「no」と一致するもの

Bayer の薬害問題 - 化学業界の話題

217日の米CBSテレビの報道番組 60 Minutes One Thousand Lives A Month” というタイトルで Bayer の失血予防薬 Trasylol (Aprotinin) の薬害問題について報じた。

   http://www.cbsnews.com/stories/2008/02/14/60minutes/main3831900.shtml (番組ビデオ付き)

Bayer HealthCare Pharmaceuticals Trasylol (Aprotinin)は失血リスクや輸血リスクが高い患者の心臓バイパス手術時の失血予防薬として使われる。

Trasylol は出血をコントロールできるという研究から1993年にFDAが使用を承認した。

しかし、2006年1月に Dr. Dennis ManganoNew England Journal of Medicine に次の発表を行なった。

血行再建術を受ける患者 4,374 例を対象に、3つの薬剤(Aprotinin 1,295 例、アミノカプロン酸 883 例、トラネキサム酸 822 例)の投与と薬剤非投与(1,374 例)について評価した。

アプロチニンの使用は、複雑な冠動脈手術を受けた患者あるいは初回手術を受けた患者において、透析を要する腎不全のリスクが 2倍になることと関連していた。
同様に、初回手術群にアプロチニンを使用すると、心筋梗塞または心不全のリスクが 55%増加し、脳卒中または脳症のリスクが 181%増加した。
アミノカプロン酸とトラネキサム酸はいずれも、腎、心、脳イベントのリスク増加とは関連していなかった。

結論
アプロチニンは重篤な標的臓器障害と関連することから、継続的使用は賢明ではないことが示される。
一方、アプロチニン($1,000)より安価なジェネリック薬であるアミノカプロン酸やトラネキサム酸($50)は、安全な代替薬である。

FDAは20062月に、この研究に基づき、本剤の使用を制限するよう、勧告を出したが、禁止はしなかった。 

BayerはハーバードのDr. Alexander Walker に調査を依頼した。70,000人の患者の記録から、同じような結果が得られた。

2006年9月、Dr. ManganoはFDAに17カ国5,065名の患者の観察を提示し、本剤の禁止を要請した。
しかし、彼の研究はプラシーボ(偽薬)と対比するというきちんとした研究ではなく、病院の記録の分析であったため、あまり評判はよくはなかった。
Bayerはこの会議に出席したが、
Dr. Walker の研究結果については触れず、本剤を擁護した。
(以後の調査で、担当者がこの報告の研究方法や分析に問題があるとして質問し、会議日までに返事を受け取っていなかったとしている)
この結果、本剤は禁止されなかった。

20079月に開催されたFDA諮問委員会に先立って発表された資料において、FDAはTrasylol (Aprotinin)が透析が必要となる腎不全や死のリスクを上昇しうるという見解を表明、11月に使用が禁止された。

ーーー

番組ではDr. Mangano は、2006年1月から2007年11月までの間に 431,000人の患者が本剤の投薬を受けており、もし20061月の彼の報告時に本剤を禁止しておれば、22,000人(月 1,000人)の命 (番組タイトルの One Thousand Lives A Month) が救われたであろうと述べた。

FDA Dr. Hiatt は、もしBayerの調査結果を知っておれば、20069月の会議で禁止の提案をしていたであろうと述べている。


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2月19日のニューヨーク市場でWTI 原油価格が一時100.10ドル/バレルで過去最高値を更新、終値も100.01ドルで過去最高となった。
前日18日は米国では大統領の日で休日で、先週末の終値は95.5ドルだった。
これまでの最高は本年1月3日の100.09ドル、終値は同1月2日の99.62ドル。

OPECが35日に総会を開くが、減産を決めるのではないかとの懸念が出たのが主な理由。イランのNozari石油相が17日に、「OPECは通常3月に減産する。需要の動向や備蓄量を調べる必要がある」と述べたと伝えられた。

このほか、ベネズエラの石油国営化を巡ってのエクソンモービルとの争いでベネズエラが同社への原油出荷を凍結したこと、米テキサス州で起こった製油所の事故などから供給懸念が強まった。

ベネズエラは石油の国有化を決め、各石油会社は国営石油会社 PDVSAと条件交渉を行なった。
ChevronTotalBPStatoilHydroPDVSAの条件を呑み、Minority partner として操業を続けることとした。

