「no」と一致するもの


三菱レイヨン(三菱ケミカルホールディングスの一員)と三井物産は6月16日、米国でMMAモノマー製造・販売事業を行う合弁会社の設立に向け、覚書を締結した と発表した。

また、両社はDow Chemical との間で、DowからJVへの原料エチレン供給、JVからDowへのMMAモノマー販売の基本骨子の覚書を締結した。

計画概要は以下の通り。

・JVは三菱レイヨンが過半の出資を行う。
・三菱レイヨン子会社のLuciteが開発した新エチレン法(アルファ法)を採用
・工場立地は未定
・能力 年産25万トン
・生産開始 2018年末
・原料エチレンはDowが米国湾岸地区に展開するエチレン製造供給網から三井物産を経て購入
・製品の一部をDowに供給

三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長はかねてより、米国のシェールガス革命による産業界の活性化を挙げ、米国での事業も検討したいとしていた。
また、同社はMMA事業について、グローバルオペレーションの確立と競争力強化を目標としており、上海での増設、サウジ計画に次ぎ、米国立地を検討していた。

三井物産は2010年12月にDow Chemical との間で折半出資でDow-Mitsui Chlor-Alkali LLCを設立、本年からテキサス州フリーポートで電解事業を行う。
三菱ケミカルとしては、三井物産とDow の関係を考慮し、三井物産を加えたと見られる。

Dowはシェール革命を背景に、2011年4月に、エチレンとプロピレンの能力増強を発表した。

エチレン
 ・停止していたルイジアナ州St. Charles のエチレンクラッカーを2012年末までに再開
 ・ルイジアナ州Plaquemineのエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2014年)
 ・テキサス州のエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2016年)
 ・メキシコ湾岸に新しいワールドスケールのエチレン設備の建設(2017年)

プロピレン
 ・テキサス州に新しいワールドスケールのプロピレン製造設備の建設(2015年スタート)
 ・自社の新技術を使って、プロパンからプロピレンを製造する計画の検討(2018年製造開始)

 2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表

なお、Dowは2009年4月にRohm & Haasの買収を完了したが、Rohm & HaasはMMAモノマーのメーカーであり、米国でも現在、三菱レイヨンと競合している。
JVの製品を一部購入し、供給不足を補うのではないかと思われる。

以下、各社の状況。

三菱レイヨン

2009年5月に英国Lucite International Group Limitedを経営統合した。

Lucite の前身はICIMMA事業で、ICI1934年に世界で初めてMMAの商業生産を行なった。
ICI1993年にDuPont MMA事業をナイロン事業との交換で取得した。

ICI1997年に事業の転換を決定、既存事業を次々に売却した。
MMA会社は当初 Ineos Acrylics として発足したが、その後2002年に、現在のLucite International に改称した。

MMAの生産方法は昔からのACH法(アセトン+青酸)、日本メーカーの開発した直酸法(イソブチレン+メタノール)が中心だが、Lucite はエチレンを原料とするAlpha technology を開発した。

現在の事業は以下の通り。

社名 立地 千トン 製法 備考
日本 三菱レイヨン 大竹 217 直酸法 110
ACH法 107
 
台湾 Kaohsiung Monomer 高雄 100 ACH法 Lucite (ICI) / CPDC 
韓国 大山MMA 大山 90 直酸法 湖南石化50%、三菱レイヨン50%
麗水 98
タイ Thai MMA Map-Tha-Phut 180 直酸法 三菱レイヨン50.01%/
SCGケミカルズ 46%/その他 3.99%
中国 恵州恵菱化成 恵州市 90 直酸法 三菱レイヨン100%
Lucite China 上海市 100
(+82)
ACH法 Lucite 
2015年1Q 増設・合理化82千トン
シンガポール Lucite Singapore Jurong Island 120 アルファ法
(エチレン法)
2005/6(買収前)
Lucite と三菱レイヨンが提携契約
英国

Lucite

Cassel, Billingham 210 ACH法 Lucite (ICI)
米国 Lucite Memphis, Tennessee 180 ACH法 Lucite (ICI)
Beaumont, Texas 156 アルファ法
(エチレン法)
2005/6(買収前)
Lucite と三菱レイヨンが提携契約
三菱レイヨンが建設の予定であった。
以下、計画
サウジ Saudi Methacrylates Company Al-Jubail 250 アルファ法
(エチレン法)
三菱レイヨン 50% / SABIC 50% 
米国 未定 未定 250 アルファ法
(エチレン法)
三菱レイヨン / 三井物産


三井物産

2010年12月にDow Chemical との間で折半出資でDow-Mitsui Chlor-Alkali LLCを設立

社名:Dow-Mitsui Chlor-Alkali LLC
能力:苛性ソーダ約88万トン、塩素約80万トン
操業:Dow
操業開始:2014年初め
製品:折半引取り
    三井物産は塩素はDowに委託してEDCにし、アジアで販売、
    苛性ソーダはDowを通じて米国で販売

2010/7/2 三井物産とダウ、合弁でテキサスで電解事業 

Dow Chemical

Dowは2009年4月1日、Rohm & HaasR&H)の買収を完了したと発表した。

2009/4/3 ダウ、Rohm & Haas の買収を完了

Rohm & Haas はMMAポリマー事業についてはAtofinaとのJVの持分を売却したが、MMAモノマーについては事業を継続している。

Deer Park, Texas にACH法 年産 475千トンのプラントを持つ。




明治ホールディングスは6月11日、傘下の製薬会社Meiji Seika ファルマがインドの製薬会社メドライク(Medreich Limited) の全株式を2億9000万ドルで取得し、完全子会社化すると発表した。
規制当局の許認可を得て年内にも買収手続きを完了させたい考え。

