米国上院、大統領の要求への対応で混乱

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トランプ大統領は、2021年度予算案と新型コロナウイルス対応景気対策予算案を一旦拒否し、12月27日に一転、これにサインしたが、いろいろ条件を付けた。

これについて、下院は民主党主導ですべて対応したが、上院で共和党の意見がまとまらず、混乱している。

1月3日には現メンバーによる議会は終了し、新メンバーによる議会がスタート、ペンディングの法案は全て廃止となる。

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トランプ大統領は12月27日(日曜)の夜、オムニバス歳出法案(2021年9月末までの予算)と9千億ドルの新型コロナウイルス追加景気対策予算案の一括法案にサイン、12月29日にも予想された政府機関一部閉鎖を回避した。

サインするに際し、大統領は下記の点を要求した。

新型コロナウイルス追加景気対策予算案の、1人当たり600ドルの支給に対し、成人には2000ドル、子供には600ドルを渡すこと。

Big Techを利するSection 230 を再検討し、取り止めるか、大幅変更すること

今回の大統領選挙で発生した多くの不正投票に強く対応すること

2020/12/28 トランプ大統領、一転して、オムニバス歳出法案と9千億ドルの新型コロナウイルス追加景気対策予算案の一括法案にサイン 

米下院は12月28日、9000億ドルの新型コロナウイルス対策に盛り込んだ家計への600ドルの現金給付案を2000ドルに積み増す単独法案を賛成多数で可決した。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 44 231 275
反対 130 2 2 134
棄権 21 21

合計

195 233 2 430

トランプ大統領は12月23日、2021会計年度の国防予算の大枠を定める国防権限法案にも拒否権を発動した。海外駐留米軍の性急な削減を制限することや、南北戦争での南部連合軍にゆかりのある米軍基地名の変更条項などを問題にした。

2020/12/23 トランプ大統領、新型コロナウイルス追加景気対策予算法案の署名を拒否 付記

下院は12月28日、これを2/3以上の賛成で再可決した。大統領の拒否権を覆すには上院、下院がそれぞれ2/3以上の賛成が必要で、上院の決定待ち。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 109 212 1 322
反対 66 20 1 87
棄権 20 1 21

合計

195 233 2 430

なお、下院に無所属が2人いるが、いずれも共和党を離党している。

2019年7月にMichigan 州選出の共和党議員 Justin Amash が、トランプ大統領が弾劾されるべき行為をしているとして共和党を離党(一旦無所属、現在Libertarian Party)した。

今回12月14日に、Michigan 州選出の共和党議員Paul Mitchell は、トランプ大統領の2020年選挙の「陰謀理論」に共和党が組しているのは長期的に民主主義を害するとして共和党を離党し、無所属となった。

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上院で決めるべき問題は、①国民への一人当たり支払いを600ドルから2000ドルに増やすかどうか、②「Big Techを利する」Section 230の修正、③連邦選挙改善の勧告、④国防権限法案への拒否権への対応である。

上院での法案採用は、共和党の議会トップのMitch McConnell 院内総務の決断により決まる。

McConnell 院内総務は12月29日、①一人当たり2000ドルへの引き上げ、②Section 230の削除、③選挙制度検討の委員会を設置し、議会へ勧告を含めた法案を提出した。大統領の要請であるとし、3つを一括法案にするとした。(①と②と③は意見がバラバラだが、3つをまとめて賛成するか反対するかになる。)

上院民主党のリーダーChuck Schumerは、民主党はこれを支持しないと公言した。全員が支持する2000ドルへの引き上げに国民救済に無関係の事案を結びつけるなら法案は通さないとし、共和党議員に、これに反対し、下院の2000ドル法案に賛成するよう求めた。

この案が上院で議論されるかどうか、共和党議員が賛成するかどうか、不明である。

国民への支給については、民主党は従来から2000ドルを主張したが、共和党ははるかに少額を主張、妥協として600ドルで決まった経緯がある。
現状で、共和党上院議員は多くが2000ドルへの引き上げ(結果として債務が増加する)に反対している。大統領だけが共和党のコンセンサスと異なり、引き上げを主張している。

問題を複雑にしているのは、1月5日に上院議員選挙の決選投票を控えるジョージア州の共和党2議員がいずれも2000ドルへの引き上げを主張している。国民の望む2000ドル引き上げに反対して選挙で敗北すれば、上院は共和党、民主党いずれも50議員となり、今後の新議会で法案賛否が50:50となった場合、上院議長である副大統領(民主党)の投票で決着することになり、共和党としては絶対に避ける必要がある。

国防権限法案への拒否権については、McConnell 院内総務は12月30日に投票でこれを覆す方針だが、無所属のBernie Sanders議員は、McConnell 院内総務が2000ドルへの引き上げについて決めるまでは討論を止めるため、これに反対するとしている。

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