「no」と一致するもの

2月19日のニューヨーク市場でWTI 原油価格が一時100.10ドル/バレルで過去最高値を更新、終値も100.01ドルで過去最高となった。
前日18日は米国では大統領の日で休日で、先週末の終値は95.5ドルだった。
これまでの最高は本年1月3日の100.09ドル、終値は同1月2日の99.62ドル。

OPECが35日に総会を開くが、減産を決めるのではないかとの懸念が出たのが主な理由。イランのNozari石油相が17日に、「OPECは通常3月に減産する。需要の動向や備蓄量を調べる必要がある」と述べたと伝えられた。

このほか、ベネズエラの石油国営化を巡ってのエクソンモービルとの争いでベネズエラが同社への原油出荷を凍結したこと、米テキサス州で起こった製油所の事故などから供給懸念が強まった。

ベネズエラは石油の国有化を決め、各石油会社は国営石油会社 PDVSAと条件交渉を行なった。
ChevronTotalBPStatoilHydroPDVSAの条件を呑み、Minority partner として操業を続けることとした。

しかし、ConocoPhillips Exxon Mobil はこれを拒否し、争ってきた。(ConocoPhillips は最近、合意に近づいたとしている)

Exxon Mobil 油田国有化で損害を被ったとして補償を求めて訴訟を行い、米欧の裁判所は同国が支払いに応じなかった場合に備え、PDVSAが海外に保有する資産を差し押さえる命令を下した。
米ニューヨーク連邦地裁は3億ドルの現金、英裁判所は120億ドルまでの資産の差し押さえを命じた。

今後、国際調停に入るが、不調に終わった場合、Exxon Mobil 差し押さえ資産を処分し、現金を回収できる。
但し、ベネズエラによると英国には資産はなく、問題になるのは米国の3億ドルの現金だけとしている。

これに反発してベネズエラのChavez 大統領は2月10日、Exxon Mobil が差し押さえた場合、「経済戦争」で米国への原油供給をカットすると警告、12日にPDVSAExxon Mobil への原油販売を止め、同社との関係を一時中断したと発表した。

ベネズエラは米国の原油輸入の約12%を占めており、カナダ、サウジアラビア、メキシコに次ぐ第4位となっている。

なお、東京市場でも原油、ナフサとも過去最高値に近づいている。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。 

カナダの石油化学会社 Petromont 212日、QuebecVarennes Montreal での生産を430日から無期限に停止すると発表した。

石化原料を競争力ある価格で入手するのが慢性的に難しくなったことやカナダドル高を理由に挙げている。
同社は、「これらの要素は収益性に大きな影響を与えており、北米の石油化学全般にこのような不利な状況があることを勘案すれば、操業を停止するしかない」としている。

Petromont  Dow Chemical Canada Quebec 州政府の子会Ethylec Inc. 50/50 Limited Partnership で、1980年に設立された。
Montreal地区のVarennes 工場でエチレン297千トン、Montreal 工場でHDPE 278 千トンを生産する。
従業員は
325名、年間売上高は750百万ドル。

Steam Cracker ではいろいろの原料を使用可能で、原料により、エチレン以外にいろいろな製品(プロピレン、Mixed C4、水素、ペンテン、燃料油、アセチレン、その他)を生産できる。
HDPEは北米市場で販売している。

カナダドルは20073月には 0.85米ドルであったが、200711月には1.08米ドルのピークとなり、現在では丁度 1.00米ドルとなっている。
Petromont にとり、米国向けの製品売価が15% 下がることを意味する。 

工場は、原料状況が好転したり、工場の買い手が出てくる場合に備えて、動かせる状態で維持するとしている。

なお、親会社のダウは2007124日に「合理化策」を発表したが、Petromont については長期的にみて採算悪化の見通しを理由に持分の消却を実施するとしている。

   2007/12/8  ダウ、合理化策を発表 

 

