2024年12月25日の新華社通信によると、中国はチベット自治区を流れるヤルンツァンポ川(Yartung Tsangpo)の下流に世界最大級の水力発電ダムを建設する計画を承認した。

中国のCO2排出量削減目標の達成において大きな役割を果たし、関連産業を刺激し、チベットでの雇用を創出すると期待されているとしている。

新華社はダムの建設場所や建設の開始時期、事業の規模について言及していないが、承認された水力発電所の能力は年間3000kWhだとされる。中国が世界に誇る三峡ダムの3倍のスケール。

資金の規模も三峡ダム(約2542億元)の約4倍になる見込み。中国政府は2023年に「ダム建設費用は1兆元(約216000億円)に上る」との試算を発表している。

当局はこのプロジェクトがどれだけの人々を移住させ、地域の多様な生態系にどのような影響を与えるかを明らかにしていない。
ただ、当局によれば、チベットでの水力発電プロジェクトは、環境や下流の水供給に大きな影響を与えることはないという。

工事は難航することが予想される。

ダム建設には重機が欠かせないが、建設場所は奥地にあるため、その搬入が極めて困難だ。

日本時間の1月7日午前10時過ぎ、チベットでマグニチュード6.8の地震が発生、付近では多数の家屋が倒壊し、新華社通信は126人が死亡したと伝えている。

7日の地震が示すとおり、この地域は地震活動が活発であり、過去に大きな地震が何度も起きている。

ダムの建設には少なくとも10年はかかると言われている。

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ヤルンツァンポ雅魯蔵布:Yartung Tsangpo)川はチベット高原に端を発する河川で、世界で最も源流の標高が高い。

その後、ブラマプトラ(Brahmaputra)川となり、インドのアルナーチャル・プラデーシュ州に至る。そこから下流は一挙に川幅が広がり、シアング川
(Siang) と名を変える。アッサム州に達すると再びブラマプトラ川となり、バングラデシュではポッダ川と呼ばれるガンジス川に注いでいる。ガンジス川はインド洋へと注ぐ。



中国政府は「下流の水供給に大きな影響を与えることはない」としているが、インド、バングラデシュ両政府は早速懸念を表明している。

ヒマラヤ地方の大半の河川の水源付近にはこれまでダムの数は比較的少なかった。しかし中国に加え、インドもヒマラヤ地方にダム建設を急ぎつつある。建設計画中のダムの多くは米国コロラド川のフーバーダムに匹敵する4,000メガワット級の発電能力を有する世界最大級のダムになる。ヒマラヤ地方はダムが世界最多の地域となる可能性がある。

インドに流れる河川の半分は中国から直接流入していることからインドの置かれた立場は弱い。その一方で、バングラデシュはインドによる水路の迂回と水力発電計画を恐れている。バングラデシュの政府系機関の科学者によれば、バングラデシュではインドから流入する水量が1割減っただけで、1年の殆どの期間、農地の大半で水が枯渇することになる。バングラデシュ国内の5,000万人の小規模農家のうち、8割以上がインドから流入する水に依存している。

専門家は、洪水が増え、地震が起き易くなることを懸念している。また、ダムが建設されるのは、どれも氷河や雪原の融解が急速に進む河川であるが、気候変動が河川に及ぼす影響が未知数である。

今後、水問題で各国間の争いが起こる可能性がある。

トランプ次期大統領は2024年12月、1期目から目を付けていデンマークの自治領のグリーンランドについて、安全保障上の観点などからアメリカが所有すべきだと主張した。

北の隣国カナダを吸収して51番目の州にする可能性をほのめかし、カナダの当局者をあざけった。メキシコ湾をアメリカ湾に改めるとした。

さらに、米国が建設したもののパナマが四半世紀にわたって管理するパナマ運河を奪取する考えを示唆した。

記者からの「グリーンランドとパナマ運河について、軍事と経済で威圧しないと断言できるか」との質問に対し、「できない。どちらも経済安全保障に必要だ。デンマークに権利があるのか怪しい。権利を持っているなら放棄すべきだ。自由な世界を守るために」と述べた。

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1. グリーンランド

デンマーク領グリーンランドは、ロシアに近い世界最大の島で、軍事的な要衝である。

トランプ氏はグリーンランド周辺を中露の船が行き来していると指摘し、「国家安全保障上の理由で領有が必要だ」と訴えた。デンマークが譲渡に応じなければ「非常に高い水準の関税をかける」と強調した。 

トランプ氏は政権1期目の2019年にも買収計画を提案し、デンマークのフレデリクセン首相に「ばかげている」と一蹴され、外交摩擦になったことがある。

2019/8/20 トランプ大統領、「グリーンランド買いたい」

米国が懸念するように、中国はグリーンランドを狙っている。 中国政府は2018年1月、北極海の開発や利用に関する基本政策をまとめた「北極政策白書」を初公表した。北極海を通る航路を「氷上のシルクロード(Polar Silk Road)」と呼び、「一帯一路」と結びつける方針を示した。中国はグリーンランドをPolar Silk Roadの拠点とみなしている。

今回、クレムリンのペスコフ報道官はトランプ次期米大統領の発言について、「北極圏はロシアの国益と戦略的利益の領域」とし、「北極圏の平和と安定を維持することに関心がある」と述べ、状況を注意深く見守っているとした。

米国の現政権のブリンケン国務長官は1月8日、訪問先のフランスでの記者会見で「われわれは、同盟国を遠ざけるような言動をするのではなく緊密に協力することで、よりよい結果を得ることができる。その点で、グリーンランドをめぐる考えはよいことではない」と述べた。そのうえで「明らかに実現しないことなので、その議論に時間を費やすべきではないだろう」と批判した。

ドイツのショルツ首相は1月8日、ヨーロッパ各国の首脳らと意見を交わしたと明らかにしたうえで「最近のアメリカからの発言についてわれわれは理解しきれていない」と述べた。そして「国境の不可侵の原則はすべての国に適用される。小国であっても、とても強力な国家であろうと従わなければならない」と強調した。

