米最高裁は6月14日、中国のビタミンC メーカーによる価格カルテルの裁判で、控訴裁がカルテルは中国政府の指示によるもので無罪とした判決について、満場一致で誤りとし、再審査のため差し戻した。

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事件は、2005年にTexasの動物飼料会社や New JerseyのビタミンのディストリビューターなどのビタミンC 需要家が、中国のビタミンC メーカーが2001年12月以降、米国で価格や供給量についてカルテルを結んでいるとして訴えたもの。

訴えられたのは4つのグループ。
・華北製薬(North China Pharmaceutical Group Corp.:NCPGC) と 河北维尔康製薬(Hebei Welcome Pharmaceutical)
   河北维尔康製薬は華北製薬集団と香港の三威國際企業Triple Well International)のJV

・China Pharmaceutical Group Ltd. (CSPC Pharma group:石薬集団)と100%子会社の維生藥業 (Weisheng Pharmaceutical )

・Aland Jiangsu Nutraceutical Co.(江蘇江山製藥 )

Northeast Pharmaceutical Co. Ltd.(東北製薬)

訴えによると、 中国の医薬・健康製品輸出入協会の2001年12月の会合で、上記4グループを含むビタミンC メーカーがビタミンC の輸出を制限して国際市場で不足状況を生むため、輸出数量を管理し、値上げをすることを決めた。

需要家は集団訴訟を起こした。

NY 連邦地裁の裁判で、メーカー側はカルテルを否定せず、中国政府の命令に従っただけであり、カルテル実行者は米国の独禁法の被告にはならないとした。また価格カルテルは中国政府の行為であるとした。更に、中国政府は米国法で裁かれないともした。

中国商務部はこの主張をすべてバックアップした。
商務部によると、中国では商務部の指導下で医薬・健康製品輸出入協会をつくっており、このビタミンC サブ委員会がビタミンCの輸出価格と数量を決定している。ミニマム価格が決められており、それ以下での輸出は出来ない という。

実際に米国の通商代表部は、中国政府がビタミンCの輸出価格を操作しているとしてWTOに提訴している。


本件の詳細  https://www.davispolk.com/files/msohn.jsolomon.antitrust.article.dec13.PDF


この輸出規制が強制的か、自主的なものかで判断が分かれた。被告側は、政府に強制されたもので、従わなければペナルティを受けると主張した。

判事は2011年9月に、中国政府は優遇政策としてビタミンC カルテルを奨励しているが、メーカーに価格カルテルを強制するほどのレベルでなく、違反しても罰金はないと認定した。



2012年5月に江蘇江山製藥は950百万ドルを支払うことで原告側と和解した。これは中国企業が米国のカルテル訴訟で和解した最初である。

最終論告開始の直前に、China Pharmaceutical Group と 維生藥業は 22.5百万ドルを支払うことで和解した。


2013年2月に始まったNew York Eastern District 地裁の最終審理で、陪審員は、 河北维尔康製薬と東北製薬が価格の固定、供給量の制限で共謀したと判断し、損害額を54.1百万ドルと決めた。

判事は3月14日、153.3百万ドル(損害額の3倍から9百万ドルを調整)の罰金を命じた。

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両社は控訴した。

2015年1月に連邦巡回区控訴裁判所(Second Circuit)がこれを取り上げた。

控訴裁は2016年9月20日、中国法が被告に対し外国で売られるビタミンCの価格を決め、数量を下げるよう要求しているとの正式の陳述書を中国政府が裁判所に提出していること、中国企業は中国法と米国の独禁法に同時に従うことができないということから、地裁は本件の管轄権を実行すべきでなかったと判断した。

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今回、最高裁は、連邦裁判所は外国政府の主張に耳を傾ける必要はあるが、それにそのまま従う必要はないとし、更に審議するよう、下級審に差し戻した。

被告側は失望したとし、下級審で更に戦うとしている。中国大使館はコメントの要望に応じていない。

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ビタミンC 市場を中国企業がほぼ独占しているのは、米国でのビタミンCカルテルで多額の罰金を命じられ、各社が撤退した結果である。

かつてビタミンCの生産は欧米企業6社が生産量の75%を寡占する商品で、カルテルで値段を吊り上げていた。

1995年に米国でリジンのカルテルが摘発された。

2010/1/12 映画 The Informant

クエン酸カルテルに関するHoffman-LaRocheなどの調査でビタミンカルテルの存在が分かった。

1999年に米、スイス、独、日、加の合計11社に総額 9億1050万ドルの罰金が課せられた。アメリカでビタミンの価格カルテルが摘発されたのは、これが二度目である。

武田薬品 72百万ドル 事業をBASFに売却
エーザイ 40百万ドル
第一工業製薬 25百万ドル
Roche  500百万ドル 事業をDSMに売却
BASF 225百万ドル
Merck 14百万ドル
Degussa-Huls 13百万ドル
Lonza 10.5百万ドル

2001年1月には、EUでもスイス・独・蘭・仏・日の計8社に総額8億5522万ユーロの制裁金が課せられている。

そこへまた中国企業ががぜん安値攻勢をかけてきたため、欧米企業は次々にビタミンCの生産から撤退した。

現在欧米で頑張っているのはDSMだけである。

DSMはスコットランドに工場を持つが、2014年にAland Jiangsu Nutraceutical Co.(江蘇江山製藥 ) を買収した。

2014/7/29  DSM、江蘇江山製藥買収で合意、ビタミンC 事業を強化 


欧州中央銀行(ECB)は6月14日、理事会を開き、量的緩和政策を年内に終了することを決めた。

ECBは新規購入額を10月以降は150億ユーロに減らし、年末で打ち切る。すでに保有している国債については満期を迎えた分を再投資に回して当面は残高を維持する。

APP(expanded Asset Purchase Programme)は現在4つのプログラムから構成されている

PSPP(public sector purchase programme):ユーロ地域の国債や国際機関の債券を購入
CSPP(corporate sector purchase programme):社債を購入
ABSPP(asset-backed securities purchase programme):資産担保証券ABSを購入
CBPP3(third covered bond purchase programme):金融機関が保有する債権を担保として発行する債券を購入

 

ユーロ圏では景気拡大が物価を押し上げつつあり、物価目標(2%近く)の実現に手応えを感じ始めた 。


ただし、欧州では足元で景気拡大のペースが鈍り、イタリアの政情も市場を不安定にしている 。
このため、ECBは現在の超低金利が「少なくとも2019年夏までは現在の水準にとどまる」と、利上げ開始に慎重な姿勢を示した。

米国は債券買い入れを2014年11月にはゼロとした。そして、2015年12月16日に、米経済は2007-09年の金融危機による打撃を概ね克服したとの認識に立ち、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を 0%~0.25% から0.25%~0.50% に引き上げた。本年6月には1.75~2.00%に引き上げた。

