米最高裁、夏季休会を前に次々と重要判断

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連邦最高裁は夏季休会を前に重要判断を次々と下している。

現在の最高裁のメンバーは下記の通りで、トランプ前大統領の強引な指名により、保守派が6名、リベラル派が3名となっている。但し、John Roberts 長官はときどき、リベラル派の側に立つ。他の保守派メンバーも必ずしも同一歩調をとる訳では無い。

 最高裁判事

性別 born 人種背景

指名した大統領

就任日 判断傾向
Clarence Thomas 男性 1948/6 アフリカ系 George H. W. Bush 1991年10月23日 保守
John Roberts  (Chief) 男性 1955/1 白人系 George W. Bush 2005年9月29日 保守
Samuel Alito 男性 1950/4 イタリア系 2006年1月31日 保守
Sonia Sotomayor 女性 1954/6 ラテン系 Barack Obama 2009年8月8日 リベラル
Elena Kagan 女性 1960/4 ユダヤ系 2010年8月7日 リベラル
Neil Gorsuch 男性 1967/8 白人系 Donald Trump 2017年4月10日 保守
Brett Kavanaugh 男性 1965/2 白人系 2018年10月6日 保守
Amy Coney Barrett 女性 1972/1 白人系 2020年10月26日 保守
Ketanji Brown Jackson 女性 1970/9 アフリカ系 Joe Biden 2022年6月30日 リベラル


米連邦最高裁は6月13日、経口妊娠中絶薬「ミフェプリストン」の流通を認める判断を下した。判事9人の全会一致で、流通規制を求めた原告の中絶反対派医師らには訴えを起こす権利がないとした。一定の制限を加えることを決めた下級審の判断を覆した。

2024/6/17 米最高裁、「飲む中絶薬」の認可差し止めを認めず  

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最高裁は6月14日、半自動小銃に取り付けて高速の連射を可能にする銃床「bump stock」の規制について、違法との判断を示した。

賛成6、反対3で、政府には銃の付属品を規制する権限がないと判断した。

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最高裁は6月20日、特定の外国法人に出資する米国人に生じた「含み益」への課税を合憲とする判断を示した。


外国法人に対して少なくとも10%の持ち分を有する米国人に1回きり適用される「強制本国環流税(Mandatory Repatriation Tax)」の合憲性の問題で、議会の課税裁量権が狭まる事態はひとまず回避された。

原告は、株主に配当が支払われていない段階での利益に課税するのは、合衆国憲法修正第16条の認める課税可能所得の範囲外だと主張し、下級審で合憲判決が下されていた。

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最高裁は6月26日、バイデン政権が誤った情報の削除などを運営企業に働き掛けた介入措置を容認する判断を下した。

Biden政権は、Meta、X(旧Twitter)、YouTubeに対し、新型コロナワクチンや2020年の大統領選挙に関する誤解を招く可能性のある投稿の削除を要請してきた。

共和党色が強いルイジアナ州とミズーリ州の司法長官、およびソーシャルメディアユーザー 5人のグループは、政府関係者がソーシャルメディア企業にそのような投稿の削除を迫るのは行き過ぎで、合衆国憲法が保障する「言論の自由」の侵害に当たるとして2022年に連邦政府を提訴した。

最高裁判断では、判事9人のうち6人が政権の介入を容認。「原告は当局の措置と、被ったとする被害について明確な関連性を示せなかった」として、訴えを退けた。
一方、反対に回った判事の1人は「政府高官はフェイスブックに対して容赦ない圧力をかけ、言論の自由を抑圧した」と指摘した。

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最高裁は26日、本来はまだ公表する予定でなかった判決文を誤って一時的にウェブサイトで公開した。最高裁の事務的な手違いだった。

近く判決が出る予定だった中絶をめぐる訴訟の判決文がウェブサイトに一時掲載された。


最高裁は27日、人工妊娠中絶を事実上、禁止している西部アイダホ州の州法をめぐって緊急性がある場合には当面、中絶を認めるべきだという判断を示した。

アイダホ州の州法は、最高裁が中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「Roe vs Wade」判決を2022年に覆したことを受けて施行された。

州法は「妊婦の死亡を防ぐために必要な場合」を除き中絶を禁止。違反した医師は刑事罰や免許取り消しを科される可能性がある。

バイデン政権がアイダホ州の州法について、妊婦の生命や健康が危険な場合に患者の容体を安定させる措置を行うことを病院に義務付けた連邦法(1986年の救急医療治療および労働法)に違反しているとして差し止めを求めていた。

最高裁は州法が連邦法に違反しているかどうかについては踏み込まなかったものの、緊急性がある場合には当面、中絶を認めるべきだという判断を示した。最高裁判事9人のうち6人の判断。保守系判事6人のうち3人(Samuel Alito、Neil Gorsuch、Clarence Thomas)が反対した。


バイデン大統領は6月27日の声明で「いかなる女性も治療を拒否され、死の寸前まで待たされてはならない」と述べ、アイダホ州と同様に共和党の地盤で中絶を原則禁止とする州を批判 した。
11月の大統領選で再選を目指すバイデン氏は中絶の権利擁護を支持層拡大の重要テーマと位置づける。

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最高裁は28日、3年前に大統領選挙の結果を覆そうと連邦議会に乱入したとして起訴された参加者の1人が、自身に対し公的な手続きを妨害した法律が適用されたことは不当な拡大解釈だと訴えていたものについて、法律を適用できるとした下級審の判断を破棄し、改めて審理を行うよう命じた。

米エネルギー商社エンロンの破綻を受けて制定されたこの法律は、文書などの記録を保護することが目的であり、議会での手続き妨害に単純に適用されるものではないと、最高裁判事は6対3で結論付けた。

議会乱入事件を巡って一部、同じ法律で起訴されているトランプ前大統領の今後の裁判への影響が注目される。

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最高裁は28日、曖昧な法律を政府の規制当局が解釈できる法理を無効にした。何十年も続いた法理が覆されたことで、環境や消費者保護、金融監督において政府機関が持つ権限が制限される。

争点となったのは、漁業規制をめぐる訴訟で1984年に出された判決に由来するChevron doctrineと呼ばれるもの。これを最高裁判事が6対3で覆し、大きな政府に反対する保守派に勝利をもたらした。民主党政権はこの法理を根拠に、新たな規制を設けてきた。

最高裁が1984年、米石油大手Chevronと天然資源保護協会(NRDC)が争った裁判で示したもので、連邦法に明記されていなかったり曖昧だったりする問題は政府が解釈し、その解釈が合理的であれば司法は従うというもの。

科学や金融などに関わる複雑な分野の法律については、専門知識を持つ政府の解釈を尊重すべきだとの考え方が背景にあった。

今回の判決は、特に仮想通貨やAIのような新しく急速に進化する分野において、SECや米商品先物取引委員会(CFTC)などの行政機関が、明確な法的根拠なしに規制範囲を拡大することにもっと慎重にならざるを得ないことを意味している。


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