フランスのバロ外相は8日、「グリーンランドはEUの領土だ。相手がどのような国であったとしても、EUが領土の攻撃を容認することはありえない」と述べるなど、ヨーロッパ各国からも批判的な声が相次いでいる。

2.パナマ運河

トランプ次期大統領は12月22日、アメリカが1900年代初頭に建設し、現在は中米パナマが全面的な管理権を得ているパナマ運河について、「法外な」通航料を請求していると同国側を非難し、通航料を引き下げるか、アメリカの管理下に戻すよう訴えた。

「パナマが請求している通航料金はばかげていて、非常に不公平だ」と語った。

トランプによれば、パナマ運河が中国に運営されている、運河を通航するアメリカの船舶に過剰な通航料を請求しているという。そして、来月大統領に就任するのをふまえ、「このような我が国に対する完全なぼったくりは、直ちに止まるだろう」と述べた。

香港を拠点とするCK Hutchison Holdingsは1997年にパナマ政府との契約を結び、パナマ運河の両入り口付近にあるバルボア港クリストバル港の運営権を保有し、港湾インフラの整備や近代化に投資、コンテナターミナルの運営や貨物取扱業務を行っている。

しかし、パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は、「中国は全く干渉していない」と反論している。

パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は、トランプ氏の発言を即座に非難。パナマ運河とその周辺地域はすべて、自国のものだと主張した。

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パナマ運河は、スエズ運河の建設者フェルディナン・ド・レセップスが初めて着工したが、黄熱病の蔓延や工事の技術的問題と資金調達の両面で難航した。
1889年にパナマ運河会社は倒産した。

フランスは運河建設から事実上、手を引くこととなり、運河建設は米国によって進められることとなった。

パナマ地峡は当初は自治権を持つコロンビア領であったが、パナマ運河の地政学的重要性に注目した米国は運河を自らの管轄下に置くことを強く志向し、1903年1月22日、米国のヘイ国務長官とエルラン臨時代理大使との間でヘイ・エルラン条約が結ばれた。しかし、コロンビア議会はこれを批准しなかったことから、米政府は、独立派の運動家と手を結び、1903年11月3日、この地域はコロンビアから独立を宣言して「パナマ共和国」となり、米国はパナマ運河条約を結び、運河の建設権と関連地区の永久租借権などを取得し、建設工事に着手した。

1905年にアメリカ資本による建設事業がスタートし、1914年8月15日に開通した。運河収入はパナマに帰属するが、運河地帯の施政権と運河の管理権は、米国に帰属した。

第二次世界大戦後になるとパナマの民族主義が高まり、運河返還を求める声が強くなっていった。1968年の軍事クーデターによって権力を握ったトリホス政権は運河の完全返還を強く主張した。これを契機に返還をめぐる協議が始まり、1977年、カーター大統領の時代に新パナマ運河条約が締結された。新条約では、恒久的に中立無差別な通航が保証される国際運河であることの再確認と引き換えに、まず1979年に主権をパナマに返還し、米国の海外領土としての運河地帯を法的に消滅させた。

その時点から20年間は運河の管理を両国共同で行うこととされ、1999年12月31日にアメリカは全ての施設を返還、アメリカ軍は完全に撤退した。

3.カナダとメキシコ

トランプ次期大統領は2024年11月25日、メキシコとカナダからの輸入に25%、中国からの輸入に10%の追加関税を就任初日に課す意向を示した。

メキシコとカナダについて、「数千の人々がメキシコとカナダを通じて米国に流入しており、犯罪と麻薬を持ち込んでいる」とし、就任日に署名予定の複数の大統領令の1つとして、両国からの全ての輸入品に25%の関税を課すとした。

両国から流入するフェンタニルをはじめとする麻薬と違法な入国者が止まるまで続けるとした。

米国は両国との間で、1期目のトランプ政権時の2020年7月1日に米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を発効させている。同協定の原産地規則を満たした製品の域内貿易については、基本的に関税が免除されることから、日米を含む多くの企業が両国に拠点を置いて米国に輸出するサプライチェーンを構築している。

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11月末にフロリダ州でカナダのトルドー首相と会談した際、カナダがアメリカの51番目の州になるべきだなどと述べた。大統領就任初日にカナダに新たな関税を課すとしており、それによってカナダ経済が疲弊するのであれば「51番目の州になるべき」だと述べたとされる。

12月18日にも、カナダがアメリカの51番目の州になるのは「素晴らしいアイデアだ」とソーシャルメディアに投稿、「多くのカナダ人は、カナダが51番目の州になるのを望んでいる。そうなれば、税金を大幅に節約でき、軍事的保護も得られる。素晴らしいアイデアだと思う。51番目の州だ!」とした。


トルドー首相(53)は本年1月6日、与党・自由党の党首と首相の職を辞任すると表明した。9年間にわたって国を率いてきたが、退陣を求める声が与党内で大きくなっていた。

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トランプ次期大統領は1月7日、メキシコ湾の名称を「アメリカ湾」に変えると主張した。「なんと美しい名前だろう。(アメリカ湾こそ)ふさわしい。」

ワシントン・ポストによると、メキシコ湾という名称は400年以上前から使われてきた。
米政府が使用する地名については、連邦政府機関である「米国地名委員会」が、提案があったものを承認や却下する仕組みだという。

これを受け、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は1月8日、メキシコ湾という名称は何世紀にもわたり国際的に認められてきたものだと反論した。

さらに、北米大陸にスペイン語で「America Mexicana」(英語でメキシカン・アメリカ)と書かれた1600年代の北米地図を示しながら、北米の名称をこれに変更するよう提案した。

米連邦議会下院は1月9日、国際刑事裁判所(ICC)への制裁法案を可決した。

Illegitimate Court Counteraction Act (不正裁判対抗法)という法律で、国際刑事裁判所 (ICC) が特定の個人に対する告訴を捜査または追求する場合、ICC の職員および関係者に制裁を課すものである。

実際には、ICCがイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状を発行した対抗措置になる。決定に関与した人物だけでなく、ICCに協力した同盟・有志国を含む外国の個人も米国に保有する資産が凍結される可能性がある。