しかし、ConocoPhillips Exxon Mobil はこれを拒否し、争ってきた。(ConocoPhillips は最近、合意に近づいたとしている)

Exxon Mobil 油田国有化で損害を被ったとして補償を求めて訴訟を行い、米欧の裁判所は同国が支払いに応じなかった場合に備え、PDVSAが海外に保有する資産を差し押さえる命令を下した。
米ニューヨーク連邦地裁は3億ドルの現金、英裁判所は120億ドルまでの資産の差し押さえを命じた。

今後、国際調停に入るが、不調に終わった場合、Exxon Mobil 差し押さえ資産を処分し、現金を回収できる。
但し、ベネズエラによると英国には資産はなく、問題になるのは米国の3億ドルの現金だけとしている。

これに反発してベネズエラのChavez 大統領は2月10日、Exxon Mobil が差し押さえた場合、「経済戦争」で米国への原油供給をカットすると警告、12日にPDVSAExxon Mobil への原油販売を止め、同社との関係を一時中断したと発表した。

ベネズエラは米国の原油輸入の約12%を占めており、カナダ、サウジアラビア、メキシコに次ぐ第4位となっている。

なお、東京市場でも原油、ナフサとも過去最高値に近づいている。


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カナダの石油化学会社 Petromont 212日、QuebecVarennes Montreal での生産を430日から無期限に停止すると発表した。

石化原料を競争力ある価格で入手するのが慢性的に難しくなったことやカナダドル高を理由に挙げている。
同社は、「これらの要素は収益性に大きな影響を与えており、北米の石油化学全般にこのような不利な状況があることを勘案すれば、操業を停止するしかない」としている。

Petromont  Dow Chemical Canada Quebec 州政府の子会Ethylec Inc. 50/50 Limited Partnership で、1980年に設立された。
Montreal地区のVarennes 工場でエチレン297千トン、Montreal 工場でHDPE 278 千トンを生産する。
従業員は
325名、年間売上高は750百万ドル。

Steam Cracker ではいろいろの原料を使用可能で、原料により、エチレン以外にいろいろな製品(プロピレン、Mixed C4、水素、ペンテン、燃料油、アセチレン、その他)を生産できる。
HDPEは北米市場で販売している。

カナダドルは20073月には 0.85米ドルであったが、200711月には1.08米ドルのピークとなり、現在では丁度 1.00米ドルとなっている。
Petromont にとり、米国向けの製品売価が15% 下がることを意味する。 

工場は、原料状況が好転したり、工場の買い手が出てくる場合に備えて、動かせる状態で維持するとしている。

なお、親会社のダウは2007124日に「合理化策」を発表したが、Petromont については長期的にみて採算悪化の見通しを理由に持分の消却を実施するとしている。

   2007/12/8  ダウ、合理化策を発表 

 

Montreal 地区では、2007年10月Ineos Nova PSプラント(55千トン)を年末に停止すると発表している。

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2006年2月15日にスタートした本ブログは3年目に入りました。

   2006/2/15 プラスチック100周年 


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サントリーと100%子会社のAustralia Florigene が世界で初めて開発に成功した「青いバラ」(写真は同社発表から)が、2008年1月31日付で、カルタヘナ法に基づく第一種使用規定(切り花の用に供するための使用、栽培、保管、運搬及び廃棄等)の承認を得た。
同社では生産・販売体制を整え、2009年から発売する予定。

植物の色は含まれる色素の働きによるもので、色素には
 フラボノイド(
アントシアニン、フラボン、フラボノール、カルコン、オーロンなどの総称:白・黄・橙・赤・紫・青など)、
 ベタレイン(
ベタシアニン:赤から紫色、ベタキサンチン:黄色)、
 
カロチノイド(カロチンとキサントフィル:黄・橙)、
 クロロフィル(
葉緑素:緑
の4種類がある。

青色に見せる働きをするものは、フラボノイドの一種のアントシアニンで、その中でも特に重要な青色の色素が「デルフィニジン」。

バラにはもともとこのデルフィニジンが含まれておらず、このことから "Blue rose" は英語で "impossible" を意味した。

ーーー

サントリーは1990年に花の品種改良などを手がける豪州のバイオベンチャーのCalgene Pacific Pty Ltd.と共同で青いバラの開発を始めた。

Calgene Pacific 1994年にオランダの Florigene B.V.の資産を買収し、社名をFlorigene に改称した。
サントリーは2003年12月、Florigene を買収し、100%子会社とした。

