2017年8月アーカイブ

トランプ米大統領は8月14日、不公正貿易での制裁も視野に、中国に対する通商法301条に基づく調査を開始するよう指示した。

https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/08/14/presidential-memorandum-united-states-trade-representative


内容は次の通り。

中国は知財やイノベーションや技術に関連して、米国の技術と知財の中国企業への移管を求めたり、米国の利害に悪影響を与えるような、法律、政策、慣例、行動を実行している。
これらは、米国の輸出を妨げ、米国のイノベーションに正当な対価を払わず、米国の雇用を中国に移転し、その結果、対中貿易赤字を増やし、米国の製造業、サービス、イノベーションを弱体化させている。

このため、USTRに対し、1974年通商法301条(301~309条の総称)の section 302(b) に基づき、中国の法律、政策、慣行、行動が不当又は差別的で、米国の知財、イノベーション、技術発展に害を与えているかどうかの調査を行うよう命じる。

不当と判断すれば制裁措置の発動も検討する。

1974年通商法301条では、米国の通商に負担・制限を与えている外国の慣行等について,当該国と協議を行うことを義務付け,解決しない場合には,関税引上げなどの一方的措置を発動する権限を行政府に与えている。

署名に先立ってトランプ大統領は「 外国による知的財産の盗難は、年間で数百万人の雇用喪失と数十億ドルの損失をもたらしている。不公正な行為からアメリカの労働者や技術、産業界を守るのは私の義務であり、責任だ」と述べ、不公正な貿易慣行の是正を求めていく姿勢を強調した。

直接言及はしなかったが、北朝鮮が核やミサイルの開発を進める中、中国から協力を引き出すため、圧力を強める狙いもあるものと見られている。

USTRのLighthizer 代表は今回の大統領令を受け、USTRが最優先課題の一つとして調査の検討に取り組む方針を示した。


これについて野党・民主党の上院院内総務は8月14日、声明を発表し「トランプ大統領の行動パターンが続いている。中国に対する発言は厳しいが、行動は弱々しい」と述べ、通商問題で大統領令の署名を連発しているものの、具体的な対応が伴っていないと批判した。

トランプ大統領は4月20日、大量の鉄鋼輸入が米国の安全保障を脅かしている懸念があるとして、米通商拡大法に基づいた鉄鋼輸入の実態調査を米商務省に指示した。

更に4月27日に、アルミニウムについての調査を指示する大統領令を出した。

鉄鋼については、トランプ大統領が関税引き上げと輸入割り当てを同時に課す考えを表明したが、米産業界で賛否が分かれて おり、決まっていない。
(輸入鋼材の攻勢を受ける鉄鋼業界は早期の関税引き上げなどを要求しているが、石油業界はパイプラインの価格の上昇につながりかねない制裁措置には反対、自動車産業も反対している。 )

2017/4/22 Trump大統領、鉄鋼輸入規制に向け、実態調査を指示


中国外交部の報道官は8月14日の定例記者会見で「中米の利益の相互融合が日増しに深まり、互いに切り離せない緊密な構造がすでに形成されている中、貿易戦争に前途はなく、勝者なくして共に負けるのみだ」と述べた。

「中米の経済・貿易関係の本質は互恵・ウィンウィンだ。双方は中米包括経済対話を通じて、双方の経済・貿易関係に生じる問題への対処について重要な共通認識にいたった。双方が相互尊重、平等及び互恵の精神に基づき、互いの懸念を対話によって解決し、中米の経済・貿易関係の持続的で健全な安定した発展を維持することを希望する」と述べた。

また「中国側は知的財産権の保護を一貫して非常に重視している。近年中国は関連法規を制定・整備し、知的財産権の侵害という違法犯罪行為への取り締まりを強化し、社会全体の知的財産権保護意識の強化を重視し、誰の目にも明らかな成果を得た」と述べた。

さらに「WTO加盟国による貿易措置は、すべてWTOルールを順守する必要がある」と米国の動きにクギを刺した。

WTOは一方的な制裁措置を認めていない。米の通商法301条は、何が不公正であるかの判断を米国が一方的に認定し,対抗処置を講じられるという意味で、 WTOルールに抵触する可能性が極めて高い。

