北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)実施法案が米上院で可決され、ホワイトハウスに送付された。


米議会下院は12月19日、法案を可決し、上院へ送付した。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 192 193 385
反対 2 38 1 41
棄権 3 2 5
合計 197 233 1 431


2019/12/13 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の内容を一部修正、米議会で協定承認へ


上院では大統領の弾劾裁判が始まるが、これは他の上院の課題より優先されねばならない。このため、上院ではそれまでの可決を目指し、日程を繰り上げて討議された。

民主党側は下院での可決後、2019年内の採決を求める書簡を出したが、この時点では、上院で多数派を握る共和党上層部は弾劾裁判が終了するまでUSMCA実施法案を扱わないことを明言していた。

関連する7つの委員会で審議され、まず財政委員会、予算委員会、環境・公共事業委員会で可決、歳出委員会、保険・教育・労働・年金委員会(HELP Committee)、商業委員会、外交委員会で1月15日に可決された。

1月16日に上院本会議で89対10の賛成多数で可決された。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 51 37 1 89
反対 1 8 1 10
棄権 1 1
合計 53 45 2 100

共和党の反対はToomey議員で、サンセット条項(加盟国全ての合意がない限り協定発効後16年目に失効する規定)に対する反対に加え、大統領貿易促進権限(TPA)法に違反することを問題視している。

TPA法は大統領に通商一括交渉権を付与する。

TPA法では、大統領は最終的な協定文書を議会に提出してから実施法案を提出するまでに30日以上の期間を設けなければならないとの規定がある。
USMCAについては、最終的に民主党主導の修正交渉の結果が反映されたテキストが2019年12月13日に公開され、同日に実施法案が下院に提出された。

トランプ大統領は直ちに署名するとみられる。

しかし、USMCAの発効には時間がかかると見られる。

メキシコはすでに法案を通しているが、米国による修正分の承認が必要である。
カナダは1月終わりに始まる下院で議決する予定

米中両国は1月15日、トランプ大統領や中国の劉鶴副首相が参加してホワイトハウスで「第一段階貿易合意」の署名を行った。


米中両政府は2019年12月13日、貿易協議の「第一段階」で正式合意したと発表した。

制裁関税での合意は以下の通り。

米国 2500億ドル分は25%の関税を維持
1200億ドル分は15%の関税を半分の7.5%に引き下げ(署名の30日後に)
12/15実施予定の1600億ドル分への15%追加課税を延期
中国 12/15実施予定の5%&10%追加関税を延期(自動車関税 25%+10% も延期


2019/12/16 米中貿易協議、第1段階で合意 

この時点では口頭での合意で、これから文書化して署名する段階であった。双方の発表には一致していない部分もあり、2019年5月には中国が(口頭で合意した)外国企業に対する技術移転強要を是正する法整備を拒否し、トランプ大統領が「中国は約束を破った」として追加関税を課す対中制裁の強化を決めた例もあり、実際に調印されるかどうか、不安もあった。

実際に中国側には追加関税が撤廃されなかったことへの不満があると報道された。

しかし、最終的に12月の合意のままで文書化され、署名された。

米通商代表部(USTR)は合意文書Fact Sheet を公表した。

Fact Sheet によると、合意は以下の7項目。

知財(IP) 企業秘密、医薬関連知財、原産地表示、商標、模造品対策等の分野での多くの懸案事項
技術移転 中国は外国企業の中国進出や政府承認の取得等の見返りに技術移転を求める永年の慣行を止めることに同意。
技術移転、ライセンスは市場条件に基づく。
中国政府は外国の技術を取得するための海外投資支援をやめる。
農業 貿易の構造的障壁を取り除き、米国の食品、農業製品・海産物の輸出の大幅拡大をサポート
農業製品・海産物への非関税障壁を取り除く。
金融サービス 幅広い金融サービス業者に対する永年の貿易・投資バリアを取り除く。
通貨 通貨切り下げや為替レートの目標設定をやめる。透明性、説明メカニズムを推進。
貿易拡大 中国は2年間で2000億ドル以上の財・サービスの輸入(2017年比で)
輸入増は、製造製品、食料、農業・海産物、エネルギー製品、サービスを含む。
2021年以降も数年間、同じ傾向を続け、米中貿易のリバランスに。
紛争解決 合意違反なら必要な措置を取る。
両国高官は定期協議を月1回開き、USTR代表と中国副首相も定期的に会談する。
(米政府高官は「中国が合意内容を守らなければ、制裁関税を再発動する」と明言)