Medreichの株主はMed Holdings(UK)、Nokha Holding、V-Sciences等である。
Medreichの創業者がMed Holdings(UK)、Nokha Holdingを通じ、またシンガポールのTemasekの子会社Temasek Life Sciences Laboratory がV-Sciencesを通じて出資している。

Medreichはインドを生産拠点として、医薬品製剤の受託製造(CMO)・受託開発製造(CDMO)およびジェネリック医薬品の製造・販売を欧州、アジア、アフリカなどに向けてグローバルに展開している。

同社の医薬品製剤のCMO事業は、大手グローバル製薬企業を主要顧客としており、コスト効率の高さと品質レベルにおいて、高い評価を得ている。
2005年以降は、医薬品製剤のCDMO事業およびジェネリック医薬品事業に進出し、多くの医薬品製剤の開発・申請・承認取得実績を有するとともに、インド国内および世界各国へのジェネリック医薬品の輸出販売を展開している。

1994年 Smithkline Beechamからアフリカ向けのジェネリック医薬品の供給を受託、
                 同社から技術や規制対応の指導を受けた。
2000年 GSK、Pfizer、Sanofi に供給を開始
2005年 Temasek Life Sciences Laboratoryが出資
2009年 インド市場に参入

現在の主要事業パートナーは、GSK、Adcock Ingram、Pfizer、Sanofi、Mylan等 である。

2013年3月期の連結売上高は157百万ドル、経常利益は22百万ドル、当期利益は11百万ドルとなっている。

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明治ホールディングスは2009年4月1日に、明治製菓と明治乳業が設立した共同持株会社。

2011年4月に、明治グループ内事業再編により、
 食品事業を㈱明治、薬品事業をMeiji Seikaファルマ㈱とした。

 ㈱明治:食品事業(菓子、乳製品、健康栄養)
Meiji Seikaファルマ㈱:薬品事業
               医療用医薬品
               生物産業:農業用(除草剤、殺菌剤等)、動物薬(ペット用、畜産・水産用)

薬品事業は1946 年にペニシリンの開発を行って以来、60 年を超える歴史があり、ペニシリン製造を皮切りに1950 年に結核治療薬「ストレプトマイシン」を、1958 年には国内初の国際的医薬品として抗菌薬「カナマイシン」を発売した。
抗菌薬のトップメーカーとして自社独自の製造・開発技術を確立し、次々に優れた抗菌薬を提供してきた。

1906 明治製糖 設立   
1917   明治製糖が極東煉乳を設立
1924 明治製菓に改称  
1940   極東煉乳を明治乳業に改称
1946 ペニシリンの製造開始  
1950 抗菌薬「ストレプトマイシン」発売  
1958 抗菌薬「カナマイシン」発売  
2009 明治製菓・明治乳業が経営統合 共同持株会社「明治ホールディングス」設立
2011 事業再編 
 ・ ㈱明治
 ・ Meiji Seikaファルマ㈱


同社の長期経営指針「明治グループ2020ビジョン」において、Meiji Seikaファルマは、国際展開力を有する「スペシャリティ&ジェネリック・ファルマ」として、
・感染症・中枢神経系領域における新薬の研究開発・製造・販売
・高品質で安価なジェネリック医薬品の提供
・農薬・動物薬事業を通じて、
世界の人びとの健康と生活充実に貢献することをミッションとして掲げている。

そのなかで、医薬事業の持続的成長を図るべく、ジェネリック医薬品事業の一層の拡大とアジア・新興国を中心とした海外事業の積極拡大に取り組んでいる。

今回の買収により、下記の効果を狙う。

・低コスト生産かつ生産数量の拡大のためのインフラ獲得
・低価格薬剤の需要増加が見込まれるインドやアジア・アフリカ諸国におけるジェネリック医薬品の販売網拡大
・大手グローバル製薬企業との長年の取引をベースとしたCMO・CDMO事業の拡大
・これらを推進する人材の獲得



欧州委員会は6月11日、Apple、Starbucks、Fiat Finance and Trade 3社の法人税に関して、それぞれアイルランド、オランダ、ルクセンブルクの各国税務当局が下した判断について、本格的な調査を開始したことを明らかにした。

企業を対象とした調査ではなく、各国の税制が問題ないかどうかの調査である。

欧州委員会では、これら企業の税金が大幅減額になった可能性があるため、これら企業に対して適用する税制の優遇措置がEUで定めている「国の補助」の規則に違反していないか調べる。
EUでは加盟国政府や自治体などによる国内企業に対する補助・支援は、域内の他国企業との公正な競争を阻害してはならないとする規則がある。

欧州委は税務当局と個別企業との間の優遇措置などを規定した「税務取り決め」自体は問題ではないが、一部の企業に特別な利益を与えることにつながっていると懸念している。

欧州委のJoaquín Almunia 競争政策委員は「大手の多国籍企業は応分の納税をすることは非常に重要だ」と指摘、Algirdas Šemeta税制担当委員も「応分の納税は単一市場や財政の持続性、企業の公平な競争に欠かせない」と訴えた。