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国際刑事裁判所(ICC)は2024年11月21日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアフ・ギャラント前国防相に対し、人道に対する罪と戦争犯罪の容疑で逮捕状を発行した。

ICCは、パレスチナ自治区ガザ地区でネタニヤフ首相とギャラント前国防相が戦争手段として飢餓という戦争犯罪に刑事責任を負うと信じるに足る合理的な根拠があると判断した。

さらに、食料や水、電気、燃料、特定の医療物資の不足がガザで民間人の一部の破壊をもたらす生活条件を作り出し、その結果、子どもを含む民間人の死亡をもたらしたと信じるに足る合理的な根拠があると判断した。

国際刑事裁判所(ICC)の所長は、赤根智子氏で、2024年3月11日に日本人として初めてICCの所長に選出された。1982年に検事に任官し、東京高検や最高検検事などを務めた。2018年には日本人として3人目となるICC裁判官に就任している。

司法機関であるICCには独自の警察や執行機関がないため、容疑者の拘束については、ICCに関するローマ規程締約国124カ国・地域の協力に依存している。ロンドンを拠点とするアラブ系ニュースメディア「ニュー・アラブ」によると、オランダ、アイルランド、カナダ、ノルウェー、南アフリカ共和国がICCに協力する意向を示したという。

イスラエル首相府は2024年11月21日に声明を発表し、「イスラエルは、ICCの虚偽で不条理な告発を全面的に拒否する。いかなる反イスラエルの決定も、イスラエル国家が国民を守ることを妨げることはない」と述べた。

米国のバイデン大統領は11月21日に声明を発表し、「イスラエルの指導者に対するICCの逮捕状発行は言語道断だ。イスラエルとハマスの間に同等性はない。われわれは、イスラエルの安全保障に対する脅威に対して、常にイスラエルとともに立ち向かう」と述べた。なお、イスラエルも米国もICCには加盟していない。

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Illegitimate Court Counteraction Act は、国際刑事裁判所(ICC)が特定の個人に対して捜査や起訴を行った場合、ICCの職員や関連者に対する制裁を課すもの。

この法案では、特定の個人を保護対象者として定義している。

この中には、(1) 米軍の隊員、(2) 米軍を支援する米国政府の職員および契約者、(3) 米国の同盟国やパートナーの軍隊の一部の隊員が含まれる。

ICCが保護対象者を捜査または起訴した場合、大統領は、保護対象者の捜査、逮捕、拘留、または起訴に関与したICCの職員または関連者である外国人(個人または団体)に対し、ビザの発給停止や資産凍結の制裁を課さなければならない。

さらに、ICCが保護対象者を捜査または起訴した場合、大統領は以下の外国人に対してビザ発給停止の制裁を課す必要がある。

  1. ICCの職員
  2. ICCの代理として行動する者
  3. 保護対象者の捜査、逮捕、拘留、または起訴を支援した者の直系家族

ただし、資産凍結制裁は物品の輸入には適用されない。

また、ビザ発給停止の制裁は、(1) 米国の重要な法執行目的を達成する場合、または(2) 国連本部協定のような国際的な義務を遵守する場合には適用されない。

下院の投票結果は下記の通り。

定員 435名  

共和党 民主党 合計 欠員
賛成 198 45 243
反対 140 140
棄権ほか 21 30 51
219 215 434 1


共和党の Matt Gaetz は、未成年女性と性的関係をもった疑惑、情報が流出 2024/11/13に議員を辞職し、下院の調査無効と主張 


上院も近く、採決する見通し。



住友ゴム工業は1月8日、Goodyear Tire & Rubber Companyより、欧州・北米・オセアニア地域における四輪タイヤのDUNLOP商標権等を526百万米ドルで取得する契約を締結したと発表した。
 
今回の商標権取得により、一部の地域や商材を除き同社がグローバルにDUNLOPブランドでタイヤ事業の展開が可能となる。

これまでDUNLOPブランドを使えないため、欧州・北米・オセアニア地域で展開してきたFALKENブランドは、各地域で培った商品企画力やマーケティング力を生かし、ファン層に向けたエッジの効いた商品等に注力していく。

一方、Goodyearは、これまで推進してきたGoodyear brand で全面展開する。

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これまでの経緯については、2017/1/7 住友ゴム、海外のDUNLOPブランド事業を買収 参照。

住友ゴム工業は2016年12月27日、英国のSports Direct International plc から、海外のDUNLOP商標権と DUNLOPブランドのスポーツ用品事業およびライセンス事業を137.5百万ドルで買収することについて合意したと発表した。

住友ゴムがDunlopの商標権と事業を買収する。

(1) DUNLOP商標権
  【タイヤ】
    タイ、インドネシア、ブラジル、南アフリカなど86カ国で使用権者(ライセンシー)から所有権者(ライセンサー)へ
    現状のビジネス(下記)については影響なし
  【スポーツ/産業品】
    テリトリー : 全世界 (日本・韓国・台湾はすでに商標権を所有)
    商品 : 既ライセンシーがいない限り、全ての商品に拡大
     
(2) DUNLOPブランドのスポーツ用品事業
    スポーツ用品の製造・販売 (日本・韓国・台湾はすでに商標権を所有)
     
(3) DUNLOPブランドのライセンス事業
    ウエア、シューズ、バッグ、メガネ、時計、傘等 (日本・韓国・台湾はすでに商標権を所有)

ーーー

今回はメインの自動車用タイヤの話で、過去の経緯は下記の通り。

住友ゴムは当初、英国のDunlop Rubber の日本工場としてスタートしたが、1963年に住友ゴムとなり、1999年にGoodyear Tire & Rubber と全世界のタイヤ事業で提携した。

しかし、住友ゴムは2015年10月1日付でGoodyearとのアライアンスを解消した。

北米JVと「ダンロップグッドイヤータイヤ」は住友ゴムが買取り
欧州JVと「日本グッドイヤー」はGoodyear社が買取り
共同購買及び技術交流、共同開発JVは解散

