トランプ米大統領は7月21日、防衛産業の強化を目指して部品供給網などの調査を求める大統領令を発令した。

Presidential Executive Order on Assessing and Strengthening the Manufacturing and Defense Industrial Base and Supply Chain Resiliency of the United States

米国で2000年以降、米国の主要企業の 6万以上の工場が閉鎖され、約500万人の製造業の雇用が失われた。米国の製造業が国防のニーズに対応できない恐れがあり、軍需産業の健全性に懸念が生じている。これ以上、工場やサプライチェーンの要素が失われると、国防に必須の能力を創り、維持し、保護し、拡大する能力を損なうこととなる。工場が無くなると、国防に必要な熟練労働もなくなる。

力強い製造基盤、力強い防衛産業基盤、弾力的なサプライチェーンを戦略的にサポートすることは、重要な国家的優先事項である。

防衛産業に関連する製品や部材の国内供給力、問題点、サプライチェーンが切れる可能性、等々を幅広く調査し、270日以内に是正策を含めて報告するよう、国防長官に指示する。

通商政策で「強硬派」として知られるWhite House のPeter Navarro 国家通商会議委員長は、「米国の防衛産業基盤は能力面でギャップが広がっている。潜水艦のプロペラを修理できる会社は1社しかない」と述べた。

その上で、軍用の半導体や軍用機向けの液晶モニターなどの多くが外国製だとし、バランスの取れた貿易を実現し、国内調達を増やす必要があると強調した。


トランプ大統領は4月20日、大量の鉄鋼輸入が米国の安全保障を脅かしている懸念があるとして、米通商拡大法に基づいた鉄鋼輸入の実態調査を米商務省に指示した。

https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/04/20/presidential-memorandum-secretary-commerce

4月27日には、アルミニウムについての調査を指示する大統領令を出した。

https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/04/27/presidential-memorandum-secretary-commerce


今回の大統領令は232条とは別枠で、輸入制限などの措置には触れていない。ホワイトハウスは防衛産業の強化策として人材育成などを挙げている。

なお、鉄鋼については、トランプ大統領が関税引き上げと輸入割り当てを同時に課す考えを表明したが、米産業界で賛否が分かれている。

輸入鋼材の攻勢を受ける鉄鋼業界は早期の関税引き上げなどを要求しているが、石油業界はパイプラインの価格の上昇につながりかねない制裁措置には反対しており、自動車産業も反対している。

7月21日に博多港アイランドシティにあるコンテナ置き場でヒアリが発見された。ヒアリの発見は6都府県で8例になった。

ヒアリ(Red imported fire ant)は、学名 Solenopsis invicta で、南米大陸原産のハチ目(膜翅目)・アリ科・フタフシアリ亜科に属するアリ。

アメリカでは1930年ごろにヒアリの侵入が確認され、船荷に伴って持ち込まれたと考えられている。

近年、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、台湾、中国南部など環太平洋諸国に急速に分布を拡大している。

ニュージーランドは世界で唯一、ヒアリの根絶に成功したとされる国とされる。

2001年にオークランドの空港の近くでヒアリの巣が発見されたものの、現場周辺で徹底したモニタリングを実施するなどの対策を講じ、2003年までに根絶宣言を出した。

その後、2004年(Napier港)と2006年(WhirinakiのPan Pac Forest Products 社)でも ヒアリの侵入が確認されたが、駆除に成功している。

Whirinakiでは3万匹のヒアリの巣を処理した後、巣から半径2kmのエリアを3年間 徹底的に調査(90万以上の餌入りの容器を回収してチェック、近寄れない場所はベイト剤を散布)し、2009年に根絶を確認した。http://b3.net.nz/gerda/refs/14.pdf

ニュージーランド第一次産業省担当者は、「早期発見が成功の主な要因だ。監視プログラムが2度目のヒアリ発見につながった」と述べている。


住友化学は7月20日、 国内関係機関によるヒアリの侵入および定着阻止の各種取り組みに役立てるために、海外で展開するヒアリ対策剤「Esteem®」を日本に導入すると発表した。

まず環境省などに無償で提供して効き目を確かめてもらい、需要が見込めれば業務用販売も検討するとしている。

「Esteem®」は、同社の100%子会社のValent U.S.A.がEPA登録を取得している製品で、米国国内で販売されてい る。

(販売元は、住友化学が包括的業務提携契約を結んでいる豪州の農薬メーカー Nefarm の米国子会社)

そのほか、ヒアリの問題が顕在化したオーストラリア、ニュージーランド、台湾のヒアリ根絶プロジェクト等、各国の行政当局でも使用されている実績を持ち、高い評価を得てい る。

オーストラリア、ニュージーランドでは「Distance®」の商標で登録、販売されている。

「Esteem®」は、Valent U.S.A.が開発した誘引ベイト剤で、主に餌剤と有効成分ピリプロキシフェン(Pyriproxyfen)から構成された顆粒剤が、ヒアリによって巣に運ばれ摂食された後、有効成分の作用によって女王アリの産卵および幼虫の成虫化を抑制する効果がある。

本剤が使用された国では、処理後3~4週間で巣が衰退し、 8週間後にはヒアリが駆除され、防除に役立つことが確認されているという。

ピリプロキシフェンは、1981年に住友化学により開発された4-フェノキシフェノキシ構造を有する殺虫剤で、昆虫体内で幼若ホルモンとして作用し、胚仔の発育阻害による殺卵作用、蛹化または成虫化を阻害することによる変態阻害作用等により作用すると考えられている。


