Biden米大統領と米連邦議会のKevin McCarthy 下院議長(共和党)は5月27日、米政府債務の法定上限を引き上げることで合意した。議会で承認されれば、市場で懸念されていた米国債の債務不履行(デフォルト)は回避される。
McCarthy議長はBiden大統領と電話会談し、債務上限を引き上げる一方で、政府の支出を削減するなどの案で「基本合意に至った」と明らかにした。今後は双方のスタッフ間での法案の文言の調整を進めるほか、28日にはBiden大統領と再び会談し、正式合意に至るとの見通しも示した。
暫定合意には、2年間の債務上限引き上げ(時限措置として現行の上限である約31.4兆ドルを上回る債務残高を認める)に加え、非国防支出を今後2年間にわたりほぼ現行の水準に据え置く歳出合意が盛り込まれた。
非国防支出を2024年度は2023年度と同レベルとし、2025年度は1%だけ増やすとされる。
未使用の新型コロナウイルス資金を回収、一部のエネルギープロジェクトの許可プロセスを加速し、貧しい米国人向けの食糧援助プログラムに要件を追加する。
McCarthy議長は、「歴史的な支出削減であり、人々を貧困から引き上げて労働力にする改革であり、政府の行き過ぎを抑制する――新たな税金や政府の新たなプログラムはない」としている。
ツイッターに「先ほど、大統領と電話を終えた。彼が何カ月も時間を浪費し、交渉を拒否した後に、私たちは米国民にふさわしい大筋合意に至った」と投稿した。
I just got off the phone with the president a bit ago. After he wasted time and refused to negotiate for months, we've come to an agreement in principle that is worthy of the American people.
Biden 大統領はこの合意を重要な前進("an important step forward") と呼び、「妥協であって、全員が望むものを手に入れる訳では無い」としている。
"The agreement represents a compromise, which means not everyone gets what they want. That's the responsibility of governing."
今後は最終的に法案として上下両院での可決にこぎ着ける必要があるが、合意には民主・共和両党の強硬派からの反対が予想される。議長は28日に法案を完成させて大統領と再び協議し、正式に合意したうえで、31日に採決を行う方針を表明した。
Yellen財務長官は、債務上限の引き上げを行わなければ6月5日にもデフォルトに陥る恐れがあると指摘している。
これまでは6月1日にも行き詰まると説明していたが、最新データに基づいて分析したところ、デフォルト(債務不履行)に陥る恐れのある期限がやや後ずれした。
2023/5/24 米債務上限協議、合意に至らず
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