GM、米リチウム鉱床権益取得に6億2500万ドルを拠出

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カナダの鉱山会社、Lithium Americasは10月16日、米大手自動車メーカーのGeneral Motorsが、同社の米西部ネバダ州の
Thacker Pass鉱山のリチウム鉱床の権益を取得するために 現金と信用状で合計625百万ドルを拠出すると発表した。

GMは競争が激しい市場で電池関連材料の中国依存を減らすことを目指している。

Lithium Americasによると、GMは
Thacker Passの権利の38%を買い取る。計625百万ドルのうち430百万ドルが第1期工事に充てるための現金、195百万ドル が信用供与契約(下記)となる。

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Lithium AmericasとGMの関係は2023年1月に遡る。

Lithium Americasは2007年に設立された企業で、この時点では米国のほか、アルゼンチンでのリチウム開発プロジェクトも手掛けていた。

2023年1月31日にGM と当時のLithium Americasはネバダ州のThacker Passリチウムプロジェクトの開発に向けて共同投資を行うことを発表した。本合意に基づき、GMはLithium Americasに対して650百万ドルの株式投資を行う。

GMの株式投資は2回に分けて行う予定で、1回目の出資完了後、GMは拘束力のある供給契約を通じて、同プロジェクトのフェーズ1で生産される炭酸リチウムの独占アクセス権と、フェーズ2生産分の優先交渉権を獲得する。

2023年2月16日に1回目の出資320百万ドルが行われた。

この時点では、GMはLithium Americasに650百万ドルの出資をすることで、Thacker Passリチウムプロジェクトの開発に参画し、リチウムを取得することとしていた。

2023/11/16 ExxonMobil、アーカンソー州でリチウム生産 : GMはネバダ

Thacker Pass鉱山は ネバダ州とオレゴン州との州境の南側にあるネバダ州フンボル ト郡に位置する。

リチウム鉱床は約1630万年前に形成され現在は活動を停止している1,200平方キロの大規模火山McDermitt Calderaに位置する。火山噴火時に形成されたリチウムを豊富に含む湖が再度の火山活動により干上がり、地表近くに鉱床が形成されたという。

リチウムの埋蔵量は米国最大で、炭酸リチウムに換算して年間8万トン、最大で100万台分のEVバッテリー用のリチウム生産が可能になると見込まれている。

Lithium Americasは自然保護活動家や牧場主、先住民(Paiute、Shoshone、Washoe の先住民3族からなるReno-Sparks Indians)との長期にわたる複雑な裁判に勝訴後、2023年3月に建設作業を開始した。

2023年10月1日に Lithium AmericasがLithium Argentina Corp. と改称するとともに、北米の事業を分離し、新Lithium Americas Corp. とした。

分離の完了に伴い、GMは2回目の出資契約をLithium Americas Corp. との間で締結した。これに基づき、GMは、一定の前提条件が満たされることを条件として、新Lithium Americasの株式を330百万ドルで購入する。

GMはまた、新Lithium Americasと投資家権利契約を締結し、GMのオフテイク契約は新Lithium Americasに譲渡された。

GMは、新Lithium AmericasおよびLithium Argentinaの両社の株式の約9.4%を保有する最大株主となる。

今回(2024年10月)の合意は、上記の2回目の出資契約の330百ドル相当の投資に代わるものとなる。

即ち、Lithium Americasに追加の330百万ドルの出資は行わず、現金と信用状で合計625百万ドルを拠出し、Thacker Pass鉱山のリチウム鉱床の権益 38%を取得する。

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Lithium Americasは2024年3月に米国エネルギー省 (DOE)から、先進技術車両製造ローンプログラムに基づき、23億ドルのローンの条件付きコミットメントを受けた。

2025年半ばに予定されているDOEローンの最初の引き出しに先立ち、同社はDOEローンに関連する準備金口座(建設予備費、立ち上げおよび維持資本用)に約195百万ドル(現金または信用状による)を調達する必要がある。

GMの今回の拠出625百万ドルのうちの195百万ドルの信用状は、このエネルギー省ローンの準備金口座への資金供給に使用される。

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今回の計画 のまとめ:

2023年1月の契約時には、GMはLithium Americasに650百万ドルの株式投資を行い、リチウムを確保するという構想であった。

GMはまず、2023年2月16日に1回目の出資320百万ドル を行った。これにより旧Lithium Americasの9.4%の株主になった。
その後、
Lithium Americasは
新Lithium AmericasおよびLithium Argentinaに分割され、GMは両社の9.4%の株主である。GMはLithium Americas社の筆頭株主となる。

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Lithium Americas とGMは、Thacker Pass鉱山のリチウム鉱床開発のためJVを設立する。

GMは現金および信用状で 625百万ドルを拠出し、Thacker Pass の権益の38% 保有する。

  • 新Lithium Americasと投資家権利契約を締結し、現金330百万ドルを支払う。
  • フェーズ 1 の最終投資決定 (「FID」) 時に現金 100百万ドル を拠出する。
  • DOE ローンの最初の引き出し前に 195百万ドルの信用状を供与

Lithium AmericasはThacker Pass の権益の残り 62% 保有し、GM に代わってプロジェクトを管理する。

Lithium Americas は、プロジェクトの 62% の所有権に対して、JV に 387百万ドルの資金を拠出する。

 ・211百万ドルはJV の締結日に拠出される。2024 年 8 月以降の設備投資の支出は控除され、この金額が減額され、その他の調整も行われる。
 ・残りは、フェーズ 1 の
最終投資決定時に 拠出。
 ・2024 年6 月30 日現在、Lithium Americas の現金および現金同等物はおよそ 376百万ドルである。

GM が JV に株式持分の対価として提供する信用状195百万ドルには利息がなく、DOEローン要件と一致する満期となるが、Thacker Pass によって生み出される現金に置き換えられると、この要件は取り消される。

JV レベルで取締役会が設立され、JV を監督し、プロジェクトの予算と事業計画を承認し、GM のベンダー要件 (GM のHuman Rights Policy を含む) に沿ったポリシーを実施する。

合弁取引の締結に伴い、GM は Thacker Pass の第2 フェーズの生産量の最大38% について 20 年間の追加オフテイク契約も締結し、第2 フェーズの残りの生産量については優先オファー権を保持する。GM の合弁投資には、DOEローンの融資契約に関連するものを含む特定の前提条件が適用される。


Thacker Passリチウムプロジェクトは2026年下半期の操業開始を目指しており、生産が開始された場合、米国最大のリチウム鉱山となる見込みである。

同プロジェクトで生産される炭酸リチウム量は、最大100万台/年のバッテリーセル分に相当するとLithium Americas社は見積もっている。

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なお分離したLithium Argentinaの事業は下記の通り。

アルゼンチン北西部のフフイ州、カタマルカ州、サルタ州は、チリおよびボリビアと共に「リチウムトライアングル」を構成する。

同社はフフイ州、サルタ州でリチウム事業を行っている。

 ・アルゼンチン北部のフフイ州では、Caucharí-Olaroz リチウム計画の 44.8% を所有する。

計画:Olaroz塩田と Caucharí 塩田からのリチウム塩水 を蒸発させ、リチウムを取得

JV:中国のGanfeng Lithium (贛鋒鋰業) 46.7%、Lithium Argentina 44.8%、Jujuy Energia y Mineria Sociedad del Estado 8.5%

能力:Stage 1 40,000 tpa,  Stage 2 at least 20,000 tpa

投資:979百万米ドル

サルタ州では下記事業を行っている。

 ・ Pastos Grandes計画(FS段階)

   Pastos Grandes塩湖のリチウム塩水からのリチウム

   Lithium Argentina 85%、 Ganfeng Lithium (贛鋒鋰業)15% 

 ・ Sal de la Puna Project(FS段階)

   Pastos Grandes 塩湖のリチウム塩水からのリチウム (上記と同じ)

   JV:Lithium Argentina 65%、 Ganfeng Lithium (贛鋒鋰業)35%

なお、同地ではGanfeng Lithium (贛鋒鋰業)が別の事業も行っている。

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