住友ゴムは、Goodyearから271百万USドルを受領

これに伴い、タイヤでのDunlopブランド商標使用権の帰属は下記のとおりとなり、現在に至っている。

  従来

解消後

  住友 Goodyear
北米(米・加・メキシコ) 米国JV 新車用 日系自動車新車用 非日系自動車新車用
市販用   市販用
モーターサイクル 新車用、市販用  
欧州 欧州JV     新車用、市販用
日本 日本JV 新車用 新車用、市販用  
住友ゴム 市販用
旧ソ連・トルコ・西アフリカ等33カ国 住友ゴム/欧州JV   新車用、市販用  
 
現在も今後も商標権保有   アジア、中東、中南米、東アフリカ 
(インドを除く)*
豪州・NZ

* タイ、インドネシア、ブラジル、南アフリカなど86カ国で使用権者(ライセンシー)から所有権者(ライセンサー)へ
なおインドはRuia Group が商標権を保有(Dunlop India は1984年にJumbo Groupに売却され、2005年にRuiaが買収した。)

2015/6/8 住友ゴム、Goodyearとのアライアンスを解消 



今回の欧州・北米・オセアニア地域における四輪タイヤのDUNLOP商標権等の買収で、次のようになる。

  従来

住友ゴム

  2016/12/27 解消後 2025~ 住友が全て買収
北米(米・加・メキシコ) 米国JV 新車用 日系自動車新車用
市販用  
モーターサイクル 新車用、市販用
欧州 欧州JV     モーターサイクルタイヤは除く
日本 日本JV 新車用 新車用、市販用
住友ゴム 市販用
旧ソ連・トルコ・西アフリカ等33カ国 住友ゴム/
欧州JV
  新車用、市販用
アジア、中東、中南米、東アフリカ (インドを除く)   下記を除く

四輪タイヤは、インド、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、

モーターサイクルタイヤは、インド、オセアニア地域

豪州、NZ

トランプ次期大統領は1月20日に就任式を行うが、閣僚やホワイトハウス高官の指名を矢継早に行っている。

合衆国憲法は、上級公務員について大統領が指名し、上院が承認することを定めている。

上院の承認が必要な上級公務員はPAS(Presidential Appointed, Senate-confirmed)と呼ばれ、各省の長官や外交官、最高裁裁判官をはじめ1,200人以上が対象となっている。

上院が休会している間に生じた公務員の欠員については、上院の承認を得ないで任命する権限「休会任命」(recess appointment)を大統領に与えている。

トランプ次期大統領は、上院での承認プロセスに時間がかかることを問題視している。また、指名した数名の候補者に対して共和党の上院議員から承認に慎重な見方が示されていることもあり、同氏が1月20日の就任以降に上院を休会させて休会任命により、主要閣僚を任命するとの見方がでており、その動向が注目されている。

特に問題視されているのは、黄色で覆った各氏

Pete Hegseth 国防長官候補:国防総省のような大規模な組織を運営した経験がないだけでなく、2017年に性的暴行疑惑で警察の捜査を受けている。戦闘任務への女性従事に否定的。

Robert F. Kennedy Jr.保健福祉長官候補:新型コロナウイルスのワクチンに反対、「自閉症はワクチンが原因の可能性がある」「医薬品の一般向けの消費者広告を中止したい」と主張、肥満薬、糖尿病薬に反対