ピリプロキシフェン はハエ、蚊、ゴキブリなどの衛生害虫に成長抑制剤として機能する。WHOの評価書 Pyriproxyfen in Drinking Water において、ジカ熱、デング熱、黄熱病等の感染症を媒介する蚊防除に有効な薬剤とされている。

農業・園芸分野では、カイガラムシ、コナジラミ、アメリカタバコガ、ヨコバイ、アブラムシ、ヨトウムシなどの駆除に使われている。


登録にあたり、哺乳動物に対する膨大な安全性試験が実施され、発がん性や催奇形性等の悪影響がないことを確認しており、また、世界保健機関(WHO)、EPA、欧州食品安全機関(EFSA)においても同様の評価が与えられて
いる。

一時、ブラジルにおける蚊幼虫駆除剤としての使用と小頭症発生の因果関係を示唆する報道があったが、ブラジル保健省は、ピリプロキシフェンと小頭症の関連を示す科学的根拠はないことを明らかにした。幼虫駆除剤を使用していない地域からも小頭症患者が確認されているとしている。

米上院共和党による医療保険制度改革(オバマケア)改廃への取り組みは、7月17日夜に新たに党内から2人の造反が出たことで頓挫した。

上院議員は現在、共和党52、民主党46、無所属(民主系)2 となっている。

共和党では既に2人の議員が反対を表明しており、与党造反が合計4人となって、賛成票は過半数に届かない。

オバマケア撤廃という共和党の7年越しの悲願は再び暗礁に乗り上げた。

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Trump大統領はオバマケアの廃止を公約としていた。

米上院は1月12日、オバマケア撤廃に向けた法案の策定を各委員会に指示する決議案を可決した。翌13日に下院も賛成多数で決議した。

大統領は1月20日の就任当日に最初の大統領令を出し、オバマケアの撤廃に向け、各省庁に現行制度による経済的負担を軽減するよう指示した。

米下院の共和党議員らは3月6日、低所得者向け医療費補助制度の拡張などを含む医療保険制度改革法(オバマケア)を廃止する法案を発表した。

民主党は、税金廃止や税額控除で富裕層が恩恵を受け、数百万人の中低所得者層から保険を奪うとして反対を表明した。

共和党保守派は代替案をオバマケアの「焼き直し」などと批判、オバマケアの完全な廃止を求めた。

超党派の議会予算局(CBO)は3月13日、法案が成立すれば保険加入者数は2018年に現行より約1400万人、2026年には約2400万人減るとの見通しを発表し、ショックを与えた。

共和党は3月24日の採決を予定したが、可決の見通しが立たず、トランプ米政権は同日、オバマケアを見直す代替法案の下院本会議での採決を見送り、法案を事実上撤回すると表明した。

2017/3/27 オバマケア代替法案撤回

その後、共和指導部は、病歴のある加入希望者に保険会社が割増保険料を請求することを認める一方、既往症のある人に保険料補助を出すなど、保守派、穏健派双方の議員に配慮して法案を修正した。 

米議会下院は5月4日の本会議で、共和党が提出した医療保険制度「オバマケア」の廃止と、これに替わる制度の創設を盛り込んだ法案(American Health Care Act )を賛成217、反対213の僅差で可決した。共和党からは20人が造反した。

2017/5/9 オバマケア代替法案 米下院が可決 (法案内容も) 


オバマケア代替法案を巡り、上院共和党では穏健派が無保険者の増加につながると懸念する一方、保守派はオバマケア廃止には不十分と主張し、見解が割れている。

上院案は下院案をおおむね引き継ぎつつも、低所得者の民間保険への加入を促すための支援策を手厚くした。

トランプ大統領は6月27日、52人の共和党上院議員全員をホワイトハウスに呼び、今後の対応について協議した。

しかし、過半数の賛成は見込めず、米共和党上院トップのマコネル院内総務は同日、党内の支持を増やすため、採決を先送りすることを決定した。

米議会予算局(CBO)は6月29日、米上院の代替法案が施行された場合、2026年までに無保険者がオバマケアに比べて2200万人増えるという試算を発表した。

2026年の無保険者は推定4900万人に達し、現行法の約2800万人に比べて大幅に増える見通し。

試算では、同法案によって財政赤字は今後10年で3210億ドル削減できるとした。(現行法ではメディケイド向け支出が今後20年にわたり年間 5.1%拡大すると試算。一方、上院の法案が施行されれば、2026年までは年間 1.9%のペースで拡大、その後の10年は年3.5%拡大する。)

共和党のマコネル上院院内総務は7月11日、上院の修正案を7月13日に発表し、審議を開始し、7月18日の週に採決すると発表した。修正案の内容は明らかにしなかった。

しかし、7月17日夜に新たに党内から2人の造反が出て、反対が4人となったことで今回も頓挫した。

トランプ大統領は同日、ツイッターへの投稿で「共和党はオバマケアを単に撤廃し、白紙の状態から新たな医療保険制度を作り出すべきだ。そうすれば民主党も参加する」と呼びかけた。

Republicans should just REPEAL failing ObamaCare now & work on a new Healthcare Plan that will start from a clean slate. Dems will join in!

