大の民主主義実践を故意に裏切る行為だ」などと述べた。

欧州議会議員は任期が5年。総議席は751で、英国は、本土が70議席、北アイルランドが3議席の合計73議席である。

前回は2014年5月22日に投票が行われた。選ばれた議員の党派は次の通り。

当選 前回比
独立党 24 +11
労働党 20 +7
保守党 19 -7
緑の党 3 +1
スコットランド国民党 2 ±0
自由民主党 1 -10
プライドカムリ 1 ±0
国民党 0 -2
Sinn Fein 1 ±0
民主統一党 1 ±0
アルスター統一党 1 ±0
合計 73 ±0


英国の下院では、独立党は2017/6/8 選挙 で全員落選し、議席数ゼロとなったが、その後、労働党等を離党した議員が入り、現在は11名となっている。

ーーー

EUでは、BREXITを前提に既に議席の再配分をしていた。

英国のEU脱退によって空席となる73議席のうち、46議席は無くし、総議席数は751から705に削減された。

残り 27議席は下記の通り再配分された。

フランス(+5議席)、スペイン(+5議席)、イタリア(+3議席)、オランダ(+3議席)、アイルランド(+2議席)、スウェーデン(+1議席)、オーストリア(+1議席)、デンマーク(+1議席)、フィンランド(+1議席)、スロヴァキア(+1議席)、クロアチア(+1議席)、エストニア(+1議席)、ポーランド(+1議席)およびルーマニア(+1議席)。

今回、英国が選挙に加わる場合の扱いは決まっていないが、(離脱取り止めの場合を除き)10月31日までであるため、おそらく追加議席分で選ばれた議員は補欠とし、英国離脱後に就任するのではないかと思われる。


東芝は4月11日、中国の奥生控股股份ENN Ecological Holdings )との間で2018年11月に締結したLNG購入契約の譲渡の契約につき、先方から譲渡契約解除の意向の連絡を受けたと発表した。

東芝では、状況把握に努め、LNG事業の今後の取扱いについて検討する。この契約に基づき2019年3月期決算で計上する予定であった特別損失(約930億円)は見直す。

付記 

東芝は4月17日、この契約を解除した。迅速に同事業の第三者への却プロセスを再開し、早期事業撤退を目指すとしている。

ーーー

東芝は、米国のFreeport LNGから、日本をはじめとする各国の需要家へのLNG販売を目的として、2013年に年間220万トンの20年間(2019年から)の契約を締結した。

Freeport LNG


株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガス

Freeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)
承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
期間:20年間
液化開始:2018年(追加分2019年)
輸出契約:
 

大阪ガス

  220万トン
  中部電力   220万トン
  BP Energy   440万トン
  東芝   220万トン
SK E&S LNG

220万トン

Trafigura

50万トン

  再計  

1370万トン

東芝が契約した2013年当時は、東日本大震災後で日本では原子力発電所が停止し火力発電所に依存してLNGの需要が高まっていた。

東芝は、これを武器に日本の電力会社などに火力発電設備を売り込もうとしたとされる。

しかし、販売先は全く決まっていない。これらは全て Take or Pay の契約であり、市況が下がっても契約価格での引取りが必要である。このため、同社では(過去に)最大1兆円の損失の恐れがあるとしていた。

同社では、LNGについて、市況の悪化、より低コストのプロジェクトが今後開発されること等により当初想定していた取引条件を下回る条件、あるいはコストを下回る価格での販売を余儀なくされ、それにより将来的に損失が発生する可能性があるとした。

このため、2018年8月に入り、東芝はこれを売却する方針を固めた。10社程度が同事業の買収に関心を示していたとされた。


東芝は2018年11月8日、米国産液化天然ガス(LNG)に係る事業から撤退すると発表した。

LNG事業に係る全ての契約も移管または 解除することで、2019年3月31日までに本件譲渡を完了させて、LNG事業から撤退することを目指した。

相手先は中国の民間ガス大手新奥生态控股股份(ENN Ecological Holdings である 。

売却先の奥生控股股份有限公司は、香港証券取引所に上場する中国の民間ガス大手。

譲渡の条件は次の通り。

・事業会社(東芝アメリカLNG)の売却 売却額15百万ドル

・LNG全量引取基本合意書でのLNG引取義務の引き継ぎ  821百万ドルを支払う。(約930億円の損失計上予定)

2018/11/9 東芝、米国LNG購入契約を譲渡 

ーーー

契約では、2019年3月31日までに本件譲渡を完了させるとしているが、東芝は本年4月1日、譲渡完了が4月以降となると発表していた。

その時点では、①対米外国投資委員会(CFIUS)の承認、②中国の国家外貨管理局(SAFE)の認可 等が未了であることが理由で、引き続き早期完了を目指し対応することで双方が確認していたという。

しかし、今回先方より、譲渡契約の期限が経過しており、短期間で条件充足が難しいため、契約を解除する意向の連絡があった。


現在、中国と米国との間で制裁関税の撤廃をめぐり貿易協議が進行中である。

中国はLNGなど米国製品の輸入拡大策を米国側に示しているとされるが、米国側は、「中国の譲歩策の度合いに応じ、関税を段階的に撤廃する」案や、中国が合意に違反したと判断すれば米国が制裁関税を再発動する「罰則条項」などを主張し、難航している。

