Tesla, Inc.のCEOのElon Muskがツイッターで株式非公開化の方針を公表した情報開示の手法をめぐり、米証券取引委員会(SEC)が同社に証言や書類提出を求める召喚状を送ったことが分かった。米メディアが8月16日に一斉に報じた。

Teslaの初の量産車「モデル3」の生産が遅れており、今年4~6月期の最終赤字が7億1750万ドルとなった。前年同期の3億3640万ドルの赤字の2倍で、7四半期連続赤字となった。
取引先の部品メーカーなどに、支払い済みの代金の一部を返還するよう求めたとされ、資金繰り不安も指摘されている。

Elon Musk CEO はNew York Times のインタビューで、「過去1年は、私のキャリアのなかで、最も困難で苦痛な1年だった」と語り、「耐えがたいほどだった」と心情を明かした。

初の量産車「モデル3」の生産が遅れ、CEOは市場からの厳しい批判にさらされてきた。多忙さとプレッシャーとが、本人を追い込んでいることがうかがえると報じられている。


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Elon Muskは、投資家から四半期決算など短い期間で好業績を出すように圧力がかかることを嫌っているとされるが、8月7日に突然ツイッターで「1株当たり420ドルでTeslaを非公開にできないか考えている。資金は確保した」と発信した。

Am considering taking Tesla private at $420. Funding secured.

株式市場は一時騒然としTesla株は前日比11%高となった。

仮に1株あたり420ドル(20%のプレミアムを乗せた価格)で既存株主から全株式を買い取るとすると、総額で700億ドル(7兆7000億円)の資金が必要になる。

これについては、Elon Muskは、安定株主には非公開化の後も、特別目的ファンドをつくるなどで、株を持ち続けて欲しいとしている。

同日のツイッター:

My hope is *all* current investors remain with Tesla even if we're private.
Would create special purpose fund enabling anyone to stay with Tesla. Already do this with Fidelity's SpaceX investment.
(彼の宇宙船開発会社 SpaceX :
Space Exploration Technologies Corp.は2015年にGoogleとFidelityから10億ドルの出資を受けている。)

Shareholders could either to sell at 420 or hold shares & go private.

Elon Muskは同日、Teslaの従業員に送付したメールを公表した。

最終決定はまだだが、Teslaがうまく機能する環境作りが目的である。公開会社では、株価の変動が激しく、従業員持ち株に影響を与える。また四半期報が必要なため、長期的には望ましくなくても、短期の利益を考えるようプレッシャーを与える。空売りで儲けようとする輩が多数生まれる。

全員が長期の視点で考えるのがよい。SpaceXが良い例で、非公開のため、非常にうまくいっている。

考えているのは下記の通り。

株主は非公開の後も株を持ち続けてもよいし、420ドルで売っても良い。
従業員は株を持ち続けてほしい。
SpaceX と Teslaの統合は考えていないが、SpaceXのシステムを採用したい。
SpaceXでは外部株主と従業員はほぼ6カ月ごとに株を売ったり買ったりする機会を与えられている。
自身は約20%を持っているが、この比率を変えることは考えていない。

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場企業のトップが重要な経営事項をツイッターで明らかにするのは異例で、SECは情報開示の経緯に関心を持っているとみられる。

「資金は確保した」との発言も、サウジの政府系ファンドとの交渉 での感触によるものであることが分かり、SECの調査では発言時点での情報の真偽も焦点となるとみられる。

なお、報道によると、サウジの政府系ファンド Public Investment Fund (PIF) は、これについて協議を行っており、同社株をさらに買い増すかや、その場合の規模について確定的な結論には至っていないものの、協議は続いているという。

PIFはTesla への投資を、サウジ経済の原油依存をヘッジするための戦略的手段の一つと見なしている。

 

Saudi Aramco は8月15日、取締役会がサウジと米国での石油化学計画を承認したと発表した。

1) サウジのTotal とのJV SATORP の精油所での石油化学計画

SATORPはフランスのTotal とのJV (Saudi Aramco 62.5%、Total 37.5%)で、Jubail に日産40万バレルのワールドクラスの製油所を建設(2014年の手直し増設で現在能力は44万バレル)、Arabian Heavy 原油を精製して、高品質の石油製品を製造する。世界でも最も効率のよい製油所の一つと見られている。

ディーゼルとジェット燃料の生産を最大化することを狙っており、これに加え、パラキシレン(年産70万トン)、ベンゼン(同14万トン)、ポリマーグレードプロピレン(同20万トン)を生産する。

当初は 25%分を公募し、両社は37.5%ずつとなる予定であったが、公募増資を取り止め、当初比率で倍額増資をしている。

2009/6/22 Saudi Aramco、製油所建設を再開

今回の石油化学計画は、4月10日にサウジ皇太子のパリ公式訪問中にAramcoとTotalが覚書を調印した。

精油所に隣接して、ワールドクラスの混合ガス(エタンが50%、製油所のオフガス が50%)スチームクラッカーを建設し、年産150万トンのエチレンを生産する。

投資額は約50億ドル程度で、両社は2018年第3四半期にfront-end engineering and design (FEED)を開始する。

エチレンは、第三者が建設する誘導品工場に供給する。これらの投資額は40億ドル程度を見込む。

 

2) 米国の製油所子会社 Motiva Enterprises での化学品製造計画

Motiva Enterprises は2002年以降、ShellとSaudi Aramco の50/50JVとして運営されてきたが、2016年3月に資産を分離する覚書を締結したと発表した。

