1月25日午後3時45分ごろ、四国電力伊方原発で3号機の定期検査中、「ほぼ全ての電源が一時的に喪失する」トラブルがあった。

電気を供給する送電線の部品の取り換え作業中に、異常な電流が流れた場合に電線を遮断する装置が作動し、停電が起きた。作動した原因は分かっていない。

廃炉作業が行われている1号機と廃炉が決まっている2号機は3秒程度後に別の電源から受電した。
定期検査中の3号機は10秒程度後に
非常用ディーゼル発電機が起動し、その後別の電源に切り替えた。

1号機は廃炉が決定していて燃料が搬出済み。2、3号機の使用済み核燃料プールの水温にも異常はなかった。


3号機は昨年12月26日に定検入りしたが、1月12日には制御棒が誤って約7時間引き抜かれた状態になった。同20日には使用済み核燃料プール内で、燃料の落下を示す信号が発信されるなど、定検中のトラブルが相次いでいる。

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山口県東部の住民3人が、伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審が1月17日、広島高裁であり、裁判長は四国電力に運転差し止めを命じる決定を出した。

2020/1/20 広島高裁、伊方原発3号機運転差し止め 

四国電力は、伊方原発で重大なトラブルが相次いでいることを受けて、広島高裁が出した3号機の運転を認めない仮処分の決定について、異議の申し立てを当面見送る異例の対応を取ることを明らかにした。

異議の申し立てに期限はなく、四国電力は異議を申し立てる方針自体は変わらないとしているが、時期については相次ぐトラブルの原因究明や安全対策を進めていく中で検討していくとしている。

このため、伊方原発3号機は運転できない状態が長期化する可能性が出てきた。

世界貿易機関(WTO)の上級委員会が2019年12月10日、新規案件の審理を開始できない事態に陥った。


WTO紛争解決制度は、いわゆる二審制をとっており、第二審として最終的な裁定を行う上級委員会(Appellate Body)は、7名の委員で構成され、3名で一事案の審理を担当する。

委員の任期が到来する中、上級委員の任命の在り方など、WTOにおける紛争解決制度や上級委員会の在り方に不満を持ち、これらについて議論するまでは選考プロセスの開始に賛成できないとする米国と、これに反発するその他の国の間での意見の不一致が生じ、後任が選べず、空席が続いていた。

米国は、中国政府による産業補助金や知的財産権の侵害といった問題で、WYOが疑わしきは罰せずという原則に基づき中国に有利な判断を下したことを問題視している。
従前より、加盟国が紛争解決手続をコントロールすべきとする見解を主張している。
紛争解決機関の承認もなく上級委員が自ら、委員の任期延長を決定していること批判している。

2019年12月10日に、残る3名のうち2名の任期が切れて1名だけになり、委員3名で一つの紛争案件を担当する規定により、新規案件の審理が事実上不可能な状況となった。
案件を審理する小委員会(パネル)は存続するが、パネルの判断に不満がある場合に上級委員会が開けず、機能不全となる。

米国は12月9日、上級委員の選任を改めて拒否した。上級委がWTO規則を超越したり度外視した判断を下していると批判した上で、委員の新たな選任を支持しないと表明した。

これに対し、EUは緊急措置として代替の上訴制度を独自に設置することを提案し、1月24日、中国、カナダ、ブラジルなど16カ国と合意した。合意国間の通商紛争のみに適用する枠組みとなる見通し。

参加国は以下の通り。「参加を希望するWTOメンバーに開かれている」としているが、米国と日本は参加していない。

EU、ノルウェー、スイス
カナダ、メキシコ
ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ウルグアイ
オーストラリア、ニュージーランド
中国、韓国、シンガポール

