「no」と一致するもの

EUのガス在庫の枯渇懸念が強まっている。Gazpromは7月25日、Nordstreamについて、新たに送ガス用タービン1台の修理を始めると発表。27日から供給量を6月中旬までの約2割に減らす。

欧州連合(EU)は7月26日、ブリュッセルでエネルギー相理事会を開き、 ロシアが欧州へのガス供給を一段と減らし、欧州のガス在庫が枯渇する懸念が強まっているのを受け、8月から2023年3月までの天然ガスの消費を過去5年の平均に比べて15%減らすことで合意した。 ただ一部の加盟国に配慮して例外規定を設けるなど実効性には課題もある。

EUは2021年にロシアから需要全体の4割にあたる1550億立方メートルの天然ガスを輸入 した。15%の削減が実現すれば450億立方メートルの節約になるが、例外規定を設けたことで効果は薄れる可能性が高い。

島しょ国など他の加盟国とガス網で結ばれていない国は除外する。
発電をガスに大きく依存している国は目標を免除される可能性がある規定も設けた。
鉄鋼や化学など重要な産業で使うガスは目標の対象外とできるルールも設けた。

具体的には加盟国が自主的な目標として実現に努める自発的削減である。但し、ロシアがガス輸出を止めるなどの緊急事態になれば、欧州委が'Union alert'を出し、削減を義務付ける可能性もあるとしている。

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ロシア国営 Gazprom は6月14日、天然ガスパイプラインNordstream 1 の供給量を40%減らすと発表した。従来の日量最大1億6700万立方メートルから1億立方メートルになる。

Gazpromは翌15日、さらに33%削減すると発表した。合計60%のカットとなる。モスクワ時間の16日午前1時半をもって供給量は最大6700万立方メートルになる。

Gazpromは7月11日から2週間ほどの「定期検査」を実施し、その間はガス供給が完全に止まった。

点検の期限である7月21日に天然ガスの供給を再開したが、21日の供給量は点検前と同じ、通常時よりおよそ60%削減された状況である。

Gazpromは7月25日、Nordstreamについて、新たに送ガス用タービン1台の修理を始めると発表。27日から供給量を6月中旬までの約2割に減らす。

2022/7/11 独エネルギー大手Uniper ドイツ政府に金融支援を要請 



EU各国のロシア天然ガス依存度は下図の通り。

欧州は例年、ガスの不需要期の夏場に在庫を蓄え、暖房需要が増える冬になると消費量の半分を在庫でまかなう。

7月24日時点では、ガスの貯蔵能力は67%と平年並みの水準に回復している。液化天然ガス(LNG)の4~6月の輸入量を約3300万トンと前年同期比5割増やしたのに加え、ロシアからの調達を継続した効果も大きかった。

ただ、LNG輸入量はすでに受け入れ能力の上限に近い水準まで増やしており、これ以上の拡大は難しい。ドイツなどが進めるLNG受け入れ基地の新設や拡充も、今冬には間に合わないものが多い。

 

萩生田経済産業相は7月26日の閣議後会見で、キオクシアと 、同社と米Western Degitalの合弁会社から共同で申請されていた生産設備整備の計画を 、「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律」(5G促進法)に基づく「特定半導体生産施設整備等計画」に認定したと明らかにした。

  • 経産省として同計画が5G促進法の認定基準を満たし、日本における先端メモリー半導体の安定的な生産に資するものと判断
  • 足元の半導体サプライチェーンの強靱化や半導体産業の発展への貢献に加え、半導体に関する日米連携の強化にも資する
  • 助成額の上限は約929億円

キオクシアと米Western Degitalも同日、三重県四日市市のキオクシア四日市工場第7製造棟における第6世代の3次元フラッシュメモリー設備投資計画が認定されたこと 、これにより、四日市工場における設備投資等に助成金が交付されることを発表した。JVはフラッシュパートナーズ有限会社、フラッシュアライアンス有限会社、フラッシュフォワード合同会社

2020/10/29 キオクシア、四日市工場で新製造棟を建設 (四日市 No.7 )

両社は、国内最大規模の半導体工場である四日市工場において、20年にわたるジョイントベンチャーパートナーシップを基に、最先端フラッシュメモリの開発・生産を加速させ る。また、半導体関連産業の発展や半導体人材の育成に貢献していくとしている。


台湾積体電路製造(TSMC)は2021年11月9日、日本で初めてとなる工場をソニーグループと共同で熊本県に建設すると発表した。

子会社 Japan Advanced Semiconductor Manufacturing (JASM)を熊本県に設立、ソニーセミコンダクタソリューションズは約5億米ドルを資本金として出資し、20%未満の株式を取得する。

22/28nmプロセスを皮切りとした半導体の製造受託サービスを提供する。当初の設備投資額は約70億米ドルで、2022年の建設開始を予定しており、2024年末までに生産開始を目指す。

経済産業省は2022年6月17日、TSMCが熊本県で建設中の半導体の工場に最大4760億円の助成をすると決めた。TSMCとJASMが申請していた計画を同日付で認可した。
半導体産業の強化に向けた6170億円の基金から補助する第1号の案件になる。