AramcoはMotiva の社名と、Port Arthur, TXの製油所、26のガソリンターミナルを引き継いだ。

Aramco Shell
社名(Motiva)
製油所 Port Arthur, TX
(元 Texaco )
米国最大の精油所(60万バレル)
単一工場で米国最大の潤滑油プラントを持つ。
Norco, LA
(元 Shell)
能力 23.5万バレル
隣接してShellの石化コンプレックス
 エチレン 2系列 計 150万トン
 ブタジエン 26万トン

 Shell は1995年にPPプラントをUnion Carbide (Dow) に売却
 2000年にResinプラントを現在のMomentiveに売却
Convent, LA
(元 Texaco )
1967年にTexacoが建設
1979年に増設し、能力23万バレル
ガソリンターミナル 26 9

2016/3/25 Shell とAramco、米国のJVのMotivaを分離 

Aramco は本年4月、Honeywell UOP 及びTechnip FMC との間で、Port Arthur 製油所に建設を検討している化学プラントで使用する技術について研究するための覚書を締結した。


検討している化学プラントは次のとおり。

Port Arthur製油所の能力は603,000 b/d である。

まず、ガソリン生産の副産品であるベンゼンとパラキシレンを、Honeywell UOPの技術でエチレンの原料に変換する。

次に、これを原料に、Technip FMCの技術で年産200万トンのエチレンを生産する。

今回、Aramco取締役会はこのプロジェクトを検討することを承認した。

なお、Motivaでは現在、精製能力を現在の603,000 b/d から100万~150万 b/d に増やす検討を行っている。これが実施できれば、世界最大の精油所となる。

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Saudi Aramco は事業ポートフォリオの最適化を進めるなか、石油化学を含め川下事業への進出を計画している。

Saudi Aramco は住友化学との石油化学 JVのPetro Rabigh を持つ。

2009/4/10 Petro-Rabigh スタート・アップ 

2018/1/10 PetroRabigh 第2期の完工間近 → 完工

Saudi Aramco はDowとのJVのSadara Chemical を設立し、2016年8月にクラッカーをスタートさせ、2016年11月30日に開業式を行っている。

2011/7/26  DowとSaudi Aramco、石油化学JV設立を最終決定の付記

Saudi Aramco とSABICは共同で、サウジ国内での原油から化学品までの統合コンプレックス(COTC Complex ) 設立の検討を進めている。

2017/11/30 Saudi AramcoとSABIC、Crude Oil-to-chemicals JVのMOU締結

サウジ政府はSaudi Aramco に対し、SABICのPIF所有分のほとんどor 全てを購入することを求めているという。
実現すれば、Saudi Aramcoは巨大な石油精製・石油化学企業となる。

2018/8/9 Saudi Aramco、SABICの株式購入と上場問題 

毎日新聞夕刊(2018/8/15)の「憂楽帳」は、「仁科博士」という題で下記の通り書いている。

物理学で我が国最高の栄誉である仁科記念賞に名を残す仁科芳雄博士(1890~1951年)。東京都文京区にある空襲を免れた執務室が再来年、建物の老朽化で取り壊される。(中略)

ここで、ノーベル賞学者の朝永振一郎氏ら物理学者はもちろん、長く日本医師会長を務めた武見太郎氏も教えを受けていた。死後も執務室が残ったのは、薫陶を受けた各界のリーダーが、博士の人柄や業績を知る大切な場所と考えたからだという。

約40平方メートルの室内に残る木製の机や棚、黒電話などは別の場所で保管される見通しだ。(後略)


写真は、Livedoor News 「知られていない日本の原爆開発。太平洋戦争中の極秘作戦「ニ号研究」の歴史」から


仁科博士の執務室は、文京区本駒込の旧理化学研究所の37号館の2階にある。(写真左下)
現在は、日本アイソトープ協会のなかに仁科記念財団が保存している。

財団法人理化学研究所は、1917年3月、我国の産業の発展に資することを目的に、皇室からの下賜金、政府からの補助金、民間からの寄付金を基に東京・文京区駒込 (現在の本駒込)の地に設立された。

残っていた⑥の43号館は数年前に解体され、賃貸マンションとなっている。

写真ソース  仁科博士とその時代 理化学研究所の歩みー駒込時代ー 


仁科博士の執務室は上図の右上⑤の37号館の2階にある。(下図ので囲った場所)

その左の⑦はサイクロン跡で、1937年に仁科博士がわが国初のサイクロトロン(26インチ 28トン)を作製したが、1945年に連合軍が原発開発とみなし、破壊、東京湾に投棄した。
ニューヨーク・タイムズは「米国の科学者らは...サイクロトロンは研究機器であって、原爆製造機械ではなく...この略奪行為に責任のある公務員は懲罰を受けるべきである」と報じた。

1958年10月に特殊法人理化学研究所が設立された。(2003年に独立行政法人理化学研究所になり、2015年に国立研究開発法人理化学研究所に変更した)

1966年に現在の和光地区に移転を開始した。1974年に移転を完了した。

駒込の跡地には科研製薬があったが、約20年前に文京グリーンコートとして再開発された。正面の緑が一部 残されている。


外国企業の対米投資を審査する米国の独立機関、対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化する条項を加えたJohn McCain 国防権限法(NDAA)案が8月13日成立した。