世界の金融政策は危機対応の局面から平時へと大きく転換する。


そのなかで、日本だけが取り残される形となる。 日銀は6月15日の金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策の現状維持を決めた。

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ECBは2015年1月22日、定例理事会を開き、ユーロ加盟国の国債などを購入し、資金を大量に金融市場に供給する「量的緩和政策」の導入を決めた。

その後の動きは下記の通り。

買い入れ規模
2015/1/22 2015/3~2016/9 月 600億ユーロ 
総額1兆1400億ユーロ
2015/1/24 欧州中銀、量的緩和導入決定
2016 2016/4~2016/9  月 800億ユーロ

2016/9/8 延長 ~2017/3
2016/12/8 延長 ~2017/12 月 600億ユーロ
2016/12/14 
欧州中銀、量的緩和の規模を縮小、実施期間は延長 
2017/10/26 2018/1~2018/9 月 300億ユーロ
2018/6/14 2018/10~2018/12 終了 月 150億ユーロ
満期を迎えた国債を再投資に回し、当面は残高を維持する。

トランプ米政権は6月15日、中国の知的財産権侵害への制裁措置として、中国による知財侵害の被害額と同規模の500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課すと発表した。

中国が巨額補助金を拠出してハイテク産業を育成する「中国製造2025」計画を名指しで批判し「中国は不公正な手法で米国の知財や技術を得ており、もはや耐えられない」と主張し、「中国が報復措置に動けば米国はさらなる追加関税の発動に踏み切るだろう」と圧力をかけた。


まず7月6日に340億ドル分の制裁関税を発動し、残りの160億ドル分は一般の意見聴取後に発動する。

第1弾の対象は産業ロボットや電子部品などハイテク製品を中心に818品目で、消費者への影響を考慮し、4月時点での約1300品目からテレビなど消費者向け汎用品などを除外した。

第2弾の160億ドル分の対象は、化学品や光ファイバーなど、「中国製造2025」の重点分野に絞った。第1弾と合わせ約1100品目となる。

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は6月15日、「次の段階は、米国の技術を買おうとする中国の投資を規制することだ」と述べ、中国への制裁関税に次ぐ措置を急ぐ考えを示した。

財務省が6月末までに中国企業の対米投資の規制をとりまとめ、速やかに実施する方針。

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中国商務省は6月16日、報復措置として、659品目、総額500億ドル規模の米国製品や農水産品に25%の追加関税を課すと正式発表した。

7月6日に発動する第1弾の追加関税は下記の545品目、約340億ドル相当。

大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、水産物、じゃがいも、たまねぎ、キュウリ、ホウレンソウ、マンゴー、オレンジ、ブドウ、りんご
ウイスキー、たばこ、綿花、乗用車、電気自動車など

米国産大豆は中国が輸出先の6割を占めている。

原油、天然ガス、石炭、エチレン、医療器具など資源エネルギー分野を中心とした114品目、約160億ドル 相当は後日、発動日を公表する。 航空機は対象から外れた。


5月17~18日の
閣僚級通商協議(下記)で米側に伝えていた米国産のエネルギーや農産物などの輸入拡大策も白紙に戻す。

これらとは別に、中国は6月16日、米国および日本原産のヨウ化水素酸、米国およびサウジ・マレーシア・タイ原産のエタノールアミンの反ダンピング調査でクロの仮決定をし、保証金を取り始めた。
また6月15日には、米国およびEU原産のSeamless Steel Tubesについて、5年経過で、再調査を開始した。

二大経済大国が「貿易戦争」に突入するリスクが高まった。

付記

トランプ米大統領は6月18日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を巡り、新たに2千億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと発表した。

米国による500億ドル分への25%の関税に対し、中国が同規模の報復措置を打ち出したのを受けての追加措置。
中国が再び報復関税で対抗してきた場合は、さらに2千億ドル分の措置を実行すると強調した。

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これまでの経緯は次のとおり。

米国

トランプ米大統領は2017年8月14日、不公正貿易での制裁も視野に、中国に対する通商法301条に基づく調査を開始するよう指示した。

2017/8/18 米大統領、通商法301条で対中調査指示

米国

USTRは2018年4月3日、中国の知的財産の侵害に対して発動する制裁関税の原案を公表した。

産業用ロボットなど生産機械を中心とした約1300品目に25%の関税を課す。米国の消費者への悪影響を抑えるためスマホや衣料品など輸入額の大きい消費財は除いた。

対象品目の2018年の想定輸入額は500億ドルで、中国からの輸入額の約1割に相当する。(2017年の輸入額は5065億ドル)

中国

中国商務部は4月4日、公告34号を出し、米国の違法な行動から中国の権利を守るため、中国の対外貿易法や国際法の基本原則に基づき、米国産の大豆やその他の農産物、自動車、化学品、飛行機など計106品目(2017年の輸入額は約500億ドル)に25%の関税をかける方針を発表した。


対象は、大豆、棉花、トウモロコシ、小麦、牛肉、たばこ、乗用車、試薬、ポリアミド、飛行機、その他。
石油化学品では、EDC、アクリロニトリル、LDPE、PVC(310千トン)、アクリル重合体、ポリアセテール以外のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、その他のポリエステル、ポリアミド、シリコーン、酢酸セルロースなどを含む。

2018/4/5 USTR、通商法301条に基づく対中制裁関税案を発表、中国も対抗措置を発表

米国

トランプ米大統領は4月5日、中国による知的財産権侵害を問題にした制裁措置を巡り、新たに1000億ドル規模の中国製品を対象にした追加関税を検討する方針を表明

中国

中国商務部はこれに対し、下記の声明

「米国が単独主義と保護貿易主義を堅持するならば、中国は最後まで付き合う。いかなる代償も惜しくないし、必ず反撃する」

米中

貿易摩擦を巡る米国と中国の初の公式交渉が5月3、4日の2日間、北京の釣魚台迎賓館で行われた。

下記の問題が議論されたが、問題は先送りされた。

1)米国の貿易赤字問題

2)投資分野

3)知財保護

4)中国のMade In China 2025計画 

2018/5/7 米中貿易協議 問題先送り

米中

米中両国は5月17~18日に閣僚級通商協議を行い、中国が貿易不均衡の是正に向けて、米国からの輸入拡大に同意したことを明らかにした。

共同声明で、中国が国民の消費拡大に対応して質の高い経済発展を実現するため、「米国の製品やサービスの購入を大幅に増やす」としたうえで、これが米国の経済成長や雇用促進の助けになるとの考えを示した。