病気静養中の共和党重鎮のマケイン上院議員は、声明を発表し、米国民に質が高く手の届く医療保険制度を提供するため、超党派で取り組んでいくべきだとの考えを示した。


付記

米上院は7月25日、オバマケア見直しの法案審議を開始することを承認した。脳腫瘍と診断されアリゾナ州の自宅で療養中のジョン・マケイン上院議員も出席、採決は50対50の同数だったため、上院議長であるペンス副大統領の判断で可決した。
ただ与党・共和党内の対立で法案の内容は固まっておらず、法案成立につなげられるかどうかは不透明。


2014年6月施行の改正薬事法(現 医薬品医療機器法)により、処方箋なしで購入できる市販薬(一般用医薬品)のネット販売が3年前から解禁されたが、国は医療用から市販薬に切り替わったばかりで、副作用の評価が定まっていない一部の薬については原則として3年間ネット販売を禁止した。

この規制が憲法違反だとして、ネット通販を手掛ける楽天の子会社が国に販売規制の取り消しを求めた訴訟の判決が7月18日、東京地裁であり、裁判長は規制の合理性を認め楽天子会社の請求を退けた。この規制に対する司法判断は初めて。

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2009年6月までは、一般用医薬品は薬剤師を置かないと販売できなかったが、逆に、薬剤師を置けばインターネット販売も可能であった。

2009年6月1日に改正薬事法が施行され、コンビニエンスストアなどでも、登録販売者を置けば、「一般医薬品」の販売ができるようになるなど、医薬品販売の規制緩和がなされたが、厚生労働省は、改正薬事法施行に合わせて、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を規制する内容の省令を公布した。

これに対し、ネット販売のケンコーコム(楽天子会社)とウエルネットは国を相手取り、医薬品ネット販売の権利確認と省令の無効確認・取消を求め、東京地裁に提訴した。

厚生労働省が改正省令が施行される2009年6月1日以降、一般用医薬品のうち、第1類医薬品、第2類医薬品の販売は、対面販売が求められることとされ、郵便等販売が禁止された。
これによりこれまで認められていた営業権を剥奪され、営業上不可償の深刻な不利益を被ることを受け、その権利救済を求める。 

地裁はこれを却下したが、東京高裁は一審判決を一部取り消し、2社に販売権を認める逆転判決を出し、最高裁も2013年1月に国の上告を棄却した。

この結果、省令以前の状態に戻り、ネット販売は従来どおり実施された。

安部首相は原則解禁の方針を表明したが、厚労省は最高裁の判断について、下記のように解釈した。

ネット販売禁止は職業選択の自由の制約になるが、賛否両論があるなか、国会の委任の範囲を超えて勝手に省令で規制するのが違法である。
従い、法改正により規制する。

政府は2013年11月6日、市販薬の99.8%の品目のインターネット販売を解禁する一方、安全性に懸念がある28品目は販売を禁止したり、制限したりする方針を発表した。
政府は11月12日、薬事法改正案を閣議決定し、国会に提出した。→ 2014年6月施行

政府の規制改革会議は2013年10月31日、一般用医薬品(市販薬)のネット販売について改めて議論、会議後、全品目のネット販売を求める追加の意見書を厚労省に提出した。

楽天の三木谷浩史社長は、「3年であれ4年であれ、科学的な議論もなく、一律に規制を行うのは違憲であり、甚だ遺憾だ。対面販売の方がインターネット販売よりも安全だという主張も話にならない」と述べ、政府の方針に強く反対する考えを示した。

そのうえで、「今回の規制は、ネットユーザーを中心に大きな波紋を呼ぶと考えているし、特定の団体の利益を守る規制については断固として反対する。基本的には、司法の場で争うことになるだろう」と述べた。

また、三木谷社長は、今回の政府の方針に反対して、政府の産業競争力会議の有識者議員を辞任する意向を固めた。

2013/11/8 一般用医薬品のネット販売規制

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2013年11月国会提出の改正薬事法では、医師の処方箋が必要な医療用医薬品もネット販売を認めず、対面販売でなければならないと明記した。
それまでも省令で禁じているが、市販薬の省令によるネット販売規制が最高裁で違法とされたため、法律で位置づけた。

楽天子会社のケンコーコムは2013年11月12日、国に対して処方箋薬郵便等販売の地位確認請求訴訟を東京地方裁判所に提起した。

処方箋薬のネット調剤の準備作業を進めてきたが、現行省令に禁止規定があるため自粛している。
しかしこの禁止規定は、一般用医薬品の郵便等販売に関する規定同様に現行薬事法に委任規定がないこと、仮に委任規定があっても、対面販売を要求し処方箋薬のネット調剤を禁止する立法事実が存在しないために無効である。

政府が資料提出を遅らせたため、2014年6月の改正薬事法(処方箋薬のネット販売禁止を明示)が間近となり、ケンコーコムは裁判長の示唆を受け、不本意ながら、本訴訟を取り下げ、下記の訴訟を行った。

ケンコーコムは2014年1月27日、まず要指導医薬品の指定処分の「差止」を求め、東京地裁に差止訴訟を提起した。

しかし、国が答弁に時間を要したこと等により裁判はほとんど進まないまま、2014年6月に要指導医薬品が指定される状況となり、差止請求は、訴訟要件(裁判所が判決を下すための前提条件)を欠くこととなった。

