アスベスト訴訟では、一連の訴訟で最高裁が2021年に国とメーカーの賠償責任を認める統一判断を示した。
2021/5/19 最高裁、建設アスベスト訴訟で 国と企業の責任認める
国は1人最大1300万円の和解金を支払うことなどで基本合意した。
2021/12/18 建設アスベストで国と和解成立 最高裁で初
また、国家賠償請求訴訟を起こしていない被害者らを補償する「給付金制度」に関する新法が、2021年6月9日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。
2021/6/11 建設アスベスト給付金法が成立
一方で、メーカー側の賠償範囲や金額を決めるための訴訟が続いている。
今回、8月7日に東京高裁で、翌8月8日に大阪高裁でメーカーとの和解が成立した。
建材用アスベスト(石綿)で健康被害を受けたとして、元建設労働者らが建材メーカーに損害賠償を求めた二つの訴訟で、東京高裁で8月7日、メーカー7社が原告計302人に40億円超を支払う内容で和解が成立した。
注)報道によっては、「400人に対し52億円」と伝えられているが、原告数約400人のうち、実際に賠償金を受け取る対象は302人で、金額は40億円超とみられる。
このほかの原告46人は、和解金は受け取れないものの、メーカーから弔意や見舞いの意を表明されることで和解を受け入れた。
原告弁護団によると、全国で起こされた同種訴訟33件(原告計約1450人)で最大規模の和解となる。和解したのは2008~2014年に東京地裁に提訴した集団訴訟の原告ら。
和解条項では、訴えられた建材メーカーの中で市場占有率の高い7社が賠償責任を負うこととなった。
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関西の建設作業員や遺族ら133人が建材メーカーに賠償を求めていた裁判について、8月8日、大阪高裁で和解が成立した。
和解が成立したのは、このうち元建設作業員や遺族ら115人の作業員・遺族と建材メーカー12社。
国と和解が成立したあとの2023年に1審の大阪地裁は12社に賠償を命じたが、原告と被告のいずれも控訴して審理が続いていた。
弁護団によると、本年2月に大阪高裁から和解案が提示され、今回、双方が合意して和解が成立した。
和解条項には、
▼1審で賠償を命じられた12社が、原告の8割余りにあたる115人にあわせて12億4600万円余りの解決金を支払うことや、
▼被告となったすべての会社が、元作業員に哀悼とお見舞いの意を表明すること
などが盛り込まれた。
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