2022/2/16 台湾積体電路製造の熊本工場にデンソーが出資

今回の認定はこれに次ぐ第2号である。これで合計5,689億円となり、残りは481億円しかない。

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先端半導体工場の新増設を支援する改正法が2021年12月20日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。

高速・大容量通信規格「5G」のシステム構築に不可欠な「特定半導体」を製造する事業者が対象で、継続的な生産、需給逼迫時の増産対応などを条件とし、工場の新増設にかかる設備費用の最大半額を補助する。(その後、最低10年間は生産を続けることを求めることとした。)

5G促進法による「特定半導体生産施設整備等計画」に認定手続きは下記の通り。



バイデン米大統領は7月25日、経済安全保障の観点から半導体の国内生産を補助金で後押しする超党派の法案について、「議会は一刻も早く通過させなければならない」と述べた。大統領は半導体供給に関するオンライン会合を開き、「米国は半導体で世界をリードする必要がある」と強調、巨額補助金をつぎ込んで国産半導体の育成を加速させる中国に対抗する構えを見せた。 

今週にも上院で法案を通し、下院でも同じ法案を通して成立する可能性がある。

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米議会下院は1月25日、中国に対抗するため先端技術の競争力向上をめざす包括法案The America COMPETES Act of 2022 を公表した。

上院は2021年6月8日に同様の法案 United States Innovation and Competition Act を異例の超党派で可決している。しかし、この法案は「中国対抗法案」との位置づけで、新興技術の研究開発や台湾の支援強化など様々な条項を盛り込んだため、下院との法案すり合わせに時間がかかっ ていた。

米政府は半導体業界へ計520億ドルの補助金を拠出する方針で、Samsung は補助金支給条件などを確認した上で、新工場建設を決定したという。Intelも補助金を前提にしている。

今回、与党・民主党の議会指導部が公表したAmerica COMPETES Act では、2022会計年度(21年10月~22年9月)から5年間で上院と同じ計520億ドルの補助金を出す。うち390億ドルは新設設備に直接供与される。

台湾積体電路製造(TSMC)のアリゾナ州の120億ドルの設備、Intel のオハイオ州の200億ドルの設備など、これの対象となる新設備はこれを前提に既に着工されている。

法案には、サプライチェーン(供給網)を強化するために450億ドルをあてる条項も盛った。ハイテク製品や医療品などの生産の国内回帰を促すほか、備蓄を増やす。先端技術の研究開発で政府の支援を増やす。

途上国向けの温暖化対策基金や、太陽光関連に投じる資金が盛り込まれた。

2022/2/1 米下院、半導体補助金法案を公表 

下院は2月4日、America COMPETES Act を賛成222、反対210で通した。ほぼ党派通りで、民主党から1人だけ反対、共和党から1人だけ賛成した。

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今回下院で通った法案と昨年の上院の法案とは、半導体業界への520億ドルの補助金は同じだが、異なる点が多い。

バイデン政権は11月の中間選挙を控え、インフレ対策で成果を急いでいる。半導体不足で生産が止まった自動車が値上がりした。政府高官は、 夏季休暇入りの前に補助金を実現させるよう与野党の議会指導部に促してきた。

米インテルは6月、補助金の支給が遅れていることを理由に、中西部オハイオ州で7月に予定していた新工場の起工式を延期すると表明した。法案の成立がこれ以上遅れれば「世界の投資合戦で米国が後れを取る。台湾に調達を依存するリスクが続く」との危機感がバイデン政権や与野党で高まった。当初案から縮小された内容でも国家安全保障の観点から可決を急ぐ必要があるとした。


これを受け、共和党の上院上層部は、これまでの法案から米半導体業界に520億ドル強の補助金・奨励金を交付する件に限った法案(通称 半導体法:Chips Act)の審議入りを決めた。

上院(定数100)は7月19日、64対34の賛成多数で半導体法案の採決に進む方針を決めた。与党・民主党に加えて、野党・共和党から16人が賛成に回った。 民主系無所属のSanders議員は反対した。

共和党 民主党 民主系 合計
無所属
賛成  16 47  1

 64

反対 33  1

34

棄権 1 1

2

合計 50 48 2 100

7月25日の週に上院で可決し、それを受けて下院も同法案を可決する見通し。上院の法案可決には60票が必要になる。

高速通信機器の開発や科学研究を政府が支援する条項も加えられる可能性がある。

逆に、米国の半導体企業の中には、このままのCHIPS法ではIntelなどのメーカーにしか支援が行き届かないとして反対しているところもある。

半導体メーカーはCHIPS法で補助金、FABS法(Facilitating American-Built Semiconductors Act)で製造装置購入のための投資税額控除の両方の恩恵を受けるが、AMD、NVIDIA、QualcommなどIntelと競合するファブレス半導体メーカーは、半導体を製造していないため補助金の対象にはならない。

法案成立は簡単ではない。

当初の中心であった 対中法案は成立のメドが立たなくなっていた。民主党が下院の法案に気候変動や格差是正など中国とは直接関係ない条項を取り入れ、共和党が反発した。対中投資規制や貿易の条項でも与野党で意見が分かれた。

