三菱ケミカルグループ、アブダビでCO2とグリーン水素由来のPPの商業生産を検討

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UAEのアブダビ首長国のMasdarと三菱ケミカルグループ、INPEXは7月17日、UAE訪問中の岸田首相の同席の下、世界初となる商業規模の CO2 およびグリーン水素由来のポリプロピレン製造を含むカーボンリサイクルケミカル製造事業の実現に向けた共同調査に関する契約締結を発表した。

アブダビ首長国は17年以上にわたり、太陽光、風力など再生可能エネルギーを中心に据えたMasdar Initiativeに注力している。Masdar(Abu Dhabi Future Energy Company) により実施され、太陽光・風力・水力発電、カーボン削減・管理、持続可能な開発、教育、製造、研究開発を行うもの。(Masdar はアラビア語で "the source" の意味)

Masdarは、世界各地で太陽光発電や風力発電プロジェクトに投資しているほか、2008 年からグリーン水素の研究にも取り組んでいる。2030 年までに年間 100 万トンのグリーン水素の生産を目標とし、複数の戦略的パートナーとグローバル協定を締結し、目標達成に向けた事業化検討を推進している。

Masdar の再生可能エネルギーに係るポートフォリオは世界40 カ国以上にわたり、投資額は 300 億米ドル以上となっている。また、保有する再生可能エネルギーの累計発電容量は 200 万kW を超えている。

2009/3/18 アブダビのMasdar Initiative

本共同調査は、e-メタノール(グリーン水素を原料とする合成メタノール)を原料とし、プロピレンを経由してポリプロピレンを製造するカーボンリサイクルケミカル製造事業の商業規模での実現可能性を検証するもの。

e の語源は Electric とされており、再生可能エネルギーで発電した電気を意味する。

原料となる水素の製造、CO2 の調達から e-メタノール、プロピレン、ポリプロピレン製造までのプロセス検証を行うと共に、本事業全体の経済性や CO2 削減効果を含めた事業化検討に取り組む。

メタノールは基礎化学品としての幅広い用途に加え、本事業から製造されるような e-メタノールのようにクリーンな船舶燃料用途としての需要も高まっている。本事業で製造されるPPは、従来の化石資源由来の製品に比べ、ライフサイクルベースでの CO2 排出量を大幅に減らすことが可能となる。

三菱ケミカルグループは日揮グローバルと共同開発したメタノールを原料にしてプロピレンを直接製造する技術を保有している。

石油を原料としないメタノール/ジメチルエーテル(DME)及び未有効利用オレフィン類を原料として選択的にプロ ピレンを製造する新技術DTP®(Dominant Technology for Propylene Production) ロセスを2007年度から共同開発


INPEX は、2022 年2月に発表した「長期戦略と中期経営計画」において、「水素事業の展開」および「カーボンリサイクルの推進」を含むネットゼロ 5 分野の拡大を掲げている。原料となる水素の製造と、CO2 の回収を行う本事業の実現可能性の追求は、かかる目標に沿うものである。

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