これまでのCFIUSの審査対象は、安全保障に係るものと大統領が判断した買収に限られた。

今回、米国企業の買収を狙いとする取引に限らず、合弁会社設立や、米国の重要な技術やインフラ、個人情報に関わる少額の出資なども審査の対象とする。米政府施設に近い土地取得など不動産取引も含める。

中国が対米投資を通じて技術やノウハウを盗み出し、軍事技術に流用するのを食いとめたい考えだが、審査は外資すべてを対象としており、中国企業だけでなく、日本企業にも影響が出そうだ。

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米国は外国からの米国内直接投資を歓迎するが、国家安全保障を保護するための例外を設けている。
CFIUSが審査を行い、投資内容が米安全保障にかかわるものと大統領が判断した場合には究極的には買収案件を拒否できる。

これまでの例:

2012/10/4  オバマ大統領、米国内での中国企業の風力発電買収を阻止 

2015/11/10 中国の三一重工、米国での風力発電買収阻止事件で米政府と和解、実質勝利

2016/12/7  米政府、中国企業による独社の米子会社買収を禁止

2017/9/18  

2018/3/14   米大統領、BroadcomによるQualcomm買収禁止命令

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中国のEコマース企業阿里巴巴集団(Alibaba Group)の金融関連子会社で、QRコードを使った非接触型決済サービスのAlipay を運営する螞蟻金融服務集団(Ant Financial)は2017年4月に国際的送金ネットワークのサービスを行う米国のMoneyGramを12億ドルで買収すると発表した。ライバルのEuronetに打ち勝ったもの。

この実現に向け、Alibabaの馬雲(Jack Ma)会長は就任直前のトランプ大統領と会談し、買収が成立すれば米国で100万人の雇用創出につながると訴えていた。

しかし、CFIUSから承認を得られず、2018年1月初めに断念した。

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ソフトバンクは2017年2月、世界的な規模で多角的にグローバル投資を行う世界有数の投資ファームのFortress Investment Groupを共同投資家とともに約33億米ドルで買収する契約を締結した。

この買収は2017年12月に完了したが、発表では、Fortressは現経営陣が独立して経営を行い、リーダーシップ、ビジネスモデル、ブランド、人材、プロセス、企業文化を維持していくとしている。

これについて、英Financial Timesは4月6日、CFIUSから投資会社の業務運営への関与に制限を受けていたと報じた。ソフトバンクは業務に影響を及ぼすことが制限され、Fortressの所有にとどまっているという。

ソフトバンクは、Alibaba Groupの筆頭株主である。

2016/12/7  ソフトバンク孫社長、米に500億ドル投資

トランプ大統領は鴻海精密工業が開いた米国新工場の着工式で、「マサさんに感謝したい」と話し、壇上に呼んだ。そんな孫社長の事業でも中国がからむと駄目なようだ。


米国は中国の
Made In China 2025計画を懸念している。 

Made In China 2025計画は、2025年までに世界の製造業大国となり、建国100周年の2049年までに製造強国の先頭グループになるという計画である。

Made In China 2025の概要は http://www.knak.jp/blog/2018-5-1.htm#us-china の文末参照

巨額の補助金で自国の企業を育てるとみられ、米国のIT企業などは、半導体などの基幹部品の自給で米企業が締め出されかねないとの懸念を持つ。

米国は交渉で中国2025の補助金の即時停止を求めたが、中国には事実上の計画停止を意味し、中国商務省の関係者は「絶対に受け入れられない」と憤る。

米政府は中国が技術やノウハウを盗み出すのを防ぐため、中国企業の対米投資を厳しく制限する方法を検討した。

トランプ大統領は6月27日、中国企業の対米投資の制限案について、米財務省などが管轄するCFIUSを活用する考えを示唆した。

現行のCFIUSによる審査は安全保障にかかわるものに限られるため、これを改正し、これまで抜け穴となっていた少額出資なども審査対象に加え、投資制限を強めるものである。

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今回成立したJohn McCain 国防権限法(NDAA)では、2019会計年度(2018年10月~2019年9月)の国防予算は総額7160億ドルと、この9年間で最大規模に積み増した。
国防費の増強で中国やロシアに対抗する姿勢を鮮明にした。

米国では、議員が通したい法案を、重要法案に追加して合わせて通す慣習がある。

今回の国防権限法では、上記のCFIUSの権限強化条項は政府の要望で追加したものだが、中国に関連して、議員側の意向で追加した項目、追加しようとした項目がある。

米商務省は6月7日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しで同社と合意したと発表、7月13日に制裁を解除した。

2018/6/8 米政府、中興通訊(ZTE)の事業再開認める

しかし、安全保障上の観点からZTEの制裁解除には米議会の反発が強い。 

米上院は6月18日、2019会計年度の国防権限法案を賛成85、反対10で可決した。トランプ大統領が求める軍の強化を後押しするものである。
しかし、上院はこの法案に、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁措置の緩和を認めず、米製品の販売を引き続き禁止する条項を盛り込んだ。

下院は既に5月24日に国防権限法案を通している。この時点では制裁見直しは行われておらず、法案にはZTE制裁措置の緩和を認めない条項はない。

上院と下院の法案をすり合わせ、一本化する必要があるが、米上院の与野党議員らは、トランプ政権の圧力に屈せず支持するよう下院議員らに呼び掛けた。圧力に屈すれば、経済と国防両面で米国の安全保障が損なわれ、ZTEが米国民に「スパイ行為」を働くことになると警告した。