東芝は2022年4月21日の取締役会で、パートナー候補となりうる潜在的な投資家やスポンサーから、企業価値向上に向けた戦略的選択肢(非公開化を含む)に関する提案を募集することを決議した。

同日から、フィナンシャル・アドバイザーの野村證券を通じて、提案の提出を前向きに検討する意向を示すパートナー候補との協議を実施し5月30日を期限として、法的拘束力のない提案の提出を要請してきた。

6月2日現在、非公開化に関する初期的な提案を8件、上場維持を前提とした戦略的資本業務提携に関する初期的な提案を2件、受領している。これらの提案は、いずれも法的拘束力を有するものではなく、ビジネス・法務・財務・税務その他の詳細なデューディリジェンスは、実施されていない。

東芝は7月19日の取締役会で、上記の10件のなかから第2次入札プロセスに招聘する複数の本パートナー候補を選定した。非公開化関する提案と、上場維持を前提とした戦略的資本業務提携に関する提案が含まれている。

今後、選定された本パートナー候補がデューディリジェンスを実施する。ただ、入札から離脱したファンドの再合流や、新たに事業会社が参画する可能性もあり、再編の枠組みはまだ見通せない。

東芝は原子力や防衛関連事業など経済安全保障上の重要技術を持っており、外国資本の経営参加を規制する改正外為法で審査対象となっている。経済産業省などは「国内勢の参加が不可欠」と判断している模様。

関係者によると、「国内外のファンド4社程度に絞られた」という。

報道では、下記の各社が選ばれたとされる。

1.産業革新投資機構(JIC) / 日本産業パートナーズ(JIP)
    なお、東京電力ホールディングスがこれに参加する検討をしているとされる。

2. 米大手投資ファンド Bain Capital

東芝の筆頭株主で旧村上ファンド出身者がシンガポールで設立した Effissimo Capital Managementは、Bain Capitalが東芝株を公開買い付けした場合、保有株をすべて応募する方針であることが、Effissimoが3月31日に関東財務局へ提出した変更報告書で明らかになった。

2022/4/5 Bain Capital が東芝の買収を検討

3. 欧州拠点のCVC Capital Partners

4. カナダのBrookfield

各社が東芝に提示した買収価格は一株5000円台後半から6000円前半とみられるが、一株7000円の高額な買収価格を提示していたアジア系ファンドは、資金的に実現性が乏しいことなどを理由に二次選考には進めなかった。

買収候補として有力視されていた米投資ファンドのKKRが再編案の提出を見送った。

KKR関係者は、「東芝の株価が高すぎる。外為法への対応など不確実性もあり、コストに見合わない」などと話している。

東芝の7月19日の株価は5301円。
2021年4月にCVC Capital Partnersが買収提案をした前日の株価は3830円で、
約30%のプレミアムを加え、1株5000円での買い取り価格を提案した。

2021/4/14 英投資ファンド、東芝に買収提案 

4陣営は2カ月程度のデューデリジェンス(資産査定)を経て、正式な提案を出すかどうかを判断する。東芝が提案を受け入れるかどうかの判断は今秋になる見込み

洋上風力発電に使う風車の世界大手が日本への参入を見直す。デンマークのベスタスは日本で補助金を使った工場建設を保留し、独シーメンスグループも日本向け製品の供給を絞る。

政府が洋上風力発電の事業者を公募するルールを見直しており、開発規模が小さくなって採算が取れない。

政府自らが自由な競争を制限するように方針を変更した結果、日本での新事業が取り止めになる結果ともなりうる。

日本経済新聞は7月15日、「洋上風車大手が日本工場建設中止 公募ルール変更」の記事を出したが、ベスタスは、事実に反する内容であるとし、日経に記事の修正または削除を要請した。
ベスタスは日本市場において、これまでと変わることなく、再生可能エネルギーの普及に貢献するべく精力的に取り組むとしている。

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国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題になっている。

日本で洋上風力発電の導入が進んでいなかったのは、①海域の占用に関する統一的なルールがない、②先行利用者との調整の枠組みが存在しないのが問題である。

これらの課題の解決に向け、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(「再エネ海域利用法」)が成立、2019年4月に施行された。
選ばれた事業者はその区域内で最大30年間の占用許可を得る。

ところが、2021年12月の大規模計画3件の公募入札で、三菱商事を中心とする企業連合がすべてを勝ち取った。最安値は11.99円/kWhで、次点とは5円程度の差があった。

240点満点のうち120点が電気の供給価格で、運転開始時期は事業能力80点のうち「事業計画の実現性」20点分の一部(点数不明)に過ぎない。

価格は最も安ければ自動的に120点を獲得できるが、運転開始はどれだけ早めても最大20点までしかとれない。 (「最も確実に事業を実現」が20点で、「早く」は評価するのか不明)

このため、公募ルールを変更することとなった。

2022/2/24 国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題に

経済産業、国土交通両省は6月23日、洋上風力発電に参加する事業者を増やすための新たな公募ルール案をまとめた。複数の海域で同時に事業者を募る場合、特定の企業連合がすべて落札するのを防ぐ仕組みとする。運転開始時期が早い提案への評価も高める。多くの企業が参入できるようにして、洋上風力が普及する環境を整える