Kash Patel FBI長官候補:トランプ氏の捜査にあたったFBIなどを「ディープステート(闇の政府)」と批判する陰謀論を唱えてきた。

Tulsi Gabbard 国家情報長官候補:ロシアに同調するコメントや、2017年のシリア訪問・アサド大統領との会見など



第2次トランプ政権の主な顔ぶれ  赤字は女性

国務長官 Marco Rubio 上院議員 2016年の大統領選の共和党予備選でトランプと敵対、その後関係修復。
中国、イラン、ベネズエラに対する強硬派として知られ、ウクライナ支援には懐疑的。
財務長官 Scott Bessent ジョージ・ソロスのもとで経験を積んだ投資ファンド経営者
国防長官 Pete Hegseth FOXニュースの司会者、保守的な言動。
元軍人だが、軍や国家安全保障分野の上級職に就いた経験なし。戦闘任務への女性従事に否定的
司法長官 Pam Bondi 元フロリダ州司法長官。第1次政権でトランプが弾劾訴追された際の弁護団の一員
 当初 Matt Gaetz (辞退)下院議員。未成年女性と性的関係をもった疑惑 情報が流出 (議員を辞職し、下院の調査無効と主張)
内務長官 Doug Burgum ノースダコタ州知事。化石燃料の採掘促進を主導するとみられる
農務長官 Brooke Rollins 弁護士。シンクタンク「アメリカ・ファースト政策研究所」所長
商務長官 Howard Lutnick 米投資銀行トップ。政権移行チームの共同議長。対中強硬派
労働長官 Lori Chavez-DeRemer オレゴン州選出の下院議員(ラテン系女性としては同州初)、今回落選
保健福祉長官 Robert F. Kennedy Jr. 故Robert Kennedyの長男、弁護士、大統領選に無所属で立候補したが撤退してトランプを支持。FDAに対して批判的な立場、新型コロナウイルスのワクチンに反対 
住宅都市開発長官 Scott Turner 元下院議員。政界進出前は、米プロフットボールリーグ(NFL)選手
運輸長官 Linda McMahon プロレス団体「WWE」の元CEO。共和党への大口献金者で、シンクタンク「アメリカ・ファースト政策研究所」の理事長。第1次トランプ政権では中小企業庁長官
退役軍人長官 Doug Collins 元下院議員。トランプの「ウクライナ疑惑」をめぐる弾劾調査で同氏を強力に擁護。現在は空軍予備軍司令部の牧師
国土安全保障長官 Kristi Noem サウスダコタ州知事として、国境管理強化のため州兵を米メキシコ国境に派遣。
大統領首席補佐官 Susie Wiles 大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めた選挙戦略のプロ。冷徹さを買われ、トランプ氏から「氷の乙女」と紹介された
FBI 長官 Kash Patel 第1次トランプ政権では国防総省高官などを務めた。トランプ氏の熱烈な支持者で、トランプ捜査を巡る陰謀論主張
CIA長官 John Ratcliffe 元下院議員、第1次トランプ政権では2020~21年に国家情報長官を務めた。トランプの弾劾訴追時も、トランプ氏を強く擁護。
国家情報長官 Tulsi Gabbard 元下院議員 (米国議会初のサモア系アメリカ人で、米国議会初のヒンドゥー教徒)、2020年の大統領選では「非介入主義」の外交を掲げて民主党候補の指名獲得を目指したが、その後に離党。古巣を批判し保守層から人気を集めた。 ロシアに同調するコメント (「ウクライナ侵攻はロシア政府の責任によるものでない」)や、2017年のシリア訪問・アサド大統領との会見を巡り追及される見通し。
国境管理担当
"Border czar"
Tom Homan 国境管理で中核的な役割を担う。移民税関捜査局で局長代理を務めた経験があり、トランプが掲げる不法移民の「史上最大の強制送還」を担当するとみられる。
Department of Government Efficiency
(非公式の組織)
Elon Musk テスラ、スペースXなどを経営する世界有数の起業家。大統領選では自らが所有するX(旧ツイッター)で連日トランプ支持を訴えた。
Vivek Ramaswamy インドからの移民2世で、実業家として製薬ベンチャーなどを起業。24年大統領選では共和党の指名争いに立候補し、撤退後はトランプ氏を熱烈に支持してきた。製薬スタートアップ企業のRoivant Sciences (住友ファーマにライセンス)の創業者
「2人は官僚主義を解体し、過剰な規制と無駄な支出を削減する。
 特に重要なのは、年間6.5兆ドルに及ぶ政府支出に存在する膨大な無駄や詐欺行為を排除すること」
Musk: 連邦予算から少なくとも2兆ドルを削減できると主張 → (11/20 目標縮小)年間5千億ドル分の歳出について削減を
行政管理予算局局長 Russ Vought 第1次政権でも同じ役職を担った「コストカッター」で、歳出削減や規制緩和に取り組むとみられる
EPA長官 Lee Zrldin 元下院議員でトランプ氏の長年の盟友。環境政策の実績は乏しいと報じられている。環境規制の緩和を目指すとみられる。
大統領補佐官
(国家安全保障担当)
Michael Waltz下院議員 「グリーンベレー」出身で、アフガニスタンなどで従軍。バイデン政権のウクライナ支援を批判し、対中強硬派でもある。
国連大使 Elise Stefanik下院議員 下院共和党ナンバー3の党会議議長。親イスラエルの姿勢で知られ、国連でイスラエルへの批判が広がっていることに反発し、米国の資金拠出の見直しを訴えた。
中小企業局 Kelly Loeffler 元上院議員。トランプに忠実で、2020年選挙の結果を覆す運動を支持。
大統領顧問 Alina Habba 去数年間、トランプの裁判でトランプの弁護を行った。
"Crypto czar" (新設)
暗号資産担当官
David Sacks   トランプ:「David は、人工知能と暗号資産において政権の政策を導くことになる。この2つの分野は、将来の米国の競争力にとって重要だ。Davidは、両分野において米国を明確なグローバルリーダーとすることに注力する」
公衆衛生局長官 Dr. Janette Nesheiwat ニューヨークで開業する医師で、現在は緊急医療センターのチェーンの医療ディレクターを務めている。
トランプ大統領は「予防医学と公衆衛生の熱心な支持者であり、強力なコミュニケーター」と称賛した。
大統領報道官 Karoline Leavitt   27歳での就任は歴代最年少
トランプ政権の最初の任期中、ホワイトハウスで報道官補佐として働く。今回のトランプの選挙運動で全国報道官を務めた。


なお、選挙後の上院、下院の議席数は下記の通りとなる。上院で1名、下院で2名がトランプ政権で閣僚等になる予定で、その時点で議員を辞任する。

上院

 

共和党

民主党 民主系
無所属
欠員 合計
改選後 53 45 2 100
異動 -1 1
異動後 52 45 2 1 100


Marco
Rubio 上院議員が国務長官になる時点で辞任するため、新議会で後任決定まで欠員1 となる。

下院

定員 435名  

共和党 民主党 合計 欠員

改選後

220 215 435 0

選挙後に辞任

-1 -1

小計

219 215 434 1

2議員の辞任

-2 -2

合計

217 215 432 3


Matt Gaetz議員が未成年女性と性的関係をもった疑惑で、情報が流出、11月13日に議員を辞職した。        

追って
Elise Stefanik議員は国連大使に就任するため、辞任。
Michael Waltz 議員は大統領補佐官(国家安全保障担当)に就任するため辞任

この結果、トランプ議会のスタート時には共和党と民主党は217:215と接近し、数名の反対や欠席で結果が変わることにもなりかねない。

ーーー

米連邦議会で1月3日、昨年11月の選挙結果を受けた新議会が開会し、下院(定数435)で共和党のマイク・ジョンソン議長が僅差で再選された。当初は必要な過半数を得られない可能性があったものの、ドナルド・トランプ次期大統領が後押ししたこともあり、必要な票数を得た。

共和党は下院で219議席を得ている。議長選出には過半数の218人の支持が必要なため、共和党議員2人が造反すればジョンソン氏は再選に必要な過半数に届かない状況だった。当初は議員3人が造反したものの、ジョンソン氏は本会議場を離れて3人を説得。この結果、2人がジョンソン氏の支持に回り、再選が決まった。

議長候補 得票
共和党 Johnson議員 218
民主党 Jeffries議員 215
共和党 Emmer 議員 1
合計 434

建設現場でアスベスト(石綿)を吸い、健康被害が生じた元労働者や遺族らが建材メーカー12社に損害賠償を求めた東京第1陣訴訟の差し戻し審で、東京高裁は2024年12月26日、7社が原告282人に計約40億円の和解金を支払う内容の和解案を提示した。