最終的にEUの規則に違反していると判断すれば、加盟国に対する制度の是正に加え、当該企業に追加納税を求める可能性もある。

これに対し、Appleはアイルランド当局から特別な措置を受けてはいないと表明、アイルランド政府も公的支援ルールに抵触していないと確信しているとコメントした。

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Appleに関しては、米上院の昨年の調査で、税務上の居住実績がないアイルランド法人を通じて何百億ドルの利益について課税を回避していたことが明らかになっている。

アップルは特許権の使用料などの名目で、アイルランドの子会社に世界各国で稼いだ利益の多くを移転。米本土の法人税率は35%だが、アイルランドは12.5%と低い。
さらにTax Havenとして有名なカリブ海の英領バージン諸島の子会社に利益を移し、納税を大幅に抑えている。
2011年には世界全体で342億ドルの利益を挙げたが、支払った税は10%未満の33億ドルにとどまる。

これにより、英国やフランスで税金の支払いがほぼ全面的に回避された。


New York Times (2012/4/28) はAppleなどの節税手口を 'Double Irish With a Dutch Sandwich' (アイルランド2社とオランダ社のサンドイッチ)と呼び、下図により説明している。

技術の権利

米本社とTax Havenの子会社との間で Cost-sharing agreementを結び、安い価格で権利をTax Haven子会社に移す。

米国需要家向け販売

米国での販売利益は通常35%の法人税が課されるが、多額のロイヤリティをアイルランド会社に払い、米国の税金を減らす。
アイルランド会社はロイヤリティ収益をバージン諸島の親会社に送ることでアイルランドでは免税となる。
バージン諸島はTax Havenのため、課税はない。

海外需要家向け販売

販売利益は第二のアイルランド会社で課税される筈だが、アイルランドとオランダの課税協定で、オランダ会社を通すことでアイルランドでは課税されない。

オランダ会社は販売利益を第一のアイルランド会社に送り、第一のアイルランド会社はこれをバージン諸島の親会社に送ることでアイルランドでは免税となる。
バージン諸島はTax Havenのため、課税はない。

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今回は問題となっていないが、Googleも同様である。

海外事業については権利(無形固定資産)をアイルランド子会社(バミューダで管理するためアイルランドでは非居住者となり法人税免除)に安い対価で移し、アイルランド会社が事業を行うが、ライセンス収入はオランダ子会社経由でアイルランドに移すことで源泉税を免れている。

Jeffrey Sachsの"The Price of Civilization"によれば、2006年に米国税庁(IRS) がGoogleと秘密協定を結び、この扱いを認めたという。

Starbucksは 英国で積極展開しているにもかかわらず、ほとんど納税していないとして批判が高まった。
同社は2012年の英議会調査に対し、オランダで非常に低い税率を享受する待遇を受けたと公表している。

Starbucksの欧州子会社のロイヤリティは欧州本部のアムステルダムのStarbucks Coffeeに支払われるが、これについてStarbucksはオランダ政府との間の交渉で税務上特別扱いすることになっている。

2012/12/14    スターバックスの移転価格税制問題

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2013年6月に北アイルランドで開かれたG8サミットは、首脳宣言に多国籍企業の税逃れを防ぐための国際協調などを盛り込んだ。

経済協力開発機構(OECD)と連携し、「多国籍企業がどこで利益を生み、税を払っているか」を把握する仕組み作りを進めることで合意した。

 



2013年12月にサウジの石油化学会社  Saudi International Petrochemical Company (通称 Sipchem) と Sahara Petrochemical Company の2社は両社の合併に向けMOUを締結した。2013年6月から交渉してきたもの。

SipchemがSahara株主に新株を発行し、SaharaがSipchemの子会社になるという計画である。

欧州と中国の石化需要が伸び悩むなか、SABICは米国での投資機会を狙っている。
両社は合併により、世界の石油化学産業での主導的地位を高め、
効率を高め、更なる成長に向け強固な基盤をつくることを目指した。

2014年上期には合併契約の調印を目指した。

サウジ政府のGeneral Retirement Organization とAl Zamil 一族のAl Zamil Holding Group がSipchem とSahara の大株主となっている。

しかし両社は6月8日、合併中止を発表した。
両社とも合併が株主にとり最善であるとしつつ、両社が親会社・子会社として存続しつつ、業務の統合を行うというやり方が現在の法律の枠内では難しいとの結論に達したとしている。

交渉は延期するが、将来、異なった仕組みを考える可能性はあるとする。

サウジのM&Aに関する規定は2007年に Capital Market Authority により導入された。
その後では上場会社の統合は2009年の食品グループのAlmarai によるHail Agriculture Development Companyの統合だけである。

中東では、大株主が利権を失うのを嫌がり、合併に反対することが多いとされる。

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Saudi International Petrochemical Company (Sipchem)   は1999年に設立された。

主要株主は下記の通りだが、2006年以降、Saudi Stock Marketに上場している。

  Zamil Group Holding Co.(サウジの投資会社)
  Ikarus Petrochemicals Holding Company (
Kuwait Stock Exchangeに上場、中東の石油化学に投資)
  Public Pension Agency
  Olayan Financial Co. Ltd.