これが決着しない段階では、米国も中国も個別のLNGの取引を事務的に承認することはあり得ない。

期限までに承認が得られないことから契約を解除したいという奥生控股股份の意向は批判できない。東芝は米中の紛争に巻き込まれたことになる。

しかし、中国と米国の合意がなされ、中国が大量のLNGを米国から購入することが決まれば、買い手は現れると思われる。

Bayerはこのたび、サイバー攻撃を抑え込んだことを明らかにした。データを盗む目的と見られる。

ハッカーはWINNTIと呼ばれる破壊工作ソフト(Malware) を使用した。WINNTIは遠方からシステムに侵入し、侵入すると、どんなことでも出来るという。

専門家は、犯人は中国の「悪いパンダ(Wicked Panda)」と呼ばれるグループだと見ている。

かつてゲームサーバを攻撃し、現金化が可能なゲーム内仮想通貨を不正に取得し、オンラインゲームのソースコードを窃取した。

その後、製薬会社や電気通信会社などの企業も標的に加え攻撃対象を拡大した。

標的型サイバー攻撃を実施する悪名高い集団として知られるようになった。

グループはBayerのネットワークにWINNTIを忍び込ませた。

2018年初めにBayer側は侵入を察知し、1年にわたり、密かに監視を続け、Malwareの分析を行った。Bayerは2015年にBASFやVolkswagen、保険会社のAllianzと一緒にDCSOと呼ばれるサイバーセキュリティグループをつくっている。

本年3月末にMalwareをシステムから削除した。

データが盗まれた証拠はないとしている。しかし、何か被害が無いか、調査を続けており、政府機関も調査を開始した。

ーーー

Malwareが石油化学コンプレックスに侵入する事件もあった。

中東の某石油化学コンプレックスが2017年8月に緊急シャットダウンした。

Schneider Electric製の「Triconex」安全計装システムコントローラを不正に操作するように特別に設計された「TRITON」と名付けられた新種の破壊工作ソフト(Malware) が仕込まれ ていた。

幸い、「TRITON」が「Triconex」安全計装システムのプログラムを変えようとしたときに、安全装置が異状を察知し、緊急シャットダウンをしたとみられている。

サイバー・セキュリティ製品を提供するFireEyeが調査し、TRITONが侵入していることが判明した。

「Triconex」に仕込まれたMalwareであることから「TRITON」と名付けられた。

ハッカーは他のソフトでコントロールシステムにも侵入していることが分かった。

工場全体がハッカーに占拠され、ハッカーの思うがままになるところだった。

具体的に何をしようとしたかは不明だが、専門家は設備に物理的な被害を与え、工場のシャットダウンを狙ったのではとみている。ガスを放出させれば、大爆発の恐れもある。

どういうルートでMalwareが入ったかは分かっていない。


工場のコントロールシステムを対象とするMalwareは珍しい。

過去に「Stuxnet」(後述)がある。安全装置が稼働するのを妨害し、危害を与えたが、「TRITON」はこれに似ている。

本件を調査したFireEyeは2017/12/14付でTRITONの概要を発表した。

https://www.fireeye.com/blog/jp-threat-research/2017/12/attackers-deploy-new-ics-attack-framework-triton.html

その後、FireEyeは検証を続け、2018/10/23付で、犯行グループ(「TEMP.Veles」)をモスクワにあるロシアの国有の科学技術研究機関Central Scientific Research Institute of Chemistry and Mechanics(CNIIHM)が支援し、この攻撃に関与していたことを「強く確信」するに至ったと発表した。

単独または複数のCNIIHM従業員が、雇用主の承認なしにTEMP.VelesをCNIIHMに結びつける活動を遂行した可能性も残されているが、このシナリオは非現実的だとしている。

https://www.fireeye.com/blog/jp-threat-research/2018/10/triton-attribution-russian-government-owned-lab-most-likely-built-tools.html

仮にロシア政府が関与しているとすれば、一体どういう目的なのか、全く分からない。



2019年1月29日付で米上院諜報活動特別委員会は報告書
Worldwide Threat Assessment of the US Intelligence Community を発表した。その中に米国へのインフラへのサイバー攻撃の懸念を示している。

中国は、米国で天然ガスパイプラインのような重要なインフラを一時的に停止させるサイバー攻撃の能力を持つ。

ロシアは、2016年にウクライナでやったように、米国で送電ネットワークを止めるサイバー攻撃の能力を持つ。

IT系ネットワークからウクライナ国営電力会社の電力網の制御系システムに入り込み、「CrashOverRide」(Industroyer)と呼ばれる malwareを埋め込み、制御系システムを外部から操作して停電を引き起こした。

ーーー

「Stuxnet」は米国とイスラエルの両政府が開発した。

イランの国家政策である核開発を妨害し遅延させる目的で使用され、実際に、2009年から2010年にかけて、イランのナタンズ核燃料施設でウラン濃縮用遠心分離機を破壊する、という物理的実害を引き起こした。

遠心分離機の回転速度に関わる制御システムに特定のコマンドを出し 、約8,400台の遠心分離機の全てを稼働不能にした。システム管理者にはすべてが正常に稼動しているように見せかけた。

ナタンズ核施設でのウラン濃縮が停止し、イランの核開発は「2年前に後戻りした」。

「Olympic Games」というコード名で呼ばれたこの計画は、もともとはジョージ・W・ブッシュ前大統領が許可し、オバマ大統領が計画を継続した。(NY Times 情報)

インターネットに接続していない産業用制御システムにもUSBメモリーを介して感染・発症することから、産業用システムのセキュリティ管理のあり方を根本から考え直させた。

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