2018/6/22 米上院、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しに反対

その後、上下院が協議を進め、7月23日に一本化で合意した。

大統領は議会に法案からZTE に関する条項を外すよう要請、その結果、ZTEへの米製品の販売を引き続き禁止する条項は削除された。

その代わりに、安全保障上の懸念を理由に、米政府機関が中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)と華為技術(Huawei Technologies)の技術を利用することを禁じる項目が盛り込まれた。

JERAは8月10日、Starwood Energy Groupが所有するMarcus Hook発電所(出力:79.0万kW)、Dighton発電所(出力:17.3万kW)、Milford発電所(出力:16.0万kW)の3つの発電所の事業権益を50%取得すると発表した。

各発電所で発電した電力は、主に米国北東部の電力市場(PJM、ISO-NE)に販売するとともに、Marcus Hook発電所については、配電会社と長期容量契約を締結し、それぞれの地域における電力の安定供給に貢献している。

権益取得後は、JERA Americasを通じて、運営会社 NatGas Holdings 2, LLC に50%出資し、発電所の事業運営に関与していく。

本事業への参画により、北米において、日系企業でトップクラスとなる約354万kW(持分出力)の発電所を保有することとなる。

同社の発電所は下記の通り。

Country Location Power Generation Output

JERA's Output Share

Power
Generation
Method
Start of
Operation
USA Marcus Hook Pennsylvania 790MW 395MW Combined-cycle 2004 2018/8
Starwood Energy Group
権益50%

Dighton Massachusetts 173MW 87MW Combined-cycle 1999
Milford Massachusetts 160MW 80MW Combined-cycle 1993
Linden New Jersey 972MW 486MW
Combined-cycle,
Gas turbine
Unit 1-5: 1992
Unit 6: 2002
2017/10
JERA 50%
Oaktree 25%、Ares 25%
Carroll County Ohio 702MW 140MW Combined-cycle 2018 中部電力から移管
Cricket Valley New York 1,100MW 420MW Combined-Cycle 2020 (Planned) 2017/1
JERA
Virginia Virginia 885MW 155MW Combined-Cycle 2004 Tenaska Gas Thermal IPP Project

中部電力から移管

Gateway Texas 845MW 94MW Combined-Cycle 2001
Kiowa Oklahoma 1,220MW 214MW Combined-Cycle 2003
Alabama II Alabama 885MW 155MW Combined-Cycle 2003
Georgia Georgia 945MW 165MW Gas turbine 2001, 2002
Canada Goreway Ontario 875MW 438MW Combined-Cycle 2009 中部電力 50%、豊田通商 50%
Mexico Valladolid Yucatan 525MW 260MW Combined-Cycle 2006 中部電力 50%、三井物産 50%
Saltillo Coahuila 248MW 49.6MW Combined-Cycle 2001 MT Falcon Holdings Company
JERA(20%)
三井物産(40%)
東京ガス(30%)
東北電力(10%)
Rio Bravo II Tamaulipas 495MW 99MW Combined-Cycle 2002
Rio Bravo III 495MW 99MW Combined-Cycle 2004
Rio Bravo IV 500MW 100MW Combined-Cycle 2005
Altamira II 495MW 99MW Combined-Cycle 2002
Total 12,310MW 3,536MW


米国の他の発電所については、下記に記載している。

2017/10/19 JERA、米のガス火力発電事業を拡大

カナダ:Goreway Gas Thermal IPP Project

中部電力と豊田通商が2009年9月に共同でSithe Global Powerが保有する本プロジェクトの出資権益100%のうち25%ずつを取得し、続いて2011年3月にSithe が保有する出資権益50%の25%ずつを追加取得、これにより、本プロジェクトは両社が50%ずつ出資する合弁事業となった。

2016年7月にJERAが中部電力から事業を承継した。

メキシコ:Valladolid ガス火力IPP事業

中部電力が、三井物産ならびにCalpine Corporation(米)と共同で2003年に事業会社に出資し、事業権益27.5%を取得、2006年4月には、中部電力および三井物産が各々50%ずつ出資する事業となった。2016年7月に中部電力から事業を承継した。

メキシコ:Falconガス火力IPP事業

2010年に三井物産(70%)と東京ガス(30%)がJVのMT Falcon を設立、事業会社群を買収、三井物産が持分の一部を中部電力、東北電力に譲渡した。
JERAは2016年7月に中部電力から事業を承継した。



カスピ海に面するロシアとイラン、アゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタンの5カ国は8月12日、「カスピ海の法的地位に関する協定 Convention on the Legal Status of the Caspian Sea 」に署名した。

条文は http://en.kremlin.ru/supplement/5328

会議には、ロシアのプーチン大統領やイランのロハニ大統領のほか、カザフスタン、アゼルバイジャン、トルクメニスタンの各首脳が出席した。

カスピ海は地下資源に恵まれ、領有権などをめぐって20年以上にわたり協議が難航していた。今回の決着の背景には、最近のイランと米国との関係悪化もあるとみられる。

議長国カザフスタンのナザルバエフ大統領は、協定は「カスピ海における憲法のようなもので、地域の安全と安定を保証する」と評価した。
プーチン大統領は「合意は価値あるものだ」と強調した。イランのロハニ師も「イランは貿易促進のために重要な役割を担う」と語った。

各国の沿岸15カイリ(約28キロ)を領海と定め、同25カイリを排他的な漁業水域と定めたほか、第三国の軍の活動を禁止した。地下資源の分割については隣国との協議で解決を目指すとしている。