Sahara PetrochemicalはZamil Group が中心になり設立、Saudi Stock Marketに上場している。

両社の株主のZamil Group は他にも石化事業を行っている。

サウジには他に、National Petrochemical Industrialisation Co. (通称 Tasnee Petrochemicals) があり、TasneeとSaharaは合弁のTasnee & Sahara Olefinsを持っている。

Tasneeの株主は以下の通り。

    National Industrialisation Company (NIC) 51% ワリード・ビン・タラール王子の投資持株会社が筆頭株主
    Gulf Investment Corporation (Bahrain, Kuwait, Oman, Qatar, Saudi Arabia, United Arab Emiratesの政府が均等出資) 
    
Saudi Pharmaceutical & Medical Appliances Co. (SPIMACO)
    National Industries Group (NIG), Kuwait,
    Al-Olayan Financing Co., Riyadh, Saudi Arabia


各社の事業は以下の通り。(能力:千トン)

1)Sipchem

社名 株主 製品 能力
International Methanol (IMC) Sipchem 65%
 Japan-Arabia Methanol 35%
メタノール  1,000
International Acetyl (IAC) Sipchem 76%
 Ikarus Petro 11%
 Helm Arania 10%
 政府 3%
酢酸            
無水酢酸     
460
50
International Vinyl Acetate (IVC) VAM              330
International Gases (IGC) Sipchem 72%
 National Power 25%
 政府 3%
CO               345
Sipchem Chemicals (SCC) Sipchem 95%
Sipchem Marketing 5%
酢酸エチル・ブチル  100
International Polymers (IPC) Sipchem 75%
 Hanwha Chem 25%
EVA/LDPE  
EVA film
200
Gulf Advanced Cable Insulation (GACI) Sipchem  50%
 Hanwha Chem 50%
架橋ポリエチレン   20
International Diol  (IDC) Sipchem 53.9%
 その他
無水マレイン酸
1,4ブタンジオール
その他
 

2) Sahara Petrochemical

社名 株主 製品 能力
AL WAHA Petrochemicals Sahara 75%
 Basell   25%
プロピレン
 (プロパン脱水素)
PP    
450

 450
SAHARA & Ma`aden Petrochemicals Sahara 50%
 Ma'aden 50%
(電解)ソーダ 
EDC 
250
300
Tasnee & Sahara Olefins
(T&S)
Sahara 32.55%
 Tasnee  60.45
 other  7%
   
  Saudi Ethylene & Polyethylene   T&S 75%
 Basell 25%
エチレン 
HDPE 
LDPE 
プロピレン
1,000
400
400
285
Saudi Acrylic Acid
(SAA)
T&S 65%
Sahara 22%
 Tasnee 13%
   
  Saudi Acrylic Monomer   SAA 75%
 Dow  25%
アクリル酸  250
Saudi Acrylic Polymer SAA 75%
 Evonik 25%
高吸水性樹脂 80
Saudi Butanol SAA 33%
 Saudi Kayan 33%
 Sadara 33%
n-ブタノール
iso-ブタノール
330
 11

  以上が統合案の対象であった。
 

3) Zamilの他の事業

社名 株主 製品 能力
Gulf Stabilizer Industries Zamil
 Chemtura
酸化防止剤 21
Arabian Amines Co. (Aminat) Zamil  50%
 Huntsman
アミン類 30
Saudi German Company
     For Non-woven Products
Zamil
 Al-Rajhi
PP Spun bond  
Bischof + Klein Middle East Zamil
 Bischof + Klein
flexible pacakging  
Al Tawfiq Plastic Co. for Plastic &
    Woven Sacks Industries
  PP woven sacks  

4) Tasnee

社名 株主 製品 能力
Tasnee & Sahara Olefins Company 上記
Saudi Polyolefins Co. (SPC) Tasnee 75%
 Basell 25%
プロピレン
PP
450
720
National Titanium Dioxide  (Cristal) Tasnee 66%
  Gulf Investment 33%
  一般投資家  1%
酸化チタン  
  未定   Tasnee    32.5%
 National Titanium Dioxide 32.5%
  東邦チタニウム 35.0%  
スポンジチタン  
Advanced Polyol Tasnee  50%
  Saudi Advanced Industries  50%
Polyether polyol 120
Clariant Masterbatches (Saudi Arabia) Tasnee  40%
  Clariant   60%
masterbatch  

 

 

 

 

生化学工業は2013年1月、腰椎椎間板ヘルニアを適応症とするSI-6603(一般名:コンドリアーゼ)について厚生労働省に製造販売承認申請を行ったと発表した。

同社は本年6月4日、日本における腰椎椎間板ヘルニアを対象とするコンドリアーゼの第Ⅲ相臨床試験結果を発表した。

163名の患者を対象として行われた多施設共同プラセボ対照二重盲検比較試験で、顕著な下肢痛の改善効果が認められた。
下肢痛が50%以上改善した症例の割合は72.0%で、身体的な機能障害および「生活の質」(QOL)の評価スコアの変化量も有意に大きく、機能障害およびQOL の改善が認められた。

試験責任研究者の北里大学北里研究所病院副院長は、「コンドリアーゼの下肢痛改善効果はヘルニア摘出術と同程度で、大きな副作用も生じずに忍容性も良好であった。保存療法無効の腰椎椎間板ヘルニア患者に対する有力な新規治療法となり得る」と述べ た。

腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の中心部分にある髄核や外側の線維輪の一部が突出することで脊椎周辺の神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす疾患である。



ヘルニア(hernia)とは、体内の臓器などが、
本来あるべき部位から脱出した状態を指す。

  鼠径ヘルニア=脱腸
  臍ヘルニア=でべそ

治療法には、手術をする方法と、保存療法(鎮痛剤薬、神経ブロック注射、温熱療法、牽引療法等)がある。
現在、腰椎椎間板ヘルニアについて根本治療となる薬物療法は他に存在しない。