新たなルールでは「計画の迅速性」を20点満点で評価する。価格への配点は120点に据え置く一方、両省が満点を得られる価格をあらかじめ定める。事業者がそれより安い価格で提案しても一律120点として評価する。

複数の海域で同時に公募する際には、企業連合あたり100万キロワットを上限とする。次点との点差が大きい海域から選ばれ、上限に達したら他の海域への提案は無効とする。

この結果、風車メーカーは、価格がいかに安くても、採用される計画が限定されることとなる。このため、日本で工場を建設するメリットはなくなることとなる。

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洋上風車は、デンマークのVestas Wind Systems A/S、スペインのSiemens Gamesa Renewable Energy S.A.、米国のGeneral Electric の3社が世界3強と呼ばれる。

GEはさきの大規模公募で3海域を総取りした三菱商事連合と組む。今後も三菱商事連合と組むと見られる。


デンマークのVestjysk Stålteknikは、1945年設立で、 2003年に世界最大の風力発電機メーカーとなるべく、デンマークのNEG Miconと合併し、社名を Vestas Wind Systems A/S に変更した。同社の風力発電機は世界80ヶ国以上で導入され、世界で20,000人以上を雇用している。

2014年4月に三菱重工との合弁により、デンマークに洋上風力発電設備に特化したMHI Vestas Offshore Wind A/Sを設立、洋上風力発電分野におけるトップクラスのシェアを獲得している。

三菱重工業が70%、ヴェスタス社が30%を出資し、2021年に日本にMHIベスタスジャパンを設立した。

2021年9月にVestas が長崎県内に洋上風力発電設備(ナセル)の工場建設を検討していることが分かった。

ナセルを風に正対させ風の効率を最適に保つためのヨーシステム、ブレード角度を変化させローターの回転速度を調整するピッチシステム、増速機や発電機を排熱から保護するための冷却システム、ローターの回転を安全に止めるためのブレーキシステム、風速と風向を検知する風向風速計、雷から風車を守るための雷保護システム等 を搭載し、風力発電機を安全かつ効率よく発電運転することを可能にしている。

経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」を利用して工場を建設するとみられ た。

補助対象:建物・設備の導入等
補助率:大企業は1/2以内
補助上限:100億円
事業期間:原則3年で、大規模投資案件は4年

しかし、今回の新しいルールが適用されると、風車メーカーは、価格がいかに安くても、採用される計画が限定されることとなる。

今回、納入先の公募落選で、同社は長崎での工場建設を保留とした。

スペインのSiemens Gamesa Renewable Energy S.A.も、日本での洋上風車の供給を見送る方針を明らかにした。


政府自らが自由な競争を制限するように方針を変更した結果、日本での新事業が取り止めになる結果となり得る。

SK onと米国完成車メーカー Fordが合弁した電気車用バッテリー生産会社「Blue Oval SK」が公式発足した。7月14日に発表された。

Ford Motorは2021年9月27日、114億ドルを投資し、米国に電動ピックアップトラック F-150 Lightning Electric Truck の組立工場と、3つの電池工場を新設すると発表した。

2025年に操業を開始する予定。

3つの電池工場については設立を交渉中のFord とSK InnovationのJVのBlue Oval SKが建設、運営する。

バッテリー工場に両社がそれぞれ44億5000万ドルずつを投資し、組立工場にはFord単独で25億ドルを投資する。

テネシー州Stanton にBlue Oval Cityを建設する。電動ピックアップトラック「F-150 Lightning Electric Truck」の組立工場と、新JVのBlueOvalSKのリチウムイオン電池工場及び主要サプライヤーの拠点とリサイクル施設が建設される。投資額は56億ドル。

2021/10/1 Ford Motor、114億ドルを投じ、電動ピックアップトラックと3つの電池工場を建設

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SKイノベーションは2021年10月1日、電池事業を分社し、全額出資の「SKオン」(SK on)を設立した。EVの世界的な普及による需要急増に対応するため、電池事業を上場させて増産資金を確保する狙いがある。

SKは現在、米国や欧州、中国の3大市場で合計5つの新工場建設を進めている。足元で年間40ギガワット時の電池生産能力を2025年には200ギガワット時まで拡大する。

なお、SKは米ジョージア州Commerce市に電気自動車用バッテリー工場を持っている。第一工場 9.8GWh、第二工場 11.7GWh(2023年生産開始)

2018/12/4 SK Innovation、米に電気自動車バッテリー工場を建設、LG & Samsung も各地で増設

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Blue Oval SKは、米国内バッテリー工場はテネシー州(1プラント)とケンタッキー州(2プラント)に計3プラントを建設する。テネシー工場はフォードの電気車工場とともに建設される。
3つの工場を完工すれば年間バッテリーセルの生産能力は計129GWhになる。

SKは現在、米国や欧州、中国の3大市場で合計5つの新工場建設を進めている。足元で年間40ギガワット時の電池生産能力を2025年には200ギガワット時まで拡大する。

パナソニック エナジー米国カンザス州714 同州への投資誘致補助金制度である Attracting Powerful Economic ExpansionAPEXへのパナソニック エナジーの申請ついてカンザス州が承認したこと発表した。