中国は米国からモノとサービスの輸入を2017年比で2年で2000億ドル増やすが、輸入拡大規模の内訳は下記の通り(億ドル)。

2020 2021 合計
工業品 329 448 777
農畜産品 125 195 320
LNGなど 185 339 524
サービス 128 251 379
合計 767 1,233 2,000

2017年の米国の中国向け財・サービスの輸出は合計 1,863億ドル(輸入は 5,235億ドル)

政府の購入額を協定で決めるなら分かるが、国全体の輸入増額(目標ではなく実額)を決めるのは極めて異常である。
国の輸入額は景気によっても増減するし、品質・価格などで購入元も変わる。品質や価格を保証せずに購入を強制するのはおかしい。

中国の総輸入額が増えなければ、他国からの輸入が減ることになる。

中国の劉鶴副首相は、輸入は市場原理に基づいて行われるため、今回の合意で中国に農産品を輸出する他の国に影響は及ばないとの考えを示した。
中国企業は消費者のニーズや市場の需給に基づいて米農産物を輸入するとし、「中国市場は今や国際市場の極めて需要な一部分となっている。いかなる国も好きなだけ中国に輸出できるわけではない。輸出品に競争力があることが必要となる」と述べた。

中国に本拠を置く穀物トレーダーは、「国有企業への輸入要請や割当制の導入など、ある程度の政府介入があるだろう」と述べた。

ーーー

今回は第一段階に過ぎず、米国は制裁関税第1~3弾(2500億ドル分)は25%の関税率を堅持し ている。

米国の対中制裁関税:

  当初 8/23 発表 10/11 12/13
①~③
2500億ドル
① 340億ドル  2018/7/6  25% 2019/10/1 30%予定
(→10/15に延期)
 
引き上げ延期 
(25%維持)
25%据え置き
② 160億ドル 2018/8/23  25%
③ 2000億ドル 2018/9/24   10%
→2019/5/10 25%
④ 3000億ドル 一般  1200億ドル 2019/9/1  10% 9/1  15% 7.5%に引き下げ
消費財 1600億ドル 2019/12/15 10% 12/15 15% 予定 発動見送り


中国も産業補助金の見直しなど構造改革は拒んだままである。

米国は中国の Made In China 2025(中国製造2025)計画で、全ての政府補助金の廃止を求めている。

今回の第一段階合意分は中国が既に改善を進めている項目がほとんどである。

しかし、残る項目は中国が簡単に下りれるものではない。中国製造2025計画は国の将来を左右するものである。

難航は必至である。

トランプ大統領も、「早期に第2段階の交渉を始める」と述べつつ、「合意は11月の 大統領選挙後になるかもしれない」とも話す。

T-Mobile/Sprint 合併承認を巡る裁判で、合併を認めた米政府側が裁判所に「合併は公共の利益になる」とする文書を提出したのに対し、合併反対の州側が裁判所に反論を提出した。

T-Mobile/Sprint側と州側の最終弁論は1月15日に行われ、2月末までに判決が行われる。

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ソフトバンクグループ傘下で米携帯4位のSprintと同3位でドイツテレコム傘下のT-Mobile US, Inc. は2018年4月29日、経営統合することで合意したと発表した。



