「no」と一致するもの

 

Stay Hungry. Stay Foolish.

これは彼が2005年6月12日にStanford Universityの卒業式で来賓として行ったスピーチの最後の言葉。

若いころに愛読したThe Whole Earth Catalog の最終号の後ろのカバーに書かれた言葉である。

And I have always wished that for myself. And now, as you graduate to begin anew, I wish that for you.
Stay Hungry. Stay Foolish.

 

スピーチでは3つの話をしている。

1)The first story is about connecting the dots.

You can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something -- your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.

2)My second story is about love and loss.

You've got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven't found it yet, keep looking. Don't settle. As with all matters of the heart, you'll know when you find it. And, like any great relationship, it just gets better and better as the years roll on. So keep looking until you find it. Don't settle.

3) My third story is about death.

When I was 17, I read a quote that went something like: "If you live each day as if it was your last, someday you'll most certainly be right." It made an impression on me, and since then, for the past 33 years, I have looked in the mirror every morning and asked myself: "If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?" And whenever the answer has been "No" for too many days in a row, I know I need to change something.(彼は若いころから禅に傾倒していた)

Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma -- which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.

中国国有資源大手の中国五鉱集団の中国五鉱能源(Minmetals Resources)は9月29日、コンゴで銅鉱山開発のAnvil Miningを12.8億ドルで買収することで合意した。

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五鉱能源は本年4月に、豪州とカナダに上場している銅鉱山開発会社のEquinox Minerals に対して63億カナダドルでの買収提案を行った。

しかし、同社はその後、買収計画を撤回した。
世界最大の産金会社、カナダのBarrick Gold が五鉱資源を上回る買収提示額(73億2000万カナダ・ドル)を示したことを受けたもの。

2011/4/15 中国五鉱集団、Equinox Minerals に買収提案 

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五鉱能源は銅資源の確保を狙い、その後、Anvil Miningと交渉を行った。
中国は世界の銅需要の40%を占めており、銅の価格が上昇する中、銅鉱山の取得に熱心である。

Anvil Miningはオーストラリアに本社を置く銅生産企業で、カナダとオーストラリアに上場している。
買値は4月29日のトロント市場終値に39%のプレミアムを乗せたもので、友好的買収となる。

Anvilは2011年8月に、会社の価値を最大化するために、売却を含む戦略的代替案の検討を開始したことを明らかにしていた。


Anvil Miningはアフリカのコンゴ民主共和国を中心に事業展開しており、同国における主要銅生産企業の1社である。

生産拠点はコンゴ南東部に位置するカタンガ州で、2002年から銅の生産を行っている。

主力はKinsevere銅鉱山で、
Stage I HMS(重液分離) プラントでは2010年に 16,538トン(oxide concentrate form)の生産を行った。2011年通年では36,000~38,000トン( Cu cathode)の生産を期待している。

現在、Stage II で年6万トンのLMEグレードの銅陰極プラントの建設中。

他に、国営資源企業であるGécaminesとのJV (Anvilが70%)でMutoshi HMSプラントを持っている。

 

BASFは9月27日、ベルギーのAntwerpにある肥料工場をロシアのEuroChemに売却する契約を締結した。
Totalの子会社のフランスのGPNとのJVの PEC-Rhinの50%持分もEuroChemに売却する意向で、合計の売却額は約7億ユーロ。 

付記

BASFは2012年1月20日、PEC-Rhinの50%持株をJV相手のGPN(Total子会社)に売却する契約を締結したと発表した。
ベルギー工場のEuroChemへの売却は予定通り手続きを進めている。

売却対象は肥料生産能力で約250万トンで、Antwerpには硝酸カルシウム/硫安肥料、Nitrophoska®肥料、ニトロリン酸、3つの硫酸プラントが、PEC-Rhinには硝酸カルシウム/硫安肥料、アンモニア、硫酸工場がある。

BASFLudwigshafen本社の肥料工場は、他の製品群と密接な関係があるため、売却対象外となる。

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EuroChem はロシアの富豪のAndrei Melnichenkoの会社(ロシア名はEvrokhim)で、世界で10位以内に入る農業関連企業。

