被告の県と新潟市は、原告の症状が水俣病に典型的な感覚障害に当たらないと主張したが、この日の判決は、非典型的な症状の認定患者も一定数存在するとし、被告側の主張を否定。「メチル水銀への曝露と症候との因果関係を検討した結果、いずれも水俣病であると判断した」と結論づけた。
新潟水俣病を巡っては、東京高裁が2017年、第1次行政認定訴訟の判決で、原告全員の認定を新潟市に命じ、新潟市が上告せず、確定している。この枠組みが維持された。
2017/11/30 東京高裁、新潟水俣病で提訴の9人全員の認定命じる判決
第2次訴訟は2019年2月に提起。原告は、新潟市や阿賀野市に住む60〜70代の男女5人と年齢・性別非公表の1人。さらに他の1人は21年に90代で亡くなって家族が訴訟を引き継いでおり、残る1人は25年12月に70代で死亡した。
医師に水俣病と診断され、2013〜15年に県や新潟市に公害健康被害補償法(公健法)に基づく水俣病認定を求めたが、2017〜20年に棄却されていた。
これまでの裁判で原告側は、感覚障害などの症状があることから水俣病だと主張。阿賀野川流域で取れたメチル水銀に汚染された魚介を多食していたなどと訴えてきた。一方、被告側は当時の多食に関する客観的資料がないことや、別の病気である可能性などを指摘し、水俣病ではないと主張してきた。
水俣病の認定審査は長年、主要症状である手足のしびれなどの感覚障害と、ほかの症状との組み合わせを原則とする国の基準で判断されてきた。2013年に最高裁判決がこれを事実上否定し、感覚障害のみの原告を水俣病と認定。高裁判決ではこの判断が踏襲され、感覚障害での認定が実現した。
県と新潟市は川魚を多食したことを示す証拠が乏しく、他の疾患の可能性があることなどを指摘した。
環境省が2014年に出した通知では、最高裁判決を踏まえて感覚障害のみでも認定可能としたが、症状との因果関係を総合的に検討するため、魚介類の入手方法など資料による裏付けを求めた。
水俣病公式確認から5月で70年、新潟水俣病確認から60年以上がたち、川魚の多食を裏付ける客観的資料は限られる。
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