最高裁、神奈川県の建設石綿訴訟で双方の上告却下、4社への賠償命令確定 

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建設現場でアスベストを吸い、肺がんや中皮腫を患った神奈川県の元労働者や遺族ら計28人が建材メーカー6社に損害賠償を求めた訴訟(横浜地裁→東京高裁)で、最高裁第3小法廷は1月15日付けで双方の上告を退ける決定をした。

メーカー4社(エーアンドエーマテリアル、ニチアス、エム・エム・ケイ、太平洋セメント)に対し22人に計約1億367万円の支払いを命じた差し戻し後の二審・東京高裁判決が確定した。

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建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込んだ元建設作業員と遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は2021年5月17日、規制を怠った国の対応は違法と認め、「違法状態が続いた1975~2004年の被害に賠償責任が生じる」との初判断を示した。被害原因となった建材を製造した可能性が高い複数のメーカーの連帯責任も認めた。一部の元労働者について審理を高裁に差し戻した。

2021/5/19 最高裁、建設アスベスト訴訟で 国と企業の責任認める

神奈川県などの元労働者や遺族ら計28人が建材メーカー6社に計6億9300万円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が2023年5月31日、東京高裁であった。渡部勇次裁判長は、うち4社に対し、22人へ計約1億367万円を支払うよう命じた。

賠償を命じられたのは、エーアンドエーマテリアル、ニチアス、エム・エム・ケイ、太平洋セメントの4社。

渡部裁判長は、元労働者の作業歴や建材製品の市場シェアなどに照らし、各メーカーの賠償額を算定した。

弁護団の田渕大輔弁護士は判決後に会見し、「責任を負うことが明確になった企業が、時間稼ぎのために訴訟を続けることはもはや許されない状況だ」として、各メーカー(計6社)による全面的な被害救済を求めた。

元労働者側とメーがー側がそれぞれ上告したが、最高裁は今回、双方の上告を退けた。


なお、
首都圏建設アスベスト東京1陣訴訟については、東京高裁は2024年12月26日、7社が原告282人に計約40億円の和解金を支払う内容の和解案を提示した。

2025/1/6 東京高裁 建設石綿訴訟で和解案提示

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