・窒素ではアンモニア能力で7位
・燐ではリン酸能力で8位、燐安(MAP/DAP
)で7位
・カリでは埋蔵量で5位

同社の製品群と能力は以下の通りで、工場はロシア、リトアニアが中心。

カリについては窒素・リン酸事業と別系統。

2008年にゼロから業界に参入し、ロシアの2大メーカーのUralkali とSilvinit に挑戦した。
VolgagradとPermで生産しており、更に Gremyachinskoeで開発中(2013年に第一期でKCL 230万トン)
また、 K+S AG(下記)に8.7%を出資している。

 EuroChemのCEOは、BASFの肥料コンプレックスと PEC-Rhinの50%の買収で、高品質の製品の製造設備を手に入れ、活動地域を広げ、欧州需要家への供給が容易になるとしている。

ーーー

BASFでは肥料事業は重要性を失ったとし、売却を検討してきた。肥料の売上高は全体の1%以下である。

本年3月にはOrascom Construction Industriesとの間で肥料事業(AntwerpとPEC-Rhin)売却の初期段階の交渉をしていることが明らかになった。売却額は5億ユーロと見られていた。

Orascomはエジプトと中東で公共および個人顧客向けにエンジニアリング、調達、建設などのサービスを提供しているが、窒素系の肥料事業も行っている。

現在及び計画能力は以下の通り。

  現 能力 2012年能力
無水アンモニア  115万トン 220万トン
粒状尿素 130万トン 280万トン
アンモニウム-硝酸カルシウム (CAN) 115万トン 145万トン
尿素・硝安 (UAN) 20万トン 52.5万トン
メラミン 25万トン 25万トン
メタノール 75万トン

ノルウェーの窒素肥料メーカーのYara もBASF資産に関心を示していた。

同社は世界最大のアンモニア、硝酸、複合肥料のメーカーで、世界各国に工場を持つ。
  http://www.yara.com/about/production_sites/global_production_capacity/index.aspx

BASFはより高額(7億ユーロ)のEuroChemへの売却を選んだ。

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BASFの肥料工場売却に伴い、BASFの肥料の販売を受託している K+S KALI GmbH も販売網をEuroChemに売却する可能性が出てきた。

BASFは以前の子会社のK+S に肥料の販売を委託しており、契約は2014年まで有効となっている。

K+Sではサプライヤーが変わっても需要家との契約は守るとしているが、以前から、BASFのプラントが買収された場合には窒素肥料の販売ネットワークを買い手に売る可能性があるとしていた。

主事業はカリ、マグネシウムの採掘で、ドイツの6つの鉱山で年間750万トンを生産している。
世界で第4位のカリのメーカー。

カリと塩に注力しており、窒素肥料のマーケティングはコア事業ではないとし、家庭用肥料などの事業を売却した。

K+Sは、ドイツのSalzdetfurth AGと Wintershall AG のカリ(Kali)と岩塩(Salz)事業を統合して、BASFの傘下でKali und Salzとして設立されたのが始まり。

その後、BASFは株式を順次売却した。
2011年3月には10.3%を9億ユーロで売却した。

 

参考 カリのメーカーと損益

   2009年の利益は以下の通り。(単位:100万US$)
    * は
PotashCorpの出資先(上記)

PotashCorp   988
ICL(Israel) * 724
Yara (Norway) 613
Uralkali (Russia) 451
CF Industries (USA) 449
Mosaic (USA) 414
K+S (Germany) 403
SQM (Chile) * 372
Agrium (Canada) 366
APC (Jordan) * 281
Terra (USA) 153

デンマーク政府は国民の平均寿命を延ばすため、10月1日から「脂肪税:fat tax」を導入した。
バターなどの動物性脂肪に多く含まれる「飽和脂肪酸」を一定以上含む食品に対する課税を行うもの。

飽和脂肪酸を多く摂取すると、動脈硬化などを引き起こす悪玉コレステロールが増加し、がんの原因になるともいわれる。

政府は食生活の改善を目指し、心臓疾患などの生活習慣病を予防するため、2011年3月に導入を決定した。
保健・予防相は、世界初とされる「脂肪税」の導入について、「砂糖、脂肪、たばこに高い課税をすることは平均寿命を延ばすため、重要な施策の一つだ」と述べた。
デンマークは平均寿命が世界平均の79歳以下であるため、次の10年で寿命を3歳延ばすことを目標としている。