2018/5/2 ソフトバンクとドイツテレコム、子会社 Sprint とT-Mobile USの統合で合意 

米司法省は2019年7月26日、ソフトバンクグループ傘下の米携帯通信4位 Sprintと、同3位T-Mobileの合併を条件付きで承認すると発表した。
新規参入をめざす衛星テレビ大手Dish Network Corp.にプリペイド式携帯事業や周波数帯を売却することを条件に合併を認めた。

Dish NetworkはSprintの子会社のプリペイドモバイル事業(Boost Mobile、Virgin Mobileなど)を約15億ドルで、800MHzの無線周波数帯を約35億ドルで取得し、合計930万人にのぼるその顧客を取得する。
Dishはこれらの資産を3年間売却できない。
Dishは携帯電話サービスを提供することになり、7年間の移行期間中はT-Mobileのネットワークを利用できる。

米連邦通信委員会(FCC)は10月16日、合併計画を3:2で承認した。連邦当局の承認を得たことで、合併の実現は下記の一部の州による差し止め訴訟の行方が焦点となる。

米ニューヨーク州など10の自治体が6月11日、携帯大手3位と4位の合併は消費者の不利につながるとして、T-Mobile と Sprintの合併を差し止めるよう米裁判所に提訴した。

訴訟はNew York、California両州が中心となり、Colorado、Connecticut、Maryland、Michigan、Mississippi、Virginia、Wisconsin、Washington DCが名を連ねた。

その後、訴訟への参加、離脱、合併賛成が相次いだ。現状は次の通り。

合併反対  13州+DC 合併賛成 9州
New York
California
Connecticut
Hawaii
Illinois
Maryland
Massachusetts
Michigan
Minnesota

Oregon
Pennsylvania
Virginia
Wisconsin
Washington, D.C.
Arkansas
Florida
Kansas
Louisiana
Mississippi
Nebraska
Ohio
Oklahoma
South Dakota


ーーー

司法省と連邦通信委員会(FCC)は裁判の当事者ではないが、2019年12月20日に裁判所に合併の承認を求め、"Statement of Interest"を提出した。

"Statement of Interest"は、米国裁判手続法第517条(28 USC §517)に基づくもので、司法長官が連邦や州の裁判所に係属中の事件において合衆国の利益 (interests of the USA)について考慮させることができる、というもの。

司法省とFCCの合併承認は、Dish Network Corp を新しくこの事業に参入させることで公共の利益になるとし、合併禁止は米国消費者にとって大きな、長期的な利益を損なうとしている。

これに対し、原告側を主導するニューヨーク州とカリフォルニア州の弁護団は1月8日、司法省とFCCはおざなりにしか見えない調査("what appears to be only a cursory examination")で承認したもので、政府の主張は無視すべきだと主張する文書を裁判所に提出した。

州側の主張は次のとおり。

合併に反対する州の人口は米国全体の43%を占め、賛成側の州の人口のほとんど2倍に達する。

州側は政府よりも厳しい調査を行った結果、T-Mobile/Sprint とDish Networkが承認根拠となる合併条件を守らないと思われる証拠が見つかった

T-Mobile/Sprint はDish Networkが全国の通信市場で競争相手にならないだろうと見ている。
例えば、ドイツテレコムのCEOなどが価格競争が減ることが合併の理由の一つだと認めている。

ーーー

1月15日の最終弁論では、主張を提出するが、それぞれ30ページに制限されている。

T-Mobile/Sprint は、"failing firm" defense(破綻企業の抗弁)は行わないが、「Sprintは将来的に重要な競争相手にはならないため、合併でSprintが抜けても競争が著しく減るということにはならない」と主張するとみられる。

「破綻企業の抗弁」は、合併を認めないと、単に対象企業が破綻するというだけでなく、対象企業の資産が市場から退出してしまって市場が非競争的になるとの主張

しかし、州側は過去にこれと異なる主張をしている。

Sprintは財政的に安定しており、National carrier としてやっていける。

現在のSprintの状況は2011年のT-Mobileの状況に似ている。T-Mobileが立ち直ったように、Sprintも立ち直れる。同社は5年間、毎年約50億ドルを投ずる計画を立てていた。