コンドリアーゼは、髄核の構成成分であるグリコサミノグリカン(GAG:コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸等)を特異的に分解するコンドリアーゼという酵素を利用した注射薬で、椎間板内に直接投与することにより、GAGを分解して髄核を縮小させることで、神経への圧迫を減少させる効果が期待される。

タンパク質を分解しないため、血管や神経などの周辺組織に影響を与えないとされる。


ーーー

なお、椎間板ヘルニアや黄色靱帯(脊柱管の後方にある椎弓の間を結ぶ靱帯)が厚くなることで脊柱管を圧迫して狭くし(狭窄)、それによって脊柱管のなかの神経が圧迫を受けるのが脊柱管狭窄症である。

 


 

米国エネルギー省(DOE)は5月29日、FTA非締結国に対するLNG輸出承認手続きを変更する案を発表した。
45日のpublic review とコメントを経て、決定する。

米国ではNatural Gas Act of 1938 により、天然ガス輸出入にはエネルギー省の許可が必要とされており、輸出許可の判断基準には公共の利益に反するか否か、輸出先国で内国民待遇が与えられるかどうかがある。の公共の利益については、国内供給を脅かさないことと、自由競争を阻害しないことが要件となる。

LNG輸出設備の建設には環境法や諸規則で求められるレビュー(National Environmental Policy Act review:NEPA review) が必要であるが、DOEはこれまで、この完了を待たず仮承認を与えてきた。

これまでは申請順に審査して仮承認を与えており、これまでに6ヶ所7件(Freeport 追加を含む)が認められた。
このうち、日本向けは3ヵ所ある。

2014/3/27 米エネルギー省、西海岸からの非FTA締結国向けLNG輸出を承認 

今回、DOEは、環境面でのNEPA reviewが完了して後に初めて、申請を審査し、最終的に決定する案を提案した。

米国ではウクライナ情勢を受け、米同盟国がロシアの天然ガスに依存しなくても済むよう、WTO加盟国に政府の許可なしでLNG輸出を認めるなどの議論が出ていた。
現在のところ、24件が非FTA国向け輸出の承認を待っており、順位の一番はOregon LNGである。

2014/4/1 米国からの欧州向けLNG輸出 

ロシアを除く主要7カ国首脳会議(G7サミット)は6月5日、ブリュッセルで首脳宣言を採択して閉幕した。宣言はガス供給をロシアに依存する欧州を中心に、エネルギー調達先の多角化や消費の効率化に取り組む方針を明確にした。

具体策の一つが、新たなガス供給ルートの構築で、欧州には年約2000億立方メートル分のLNG受け入れ施設があり、フル稼働すればロシアからの輸入量(1600億立方フィート)を上回る。
オバマ米大統領もサミットに先立つ東欧歴訪で、米国産のシェールガスの欧州への輸出解禁に前向きな姿勢を示した。

しかし、今回の案が決まれば、DOEはNEPA reviewが完了するまでの仮承認の発行を中止する。
このため、
ロシアの天然ガスに依存する国にLNGを輸出することはかなり先になる。
 (いずれにせよ、NEPA reviewが完了してから建設を始めるため、DOEの承認があってもすぐには輸出は出来ない。)
 
 

変更の目的は、商業的に有利な計画を優先して効率を上げるとともに、公共の利益に合うかどうかの決定に際し完全な情報が得られるということである。


これまではFTA非締結国への輸出が認められるかどうか、分かってから、NEPA reviewをするのが効率的と考えてきたが、NEPA reviewを完了し、実際に建設されるのが確実な計画について承認するよう変更することで、計画が公共の利益に与える影響をより正確に評価することが出来る。
また市場への影響の判断において、より正確な累積承認数量をベースに評価を行うことが出来るようになる。

NEPA reviewの申請費用は最大1億ドルと され、DOEへの申請費用(約2万ドル)を大きく上回っているため、NEPA reviewを先行させることで、実現性の低いプロジェクトをふるいにかけられるとみ られている。


米国からのLNG輸出に終始反対しているDow Chemical は今回のDOEの手続き変更に賛成し、この変更が輸出ラッシュに歯止めをかけ、天然ガス価格の値上げと供給の不安定から米国の消費者を守ることになると述べた。

ーーー

DOEは2012年にLNG Export Studyを発表した。
ここでは日量 60億~120億ft3 の輸出を前提に検討した。

2012/12/7 米エネルギー省、LNG輸出に向けての報告書を発表

今回DOEは、米国が日量 120億~200億ft3 の輸出の場合に公共の利益にどう影響するかについて理解を得るため、経済分析を実施する。


DOEは同時に、2つの資料を発表した。

① 非定型天然ガスの関連情報
   
Draft Addendum To Environmental Review Documents Concerning Exports Of Natural Gas From The United States

② 温室効果ガス関連
   
Life Cycle Greenhouse Gas Perspective on Exporting Liquefied Natural Gas from USA


 

 

 

海西輝瑞製薬 (Hisun-Pfizer Pharmaceuticals) の浙江省富陽市の工場が5月29日、正式に生産を開始した。

同公司は2012年設立で、浙江海正薬業(Zhejiang Hisun Pharmaceuticals)とPfizer のJV。
海正薬業が51%、Pfizerが49%を出資する。