中国は、米国の農産物やエネルギー資源の輸入を拡大することに同意した。詳細を詰めるため、米国のチームが近く中国を訪問する。

また、「知的財産の保護をきわめて重要な問題ととらえ、協力を強化することで合意した。」

中国

6月2~3日に北京で行われた協議で、中国は、米政権が知的財産権侵害の問題で米通商法301条の制裁関税を発動しない ことを条件として、米国から700億ドル近い農産物やエネルギー製品(米国産の大豆やとうもろこし、天然ガス、原油、石炭など)を輸入することを提案した。

米国

米商務省は6月7日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しで同社と合意したと発表した。

但し、ロス長官は「(ZTEに対する)取り締まり問題は切り離されている。貿易協議とは無関係だ」と強調し、301条による対中制裁措置は変えない構えを示した。

2018/6/8 米政府、中興通訊(ZTE)の事業再開認める  

最近、Ineosの会長兼CEO Jim Ratcliffe がニュースに取り上げられている。

1.爵位

英国エリザベス女王の公式誕生日にちなんで、国内外で活躍した人物に贈られる勲章の叙勲者リストが6月8日に発表された。

エリザベス女王の実際の誕生日は4月21日だが、君主の誕生日を6月に祝うことが英国の伝統となっている。

女王の公式誕生日に授与される叙勲は1860年にヴィクトリア女王が開始したもので、本年は1,057人、全体の49%が女性となっている。

日本出身のノーベル賞作家カズオ・イシグロがイギリスの文学に貢献したという理由で、爵位の中でも高い位のナイトの称号を与えられた。英国籍であるため、「Sir」の敬称を使うことができる。

Jim Ratcliffeも、ビジネスと投資への貢献でナイトの称号を与えられ、Sir Ratcliffe となった。
彼は2017年に資産を150億ポンドから210.5億ポンドに増やし、英国1位の金持ちとなっている。

現地紙は以下の例を挙げ、 Ratcliffe の受勲を祝わない人もいるとしている。

・ Ineosは最近、スコットランド政府のフラッキング禁止は違法として訴えた。

Ineos はスコットランドでシェール開発を計画しており、国中で合計700平方マイルにわたる掘削ライセンスを得ている。

2014/8/22 Ineos、スコットランドのシェールガス開発に参加

スコットランド政府は2017年10月にフラッキング禁止を発表、その後スコットランド議会で承認された。

・ Nottinghamshireの公園での試掘を認めないことに対し、National Trustを訴えている。

・ 2013年のGrangemouth refineryのストで労働者を脅迫。

2013/10/10 Ineos、Grangemouthの石化コンプレックス閉鎖か?

・ 2016年に生産性が落ちるとして、Grangemouth工場でのお茶休憩の禁止を発表

・ 英国の法人税率が高いことを理由に Ineosの本社をスイスに移した。その後、英国の減税で戻す。

2010/3/5  INEOS、節税のためスイスへの移転

2016/4/4 Ineos、本社を英国に戻す


2.フットボールチーム Chelsea の買収提案、拒否さる

Jim Ratcliffeは Manchester United FC のファンとして知られているが、最近、ロンドン西部チェルシー地域をホームタウンとする Chelsea FC を20億ポンドで買収するオファーを行い、拒絶された。

Ineosは既にスイスのローザンヌを本拠地とするフットボールチーム ローザンヌ・スポルト(Lausanne-Sport)を所有している。
(Ineos は節税のため、一時本社をスイスに移していた。)

Manchester United FC のファンである Ratcliffeが、何故、Chelseaを買おうとしたのかが取りざたされている。

背景は次の通り。

Chelsea FC のオーナーは、ユダヤ系ロシア人で寡頭資本家(オリガルヒ)の一人、石油王のRoman Abramovichである。チュクチ自治管区知事を務めた政治家でもある。

2003年にChelsea Football Clubを買収し、約160億円ともいわれる負債を返済し、ポケットマネーで次々と有力選手を獲得した。

Roman Abramovich は最近、英国に住むためにビザ(UK investor's visa)の更新を申請したが、ロシアと英国の関係悪化で、拒否された。

このため、Ratcliffeは、AbramovichがChelseaのオーナーとしてやっていけないと考え、Chelsea FC を安く買えると思ったのではないかとされる。
(しかし、Ratcliffeは、Abramovichの英国ビザの問題が発生するもっと以前から真剣に買収を真剣に考えていたという説もある。Ineosは噂や憶測にはコメントしないとしている。)



英国のビザを拒絶されたAbramovich は本年5月末にイスラエルの国籍を取得した。
ユダヤ人であるため、イスラエル国籍を容易に取得する権利を有している。

イスラエル国籍取得によってAbramovich は英国も含めた数十か国へビザ申請を行わずに渡航することが可能となるため、Chelsea FC のオーナーとして従来通りやっていける
イスラエルの長者番付の第一位になったが、新たな祖国で一から生活を立て直すためとして、今後10年間、納税義務を免れることが許される

アゼルバイジャンのカスピ海沖のShah Deniz ガス田第2期のガスの欧州向け輸送ルートである Trans-Anatolian gas pipeline(TANAP)の完了部分の開通式が6月12日、トルコのEskisehirで行われた。
初のガステストは本年1月23日に開始されている。

Shah Deniz ガス田の天然ガスをロシアを経由せずに欧州に送るもので、ガス田から South Caucasus Pipeline (アゼルバイジャン~ジョージア)で送られたガスを、ジョージア国境のArdahanからトルコを横断し、欧州に渡ってギリシャ国境のEdirneまで送り、Trans Anatolian Pipeline 経由でイタリアから既存のパイプラインで欧州に送るもの。

TANAPは全長1850kmで、今回、Ardahan からEskisehirまでの1340kmが完成した。

TANAPの開通時の輸送能力は年間160億立方メートル で、60億立方メートルはトルコに、100億立方メートルはヨーロッパに運ばれる。
その後、まず220億立方メートル、その後投資により310億立方メートルに引き上げる目標がある。

エルドアン大統領は式典で行った演説で、「エネルギーのシルクロード」と呼び、ギリシャ国境への最初のガス供給を2019年6月に行うことを目指していると述べた。

TANAPはアゼルバイジャン国営石油会社のSOCARが運営する。

TANAPの株主は次の通り。

当初 現在
SOCAR 80% 58%
TRAO(トルコ石油) 15%
BOTAS(トルコのパイプライン会社) 5% 30%
BP 12%

Shah Deniz consortium (BP, Statoil and Total) は29%出資のオプション権を持っていたが、BPだけが権利を実行した。

なお、ロシア側の、ウクライナを迂回してロシアから欧州南部に天然ガスを輸送するパイプライン South Stream 計画は、2014年12月に中止となった。
EUの規制で、ブルガリアが認可しないことが理由である。

2014/12/4 ロシア、South Stream 計画を取り止め

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Shah Deniz ガス田第2期は世界最大級の天然ガス開発計画。