カスピ海は当初はソ連とイランに囲まれていたが、1991年のソ連崩壊後、ロシアとイラン、アゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタンに囲まれることとなり、1996年に領有権問題などを解決する協議が始まった。

カスピ海は世界最大の湖であるが、湖と海では資源配分などをめぐる法的な枠組みが異なる。

イランは最も沿岸線が短いため、「湖」として5カ国等分の権利を求めた。
他方、ソ連の構成国だった4カ国は「海」として沿岸線に応じた領海設定を主張してきた。

海の場合は「海洋法に関する国際連合条約」が適用され、他国もその資源にアクセスすることが可能で、軍艦も含め航行の自由が保証される。

今回、「海」とも「湖」とも定義せず、「特別な法的地位」に位置づけた。

各国の沿岸15カイリ(約28キロ)を領海と定め(Article 7)、同25カイリを排他的な漁業水域と定め(Article 9)、4カ国の主張に沿った形になった。
他方、「海」の場合に保障される航行の自由を認めないこととした。
 Article 3  6) Non-presence in the Caspian Sea of armed forces not belonging to the Parties

イランでは、政府がカスピ海を「売り払った」と非難する声が上がったが、あらゆる武力のカスピ海への設置を沿岸5カ国以外に禁じる条項を協定に盛り込め 、米艦船の排除に成功したたことで、政治的な利益を得た。

ロシア外務省高官は「カスピ海は内陸にあるが、湖とするには巨大だ」と話した。

カスピ海の海底には、500億バレル相当の石油と8兆4000億立方メートル近くの天然ガスが眠っていると推定されている。
海底資源の所有権については、国際法に基づいて当事国同士の合意で確定することとした。(Article 8)
イランやアゼルバイジャン、トルクメニスタンには油田やガス田の帰属をめぐる争いがあり、完全決着にはさらに時間がかかる可能性もある。

パイプライン設置も当事国同士の合意で認めると定めた(Article 14)。
カスピ海の法的地位をめぐる不一致は、トルクメニスタンとアゼルバイジャンを結ぶ天然ガス・パイプラインの敷設を妨害してきたが、今後、トルクメニスタンやカザフスタン産の天然ガスをカスピ海経由でアゼルバイジャンまで運び、さらに欧州まで輸送する計画の進展につながりそうだ。

カスピ海には様々な種類のチョウザメが生息している。 世界を流通するキャビアの80~90%がカスピ海産だが、ここ数十年で生産量が減少している。
カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領は、今回の合意で漁業に関する各国の割り当てが可能になったと話した。



東京電力と中部電力のJVのJERAは8月7日、Abu Dhabi Gas Liquefaction Company Limited(ADNOC LNG)とのLNG長期購入契約の更新で基本合意に至ったと発表した。

前身の東京電力は1977年から長期契約でLNGを購入しており、その契約が2019年3月で終了する。このたび、新しい契約で基本合意した。

現契約は25年契約で、年間数量430万トンであるが、今回の契約では3年間で年間最大50万トンと大幅減となっている。

契約期間 期間 年間数量 条件
当初契約(東電) 1977年~1994年 17年 430万トン DES   仕向け地変更不可
更新契約(東電) 1994年~2019年 25年
今回契約(JERA) 2019年~2022年 3年 50万トン DES 仕向け地変更可 (?)


停止中の原発が再稼働すればLNG火力の稼働率は下がるが、原発再稼働の見通しが不透明なため、今回の契約では売買期間を3年に大幅短縮 した。

今後、LNGを安定調達するため、(1)柔軟な取引条件の獲得(2)スポット取引による調達拡大――などにより、最適なLNG調達ポートフォリオの構築によって、事業環境の変化への柔軟な対応と、競争力ある調達に努める。

今回の契約もDES(本船持込渡し)でLNGの運搬船はアビダビ側が用意するが、仕向け地を変更できる柔軟な取引条件で合意した模様で、次の通り述べている。

本契約は、2017年6月に公正取引委員会が公表した液化天然ガスの取引実態に関する報告書に沿った内容となっております。これは、LNG需要変動への対応に貢献するだけでなく、結果として、当社のLNG運用の最適化にも資するものです。

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公取委は2017年6月28日、液化天然ガスの取引実態に関する調査の発表を行った。

競争政策上の考え方 として、仕向け地制限 を問題としている。

米国のシェールガスからのLNGはFOB契約で、他社への転売は自由であるが、これまでの長期契約は全て仕向け地制限がついており、発電所の操業上、余剰となっても転売できない仕組みとなっている。

FOB契約 DES契約
仕向け地条項 拘束条件付取引として問題 不可欠
変更制限 同上 必要性・合理性あるのに拒否は拘束条件付取引となる恐れ
競争制限的条件は拘束条件付取引となる恐れ

2017/7/7 公取委、LNGの取引実態調査

今回の契約更改で、米国以外のLNG長期購入契約で初めて仕向け地変更が可能になった模様。

なお、下記のとおり、JERAは米国のFreeport LNGとの間で長期契約を締結している。

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JERAのADNOC LNG以外のLNG長期契約は次の通り。