EUの通商担当のホーガン欧州委員は「我々は上級委の行き詰まりに対し、永続的な解決策を探る努力を続ける」との声明を出した。


日本が不参加の理由について、政府関係者は「今回はあくまで暫定措置。日本は恒久的な改革を重視している」とした。

どの国も恒久的改革を重視しているが、機能不全となったため、やむを得ず暫定措置をつくったもので、不参加の理由にはならない。米国だけが除け者になるのを避けるための忖度と見られても仕方ない。

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ランプ米大統領はダボス会議で1月22日、WTOについて「劇的な」行動を取ると宣言した。
WTO事務局長によると、トランプ大統領は以前からのWTOに対する不満について議論し、WTOを改革したい意志を明確にした。改革のあり方について協議するため事務局長を米ワシントンに招待しれたという。

WTOの非公式閣僚会合が1月24日、スイスのダボスで開かれた。
会合には日本を含めた35カ国・地域が出席した。紛争処理のほか、漁業補助金、投資円滑化などについて協議した。6月の閣僚会合で成果を出すため、加盟国は協議を続ける。

WTO事務局長は、暫定的な紛争処理の仕組みについて言及しなかったものの、会合で各国WTO紛争処理の改善を含む今後の改題について協議したと話した。
「選択肢はある。改善策を追求しているところだが、まだそこに至っていない」とし、「近いうちにもっと前進できると自信を持っている」と話した。





東京工業大学 科学技術創成研究院は1月23日、化学生命科学研究所の野本貴大助教と西山伸宏教授の研究グループが、液体のりの主成分であるポリビニルアルコールを中性子捕捉療法用のホウ素化合物(ボロノフェニルアラニン=BPA)に加えるだけで、その治療効果を大幅に向上できることを発見したと発表した。

さらに、京都大学研究用原子炉にて、マウスの皮下腫瘍に対するその治療効果を検討した結果、ほぼ根治することを確認した。

本研究成果は2020年1月2日に米国の「Science Advances」に掲載された。
   https://advances.sciencemag.org/content/6/4/eaaz1722

本研究の臨床応用を目指し、がん治療法に使う薬BNCTを開発しているステラファーマの協力を得て研究を進める。

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ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、ホウ素(10B)に対して熱中性子(エネルギーの低い中性子で、単独では細胞傷害性がほぼ無い)を照射することにより核反応を起こし、細胞傷害性の高いアルファ粒子とリチウム反跳核を発生させて、それによりがんを治療する方法である。

従来の方法では治療することが困難な再発性のがん、多発性のがんに対しても有効で、 「手術」、「化学療法」、「放射線治療」、「免疫療法」に続く、第5のがん治療法として大きな期待を集めている。

現在、臨床で主に使用されているホウ素化合物はボロノフェニルアラニン(BPA)という物質で、選択的にがんに集積することができる。BPAの臨床試験はステラファーマが行っている。

しかし、BPAはがんに長期的に留まることができず、その滞留性を向上させることが強く望まれていた。

がん細胞では細胞膜上にLAT1というアミノ酸を取り込むためのタンパク質がある。

LAT1は細胞外のBPAを取り込む際に細胞内のアミノ酸を排出するが、チロシンなどの細胞外のアミノ酸を取り込む際に細胞内のBPAを排出することもある。その結果、細胞外のBPA濃度が低下すると細胞内のBPAが流出してしまう現象が起きる。

野本助教と西山教授は、スライムの化学を利用してポリビニルアルコールにBPAを結合することにより、結合させた物質ががん細胞に選択的かつ積極的に取り込まれ、その滞留性を大きく向上できることを発見した。

洗濯のりとホウ砂を混ぜるとスライム(粘液)ができる。これはホウ砂から生じるホウ酸イオンが化学反応により複数のポリビニルアルコールをつなぐためで、この化学反応を応用した。

ポリビニルアルコール(PVA)は、多くのジオール基を持っており、このジオール基はホウ酸やボロン酸と呼ばれる構造と水中でボロン酸エステル結合を形成することができる。