Sprintは他にも戦略的にいろいろの代替案を持つ。Sprintは2018年にDishとの合併を検討していた。

Dish Networkについても見方が異なっている。

州側は、Dishは衛星テレビ業者で通信の経験はなく、需要家もネットワークも販売店もブランドも持っておらず、同社の市場参入はSprintに代わることにはならないとする。

これに対しT-Mobile/Sprint 側は、Dish は多くの人材を持ち、今後について適切な計画を提示していると反論、古い技術を持たないためコストは安いとする。
もし合併条件を守らなければ、莫大な罰金を課されるとし、州側主張に反論している。


米財務省は1月13日公表の半期為替報告書で、中国の「為替操作国」への指定を5カ月ぶりに解除した。

https://home.treasury.gov/system/files/136/20200113-Jan-2020-FX-Report-FINAL.pdf

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2019年8月5日、人民元相場が対ドルで1ドル=7元台に下落した。中国人民銀行は6日、基準値を1ドル=6.9683元に設定したと発表した。基準値としては2008年5月以来、約11年ぶりの元安水準となる。
制裁関税の影響を緩和するために中国政府が人民元安を容認しているとの見方が広がった。


これを受け、米財務省は8月5日、中国を「為替操作国」に指定したと発表した。

2019/8/6 米、中国を為替操作国に指定

米財務省は4月と10月に連邦議会に半期為替報告書を提出するのが通例だが、2019年10月の公表を見送って中国側の出方を見定めていた。

米国と中国は2019年12月に貿易交渉の「第1段階の合意」で合意し、1月15日に調印を行う。これには人民元政策を透明にする為替条項を盛り込む。

White Houseは"Historic Phase One Trade Agreement"で合意したと誇った。

中国は、知財、技術移転、農業、金融サービス、通貨、為替レートの分野での構造改革に同意した。
効果的な実施のための強力な紛争解決制度を含んでいる。

USTRはFact Sheet を発表したが、通貨については「通貨切り下げや為替レートの目標設定をやめる。透明性、説明メカニズムを推進」としている。

2019/12/16 米中貿易協議、第1段階で合意 

1月13日の上海外国為替市場では、米中貿易協議における第1段階の合意署名を控え、1ドル=6.89元まで上昇、2019年7月末以来5カ月半ぶりの高値をつけた。


米政権は中国の通貨安誘導の懸念が和らいだと判断し、 「為替操作国」への指定を5カ月ぶりに解除した。

ーーー

米財務省は為替操作国に指定する条件として(1)対米貿易黒字の規模(2)経常黒字の規模(3)継続的な通貨売り介入――を掲げている。

従来の基準 2019/5より改正
①重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上 同左
②実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上 GDPの2.0%以上
③外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入
(12カ月のうち、8カ月
同左
(12カ月のうち、6カ月


財務省は2016年4月の報告で、3つの基準全てに当て嵌まる国はないことを確認したが、3つの基準のうち2つに該当する国を「監視リスト」に載せ、監視していくこととした。

2016/5/2 米、日本や中国などを為替操作「監視リスト」に

これまでと今回のリストは下記の通り。

  日本 中国 韓国 台湾 ドイツ スイス インド アイルランド ベトナム イタリア マレーシア シンガポール
2016/4
2016/10
2017/4
2017/10
2018/4
2018/10
2019/5
 

①②



①②



①②

①②

①②

①②

②③
2019/8 操作国
2020/1
①②


①②

①②

①②




①②

①②

②③


中国は、2016/10以降は①の1つしか基準を超えていないが、対米貿易黒字が膨大なため、次回の報告書でも自動的に指定される。今回も同様である。

台湾は2017/4に1つしか基準を超えず、その後、外れた。

韓国は2019/5に①が基準から外れたが、引き続きリストに残った。今回①②でリストに残った。

アイルランドとベトナムは前回の2項目から1項目に減った。これが続けばリストから外れる。


今回の報告のまとめ。

Saudi Aramco と米国のSempra Energyは1月6日、Aramco Services Company が Sempra LNG がテキサス州で開発中のPort Arthur LNG export projectに参加する Interim Project Participation Agreement に調印したと発表した。

