トランプ米政権が発足して20日で3カ月。トランプ大統領は世界各国からの輸入品に対して「相互関税」を課した。高関税を武器に対米貿易黒字の解消や防衛費拡大を求め、各国は対抗か譲歩かの決断を迫られる。不確実性は前例のない水準に高まった。
米ノースウェスタン大のスコット・ベーカー准教授らが新聞記事などから算出する「貿易政策不確実性指数」は3月に5735に跳ね上がった。大統領選直前だった2024年10月の29倍、第1次政権で過去最高を更新した2019年8月の3倍である。
トランプ政権の猫の目の関税政策が経済の先行きを極めて不透明にしていることを映す。
TPU指数は、企業や投資家が貿易政策の今後の方向性にどれだけ不透明感を持っているかを測るもので、たとえば、関税の変更、自由貿易協定の破棄・締結、輸出入制限などのニュースが増えると、「不確実性」が高まるとされている。
TPU指数は、以下のようなステップで計算される。
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新聞記事の収集
一般的には、主要新聞(たとえばアメリカなら Wall Street Journal, New York Times など)の記事を対象とする。
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キーワード検索
「不確実性(uncertainty)」に関連する語と、「貿易(trade)」や「関税(tariff)」「輸出入(exports/imports)」などの貿易関連語が含まれる記事を抽出する。
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割合の計算
特定の月や四半期において、全記事のうち上記の条件を満たす記事の割合を計算する。
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指数化
得られた割合を基準年などに合わせてスケーリングし、指数化する(たとえば基準年=100とするなど)。
これは、「経済政策不確実性指数(EPU: Economic Policy Uncertainty Index)」の貿易政策版である。
『経済政策不確実性指数』とは、政策の影響による経済の先行きの不確実性を示す指標で、米スタンフォード大学の教授らによって開発され、経済政策の不確実性に関する新聞報道の定量化、先行きに控える税制変更の数、エコノミストによる経済予想の不一致度合いの3要素で構成されている。
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