弁護団によると、増田稔裁判長はこの日の協議で「早期全面解決を願って提案した」と述べた。

東京第1陣訴訟は2008年に起こされた。

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最高裁は2021年5月17日、この訴訟を含む4件の上告審判決で、適切な規制を怠ったのは違法だとして国の責任を認定した。東京第1陣訴訟については、メーカーの損害への関与度を原告ごとに検討する必要があるとして、審理を高裁に差し戻した。

本件の経緯は下記の通り。

建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込んだ元建設作業員と遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた4件の訴訟の
高裁判決、過去の最高裁判決は下記の通り。(〇は有罪、Xは無罪、一人親方の〇は補償対象、Xは補償対象外)
メーカーの責任 一人親方への責任
最高裁第一小法廷 横浜地裁 東京高裁 2017/10 X   労働関係法令が保護対象とする「労働者」には当たらず、国は賠償責任を負わない。
事後 最高裁 2022/6/3 X 1名差し戻し、4名棄却
東京地裁 東京高裁 2018/3 X  「健康被害との因果関係が立証されていない」 〇  建設現場で労働者とともに作業に従事
最高裁 2020/12 2021/2/25に弁論
京都地裁 大阪高裁 2018/8 〇  労働安全衛生法には「労働現場で生じる健康障害について労働者以外の保護を念頭に置いた規定がある」
最高裁 2021/1
屋外作業1名:3/22に弁論
大阪地裁 大阪高裁 2018/9 〇  労働安全衛生法上の保護対象ではないが、国の違法行為があれば保護されるべき
最高裁 2021/2/22
屋外作業1名:4/19に弁論


最高裁第一小法廷が担当する4件のうち、横浜分を除く3件は既に判決が出ているが (横浜は2021/5判決以後に出た)、いずれも理由なしで原告または被告側の上告を却下し、一部の賠償が確定していた。また高裁判決の一部については判断をせず、その後に弁論を開き、双方の意見を聴取した。

一人親方への責任、メーカーの責任、屋外作業者への責任で、判断が分かれていた。

このため最高裁は横浜地裁の件も含め4件について最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長ほか4人の5裁判官)で審理し、2021年5月17日に最高裁としての判断を下した 。裁判官5人全員一致の意見である。

(国の責任)

国は石綿の吹き付け作業を禁じた1975年10月1日には、肺がんや中皮腫の危険性を認識していたと指摘した。
建設事業者に労よ働者への防じんマスク着用を義務付けたり、建材に危険物と表示するようメーカーを指導したりすることを怠ったとし、国が石綿使用を原則禁止した2004年9月30日までの29年間を違法と判断した。

(メーカーの責任)

メーカーが警告表示なしに建材を販売し、元労働者らに石綿を吸わせる結果になった点も違法と認定した。

労働者は複数の現場で作業するため、 「複数の企業が個別にどの程度の影響を与えたかは不明」だが、シェアの高いメーカーの製品は現場に届いた可能性が高いなどとして各社の共同不法行為(民法719条1項後段類推適用)を認め、「各社は連帯して損害賠償責任を負う」とした。

東京高裁判決の12社のうち、シェア上位企業10社を対象とし、メーカーごとの責任の範囲や賠償額については、高裁で審理することを命じた。


  https://joshrc.net/archives/9706

(救済対象)

労働者のほか、労働法令では労働者とみなされない個人事業主の「一人親方」についても、「労働者と同等に保護されるべきだ」として救済対象に含めた。
一人親方を救済しないことは「合理性を欠き、違法」だと結論付けた。

屋内作業者が対象となる。
解体工については国の責任は認めたが、メーカー責任は認めず。
(メーカーの場合、仮に警告表示していたとしても、解体時には警告を認識できないため、被害は回避できない。)

主に屋外で作業していた元労働者への責任は「国やメーカーが危険を認識できたとは言えない」として認めなかった。
屋外作業でのアスベスト濃度について、「規制値を下回っていたとするデータもある」などとして訴えを全面的に退けた。
建材メーカー
対象職種 屋内作業者
解体工 X 
屋外工  X 

2021/5/19

最高裁、建設アスベスト訴訟で 国と企業の責任認める

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東京第1陣訴訟の差し戻し審で、東京高裁は2024年12月26日、7社が原告282人に計40億2956万円の和解金を支払う内容の和解案を提示した。裁判所は別紙含めて1100ページにわたる書面をもって、個々の一審原告ごとに具体的な和解金額を示した和解案を提示した。

本和解案の対象は、一審原告347名のうち解体工等を除く306名である。このうち、経験した現場の数が基準に満たなかった元労働者ら24人は和解金支払いの対象から外れた。

和解案の具体的な内容は、建材メーカー12社のうち7社(エーアンドエーマテリアル、太平洋セメント、ナイガイ、ニチアス、日東紡績、ノザワ、エム・エム・ケイ)に対して一審原告ら282名に総額金40億2956万円の和解金を支払えというものである。

本和解案の特徴は、全ての建材メーカーらに警告義務違反を認めたこと、概ね10%のシェアを有する建材メーカーについては建材が現場に到達した事実を認めたこと、建材メーカーの基本寄与度を40%から50%と認めたこと、基本慰謝料額を建設アスベスト給付金と同一額を認めたことであり、この点は弁護団は評価した。

改修・解体作業での石綿粉じん曝露を中心とする解体工等の一審原告41名については、2022年6月3日の神奈川2陣最高裁判決が解体作業従事者に対する建材メーカーらの警告表示義務を否定するという判断をしたが、これを是正するには差戻審をはじめとする同種訴訟で適正な判決を得る必要があることから、本和解案の対象にはされておらず、今後、差戻審において判決が言い渡される予定である。

最高裁判所第2小法廷は2022年6月3日、原告5名との関係で、原告らのニチアス及びA&Aに対する請求を認めた東京高裁の判決を破棄し、原告1名について審理を東京高裁に差戻し、原告4名について原告らの請求を棄却する判決を言い渡した。
建物の解体作業に従事した被災者との関係で、建材メーカーらの警告義務違反を認めた東京高裁判決を取り消すものである。
なお、東京高裁に差戻しとなった1名の原告は、建物の解体作業以外の建築作業に従事した経歴を有することから、損害の額等について更に審理を尽くさせる必要があるとして差戻しとなったもの。