開発は次の2つのポイントを試行錯誤しながら行なわれた。
 ・青色遺伝子の取得
 ・バラに遺伝子を導入して遺伝子組換えバラを作製する方法の開発

1991年ペチュニアから青色遺伝子を取得し、特許出願した。

1995年にこれを組み込んで、世界で初めての青色カーネーションが誕生した(1997年より発売)が、バラでは失敗した。

1996年にパンジーの青色遺伝子を入れたバラで研究を開始、1998年~1999年頃にはやや青みを帯びたバラを得ることに成功、デルフィニジンが100%近く蓄積する工夫を行い、2004年、ついに青いバラの誕生に至った。

ーーー

カルタヘナ法は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の別称で、2004年2月19日から施行されている。

(目的)
第一条 この法律は、国際的に協力して生物の多様性の確保を図るため、遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講ずることにより生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の的確かつ円滑な実施を確保し、もって人類の福祉に貢献するとともに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

カルタヘナ議定書(Cartagena Protocol on Biosafety):
現代のバイオテクノロジーにより改変された生物(Living Modified Organism)が生物の多様性の保全及び持続可能な利用に及ぼす可能性のある悪影響を防止するための措置を規定しており、生物の多様性に関する条約第19条3に基づく交渉において作成されたもの

この法律では、遺伝子組み換え生物等の使用等に先立ち、その使用形態に応じた対処の仕方(交雑防止措置など)を実施することを規定している。

遺伝子組み換え生物等の輸入・輸出、栽培、飼養、販売等にあたり、その開発者や輸入者などは手続きを行なったうえで主務大臣の承認を受ける義務が定められている。

「第一種使用」とは、一般ほ場での栽培や食品原料としての流通等の「環境中への拡散を防止しないで行う」使用のこと。

「第二種使用」は実験室内での研究等の「環境中への拡散を防止する意図をもって行う使用」で、拡散防止措置が必要とされる。

 


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米国エネルギー省のアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)は25日、画期的なエチレン製法を開発したと発表した。

高温の水素透過膜でエタンから水素を取り除きエチレンをつくるという方法で、「これまでのように高コストで無駄の多い、公害物質を放出する製法とは異なり、クリーンでエネルギー効率のより製法だ」としている。

新しい膜は水素だけを通すため、エタンは空気中の酸素や窒素と接触せず、従来の熱分解法で発生するNOCO2CO等を発生しない。
また、絶えず熱の投入が必要な熱分解法と異なり、膜を通して出てきた水素が空気中の酸素と反応してエネルギーを発生させるため、反応に必要なエネルギーの投入が不要である。

更に、通常は C2H6(+heat)=C2H4+H2 の反応で、反応器内の組成が平衡に達すると(水素が平衡濃度に達すると)反応は進まないが、水素透過膜は生成した水素のみを透過させるので、反応式右辺の H2 が反応系から減少し(即ち平衡が破れ)、エタンのエチレン+水素への分解反応がどんどん進行する。発表文に以下の説明がある。

The membrane reactor thinks: Hey, I haven't reached equilibrium yet, let me take this reaction forward.

現在のところは実験でエチレンを生産しただけであるが、研究者は産業界と提携して商業的にこの膜を生産することを考えている。

この研究は6月にボストンで開催される 2008Clean Technology 会議で紹介される。

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アルゴンヌ国立研究所はシカゴ西方にあり、1946年に設立された米国で最初の国立研究所である。
元はシカゴ大学の冶金研究所で、1942年2月、ここで
Enrico Fermi などが世界で最初の核分裂連鎖反応を行なった。
戦後は核の平和利用に携わった。

現在の従業員は2,800人で、うち科学者とエンジニアは1,000人、そのうち博士号所有者は750人に達する。
年間予算は
530百万ドルで、200以上のプロジェクトを実施している。

研究は次の5つの分野に分かれている。

1) Basic science
 
  • Biosciences
  • Biodefense
  • Chemistry
  • High Energy Physics
  • Materials Science
  • Mathematics and Computer Science
  • Physics
2) Scientific facilities
3) Energy resources
4) Environmental management
5)

National Security

 

ーーー

一方、Dow Chemical 124日、“Methane Challenge” の研究助成金 640万ドルをCardiff University Northwestern University に与えると発表した。