Montreal 地区では、2007年10月Ineos Nova PSプラント(55千トン)を年末に停止すると発表している。

ーーー

2006年2月15日にスタートした本ブログは3年目に入りました。

   2006/2/15 プラスチック100周年 


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

 

サントリーと100%子会社のAustralia Florigene が世界で初めて開発に成功した「青いバラ」(写真は同社発表から)が、2008年1月31日付で、カルタヘナ法に基づく第一種使用規定(切り花の用に供するための使用、栽培、保管、運搬及び廃棄等)の承認を得た。
同社では生産・販売体制を整え、2009年から発売する予定。

植物の色は含まれる色素の働きによるもので、色素には
 フラボノイド(
アントシアニン、フラボン、フラボノール、カルコン、オーロンなどの総称:白・黄・橙・赤・紫・青など)、
 ベタレイン(
ベタシアニン:赤から紫色、ベタキサンチン:黄色)、
 
カロチノイド(カロチンとキサントフィル:黄・橙)、
 クロロフィル(
葉緑素:緑
の4種類がある。

青色に見せる働きをするものは、フラボノイドの一種のアントシアニンで、その中でも特に重要な青色の色素が「デルフィニジン」。

バラにはもともとこのデルフィニジンが含まれておらず、このことから "Blue rose" は英語で "impossible" を意味した。

ーーー

サントリーは1990年に花の品種改良などを手がける豪州のバイオベンチャーのCalgene Pacific Pty Ltd.と共同で青いバラの開発を始めた。

Calgene Pacific 1994年にオランダの Florigene B.V.の資産を買収し、社名をFlorigene に改称した。
サントリーは2003年12月、Florigene を買収し、100%子会社とした。

開発は次の2つのポイントを試行錯誤しながら行なわれた。
 ・青色遺伝子の取得
 ・バラに遺伝子を導入して遺伝子組換えバラを作製する方法の開発

1991年ペチュニアから青色遺伝子を取得し、特許出願した。

1995年にこれを組み込んで、世界で初めての青色カーネーションが誕生した(1997年より発売)が、バラでは失敗した。

1996年にパンジーの青色遺伝子を入れたバラで研究を開始、1998年~1999年頃にはやや青みを帯びたバラを得ることに成功、デルフィニジンが100%近く蓄積する工夫を行い、2004年、ついに青いバラの誕生に至った。

ーーー

カルタヘナ法は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の別称で、2004年2月19日から施行されている。

(目的)
第一条 この法律は、国際的に協力して生物の多様性の確保を図るため、遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講ずることにより生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の的確かつ円滑な実施を確保し、もって人類の福祉に貢献するとともに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

カルタヘナ議定書(Cartagena Protocol on Biosafety):
現代のバイオテクノロジーにより改変された生物(Living Modified Organism)が生物の多様性の保全及び持続可能な利用に及ぼす可能性のある悪影響を防止するための措置を規定しており、生物の多様性に関する条約第19条3に基づく交渉において作成されたもの

この法律では、遺伝子組み換え生物等の使用等に先立ち、その使用形態に応じた対処の仕方(交雑防止措置など)を実施することを規定している。

遺伝子組み換え生物等の輸入・輸出、栽培、飼養、販売等にあたり、その開発者や輸入者などは手続きを行なったうえで主務大臣の承認を受ける義務が定められている。

「第一種使用」とは、一般ほ場での栽培や食品原料としての流通等の「環境中への拡散を防止しないで行う」使用のこと。

「第二種使用」は実験室内での研究等の「環境中への拡散を防止する意図をもって行う使用」で、拡散防止措置が必要とされる。

 


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

米国エネルギー省のアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)は25日、画期的なエチレン製法を開発したと発表した。

高温の水素透過膜でエタンから水素を取り除きエチレンをつくるという方法で、「これまでのように高コストで無駄の多い、公害物質を放出する製法とは異なり、クリーンでエネルギー効率のより製法だ」としている。