BPAをPVAに結合させたところ、PVAに結合したBPA(PVA-BPA)は細胞に取り込まれる。従来のBPAが細胞質に蓄積するのに対し、PVA-BPAはエンドソーム・リソソーム(細胞内小器官)に局在するようになった。

その結果、がん細胞に取り込まれるホウ素量が約3倍に向上し、細胞内で高いホウ素濃度を長期的に維持することが可能となった。


最近の臨床研究においては、BNCTの普及を目指した加速器型中性子線源が主流になっている。しかし、現状の加速器型中性子線源による熱中性子の産生量では、浅い部位のがんに適応が限定されると考えられている。

治療の適応を深部まで拡げるためには、がん組織内のホウ素濃度を長期的に高く維持することが求められており、この点において本研究成果のPVA-BPAは大きく貢献できるものと期待される。

PVA-BPAは製造が容易である上に治療効果も非常に優れていることから本研究成果は極めて実用性が高いと考えられる。



イスラエル、ギリシャ、キプロスの3国は1月2日、EastMed gas pipeline 建設計画の契約に署名した。イタリアが署名をすれば有効となる。

EastMedラインは、EUのエネルギー不足を補うため、代替ガス源を提供する目的で計画されたもので、東地中海で近接するキプロスのAphroditeガス田、イスラエルのLeviathanガス田の天然ガスをヨーロッパに送る1,900キロメートルのパイプラインである。

Leviathanガス田をスタートし、キプロスのコンプレッサーステーションを経由、ギリシャのクレタ島に上陸、その後、ギリシャのペロポネス半島を経由してギリシャ西岸のThesprotiaに到着する。
その後は、計画中のPoseidon pipelineを使い、イタリアにつなぐ。能力は年間100億立方メーター。

建設コストは70億ドルで、7年かかるとされる。開発はギリシャのガス会社のDEPAとイタリアのEdisonの50/50JVのIGI Poseidon S.A. が担当する。

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イスラエル、ギリシャ、キプロスとエジプト、ヨルダン、パレスチナ、イタリアの7カ国・地域は2019年1月に「東地中海ガスフォーラム」を創設した。

本年1月16日に開いた閣僚級会議では、イスラエルとエジプトのLNG欧州輸出計画や、イスラエル沖から欧州に向けたパイプライン計画を踏まえ、さらに協力を進める方針を確認した。


既報の通り、この地域ではキプロスとトルコが争っている。

天然ガスの発見で、トルコはトルコ系住民の住む北キプロス・トルコ共和国も権利を持つとし、南北で大陸棚での探査について協定を結ぶことを要求したが、キプロスはこれを無視した。

キプロス政府はENIやExxonMobil、Shellなどに採掘権を与えた。

これに対し、トルコが排他的経済水域を設定し、探索のための掘削を始めた。

トルコは2019年5月中旬、100隻以上の軍艦を投入して、同島の近隣で大規模な海上演習を実施した。さらにエルドアン大統領は6月、「地中海東部でのトルコと北キプロスの権利を守る」と宣言。資源をめぐる対立は複雑化している。

欧州連合(EU)は2019年7月15日、度重なる警告にもかかわらずキプロス沖でガス採掘を実施しているトルコに対し、対抗措置を取ることを決めた。

2019/7/18 EU、キプロス沖でのガス採掘めぐりトルコに対抗措置

トルコは、トルコ国内経由で欧州につながるTrans-Anatolian gas pipeline(TANAP)があるため、欧州への新しいパイプラインは不要であるとしており、東地中海でトルコとトルコ系キプロスの権利を無視するどんな計画も失敗すると警告した。

トルコの排他的経済水域が支障となるが、これに加え、トルコとリビアは2019年11月に地中海の境界を決める協定を結んだ。
トルコのエルドアン大統領は演説で「トルコとリビアの承諾がないまま、両国間の海域で採掘したり、パイプラインを通したりすることは不可能になった」とけん制した。