LNG能力 生産開始 権益比率 LNG購入契約
豪州 イクシスLNG 890万トン 2018年 0.735% 年間 154万トン
Wheatstone LNG 890万トン 2017年 下記 権益分 70万トン(20年間)
東京電力:他株主より 350万トン(20年間)
中部電力:他株主より 100万トン(20年間)
Darwin LNG 371万トン 2006年 6.13% 東京電力 200万トン(17年間)
(東京ガスは100万トン)
Gorgon LNG 1560万トン 2016年 0.417% 年間 144万トン (25年)
USA Freeport LNG 464万トンx3 (大阪ガス 10%) 中部電力 220万トン
(大阪ガスも220万トン)


Wheatstone LNG

ガス田鉱区 LNG
Chevron 80.17% 64.136%
PE Wheatstone
(右図)
10% 8%
KUFPEC
(Kuwait Petroleum)
8% 13.4%
九州電力 1.83% 1.464%
Woodside 13%
合計 100% 100%
九州電力は、権益分として13万トン、他株主より70万トンのLNGを購入。


Darwin LNG

昭和電工が8月8日に発表した中間決算は、当期損益が前期比 7.4倍の大増益となった。

年間では、営業損益 1700億円、当期損益 1150億円を予想する。

単位:百万円 (配当:円)
売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
17/6中間 3,722 350 222 78 0
18/6中間 4,558 781 778 581 20
増減 837 431 556 503 20
16/12 6,712 421 387 123 0 30
17/12 7,804 778 640 335 0 50
18/12 9,850 1,700 1,670 1,150 20 70

  

営業損益は下記の通りで、無機セグメントが前期1億円の黒字が583億円となり、年間では1180億円を予想する。
黒鉛電極の市況が急上昇したこと、
2017年10月2日付でドイツのSGL GE SHOWA DENKO CARBON と改称)を買収 し、同事業の規模が倍増したことが貢献した。

無機セグメントには他に、セラミックス(アルミナ、研削研磨材)、ファインセラミックスがある。アルミナについては、インドネシアから撤退した。

営業損益推移(億円)

15/12 16/12 17/12 17/6 18/6

増減

18/12予
増減 内訳
石油化学 105 207 334 162 74 -87 数量差  -27
価格差  533
cost down 36
その他 -111
200
化学品 107 138 165 69 78 9 180
エレクトロニクス 175 139 219 121 56 -65 150
無機 -12 -58 71 1 583 582 1,180
アルミニウム 26 44 67 32 27 -6 60
その他 13 18 6 1 13 12 30
全社 -79 -68 -84 -36 -50 -14 -100
合計 335 421 778 350 781 431 431 1,700

同業で、昭和電工のSGL買収に当たり、米国司法省の指示でSGLの米国事業の譲渡を受けた東海カーボンの営業損益も同様に急増している。

2018/6の黒鉛電極の営業利益は前年比で208億円増えているが、そのうち、数量差は50億円、マージン差は158億円となっている。

ーーー

昭和電工は2016年10月、ドイツのSGL Carnbon GmbH より黒鉛電極製造の子会社 SGL GE Holding GmbH買収すると発表した。

ドイツ、オーストリア、スペイン、アメリカ(2ヵ所)、マレーシアの6カ所に製造拠点を持つ。
(事業価値を350百万ユーロとしたが、後述の通り、米司法省の指示で米国工場を東海カーボンに129億円で売却し、昭電の買収価額を156億円とした。)

他方、昭電は、大町、 米国South Carolina(Showa Denko Carbon)、中国四川(四川昭钢炭素)に製造拠点を持つ。

黒鉛電極は、電気炉による製鋼でスクラップを溶かして鉄へリサイクルするときに、導電体としてなくてはならない中心的素材で、約1600℃の高温になってスクラップを溶かす。
鉄1トンをつくるのに2キログラム弱の黒鉛電極を使う。

コールタールを原料として製造されるニードルコークスとピッチを捏合したのちに成形する。

この時点では、 同社では、世界の鉄鋼需要について今後も年率1%程度の低成長が続くと予想され、需要の低迷と競争の激化 で価格が低下し、厳しい事業環境が継続すると見ていた。

上記の通り、2015年12月期、2016年12月期で、黒鉛電極の属する無機部門は営業利益が赤字である。

東洋経済(2016/10/26)は「昭和電工、黒鉛電極で『逆張り買収』の勝算」と題する記事を書いている。

この黒鉛電極の産業は近年厳しい事業環境にあり、大手から下位まで軒並み赤字に陥っている。高炉を中心とする中国鉄鋼メーカーの過剰生産で、電炉の操業度が世界的に低下し、消耗品である黒鉛電極の需要も細っているからだ。需給の悪化により、足元の黒鉛電極の販売価格は5年前の半値程度にまで落ち込んでいる。

こうした中、最大手の米GTIは業績不振で投資ファンドの傘下に入った。また、独SGLグループは昨年、利益が出なくなった黒鉛電極を非コア事業に格下げし、本体から分社化。事業の将来性に見切りをつけ、複数の企業と売却に向けた交渉を進めていた。

SGLから事業を買い取る昭和電工にしても、黒鉛電極の赤字は経営の大きな重荷となっている。同製品を柱とする無機部門はかつて200億円規模の利益を稼ぐほどだったが、2013年に赤字転落して以降、前期まで3年連続で赤字を計上。今2016年12月期は出荷数量、販売価格とも一段と落ち込み、部門赤字が50億円超(前期赤字額は12億円)にまで膨らむ見通しだ。

にもかかわらず、その赤字事業で買収に踏み切るのはなぜかーー。会見した市川秀夫社長によると、今回の買収は必ずしも規模拡大を目的としたものではなく、一番の狙いは「再編による徹底的なコスト削減」にある。

