カネカ、気管支拡張用バルーンカテーテル「SUKEDACHI®」を販売開始

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カネカは、大阪大学との共同研究成果を基に開発した気管支拡張用バルーンカテーテル(商品名:SUKEDACHI®)を 6 月より販売開始した。

カネカのバルーンカテーテルをはじめとした精密成形技術と、大阪大学大学院医学系研究科の臨床・非臨床試験に関する豊富な経験を融合することで製品化したもの。

日本では呼吸器系疾患の患者数は 700 万人以上で、そのうちがん死亡数第一位である肺がん患者数は約 33 万人にのぼる。

肺癌は中枢型と末梢型に大別されるが、ほとんどは肺の奥深くに発生する末梢型肺癌である。肺は先細りの気管支が無数に分岐する構造をしており、内視鏡(気管支鏡)を用いたとしても、十分に末梢型肺癌に近づくことができず、診断および治療を精度高く行うことは困難であった。

大阪大学大学院医学系研究科の三宅浩太郎助教らは2011年にCT画像を分析する'コツ'に気づき、オブリーク法(Oblique Method)と名付けた。内視鏡で末梢型肺癌にアプローチするための"道"が詳しく分かるようになった。

一方でオブリーク法で末梢型肺癌までの道が分かっても、気管支鏡が末梢型肺癌まで到達できるわけではない。気管支が先細りになっているからで、これまで肺野末梢に入っていくために気管支鏡はどんどん細く設計されたが、それでも十分に肺野末梢まで到達することはできなかった。

そこで助教らは逆に、気管支を広げることで気管支鏡を末梢に進めるというアイデアを思いついた。試しにブタの肺で心臓用のカテーテルを使ってこのアイデアを行ってみたところ、気管支鏡で肺の底まで到達することに成功した。

助教らはこの方法をBalloon Dilatation for Bronchoscopy Delivery (BDBD法:バルーン併用気管支鏡送達法)と名付けた。


カネカは大阪大学と提携し、肺がん診断を目的とした気管支鏡検査用途にバルーンカテーテルを開発、「SUKEDACHI」と名付けた。従来到達困難であった肺の奥深くまで気管支鏡を送達させることが可能になり、病変の診断精度の向上が期待される。

胸部異常陰影 2 ㎝未満のがんの診断率について、従来法は 34%に対し、SUKEDACHI を用いた気管支鏡検査の臨床成績は 77.8%を達成した。

また、病変付近まで気管支鏡を届けられる特長により、患者の負担を軽減する気管支鏡下治療(気管支鏡を使って気管・気管支の狭窄を拡張したり、がん細胞を焼灼したりする治療)への応用が可能になるなど、今後の用途拡大が期待される。




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