建築現場では、石綿の危険性や石綿粉じん曝露防止策の必要性が全く周知されていなかったため、多くの建築作業従事者が無防備な状態で作業に従事し、石綿粉じんに曝露することになった。このような状況は、建物の解体作業に従事した被災者との関係でも全く同じであった。
ところが、最高裁は建物の解体までには長期間を経るのが通常であり、その間に注意書の紛失等の事情が生じ得ること等を指摘し、いずれも警告表示の方法として実現性又は実効性に乏しいと判断して、建材メーカーらに建物の解体作業に従事した被災者との関係では警告義務を認めなかった。

弁護団は次のように述べた。

提訴から最高裁判決まで約13年、差戻審の本和解提案に至るまでに約16年経過し、一審原告らのうち既に9割以上が亡くなっている。これ以上の解決の先延ばしは非人道的であり許されない。

本和解案は、差戻審での2年半にわたる審理と、結審から本日の和解所見提示まで1年を要して出されたものであることから、われわれは判決と同等の重みをもつものとしてその重大性を真摯に受け止め、可能な限り早期に和解案に対するわれわれの態度を表明する所存である。

建材メーカーらに対しては、最高裁判決後の差戻審の和解案であるという重みを踏まえて本和案を検討することを求める。一審被告メーカーらがいたずらに本和解所見を拒否し判決を選択すれば、さらに解決が引き延ばされる事態となる。このような事態は、非人道的であり、企業の社会的責任を放棄するもので到底許されるべきではない。

2024年1月19日、洋上風力第3ラウンドの事業者公募が開始された。今回の対象区域は「青森県沖日本海(南側)」「山形県遊佐町沖」の2つで、公募の期間は2024年1月19日〜2024年7月19日。

第1ラウンド 2022/2/24 国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題に 

第2ラウンド 2024/4/18 洋上風力第2ラウンド

経済産業省及び国土交通省は12月24日、海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域である「青森県沖日本海(南側):下表の⑦」における事業者について 「つがるオフショアエナジー共同体」、「山形県遊佐町沖」⑩について 「山形遊佐洋上風力合同会社」を選定した。

海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域公募占用指針(令和6年1月策定)に定める評価基準に基づき、供給価格(120点満点)及び事業実現性に関する要素(120点満点)について評価を行い、下記のとおり採点した。

青森県沖日本海(南側)

山形県遊佐町沖

コスモエネルギーホールディングスの子会社であるコスモエコパワーは、昨今の資材高や労務費の高騰などを考慮し、仮に第3ラウンドを勝ち抜いたとしても採算が厳しいとして入札を見送った。

コンペ"2勝目"を狙っていた三菱商事やドイツのエネルギー大手、RWEが完全撤退。国内最大の発電事業者であるJERAと住友商事は2エリアとも応札する予定だったが、JERAは山形県沖、住友商事は青森県沖で入札を見送った。いずれの事業者も、これまでのコンペで勝ち取ったプロジェクトの進捗が思わしくなく、既存プロジェクトへのリソース投入を優先した。

ーーー

全体計画は下記のとおり。

選定事業者 運転開始
促進地域 ①長崎県五島市沖 1.7万kw 戸田建設グループ
②秋田県能代市・三種町・男鹿市沖 47.88万kw 三菱商事連合
③秋田県由利本荘市沖 81.9万kw 三菱商事連合
④千葉県銚子市沖 39.06万kw 三菱商事連合
⑤秋田県八峰町・能代市沖 37.5万kw ジャパン・リニューアブル・エナジー
(ENEOS グループ)
イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、
東北電力 
2029/6/30
有望な区域 ⑥長崎県西海市江島沖 42.0万kw 住友商事、東京電力リニューアブルパワー 2029/8/31
⑦青森県沖日本海(南側) 61.5万kW つがるオフショアエナジー:
JERA、グリーンパワーインベストメント、東北電力
2030年6月
⑧青森県沖日本海(北側)      
⑨秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖 31.5万kw JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力 2028/6/30
⑩山形県遊佐町沖 45.0万kW 山形遊佐洋上風力合同会社:
丸紅、関西電力、BP Iota Holdings、東京瓦斯、丸高
2030年6月
⑪新潟県村上市及び胎内市沖 68.4万kw 三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎内、
大阪瓦斯
2029/6/30
⑫千葉県いすみ市沖      

下院は12月20日、連邦政府の当面の資金繰りを確保する「つなぎ予算」を賛成多数で可決し、懸念されていた政府機関の一部閉鎖は回避される見通しとなった。


トランプ次期大統領が強く求めていた債務上限の撤廃を「つなぎ予算案」から除外したことで、超党派での賛成につながった。

来年3月14日までの政府の資金繰りなどを確保する新たな「つなぎ予算案」に共和党と民主党の大半の議員が賛成して可決した。

共和党 民主党 合計
賛成 170 196 366
反対 34 0 34
棄権 15 15 30


法案は上院に送られ、日付が変わった12月21日12時38分、賛成 85、反対 11 で可決した。バイデン大統領の署名で成立する見通しで、懸念されていた政府機関の一部閉鎖は回避されることになった。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 37 46 2 85
反対 10 0 1 11
棄権 2 1 1 4
合計 49 47 4 100


付記 バイデン大統領は21日、「つなぎ予算案」に署名した。

米国のつなぎ予算は12月21日で切れる。

米議会共和・民主両党の指導部は12月17日、2025年3月14日までの連邦政府予算を確保するつなぎ予算案を発表した。

法案は連邦予算を現在の約6兆2000億ドルに維持し、軍や航空管制官、医薬品の安全性から証券市場まで幅広い分野の規制当局のプログラムに資金を提供する内容。災害支援向けに1004億ドル 、農家支援に100億ドル、3月に発生したボルティモア港の事故によって崩落した橋の再建費用を連邦政府が負担などのの新たな緊急予算も含まれる。

