Armが米国市場上場へ

| コメント(0)

ソフトバンクグループ傘下の英半導体開発大手Arm Limitedが4月29日、米国証券取引委員会に普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)の新規公開計画に必要な届け出書類のドラフト版を提出した。

ソフトバンクグループは、新規株式公開の完了後もArmが引き続き連結子会社であることを想定していると発表した。

新規株式公開の規模及び価格帯はまだ決定されていないが、報道によると、80億~100億ドルの資金調達を目指しているとされる。

英政府はロンドン証券取引所で上場するよう求めており、1月の時点ではロンドン証券取引所への上場についてスーナク英首相がソフトバンクと協議を再開したと報じられていた。

しかし Arm は今回、米株式市場への単独上場が「最善の道だと判断した」としている。Armは英国内の本社は維持するとした上で「今後も英国政府とは協力していく」との見解を示した。

投資銀行業界はArmの企業価値は300億〜700億ドルとみていると報道されている。

ーーー

Armは、英国ケンブリッジに本社機能を置いた半導体メーカー。1990年に設立し、一時は英国で上場していた。

同社が設計開発した「ARM Architecture」をベースとしたCPUは、ほとんどの携帯電話メーカーに採用されている。「Nintendo Switch」や、無線LANを中心としたネットワーク機器にも採用、2023年1月にAppleの「Macbook」への搭載もスタートした。

Armは自社でCPUの製造を行わず、あくまで設計開発とライセンス提供のみを行っている。製造については最大手ファンドリー「台湾TSMC」とのパートナー関係を構築している。


ソフトバンクグループは
20169月に日本企業の海外買収案件としては過去最大の240億英ポンド(310億米ドル)Armを買収した
(このうち24.99%をソフトバンク・ビジョン・ファンドに移管した。)

ソフトバンクグループは2020年9月13日、傘下の Arm Limited の全株式を米国の半導体メーカーであるNVIDIA Corporation対して最大400億米ドルと評価した取引売却することについて最終的な契約の締結に至ったと発表した。取引は、英国、中国、EU及び米国を含む必要な規制当局の承認、その他の一般的なクロージング要件の充足を条件とし、完了までに18カ月かかる見込んだ。

Armの事業のうちIoTに関連するサービス事業のInternet-of-Things Services Group本取引の対象外で本取引の完了までにArmから分離され

2020/9/15 ソフトバンク、Arm LimitedをNVIDIA に売却

これを受け、Google、Microsoft、Qualcomm などが規制当局に苦情を申し立てた。

EUの欧州委員会は2020年10月27日、本買収について競争法(独占禁止法)に基づく本格調査に入ったと発表した。ArmがNVIDIAの傘下に入ることで価格の上昇などを招く可能性があると懸念している。

米FTCは2020年12月2日、反トラスト法に基づき、買収差し止めを求める訴訟を起こした。NVIDIAの競合企業もArmの技術に依存しており、買収を認めれば、技術支配力を利用して競合他社を弱体化させるとした。
裁判は2022年8月9日に開廷の予定であった。

英政府も安全保障の見地から調査するよう英競争・市場庁(CMA)に指示するなど規制当局からの認可取得は難航していた。 

ソフトバンクグループ(SBG)とNVIDIA Corporationは2022年2月8日、NVIDIAがSBGからArm Limitedの株式を取得する契約を解消したと発表した。
取引完了のために誠意を持って取り組んできたが、これを阻む規制上の大きな課題があったため、契約の解消に至ったとしている。孫社長は、IT業界や「各国政府の強い動きで断念した」と説明した。背景には「シリコンバレーのほとんどが直接的、間接的にArmの製品を使っているからだ」との認識を示した。

当初の契約の条項に基づき、SBGはNVIDIAが前払いした12.5億米ドルを保持し、利益計上する。NVIDIAは20年間のArmライセンスを保持する。

2022/2/9 ソフトバンク、Arm Limited のNVIDIA への売却を断念、Armの株式上場に変更

SBGは同社の株式上場の準備に入った。「ナスダックを中心に米国での上場を考えている」としていた。

ーーーーーーーーーーー

前日以前のブログを続けてみる場合は、ページトップのタイトル(下の部分)をクリックしてください。


過去のデータは下記から利用できます。

ブログ バックナンバー目次

データベース

ブログ & データベース専用検索

Google
www.knak.jp を検索

コメントする

月別 アーカイブ