両社は2019年5月に本件についての覚書を結んでいた。

AramcoがPort Arthur LNG の第1期分 年間1100万トンのうち500万トンのLNGを20年間引き取るとともに、第1期計画に25%出資する。今後、最終確定し、正式契約を結ぶ。

Aramcoは次のように述べた。

LNGは今後、需要がグローバルに拡大する。Aramcoはこの市場に大きな期待を持っている。
今回の契約は、Aramcoの長期的なガス戦略への一歩であり、グローバルなエネルギー / ケミカル統合会社となる一歩である。

Port Arthur LNGの第1期は全ての手続きを完了しており、液化設備2系列、LNGタンク3基その他からなり、年間11百万トンのLNG輸出を目指している。
本年に入り、更に2系列を増設し、輸出能力を22百万トンとするための Federal Energy Regulatory Commissionへの申請前レビューを始めた。

Sempra LNGは北米の5か所でLNGプラントを建設し、グローバルなLNG市場に年間45百万トンのLNGを輸出する目標を立てており、Port Arthur LNGはその一つである。

現在具体化しているのは、次の3つ。

1) CAMERON LNG (Hackberry, Louisiana)

第1期 3基計 1200万トンは昨年出荷を開始した。

同社は次の液化設備(2基)とLNGタンクの承認手続きを開始した。

2019/6/4 キャメロンLNG、出荷開始

2) 本件 Port Arthur LNG (Port Arthur, Texas)

第1期、第2期 各11百万トン


3)ENERGIA COSTA AZUL LNG (Ensenada, Baja California, Mexico)

Sempra LNG とメキシコ子会社 IEnova が既存の輸入LNGのガス化ターミナル(Energía Costa Azul )に液化設備の建設を計画している。

1期は1系列で年間能力 240万トン。LNGタンクやバースは既存のものを利用する。2期では液化設備2系列とタンクを新設する。

Sempraは2019年3月31日、同地での液化のため、天然ガスをメキシコに輸出する連邦政府の認可を取得したと発表した。
TransCanada所有のNorth Baja Pipelineがアリゾナ州ーカリフォルニア州を結んでおり、メキシコ国境でSempra Energyのメキシコのパイプラインに接続する。

Sempraは中国へのLNG輸出を考えている。



Sempra Energyは2019年10月28日、三井物産との間でCameron LNG の2期計画とEnergía Costa Azul LNG計画への参加についての覚書を締結したと発表した。

下院が弾劾の罪状について大陪審の役割を果たし、調査・起訴する。
弾劾訴追決議案を可決し、上院に送付(=起訴)する。

2019/12/19 米下院、トランプ大統領を弾劾訴追

次の手続きとしては、下院から弾劾決議を上院に送付し、上院で弾劾裁判が始まるが、ここで民主党と共和党の争いが生じた。

民主党は、ミック・マルヴェイニー大統領首席補佐官代行や、ジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)など複数のホワイトハウス関係者の証言を要求している。
逆に、トランプ大統領はバイデン前副大統領親子や、自分について告発した情報機関関係者の出廷を要求している。

しかし、マコネル院内総務は12月17日の上院本会議で、弾劾裁判における上院の役割は「判事および陪審員として審理を聞くことであり、事実関係の調査を一からやり直すことではない」と発言し、スピード採決につなげたい意向を示した。

上院で過半数(53/100)を占める共和党が、証人なしで裁判を短期で結審させて「無罪判決」を下す可能性もある。

証人を呼ぶためには、上院の過半数の賛成が必要で、共和党から4人の造反が必要となる。

下院のペロシ議長は 裁判の公平性確保を求めており、上院が証人招致など裁判の手続きを決めるまで、弾劾決議を上院に送付せず、弾劾裁判で検事役を務める下院議員の指名もしていなかった。