Shah Deniz コンソーシアムのメンバーは以下の通り。

BP 25.5% Operator
Statoil 25.5% ノルウェー
SOCAR 10.0% State Oil Company of Azerbaijan Republic
Total S.A. 10.0%
LukAgip 10.0% Eni & LUKoil (ロシア)のJV
NIOC 10.0% National Iranian Oil Company
TPAO 9.0% Turkish Petroleum


Shah Deniz ガス田第1期は年産90億立方メートル。TANAPで輸送する第2期は年産160億立方メートルで最近完成した。

2010年6月、トルコとアゼルバイジャンがこの天然ガスの供給をトルコが受けることで覚書に署名した。
トルコが60億立方メートルを購入するのに加え、残り100億立方メートルを欧州など他国へ再輸出する権利を持つ。

OperatorのBPは、輸送ルートとして、トルコから北へ送るNabucco Gas Pipeline と、イタリアに送るTrans Anatolian Pipelineの2案を検討した。

2013/5/10 BP、アゼルバイジャン産ガスの欧州向け輸送ルート検討 

BPは2013年6月、Azerbaijan のカスピ海沖のShah Deniz ガス田第2期のガスの欧州向け輸送ルートをTrans Adriatic Pipeline (TAP) 決めたと発表した。

2013/7/2 アゼルバイジャン産ガスの欧州向け輸送ルート決定





米連邦地裁は6月12日、通信大手AT&Tによるメディア大手TimeWarnerの買収計画を承認する判決を下した。

判決は、AT&Tに対して一部の資産売却なども求めず、米司法省の主張を全面的に却下するかたちとなり、「通信とメディアの融合」を無条件で認める司法判断である。

判事は、政府側は買収が独占禁止法に違反するということを証明できなかったと述べた。司法省が、上告を検討する間、判決を保留してほしいと要請したのに対し、そんな要請は買収を kill することとなり、明らかに unjust であるとして拒否した。 

AT&T は6月20日までに取引を完了するとしている。 司法省は次の手を考えると述べた。

付記 AT&Tは6月14日、Time Warnerの買収手続きを完了したと発表した。

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AT&Tは2016年10月22日、TimeWarnerを約854億ドルで買収すると発表した。負債の引き受け分を含めると1,087億ドルになる。
半分を現金で、半分をAT&T株で支払い、2017年末までの買収を目指す。

TimeWarnerは、ハリーポッター、スーパーマン、バットマンなど、数多くの映画をヒットさせているWarner Brothersや、ニュース専門局CNN、人気ドラマを有するPay TVのHBOなど多様なコンテンツ事業を傘下に持つ。

TimeWarner は2000年にインターネット大手AOLと統合したが、ITバブル崩壊でAOLの業績が悪化し、2009年にAOLをスピンオフしている。
2014年には出版事業のTime を手放し、映像コンテンツ事業に特化したメディア企業になった。

AT&Tは米2位の携帯電話事業者(1位はVerizon )で、携帯電話事業が伸び悩むなか、買収によりモバイル端末サービス契約者にTimeWarnerの映画やニュースまで幅広いコンテンツを動画配信できるようになる。

AT&TのCEOは、「世界的に優れたコンテンツを映画、テレビ、モバイル端末すべてで提供できるようになる」と買収の意義を述べた。

AT&Tは2015年にプロフットボールリーグなど人気番組の放映権を持つ衛星テレビ大手のDirecTVを485億ドルで買収している。


司法省は調査の後、2017年7月に合併を承認する条件について、両社と協議を開始した。

メディアや有料テレビの競合他社は、AT&T が買収で取得するコンテンツの配信を優遇するのではないかとの不安を伝えていた。民主党議員らは、料金引き上げと選択肢の縮小につながりかねないと指摘、トランプ大統領もメディアの権力集中化を招くとして、選挙運動で批判していた。大統領はCNNを"Fake News"だと繰り返し非難している。

司法省はTimeWarner のTurner部門やAT&TのDirecTV部門の売却を求めたが、AT&Tは拒否した。CNNの売却を求めたともされる。

司法省は2017年11月20日、 買収を阻止するため提訴した。「合併が実現すれば米消費者に多大な損害を与えるだろう。テレビの月額視聴料の上昇につながるほか、消費者が享受し始めている新しい革新的な選択肢が減ることになる」とした。

事業内容が直接競合しない2社による「垂直統合」の阻止を米司法省が提訴するのは約40年ぶり。

司法省当局者は、両社が競争を阻害しない案を提示すれば、提訴を取り下げる可能性もあると述べたが、AT&Tは、当局から承認を得るための解決策を提供するのに前向きではあるものの、CNNを売却するつもりはないとして、法廷で争う姿勢を示した。

コンテンツの提供会社と配信会社の垂直的統合を司法省はこれまで数十年にわたって承認して おり、なぜ競争を阻害し阻止すべきなのかを判事が納得するように説明するのは困難になるとの見方もあった。


2018年3月に審理が始まった。

司法省は、買収によって年間4億ドル超、契約者1人当たりで平均で月 0.45ドルの値上がりにつながる、AT&TによるTimeWarnerのコンテンツ利用は革新への妨げ になる、と主張した。
AT&Tは、政府側の主張を「時代遅れ」で「現実からかけ離れている」と批判し、契約者が支払う料金は0.50ドル下がると説明、「司法省は、買収によって競争が低下することを証明できない」と主張した。

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今回の判決で、メディアの大規模買収に青信号が出たとして、動き出すと見られている。

早速、Comcastが21st Century Fox の資産を買収に動き出した。

これについては、Walt Disney Companyが2017年12月14日に買収を決めているが、直後にComcastがDisneyに対抗してオファーする用意を始めた。AT&T-TimeWarner の買収の司法省の決定を待って行動するとしていた。

Walt Disney Companyは2017年12月14日にRupert Murdochから21st Century Foxの複数の主要事業を524億ドルで買収すると発表した。買収総額は、負債137億ドルを含めて661億ドル相当となる。

買収対象は、映画製作を手がけるTwentieth Century Fox、テレビ製作のTwentieth Century Fox Television、FX Productions とFox21、更に、FX Networks、National Geographic Partners、Fox Sports Regional Networks、Fox Networks Group International、Star Indiaなど。

また21st Century Fox が持つ下記の持ち株も含まれる、

映像サービス事業のHuluの30%(Disney所有の30%に加え60%となる)、英国の大手放送局 Sky plcの持ち株(39.1%、残りも取得の方針とされる)、インドのTata Sky の持ち株、オランダのテレビ制作会社 Endemol Shine Group の持ち株

Comcastは本年5月に、Disneyを上回る金額で買収する用意があると述べている。

(追記)

