米財務省、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表

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米財務省は129日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表した。


 https://home.treasury.gov/system/files/136/January-2026-FX-Report.pdf

米財務省は為替操作国に指定する条件として(1) 対米貿易黒字の規模 (2) 経常黒字の規模 (3) 継続的な通貨売り介入――を掲げている。

  従来の基準 2019/5より改正
①重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上 同左
②実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上 GDPの2.0%以上
③外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入
(12カ月のうち、8カ月
同左
(12カ月のうち、6カ月

3基準全てに該当すれば「為替操作国」となる。

次の場合、「監視リスト」に入る。
  2基準に該当 & 1基準だが、前年「監視リスト」の場合
  なお、中国は常時、「監視リスト」

「為替操作国」基準にかかった貿易相手国・地域はなかった。

2019年8月に中国が、2020年12月にスイスとベトナムが「為替操作国」となった。それ以降、2022年11月までの間は、基準では対象となる国があったが、米財務省の判断で実際は非認定となった。
今回は基準でも対象となる国はなかった。

日本は永く2項目でひっかかり、「監視リスト」に入っていた。2022年11月から1項目だけとなり、2023年6月と2023年11月は「監視リスト」から外れた。しかし2024年6月から、①対米貿易黒字に加え、②実質的な経常黒字で該当し、再度、『監視リスト」に入った。

今回のレポートでは、日本について以下の通り述べている。

日本の恒常的な経常収支黒字は近年増加傾向にあり、これは数十年にわたり蓄積された膨大な対外資産による一次所得の増加が牽引している。日本円は、日本銀行(BOJ)が長年にわたる極めて緩和的な金融政策を徐々に解消しつつあるにもかかわらず、対ドル及び実質実効ベースで数十年ぶりの安値付近にとどまっている。日本の財・サービス貿易収支は2019年以降、概ね赤字となっているものの、米国との二国間貿易黒字は比較的安定している。日本は為替介入について非常に透明性が高く、月次介入の総額と四半期ごとの日次介入の詳細な情報を公表している。

日本の経常収支黒字は、2025年6月までの4四半期でGDPの4.8%と、前年同期の4.5%からわずかに増加した。これは、日本の大幅な第一次所得収支黒字の副産物であり続けている。第一次所得収支黒字は、対GDPの6.4%と非常に高い水準を維持している。これは、日本の対外資産からの堅調な収益が継続していることによる。対外資産は、外国直接投資からの配当、国債・社債を含むポートフォリオ資産、外国株式、海外銀行融資などに分散されている。

介入政策

2024年7月に円安圧力が顕著になった頃、日本は7月11日と12日に5.5兆円(350億ドル)のドル売りを行い、外国為替市場に介入した。このドル売りは、2024年における3回目の大規模な介入であり、日本当局はドルに対して円を支えるために介入した。財務省は年間で約1,000億ドルのドル売りを行った。

為替介入については月次での有無を公表していることから「透明性を維持している」とした。2022年以降の介入に関し、日本の財務省は相場の過度な変動や投機筋の圧力を理由としており、「介入は特定の為替水準を目標としない立場を守っている」と評価した。

ーーー

中国については人民元が「下落圧力」に直面しているとしたものの、為替操作国には認定せず、貿易摩擦の激化を回避した。ただ、「主要貿易相手国の中で、為替政策・慣行に関する透明性の欠如が際立っている」と指摘。昨年6月に発表した前回の報告書の文言を繰り返した。

ーー

今回は、日本に加え、前回に続き2項目の韓国台湾、ドイツ、スイス、アイルランドベトナム、シンガポールと、今回2項目となったタイ、1項目でも常時「監視リスト」の中国(今回は久しぶりに2項目)の合計10カ国が「監視リスト」に載った。

なお、「外為市場に対する介入」でひっかかったのはシンガポールだけであった。 

操作国
3基準  
監視国
2基準  
監視国
1前年監視対象 &中国 丸数字は問題となった項目
                 
  日本 中国 韓国 台湾 ドイツ スイス インド アイルランド ベトナム イタリア マレーシア シンガポール タイ メキシコ
2016/4
2016/10
2017/4
2017/10
2018/4
2018/10
2019/5
 

①②



①②

 

 

①②

①②

①②

①②

2019/8   操作国  
2020/1
①②


①②

①②

①②

 



①②

①②

2020/12
①②


①②

①②

①②
操作国
①③
操作国
①②

①②


①②
2021/4
①②


①②
操作国
非認定

①②
操作国
非認定

①③

①②
操作国
非認定

①②

①②


①②

①②
2021/12
①②

①②

①②
操作国
非認定

①②

①③

①③

操作国
非認定

①②

①②


①②

①②
2022/6
①②


①②

①②

①②
操作国
非認定




①②



2022/11


①②

①②

①②
操作国
非認定







2023/6



①②

①②






①②



2023/11



①②

①②




①②


①②



2024/6
①②



①②

①②




①②





2024/11
①②


①②

①②

①②




①②





2025/6
①②


①②

①②

①②

①②


①②

①②





2026/1
①②


①②

①②

①②

①②

①②

①②

①②


①②

 赤字が為替操作国基準にひっかかった項目

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