カンザス州が州内への投資を誘致するために設定した補助金制度で、特定事業領域において、総額 10 ドル以上投資をすることに同意した適性ある企業に対して適用される。
カンザス州はパナソニックが投資と雇用を完了した後、補助金として過去最大規模の8億2900万ドルを払う

パナソニック エナジーは2022年4月設立で、エナジーデバイス事業部(乾電池、リチウム一次電池、ニッケル水素電池)、モビリティエナジー事業部(車載用円筒形リチウムイオン電池)、エナジーソリューション事業部(小型リチウムイオン電池、蓄電モジュール、蓄電システム)を持つ。

パナソニック ホールディングス取締役会の承認得られた場合にはカンザ車載用リチウムイオン電池製造工場の立地先となる予定。「新しい工場の場所、生産能力も含めた具体的な中身についてはまだ何も決まっていない」としているが、候補地としてカンザス州 De Soto挙げている。最大で 4,000 人の新規雇用と約40 の投資を生み出すと期待している

米ホワイトハウスは7月13日、「中国が優位にたつリチウムイオン電池市場で、米国で完結するサプライチェーンを構築する取り組みだ」との声明を発表した。

NHKは3月4日、パナソニックがEVの新型電池の生産を強化するため、アメリカで工場用地を取得する方針を固めたと報じた。

Teslaへの供給を想定し、数千億円規模の大型工場とすることを視野に、量産技術の確立などを急ぐとした。Teslaは現在、新たな工場をテキサス州で建設しており、パナソニックでは、この工場に近い、南部のオクラホマ州や、中西部のカンザス州の土地を候補とする。

パナソニック エナジーの社長は6月1日の投資家説明会で、車載用電池の生産能力について、北米を中心に2028年度にかけて3─4倍への拡大を目指すと語っていた。
同社が和歌山県の工場で量産を予定する新型車載用リチウムイオン電池「4680」(直径46mm×長さ80mmの円筒形電池)については、2023年度から北米市場で戦略パートナーに供給する。

同社が現在量産している円筒形車載電池は「1865」(直径18mm×長さ65mm)と「2170」(直径21mm×長さ70mm)の2種類だが、「4680」は、「2170」に対して体積を5倍以上にして、容量を大きくしたのが特徴。電池1つ当たりの容量を大きくすれば、自動車1台に搭載する電池の数を減らせる。

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パナソニックは2014年10月1日、リチウムイオン電池セルを生産する新会社 Panasonic Energy Corporation of North America をネバダ州
Sparksに設立した。

新会社は、同社とTesla Mortorsが連携して設置を検討してきた大規模電池工場ギガファクトリー内で、リチウムイオン電池の生産を行う。

2014/10/8 パナソニック、リチウムイオン電池の生産会社を米国に設立 

現在 この工場は世界最大リチウムイオン電池工場であり車載電池セルの出荷数 60 億個を突破している。今後もネバダ Sparksでの事業けていくが、カンザス州検討されている工場は、米 EV 産業の発展に対するパナソニックの長期的なコミットメントを表すものであるとしている。

ジョンソン首相は7月7日、声明を発表し、与党・保守党の党首を辞任して、首相の座からも退くことを明らかにした。

7月5日には閣僚2人(Rishi Sunak:Chancellor of the Exchequer, and Sajid Javid:Health secretary)が、政権は誠実さに欠けるとして辞任、その後、Welsh Secretary Simon Hartが辞任、首相に辞任を迫ったNorthern Ireland Secretary Brandon Lewis が解任されていた。

後任を決める与党・保守党の党首選を取りまとめる委員会は7月12日、立候補の条件を満たした8人を正式に候補者として指名した。

当初、11名が立候補したが、不祥事続きで信頼が失墜したジョンソン氏が後任選出まで首相を続けることへの批判が根強く、党は手続き迅速化のため、7月11日に選出方法の変更を決定した。
従来は立候補には保守党議員358人中、8人の推薦が必要であったが、最低20人の推薦が必要と厳格化した。

サジド・ジャビド前保健相は出馬の意向を示していたが辞退した。

指名を受けたのは下記の8人。内女性(赤字)は4人。

今後の予定は次の通り。

7/13 第一回投票 30票未満の候補者は除外
7/14 第二回投票 最小票の候補者除外 ----現在、これで5人になった。
7/18~21 投票を繰り返し、2候補を残す。7/19に3人に絞られた。

7/20 これまで2位のMordauntが落選した。

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Rishi Sunak Liz Truss Penny Mordaunt

候補者が2人になった後は、全国16万人の保守党員による郵便投票が行われ、最終的な勝者は9月5日に発表される。

9/5  新首相選出


支持
議員
7/13 7/14 7/18 7/19 7/20
Rishi Sunak 前財務相 45人

7月5日に財務相を辞任。両親はインド系で東アフリカから移住
昨年まではジョンソン氏の後継者として有力視されていた。

新型コロナウイルス対策として打ち出した一連の経済対策は高い支持を得たが、
妻の税金申告漏れや、ジョンソン氏とともにロックダウン中のパーティーに参加し罰金を科されたことがイメージダウン