新しい膜は水素だけを通すため、エタンは空気中の酸素や窒素と接触せず、従来の熱分解法で発生するNOCO2CO等を発生しない。
また、絶えず熱の投入が必要な熱分解法と異なり、膜を通して出てきた水素が空気中の酸素と反応してエネルギーを発生させるため、反応に必要なエネルギーの投入が不要である。

更に、通常は C2H6(+heat)=C2H4+H2 の反応で、反応器内の組成が平衡に達すると(水素が平衡濃度に達すると)反応は進まないが、水素透過膜は生成した水素のみを透過させるので、反応式右辺の H2 が反応系から減少し(即ち平衡が破れ)、エタンのエチレン+水素への分解反応がどんどん進行する。発表文に以下の説明がある。

The membrane reactor thinks: Hey, I haven't reached equilibrium yet, let me take this reaction forward.

現在のところは実験でエチレンを生産しただけであるが、研究者は産業界と提携して商業的にこの膜を生産することを考えている。

この研究は6月にボストンで開催される 2008Clean Technology 会議で紹介される。

ーーー

アルゴンヌ国立研究所はシカゴ西方にあり、1946年に設立された米国で最初の国立研究所である。
元はシカゴ大学の冶金研究所で、1942年2月、ここで
Enrico Fermi などが世界で最初の核分裂連鎖反応を行なった。
戦後は核の平和利用に携わった。

現在の従業員は2,800人で、うち科学者とエンジニアは1,000人、そのうち博士号所有者は750人に達する。
年間予算は
530百万ドルで、200以上のプロジェクトを実施している。

研究は次の5つの分野に分かれている。

1) Basic science
 
  • Biosciences
  • Biodefense
  • Chemistry
  • High Energy Physics
  • Materials Science
  • Mathematics and Computer Science
  • Physics
2) Scientific facilities
3) Energy resources
4) Environmental management
5)

National Security

 

ーーー

一方、Dow Chemical 124日、“Methane Challenge” の研究助成金 640万ドルをCardiff University Northwestern University に与えると発表した。

Dow Chemical 20073月、メタンから直接エチレンやプロピレンなどを製造する研究の案を募集した。
商業的に採算の取れる技術を得る研究で、最初に合成ガスの生産が必要な、メタンからメタノールなどをつくる既存の間接法は対象とならない。

メタンは世界の多くの地域に存在するが、化学品や液体燃料にするのが難しく、Dow Chemical では広くアイディアを募集することとしたもの。

100件の提案のなかから、2つの大学の案が選定された。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。 

 

SABICの中国進出 - 化学業界の話題

SABICは1月31日、Sinopec との間で、50:50のJVを設立して天津にエチレン誘導品コンプレックスを建設する Heads of Agreement を締結したと発表した。同日、北京で両社の会長により調印された。

50:50JVは天津に年産60万トンのPEと
40万トンのエチレングリコールのコンプレックスを建設する。
原料のエチレンはSinopecの子会社の天津石油化学(下記)から供給を受ける。
総投資額は17億ドルで、2009年9月に完成の予定。

本計画はSABICにとって中国での最初のプロジェクトとなる。

天津石油化学は現在100万トンのエチレンプラントを天津市の大港地区で建設しているが、当初はSinopec/天津市/ダウのJV構想で、ダウの撤退後はサウジアラムコが提携候補に上がっていた。その後、
2005末にSinopecが単独で承認を得て建設している。

    2006/4/7 中国のエチレン合弁会社ー2 の5 

計画概要は以下の通り。(千トン)

既存能力  増設
Refinery   5,000  7,500
エチレン    200  1,000
LLDPE    120  
LDPE     300
EO     22  
MEG     48   420
HDPE/MDPE       300
PP     60   450

しかし、2006年1月のサウジのアブドゥッラー国王の最初の公式訪中を機に、SABICがSinopecとの交渉を再開した。

2007年5月、SABICとARAMCOのトップが上海でのフォーラムで、両社がそれぞれSinopecとJV交渉を進めていることを明らかにした。
いずれも間もなく発表されるとされ、本ブログでも新聞情報などをもとに、「SABICはSinopec天津の新しい100万トンエチレン計画に10億ドルを投資して参加する」とした。