本記事の掲載後、Comcastは21st Century Fox に対し、映画・テレビ事業の大半を650億ドルで買収すると提案した。Walt Disneyが買収で合意した524億ドルを上回る。両社による買収合戦が始まる可能性が高まった。



双日は5月30日、BHP Billiton および三菱商事から豪州の製鉄用原料炭鉱 Gregory Crinum の権益 100%を取得することで合意したと発表した。取得金額は100百万豪ドル(約82億円)になる。

Gregory Crinum炭鉱は、BHP Billiton と三菱商事が2001年に設立した50/50JVのBHP Billiton Mitsubishi Allianceが豪州東部クィーンズランド州に所有する炭鉱の一つで、Gregory露天掘炭鉱とCrinum坑内掘炭鉱の2つの炭鉱からなり、製鉄原料となる石炭を生産していた 。
長期間の採掘で埋蔵量が減少したこと、石炭価格の下落で採算が取れなくなったことから、2012年10月にGregory露天掘炭鉱を休止 、Crinum坑内掘炭鉱も2016年1月に休止した。

双日では、十分な原料炭の資源量が確認されており、正式な取得手続きが完了次第、早期に操業を再開する予定 としている。

双日は、Gregory Crinum炭鉱の近くのMinerva 炭鉱で掘削から運び出しまで自前で手掛けており、更に近郊のMeteor Downs Southの開発運営にも参画している。
このため、独自の技術力に加え、人員や資材を転用することで埋蔵量に見合う低コストで運営できるため、再稼働しても収益貢献が見込めるとしている。

Gregory Crinum炭鉱のインフラを活用した周辺炭鉱の操業請負事業や、周辺炭鉱のリハビリ(自然環境の修復や緑化)の請負事業、リハビリ跡地での太陽光発電等、環境保全に資する新たな事業展開を通じ、雇用の創出等、地域経済に貢献するとしている。

一般炭に偏重している双日グループの石炭資産をリバランスし、原料炭の事業を強化することも目的とする。

参考:炭鉱のリハビリ

今回の権益取得に伴い、法制上の鉱山リハビリテーション(自然環境の修復や緑化)義務が双日に移転する。BHPおよび三菱商事からリハビリ資金引当金が引き継がれる。

露天掘り炭鉱では、石炭層まで数十メートルから百メートルを超える土砂を取り除いていくが、その際、30~40cmの表土を植生ごとはがし、この表土を別の場所に保存しておく。草木が枯れないように水やりや肥料の補給を行う。

石炭の採掘後、くぼみを隣接する区域を採掘する際に除去した土砂で埋め戻し、重機などでならし、その上を保存しておいた表土で覆い、採炭前にとっておいた草木や周辺で採取した種子を使って植栽を行う。修復後も回復状態をモニターし、草木がしっかりと根付いているか、生きものが戻ってきているかをチェックする。

ーーー

BHP Billiton Mitsubishi Alliance (BMA) はオーストラリア最大の石炭生産企業で、原料炭の海上輸送シェアは世界一である。2001年に三菱商事がBHP Billitonから権益を取得することにより発足した。BHP Billitonの原料炭事業における中核である。

BMAはオーストラリア東部クィーンズランド州の大規模石炭埋蔵地域であるBowen Basinの、北部の都市 Moranbahから南部 Blackwater まで広域にわたって9つの炭鉱で露天堀及び坑内堀を行っている。また、石炭を出荷するための港湾施設Hay Point の操業も行っている。

9つの炭鉱のうち、Norwich Park炭鉱は石炭価格下落、洪水による生産減、高コストを理由に2012年5月に休止、Gregory Crinumも2012年10月に休止した。

全産出量の90%超が製鉄用の原料炭で、日本をはじめ、韓国、ブラジル、インド、ヨーロッパなど世界約30ヵ国に及ぶ需要家に向け年間5,000万トンを供給している。

その大半をHay Point港湾施設より出荷し、一部をその近隣のDalrymple Bay港湾施設や南部にある主要資源積出港であるGladstoneから出荷している。

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双日は1994年に豪州の資源会社Felix ResourcesからMinerva炭鉱の権益30% を取得、70/30のJV(Minerva Coal Joint Venture)とし、2005年11月に高品位の燃料用一般炭の生産を開始した。

2006年に韓国資源公社をはじめとする韓国コンソーシアムがFelix の持ち分権益70%の内、15%の買収を計画したことに対し、双日が先買権の行使を決定し、15%を買収し、45%とした。

2010年12月 、双日はFelixの残り持株55%のうち、51%分を取得、持分権益を96%とし、海外の炭鉱経営・操業機能を直接保有する唯一の商社となった。
残り4%は韓国資源公社(KORES)が取得した。

Minerva炭鉱は年間生産量約280万トンの良質な一般炭を生産している炭鉱で、日本や韓国向けに輸出してい る。


豪州のU&D Mining Industry (Australia) は、
Minerva炭鉱の近くでMeteor Downs South炭鉱の開発を決めた。

双日は2014年にU&Dと本件でのJV契約を締結した。双日が建設、操業を請け負い、50%の権益を持つ。

Meteor Downs South炭鉱は本年4月に操業を開始した。

2年間はMinervaまでトラック輸送(そこからは鉄道でGladstoneまで輸送)のため、年産50万トンで、貨車への積み込み設備が出来た後は年産150万トンとなる。

今回のカナダでのG7サミットでは多くのテーマを取り上げた。

トランプ大統領は発表された声明文を承認しないとツイッターで述べているが、声明文では貿易問題についても意見が一致しているように書かれている。

そのほか、平和問題や女性の権利問題等々についても同様である。

しかし、気候変動問題については、米国とその他の主張が違うことを明記した。

ーーー

Trump 大統領は2017年3月28日、Obama 前政権の地球温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名した。「私の政権は石炭との戦争を終わらせる」と述べ、温暖化関連の規制を180日以内に見直すよう指示した。

大統領は2017年6月1日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から米国が離脱すると正式表明した。パリ協定が「米国にとって不利益になっている」と語り、米経済の重荷になっていることを離脱の理由に挙げた。加えて「(米国にとって)公平な条約が必要」と述べ、新たな環境対策の合意に向け交渉を始める意向も明らかにした。

先進国が総額103億ドルを資金支援する国連「緑の気候基金」(Green Climate Fund)への約束分30億ドルのうちの残り20億ドルの拠出も停止する。

米政府は2017年8月4日、「パリ協定」の離脱方針を国連気候変動枠組み条約事務局に正式に通知した。

パリ協定の規定によると、離脱が可能になるのは発効日から4年後の2020年11月4日。前日の3日に次期米大統領選があるため、実際にパリ協定から離脱するかどうかは次期大統領が決めることになる。