課税対象は、2.3%以上の飽和脂肪を含むバター、チーズ、牛乳、ピザ、チーズバーガー、肉、加工食品などで、飽和脂肪1kgあたり16クローネ(約220円)が課税される。

例えば、バター250gの値段は2.2クローネ(30円)上がる計算になり、今回の課税で約22億クローネ(約300億円)の税収が見込まれており、バターの消費量は約15%減少すると試算している。

デンマークでは、すでにほかの欧州各国と同様、砂糖、チョコレート、清涼飲料水にも課税している。

この課税に対しては、「デンマーク人はバターが好きだから、課税で効果は生まない」とか、「子どもはやるなと言われるとやるもので、もっと食べるのではないか」と疑問を呈する声が多い。

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ハンガリーも9月1日に"Hamburger tax"と呼ばれる"fat tax"  を導入した。

肥満防止のため、スナック菓子や清涼飲料水など塩分や糖分、カフェイン、炭水化物が高い食品に対する課税で、7月1日に法律が制定され、9月1日に施行された。

エネルギードリンク(1リットル)に300 forints ($1.63)、チップス(1kg)400 forints、糖分の多いソーダ(1リットル)10 forints などとなっている。

これによる税収は年間1.6億ドルと見込まれ、5.3億ドル赤字のヘルスケアのために使われる。
 

Lanxessは9月26日、オランダのGeleen のEPDMの50%を最新のKeltan ACE技術に転換すると発表した。
同工場の能力は年産16万トンだが、3系列のうち最大の系列を転換する。

同時にEPDMのグローバル本拠地をGeleenに移す。

LanxessはブラジルのTriunfoにも4万トンのEPDMプラントを持っているが、同社は9月21日、同地で世界初のバイオベースのEPDM(ブランド:Keltan Eco)を生産すると発表した。

Braskemが砂糖キビから製造するバイオベースのエチレンをパイプラインで既存のEPDM工場に運ぶ。

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Lanxess(Bayerから分離独立はドイツのMarlで年産6万トン、テキサス州のOrangeで6万トンの合計年産12万トンのEPDM(ブランド:Buna® EP)を生産していた。

Bayer時代に、Marlに1系列新設して合計115千トンとし、Orangeも手直しで70千トンとして、合計185千トンとする計画が打ち出されたが、需要の伸びが低い見通しから、計画を取りやめた。

Lanxess は2010年12月、Royal DSM からのDSM Elastomers部門の買収を発表した。買収額は310百万ユーロ。

2010/12/20 LANXESSDSM Elastomersを買収 

上記のオランダのGeleenとブラジルのTriunfoのプラントはDSMから買収したもので、これによりLanxessの能力は12万トンから32万トンに増えた。

DSMのEPDMのブランドはKeltanであるが、Lanxessではこのたび、2013年1月から同社のEPDMのブランドをKeltanに統一すると発表した。自社のBayer時代からのBuna® EPのブランドを廃止する。

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DSM ElastomersはEPDMの製造に関し、Nova Chemicals から新しい触媒技術の世界中での独占使用権を獲得した。

DSM ElastomersはNova ChemicalsのこのSingle Site触媒技術をベースに、効率的にEPDMを製造する触媒技術を開発、これをKeltan ACE と名付けた。(ACEは Advanced Catalysis Elastomersの意味)

触媒廃棄物がなく、省エネで、Green technologyであるとしている。新グレードも生産可能となる。

今回Lanxessは、オランダのGeleen のEPDMの50%をこのKeltan ACE技術に転換する。

9月29日、ハーバード大学で第21回イグノーベル賞の授与式が行われた。

化学賞には滋賀医科大学の今井眞講師が率いる研究チームが行った「わさびの臭いが火災報知器の役割を成す理想的な空気中のわさび濃度」が選ばれた。

受賞したのは、
今井真滋賀医科大講師(臨床実験)、
睡眠障害の研究をしている琵琶湖病院の村上純一医師、
田島幸信・香りマーケティング協会理事長、
香りを扱うベンチャー企業のシームスの漆畑直樹社長、種村秀輝取締役、
臭気発生装置を製作したエア・ウォーター防災の後藤秀晃さんと溝口浩一郎さん