そのため、同社は訴えの変更を申し立てることにし、新設された要指導医薬品について、その「指定処分の取り消し」と、「インターネットで販売できる地位の確認」に変更した。
「副作用のリスクは対面販売でもネット販売でも同じだ」と主張、規制が憲法が定める職業選択の自由に反するとした。

国は従来の一般用医薬品から要指導医薬品という新しいカテゴリーを設け、インターネット販売を一律に禁止することについて、これまで合理的・科学的な根拠はまったく示していない。

また、要指導医薬品に指定された医薬品については、当社がこれまで、薬剤師による丁寧な情報提供のもとで慎重に販売することで、問題なく患者に届けてきた医薬品が含まれている。

当社に限らず、これまで要指導医薬品について、インターネット販売に起因する副作用の報告はされていない。

合理的・科学的な根拠のない要指導医薬品のインターネット販売禁止は、憲法の営業の自由を侵害するのみならず、医薬品を迅速かつ便利に入手しようとする患者の利益をも害するもの。

これに対し、国は「規制は原則3年だけで大衆薬の一部のみが対象であり、憲法違反ではない」と反論。「副作用のリスクが確かでない薬の販売には薬剤師による対面での指導や情報提供が必要だ」と規制の合理性を主張した。


今回、裁判長は、「副作用のリスクに照らせば、薬剤師の判断のもとで販売させる規制には相応の合理性がある」と対面販売の必要性を指摘し、要指導医薬品の品目数が少ないことなども踏まえ、憲法の職業活動の自由には違反しないと結論づけた。

ケンコーコムは、「判決は承服しがたい。規制の見直しに向けた働きかけを継続する」などとするコメントを出した。

厚労省によると、要指導医薬品は7月18日現在、花粉症向けの抗アレルギー用薬「クラリチンEX」、外用鎮痛消炎剤「ロキソニンSパップ」など13品目(8つの有効成分)。

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楽天の100%子会社で、ともに生活用品や日用品を取り扱うEC事業者あるケンコーコムと爽快ドラッグは7月1日合併し、Rakuten Direct ㈱となった。

楽天は楽天市場での日用品や健康関連商品の品ぞろえ強化を狙い、2015年にケンコーコムを、2016年に爽快ドラッグをそれぞれ買収。「事業形態が極めて近い両社を組織的に一体化することで、効率的な運営を図る」としていた。

日銀は7月20日の金融政策決定会合で、2%の物価上昇目標の達成時期をこれまでの「2018年度ごろ」から「2019年度ごろ」に先送りした。物価目標達成の先送りは6回目になる。

会合後に会見した黒田東彦総裁は、デフレマインド的な慣行が根強くあるとあらためて指摘。何回も先送りになるのは残念としながら「企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重だが、物価上昇モメンタムは維持されている」と語った。

日銀は「経済・物価情勢の展望」で、以下の通り述べている。

消費者物価(除く生鮮食品)は、企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっていることなどを背景に、エネルギー価格上昇の影響を除くと弱めの動きとなっている。 これに伴って、中長期的な予想物価上昇率の高まりもやや後ずれしている。

もっとも、マクロ的な需給ギャップが改善を続けるもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も上昇するとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。

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2012年12月26日に第二次安部内閣がスタートした。

アベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の「三本の矢」を基本方針とした。

2013年3月20日に黒田東彦氏が日銀総裁に就任した。

黒田総裁は就任直後の2013年4月に大規模緩和に踏み切り「2年程度で2%の物価上昇を達成する」と宣言した。

しかし、その後の状況は下記の通り。


日銀は
物価目標達成の先送りを続け、今回は6回目になる。2014年度末には達成するとしたのが、2019年ごろとなっている。

仮にこれが達成できたとしても、早くても、黒田総裁の任期が終わって1年後となる。

しかし、そもそも、「デフレはもっぱら貨幣的現象であり、金融政策によって影響できる」との安倍、黒田理論が誤りであり、このまま金融緩和を続けてもデフレが解消できるとは思えない。

実際には、デフレは貨幣現象ではなく、需要の変化に供給が対応できないためである。

この解決には、需要のなくなった産業への保護をやめ、新しい需要に対応する産業への規制をやめて、供給構造を改変するしかない。

詳細は下記参照  

2017/1/4 アベノミクス4年

トランプ米大統領は 6月30日の米韓首脳会談で米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉に言及したが、米通商代表部(USTR)は7月12日、FTAの改定交渉を韓国政府に正式に要求した。


Robert Lighthizer 通商代表は韓国の産業通商資源部長官に宛てて、下記の内容の書簡を送り、「米韓FTAの改定、修正を話し合う特別共同委員会の会合を30日以内にワシントンで開きたい」と要求した。協定では、米韓のいずれかが特別共同委員会は招集を要求した場合、相手国は原則的に30日以内に応じなければならないこととなっている。

韓国は重要な同盟であり、主要貿易相手国として両国関係を強化するためには自由でかつ公正で、バランスの取れた貿易が必要だ。

両国間の経済関係は強固でかつ躍動的だけでなく、公正でなければならない。米韓FTAで韓国が恩恵を受けているように、米国経済も恩恵を受けるように両国が協力するのが緊要だ.