ーーー

今回のG7サミット声明で、米国を除く6カ国とEUは、パリ協定への強いコミットを再確認している。

24. Canada, France, Germany, Italy, Japan, the United Kingdom, and the European Union reaffirm their strong commitment to implement the Paris Agreement, through ambitious climate action, in particular through reducing emissions while stimulating innovation, enhancing adaptive capacity, strengthening and financing resilience and reducing vulnerability, as well as ensuring a just transition, including increasing efforts to mobilize climate finance from a wide variety of sources. We discussed the key role of energy transitions through the development of market based clean energy technologies and the importance of carbon pricing, technology collaboration and innovation to continue advancing economic growth and protect the environment as part of sustainable, resilient and low-carbon energy systems, as well as financing adaptive capacity. We reaffirm the commitment that we have made to our citizens to reduce air and water pollution and our greenhouse gas emissions to reach a global carbon-neutral economy over the course of the second half of the century. We welcome the adoption by the UN General Assembly of a resolution titled "Towards a Global Pact for the Environment" and look forward to the presentation of a report by the Secretary-General in the next General Assembly.

25. Canada, France, Germany, Italy, Japan, the United Kingdom, and the European Union will promote the fight against climate change through collaborative partnerships and work with all relevant partners, in particular all levels of government; local, Indigenous, remote coastal and small island communities; as well as with the private sector, international organizations and civil society to identify and assess policy gaps, needs and best practices. We recognize the contribution of the One Planet conferences to this collective effort.

これに対し米国は、持続可能は成長と発展はエネルギーの確保に依存すると信じており、世界のエネルギー安全保障の強化にコミットするとしている。

世界の海洋や環境を守りつつ、各国がエネルギーを確保できるようインフラや技術の開発に努める。各国が、化石燃料をよりクリーンに有効に使うよう、また、再生可能エネルギーや他のクリーンなエネルギーを使うよう協力する。

26. The United States believes sustainable economic growth and development depends on universal access to affordable and reliable energy resources. It commits to ongoing action to strengthen the worlds' collective energy security, including through policies that facilitates open, diverse, transparent, liquid and secure global markets for all energy sources. The United States will continue to promote energy security and economic growth in a manner that improves the health of the world's oceans and environment, while increasing public-private investments in energy infrastructure and technology that advances the ability of countries to produce, transport, and use all available energy sources based on each country's national circumstances.

The United States will endeavor to work closely with other countries to help them access and use fossil fuels more cleanly and efficiently and help deploy renewable and other clean energy sources, given the importance of energy access and security in their Nationally Determined Contributions. The United States believes in the key role of energy transitions through the development of market-based clean energy technologies and the importance of technology collaboration and innovation to continue advancing economic growth and protect the environment as part of sustainable, resilient, and clean energy systems. The United States reiterates its commitment to advancing sustainable economic growth, and underscores the importance of continued action to reduce air and water pollution.

付記

トランプ大統領が他と意見が違ったのは、もう一つあった。こちらは日本も同様である。

欧州とカナダは海洋汚染の原因になるプラスチックごみをG7で減らそうと呼びかけた。

トランプ大統領はプラスチックは産業に必要だとして反対。安倍首相は対策は必要としたうえで「G7だけで解決できない。来年、日本で開く20カ国・地域(G20)首脳会議でこの問題に取り組みたい」と訴えた。孤立を避けたトランプ氏は「シンゾーと同じだ」と喜んだという。

英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの5カ国とEUは、自国でのプラスチック規制強化を進める「海洋プラスチック憲章」に署名 したが、米国と日本は署名しなかった。

環境省によると、憲章の文書案を受け取ったのは4月中旬。中川雅治環境相は「趣旨は賛同するが、産業界や関係省庁と調整が必要で、時間が足りなかった」と釈明 した。
政府関係者は「日本も参加できるよう数値目標を明示しないなどの修正を試みたが、無理だった」と打ち明けた。

参考 市民のための環境学ガイド 2018/6/17 G7 サミットでの海洋憲章

G7サミット声明は下記のとおり。

27. Recognizing that healthy oceans and seas directly support the livelihoods, food security and economic prosperity of billions of people, we met with the heads of state or government of the Argentina, Bangladesh, Haiti, Jamaica, Kenya, Marshall Islands, Norway, Rwanda (Chair of the African Union), Senegal, Seychelles, South Africa, Vietnam, and the heads of the United Nations, the IMF, the World Bank and the OECD, to discuss concrete actions to protect the health of marine environments and ensure a sustainable use of marine resources as part of a renewed agenda to increase global biodiversity protection.

We endorse the Charlevoix Blueprint for Healthy Oceans, Seas and Resilient Coastal Communities, and will improve oceans knowledge, promote sustainable oceans and fisheries, support resilient coasts and coastal communities and address ocean plastic waste and marine litter.

海洋プラスチック問題等に対応するため世界各国に具体的な対策を促す「健康な海洋、海、レジリエントな沿岸地域社会のためのシャルルボワ・ブループリント」を採択

Recognizing that plastics play an important role in our economy and daily lives but that the current approach to producing, using, managing and disposing of plastics and poses a significant threat to the marine environment, to livelihoods and potentially to human health, we the Leaders of Canada, France, Germany, Italy, the United Kingdom and the European Union endorse the Ocean Plastics Charter.

英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの5カ国とEUは、自国でのプラスチック規制強化を進める「海洋プラスチック憲章」に署名


G7サミットは6月9日午後、2日間の討議を総括した首脳宣言を採択し、閉幕した。トランプ大統領は途中で退席し、米朝首脳会議のため、シンガポールに向かった。

宣言では、焦点の通商問題について、「ルールに基づく貿易」の重要性を強調し、保護主義と引き続き闘うことを明記した。

4. We acknowledge that free, fair, and mutually beneficial trade and investment, while creating reciprocal benefits, are key engines for growth and job creation. We recommit to the conclusions on trade of the Hamburg G20 Summit, in particular, we underline the crucial role of a rules-based international trading system and continue to fight protectionism. We note the importance of bilateral, regional and plurilateral agreements being open, transparent, inclusive and WTO-consistent, and commit to working to ensure they complement the multilateral trade agreements. We commit to modernize the WTO to make it more fair as soon as possible. We strive to reduce tariff barriers, non-tariff barriers and subsidies.

また、北朝鮮に全ての大量破壊兵器などの「完全、検証可能かつ不可逆的」な廃棄を求めた。安倍首相が訴えた拉致問題の早急な解決も盛り込まれた。

16. We continue to call on North Korea to completely, verifiably, and irreversibly dismantle all of its weapons of mass destruction (WMD) and ballistic missiles as well as its related programs and facilities. (中略) In this context, we once again call upon North Korea to respect the human rights of its people and resolve the abductions issue immediately.