88 101 115 118 137
Ms Penny Mordaunt 通商政策担当閣外相 25人 元防衛相で、前回首相選挙でHuntを支持したため、Johnson首相に解任された。
EU離脱の熱心な支持者。
67 83 82 92 105
Ms Liz Truss 外相 21人 3人の首相下で、環境相、貿易相、女性担当相を続け、現在は外相。
「就任初日から」減税政策を始めると約束した。
50 64 71 86 113
Tom Tugendhat 下院外交委員長 20人 37 32 31
Ms. Kemi Badernoch 前閣外相 16人 両親はナイジェリア系 40 49 58 59
Nadhim Zahawi 財務相 14人

7月5日辞任のSunak財務相の後任

元イラク難民で幼少時に英国に移住。
英国は新型コロナウイルスワクチンの接種を世界で最も早く開始した国の1つだが、その際にワクチン担当相を務めていた。

25
Jeremy Hunt 元外相 13人

2019年の保守党党首選でジョンソン氏と共に決選投票に進んだ。
2年前から下院保健特別委員会の委員長も務めている。

18
Ms Suella Braverman 法務長官 12人

EU離脱の熱心な支持者
アイルランド問題でEUとの協定を破り、英国の弁護士から非難された。

32 27
以下は当初、立候補
Sajid Javid  前保健相 7月5日に 保健相を辞任。相次ぐ閣僚離反の口火を切った。元銀行員。両親はパキスタン系イスラム移民。2019年の保守党党首選では4位だった。
Grant Shapps 運輸相
Rehman Chishti 外務次官 パキスタン生まれ

バイデン米大統領は3月31日、高止まりしているガソリン価格の抑制を狙い、今後6カ月間にわたって戦略石油備蓄(SPR)を1日当たり平均100万バレル追加で放出すると発表した。計1億8000万バレルに相当する。

他国も協調し、米国以外の放出規模が「3000万~5000万バレルになるだろう」と述べた。

2022/4/2 OPECプラス、大幅増産を見送り 

付記

米政権は10月18日、石油の戦略備蓄を1500万バレル放出すると発表した。石油の大幅減産を決めたサウジアラビアなどへの対抗措置とみられ、11月の米中間選挙を前にガソリン価格高騰を抑制する狙いがある。

今春に合計1億8000万バレルの石油備蓄を放出する供給枠を設けたが、今回の放出でその枠を使い切る。

「今後の状況次第では、追加で大規模に供給できる用意はある」としている。


米政府が国内燃料価格引き下げのために戦略石油備蓄(SPR)から放出した原油の一部が6月に欧州とアジアに輸出されていたことが明らかになった。輸出された原油は500万バレル以上だという。

米税関のデータによると、Phillips 66はイタリアのTriesteに約47万バレルを輸出した。Triesteには中欧の製油所に原油を送るパイプラインがある。

仏Total Energies傘下のAtlantic Trading and Marketingも56万バレルのカーゴを2カーゴ輸出した。

業界筋によると、オランダのほか、インドのReliance製油所、中国にも輸出された。

報道によると、エネルギー省は4月に中国Sinopecの販売子会社であるUnipec向けに戦略石油備蓄から95万バレルを販売することを承認した。バイデン政権は、「エネルギー価格引き下げに役立ち、米国消費者のガソリン価格高の苦しみを和らげる」としている。

この発表は、戦略備蓄放出のうち500万バレルが海外に売却され、うち100万バレルが中国向けであるとのロイター報道の後に行われた。

さらに、中国のSinopecとバイデン大統領の息子のHunter Biden が親密な関係にあることが判明した。

2013年に private equity companyであるBHR Partnersが設立された。

2015年にBHR はSinopec Marketing に17億ドルを出資した。

2017年にHunter Bidenは彼が唯一のオーナーであるSkaneatelesを通じてBHR の10%を取得した。

Hunter の弁護士は昨年12月にHunter Bidenが最早、BHR にもSkaneatelesにも関与していないと述べたが、米国と中国の登録では、3月時点で上記の通りとなっている。

米国のガソリン高を緩和するための戦略石油備蓄が海外に売られたこと、特に中国に売られたこと、さらに売却先のSinopecにバイデン大統領の息子のHunter Bidenが関与している可能性があることは、今後問題になると思われる。

Hunter Bidenはこれまでに問題を起こしている。

Joe Bidenがオバマ政権での副大統領時代にウクライナ問題を担当したが、息子のHunterを同行させている。

2014年4月にBiden副大統領がウクライナの国営天然ガス会社Burisma Holdingsの幹部に会った1カ月後に、HunterはコンサルタントとしてBurisma Holdingsに入社した。2014年から2019年までBurismaの取締役を務めた。この期間で月額5万ドルの報酬を受けていた。

トランプ前米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、バイデン氏と同氏の息子に関する調査を要求。これを受け、野党・民主党が弾劾調査の開始を発表した。

2019/9/26 米民主党、Trump大統領の弾劾調査開始へ

Joe Biden大統領も政府の業務に息子を関与させるやり方も問題である。

ロシアからの天然ガス輸送量減少により、経営難に陥っている独エネルギー大手でロシア産ガスの最大輸入業者の1つのUniperは7月8日、ドイツ政府に資本注入などの救済措置を求める申請書を提出した。