共和党は「下院民主党は政治的遅延を続けている」と批判し、民主党内でもさらなる膠着状態を懸念する声が強まっていた。

DuPontは1月9日、韓国で先端半導体製造に必要なフォトレジスト(感光材)を生産すると発表した。

同製品は日本勢が世界シェア9割超を握り、日本政府が対韓輸出管理を厳格化した3品目の一つ。

韓国産業通商資源部によると、DuPontはEUV(超紫外線)露光フォトレジスト生産工場を建設するため大韓貿易投資振興公社に2800万ドルの投資申告書を提出した。

DuPontは韓国子会社を通じ、1998年から天安にある二つの工場で半導体回路基板用の材料や部品を生産してきたが、この工場を増設する。量産技術を確立し、2021年にも量産投資に踏み切る計画という。

韓国政府や自治体が土地の取得費用を負担し、税金免除などでも優遇する。

EUVフォトレジストは半導体超微細工程に使用される核心素材で、半導体基板(ウェハー)の上にパターンを形成する工程に使われる材料で、波長が短く微細化工程に適している。
JSR、信越化学工業、東京応化工業など日本企業が世界市場の90%以上を占めている。

韓国内でもフッ化クリプトン(KrF)、フッ化アルゴン(ArF)などのフォトレジストは一部生産が可能だ が、波長がそれぞれ248nm、198nmと長く、EUV用(13.5nm)より微細工程に適していない。

韓国政府は昨年7月の日本の輸出規制以降、半導体素材・部品・装備の供給を安定化させるためDuPontと接触してきたと明らかにした。

韓国産業通商資源部の長官が1月8日にDuPont社長と面会、DuPontはこの席で投資申告書を提出した。

長官はこの席で日本との関係に言及し、「日本の輸出規制措置を解決する上で一部進展があった」と評価する一方で、根本的な解決策とは見なしがたいとし、主要な材料や部品に関する技術競争力確保と供給元の多角化に引き続き取り組んでいくと強調した。

DuPontは韓国の素材・部品・装備自立の動きをチャンスと見なし、新しい市場に参入することになった。

同社は半導体ウェハーを平坦化するのに使用されるCMPパッドも生産する予定とされる。

韓国政府は米国の投資家を対象に韓国投資誘致活動を進めている。産業通商資源部の長官は1月9日、米シリコンバレーで米国の素材・部品・装備、新産業、ベンチャーキャピタル分野の革新企業10社を招請してラウンドテーブル会議を開き、韓国投資協力案について議論した。Lam Research 、Applied Ventures、Littelfuse、Air Products、Goreなどの企業が参加した。

長官は「政府は素材・部品・装備調達先多角化を継続して推進していく」と強調した。

ーーー

日本政府は2019年7月1日、韓国への半導体材料の輸出規制を厳しくすると発表した。

7月4日より、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の韓国向け輸出及びこれらに関連する製造技術の移転について、包括輸出許可制度の対象から外し、個別に輸出許可申請を求め、輸出審査を行う。

安全保障上の友好国である「ホワイト国」の指定も削除する。

これについて本ブログは次の通り述べている。

この措置で韓国政府が動き、元徴用工訴訟の問題が解決に向かう可能性はほとんどない。

単に韓国との関係を更に悪化させるものとなる。 

長期的には、韓国は重要原料については自製を図るだろう。その場合、日本企業は需要を失うこととなる。

2019/7/3  政府、半導体材料の対韓輸出規制を発表 


韓国産業通商資源部の通商交渉本部長(次官級)は10月2日、国会による国政監査で、日本政府が7月上旬に半導体・ディスプレー材料であるフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト(感光材、フォトレジスト)の3品目の対韓輸出規制を強化して以降、これまでに7件の韓国向け輸出を許可したことを明らかにした。
報道では下記の通りで、フォトレジストの3件目は不明。