安倍首相は内外記者会見で「G7が自由で公正な、ルールに基づく貿易システムの発展へ努力していくことで合意した」と説明した。

今回、合意文書の作成で難航、2日目の9日早朝まで、文書に盛り込む文言などを事務方で調整、9日午前の行事の合間にも、急きょ首脳だけの会合を開いた。この会合で安倍首相が貿易問題について「自由で公正な貿易システムをG7がまとまって表明すべきだ」と各首脳を説得したという。

しかし、トランプ大統領はシンガポールへの機中でツイッターで、「米市場に大量に流入する自動車への関税を検討しており、コミュニケを承認しないよう指示した」と書き、米国とその他の国の亀裂が際立つ異例の事態となった。

Based on Justin (カナダ首相)'s false statements at his news conference, and the fact that Canada is charging massive Tariffs to our U.S. farmers, workers and companies, I have instructed our U.S. Reps not to endorse the Communique as we look at Tariffs on automobiles flooding the U.S. Market!

(追記)

トランプ大統領が激怒したトルドー首相の発言は、「カナダ人は第一次大戦以来、遠い土地で米兵と肩を並べて戦ってきた。米の関税は屈辱的だ。報復関税を課することをためらわない」というもの。

トランプ大統領は2つめのツイートで、「トルドー首相はG7 の会議中は非常に柔和に穏やかに振る舞っていたが、私が去った後の記者会見で『米国の関税は屈辱的だ』が、『振り回されることはない』と語った。非常に不誠実で意気地がない。米国の関税はカナダの乳製品への270%関税に対応するものだ」と述べた。更に、「Fair Trade」は互恵的でないなら「Fool Trade」だと呟いた。

非難はEUにも向けられ、NATOの費用負担を持ち出し、EUの対米黒字は1510億ドルで、もっと軍事に使えとか、米国は財政赤字なのに欧州を守っているが、貿易で不当に叩かれている、変えるべきだ、と呟いた。



サミットでは初日から、米国の保護主義的な通商政策をめぐり、トランプ米大統領と6カ国の首脳との応酬が続いた。

米国の鉄鋼・アルミ製品への高関税措置や、NAFTA再交渉、世界貿易機関(WTO)をめぐる課題などについて、具体的に意見が交わされた。

米国の高関税措置に「率直なやりとり」があり、「各首脳が自らの立場を表明した」。安倍首相は「G7が貿易制限措置の応酬に明け暮れることは、どの国の利益にもならない」などと主張した。

これに対し、トランプ大統領は自らの政策の妥当性を主張した。記者会見では、米国の課税に対する批判に開き直り、「関税も障壁もゼロ。それがあるべき姿だ。補助金もゼロだ」と述べた。

これとは別に、トランプ大統領は、クリミア半島の一方的な併合によりG8から排除されたロシアを再び加入させるべきだとの驚きの発言をした。

「知ってのとおり、好きか嫌いかに関わらず、また政治的に正しくないかもしれないが、我々は世界を動かしていかなければならない。G7はかつてG8だったが、彼らはロシアを追放した。彼らはロシアを復帰させるべきだ。」

これに対し、メルケル独首相は、G7サミットに参加しているEU加盟国は全て、ロシアは再加入すべきでないと一致していると述べた。
しかし、6月1日に就任し、G7初参加のイタリアのジュゼッペ・コンテ首相は、「皆の利益になる」とツイートし、ロシアの再加入を支持した。

ーーー

トランプ大統領の主張は、米国の膨大な貿易赤字がもとになっている。

2017年の国別のモノの貿易赤字は下記の通りで、中国が圧倒的であるが、英国を除くG7メンバー、EU全体、韓国、NAFTA締結のメキシコ等々、ほとんどの相手で赤字である。
OPECも当然赤字だが、シェールの大増産で赤字は少ない。


トランプ米大統領は3月1日、鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限(鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税)を発動する方針を表明、米東部時間3月23日午前0時1分に発動された。

2018/3/26 米国、鉄鋼とアルミの輸入制限を発動

トランプ大統領は5月23日、自動車や自動車部品を対象に安保を理由に輸入制限を課せる通商拡大法232条に基づく調査を指示した。「自動車や自動車部品などの中核産業は国家としての強さに重要だ」との声明を出した。商務省は乗用車やトラック、自動車部品を対象に調査を始めた。鉄鋼に課した輸入制限と同様に、車の輸入増が安保上の脅威になっているか調べる。
米メディアによると乗用車の関税を25%に引き上げる案が浮上しており、日本への影響は極めて大きい。

2018/5/24 中国、自動車関税を一律引き下げ 米に歩み寄り の付記

鉄鋼とアルミの追加関税については、EU、カナダ、メキシコがWTOに提訴し、WTOルールに基づく報復関税を準備しており、エスカレートしつつある。

2018/6/2 米、EU・カナダ・メキシコに鉄鋼・アルミ関税発動   


中国の対米貿易黒字は貿易黒字全体とほぼ同額となっている。

2018/1~5 累計 単位:億ドル
  輸出 輸入 差額
USA 1,754 704 1,051
香港 1,125 29 1,096
日本 586 724 -137
韓国 448 815 -367
台湾 190 700 -510
ASEAN 1,271 1,062 209
EU 1,558 1,102 457
その他 2,637 3,438 -801
合計 9,571 8,574 997
中国の貿易構造

「その他」から石油、鉄鉱石などを、日本、韓国、台湾などから部品を輸入

米国、EU、ASEANなどに製品を輸出
各国に香港経由で製品を輸出
 (米国の中国からの輸入が中国統計より大きいのは、
  香港経由で米国に多額の輸出が行われているためと思われる)

中国については、米国の対中貿易赤字を1千億ドル減らすよう要求した。
鉄鋼・アルミの輸入制限に加え、
中国の知的財産の侵害に対して通商法301条に基づく制裁関税の原案を公表、中国の対抗措置発表に対し、更なる制裁追加の検討を発表した。

2018/3/19 トランプ政権、貿易赤字解消に躍起、対中貿易赤字1000億ドル削減を要請 

2018/4/2 中国、対米報復関税を発動 (鉄鋼・アルミ)

2018/4/5 USTR、通商法301条に基づく対中制裁関税案を発表、中国も対抗措置を発表

2018/4/7 米、対中制裁追加を検討

貿易摩擦を巡る米国と中国の初の公式交渉が5月3、4日の2日間、北京で開催され、問題を先送りすることが決まったが、その後も米国は制裁課税実施を匂わせている。

2018/5/7 米中貿易協議 問題先送り

米国はその間、中国通信機器大手 ZTEへの製品販売を7年間禁止するなどで、中国政府を揺さぶっている。

2018/4/19 米国が中国通信機器大手 ZTEへの製品販売を7年間禁止

2018/6/8 米政府、中興通訊(ZTE)の事業再開認める  


トランプ大統領は、米国の貿易赤字の原因が相手国の高い輸入関税と非関税障壁であると信じている。

米国には製品を関税ゼロで輸出しながら、自国では高関税と非関税障壁で米国品の輸入を制限し、米国の農家や企業を痛めつけているとし、G7サミットでこれを是正すると意気込んだ。

