東芝取締役会は9月13日、Bain Capital を軸とする日米韓・企業連合の新提案に基づき、同連合と 9月下旬までの株式譲渡契約締結を目指して協議を行うことを決め、その旨の覚書を締結した。
この覚書には、同連合を排他的交渉相手とする規定はなく、Western Digital 陣営との交渉も続ける。
東芝はこれまで、Western Digital 側と交渉を続けており、同陣営に決めるものとみられていた。しかし、東芝メモリに対するWestern Digital の将来の議決権などを巡り、折り合えていない。
このため、Western Digital との交渉は続けるが、主に日米韓・企業連合と協議を行う。
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Bain Capital 陣営の修正案は下記の通り。(億円)
普通株・優先株 融資 合計 産業革新機構 *2 日本政策投資銀行 *2 Bain Capital 47% 5,700 SK Hynix *1 東芝 47% 2,000 Apple 4,000 Kingston Technology 1,000 日本企業 6% 300 銀行団 7,000 計 100% 13,000 7,000 20,000
*1 SK Hynixは将来、優先株を普通株に転換。議決権は最大18%。*2 革新機構、政策投資銀行は、東芝とWestern Digitalの紛争解決後にBain、SKから株式を取得。
当初の案では、産業革新機構が3,000億円、日本政策投資銀行が3,125億円を出資する案であったが、両者とも、東芝とWestern Digitalの紛争解決を条件としていた。
今回案では、Western Digital との係争解決を前提条件にしておらず、革新機構と政策投資銀は当面外し、問題解決後に加える。
Appleは、東芝メモリと合わせるとWestern Digitalの市場シェアが36%に迫り、市場シェア35.6%のサムスン電子と2強体制を形成する のを恐れる。
また、安定したNAND型フラッシュメモリーの供給源を確保するためにも出資を決めた。
2017/9/4 東芝メモリの売却、進まず
2017/9/7 東芝メモリの売却、9月13日に決定
付記 上記の出資案は途中段階のものであった。
その後、Bain Capital は、Apple、Dell、Seagate Technology、Kingston Technology が出資することを明らかにしたが、それぞれの出資額は明らかにしなかった。
また、その時点では SK Hynix の社名は出していない。
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しかし、仮にこの案で契約を締結した場合、Western Digital 側は猛反発し、法廷闘争が続くこととなる。調停で敗れれば、契約を撤回する必要がある。
また、SK Hynix の将来の議決権所有が特に中国の独禁法で審査が長期化する可能性がある。2018年3月末までに各国の承認を得られるかどうか、疑問である。
中国政府は半導体メモリーに強い関心を持ち、自国に有利にとの思惑のもとで独禁法審査を行う可能性が指摘されている。
付記
Western Digital は次のコメントを発表した。
「東芝の行動を極めて遺憾に思う。当社は東芝との継続的な対話に柔軟で建設的な姿勢で臨んできたが、東芝が同意なしに韓国の SK Hynixや Bain Capital が率いる連合との取り引きを継続しようとしていることに驚きを禁じえない。」
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