富陽市の生産基地には15億元(約244億円)が投入され、世界先端レベルの生産ラインが6本建設された。
製品は抗ガン剤、抗生物質、心臓血管薬、糖尿病治療薬、ホルモン剤、向精神薬、免疫抑制剤など多岐にわたり、年間生産能力は2千万ボトル、15億錠に達する。

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両社は2011年6月、ブランドジェネリック医薬品の開発・製造・販売のJV設立を目指し、MOUを締結した。

2012年2月には更に進め、以下の内容の枠組み契約を締結した。

社名は海西輝瑞製薬 (Hisun-Pfizer Pharmaceuticals) とし、海正薬業が51%、Pfizerが49%を出資する。
投資額は295百万ドル、資本金は250百万ドルとし、両社はJV設立後に、選択した既存製品、製造サイト、現金その他を拠出する。

2012年9月12日、両社はJVの設立を発表した。
多国籍企業の医薬会社と中国のトップ医薬品会社のJVで、高品質で手ごろな価格のブランドジェネティック医薬品を中国と世界の市場で供給することを狙うとしている。

JVは、海正薬業の製品網、販売網、ブランドジェネリック医薬品の製造販売経験と、Pfizerの世界でのR&D、品質管理技術、国際的な市場開発・販売能力を活用する。

Pfizerは、ブランドジェネリック医薬品を含む特許切れ医薬品は、世界の医薬品市場で急成長している分野の1つだと し、特に新興国市場では、コストとアクセスが特許切れ薬成長のけん引役となっており、中国では国内製薬市場の70%をブランド後発薬が占めると指摘した。

合弁会社の生産工場は浙江省富陽市に、管理センターと研究開発センターは上海と杭州にそれぞれ開設する。

Pfizerは、「合弁会社は、中国が続けている医療改革への Pfizerの信頼を示すもので、世界に通用する治療ソリューションを中国に広げる Pfizerの努力にとって重要な節目となる」と述べた。

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Pfizerはジェネリック医薬品にも力を入れている。

同社は特許期間が満了した「長期収載品」と「後発医薬品」を合わせてエスタブリッシュ医薬品(Established Products)と呼んでおり、従来から持つ長期収載品に加え、2011年よりPfizerブランドの後発医薬品を発売している。

Pfizer とMylanは2012年8月、日本における後発医薬品の開発、製造、流通、販売について、独占的な長期戦略的業務提携を締結したと発表した。

Pfizerは、これまで培ってきた強いブランド力と、日本市場への新薬導入の非常に優れた実績をもとに、両社の後発医薬品事業のポートフォリオの市場化、およびセールスとマーケティング業務を担当する。

Mylanは、研究開発、製造を含む技術分野を担い、同社がグローバル市場で培った、製品開発力、製造品質、サプライチェーンにおける信頼性、卓越したサービスの一層の強化に努める。

両社は2013年1月1日より後発医薬品事業の長期戦略的業務提携を開始した。

2012/8/31  Pfizer と Mylan、日本での後発医薬品事業で長期戦略的業務提携

 




Westlake Chemical は6月28日、投資会社のAdvent International からドイツを拠点とする塩ビメーカーVinnolit Holdings GmbH とその子会社を490百万ユーロで買収する契約を締結したと発表した。

Advent International は欧州の住宅建築のスローダウンで窓枠やドア材などの塩ビ製品の販売が停滞しているため、Vinnolit の売却先を探す努力を続けていた。

塩ビ業界での名門のSolvayが将来の撤退を前提にINEOSとの塩ビ事業統合を決めた。
  
2014/5/13 SolvayとINEOSの塩ビJV、EUが条件付でようやく承認 

TotalグループのArkemaは2012年7月に塩ビ事業をコモディティ製品に特化するKlesch Group に売却した。
  
2013/5/16  元Arkemaの塩ビ事業を巡る問題

 

Vinnolit はHoechst とWacker のJVであったが、2000年にAdvent International が買収した。
2007年にVinnolitはINEOSからペーストPVC(Emulsions-PVC)事業を買収、 英国のHillhouseとドイツのSchkopauのペーストPVC工場を取得するとともに、INEOSのイタリアのPorto Torres 工場で生産するペーストPVC全量の引取り権も得た。

現在、ドイツと英国に下記の6つの工場を持ち、能力は苛性ソーダが475千トン(100%)、VCMが665千トン、PVCが780千トンとなっている。
2013年の売上高は917百万ユーロで、従業員は約1400人。

立地 製品   原料VCMソース
ドイツ Cologne Microsuspension (paste) PVC
Suspension PVC
Wacker Chemie工場内 鉄道輸送
Knapsack 電解、EDC、VCM、
Suspension PVC
Hoechst 工場内 自製
Gendorf 電解、EDC、VCM、
Suspension PVC
Emulsion PVC
  自製
Burghausen Suspension PVC
Emulsion PVC
Wacker Chemie工場内 Gendorf からパイプ輸送
Schlopau Emulsions-PVC Dow ValuePark内
(旧INEOS)
Dowからローリー輸送
英国 Hillhouse Emulsions-PVC
Microsuspensions-PVC
(旧INEOS) INEOSのRuncornからローリー

Westlakeでは、買収により、クロルアルカリ事業をグローバルに展開することができるとともに、ペースト塩ビなどの特殊塩ビを製品群に加えることができるとしている。

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Westlake Chemicalは台湾でCGPCを設立した故 T.T. Chao が1986年に米国に進出、設立した。