Dow Chemical 20073月、メタンから直接エチレンやプロピレンなどを製造する研究の案を募集した。
商業的に採算の取れる技術を得る研究で、最初に合成ガスの生産が必要な、メタンからメタノールなどをつくる既存の間接法は対象とならない。

メタンは世界の多くの地域に存在するが、化学品や液体燃料にするのが難しく、Dow Chemical では広くアイディアを募集することとしたもの。

100件の提案のなかから、2つの大学の案が選定された。


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SABICの中国進出 - 化学業界の話題

SABICは1月31日、Sinopec との間で、50:50のJVを設立して天津にエチレン誘導品コンプレックスを建設する Heads of Agreement を締結したと発表した。同日、北京で両社の会長により調印された。

50:50JVは天津に年産60万トンのPEと
40万トンのエチレングリコールのコンプレックスを建設する。
原料のエチレンはSinopecの子会社の天津石油化学(下記)から供給を受ける。
総投資額は17億ドルで、2009年9月に完成の予定。

本計画はSABICにとって中国での最初のプロジェクトとなる。

天津石油化学は現在100万トンのエチレンプラントを天津市の大港地区で建設しているが、当初はSinopec/天津市/ダウのJV構想で、ダウの撤退後はサウジアラムコが提携候補に上がっていた。その後、
2005末にSinopecが単独で承認を得て建設している。

    2006/4/7 中国のエチレン合弁会社ー2 の5 

計画概要は以下の通り。(千トン)

既存能力  増設
Refinery   5,000  7,500
エチレン    200  1,000
LLDPE    120  
LDPE     300
EO     22  
MEG     48   420
HDPE/MDPE       300
PP     60   450

しかし、2006年1月のサウジのアブドゥッラー国王の最初の公式訪中を機に、SABICがSinopecとの交渉を再開した。

2007年5月、SABICとARAMCOのトップが上海でのフォーラムで、両社がそれぞれSinopecとJV交渉を進めていることを明らかにした。
いずれも間もなく発表されるとされ、本ブログでも新聞情報などをもとに、「SABICはSinopec天津の新しい100万トンエチレン計画に10億ドルを投資して参加する」とした。

    2007/5/29
SABICとARAMCOの中国進出 

今回の発表によれば、天津計画全体への参加ではなく、エチレン系誘導品への参加である。

ーーー

福建省泉州市ではサウジアラムコがSinopec やExxonMobil と組んで、石油精製と石油化学(エチレン80万トン)のコンプレックスを建設中である。

    2006/4/7 中国のエチレン合弁会社ー2 の4  


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Dow Canada カナダのNGL会社Aux Sable Canada から、Heartland オフガス処理プラントからのエタン、エチレンを購入する契約を締結した。

Aux Sable Canada オイルサンドのビチュメンから生産する合成石油副生オフガスからエタン、エチレンを生産するカナダの最初の会社となる。
Heartland オフガス処理プラントはAlberta Fort Saskatchewan のDow Complex の北方で建設中で、原料オフガスはBA Energy Heartland Upgrader から供給される。
Upgrader ではアスファルト状のビチュメンから合成石油を生産する。 )

契約では供給されるエタン、エチレンは日量 8,000 バレルに達する。

両社は更に、ダウに原料を供給する将来のオフガス処理計画での戦略的提携契約を結んだ。Aux Sable が工場を建設し、ダウに独占的に供給する。

ダウでは、ダウのAlberta 工場にとってオイルサンドは手付かずの大規模原料ソースであり、石油化学の原料の長期的供給を確保したことになるとしている。

Aux Sable Enbridge Inc.Fort Chicago Energy PartnersWilliams Cos. JVで、米国にAux Sable Liquid Products、カナダにAux Sable Canada を持つ。Alliance Pipeline system の関連で設立され、同パイプラインのNGL を独占的に扱っている。

BA EnergyValue Creation企業グループ)は、Strathcona郡でHeartland Upgraderプロジェクトの建設を進めている。Upgrader3期に分けて建設され、各期とも日量 50千バレル、合計150千バレルのビチュメンを生産する予定。第1期は2008年スタート。
oil sands bitumen blend 260千バレル)

2010年の Upgrader 能力予想は以下の通り。(単位:日量 千バレル)