警報装置は、3年前に開発した。

一般の火災警報器は警報音がけたたましく鳴るが、耳の不自由な人やお年寄りの場合、寝ている時に音に気付かない恐れがある。
このため、研究グループでは寝ている人を匂いで起こせるよう、嗅覚に働きかける警報装置を作れないかと考え、ツーンとした匂いがする「わさび」に注目した。

そして、「わさび」から刺激の強い匂いの成分を取り出して缶の中に閉じこめ、火災の発生を感知すると霧状に吹き出す仕組みを考案した。
滋賀医科大学で行われた実験では、耳の不自由な人を含む20代から40代の14人が眠っているところに警報装置を作動させたところ、風邪で鼻が詰まっていた男性を除く13人が、匂いが鼻に達してから2分以内に目を覚ましたという。
なかでも、聴覚障害者の場合は、10秒から30秒後に目を覚まし、その効果が確かめられた。

この警報装置はおととしから販売され、一部のろう学校などで導入されている。

滋賀医科大学の今井眞講師は、授賞式のスピーチで「この研究は実験に参加してくれた聴覚障害者の方々からの宝物です。でも間違っても、寿司やそばには使わないでくださいね」と冗談を交えながら受賞の喜びを語った。
(NHK ニュースから)

本年の各賞の受賞者とその内容は以下のとおり。

生物学賞 Darryl Gwynne(カナダ・オーストラリア・米国)とDavid Rentz(オーストラリア)
「オスのタマムシは豪州ビールの小瓶(stubby) をメスと勘違いする」という論文
"Beetles on the Bottle: Male Buprestids Mistake Stubbies for Females (Coleoptera)"
(Journal of the Australian Entomological Society, vol. 22, 1983)
医学賞 オランダ・ベルギー・オーストラリアの共同研究チーム
トイレに行きたくてたまらない時に下した決断が、ものによって良かったり悪かったりするのはどうしてなのか、原因を追究
心理学賞 Karl Halvor Teigen教授(University of Oslo)
「人間はなぜ日常生活においてため息をつくのか」を研究
 "Is a Sigh 'Just a Sigh'?  Sighs as Emotional Signals and Responses to a Difficult Task"
(Scandinavian Journal of Psychology, vol. 49, no. 1, 2008)
生理学賞 英国・オランダ・ハンガリー・オーストリアの共同研究チーム
アカアシガメ (Red-Footed Tortoise Geochelone carbonaria) のあくびを研究し、「あくびは伝染しない」と結論
物理学賞 フランスとオランダの共同研究チーム
円盤投げの選手は目が回るのに、ハンマー投げの選手は目が回らないのはなぜかを研究
公衆安全賞 John Senders (University of Toronto)
幹線道路を運転中にサンバイザーが下がって視界が何度も狭くなった場合の運転能力について、自ら運転して測定
化学賞 日本の研究チーム
火事の際に寝ている人を起こすことができる「わさびのにおい」の理想的な濃度を研究し、「わさび警報装置」を開発
数学賞 学者6人(うち1人は終末を今年の10月21日と予測)
世界が終わる日を予測・断言し、「数学的仮定を立てる際には気を付けた方がよいと世界に知らしめた」
 Dorothy Martin of the USA (1954年に終わると予測)
 Pat Robertson of the USA (1982年)
 Elizabeth Clare Prophet of the USA (1990年)
 Lee Jang Rim of KOREA (1992年)
 Credonia Mwerinde of UGANDA (1999年)
 Harold Camping of the USA (当初1994年、その後、2011年10月21日)
平和賞 リトアニアの首都VilniusのArturas Zuokas市長。
違法駐車の多さに業を煮やし、自ら装甲車を操縦して高級車を押しつぶすパフォーマンスを行った。
文学賞 John Perry(Stanford University )
「Theory of Structured Procrastination(構造化された先延ばしの理論)」を執筆
常に重要な作業をすることによって、それ以上に重要な作業をせずに済ませるテクニック

 