  承認 購入企業(供給元)
フッ化ポリイミド 9/30 韓国の中小企業
フォトレジスト 8/7 サムスン電子(信越化学) 8/21着
8/19 サムスン電子(JSR)
 ?
フッ化水素 気体 8/29 サムスン電子
9/末 SKハイニックス
サムスン電子
液体  無し


この時点では承認がなかった高純度液体フッ化水素について、森田化学工業が2019年12月24日付で承認を受け、1月8日に約6カ月ぶりに出荷した。

2019/10/8 韓国向け半導体材料 輸出規制の状況


英議会下院は1月9日、英国がEUから離脱するための関連法案を賛成多数で可決した。近く上院でも承認され成立する見通しで、1月末の離脱実現がほぼ確実となった。


離脱関連法案は、英政府とEUが2019年10月にまとめた新たな協定案に基づく離脱を国内法に反映して実行するためのもので、下記の手続きをとった。

一読会(First Reading 本会議で法律案の題名朗読
読会(Second Reading 本会議で法律案の基本方針審議 12/20  359 対 234 で可決
議事進行動議Programme Motion その後の法律案審議の日程表決 12/20  353 対 243で可決
委員会段階(Committee Stage 逐条審査 1/6~7
第三読会(Third Reading 本会議での法律案最終審議 1/9  330 対 231で可決

委員会審議では野党の提案を与党が多数で押し切った。

11カ月の移行期間が短すぎるとの反対が多かったが、この案を総選挙で国民が認めたとして切り捨てた。

1月9日の採決結果は賛成330、反対231だった。

賛成票330の全てが与党保守党(365人)であった。
労働党(202人)のうち167、
スコットランド国民党(47人)のうち45、自由民主党 (11人)全員が反対。
これまでの閣外与党の北アイルランドの民主統一党(8人)は本土と北アイルランド間に税関を置くことに反対し、棄権した。

英国は1月31日午後11時にEUから抜けることとなる。

ただし、EUを離脱しても2020年末までの11カ月を「移行期間」とするため、通商や規制などの面ではEU加盟国と同じ環境が維持される。

この期間中にEUとの間にFTAを締結する必要があり、通商交渉を妥結できないまま移行期間終了を迎えれば、世界貿易機関(WTO)ルールに基づいてEUなどとの貿易に関税が出現し「合意なき離脱」と同じ状況に陥る。

英・EUの離脱案では移行期間を2022年末まで延長できることになっている (6月末に判断)。ただ移行期間中は、英はEU域外とFTAを発効させることはできず、EU予算への拠出金の負担を強いられる 。

しかしジョンソン首相は今回の関連法案に、EUとのFTAの締結が間に合わない場合で本年12月末までの移行期間を延長したり、EU法の英国への適用停止日を延期したりできなくする条項を付け加えた。

ーーー

ジョンソン首相は1月8日、新任のUrsula von der Leyen 欧州委員長とロンドンで会談した。

ジョンソン英首相は会談で、英国が離脱の移行期間を来年に延長しないことは「はっきりとしている」と明確に伝えた。

財・サービスを網羅する広範な自由貿易協定およびその他の分野での協力」を望むと述べ、「自国の漁業海域と移民制度のコントロールを英国は維持する」とも表明した。

漁業については 英国の漁業海域でのEU側の漁業権が問題となっており、EU側は英国が漁業を認めなければ英国の漁業品のEUへの輸入を認めないとしている。

英国はEUとの今後の関係やカナダ型の自由貿易協定について「1月31日を過ぎれば可及的速やかに」交渉を開始する用意がある と述べた。

カナダとEUとの自由貿易協定(CETA)は、物品のほとんど全ての関税は廃止されるが、英国にとって重要な食品や化学など一部の産業や、サービス部分は十分にカバーされていない。
そのため、英国はカナダプラス型として、カナダ型にさらに重要な産業における標準の相互承認や、サービス部分の強化などを求めている。

von der Leyen 欧州委員長は、EUと英国が将来的な関係を巡り年末までに全ての課題について交渉するのは「基本的に不可能」と し、優先順位をつける必要があるとの立場を示した。