Suncor   550
Syncrude   500
Shell   300
Husky   150
OPTI    90
BA Energy    50
Northwest    50
Total  1,690

 

各社の立地は以下の通り。

以下、図はアルバータ州日本事務所 「カナダ・アルバータ州のオイルサンド」 から

ーーー

オイルサンドは、カナダ西部のアルバータ州の北方に位置する3地域に多く存在する、粘度質の黒いアスファルト状の炭化水素であるビチュメンと、砂・粘土の混合物である。
石油を含んだ油層が地殻変動で地表近くに移動し、地下水との接触や生化学反応によって揮発成分が失われたことによりできた石油資源とされ、埋蔵量はサウジアラビアの石油に相当するものと推定されている。

母岩が砂岩ではなく、堆積岩の一種の頁岩の場合にはオイルシェール(Oil Shaleと呼ばれる。オイルシェールはアメリカ合衆国西部、ブラジル、ロシアなどに分布する。


 

オイルサンドの採掘には露天掘りと油層内回収法の2つがある。
油層内回収法には、
Cyclic Steam StimulationCSS)法やSteam Assisted Gravity DrainageSAGD)法などがある。


アルバータ州はビチュメンからの総合コンビナート計画を作成している。 

 


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ダウは129日、テキサス州フリーポートでクロルアルカリ設備の建設を開始すると発表した。
2011年のスタートを目指す。
同地の既存のプラントの多くは経済的な耐用年数に近づいており、今後3年間で順次停止する。
今回の投資はS&Bで、設備能力は差引減少する。

同社のAndrew N. Liveris 会長兼CEOは、「塩素はダウの機能製品事業の重要な原料で、ポリウレタン、エポキシ、特殊化学品、特殊プラスチック、農業化学品の将来の成長の鍵を担っている」と述べた。

同時にダウは、30年以上の需要家であるシンテックとのVCMの長期供給契約の更新を発表した。
(信越化学も30日に発表した。)
同会長はこれについて、「この供給契約は新投資の操業を保証するもので、JVの形はとっていないものの、シンテックはクロルアルカリ事業での戦略的パートナーである」としており、同社が石油化学事業で進めている
Asset-light 戦略の延長であるとしている。

     Asset-light 戦略については
       2007/2/3    
ダウ、PSとPP事業のJV化を検討
       2007/12/14 
速報 ダウとクウェートのPIC、グローバル石化JVを設立

Freeport の当局は昨年10月に新工場誘致のためダウに7年間の固定資産税免税の提案をしていた。

ーーー

ダウは2004年11月に、テキサス工場のEDCプラント1系列を2005年末までに停止し、VCMの生産も縮小すると発表した。
今後の設備の維持更新費が多額となるのに加え、エネルギー・原料価格の高騰に伴い、採算が合わなくなったためと説明した。
更に2006年8月には、カナダの電解、EDCプラント停止を発表している。27年間経過したプラントを今後長期間維持するためには多額の投資が必要で、現在の想定収益性ではこれを認められないのが理由。
これらの動きから、ダウがクロルアルカリ事業を重視しなくなったとみられた。

一方、シンテックはこれまで原料VCMを全量ダウに依存してきたが、現在ルイジアナ州で塩素45万トン、VCM75万トン、PVC60万トンの工場を建設中で、更に2007年5月には、テキサス州で電解工場(塩素50万トン)とVCM工場(825千トン)を建設する許可申請を同州環境庁に提出した。

       2007/6/1 シンテック、テキサス州にVCM工場の建設許可を申請 

これにより、両社の関係が薄まりつつあるとの見方がなされていた。

今回の動きは関係を再度強化するもので、シンテックのテキサス計画は延期されるのではないかとみられている。

なお、Freeport の当局はシンテックの計画に期待しており、本年1月初めにシンテックに対しても新工場建設に対して7年間の固定資産税免税を決めた。免税額は合計で13百万ドルに達する。

シンテックのルイジアナ州での塩素からの一貫増設の第一期 30万トンは、当初予定では2006年末の完成であったが、需要状況を勘案して1年遅らせ、昨年の中間発表時には本年2月の完成としていた。
今回の発表では本年5月完成予定としている。
(現在の需要の状況では難しいのではないか)

ーーー

ダウは昨年、中東と中国でのクロルアルカリの投資計画を発表している。

中東ではダウはサウジアラムコとの間で、サウジのラスタヌラに世界最大級の石油化学コンプレックスを建設する覚書を締結したが、これにはワールドスケールの電解設備と、VCM、ポリウレタン、エポキシレジンなどが含まれている。

