自動車大手の欧州Stellantisは11月26日、英国中部Lutonにある小型商用車の製造工場を閉鎖すると発表した。中西部のEllesmere Port工場に集約し、電気自動車(EV)のみを製造する。
EVの投資・生産効率を高め、ゼロエミッション車(ZEV)の販売比率を義務づける英政府の規制に対応する狙いがある。
プジョーやオペルなど14ブランドを傘下に抱えるStellantisは英国に2カ所の工場を持つ。1905年開設のLuton工場では、主に英国ブランドのVauxhall (Opel 子会社)の小型商用車を製造していたが、現在はエンジン車のみを製造している。2025年前半から新たに電動商用車の製造を始める計画だった。
2009年1月、イタリアのFiat S.p.Aは経営不振に陥っていた米国のChrysler への資本参加を発表、2014年にFiatがChryslerの株式を買収し完全子会社化することを発表し、同年10月12日に持株会社が設立された。
2019年初頭、 はフランスのグループ会社Renaultとの合併を模索し、暫定合意に達したが、フランス政府はこの合意を支持せず、合併は撤回された。
その後、は にアプローチし 、2019年12月に50/50で統合することで正式に調印された。2020年12月21日、欧州委員会は、競争を確保するために最小限の救済措置を課して合併を承認した。
2021年1月16日、新会社
Stellantisは今回、2025年4月にLuton工場を閉鎖すると決めた。同工場で働く従業員1100人が影響を受けることになるが、希望すればEllesmere Port工場への転勤を支援するとしている。
同時に5000万ポンド(約100億円)を投じ、Ellesmere Port工場をEV専用工場として機能拡張する計画も示した。Luton工場のエンジン車製造機能はフランスの工場に移す。
Stellantisが工場閉鎖を決めた背景に、英政府が2024年から導入した規制「ZEV Mandate」がある。新車販売に占めるZEVの比率を毎年引き上げる厳しい内容で、未達のメーカーには販売台数に応じた罰金を課す。
商用車の場合、2024年は22%で、その後段階的に上昇し、2035年には100%のZEVを義務づける。
一方、商用車のEV需要は軟化しており、Stellantisは2工場に分散した状態よりも一本化したうえで電動化投資を進める方が効率的だと判断した。
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英国政府は2023年9月28日、2035年までの新車販売のゼロエミッション化を達成すべく、自動車メーカーに対し、一定割合のゼロエミッション車(ZEV)の販売を義務付ける「ZEV Mandate」について詳細を発表した。
Year 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035 Target 22% 28% 33% 38% 52% 66% 80% 84% 88% 92% 96% 100% (*) 2031年以降のターゲットは追って見直し
毎年、各メーカーの販売台数および当該年の目標割合に応じて、Allowance を付与する。
メーカーは、当該年に販売したゼロエミッションではない乗用車またはバン(非ZEV)1台当たりに対して1つのAllowance を使用する。Allowance が余った場合、企業はこの余剰分を他社に販売、または貯蓄することができる。貯蓄したAllowanceは3年間使用可能。
反対に不足する場合は他社から購入、または貯蓄分の利用、または将来分から前借り(borrow)することで補填する。前借りについては2024年から2026年までの期間のみ認められており、目標割合に対する利用上限も設定されている。なお、前借り分については3.5%の「複利」で返済する必要がある。他社からの購入、貯蓄分の利用、将来分からの前借りを行っても不足する場合についてはAllowance1つにつき、乗用車は1万5千ポンド(約273万円、1ポンド=約182円)、バンは1万8千ポンドを支払わなければならない。
また、非ZEVの二酸化炭素(CO2)の排出規制も含まれている。ZEV Mandateと同様にAllowance が付与され、販売した車種の1キロメートル当たりの平均排出量に対して使用する。これについても、余剰分の販売などが認められている。
なお、ZEVのAllowance とCO2の排出規制のAllowance については互換が可能とされている。
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