単一市場や関税同盟の全体性を守るためにEUの優先事項について妥協はできないと強調した。また、協議の進展は年央、できれば「夏前」に点検が必要だとし、協議延長の必要性にも含みを持たせた。


FTA以外にも、解決すべき問題は非常に多く存在する。

ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は1月8日、イスタンブールで行われたTurkish Streamガスパイプライン開通式典に出席した。セルビアの大統領とブルガリアの首相も参加した。

Turkish Streamは2ライン(各157.5億立方メートル)で構成されるガスパイプラインで、1ラインはトルコへの ガス供給、もう1ラインは南・南東ヨーロッパへの供給を予定している。

ロシアは当初、黒海経由で天然ガスを欧州に送るSouth Streamパイプラインを計画した。

ロシアのGazpromとパートナーは2012年12月7日、南ロシアの黒海東岸の Anapa市でSouth Stream pipeline の着工式を行った。

South Streamはロシアと中央アジアの天然ガスを欧州に送るもので、黒海の湖底を通って対岸のブルガリアに渡り (900km)、その後、2手に分かれる。
北西ルートはブルガリア、セルビア、ハンガリーを通ってスロベニア、オーストリーに通じる。南西ルートはギリシャからイタリアに通じる。

2012/12/13 ロシア、サウスストリームパイプライン計画着工 

しかし、EUの反対でブルガリアが許可を出さず、ロシアは2014年12月1日、この計画を撤回した。

ロシアとトルコは同日、黒海経由でトルコにつながる新たなガスパイプラインの建設で合意し、Gazpromトルコの Petroleum Pipeline Corporation (BOTAŞ) との間で覚書を交わした。 

ロシアからトルコまでは黒海を通るBlue Stream Pipeline があるが、新しいパイプラインを建設する。

海底部分のうち660kmはSouth Stream用に予定されていたルート、その他に 250kmがトルコ向けの新ルートとなる。黒海南西部沿岸の都市  Kıyıköyから陸上に入り、ギリシア国境のİpsala までの180kmが敷設される。
年間輸送能力は315億m3で、うちトルコが 半分を引き取る。
トルコからブルガリア、セルビア、ハンガリーを経由して欧州へと輸送する。

2014/12/4 ロシア、South Stream 計画を取り止め

稼働でロシアは欧州へのエネルギー輸出の拡大を狙う米国をけん制する。


ロシアはバルト海経由でドイツと結ぶ「ノルドストリーム2」建設も主導する。

米国では2019年12月20日、トランプ大統領の署名で「国防権限法」が成立した。米国は、欧州のロシアへのエネルギー依存が深まることで「欧州の安全保障上の脅威」になると懸念しており、国防権限法で「ノルト・ストリーム2」への制裁を決めた。今後、明らかになるが、敷設事業に関係する企業が制裁対象になる見込み。

米国の決定を受け、敷設事業に参加するスイス拠点のAllseasは12月21日、作業の停止を発表した。

パイプラインの総延長約1200kmのうち、残りは約130kmとなっている。Allseas社の離脱で、事業を主導するガスプロムは関係企業に代行させる検討を始めた。

米国の制裁で、完成が2020年後半にずれ込む可能性も取りざたされている。ロシアのノワク・エネルギー相は、2020年内完工を目指す考えを示した。

ーーー

ロシアとウクライナは2019年12月19日、2020年1月以降もウクライナのパイプラインを経由してロシア産の天然ガスを欧州に供給することで基本合意した。

これにより2020年以降のロシアの欧州向けガス輸出は下記の通りとなる模様。

  現状 今後
ノルドストリーム 1

590億m3

 →

ノルドストリーム 2 ーーー 550億m3
ベラルーシ経由

420億m3

 →

ウクライナ経由 800億m3 650→400億m3
トルコストリーム ーーー 315億m3
ブルーストリーム 130億m3

 →

 

2019/12/27 ロシアとウクライナ、欧州向けガス輸出で合意 

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