トランプ大統領は3月8日午後、鉄鋼とアルミニウムに輸入制限の発動を命じる文書に署名した。
それぞれ25%、10%の関税を課す。
15日後に発効する。
全ての国に適用するが、カナダとメキシコは当面猶予する。
オーストラリアも除外対象候補として挙げた。日本については触れていない。
署名前の閣議で、「我々は非常にフレキシブルだ。我々には友人もおれば、長年にわたり我々を利用し続けてきた敵もいる」と述べた。
今回の命令は、いくつかの国を除外するようになっており、国ごとに税率を変えたり、適切と思う国をリストに加えたり、リストから除外する権限を大統領に与えていると述べた。
カナダとメキシコについては、鉄鋼とアルミについての大統領の懸念を晴らす変化を話し合うまでペンディングとし、除外の期限はつけていない。
大統領は3月5日、難航しているNAFTA交渉にからめ、呟いた。
カナダとメキシコに対し大きな貿易赤字がある。NAFTAは米国にとり悪い取引だ。企業が海外に移り、職が失われた。
鉄鋼とアルミの追加関税は、新しい、フェアなNAFTA協定がサインされた場合のみに免除される。カナダは制限の厳しい農業でも譲るべきだ。
メキシコは麻薬の米国への流入を阻止すべきだ。米国を守るために米国の鉄鋼を守る必要がある。米国第一だ!
We have large trade deficits with Mexico and Canada.
NAFTA, which is under renegotiation right now, has been a bad deal for U.S.A.
Massive relocation of companies & jobs.Tariffs on Steel and Aluminum will only come off if new & fair NAFTA agreement is signed. Also, Canada must.....treat our farmers much better. Highly restrictive.
Mexico must do much more on stopping drugs from pouring into the U.S. They have not done what needs to be done. Millions of people addicted and dying.To protect our Country we must protect American Steel!
#AMERICA FIRST大統領は、NAFTAで合意できず、彼らが合意しないためにフェアなNAFTAを廃止するなら、カナダとメキシコにも関税をかけると述べた。
しかし、担当者は今回、永久に除外するかどうかは安全保障の問題が重要であるとしている。
その他の国・地域から申請があれば、米国の安全保障や経済的利益の観点から審査し、適用免除の是非を判断する。
大統領はオーストラリアについても、除外の例として挙げた。米国とオーストラリアとの貿易収支が黒字であることを理由としている。
付記 大統領は豪首相との会談後、オーストラリアを適用除外する方向であると呟いた。
Spoke to PM TurnbullMalcolm of Australia.
He is committed to having a very fair and reciprocal military and trade relationship.
Working very quickly on a security agreement so we don't have to impose steel or aluminum tariffs on our ally, the great nation of Australia!
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トランプ大統領は3月1日の輸入制限発動方針の表明時に、対象は全ての国からの輸入で、もし、どこかの国を免除すれば、全ての国が同様の扱いを求めるため、どの国も免除したくないと述べた。
2018/3/3 トランプ大統領、鉄鋼とアルミに追加関税、日本も対象
2018/3/6 米国の輸入鉄鋼・アルミへの追加関税方針で貿易摩擦拡大も
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米アルミニウム協会は3月6日、Heidi Brock会長のトランプ大統領宛ての書簡を公開、全世界を対象とする関税に反対する考えを述べた。
まず、アルミニウム協会メンバーの114社と713千人の従業員を代表し、政府がアルミ業界に関心を示してくれたことに感謝した上で、全世界を対象とする関税が米国のアルミ生産と雇用に与える影響を深く憂慮すると述べた。
そのうえで、現在の米国のアルミ産業が直面する深刻な問題に対応するため、代替案を提案している。
1) 中国の過剰能力対策
直ちに中国と政府間交渉を行い、一次アルミ及び半加工分野での慢性的過剰能力に対処する。
2) 相手国を絞った関税
中国及び、関税を回避したり迂回輸出をした歴史のある国に的を絞り、中国の過剰能力に対応
3) 重要な貿易相手を除外
市場経済として機能している重要な貿易相手(カナダ、EUを含む)との摩擦を避ける。
4) アルミ産業の全バリューチェーンの維持
米国のアルミ産業の中流部分、下流部分の雇用を失うことを避けるため、国内のバリューチェーン全体のニーズを見る。(輸入品の使用が必要な業種もある?)
5) 輸入監視システム
米国に輸入されるアルミ及びアルミ製品をモニターし、より透明性を与える。
関税だけでは中国の過剰能力をどうしようもなく、逆にルールに従っている貿易相手とのサプライチェーンを傷つけることとなると主張し、関税がアルミ産業全体の雇用の97%(米国の中流及び下流セクションにいる)を逆に傷つけることとなるとしている。
中国からの輸入は問題であるが、米国の他の貿易相手からのアルミやアルミ製品の輸入には何もアンフェアなものはないとする。
書簡では最後に、これらの点を勘案してほしいと要望している。
商務省発表資料では米国の一次アルミの状況は次の通り。
米国の鉄鋼・アルミの最大の輸入国はカナダである。(米商務省発表資料より)
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