現在の能力は以下の通りで、オレフィン事業(エチレン/PE/SM)とビニル事業(エチレン/塩素/VCM/PVC/塩ビパイプ)からなっている。
エチレン増強、電解増設により、エチレンと塩素の購入なしの一貫体制を目指す。

  能力
百万lbs

工場別

 



Lake Charles Calvert City Geismar
エチレン
          
3,430 2,740       拡張計画 +250
240 エタン原料 
  450   プロパンからエタンに変更し、能力を630にアップ
LDPE 2,480 1,500     Cities Serviceから買収、拡張 Eastmanから買収
 ー
LLDPE 980
SM 570 570     Mobil/Badger技術
塩素 1,250   550 700  
苛性ソーダ 1,375   605 770
VCM 1,850   1,300    
    550 Bordenから の買収プラントは停止
その後、VCM、PVC新設(PVC 2段階)
PVC

 

1,700     600
  1,100    2014年に  +200
   

BF Goodrich
から買収

Borden
から買収

 



SABICとLockheed Martin は5月15日、多方面の市場向けにカーボンナノ構造材料を開発するためサウジにJVを設立することに向けパートナーシップをつくると発表した。

両社はカーボンナノ構造材料とそれを浸出した製品の開発、工業化の確認、テスト、スケールアップ、製造販売に向け協力する。

Lockheed Martin は米国の航空機・宇宙船の開発製造会社で、1995年にLockheed Martin Marietta合併して生まれた。

Lockheed Martin の子会社のApplied NanoStructured Solutions, LLC はナノテクノロジーの開発、商業化を行っており、カーボンナノ構造体を連続製法でいろいろな物質に浸出する革命的方法を開発した。

木星探査機のJunoは2011年8月に打ち上げられ、2013年10月には地球スイングバイによる増速に成功した。約5年をかけ木星の極軌道に投入され、木星の組成、重力場、磁場、極付近の磁気圏の詳細な調査を行う予定である が、これにはApplied NanoStructured Solutionsのカーボンナノ構造体浸出繊維が使用されている。

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SABICとSK総合化学(SK Global Chemical)は5月26日、SKの最新ポリエチレン技術を使って高機能ポリエチレン製品を製造するための50/50JVを設立する合弁契約に調印した。

Nexlene™ はSKが2010年に触媒からプロセス、製品設計まで全体を自社技術で開発した高機能ポリエチレンで、高機能フィルム、自動車内装、靴、ケーブルの絶縁などに使われる。

Compared with the existing polyethylene, this high performance polyethylene is stronger to the impact and has higher reinforced transparency and machinability. Only a few major chemical companies such as Dow Chemical and Exxon Mobile have been producing this product.   - See more at: http://www.noodls.com/view/BAEADD6B6E377017F6224C9A0B6E53660AEAF2FF#sthash.qfYPisg8.dpuf
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既存のポリエチレンと比較し、インパクトに強く、透明性に優れ、加工性もよい。

両社のJVはシンガポールに本拠を置き、一連のプラントを操業することとなる。

第一工場はSKが最近蔚山に完成し、5月に生産を開始した年産23万トンのプラントで、メタロセンLLDPEとポリオレフィン・プラストマー、ポリオレフィン・エラストマーを製造する。
このシステムは溶液法のため、
octene-1 コポリマーのポリオレフィン・プラスとマーの生産が可能である。


発表では595百万ドルのJVとしており、SKとして建設したプラントを買収するものと思われる。(建設予算は345百万ドルとされていた)

第二工場はサウジに建設する予定で、その後、世界中に建設する。

SABICは以下の通り述べている。

新しいJVにより、両社は高度に特化した高機能ポリエチレン市場に参入し、世界中の需要家に高級な高価値ポリマーを供給できることとなる。
SK Global との提携により、SABICのこれまでの広範囲の製品群に革新的な新製品ラインが加わり、アジアやそれ以外の需要家にコスト効率がよく、顧客が求める製品を提供できるようになる。




Renault は5月21日、Renault とLG Chemが次世代のゼロエミッションの自動車用のバッテリーを共同開発する契約に調印したと発表した。

2~3年後に販売されるRenault の新しい電気自動車に使われる次世代バッテリーの開発のため両社が協力する。LGが特許を取得した高密度で省エネのリチウムイオンバッテリーを使用する。

現在の電気自動車は最高速度が時速200km程度であるが、両社は時速400kmが可能な電気自動車の開発を検討している。

Renault は現在、電気自動車では Twizy、Zoe、Fluence Z.E. 、Kangoo Van Z.E. を販売しており、韓国ではRenault 三星自動車がFluence  Z.E. をベースにしたSM3 Z.E.を販売している。

このうち、LG Chem はTwizy、Zoe、SM3 Z.E.の3モデルにバッテリーを供給している。

Renault とフランス原子力庁(CEA : Alternative Energies and Atomic Energy Commission) は2012年7月、電気自動車用次世代電池の量産開発でLG Chemと提携すると発表した。

Renault とCEAは2010年に電気自動車の分野での戦略的提携を開始した。
その一部に新しいバッテリー技術の開発が含まれている。CEAは電気自動車用新世代バッテリーを開発している。

LG Chemが電気自動車用次世代電池の工場をフランス国内に建設し、2015年末からEV用電池の現行品の量産を開始する というもので、追って契約を締結するとしていた。Renault が2012年末に発売する小型電気自動車ZoeもLG Chem製の電池を採用することが明らかにされた。