       2007/5/15  アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設

中国では中国の国有石炭最大手・神華集団との間で、陜西省楡林市にワールドスケールのCoal-to-Chemicals コンプレックスを建設するための詳細FS実施の契約を締結した。
計画では "clean coal" technologies を使用し、石炭からメタノール、メタノールからエチレンとプロピレンを生産するが、電解設備も建設し、苛性ソーダ、VCM、有機塩素等を生産する。

       2007/5/21 ダウの海外進出  


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1月29日の放送「リーダーは太陽であれ」を見た。
主人公は、サウジアラビアのペトロラービグ計画で奮闘する日揮の現場所長・高橋直夫氏。

NHKのPR:
世界最大の産油国・サウジアラビアで建設が進む、投資額 1兆円の巨大石油化学プラント「ペトロラービグ・プロジェクト」。敷地面積は18平方キロ。完成すれば、その規模は世界最大級のものとなる。その中枢部の建設現場の総責任者を務めるのが高橋直夫(56歳)。高専卒業後、日本のプラントエンジニアリング会社に入社後、海外の現場一筋35年のたたき上げで現場トップに上り詰めた、世界屈指のプラント建設のプロだ。100万点に及ぶ部品を、7000人がひとつひとつ組み上げる高橋の現場。トラブルは日常茶飯事。
次々とふりかかる難問に対して、高橋は瞬時に解決策をひねり出していく。サウジアラビアの建設現場に一か月密着。重いプレッシャーのなか、あらゆる手を尽くして仕事を完遂させようとする巨大プロジェクトのリーダーの流儀を描く。

 

「ペトロラービグ・プロジェクト」は住友化学とサウジアラムコの大規模石化プロジェクト。
    
2006/3/25 ペトロラービグ起工式  

日揮はこのうち、エタンクラッカー130万トン/年)と流動接触分解装置High Olefin FCC プロピレン90万トン/年)及び、これら設備に係る設計、機材調達および建設役務をランプサム(一括請負)契約している。

中東の石油化学計画の難しさがよく分かる。

 

再放送予定 2月5日(火) 午前1時5分
        2月5日(火) 午後4時5分


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イスラエル最大の石油精製会Oil Refineries Ltd. 124日、同社が50%出資するCarmel Olefins Ltd.が欧州のPPメーカーのDomo Polypropylene BV 49%出資する契約に調印したと発表した。

Carmel Olefins は昨年11月に、欧州PPメーカーの49%を買収する覚書を締結したと述べたが、社名等は明らかにしていなかった。
同社は
20百万ユーロを支払うとともに、2013年から5年間、年に1百万ユーロを支払う。

Carmel Olefins については 2006/7/24 イスラエルのCarmel Olefins、戦闘激化で操業停止 参照
   

Oil Refineries Haifa に年900万トンの製油能力を持っている。
Carmel Olefins に50%出資するほか、100%子会社のGadiv Petrochemical Industries Ltd.香族、脂肪族の溶剤、無水フタル酸、その他を生産している。
このほか、電力と蒸気をHaifa
湾周辺の需要家に供給している。

Domo Polypropylene BV はベルギーのカーペットメーカーのDomo Group の子会社。

Domo Group Domo Industries でカーペットや人工芝生などを製造販売しているが、原料遡及に熱心で、1983年にGent でポリアミドの生産を開始したが、1994年に当時のLeuna-Werke AG 200511月にBASFが買収、20065月にBASF Leunaと改称)からカプロラクタム プラント(能力27千トン)とフェノールプラントを買収した。
その後、350百万ユーロを投じて、この設備の近代化と拡張を行い、カプロラクタム能力を100千トンにすると同時に、次の設備を新設した。 

    
Polyamide 6BCF-yarns、Sulphuric acid、Cumene
        H
ydroxyl ammonium sulphate、Cyclohexanone

更に、Domo Group 2001年、Basell からオランダのRozenburg にある年産 18万トンのPP プラントを買収し、Domo Polypropylene とした。
同工場の生産量の
1/3 Domo が自家消費している。

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今回の投資はCarmel Olefins の最初の海外への投資で、海外も含めて同社の事業を拡大していくという戦略に基づいている。

 


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