ほとんど20年にわたり、韓国とのモノの貿易赤字が続いている。

米韓FTAの交渉時には、両国の経済がともに大きな利益を得ることが期待された。しかし締結後、米国の対韓国の貿易赤字は増加し、モノの貿易赤字は2倍になった。

バランスのとれた貿易関係が必要だ。


USTRは同時に記者発表を行った。

USTRは大統領の指示により、米国の貿易の障害を取り除き、協定の修正を検討するため、特別共同委員会の開催を要求した。

大統領は、貿易赤字を減らし、米国民のためのより良い貿易関係を交渉するという約束を守り続ける。

FTAの発効以降、韓国に対する米国のモノの貿易赤字は132億ドルから276億ドルに倍増し、米国のモノの輸出は実際に減少した。これは前政権がFTAの承認を求めた際に述べたことと全く異なる。

2010年12月4日、Obama大統領は、「関税引き下げだけで、モノの輸出を最大110億ドル増やすことが期待できる」と述べた。

2012年3月のFTA発効前の2011年通年で韓国向けのモノの輸出は435億ドルであったが、2016年のモノの輸出は423億ドルで、2.7%の下落である。

2011年から2016年で、韓国とのモノの貿易赤字は132億ドルから276億ドルに倍増した。

我々はこの状況を改善する必要があり、することが出来る。


韓国政府は書簡を受け取ったことを明らかにし、以下のとおり述べた。

先月のトップ会談で提案したように、先ず、両国の実務家レベルで、韓米FTAの効果を研究し、分析し、評価を行い、両国の貿易のアンバランスの理由を調べることが必要だ。

USTRと詳細スケジュールと議論項目を協議するため、高官を派遣する。

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米韓FTAの経緯は下記の通り。

韓米FTA交渉は2007年4月2日に妥結した。最後まで争点となった牛肉を含む農業と自動車分野でも合意した。
なお、コメについては対象外となっている。

2007/4/4 米韓FTA妥結 

しかし、自動車関連などで米国内の反対が強く、批准されないままとなっていた。

2010年7月の韓国・EUのFTA妥結を受け、争点を話し合うための通産相会議が11月に行われたが、自動車と牛肉問題で合意に達せず、決裂した。

2010/11/12 米韓FTA協議、決裂 

最終的に、米国は牛肉問題はFTAと別の問題とする韓国の主張を受け入れ、その代わり、韓国は自動車で大きな妥協を行い、2010年12月3日に交渉が妥結した。

2010/12/4 韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が妥結

米上下両院は2011年10月12日、韓国とのFTAの実施法案を賛成多数で可決した。

2011/10/14 米議会、韓米自由貿易協定を可決

韓国与党ハンナラ党は11月22日、国会で韓米FTA批准案を強行可決した。本会議場では、これを阻止しようとする野党の議員が催涙弾を投げるなど一時大混乱に陥った。

2011/11/25 韓国、韓米FTA批准案を強行可決 

韓国国会は2011年12月30日、米国とFTAの再交渉をするよう政府に求める決議を賛成多数で可決した。
決議は特に「ISD条項」(
投資家対国家紛争仲裁制度)について「主権を脅かしかねない」と指摘、破棄も含めて米国と再交渉するよう求めている。

2012/1/7 韓国国会、「米とのFTA再交渉」決議 

韓国外交通商部は本年2月21日、韓米FTAが3月15日午前0時に発効すると発表した。

最大の争点のISD条項に関しては、「削除は検討していない」と述べ、「FTA発効後90日以内にサービス投資委員会を開き、ISDをめぐる問題を論議するための特別班を構成する予定」とした。

2012/3/15 韓米FTA発効

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Ronald Trump は2016年10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランを発表した。

そのなかで、大統領就任の1日目に、米国の労働者保護のため、7つのアクションを行うとした。

このうち、「TPPからの撤退を宣言」については、米通商代表部(USTR)は1月30日、TPPからの離脱を参加各国に書簡で正式に伝達した。

「米・加・メキシコの北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表」については、大統領は1月22日、メキシコ、カナダとそれぞれ開く首脳会談で北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を始めると表明した。

8月半ばにNAFTA再交渉を設定している。

2017/7/19 米通商代表部、NAFTA再交渉の協議目標を公表

なお、このなかの「財務長官に命じ、中国を為替操作国に指定」については、トランプ大統領は4月12日のWall Street Journalとの会見で、「考えを変えた。中国は現在は為替操作をしていない」と述べた。

トランプ米大統領は4月8日、中国の習近平国家主席と会談し、北朝鮮の核開発問題と米中間の貿易不均衡という2つの差し迫った課題を巡り、協力を続けることで合意した。

貿易不均衡の是正に向け、米国のMnuchin 財務長官、Ross 商務長官と中国の汪洋 副総理の3人が共同委員長となり、「100日計画」を協議することとした。

2017/5/15 米中「100日計画」第一弾発表 

7月16日、策定の期限を迎えた。両国は19日には包括経済対話を初めて開き、100日計画の合意内容を公表する。

トランプ大統領は7月12日、 「私は中国の助けがほしかったので、これまでは中国に少し甘かった」と明言、北朝鮮の核・ミサイル開発の問題で協力を取りつけるため、貿易面で配慮をしていたことを認めた。