イスラエルはトルコと話し合う考えはあるとしている。

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イスラエルは東地中海の沖合で開発した豊富な天然ガス資源を使って周辺国への輸出に乗り出し た。

エジプトとヨルダンに対してはすでにあるパイプラインを通じてイスラエル産ガスを供給し冷え込んだ関係の改善を図ろうとしてい る。

イスラエルは1月15日、沖合で採掘したガスをパイプラインでエジプトに供給し始めた。

イスラエル海域のLeviathan ガス田とTamarガス田のパートナーはエジプトのDolphinus Holdingsに約200億ドルの天然ガス供給の契約を締結した。

米国の Noble Energy とイスラエルの Delek Drilling は両ガス田の主要オーナーであるが、Egyptian East Gas Co と組んでEMEDというベンチャーを設立し、EMG海底パイプラインの権益の39%を520百万ドルで取得した。

イスラエルからエジプトへの最初の天然ガス輸出となる。

 

英上院は先週の委員会の論議を経て、1月20日と21日に本会議を開いた。


2020/1/21 英国のEU離脱関連法案、上院で審議

先ず、1月20日に3件の修正案を可決した。

1) EU離脱後に英在住のEU市民に自動的に居住権を与えるとともに、居住権を証明する物理的な証書を交付する内容で、270対229の賛成多数で可決された。

 政府の方針では、EU市民がブレグジット後に居住権を獲得するためには2021年6月までに内務省に申請手続きを行う必要があり、居住権の証明はオンラインでしか行われない。

2) 英裁判所のどの判決が欧州司法裁判所の判決より優先されるかについて、政府の決定権を排除するもの

3) 英国内のあらゆる裁判所の判決について、EUの判例に反することが可能かどうかを英最高裁判所の判断に委ねることとを可能にするもの

1月21日に問題の子供の難民の扱いに関する修正案が300対220の賛成で可決された。

親が難民の場合は子供を難民として入国を認めるが、子供が難民と認められた場合にその親を難民と認めないことが問題となった。

子供の頃ナチスから逃れて英国にきた Lord Dubs が修正案を提出した。

これに関し政府側は、そのような親子が再会できるようEUと協定を結ぶつもりだが、EU離脱法案には含めないとしている。

最後に5つ目の脱退通知をする前にスコットランドや北アイルランドの分権議会の同意も必要とするという修正案が可決された。

1998年の分権法では、分権議会の立法事項にも及ぶ立法をするときは、事前に分権議会の同意を得ることが確認され、それが以後慣行となった(Sewel conventionと呼ばれる)。

分権議会に移譲された立法権のなかにはEU法が関わるものもあり(農漁業や環境分野の立法など)、分権議会に対してEU法を遵守する義務を課している。
EU脱退となれば、1998年分権法のEU法遵守義務規定も廃止する必要がある。

下院では与党が多数を占めるため否決する予定で、法案が上院と下院を行ったり来たりする卓球戦(parliamentary ping-pong bout)となる可能性があった。


下院は1月22日、上院の修正案を否決した。

これを受け、上院は再度の修正を諦め(卓球戦をやらず)、EU離脱関連法案を原文のまま承認した。

1月23日にも女王の裁可(royal assent)を得て、正式に法律となる。

1月31日のEU離脱が確実となった。

ジョンソン首相は数日中にEU離脱協定に署名し、欧州理事会(EU首脳会議)とEUの行政執行機関、欧州委員会の首脳も1月24日にブリュッセルで署名する見通し。1月29日の欧州議会での正式承認で批准手続きが完了する。

米上院で1月16日、トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判が開廷した。

既報 2020/1/13 トランプ大統領の弾劾手続き開始へ 

この日の手続きは儀礼的なもので、実際の弁論は21日から始まる。100人の上院議員全員が陪審員になって、「権力乱用」と「議会妨害」で弾劾訴追されたトランプ氏を罷免するかどうか裁く。

