ワクチン製造の合弁会社 ㈱ BIKEN 操業開始

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阪大微生物病研究会 (BIKEN財団) は9月4日、㈱ BIKENが田辺三菱製薬の出資を受けて9月1日付で操業を開始したと発表した。

BIKEN財団のワクチン製造技術と、田辺三菱製薬の医薬品生産・管理システム技術を融合してワクチンの供給拡大を図る。

概要:

(1) 名称 :㈱ BIKEN
(2) 所在地 :香川県観音寺市瀬戸町
(3) 事業内容 :ワクチンを含む生物学的製剤の製造及び供給
(4) 操業開始 :2017年9月1日
(5) 出資比率 :BIKEN財団 66.6%、田辺三菱製薬 33.4%
(6) 従業員数 :553人

ワクチンの製造販売元として、国内で最も多くの量を供給しているBIKEN財団と、その販売元として50年以上相互連携してきた田辺三菱製薬は、2016年11月、ワクチンのさらなる供給拡大に対応するため、合弁会社を設立することに基本合意した。

BIKEN財団のワクチン製造技術を基軸として、田辺三菱製薬の医薬品生産に関するシステムや管理手法等を融合し、生産基盤の強化を加速させることで、ワクチンのさらなる安定供給を目指すもの。

両者は2017年5月1日、合弁会社「㈱ BIKEN」の設立に最終合意し、これを受けて、5月9日、BIKEN財団の100%出資で ㈱BIKEN が設立された。

BIKEN財団は9月1日、㈱BIKENの株式33.4%を田辺三菱製薬に売却し、両者の合弁会社として操業開始した。

BIKEN財団と㈱BIKENから成る「BIKENグループ」は、ワクチンを中心とした生物学的製剤に特化したバイオ・スペシャリティ・ファーマとして、80年以上のワクチン開発、生産で培った独自のバイオ技術、アカデミアとの連携を活かしたオープンイノベーションで、世界中の人々の大切な命を守るための日本発・世界初の画期的なワクチンの開発をめざすとしている。

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日本の感染症対策が発展途上にあった1930年代に細菌学者 谷口腆二博士は「日本国民を感染症から守るためには、海外の西の門戸である大阪にも伝染病に関する研究機関が必要だ」と考え、奔走した。
1934年、山口玄洞氏の篤志を基金に 財団法人 阪大微生物病研究会(BIKEN財団)が誕生した。

微生物病の基礎研究は研究所(現在の大阪大学微生物病研究所)が行い、その応用研究とワクチン等の製造・検査、供給をBIKEN財団が担うという 「大学発ベンチャー」であった。

戦後間もない1946年には、発しんチフスワクチン供給のニーズに応えるべく、香川県に観音寺研究所を設立 し、1961年に完成した不活化ポリオワクチン国産第一号をはじめ、多くの国産第一号のワクチンを開発し、世に送り出した。中でも水痘ワクチンは、日本発・世界初のワクチンとな った。

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