Renault 日産グループには、バッテリーを製造するAESC(オートモーティブ エナジー)がある。
  AESCは日産自
動車 51%、日本電気 42%、NECエナジーデバイス 7%のJV。

Renault と産自動車は当初、AESCの技術をベースにした 電気自動車用電池工場を、2012年半ばまでにRenault のフラン工場に建設する計画を発表していたが、この計画は延期された。

Zoeの電池も、AESCの技術がベースになると考えられていたが、LG Chemの電池が採用された。

AESCの生産能力が限られているため、日産自動車は自ら出資するAESCの電池を優先して使い、RenaultはLG Chemの電池を採用することになったとされている。

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GMはエコカー用電池を韓国LG Chem製に統一すると明らかにした。

LG Chemは2009年1月、「2010年に発売予定のGMの電気自動車 Chevy Volt に搭載されるリチウムイオン・ポリマー・バッテリーを供給する唯一の企業として選ばれた」と発表した。

2009/1/17 LG化学、GMに電気自動車用バッテリー独占供給へ

LG Chem子会社のCompact Powerは2010年7月、ミシガン州Hollandでリチウムイオン電池工場の起工式を行い、オバマ大統領が出席した。

工場は2012年稼動の予定で、A123 SystemsとJohnson Controls-Saft  と組み、プラグインハイブリッドベースで20万台分(E-REV=充電用エンジン搭載車 "Chevy Volt" ベースでは5万台分)を生産する。
投資額は303百万ドルで、オバマ政権の24億ドルの補助金から151百万ドルを受ける。

2010/7/17 オバマ大統領、LG化学の米工場起工式で祝辞

この工場はいろいろな問題があり、2013年7月にようやく稼動したが、一旦停止し、10月末から生産を開始した。

2013/9/10 LG化学のミシガン州のリチウムイオン電池工場、生産開始2か月で停止

LGとGMは2011年8月、LGによるChevrolet Volt やOpel Ampera用のバッテリー供給での協力関係を拡大し、電気自動車を共同で開発すると発表した。

2011/8/29 韓国LG、GMと電気自動車の共同開発へ 


GMは昨年発売した5ドアハッチバックタイプの小型電気自動車Spark EV では A123 Systems の電池を使っている。

しかし、2013年1月にA123は中国の万向集団(Wanxiang Group Corporation)に買収されたため、GMはバッテリー購入先から同社を排除し、LG Chemに統一することを決めた。中国への技術流出を警戒し た。

A123 Systemsは2001年にマサチューセッツ工科大学からスピンアウトして設立された。創業者はMITの教授のYet-Ming Chiangで当初、GEが10%出資していた。
リチウムイオンバッテリーの性能を向上させるナノスケール材料を開発した。

同社は、オバマ政権が打ち出したGreen New Deal 政策を通じ、2億4900万ドルの助成金を受けていた。

A123は2012年半ばに資金難に陥った。

同年8月、同社は万向集団(Wanxiang Group)に株式の過半数を譲渡する契約を結んだ。最終的に万向集団は、A123 Systemsの株式を80%まで買い進める計画であった。

しかし、軍事用の先進的なバッテリー開発計画があることから米国の外国投資委員会(CFIUS)の承認が得られず、議会からも、税金で開発した重要な知的財産を外国に売り渡すのかとの批判が相次ぎ、計画をとりやめた。

2012年10月16日、破産法11条の適用を申請した。

A123は米国防総省向け事業はナビタス・システムズに225万ドルで売却することで当局の理解を得た。

2012年12月の競売で
万向集団は2億5660万ドルで落札した。(NECとジョンソン・コントロールズも共同で応札していた。)

この買収は2013年1月に米外国投資委員会から承認を受けた。

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LG Chemは電気自動車用バッテリー分野で、韓国の現代・起亜自動車と電気自動車メーカーのCT&T、米国のGMと自動車用部品メーカーのEaton Corporation、中国の長安汽車、ボルボ、ルノーなど世界中の各社に供給している。

2010/4/29 LG化学、ボルボに電気自動車のバッテリー供給

LG Chem は韓国と米国に次いで、中国にもバッテリー工場を建設する計画を明らかにした。
立地は、南京か広州か天津のいずれかになる。

中国では三星SDIが本年4月に中国の自動車部品メーカー安慶環新集団(Anqing Ring New Group)との合弁会社を設立、サムスン電子が西安で建設している半導体工場の隣接地に工場を建設する。

SK Innovationも2013年7月に北京汽車集団との合弁会社を設立した。


日本の化学会社はリチウムイオン電池の部品(正極材、負極材、電解液、セパレーターなど)で増設を行い、しのぎを削っている。

例 2010/9/13 三菱化学、リチウムイオン二次電池用負極材の製造能力増強

しかし、将来的には中国勢などの進出で競争相手が増え、価格が下がるのは目に見えている。
 
それに対し、LG Chemは早々とシステム開発を行い、システムで世界を制覇しようとしている。

日本の化学会社にとって、将来戦略の手本になると思われる。

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LG Chem は5月18日、日本の宇部マクセルに安全性強化セパレーター関連特許を有償で販売する内容のライセンス契約を結んだと発表した。

LG Chem のSRS技術はバッテリーの核心素材セパレーターにセラミックをコーティングし、熱と機械的強度を高め、内部のショートを防ぐ役割をする もので、リチウムイオンバッテリーの安全性を決める核心技術としている。


韓国の中央日報は「"バッテリー宗主国"日本に特許輸出」と誇らしげに書いている。

 

 


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