日本人はこれまで、2005年までに11件、2007-2010年に1件ずつ計4件、合計15件の研究でイグ・ノーベル賞を受賞している。

2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞
2007/10/8  2007年イグ・ノーベル賞
2008/10/4  2008年イグ・ノーベル賞
2009/10/3 
2009年イグ・ノーベル賞
2010/10/7  2010年ノーベル化学賞とイグ・ノーベル賞

日本人の受賞はこれで16件となる。

 

  

NY証券取引所に上場する中国のソーラーパネルメーカー晶科能源公司(JinkoSolar Holding)の子会社で、浙江省海寧市紅曉村の浙江晶科能源(Zhejiang Jinko Solar) の工場から有害物質が河川に流れ出し、魚の大量死が発生した。

晶科能源公司は浙江晶科能源のほかに、江西省上饒市に江西晶科能源を持つ。
垂直統合メーカーで、高機能シリコンインゴット、ウエハー、電池、単結晶及び多結晶ソーラーパネルを生産、2011年の能力は1.5GW。

浙江晶科能源は旧称は浙江Sun Valley Energy Application Technologyで、2009年に晶科能源が買収した。

9月15日の夜、500人以上の村民が工場の外に集まり、魚の大量死の理由の説明を求めた。

海寧市の環境保護当局によると、工場の排水処理設備は4月以降、検査に合格しておらず、当局は警告を出していたが、工場側は適切な措置を取っていなかった。

抗議に先立ち、村民の一人がインターネットで、最近の村民の健康診断で3300人の村民のうち、6名が白血病、31名が癌と分かったと報じた。

当局は、この情報は不正確で、癌と診断されたのは2010年が4名、2011年が2名であるとし、虚偽の情報を流したとしてこの村民を拘束したが、これが火を付けた形となった。

当局によると、魚の大量死は川水の汚染によるもので、海寧市は汚染の調査と水質のモニターリングを開始した。
フッ素化合物を含む廃棄物が処理されないまま流出したとみられる。

海寧市当局は9月17日に記者会見を行い、以下の発表を行った。

 ・工場から、基準値を超えるフッ素化合物が排出されていたことを確認した。
 ・住民らに暴力を振るった工場の保安要員3人と、工場のパソコン破壊などを行った複数の住民の身柄を拘束した。
 ・廃棄物管理が杜撰だったとして、工場の
操業停止を命じた。
 ・この件による癌の発生率上昇の事実はない。

別途、47万元(約560万円)の罰金を科したと報道されている。

浙江晶科能源は9月19日、トラブルを謝罪し、クリーンアップを約束した。

現地の報道では、事件の背景には、太陽光発電産業の大躍進的発展があり、地元政府が同産業を強力に推進しているため、投資プロジェクトばかりが急がれ、環境アセスメントが操業より後になることも珍しくないという。

地元テレビ局の取材では、晶科能源の工場付近の水源から採取されたフッ化物の濃度は基準値の10倍だったが、業界関係者によると、業界内では10倍は問題視されず、あるメーカーの周囲の河川では基準値の100倍に達しているという。

トヨタグループの豊田中央研究所は9月20日、太陽光エネルギーを利用し、水とCO2のみを原料にして有機物を合成する人工光合成の実証に、世界で初めて成功したと発表した。

人工光合成の実現に対する関心が高くなっているが、従来の技術では、以下のような何らかの付加的要素が必要で、水とCO2と太陽光だけで有機物を合成することは困難とされていた。

 ・ 犠牲薬と呼ばれる酸化剤や還元剤を添加する
    H2O + CH3OH → 3H2 + CO2
    H2O + 硫黄化合物→ H2 + S, SO42-

 ・ 太陽光には含まれない波長域の紫外線を利用する

太陽光にも含まれていない300nm以下の紫外線で、量子収率が50%を超える光触媒も見つかっているが、可視光では非常に難しく、長年成功していなかった。
産総研では2種類の光触媒をヨウ化ナトリウムの水溶液に混合して懸濁し、可視光を照射するシステムを構築した。

 ・ 外部から電気エネルギーを加える

今回開発した技術は、
①水から電子を抽出する酸化反応と、
②抽出した電子でCO2 を還元して有機物を合成する還元反応
の二つの反応を組み合わせ、それを光エネルギーで促進させる。