まず、弾劾管理人を率いるシフ下院情報委員長(民主党)が訴追決議を読み上げ、「トランプ大統領は弾劾裁判と、すべての公職資格の剝奪、そして罷免に値する」と述べた。

その後に裁判長を務めるロバーツ最高裁長官が宣誓を行い、続いて各議員が宣誓書に署名した。


ホワイトハウスの弁護団は1月18日、下院による弾劾訴追を「憲法違反」と批判し、無罪を訴える内容の準備書面を上院に提出した。 野党・民主党が主導した下院の弾劾訴追を「自由な選挙で大統領を選ぶ米国民の権利に対する危険な攻撃だ」と批判、「2016年大統領選の結果を覆そうとする違法な企てだ」と訴えた。

ウクライナへの軍事支援を凍結した背景として、ドイツなど欧州各国が公平な分担をしているかについて疑問があったとしている。
政敵のバイデン前副大統領親子の捜査をウクライナに求めたことについても、ウクライナの汚職対策への取り組みを重視していたと説明した。
いずれも違法性はなく、「権力乱用」にはあたらないと反論した。

大統領が下院の調査に協力しないよう政府職員に指示した「議会妨害」についても、行政府には秘密保持の権限があり、議会への妨害にはなりえないと主張した。

検察官役の下院代表委員7人も1月18日、上院に準備書面を提出した。

トランプ氏が軍事支援凍結などでウクライナに圧力をかけ、バイデン氏らの捜査をウクライナに求めたのは、「個人の政治的利益のために外国政府に米大統領選に介入するよう求めた」行為と断定 、「米国の民主的価値観と国家安全保障への損害を防ぐため、トランプ氏を有罪にして罷免すべきだ」と求めた。

新たな証人招致や証拠提出を認めるかなどを巡り、共和・民主両党の対立が19日も続いた。

トランプ米大統領は、ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に出席するため、弾劾裁判の審理が上院で始まる21日にスイス入ったが、スピーチの後、帰国した。

共和党の McConnel上院院内総務が1月20日、裁判の進め方に関する決議案を提出した 。これは単純過半数で議決される。

検察官役の下院民主党議員団とトランプ氏の弁護団は、意見陳述の機会をそれぞれ24時間 ずつを与えられる。
午後1時から始め、1日12時間で2日間としたが、これでは休憩をいれると毎日翌朝2時までやる必要があり、与党からも反対が出たため、1月21日に各3日間とするよう修正された。

双方の意見陳述のあと、質疑応答が16時間行われる。

その後、証人尋問や新しい情報を検討するかどうかについて、4時間の議論のあと採決される。

証人尋問は過半数の賛成で実施される。上院の勢力は共和党53人、民主党47人のため、証人尋問には共和党から4人の賛成が必要となる。
穏健派議員のうち少なくとも4人は証人尋問を排除しない立場を示しており、可決される可能性はある。


焦点となるのはボルトン
前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の 証人招致である。共和党指導部は想定外の新疑惑が浮上して情勢が一変する事態を懸念する。

ボルトン氏は1月6日、「上院が証言を求める召喚状を出せば応じる」と表明した。

同氏はこれまで、議会証言に応じるかを裁判所に委ねるとしていた。下院での弾劾調査で民主党はボルトン氏に証言を要求したが、裁判所の最終判断に時間がかかるため証言を断念した。

対ロシア強硬派として知られるボルトン氏はロシアの脅威にさらされるウクライナ向け支援の継続を主張し、トランプ氏と一対一で面会して支援再開を促したとされる。
それに対する大統領の発言など、証言内容によってはトランプ氏に打撃になる可能性もある。

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なお、トランプ大統領がウクライナに政敵の捜査を進めるよう圧力をかける目的で、同国への支援を凍結させた問題で、米国の政府監査院(GAO)は1月16日、議会が承認したウクライナへの支援を留保したことが法律違反だと認定した。

GAOは、トランプ政権によるウクライナ支援の凍結について、「議会が立法した内容を大統領が自らの優先政策と置き換えることは、法の誠実な執行上、認められていない」と指摘した。