しかし、集中攻撃を受け、総括コミュニケを認めないよう指示、米国に流入する自動車に関税をかけるとしている。

この数日間のツイッターは下記の通り。

各国に対し、高関税と非関税障壁を取り除くよう要求しているが、特にカナダの乳製品その他の高関税(二次関税)を攻撃している。

日本に対しては、FTA締結を求めている。

全体 不公平取引
 是正
The United States will not allow other countries to impose massive Tariffs and Trade Barriers on its farmers, workers and companies.
While sending their product into our country tax free. We have put up with Trade Abuse for many decades -- and that is long enough.
Looking forward to straightening out unfair Trade Deals with the G-7 countries.
If it doesn't happen, we come out even better!
I am heading for Canada and the G-7 for talks that will mostly center on the long time unfair trade practiced against the United States.

From there I go to Singapore and talks with North Korea on Denuclearization. Won't be talking about the Russian Witch Hunt Hoax for a while!
(退席後)
Just left the G7 Summit in beautiful Canada. Great meetings and relationships with the six Country Leaders especially since they know I cannot allow them to apply large Tariffs and strong barriers to U.S.A. Trade.
They fully understand where I am coming from. After many decades, fair and reciprocal Trade will happen!
総括コミュニケに反対 Based on Justin's false statements at his news conference, and the fact that Canada is charging massive Tariffs to our U.S. farmers, workers and companies, I have instructed our U.S. Reps not to endorse the Communique as we look at Tariffs on automobiles flooding the U.S. Market!
ロシアのG7復帰主張で伊首相が賛意 Just met the new Prime Minister of Italy, GiuseppeConte, a really great guy.
He will be honored in Washington, at the WhiteHouse, shortly.
He will do a great job - the people of Italy got it right!
日本 貿易関係改善 PM Abe and I are also working to improve the trading relationship between the U.S. and Japan, something we have to do.

We're working hard to reduce our trade imbalance.

FTA推進 The U.S. seeks a bilateral deal with Japan that is based on the principle of fairness and reciprocity.
EU & カナダ 関税
非関税障壁
Please tell Prime Minister Trudeau and President Macron that they are charging the U.S. massive tariffs and create non-monetary barriers.
The EU trade surplus with the U.S. is $151 Billion, and Canada keeps our farmers and others out.
Look forward to seeing them tomorrow.
Why isn't the European Union and Canada informing the public that for years they have used massive Trade Tariffs and non-monetary Trade Barriers against the U.S.
Totally unfair to our farmers, workers & companies.
Take down your tariffs & barriers or we will more than match you!
カナダ 乳製品関税



Prime Minister Trudeau is being so indignant, bringing up the relationship that the U.S. and Canada had over the many years and all sorts of other things...but he doesn't bring up the fact that they charge us up to 300% on dairy -- hurting our Farmers, killing our Agriculture!

関税割当枠を超える部分に二次関税
牛乳 241.3%、バター298.5%、チーズ245.6%、ヨーグルト 237.5% ほか

Canada charges the U.S. a 270% tariff on Dairy Products!
They didn't tell you that, did they? Not fair to our farmers!
(退席後)
PM Justin Trudeau of Canada acted so meek and mild during our G7 meetings only to give a news conference after I left saying that, "US Tariffs were kind of insulting" and he "will not be pushed around." Very dishonest & weak.
Our Tariffs are in response to his of 270% on dairy!


中国の独占禁止当局がサムスン電子、SKハイニックス、米 Micronのメモリー半導体3社による価格談合など独占禁止法違反の疑いで調査に着手した。

中国紙の「21世紀経済報道」などによると、国家市場監督管理総局傘下の反独占局の調査官らは5月31日、北京、上海、 深圳にある3社のオフィスを突然訪れ、検査を実施した。

反独占局は3社がDRAMの価格談合をはじめ、製品の供給不足を悪用した抱き合わせ販売など違法行為をしていないかどうかを調べたとされる。DRAM価格は2016年から上昇傾向が定着し、大口需要家である中国企業の告発があったもよう。世界市場で3社の合計シェアは9割超。

2017年5月から2018年1月までの9か月間のDRAMビット数の平均成長率(前年同月比)は13%であった一方、2017年1月から2018年1月までの月ごとのDRAMの1Gビット当たりの価格は上昇を続けており、その結果、2018年1月の価格は1年前に比べて47%増という値となっている。

中国でスマートフォンメーカー各社は、世界モバイル用メモリー半導体の50~60%を消費する。グローバルDRAM市場は、サムスン電子とSKハイニックスが75%を占めている。


「21世紀経済報道」は、3社が市場での支配力を乱用したと判断されれば、2016年以降に中国で販売した半導体の売上高を基準として、課徴金の規模が8億-80億米ドルになると指摘した。

今回の調査は半導体価格の上昇に対する中国のスマートフォン、パソコン業者の不満解消、自国の半導体産業育成という中国政府の意向を反映したものとみられる。
中国はハイテク分野で世界覇権をめざす産業政策を掲げている。

半導体などのハイテク分野は米中貿易摩擦の焦点の一つ。中国は米 Micronを含めた調査で米国側をけん制し、国有の通信機器大手、中興通訊(ZTE)への制裁緩和を引き出すなど今後の協議を有利に進めようとしているとの見方もされている。

ーーー

これまで中国の独禁法は下記の体制で実施されてきた。

反壟断委員会(国務院直属) 独占禁止政策の調査、市場動向のモニター、執行機関間の政策の調整
実務
機関
発展改革委員会価格調査局 価格独占行為の調査・処分
商務部反独占局 事業者結合行為
国家工商行政管理総局
(工商総局)
独占協定、市場支配的地位の濫用、行政権力を濫用した競争の排除・制限(価格独占を除く)

2018年3月、中国の「構造改革」の一環として、独禁法関連の 各機能と、品質検験権益総局(輸出入品質検査検疫を除く)、食品薬品監督管理総局の機能が新設の国家市場監督管理総局に移管された。国務院直属機構である。

国家工商行政管理総局、品質検験権益総局、食品薬品監督管理総局、反壟断委員会弁公室は廃止され、輸入品の品質管理は今後、中国税関部門が行うことになった。

国家市場監督管理総局の局長に、国家工商行政管理総局(工商総局)の局長だった張茅氏が就任した。

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