トランプ次期大統領は12月18日、つなぎ予算案に反対するよう議員らに促した。


2024/12/19 米議会、つなぎ予算で攻防、トランプ次期大統領が 介入

トランプ氏はABCに対し、債務上限が撤廃されるか、引き上げられない限り、政府機関は閉鎖されるとの考えを表明。「われわれがそれを得られなければ、政府機関は閉鎖されるだろう。しかし、それはバイデンのせいだ」とし、政府機関が閉鎖されても、バイデン大統領に打撃を与えるだけだと語った。

NBCニュースとの電話インタビューでは、債務上限を完全に撤廃することは、議会が「成し得る最も賢明なことだ。私は全面的に支持する」と述べた。

トランプ氏と下院共和党は12月19日、連邦政府機関の閉鎖を回避し、連邦債務の上限を2年間停止することで合意した。トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で、新たなパッケージには被災者や農家への支援が含まれており、「米国民にとって非常に良いディールだ」と称賛した。

また、次期政権で歳出削減を主導する組織「政府効率化省」の責任者に起用されたイーロン・マスク氏はX(旧ツイッター)への投稿で、新たな合意はこれまでのものより「はるかに優れた法案であり、真の継続決議案に近い」とし、「民主党がこれを拒否し、政府機関が閉鎖されれば、中間選挙で大敗するのは当然だ」と述べた。

しかし、下院は12月19日、2025会計年度(2024年10月~2025年9月)の歳出法案成立までの間、政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算法案の修正案を賛成174票、反対235票で否決した。

共和党 民主党 合計
賛成 172 2 174
反対 38 197 235
棄権 9 12 21
合計 219 211 430

今回否決された法案は、トランプ次期大統領らの批判を受けて12月17日に発表された法案に修正が加えられたもので、事前にトランプ氏も支持を表明していた。

修正法案では、当初の法案と同様、(1)3月14日まで現状と同水準の支出を維持、(2)ハリケーンなどの被災に対応するため災害援助資金を追加、(3)農業法を1年間延長、(4)3月に発生したボルティモア港の事故によって崩落した橋の再建費用を連邦政府が負担などの条項は維持されていた。

一方で、農業関連で盛り込まれていたトウモロコシなどから生成されるバイオエタノールの通年販売を承認する条項や、議員歳費に関する条項、小児がん研究に対する資金を提供する条項など複数の条項が削除された。

また、修正法案にはトランプ氏の要望を反映して債務上限の適用を2027年1月30日まで停止する条項が盛り込まれていた。

2023/6に可決された法案では、2025年1月1日まで凍結する となっており、次期政権下でトランプ減税の延長をはじめとする財政政策が制約される。
債務上限の適用を2027年1月30日まで停止すれば、財政赤字の規模に縛られることなく実施することが可能となる。

これが今回の採決に当たっての最大の争点となった。同条項に対しては、ジェフリーズ下院民主党院内総務が、下院共和党は政府閉鎖の脅しの下、「議会をほんの一握りの富豪や億万長者の意向に従わせようとしている」と述べるなど民主党が反対したほか、ロイ下院議員をはじめ財政緊縮を主張する共和党保守派からも強い批判があり、共和党からも38人もの反対票が投じられた。

法案に反対したロイ議員は、「財政責任を訴えながら、国民に向かって、これは財政的に責任ある法案だと思うと大胆に言う党には本当にうんざりだ」と述べた。

前日には、トランプとイーロン・マスクが反対を表明したことにより、超党派の合意が破棄されていた。

米下院は12月11日、国防予算の大枠を決める国防権限法(NDAA)を可決した。年間の軍事支出として過去最高額となる8,950億ドルになる。

軍拡を進める中国を念頭に、インド太平洋地域での米軍の能力を高める「太平洋抑止イニシアチブ」に155億ドルを充てる。前年の147億ドルから増額された。台湾への3億ドルの支援も盛り込まれた。

また米政府に対し、在日米軍司令部の「統合軍司令部」を設置することに関する計画を策定するよう求めた。

米国が後ろ盾となってきたイスラエルのミサイル防衛を支援するため、5億ドルの拠出も盛り込んだ。さらに米国防長官らが、防衛に関する情報をイスラエルに提供し、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスの幹部の拘束や殺害などを支援することも求めた。

一方、ロシアが侵攻したウクライナ関連では、米政府が連邦議会に対して、米国がウクライナ支援を停止した場合に起こりうるケースなどについて報告することを求めている。

軍事装備の購入や中国やロシアのような主要ライバルとの競争力強化に加え、今年の1,800ページに及ぶ法案は米軍の生活の質を向上させることに焦点を当てている。

米軍の待遇改善で下級の兵士の給与を14.5%、それ以外を4.5%引き上げる。

軍人のトランスジェンダーの子どもに対する性転換医療など「ジェンダー・アファーミング・ケア(性自認に合わせた医療)」への資金拠出は一部阻止する内容となっている。

ジェンダーアファーミングケアとは、トランスジェンダーやノンバイナリーの人々が、自身のジェンダーアイデンティティと外見を一致させることを目的とした医療的ケアや治療で、ホルモン治療や第二次性徴抑制薬、手術、音声療法などが含まれる。

法案では共和党の要求で、軍人のトランスジェンダーの子どもについて、不妊手術につながるリスクがある場合、軍の医療プログラムでジェンダー・アファーミング・ケアをカバーすることを禁止する。

トランプ次期大統領や多くの共和党議員は今年の選挙戦でトランスジェンダーの権利を支持する民主党を批判してきた。


下院では281対140で可決され、民主党が主導する上院に送られた。

共和党 民主党 合計 欠員
賛成 200 81 281
反対 16 124 140
棄権 4 6 10
合計 220 211 431 4


上院は12月18日、国防権限法案を賛成多数で可決した。バイデン大統領が署名して成立する。
  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 45 37 3 85
反対 3 10 1 14
棄権 1 1
合計 49 47 4 100

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