1974年制定の執行留保統制法(ICA)は、議会が決定した支援を政府が留保するのを違法としている。また、政府が支援を遅らせたり止めたりする場合は、事前に議会下院に通告しなければならないと定めている が、 トランプ政権は、この事前通告をしなかった。

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CNNテレビが1月20日に公表した世論調査(16~19日実施)では、トランプ氏の弾劾裁判について、「有罪で罷免されるべきだ」と回答した人は51%で、「無罪で罷免されるべきではない」の45%を上回った。

罷免には陪審員役を務める上院議員の3分の2の賛成が必要である。





2018年12月にカナダで逮捕された中国通信機器大手、華為技術の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の米国への身柄引き渡しの可否を判断する審理が1月20日に始ま った。

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カナダ司法省は2018年12月1日、中国の通信機器最大手、華為技術(Huawei Technologies)の創業者 任正非(Ren Zhengfei)の娘である孟晩舟(Meng Wanzhou)副会長 兼 最高財務責任者(CFO)をバンクーバーで逮捕した。

米司法省は、イランへの輸出に対する米国の制裁にもかかわらず、華為技術が同国に製品を販売したかどうかについて捜査を始めていた。 8月22日に孟氏の逮捕状を取り、11月29日に孟氏がバンクーバーに立ち寄ることを把握し、犯罪人引渡協定に基づき、カナダに逮捕と身柄引き渡しを求めていた。

2018/12/10 華為技術(Huawei Technologies )の副会長の逮捕

孟氏の弁護団は米側の政治的な意図に基づいた不当な訴追だとして無罪を主張した。

カナダの裁判所は12月11日、同氏の保釈を認める決定を下した。

条件として1000万カナダドル(約8億5千万円)の保釈金を支払 い、GPS(全地球測位システム)付きの追跡装置を身につける。夜間の外出は禁じられ、パスポートは押収される。

米司法省は2019年1月28日、Huawei と孟晩舟 Huawei副会長を起訴した。

司法省の起訴はは2つの案件で行われたが、孟晩舟については、 イランとの取引関係における銀行詐欺と通信詐欺である。

米国の法律および規制では制裁対象国であるイランに関連した米国を通じた米ドル建て決済を含む銀行サービスを禁じており、一般的に金融機関は米国の法律や規制を遵守するために、イラン事業に関係がないことを確認する。IEEPA(International Emergency Economic Power Act :国際緊急経済権限法)により、イランは金融制裁の対象となっている。

華為技術はイランとの取引を香港のSkycom Techを通して行っていたが、米ドルの決済は米国の銀行を通して行っている。

実際にはSkycomは華為技術の子会社で、イランに事務所を有している。このため、取引は 華為技術によるイランとの取引であり、本来なら米国の銀行は取引ができない。

華為技術 および孟晩舟がイラン事業に関して米国の金融機関および米国政府を長期的に欺いたことを訴えの対象とした。

米国は孟副会長の引き渡しを正式に要請し、カナダ司法省は受理した。

2019/2/1 米司法省、Huawei を起訴 

孟被告は2019年3月1日、ブリティッシュ・コロンビア上級裁判所に提出した訴状で、カナダ政府と王立カナダ騎馬警察(RCMP)、カナダ入国管理局(CBSA)による公民権侵害を訴えた。

RCMPに逮捕される前、CBSAが不当な主張を根拠に自分を拘束し、所持品を調べ尋問した 。

当局はその場で孟副会長を逮捕し、カナダ人権憲章に基づく権利を侵害した 。

勾留は「違法」で「恣意的」なもので、当局は勾留の理由や弁護士を呼ぶ権利、黙秘権を意図的に教えなかった 。

カナダ政府は3月1日、米国への身柄引き渡しに関する審理を認めると明らかにした。

カナダと米国の犯罪人引き渡し条約に基づき検討した結果、「手続きを進めるための要件は満たされており、十分な証拠があると確信した」としている。

一般に、引渡し請求の対象となる行為は双方の国において重大犯罪とされていなければならないという「双方可罰性の原則」がある。また、基本的に他国からの引き渡し請求に応じる義務はない。