今後は、対日本を含め、貿易面での攻勢を強めるとみられる。



米通商代表部(USTR)は7月17日、カナダ、メキシコと始める北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に向け、貿易赤字の削減など22項目の協議目標を公表した。

Ronald Trump は2016年10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランを発表したが、そのなかで、大統領就任の1日目に、米国の労働者保護のため、7つのアクションを行うとし ており、「米・加・メキシコの北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表」が含まれている

大統領は1月22日、メキシコ、カナダとそれぞれ開く首脳会談で北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を始めると表明した。 トランプ米政権は5月18日、米議会に再交渉に乗り出すと正式に通知した。

USTRはそれ以降、米議会などと協議をしてきたが、今回、協議目標を公表した。8月16日以降に再交渉を開始する。

米国の製品、農産品、サービスのカナダとメキシコへの市場アクセスを改善することにより、米国の貿易赤字を減らし、全ての米国民にとってフェアな、はるかに良い協定を目指すとし、次のように述べている。

USTRは初めて、NAFTA交渉の目的として貿易赤字縮小を含めた。

NAFTAは1994年に発効したが、それ以来、メキシコとの間の貿易収支は13億ドルの黒字から、2016年には640億ドルの赤字になった。

カナダとの間では、乳製品、ワイン、穀物、その他製品に関して市場アクセスの問題が生じている。貿易障壁の問題は現在の協定には含まれていない。

Digital Trade (ソフトウエア、音楽、ビデオ、e-bookなど)が新しく加わる。
現在、付帯条項となっている労働・環境義務も取り入れ、強化する。
またアンフェアな補助金、国営企業による市場を歪める慣行、知的所有権に対する重い制限などを取り除く。

トランプ米大統領は大統領選中に「メキシコ製品には35%の関税を課す」と言及したが、これは見送る一方、通貨安誘導を防止する「為替条項」を新設するよう求める。

22項目の協議目標は次の通り。

Trade in Goods カナダ・メキシコとの貿易赤字の縮減
  工業製品
  農業製品
Sanitary and Phytosanitary Measures
(衛生植物検疫措置)
Customs, Trade Facilitation &
Rules of Origin

Rules of Originでは、真に米国および北米で生産された製品がNAFTAのメリットを受けることとしている。
(現在、乗用車なら域内の部品調達率が62.5%を超えれば関税がゼロになる。)
Technical Barriers to Trade
Good Regulatory Practices 市場アクセス推進
各国間の規則の互換性
Trade in Services including Telecommunications and
Financial Services
Digital Trade in Goods and Services and Cross-Border Data Flows Digital products (e.g., software, music, video, e-books) は非関税に。

Investment 全てのセクターで米国の投資への障壁を除外、または縮小
Intellectual Property 適切かつ有効な知財保護の推進
Transparency
State-Owned and Controlled Enterprises
Competition Policy
Labor この条項を本契約に盛り込む(現在は付帯条項)
Environment この条項を本契約に盛り込む(現在は付帯条項)
Anti-Corruption
Trade Remedies 反ダンピング、反補助金、セーフガードなどの貿易法を強力に施行する米国の能力を維持

反ダンピング・反補助金措置の適用をおおむね禁じているNAFTAのメカニズムを廃止し、米国法の適用が制限されないようにする。

NAFTA19条の紛争解決メカニズム(NAFTA加盟国の当事者は裁判を2つのNAFTA加盟国の適切な5人の市民から構成される二国間の陪審団によるものにするように要求する権利がある)の廃止など
Government Procurement
Small- and Medium-Sized Enterprises
Energy
Dispute Settlement
General Provisions
Currency 適切なメカニズムを通じて、有効な為替調整を妨げたり、アンフェアな競争上の利益を得るために為替レートを操作することが出来ないようにする。


具体的な内容は不明だが、徹底的に米国に都合のよいように変更しようとしているように見える。

そもそも、米国の貿易赤字を減らすのを主な目的とするのはおかしい。輸入品の関税をあげれば、それを使う米国製品のコストは上がり、競争力がなくなる。

トランプ政権はNAFTA再交渉を今後のFTA交渉のモデルケースと位置づけている。
韓国とのFTA見直しや、今後の日米FTA交渉にも影響を与える。

BASFは7月13日、WHOから農薬クロルフェナピル(Chlorfenapyr)をベースとした長期残効型防虫処理蚊帳(Interceptor® G2)の推奨を受けたと発表した。

クロルフェナピルを使ったもう一つの製品の室内残効性スプレー(Sylando® 240SC)もWHOで評価の最終段階にある。

Innovative Vector Control Consortium (IVCC) とロンドン大学衛生熱帯医学大学院の10年に及ぶ協力を得て、BASFは農薬のクロルフェナピルを蚊帳用に使用するのに成功し、WHOの公衆衛生用の厳しい基準に合格した。

IVCCは、画期的な製品の開発を通じて蚊が媒介する疾病(マラリア、デング熱、デング出血熱等)の感染を減らすことなどを目的として、2005年にBill & Melinda Gates Foundationの支援を受けて設立された非営利団体。


ロンドン
大学衛生熱帯医学大学院は、公衆衛生学研究で世界トップレベル。

マラリアは、マラリア原虫に感染した蚊に刺されることにより人に感染し、世界では、毎年約2億人がマラリアを発症し、約63万人が亡くなっていると言われている。うち、子供は2分に1人が亡くなっている。 WHOのマラリア対策は、予防、治療、およびこれらに寄与する研究を重要視しており、効果的な感染予防の手段として、長期残効型防虫処理蚊帳などとともに、室内残効性スプレーの使用が推奨されている。