    2007/5/29
SABICとARAMCOの中国進出 

今回の発表によれば、天津計画全体への参加ではなく、エチレン系誘導品への参加である。

ーーー

福建省泉州市ではサウジアラムコがSinopec やExxonMobil と組んで、石油精製と石油化学(エチレン80万トン)のコンプレックスを建設中である。

    2006/4/7 中国のエチレン合弁会社ー2 の4  


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

Dow Canada カナダのNGL会社Aux Sable Canada から、Heartland オフガス処理プラントからのエタン、エチレンを購入する契約を締結した。

Aux Sable Canada オイルサンドのビチュメンから生産する合成石油副生オフガスからエタン、エチレンを生産するカナダの最初の会社となる。
Heartland オフガス処理プラントはAlberta Fort Saskatchewan のDow Complex の北方で建設中で、原料オフガスはBA Energy Heartland Upgrader から供給される。
Upgrader ではアスファルト状のビチュメンから合成石油を生産する。 )

契約では供給されるエタン、エチレンは日量 8,000 バレルに達する。

両社は更に、ダウに原料を供給する将来のオフガス処理計画での戦略的提携契約を結んだ。Aux Sable が工場を建設し、ダウに独占的に供給する。

ダウでは、ダウのAlberta 工場にとってオイルサンドは手付かずの大規模原料ソースであり、石油化学の原料の長期的供給を確保したことになるとしている。

Aux Sable Enbridge Inc.Fort Chicago Energy PartnersWilliams Cos. JVで、米国にAux Sable Liquid Products、カナダにAux Sable Canada を持つ。Alliance Pipeline system の関連で設立され、同パイプラインのNGL を独占的に扱っている。

BA EnergyValue Creation企業グループ)は、Strathcona郡でHeartland Upgraderプロジェクトの建設を進めている。Upgrader3期に分けて建設され、各期とも日量 50千バレル、合計150千バレルのビチュメンを生産する予定。第1期は2008年スタート。
oil sands bitumen blend 260千バレル)

2010年の Upgrader 能力予想は以下の通り。(単位:日量 千バレル)

Suncor   550
Syncrude   500
Shell   300
Husky   150
OPTI    90
BA Energy    50
Northwest    50
Total  1,690

 

各社の立地は以下の通り。

以下、図はアルバータ州日本事務所 「カナダ・アルバータ州のオイルサンド」 から

ーーー

オイルサンドは、カナダ西部のアルバータ州の北方に位置する3地域に多く存在する、粘度質の黒いアスファルト状の炭化水素であるビチュメンと、砂・粘土の混合物である。
石油を含んだ油層が地殻変動で地表近くに移動し、地下水との接触や生化学反応によって揮発成分が失われたことによりできた石油資源とされ、埋蔵量はサウジアラビアの石油に相当するものと推定されている。

母岩が砂岩ではなく、堆積岩の一種の頁岩の場合にはオイルシェール(Oil Shaleと呼ばれる。オイルシェールはアメリカ合衆国西部、ブラジル、ロシアなどに分布する。


 

オイルサンドの採掘には露天掘りと油層内回収法の2つがある。
油層内回収法には、
Cyclic Steam StimulationCSS)法やSteam Assisted Gravity DrainageSAGD)法などがある。


アルバータ州はビチュメンからの総合コンビナート計画を作成している。 

 


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

ダウは129日、テキサス州フリーポートでクロルアルカリ設備の建設を開始すると発表した。
2011年のスタートを目指す。
同地の既存のプラントの多くは経済的な耐用年数に近づいており、今後3年間で順次停止する。
今回の投資はS&Bで、設備能力は差引減少する。