カナダの法律では同国の法律で違法とみなされない限り、身柄を他国に引き渡すことを禁じている。

カナダの前駐中国大使はイラン制裁違反に関して「カナダはイラン制裁措置に署名していない」としており、犯罪人引渡条約の対象にならない可能性がある。 しかし、カナダ当局は、カナダでも詐欺罪に該当すると主張している。


孟晩舟被告の米国への身柄引き渡しを巡る予備審理は、2019年3月、5月、9月に行われた。

Huawieは2019年5月9日、ステートメントを出した。

第1に、孟に対する嫌疑は事実に基づいていない。孟の事業活動が銀行職員もすべてを把握するなかでオープンかつ透明性を保って行われていた。

第2に、孟の公民権が繰り返し侵害された。

第3に、孟への嫌疑はカナダでは犯罪ではない。カナダはイランに関連した金融サービスについては制裁を行って おらず、引渡し請求は双方可罰性を満たしていない。

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中国政府は、孟被告が昨年12月に居逮捕されたわずか9日後、カナダ人2人を拘束した。
元外交官で独立系シンクタンク「国際危機グループ」に勤めていたMichael Kovrig と、中国を拠点とする実業家で北朝鮮旅行の手配をしていたMichael Spavor で、2019年5月に正式に逮捕された。

Michael Kovrigが非営利のシンクタンク、国際危機グループのために働きながら、スパイ活動と国家機密窃盗に関与し、中国の法律に「著しく違反」したとし、北朝鮮旅行の事業を手掛けるMichael SpavorはMichael Kovrigの主な協力者で、情報が渡されていたとする。

報道では、拘束されて1年になるが、2人は弁護士をつけることもできず、家族に面会できない状態が続いている。

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1月20日に始まる審理では、米国の起訴内容がカナダの法律上でも違法とみなされるかどうかが争点となる。

引渡し請求の対象となる行為は双方の国において重大犯罪とされていなければならないという「双方可罰性の原則」があり、カナダの法律では同国の法律で違法とみなされない限り、身柄を他国に引き渡すことを禁じている。

米国の法律および規制では制裁対象国であるイランに関連した米国を通じた米ドル建て決済を含む銀行サービスを禁じており、これの違反が問題とされた。

上記の通り、カナダの前駐中国大使はイラン制裁違反に関して「カナダはイラン制裁措置に署名していない」としており、カナダの法律では違反にはならないと見られている。

逮捕時の手続きが適切だったかどうかも焦点にな る。

カナダでは逮捕や拘束する際、逮捕の理由や弁護士を呼ぶ権利について説明を受ける権利が法律で定められている が、孟氏側はそういった説明なしに拘束され、人権が侵害されたと主張している。

報道によると、審理は23日ごろまで続き、裁判所の判断は後日示される。

双罰性が認められれば、6月に逮捕手続きの正当性の審理に移る。
双罰性が認められない場合、カナダ当局は上訴できるが、孟氏はカナダ国外に出ることが可能になる。

 

英議会下院は1月9日、英国がEUから離脱するための関連法案を賛成多数で可決、法案は上院に送付された。

2020/1/10 英下院、EU離脱法案を可決 1月末の離脱実現へ


上院では1月14~16日の3日間、委員会での審議が行われた。

特に下記の点が問題とされた。

・移行期間を11カ月とし、延長を認めないとした点

・子供が難民と認められた場合に、その親を難民と認めない点
 (親が難民の場合は子供を難民として入国を認めるが、逆は認めない)