研究チームは、リン化インジウムの半導体にルテニウムなどを塗布した新しいコンセプトのCO2還元光触媒を開発した。


水から電子を抽出し、光を吸収する半導体で太陽光を受けて抽出した電子を活性化させ、希少金属の一種を触媒に使って、その電子とCO2から、「ギ酸」をつくる。

酸化チタン光触媒とこの触媒をプロトン交換膜を介して組み合わせることで、太陽光を利用して有機物であるギ酸を合成できることを実証した。

今回は原理の実証を行った段階で、太陽光エネルギー変換効率は現在0.04%であり、これは一般的な植物の光合成効率の1/5 程度。

研究チームは今後、植物を越える効率の実現と、メタノールなどのより付加価値の高い有機物の合成技術の実現に取組む予定。

本成果は9月7日付Journal of the American Chemical Society 電子版に掲載された。


エジプトのスエズ湾に面したAin Sokhnaで大規模な石油化学計画が進められている。

エジプトの私企業のCarbon Holdings社がエチレン・PE計画と、メタノール・アンモニア・硫安計画を並行して進めている。
メタノール・アンモニア計画は三菱商事と千代田化工のJVが担当する。


(エチレン・PE計画)

Carbon Holdingsは2010年10月、Foster Wheeler USA Corp. との間でポリエチレン設備建設のコンサルタント契約を締結した。

Unipol法PE技術を導入し、45万トン3系列(1系列はHDPE、2系列はLLDPE/HDPEのスイング)の合計135万トンのプラントを建設、2015年のスタートを目指している。

原料エチレンについては、2009年にUS Trade and Development Agencyが、Carbon Holdingsの子会社のEgypt Hydrocarbon Corporationのナフサ分解コンプレックス建設のFSに264千ドルの補助金を出した。

ナフサ分解で、エチレン90万トンとプロピレン40万トンを生産、エチレンはPEの生産に使用、プロピレンはOriental Petrochemicals CompanyのPP用に供給する計画であった。

Oriental Petrochemicals はエジプト唯一のPPメーカーで、2001年にSuezで第一期としてUNIPOL法で16万トンの生産を開始している。

この計画は取り止めになった模様で、Carbon Holdingsは本年9月20日、韓国のSK Engineering & Construction と米国のShaw Group Inc.の合弁会社との間で、年産135万トンのエチレンコンプレックスをAin Sokhnaに建設する契約を締結した。

建設費は約32億ドルで、2012年に建設開始、2016年に完成の予定。

これにより、Carbon Holdingsはエチレン 135万トン、PE 135万トン(45万トンx 3系列)を建設することとなる。
(言及はないがナフサ分解と思われ、プロピレンについては外販するものと考えられる。)


(メタノール・アンモニア・硫安計画)

日本での発表はないが、三菱商事と千代田化工が合弁でEgypt Japan Petrochemical Corporation (EJPC)を設立している。

三菱商事は2010年3月に千代田化工建設の608億円の第三者割当増資を引き受け、同社への出資比率を10.3%から33.4%と引き上げて、持ち分法適用会社と した。

EJPCがAin Sohknaでメタノールとアンモニアを生産し、Carbon Holdingsの子会社のEgypt Hydrocarbon Corporationが硫酸と硫安を生産する計画を進めている。

メタノール能力は2系列合計日量6000トン(年産2040千トンで世界最大)で、副産物として日量2000トンのアンモニアを生産する。
2012年に建設を開始し、2015年央に建設完了の予定。
総投資額は25億ドルとされる。

EJPCは2011年3月、Johnson Mattheyの100%子会社のDavy Process Technology との間でMethanol Operating Licence Agreementを締結した。
Davy Process が天然ガスの熱改質によるメタノール製造の技術供与と基礎設計を行い、詳細設計と購買は千代田化工が行う。
水素リッチのパージガスからアンモニアを製造するが、これについてはUhdeが技術供与する。