同社のAndrew N. Liveris 会長兼CEOは、「塩素はダウの機能製品事業の重要な原料で、ポリウレタン、エポキシ、特殊化学品、特殊プラスチック、農業化学品の将来の成長の鍵を担っている」と述べた。

同時にダウは、30年以上の需要家であるシンテックとのVCMの長期供給契約の更新を発表した。
(信越化学も30日に発表した。)
同会長はこれについて、「この供給契約は新投資の操業を保証するもので、JVの形はとっていないものの、シンテックはクロルアルカリ事業での戦略的パートナーである」としており、同社が石油化学事業で進めている
Asset-light 戦略の延長であるとしている。

     Asset-light 戦略については
       2007/2/3    
ダウ、PSとPP事業のJV化を検討
       2007/12/14 
速報 ダウとクウェートのPIC、グローバル石化JVを設立

Freeport の当局は昨年10月に新工場誘致のためダウに7年間の固定資産税免税の提案をしていた。

ーーー

ダウは2004年11月に、テキサス工場のEDCプラント1系列を2005年末までに停止し、VCMの生産も縮小すると発表した。
今後の設備の維持更新費が多額となるのに加え、エネルギー・原料価格の高騰に伴い、採算が合わなくなったためと説明した。
更に2006年8月には、カナダの電解、EDCプラント停止を発表している。27年間経過したプラントを今後長期間維持するためには多額の投資が必要で、現在の想定収益性ではこれを認められないのが理由。
これらの動きから、ダウがクロルアルカリ事業を重視しなくなったとみられた。

一方、シンテックはこれまで原料VCMを全量ダウに依存してきたが、現在ルイジアナ州で塩素45万トン、VCM75万トン、PVC60万トンの工場を建設中で、更に2007年5月には、テキサス州で電解工場(塩素50万トン)とVCM工場(825千トン)を建設する許可申請を同州環境庁に提出した。

       2007/6/1 シンテック、テキサス州にVCM工場の建設許可を申請 

これにより、両社の関係が薄まりつつあるとの見方がなされていた。

今回の動きは関係を再度強化するもので、シンテックのテキサス計画は延期されるのではないかとみられている。

なお、Freeport の当局はシンテックの計画に期待しており、本年1月初めにシンテックに対しても新工場建設に対して7年間の固定資産税免税を決めた。免税額は合計で13百万ドルに達する。

シンテックのルイジアナ州での塩素からの一貫増設の第一期 30万トンは、当初予定では2006年末の完成であったが、需要状況を勘案して1年遅らせ、昨年の中間発表時には本年2月の完成としていた。
今回の発表では本年5月完成予定としている。
(現在の需要の状況では難しいのではないか)

ーーー

ダウは昨年、中東と中国でのクロルアルカリの投資計画を発表している。

中東ではダウはサウジアラムコとの間で、サウジのラスタヌラに世界最大級の石油化学コンプレックスを建設する覚書を締結したが、これにはワールドスケールの電解設備と、VCM、ポリウレタン、エポキシレジンなどが含まれている。

       2007/5/15  アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設

中国では中国の国有石炭最大手・神華集団との間で、陜西省楡林市にワールドスケールのCoal-to-Chemicals コンプレックスを建設するための詳細FS実施の契約を締結した。
計画では "clean coal" technologies を使用し、石炭からメタノール、メタノールからエチレンとプロピレンを生産するが、電解設備も建設し、苛性ソーダ、VCM、有機塩素等を生産する。