Theresa Mayの案では認めたが、今回は認めない。EUでは親子の合流を認めない唯一の例となる。

下院では修正案が出たが、348対252で否決された。

野党は、ジョンソン首相は選挙前には労働者や難民児童の保護について妥協することを約束したが、選挙で過半数を取り、約束を破ったと批判している。

上院本会議では1月20日に委員会からの報告が行われ、必要な場合、法案の修正が行われる。
1月21日に本会議で修正案の採決が行われる。

上院には法案の否認決議はなく、修正案の決議だけである。

修正案は下院に送られる。

下院は1月22日にこれを審議するが、与党が過半数を持つため、修正案は否決されると見られ、再度上院に送られる。

どちらかが妥協するまでは修正案が上院と下院を行き来することとなる。卓球戦(parliamentary ping-pong bout)と呼ばれる。

もし決着しなければ、1月末の離脱も難しくなる。

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上院は一代貴族、世襲貴族、聖職貴族で構成される。

聖職貴族は、国教会の高位聖職者であるカンタベリー大主教、ヨーク大主教、ロンドン主教、ダラム主教、ウィンチェスター主教の5人と、そのほかの21名の教区主教をあわせた計26名。

世襲貴族は1999年のブレア政権の改革で、世襲貴族議員の互選で選ばれる90名に固定された。死亡時には世襲貴族議員の互選で後任が選ばれる。

一代貴族は首相の助言に基づく女王の勅許状によって叙爵される。首相退任時に退任する首相が次の首相に叙爵候補リストを残すケースと、総選挙時に引退を表明した庶民院議員たちを叙するケースが多い。
一代貴族が急増することが懸念されるが、今回、首相交代と総選挙で、24名の純増となり、総数が800人に近づいた。

一代
貴族
世襲
貴族
聖職
貴族
合計
聖職貴族 26 26
Conservative 198 46 244
中立派 157 30 187
Labour 176 4 180
Liberal Democrat 90 3 93
Democratic Unionist 4 4
Green 2 2
諸党 9 9
無所属 42 7 49
議長 1 1
合計 679 90 26 795

北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)実施法案が米上院で可決され、ホワイトハウスに送付された。


米議会下院は12月19日、法案を可決し、上院へ送付した。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 192 193 385
反対 2 38 1 41
棄権 3 2 5
合計 197 233 1 431


2019/12/13 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の内容を一部修正、米議会で協定承認へ


上院では大統領の弾劾裁判が始まるが、これは他の上院の課題より優先されねばならない。このため、上院ではそれまでの可決を目指し、日程を繰り上げて討議された。

民主党側は下院での可決後、2019年内の採決を求める書簡を出したが、この時点では、上院で多数派を握る共和党上層部は弾劾裁判が終了するまでUSMCA実施法案を扱わないことを明言していた。

関連する7つの委員会で審議され、まず財政委員会、予算委員会、環境・公共事業委員会で可決、歳出委員会、保険・教育・労働・年金委員会(HELP Committee)、商業委員会、外交委員会で1月15日に可決された。

1月16日に上院本会議で89対10の賛成多数で可決された。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 51 37 1 89
反対 1 8 1 10
棄権 1 1
合計 53 45 2 100

共和党の反対はToomey議員で、サンセット条項(加盟国全ての合意がない限り協定発効後16年目に失効する規定)に対する反対に加え、大統領貿易促進権限(TPA)法に違反することを問題視している。

TPA法は大統領に通商一括交渉権を付与する。

TPA法では、大統領は最終的な協定文書を議会に提出してから実施法案を提出するまでに30日以上の期間を設けなければならないとの規定がある。
USMCAについては、最終的に民主党主導の修正交渉の結果が反映されたテキストが2019年12月13日に公開され、同日に実施法案が下院に提出された。

トランプ大統領は直ちに署名するとみられる。

しかし、USMCAの発効には時間がかかると見られる。

メキシコはすでに法案を通しているが、米国による修正分の承認が必要である。
カナダは1月終わりに始まる下院で議決する予定

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