WHOの推奨する蚊防除殺虫剤は4つしかなく、そのうちのピレスロイドだけが防虫処理蚊帳用に推奨されている。

住友化学のOlyset Net はポリエチレンにピレスロイド系殺虫剤を練り込んだ長期残効型防虫蚊帳で、2001年にWHOから使用を推奨された。

現在、国連児童基金(UNICEF)などの国際機関を通じて、80以上の国々に供給されている。

2013/6/8 住友化学のOlyset Net  

しかし、一部地域では、既存殺虫剤に抵抗性をもつ蚊の発生が確認されている。同一薬剤の継続使用により抵抗性を持つ蚊が現れる。

住友化学は2014年9月、「オリセットRネット」の技術を発展させ、既存の防虫剤の殺虫効果を高める薬剤を加えることにより、抵抗性を有するマラリア媒介蚊にも有効性を示す「オリセットRプラス」を開発し、バングラデシュで販売を開始した。

さらに、住友化学とIVCCは2015年の世界モスキート・デー(8月20日)に、マラリア対策向け新規殺虫成分の現地試験を開始すると発表した。開発中の新規殺虫成分は、こうした抵抗性問題の解決につながることが期待される。

2015/8/22 「世界モスキート・デー」 

BASFの行った西アフリカのベナン共和国、ブルキナファソ共和国、タンザニア、コートジボワール(象牙海岸)での別々の実験で、防虫処理蚊帳(Interceptor® G2)と室内残効性スプレー(Sylando® 240SC)は薬剤抵抗性の蚊に対し有効であることが証明された。

WHOの推奨を受け、BASFは防虫処理蚊帳(Interceptor® G2)の販売の準備に入った。各国での承認を受け、本年末にも使用される見込み。

ーーー

クロルフェナピル(Chlorfenapyr)は有機ハロゲン化合物の一種で、American Cyanamidが開発した殺虫剤。

ピロール系の構造を持ち、果樹・野菜のコナガやハダニの呼吸系を阻害し殺虫効果を現す。日本では1996年4月25日に農薬登録を受け、日本曹達から「コテツ」の商品名で発売されている。

American Cyanamidは1907年設立の米国の総合化学会社であった。設立とともに,ドイツから特許を得て空中窒素の固定,石灰窒素の生産を開始、その後、窒素,リン酸肥料分野へ進出し、合併を繰り返しながら尿素樹脂,タール製品,メラミン樹脂,医薬品分野へ進出した。

事業内容は農業部門 (肥料,殺虫剤,除草剤,飼料など) ,化学部門 (重化学品,水処理薬品,アクリロニトリル,メラミン,爆薬,製紙・鉱業用製品など) ,有機化学部門 (触媒,染料,プラスチック添加剤,合成ゴムなど) ,合繊部門 (アクリル,ポリエステル繊維) など,数千種類の製品に及んだ。

1994年にAmerican Home Products に買収されたが、2000年にBASFに買収された。

Western Digital が、ICC 国際仲裁裁判所の決定が下るまでの暫定措置として、東芝と共同で運営する3つのNAND型フラッシュメモリ合弁事業売却の予備的差し止めを求めた 裁判で、San Francisco County Superior Courtは7月14日、審問を開いたが、結論を持ち越した。次回の審問は7月28日に開く。

2017/7/15 米裁判所、東芝メモリ売却に関し結論持ち越し

両社はこれを含めて4つの仲裁・訴訟を行っている。概要を下記にまとめた。

事実関係は次のとおり。

JV契約は、東芝とSunDiskの間で締結された。米国でJV設立、のち工場を四日市に移転
合弁契約では、合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できないが、
買収などによって持ち分の所有者の支配権が変わる場合は同意は不要とされているとのこと。
2016/5/12、Western Digital によるSanDisk 買収。(東芝の同意求めず)
2016/4/1 東芝、半導体事業を分社化、「東芝メモリ」を発足、東芝メモリの売却交渉開始
2017/6/3 東芝、JVを東芝メモリから東芝に戻す。

問題点は次の通り。

1) 裁判の管轄権   

東芝は日本の事業の問題なので、管轄権は日本と主張するが、JV契約には管轄権が明記されている筈。
  当初は米国でのJVであり、(修正していなければ)米国法とされている筈。

仲裁については契約でSan Franciscoで行われるとなっているとのこと。

2) 事業持分の売却 

契約の文言が実際にどうなっているか、実際の両社の主張がどうかによる。

以下は一般に言われていることの筆者の解釈。

「合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できないが、買収などによって持ち分の所有者の支配権が変わる場合は同意は不要」というのが事実なら、

1) Western Digital によるSanDisk 買収は東芝の同意不要であり、東芝の同意を求めなかったことを理由に東芝メモリを同意なしで売却できるというのは成り立たない。

2)「分離した東芝メモリの買収によって持ち分の所有者の支配権が変わる場合であり、同意は不要である」との東芝の主張には無理がある。

 東芝本体が買収される場合は同意不要だが、分離したうえで売却するのは、事業の持分の売却そのものである。

JV持ち分を東芝に戻し、売却対象外とするのなら、JV契約と関係ないため自由であるが、それを前提とはしていない筈。



国際仲裁裁判所 原告 WD
時期 2017/5/14
内容 半導体事業の売却の差し止め

合弁契約の「合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できない」規定に違反

・半導体事業の東芝メモリへの移管取り止め

2017/6/3 東芝、JVを東芝に戻す。
  JVの建屋、従業員は東芝メモリ
 


東芝メモリには
NAND型フラッシュメモリの権益は含まれない。
現在の売却交渉(2兆円程度)はこの権益を含んでいる。

これなしで、東芝メモリ売却は成立するのか?
売却価額は大幅ダウン?