       2007/5/21 ダウの海外進出  


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

1月29日の放送「リーダーは太陽であれ」を見た。
主人公は、サウジアラビアのペトロラービグ計画で奮闘する日揮の現場所長・高橋直夫氏。

NHKのPR:
世界最大の産油国・サウジアラビアで建設が進む、投資額 1兆円の巨大石油化学プラント「ペトロラービグ・プロジェクト」。敷地面積は18平方キロ。完成すれば、その規模は世界最大級のものとなる。その中枢部の建設現場の総責任者を務めるのが高橋直夫(56歳)。高専卒業後、日本のプラントエンジニアリング会社に入社後、海外の現場一筋35年のたたき上げで現場トップに上り詰めた、世界屈指のプラント建設のプロだ。100万点に及ぶ部品を、7000人がひとつひとつ組み上げる高橋の現場。トラブルは日常茶飯事。
次々とふりかかる難問に対して、高橋は瞬時に解決策をひねり出していく。サウジアラビアの建設現場に一か月密着。重いプレッシャーのなか、あらゆる手を尽くして仕事を完遂させようとする巨大プロジェクトのリーダーの流儀を描く。

 

「ペトロラービグ・プロジェクト」は住友化学とサウジアラムコの大規模石化プロジェクト。
    
2006/3/25 ペトロラービグ起工式  

日揮はこのうち、エタンクラッカー130万トン/年)と流動接触分解装置High Olefin FCC プロピレン90万トン/年)及び、これら設備に係る設計、機材調達および建設役務をランプサム(一括請負)契約している。

中東の石油化学計画の難しさがよく分かる。

 

再放送予定 2月5日(火) 午前1時5分
        2月5日(火) 午後4時5分


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

イスラエル最大の石油精製会Oil Refineries Ltd. 124日、同社が50%出資するCarmel Olefins Ltd.が欧州のPPメーカーのDomo Polypropylene BV 49%出資する契約に調印したと発表した。

Carmel Olefins は昨年11月に、欧州PPメーカーの49%を買収する覚書を締結したと述べたが、社名等は明らかにしていなかった。
同社は
20百万ユーロを支払うとともに、2013年から5年間、年に1百万ユーロを支払う。

Carmel Olefins については 2006/7/24 イスラエルのCarmel Olefins、戦闘激化で操業停止 参照
   

Oil Refineries Haifa に年900万トンの製油能力を持っている。
Carmel Olefins に50%出資するほか、100%子会社のGadiv Petrochemical Industries Ltd.香族、脂肪族の溶剤、無水フタル酸、その他を生産している。
このほか、電力と蒸気をHaifa
湾周辺の需要家に供給している。

Domo Polypropylene BV はベルギーのカーペットメーカーのDomo Group の子会社。

Domo Group Domo Industries でカーペットや人工芝生などを製造販売しているが、原料遡及に熱心で、1983年にGent でポリアミドの生産を開始したが、1994年に当時のLeuna-Werke AG 200511月にBASFが買収、20065月にBASF Leunaと改称)からカプロラクタム プラント(能力27千トン)とフェノールプラントを買収した。
その後、350百万ユーロを投じて、この設備の近代化と拡張を行い、カプロラクタム能力を100千トンにすると同時に、次の設備を新設した。 

    
Polyamide 6BCF-yarns、Sulphuric acid、Cumene
        H
ydroxyl ammonium sulphate、Cyclohexanone

更に、Domo Group 2001年、Basell からオランダのRozenburg にある年産 18万トンのPP プラントを買収し、Domo Polypropylene とした。
同工場の生産量の
1/3 Domo が自家消費している。

ーーー

今回の投資はCarmel Olefins の最初の海外への投資で、海外も含めて同社の事業を拡大していくという戦略に基づいている。

 


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

三菱レイヨンは1月24日、同社と米国子会社が米国で提起されていた、モディファイヤー(塩ビ樹脂強化剤=MBS)事業に関する集団民事訴訟について、原告に対して500万ドルの和解金を支払い、和解することで合意したと発表した。

2003年2月、欧州委員会の要請に基づき、米国司法省、カナダ競争局、日本の公正取引委員会は塩ビ樹脂強化剤の販売を巡る国際カルテルに関する同時調査に着手した。

9カ国の14社以上のメーカーに調査が入った。
Akzo NobelRohm and Haas などのほか、日本では三菱レイヨン、呉羽化学(現クレハ)、鐘淵化学(現 カネカ)に調査が入った。

