トランプ大統領の相互関税と議会の権限

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トランプ大統領が相互関税を発表した。(直後に中国を除き90日間の停止を発表したが)

従来の特定国向けや、多数の国の場合も余り大きくない追加・変更とは異なり、全世界に多額の関税を課すものである。実現すれば多額の歳入になる。

「今こそ私たちが繁栄し、(米国民が支払う)税金を減らす時だ。本日の行動で我々は米国を再び偉大にできる」。トランプ大統領は4月2日、大規模関税の導入を誇らしげに語った。


合衆国憲法第1条第8節では、「連邦議会は、つぎの権限を有する。合衆国の債務を弁済し、共同の防衛および一般の福祉に備えるために、租税、関税、輸入税および消費税を賦課し、徴収する権限」と定められている。


大統領による(議会決定を経ない)相互関税の導入は憲法との関係でどうなのか?  Chat GPTに聞いた。答えは次の通り。


結論から言うと:

トランプ大統領が相互関税を発表したとしても、それ自体が憲法違反とは言い切れません。なぜなら、大統領は議会から通商政策の一部権限を委任されているからです。


背景:米国憲法における税と歳入の権限

アメリカ合衆国憲法第1条第8節では、**「関税を含む税の賦課および歳出の決定権限は議会(主に下院)にある」**と定められています。

つまり、原則として大統領が勝手に関税を操作することはできません。

しかし、現実はどうなっているか?

実際には、議会はさまざまな法律を通じて、大統領に「通商政策」の一部権限を委任しています。

たとえば:

  • 通商拡大法(Trade Expansion Act of 1962)

    • セクション232では、「国家安全保障上の理由」で輸入制限(関税含む)を大統領が発動できるとしています。

  • 通商法(Trade Act of 1974)

    • セクション301では、不公正な貿易慣行に対する制裁措置として関税を課す権限を大統領に認めています。

これらの法律に基づき、トランプ政権は鉄鋼・アルミニウム・中国製品などに関税をかけてきました。


「相互関税(reciprocal tariffs)」はどうなのか?

トランプ大統領が打ち出した「相互関税」というアイデアは、「他国が米国製品に高い関税をかけるなら、米国も同等の関税をかけるべきだ」という考え方です。

これを実現するには:

  1. 既存の法律の範囲内で関税を操作する(セクション232や301の利用)

  2. 新たな立法措置(議会の承認)を得る

という2通りのアプローチがあります。


憲法違反になる可能性は?

もし大統領が議会の承認や法的根拠なしに大幅な関税を課したり、それによって歳入を大きく左右するような政策を勝手に実施した場合、それは憲法違反となる可能性があります

ただし、現在のところは、トランプ氏の行動は既存の法律に基づくものであったため、違憲とまでは判断されていません


補足:このような権限委譲は問題では?

実はこれを問題視する声もあります。いわゆる「非授権委任(nondelegation doctrine)」という憲法理論に基づいて、大統領への過剰な権限移譲は違憲だとする議論も存在します。最高裁でも最近この点が議論されるようになってきています。



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