米国の2025会計年度(2024年10月~2025年9月)の予算決議案の審議

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米上院は2月21日、既に半年が経過している2025会計年度(2024年10月~2025年9月)予算決議案を52対48で可決した。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 52 52
反対 1 45 2 48
合計 53 45 2 100

予算決議案は、予算枠の全体像を示すもので、ここで定められた枠を基に各歳出法案が策定される。

今回可決した予算決議では、政権が重視するテーマのうち、トランプ減税を除いたもので、国境措置の強化、国防費の増額、エネルギー生産の強化に対応する費用を盛り込んでおり、国境措置の強化として今後10年間で1,750億ドル、国防費の増額として同1,500億ドルを充てている。トランプ減税の延長減税措置に関しては、2026年度予算の審議過程で議論し取りまとめる。

トランプ政権1期目の2017年に成立した個人・法人減税措置(トランプ減税)は12月31日に期限切れとなり、大統領はその延長を公約としてきた。

共和党は野党民主党によるフィリバスター(議事妨害)を回避するため、財政調整措置を採用している。
この措置はかつてオバマ元大統領と民主党が医療保険制度改革法(オバマケア)を成立させるのに採用した。バイデン前大統領もインフレ抑制法(IRA)の成立に用いた。

債務上限や歳出に関する法案は、フィリバスターを回避して過半数で可決することが可能となる。1歳出年度に1度しか利用できない、上下院で同一の法案を審議しなければならないなど、幾つかの制約がある。

この後、各委員会がこれに基づき財政調整法案を策定し、予算委員会でまとめられ、一つの包括的な法案として議会で審議され、両院で可決することが必要である。



下院は2月25日、トランプ政権が重視する国境措置や減税措置の延長などに必要な費用を盛り込んだ2025会計年度予算決議案を217対215で可決した。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 217 217
反対 1 214 215
棄権 1 1

再計

218 215 433 2

内容は、(1)1兆5,000億ドルの歳出削減、(2)4兆ドルの債務上限引き上げ、(3)4兆5,000億ドルの減税措置の拡大、(4)3,000億ドルの国境対策・国防費の増額を1本で実現することを狙ったもので、上院が可決済みの予算決議案とは異なる内容になっている。

共和党の財政保守派1人が反対票を投じた。民主党から賛成に回った議員はおらず、1人は投票しなかった。

下院の決議案については、歳出削減規模が不足しているとの財政保守派からの批判や、低所得者向け医療保険メディケイドの削減につながり得るとの穏健派の懸念など、共和党内部でも投票直前まで反対の声があがっていたが、トランプ大統領が反対派の議員を個別に説得した結果、離反は1票に抑えられた。

予算決議案に盛り込まれている歳出削減の具体策については議論が先送りされたかたちで、メディケイドの扱いなどの懸案に関しては、今後、決議案に基づいて法案を具体化していく過程でさらなる調整が進められる。

下院で予算決議案が採択されたことを受け、今後は2025年度予算における財政調整措置の活用に向けて、上下院で決議案の一本化に向けて調整していくことになる。

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