この価格カルテル事件は、公取委が米国や欧州の独禁当局と審査着手前から連携して取り組んだ初めてのケースであった。
公取委は日米間の協力協定を1999年10月に締結しており、EUともこの後、2003年7月に締結した。

ーーー

日本での容疑は、三菱レイヨン、呉羽化学、鐘淵化学の3社が、
19991121日からの価格引き上げ
200012月前後からの価格引き上げ
を合意し、
この分野における競争を実質的に制限したというもの。

3社の当時のMBS事業は以下の通りであった。

鐘淵化学 高砂  35千トン  
カネカ・テキサス  50千トン 鐘化 100%
カネカ・ベルギー  51千トン 鐘化 90%、三井物産 10%
カネカ・マレーシア  15千トン 鐘化 100%
呉羽化学  13千トン  
Kureha Chemicals (Singapore)  30千トン 呉羽 75%、R&H 25%
Rohm and Haas (Scotland)  55千トン 呉羽 25%、R&H 75%
三菱レイヨン 大竹  25千トン  
Metco North America  26千トン) (三レ/Atofina 50/50)*
Metablen Company B.V.(蘭)  ( 13.5千トン) (三レ/Atofina 50/50)*

     * 三菱レイヨンとAtofina のJVは、2002/5に合弁解消、Atofina 100% になった。

呉羽化学は「選択と集中」の観点に立ち、同事業からの撤退を決定し、2003年1月1日にこの事業を提携先のRohm & Haas に譲渡している。呉羽は1981年にMBS技術をRohm and Haas に供与し、その後、協力関係を深めていた。

1. 呉羽化学はプラスチック添加剤事業の全世界営業権をR&Hへ譲渡
 
対象:
    ①MBS系プラスチック改質剤
    ②アクリル系耐候性強化剤、加工助剤
   
2. 両社のMBS製造のJVで、呉羽75%出資Kureha Chemicals (Singapore) 、同25%出資のRohm and Haas (Scotland) Rohm and Haas 100% とする。
   
3. 日本国内では、呉羽が錦工場において製造を継続し、Rohm and Haas に供給する。

ーーー

2003年12月11日、公正取引委員会は、三菱レイヨンと鐘淵化学に対し、排除勧告を行なった。
(呉羽化学は既に事業を譲渡しているため、排除勧告は不要)

両社はこれに応諾せず、公取委は2004年2月に審判開始の決定を行なった。
この審判はまだ続いている。

呉羽化学に対しては、公取委は2005年7月、2億6,849万円の課徴金納付命令を出した。
しかし、同社は、事実関係を含めて、公取委の判断との間に看過できない相違があるとして、審判手続の開始を請求、この審判もまだ続いている。

ーーー

米国においては、米国司法省は、モディファイヤーの販売に関して、価格カルテル、独禁法違反の容疑で3社の米国子会社に対する刑事調査を行ったが、20064に容疑なしとして不起訴となり終了した。

(欧州委員会による調査も2007年1月に終了した。)

しかし、米国のMBSの購入者から、価格維持等の米国独占禁止法に違反する行為により損害を被ったとの主張で、3社の子会社に対してそれぞれ損害賠償請求訴訟(民事集団訴訟)が提起された。

・クレハは2005年11月、原告団に対して500万ドル(約565 百万円)の和解金を支払うとの内容で、原告団と和解した。

・カネカは2007年4月、原告に対して590万ドル(約7億円)の和解金を支払うとの内容で、原告と和解合意した。

・三菱レイヨンは上記の通り、本年1月に
原告に対して500万ドルの和解金を支払い、和解することで合意した。

各社とも、違法な行為は一切存在せず、原告の主張には根拠がないとしながら、今後の訴訟遂行に要する費用、関係者が負担する時間やエネルギー、それらの事業活動への影響等を総合的に考慮した結果、和解が最善であるとの判断に至ったとしている。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

最近のコメント

月別 アーカイブ