昭和電工が日本と米国、中国の3工場で黒鉛電極を生産しているのに対し、SGL GEは欧州や米国、豪州など5カ国で計6工場を操業している。昭和電工は再編後に生産体制見直しや管理部門の機能集約などで60億円以上のコスト削減が可能と試算しており、2019年での事業黒字化を目指すという。

赤字事業での買収だけにリスクは否めないが、市川社長は「全社が赤字になっているような異常な状況は長く続かない。少なくとも、市況がこれ以上悪くなる事態は考えにくく、統合効果で黒字化は十分可能」と事業の建て直しに自信を見せた。

不振が続く黒鉛電極事業での生き残りに向け、買収という逆張り戦略に打って出た昭和電工。果たして、その経営判断は吉と出るのかーー。逆張り戦略の成否に注目が集まる。

昭和電工は、手続きを進め、201710月に買収を完了して完全子会社化SHOWA DENKO CARBON Holding GmbHと改称した。

この過程で、米国司法省からSGLの米国事業を東海カーボンに譲渡するという付帯条件が付いたため、2017年11月に129億円で売却した。


昭和電工にとって幸運なことに、買収完了の頃から状況が一変した。

中国には地条鋼という違法鉄鋼が流通していた。

鉄スクラップなどを中周波誘導電気炉と呼ばれる電炉で溶かして製造した、成分や品質の安定しない、環境にも悪影響を与える粗悪な鉄鋼・鋼材で、地条鋼の生産能力は2015年末時点で1億トン程度とされ(違法なため統計には含まれない)、これは日本の粗鋼生産能力とほぼ同じである。

中国の2015年末の粗鋼生産能力は11.3億トン、生産は8億トンで、3億トン超が過剰生産能力のため、中国政府は2016年以降の3年~5年で1.4億トンの削減する計画をたてた。

この枠外にある違法な地条鋼については、政府は2017年6月末までに全て閉鎖することを決めた。

その結果、それまで安価で出回っていた鉄鋼が不足し、代替として鉄スクラップから鉄鋼を生産する電炉での生産が急増、黒鉛電極の需要が急増、価格が急騰した。

さらに、EVに使用されるリチウムイオン電池の負極材としてニードルコークスが使用され始めたことも、ニードルコークスの需給逼迫に追い打ちをかけた。

原料のニードルコークスの価格急騰もあり、黒鉛電極の価格も急騰した。

2016年に3000ドル程度まで下がっていた国際価格は2018年には10,000ドル前後まで上がっている。

この結果、昭和電工の2018年の無機部門の営業損益は、前年比で1000億円強増加し、SGL GE の買収価額156億円は、あっという間に回収した。東海カーボンも同様である。

東洋経済のいう逆張り戦略は完全に吉と出た。昭電としては、こんな変化を予想していなかったため、笑いが止まらないだろうし、昭和電工の買収を助けるためSGLの米国事業を129億円で買収した東海カーボンも同様である。逆に、SGL Carnbon GmbH としては低価格での売却に株主から批判が出ているかも知れない。

短期間でのこんな大きな変化は考えられない。

但し、こんな状況はいつまでも続くとは思えない。

中国では環境規制に対応した大手企業が黒鉛電極を増産する計画があるほか、原料のニードルコークスの需給も2019年から緩和する見通しで、価格も元に戻る可能性がある。


オランダのHeinekenは8月3日、
雪花ビールで知られる中国最大手の華潤ビール(China Resources Beer)と資本業務提携すると発表した。競争が激しい中国市場で事業拡大を目指す。

Heinekenが華潤ビールの親会社にあたる華潤集団の株式40%を約243億香港ドル(約3500億円)で取得する。


他方、華潤集団に6割出資する華潤創業がHeinekenに42億香港ドルを出資(出資比率 0.9%) するとともに、Heinekenの中国事業を23億香港ドルで買収する。

2社は中国事業を統合し、Heinekenは華潤に対し中国本土、香港、マカオでの独占的なブランド使用を認める。

中国では非常に高い酒か、非常に安い酒が売れるとされる。

華潤の雪花ビールは世界で最も多く売られているビールで、華潤ビールのシェアは26%に達するが、安価なビールのイメージが強く、利益率は低く、伸びも小さいとされる。
このため、海外ブランドと提携を模索していた。華潤ビールのCEOは「中国の高級ビール市場の開拓は避けて通れない」と強調した。

雪花ビールは華潤創業が51%、SABMillerが49%の合弁会社が生産していたが、Anheuser-Busch InBevがSABMillerの買収を決めたことから、中国政府の指導を受け、SABMillerが持分を華潤に譲渡した。

2016/3/5 SABMiller、華潤雪花ビールを売却 

Heinekenは中国で苦戦しており、同社の中国でのシェアは0.5%に過ぎない。華潤との提携を足がかりに、華潤の流通ルートを利用し、中国市場の攻略をめざす。
同社のCEOは、「成長する高級ビール市場で勝利するコンビネーションとなる」との声明を出した。


あるコンサルタントはこの提携を「弱者連合」とみている。
中国ではプレミアム化が進み、富裕層は
マイクロブルワリーやスペシャルビールを好む傾向があり、HeinekenやCorona やCarlsbergなどは好まれない。これからも大変だろうと見ている。