メタノールは三菱商事が日本を含む世界市場で販売、アンモニアは硫安プラントに供給する。

Egypt Hydrocarbonの硫酸能力は日量925トン、硫安は日量1060トンで、2011年に建設を開始、2013年スタートの予定。

Egypt Hydrocarbon は2010年12月に、本計画のために298百万ドルの借入契約を締結した。
Uhde との間でライセンス契約と設計・購買・建設契約を締結した。

EJPCのプラント完成までの間はTransammonia 社から原料アンモニアの供給を受ける。

ーーー

これとは別に、世界最大のメタノールメーカーのMethanexはDamietta(上の地図のディムヤート)で年産130万トンのメタノールプラントを建設している。

Methanex のメタノール能力は以下の通り。(千トン)

工場 能力  備考
Canada Kitimat     0 2005/11停止
Trinidad Point Lisas   850  
Atlas Methanol  1,700 BP 36.9%/Methanex 63.1%
Chile Cabo Negro  3,800 4 plants
New Zealand Motunui and Waitara Valley  2,400 2 plants
合計    8,750  
建設中
Egypt

Damietta

 1,300
Methanex 60%
エジプト政府機関 33%
Arab Petroleum Investment  7%
再計   10,050  

 

対抗する三菱ガス化学のメタノール事業は以下の通り。(単位:千トン)

場所 現能力  計 画
中国重慶    850
 → 0
MGC 51%/重慶化医49%
2009/10/13 三菱ガス化学、重慶のメタノール計画撤回
ベネズエラ  1,600   2006/12/27 「三菱ガス化学、ベネズエラのメタノール合弁増設 2010年850千トン稼働
ブルネイ 850    2007/4/23 三菱ガス化学、ブルネイのメタノール事業決定 2010年850千トン稼働
サウジ  5,000   2006/3/31 サウジ・メタノール計画 2008年1700千トン稼働
合計  7,450     0 総計 7,450千トン 


ーーー

エジプトでは石油化学の振興のため、2002年1月に法令に基づき Egyptian Petrochemicals Holding Company (ECHEM)が設立された。

ECHEM傘下に以下の企業がある。

  立地 製品
Egyptian Petrochemicals Amreya
(Alexandria近郊)
PVC Resin            80 千トン
PVC Compounds        30 千トン
Caustic Soda (liquid, Flakes)   72 千トン
Sidi Kerir Petrochemicals 同上 Ethylene             300 千トン
                                      (倍増計画あり)
HDPE & LLPE                    225 千トン
Butane -1                                  10 千トン
Amreya Petroleum Refining 同上 Linear Alkyl Benzene (LAB)      50 千トン
Heavy Alkyl Benzene (HAB)        3 千トン
Egyptian Linear Alkyl Benzene El-Max
(Alexandria近郊)
Linear Alkyl Benzene (LAB)     100 千トン
Heavy Alkyl Benzene (HAB)      6.5 千トン
Misr Fertilizers Production Damietta Ammonia                              日量 1200 トン
Urea                                  日量 1925 トン
Urea Granulation             日量 2000トン

住友商事は2010年末、米国のMountain Pass鉱山の再開を準備中のMolycorp, Inc に投融資することを決めた。
Molycorp
Mountain Pass鉱山の生産を年内にも一部再開し、2012年末までには新精製設備を完成させ、約2万トンを生産する計画で、住商からの資金はこのための投資に使用するもの。

構想は以下の通りであった。
2011年
2月に、Molycorpの普通株を100百万ドル購入、別途、30百万ドルを低利で融資し、2017年まで希土類の供給を受ける長期契約を結ぶ。
住友商事は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)
に資金援助を求める。

Molycorp 住友商事に既存の設備から年に2,500トンのセリウムとランタン、250トンの酸化ジジミウム(ネオジムとプラセオジムの混合物)を供給し、新しい最新鋭の精製設備完成後は年3,000トンのセリウムとランタン、250トンの酸化ジジミウムを供給する。  

2010/12/14 豊田通商、インドでレアアース製造工場建設、住商は米マウンテン・パス鉱山に出資 

その後、住友商事は出資を50百万ドルずつ2回に分割するとともに、レアアースの価格の値引きを求めていた。

Molycorpは9月16日、住友商事との間で上記の交渉を打ち切ることで合意したと発表した。

Mountain Pass鉱山の拡張・近代化のための781百万ドルの資金が増資や売上収入で完全に確保でき、住友商事の出資融資が必要ではなくなったとし、当初交渉した時と状況が著しく変わり、両社の株主にとり価値のある取引ではなくなったため、交渉打ち切りを決めたとしている。