・同意なしでの移管禁止
結果 1年後?  決定は最終
  2017/5/15 東芝の半導体事業売却、Western Digital が差し止め申し立て 
San Francisco County Superior Court 原告 WD
時期 2017/6/14
内容 合弁事業売却の予備的差し止め
国際仲裁裁判所の決定までの暫定措置
東芝、米国に管轄権なしと主張
結果 7/14 審問 →結論持ち越し
次回 7/28
   2017/7/15 米裁判所、東芝メモリ売却に関し結論持ち越し
原告 WD
時期 2017/6
内容 東芝の情報遮断(6/28) の取り消しを求める。
結果 7/12、一部やめさせる暫定的な命令
管轄権ありの前提
東芝控訴 → 

付記 

控訴裁判所は7月18日、仮制止命令の執行の一時停止を認める判断を行った。

東芝はこれに基づき、アクセス遮断を再開(遮断対象は東芝と直接的な契約を結んでいないWestern Digital 社員であり、SunDisk 社員は継続的にアクセス可能という。)

東京地裁 原告 東芝
時期 2017/6/28
内容 不正競争行為の差止めを求める仮処分命令の申立て

総額1,200億円(一部請求)の支払い等を求める損害賠償等請求訴訟

東芝メモリ売却が、合弁契約の「合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できない」規定に違反するかどうかにより決まる。
結果 未定
   2017/5/15 東芝の半導体事業売却、Western Digital が差し止め申し立て の付記




Western Digitalは6月14日、同社子会社(=SanDisk系子会社)がSan Francisco County Superior Courtに、東芝と共同で運営する3つのNAND型フラッシュメモリ合弁事業売却の予備的差し止めを求めたと発表した。ICC 国際仲裁裁判所の決定が下るまでの暫定措置として請求している。


裁判所は7月14日、この訴訟の審問を開いた。

Harold Kahn判事は双方から主張を聴取したが、結論を持ち越した。次回の審問は7月28日に開く。


審問で裁判官は「東芝が売却の契約締結の2週間前にWestern Digitalに通告する」との命令案を提案した。

これに対し、東芝側は、JVが日本企業であり、取引はほとんどが日本で行われており、米裁判所には管轄権がないと主張していることから、米裁判所の命令に従うことには問題があるとした。
Western Digital 側は、東芝が管轄権を否定しているため、東芝が約束を破った場合、命令が実行できないとの懸念を表した。

裁判官は、双方で命令案を作成するよう指示し、次回の審問を7月28日に設定した。

東芝は7月28日までは事業売却ができないことになる。

「売却完了」=買収代金の払い込みが終わる手続きができないとの意味で、東芝は「当社が進めているメモリー事業売却の契約締結を妨げるものではない」との声明を出した。

命令案が正式に決まれば、東芝は進行中の売却手続きを止める必要がない一方、Western Digital 側には通告を受けて何らかの法的措置を起こす余地を残す判断になる。

Western Digital側は「2週間あれば売却への対抗措置をとるのに十分な時間を取れる」としている。



この Harold Kahn判事は7月
12日、東芝によるWestern Digital社員への情報遮断を一部やめさせる仮制止命令を下した。

東芝は6月28日、不正競争防止法違反等を理由として、Western Digital に対して、不正競争行為の差止めを求める仮処分命令の申立て及び総額1,200億円(一部請求)の支払い等を求める損害賠償等請求訴訟を東京地裁に提起したが、合弁事業及び共同開発に関する情報へのアクセスについては、同日遮断した。

Western Digital は売却差し止めを求めた訴訟とは別に情報アクセスを認める措置を求めて同裁判所に申し立てていた。

東芝によると、
Western Digitalのアクセスが認められた情報は、アクセス遮断前に発生した情報で、かつ、東芝情報を含まない情報であり、アクセスの期間も限定的な期間(数週間)である。
東芝又は東芝メモリに帰属する情報やアクセス遮断後(6月28日)に発生した情報を引き続き遮断することが認められた。

今回の命令は別の案件とはいえ、同じ合弁会社との争いについて同じ裁判官が米裁判所の管轄権を認めたことを意味する。

東芝は同日、「今回の命令については不服であり控訴する」との声明を出した。

付記

東芝は、この仮停止命令を不服として、カリフォルニア州控訴裁判所に上訴するとともに、仮制止命令の執行の一時停止を申し立てた。

控訴裁判所は7月18日、仮制止命令の執行の一時停止を認める判断を行った。

東芝はこれに基づき、アクセス遮断を再開した。(遮断対象は東芝と直接的な契約を結んでいないWestern Digital 社員であり、SunDisk 社員は継続的にアクセス可能という。)



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