2016年にドイツ最大のエネルギー企業E.ONが化石燃料、原子力、火力、水力、電力取引部門を「Uniper」として分離し上場した。E.ONには送配電、小売り、再生可能エネルギ一部門が残った。

同社の事業


ドイツは2020年に石油34%、天然ガス55%、石炭45%がロシアからの輸入だった。 特に、天然ガスは国内需要の9割以上を輸入に頼り、加えて輸入の半分以上をロシアに依存していることになる。

ロシア国営 Gazprom は6月14日、天然ガスパイプラインNordstream 1 の供給量を40%減らすと発表した。従来の日量最大1億6700万立方メートルから1億立方メートルになる。

Gazpromは翌15日、さらに33%削減すると発表した。合計60%のカットとなる。モスクワ時間の16日午前1時半をもって供給量は最大6700万立方メートルになる。

ドイツ重電大手Siemens Energyなどによると、パイプライン内のガス圧力を高めるために使われるガスタービン(aeroderivative gas turbine) 1基をカナダで修理したが、カナダ政府の制裁措置によってGazpromに提供できなくなったという。Siemens Energyではドイツとカナダ政府に事態を連絡し、解決策を協議していると発表した。

カナダ政府は7月9日、修理したタービンをドイツに返却すると発表した。

連邦ネットワーク庁によると、ガスの貯蔵率は7月7日時点で最大貯蔵量の63%と平年より2%少ない水準で推移する。暖房などの需要が少ない夏場に確保を進め、貯蔵率を11月までに90%まで引き上げる計画だがロシアから供給が細り、貯蔵量の積み上げは難航している。

Gazpromは7月11日から2週間ほどの「定期検査」を実施するとしており、その間はガス供給が完全に止まる見通しだが (7月11日停止)、検査終了後もガス供給が再開されない可能性もある。
ロシアはウクライナに重火器を供与するドイツに反発を強めている。

ロシアからのガス供給が完全に止まった場合などには、2023年2月頃に貯蔵率がゼロになる最悪のシナリオも想定される。

2022/6/17 Gazprom、ドイツ向けの天然ガス供給を削減

付記

Gazpromが出資するパイプラインの運営会社は点検の期限である7月21日、天然ガスの供給を再開したことを明らかにした。

ただ、ドイツのエネルギー規制当局によると、21日の供給量は点検前と同じ、通常時よりおよそ60%削減された状況で、全面的な再開にはならないとの見通しを明らかにした。

付記

Gazpromは7月25日、Nordstreamについて、新たに送ガス用タービン1台の修理を始めると発表。27日から供給量を6月中旬までの約2割に減らす。


Uniperとドイツ政権は7月に入り、ロシアのガス供給の制限に関係し、90億ユーロ規模の金融支援についての交渉を始めた。

Uniperの損失額は、2月のウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦の後、ロシアのエネルギー供給への依存を縮小するという独政権の決定の影響を被り、増え続けている。他のより高額な代用品で補填を強いられているためである。現在、LNGの市況は暴騰している。

ロシアが天然ガスの供給を絞るなか、ドイツ政府は冬場にガス不足の危機を回避しようと政策を総動員している。独議会は7月8日、経営不安に陥るエネルギー企業への公的救済に向けた関連法(Energy Security Act 改正案)を承認した。

これによると、政府は財政危機に瀕したエネルギー企業の救済のため必要な措置をとることができる。これにより消費者への影響を緩和する。

また、ガス価格の上昇を全ての消費者の間で均等に負担するようなメカニズムも導入する。天然ガスの輸入に大きな問題が生じた際には、価格調整条項を発動する可能性も含めた。

Uniperは即日、ドイツ政府に救済措置を求める申請書を提出した。

1)コスト上昇分の価格転嫁 Fair cost allocation

2)独政府系復興金融公庫(KfW)の融資枠拡大による追加融資

3)連邦政府によるUniper への出資

年末までに100億ユーロのコスト増になると試算、販売価格への転嫁を求めるとともに、20億ユーロ分の信用枠の拡大も政府系金融機関に要請した。ドイツ政府が今後、Uniperに資本注入し、株主になる可能性がある。(政府は資本注入を含め、90億ユーロ規模の公的支援を視野にいれている。)

付記 

ドイツ政府は7月22日、Uniper救済策として、株式30%を取得すると発表した。政府が経営に一定の影響力を持つことで、ガスの安定供給を目指す。
ドイツ政府は2億6700万ユーロ(約370億円)の増資によるUniper株取得で、56%所有の親会社であるフィンランドのFortum、同国政府などと基本合意した。

合わせて政府系金融機関であるドイツ復興金融公庫(KfW)の融資枠を現在の20億ユーロから90億ユーロに拡大する。

10月からガス買い取り価格の高騰分を料金に転嫁し、消費者の負担が増えることも明らかにした。

ドイツ政府はガス消費の抑制も強化する。緊急調達計画では警戒レベル別の政策対応を3段階に分けており、ドイツ政府は6月23日、2段階目の「非常警報」を発令し、3月末に公表した初期段階の「早期警報」から警戒レベルを1段階引き上げた。ガスの代替として石炭火力発電の稼働を一時的に増やす関連法も承認された。