製品購入契約も取りやめとなる。値引き交渉で折り合いが付かなかったとみられる。

ーーー

Molycorpは6月16日、鉱山の拡張・近代化計画(Project Phoenix)のための 781百万ドルの最後の資金を確保したと発表した。
2016年満期の230百万ドルの転換社債(利率3.25%)の発行が完了した。

同社は11500千株(586.5百万ドル)の増資も行っている。

これにより、レアアースメタルやネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB)合金、サマリウム‐コバルト合金など下流製品の生産も可能となり、'Mine-to-Magnets' 計画達成に近づく。

同社では来年の第一期完成時にはMountain Pass設備は世界初の統合レアアースサプライチェーンとなり、輸送、ハイテク、クリーンエネルギー、防衛、その他産業に広く使用されるレアアース酸化物、メタル、アロイ、ネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB) 永久磁石などを供給するとしている。

来年初めには10種の高純度レアアース酸化物(軽希土類と重希土類)と下流製品の生産量を著しく増やすとしている。

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Molycorpは本年4月、エストニアのレアアース加工会社 Silmet の経営権を約89百万ドルで取得した。

Silmet は欧州で2つあるレアアース加工施設の1つで、レアアースを年最大で3000トン、レアメタルを同700トン加工している。
Molycorpはこれにより、欧州への足がかりを得るとともに、生産能力が倍増する。

Molycorpはまた、本年4月に、日本の希土類合金大手、三徳の米国アリゾナ州の子会社Santoku America, Incを現金1750万ドルで買収したと発表した。

Santoku Americaは、高純度レアアース金属・合金を生産しており、買収によりMol.ycorpは原料鉱石から希土類合金まで一貫生産できる体制を整えた。

三徳がレア・アース分野に乗り出したのは世界の先進国がほぼ時を同じくして新材料の可能性を求め、動きはじめた1948年で、三徳は、原料から高純度化合物、各種合金まで一貫生産するレア・アース総合メーカーとして世界をリードする存在に成長した。

世界で初めてレア・アースの溶融塩電解並びにレア・アース急冷合金の量産化に成功したことを始めとし、独自に製造プロセスのノウハウを積み重ねる事で、特に合金組織制御技術を磨いてきた。

製造品目は、ネオジム磁石合金、サマリウム磁石合金、水素吸蔵合金、負極コイル、マグネシウム・リチウム合金、その他。

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Molycorpは8月12日、日立金属との間でレアアース磁石材料(ジジミウムメタルとアロイ、ランタン酸化物を含む)の長期供給契約を締結したと発表した。
既存の契約を延長・拡大する3カ年契約で、生産量の拡大に合わせ、供給量を大幅に増やす。

しかし、これとは別に、両社は2010年に覚書を締結したネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB)合金や永久磁石を製造するJVの設立交渉を打ち切ることで合意した。

日立金属は2010年12月、Molycorpとの間で、ネオジム磁石用合金とネオジム磁石を生産する2つの合弁会社の設立に向けて検討を開始することに合意したと発表した。
この合弁会社の設立により、日立金属とMolycorpは、米国内における鉱山からマグネットまでのサプライチェーン(
"Mine-to-Magnets" を構築し、HEV・EV、風力発電、産業用モーター向け磁石の拡大する需要に着実に対応することを目指す。
2010年12月に合弁会社設立に向けたフィージビリティスタディーを開始、2011年第1四半期に合弁会社の設立を合意する予定。

両社はJVの価値に関係する重要な事項について合意に達しなかったとしている。

Molycorp は日立金属以外の企業とJVの協議を行っていることを明らかにしている。

付記

日立金属は12月21日、米国のフェライト磁石生産拠点であるHitachi Metals North Carolinaに、ハイブリッド自動車、電気自動車向けネオジム磁石の工場を単独で新設すると発表した。2013年4月の量産開始を目指す。

 

 

 

 

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