ーーー

アサヒグループホールディングスは2017年12月20日、保有する青島ビール株式19.99%の全てを中国複合企業、復星集団(Fosun International)などに売却する契約を結んだ。

ベルギーのビール会社 InBev によるAnheuser Busch 買収に際し、中国商務部は「青島ビールに対するAnheuserの株式保有率27%を増加してはならない」等の条件を付け た。このため、アサヒビールは2009年1月、統合した Anheuser-Busch InBev SA が保有する青島ビールの株式の一部、約19.99%を約6億6,650万米ドルで取得する契約に調印した。

これを全て売却するもの。

同社は、SABMiller の西欧事業、中東欧事業を取得するなど、国際事業の成長エンジン化を推進するとともに、資産効率を重視した事業ポートフォリオの再構築に取り組んでおり、中国のビール事業への投資を再検討した結果、青島ビールの持ち株の売却の検討をしていた。

2017/10/20 アサヒビール、青島ビールの持ち株を売却へ

 


マレーシアの民間医療企業IHH Healthcareがインドの同業のFortis Healthcare の買収を進めているが、これについて、第一三共がデリー高等裁判所に差し止めを求める訴えを起こした。

第一三共は、元のRanbaxy Laboratoriesの株主であるMalvinder Singh 、Shivinder Singh 兄弟に損害賠償金350億ルピー(550百万ドル)の債権を持つが、兄弟はこれを支払っていない。
兄弟は昨年、裁判所に対し、200億ルピー相当のFortis Healthcare の株を持っており、支払いに問題はないと証言している。

第一三共としては、損害賠償金の支払いの前にFortis Healthcare の株式を売却されては困るため、買収そのものの差し止めを求めたもの。

ーーー

IHH Healthcare Berhad は、マレーシアに本部を置くアジア最大の民間医療企業で、アジア、中東欧・中東・北アフリカ地域での病院経営、運営受託、及び医科系教育機関経営等のヘルスケア関連事業を行っている。シンガポール、ブルネイ、中国、香港、マケドニア、マレーシア、インド、イラク、トルコ、ベトナム、UAEにおいて民間病院を運営し、25,000以上を雇用している。

当初はマレーシアの政府系投資会社のKhazanah Nasional Berhad が全額出資していたが、三井物産が2011年に総額924億円を投じ、30%を取得した。

その後、上場し、2016年9月時点では三井物産は20.1%を出資していたが、9月27日 に一部をCiti Group に売却、現在の出資は18.1%となっている。


インドのFortis Healthcareは、第一三共が2008年に買収した製薬大手
Ranbaxy Laboratoriesの創業者一族であるMalvinder Singh 、Shivinder Singh 兄弟が経営している(していた?)インド国内最大手の医療チェーンである。

2001年にデリーで創業し、インドのほかシンガポール、ドバイ、モーリシャス、スリランカで運営する医療施設は65施設にのぼり、ベッド数は10,000床を超える。今後は人口50万人規模の地方都市を中心に低価格の医療を提供する25の医療施設を新たに建設するとしている。

インドのManipal Health Enterprisesが米国の投資会社TPG Capital の支援を受け、Fortis Healthcareの買収を提案、両社を統合する考えを示した。

これに対抗し、Fortis Healthcareの取締役会はIHH Healthcareを選んだ。

IHH Healthcareはまず、7月13日に株式の31.1%の買収を行い、これを基に追加26%分の公開買付を9月7日から9月24日まで行い、合計57.1%を取得する。
更に、
Fortis Healthcareの上場子会社である Fortis Malar Hospitalの株式26%の公開買付も行う。

ーーー

第一三共は2016年5月6日、2008年にRanbaxy Laboratoriesの株式を第一三共に譲渡した元株主Malvinder Singh 、Shivinder Singh 兄弟を相手としたシンガポールでの国際商業会議所国際仲裁裁判所の仲裁判断を発表した。

4月29日付の仲裁判断は下記の通り。

元株主は第一三共に下記の金額を支払う。

損害賠償金 25,627.8 百万インドルピー 41,004百万円
損害遅延金 8,510.7百万インドルピー 13,617百万円
弁護士費用 14,549.7千米ドル 1,557百万円
仲裁費用 599.3千米ドル 64百万円
合計 56,242百万円

しかし、Malvinder Singh 、Shivinder Singh 兄弟が支払わないため、第一三共は訴訟に持ち込んだ。

Delhi High Courtは2018年1月31日、兄弟に35 billion rupees ($550 million) の支払いを命じた。

2016/5/10 第一三共、Ranbaxy Laboratories の元株主を相手とする仲裁裁判所の判断を発表 

上述の通り、 兄弟は裁判所に対し、200億ルピー相当のFortis Healthcare の株を持っており、支払いに問題はないと証言している。

ーーー

デリー高等裁判所は8月1日、兄弟に出頭を命じた。賠償金の支払いは問題ないとした兄弟の証言を確認するのが目的。

裁判官は兄弟の弁護士に対し、賠償金を支払う金がなければ、破産となり、牢獄に行くことになると伝えた。

実際には、兄弟の持ち株はもっと少ないとの話や、これまで明らかにしていない不動産をこっそり売却しようとしているなどの噂があり、裁判官は兄弟に不信感を抱いている。

Fortis Healthcareは、現在は兄弟とは何の関係もないとしている。

現在のところ、第一三共が求めた買収の差し止めについては命令がでておらず、Fortis Healthcareは8月13日の臨時株主総会に公開買付の件を諮る。

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