ドイツ政府はガスを安定確保するため、不測の事態に備えた調達計画をすでに策定済み。警戒レベルは①早期警報②非常警報③緊急警報の3段階で、重大な問題が生じる場合に宣言する。

ロシアに代わる調達先をノルウェーなどで模索する。ただ現状ではガスの供給を大きく増やすのは難しい。インフラ面でも制約があり、ドイツで液化天然ガス(LNG)の受け入れ拠点の一部が完成する年末以降にならないと、ノルウェーからのガス調達量を増やすのは難しい。

ドイツはこれまでロシアからパイプで天然ガスを輸入してきた。LNGに切り替える場合、受け入れ設備と再ガス化設備が必要である。

ドイツは3月5日、国内初の液化天然ガス(LNG)輸入ターミナル建設を発表した。
ドイツ復興金融公庫(KfW)と大手エネルギー会社RWE、オランダ政府100%出資のガス大手Gasunieが、ドイツ北部のBrunsbüttel市でLNG輸入ターミナルの建設に関する覚書(MoU)を締結した。
出資比率はKfWが50%、Gasunieが40%、RWEが10%でターミナルの運営はGasunieが担当する。

同ターミナルの年間再ガス化能力は80億立方メートルで、ドイツの年間ガス需要約950億立方メートルの8.4%に相当する。 (この完成はかなり先になる)

ドイツ政府は5月5日、LNGの輸入拠点となるターミナル建設を北部Wilhelmshavenで始めた。

既存の桟橋を改良し、LNGが貯蔵できる設備を備えた船4隻をリースして洋上に停泊させる。浮体式LNG貯蔵再ガス化設備と呼ばれる大型設備で、海外から到着するタンカーからLNGを船の設備に受け入れ、船上で液体からガスに戻し、陸上のパイプラインを通じて消費地に送る。80億立方メートル程度を供給できるという。

10年契約で、秋までに完成し、RWEが運営する。陸上受け入れ基地機能の代替となる、ドイツ政府は29億4千万ユーロの予算を付ける。

これらが完成しても、現在パイプラインで受け入れている量には程遠い。価格だけの問題でない。

2022/6/17 Gazprom、ドイツ向けの天然ガス供給を削減

ガスの調達不安が高まれば、一段と厳しい措置が導入される見通しで、緊急調達計画の警戒レベル3段階で最も厳しい「緊急事態」になれば、ガスの配給制や価格決定などで政府が直接介入できるようになる。

一般家庭へのガス供給を優先させる方針で、企業を中心に工場の操業停止を迫られる恐れがある。割安なロシア産ガスから価格の高いLNGに切り替えれば家計負担も大幅に増える。ドイツ経済研究所のクラウディア・ケムファート氏は独メディアのインタビューで、ガス価格が「最大400%上がる可能性がある」と指摘した。

ロシアからのガス購入を続ければ経済制裁の効果を弱めかねない。一方、早期に供給が止まれば今冬のガス不足が現実味を帯びる。エネルギー不足による景気悪化の懸念は強まっている。


Frankfurter Allgemeine 紙とのインタビューでBASF CEO のMartin Brudermuller は、ロシアからのエネルギー途絶はドイツ経済を過去75年以上のうちで最悪の不況に陥らすと警告した。

4~5年経てばロシアのガスから独立することも可能かも分からないが、それまでについてはLNG輸入での代替は不十分である。ロシアの天然ガスはドイツの消費の55%を占めており、これが一夜にして切られると、被害は取り返しのつかないものとなる。ドイツ経済は第二次大戦以来最悪の危機に陥り、特に中小企業の多くにとって終わりを意味する。

BASFの場合、ガスの供給が最大需要量の50%以下になった場合、Ludwigshafen コンビナートで生産を大幅に落とすか、完全にシャットダウンせねばならない。

ドイツ人は事態の重要性を認識していない。天然ガスを切られると職を失うことを意味する。

アンモニアを例にとると、BASFは既にアンモニアや肥料の生産を落とさざるを得なくなっているが、肥料の生産国のロシアに頼れないため、2023年には肥料不足から食糧が不足し、価格が急騰、アフリカなどの貧困国では主食の購入が難しくなるだろうとしている。

2022/4/4 ロシア、天然ガス代のルーブル払い義務化

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公的支援の動きは欧州各国に広がる。

フランス政府は7月6日、ロシアのウクライナ侵攻が欧州のエネルギー市場を不安定にしていることを受け、国内最大の電力会社であるフランス電力(EDF)を完全に国営化する計画を発表した。

フランス政府はすでに同社の株式の84%を保有しているが、ボルヌ首相が同日、政府が「EDFの資本を100%保有する」計画を議会で表明。これにより政府が同社を完全に支配し、利益が減少する中での投資家への還元を回避できる。

イタリア政府は6月30日、国営エネルギー会社GSE(Gestore dei Servizi Energetici GSE S.p.A.)のガス備蓄を支援するために、40億ユーロの政府融資を行うことを決めた。

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