入院日記-4  ピロリ菌胃潰瘍(喉からの手術)  2020/12

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全く前兆なしの異変だった。

夕食後、寝転んでいて、立ち上がると、突然、息苦しくなり、立っておれず、座っても苦しく、横になっていた。
通常血圧の上が120程度だが、85まで下がっていた。(この時に突然、胃に穴があき、かなり出血した模様)

近くの医院で血液検査の結果、血中ヘモグロビンが異常に下がっていることが分かり、病院に行った。

再検査すると数値が更に下がっており、便の色が真っ黒であることから、胃からの出血ということで、内視鏡で見てもらった。

その結果、特殊な胃潰瘍であることが判明した。一般的な胃潰瘍はかなり広い範囲に潰瘍が発生、ひどくなると出血するが、小生の場合、潰瘍はなく、穴がポツンと開いていた。
太い血管に孔が開き、かなりの出血があっただろうとの所見だった。

内視鏡手術で孔の部分をクリップで血管ごと挟む処理をした。
(退院後すぐに、同病院で大腸がん手術の半年ごとのチェックがあり、CT写真をみせてもらうと、クリップが写っていた。)

この処理で出血がとまり、便も普通の色になり、1週間後にへモグロビンも9.8まで上がり、退院した。

なお、クリップは傷口が回復したあと、自動的に外れ、知らない間に便と一緒に排出されていた。

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調べたところ、骨髄の造血幹細胞で赤血球がつくられ、成熟するとヘモグロビンがつくられるが、赤血球の寿命は約120日とされ、全身を循環し、寿命を全うすると脾臓や肝臓で破壊される。

毎日だいたい赤血球全体の0.8%が破壊され、その分が補給される。

胃から大量出血すると、毎日の補給分に加えて赤血球をつくる必要があり、戻るまでに時間がかかる。 これを薬で補った。

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原因はピロリ菌 (Helicobacter pylori) である。

胃には強い酸(胃酸)があるため、昔から細菌はいないと考えられていたが、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が胃粘膜に生息していることが分かった。
(1979年に豪州の2人が発見、2005年のノーベル医学生理学賞を受賞)

ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を出して食品の尿素を分解し、自分の周りにアルカリ性のアンモニアを作り出すことで、胃酸を中和しながら、胃の中に存在している。

(逆に、ピロリ菌が無い場合、胃酸が中和されないため、胃酸過多の人が多いことが分かった。胃酸過多の主な症状は、胸焼け・げっぷ・胃もたれなど)


ピロリ菌は現在は抗生物質で除去する。

抗生物質は酸性下では効果が減少するため、昔は使えなかった。ピロリ菌胃潰瘍になった場合、手術しか治療方法はなかったという。

2015年に武田薬品が胃酸の分泌を抑えるタケキャブを発売。これで胃の中の酸性の度合いが弱まるため、抗生剤の効果が高まった。


退院後、ピロリ菌の除去を行った。

  まずタケキャブを1日1回1錠を14日続ける。

  続いてタケキャブ1錠と抗菌作用の抗生物質(クラリス錠200とアモリンカプセル250)を1日2回、7日間飲む。これで終了。

非常に簡単なので、まだ除去していない人は、すぐ除去することをお勧めします。




参考 2020/12/20 ピロリ菌が胃炎を引き起こすメカニズム解明、新たな治療標的に

 

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