米国が実際に制裁に乗り出せば、中国が対抗措置に動くなど、世界経済に大きな混乱をもたらす恐れもある。

米政府高官も「調査結果を得るまで1年近くかかる可能性もある」と述べるなど中国の出方を見極めつつ、全面対決は回避したいとの思いがにじむ。




中国の商務部と税関総署は8月14日、北朝鮮からの石炭、鉄、鉄鉱石、鉛、鉛鉱石、海産物などの輸入を15日から全面的に禁止すると発表した。

国連安全保障理事会が8月5日に採択した北朝鮮に対する新たな制裁決議 (2371) に基づく措置。

国連の安全保障理事会は、北朝鮮がICBMだとする発射実験を2回行ったことをめぐり、北朝鮮の主な収入源になっている石炭などの輸出を一切禁止するとする制裁決議を中国、ロシアを含む全会一致で採択した。

安保理制裁に基づく禁輸が加盟国によって着実に実行されれば、北朝鮮の年間輸出収入の約3分の1にあたる10億ドルが削減できる見込み。

商務部公告40号によると、詳細は次の通り。

8月15日以降、下記の対象品目の輸入は全面的に禁止する。
これ以前に入港したものについても、9月5日以降は申請を受け付けたものについても輸入手続きを中止する。

例外として、北朝鮮の羅津港からの石炭で、輸出国が信頼できる情報によって北朝鮮産以外のものと証明するものの再輸出品は除く。(但し、輸出国は国連が設置する委員会に通知する必要がある。) ロシア品を想定している。

禁止対象製品は次の通り。

製品 詳細 関税番号
石炭 石炭 2701
亜炭 2702
鉄鉱石 2601-111、112、119、120、200
7201-10001、10009、20000、50001、50009
鉛、鉛鉱 鉛鉱 2607
鉛製品 第78章全て
海産品 魚類 第3章全て
エキス及びジュース 1603
調整・保存処理した魚、イクラ 1604
同上甲殻類 1605

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国連安全保障理事会は2016年11月30日、北朝鮮による核実験等に関する決議第2321号を全会一致で採択した。

中国商務部は2016年12月23日の公告81号で、国連決議2321に基づき、次の措置を取ると明らかにした。

1) 北朝鮮からの石炭の輸入の制限

2017年1月1日以降、毎年、各国全体の北朝鮮からの輸入を4億ドル、または750万トンのいずれか少ない方に制限する。

2) 北朝鮮からの銅、ニッケル、銀、亜鉛の輸入禁止

3) 北朝鮮からの彫刻像の輸入禁止

4) 北朝鮮へのヘリコプター、船舶の輸出禁止

石炭については、実際に北朝鮮から輸入しているのは中国のみとされる。

中国商務省は2017年2月18日、公告12号で、国連決議2321に基づき、北朝鮮からの石炭輸入を2月19日から12月31日まで全面的に停止すると発表した。

中国の1月の北朝鮮からの石炭輸入額は1億2194万ドル、輸入量は145万トンで、1月末時点では上限まで相当な余裕があることが判明している。

2017/2/28 中国、北朝鮮からの石炭輸入を全面停止


石炭は2月19日から禁輸したものの、今年上半期の中朝貿易の輸出入の総額は、昨年の同じ時期と比べて10.5%増えていた。


水俣条約発効

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水俣条約が2017年8月16日に発効した。

2017/5/19  水俣条約、8月に発効 

2013/10/15 「水俣条約」採択

METIの「通商白書」、JETROの 「世界貿易投資報告」が相次いで発表された。

2017/6/17 平成 29 年版 通商白書

2017/7/31 ジェトロ世界貿易投資報告」2017年版 ‐転換期を迎えるグローバル経済

それによると、日本の貿易全体に占めるFTA・EPA締結国との貿易の割合(FTAカバー率)は主要各国と比べると、非常に低いことが分かる。


以下では、2017年3月末(METI)or 2017年6月末(JETRO))時点でFTAが発効している国との2016年の貿易額、率をとった。

 
貿易額
(億ドル)

FTA発効

TPP

EU
韓国 中国 米国 NAFTA EU TPP11 米国
日本 12,371 22.5% 22.5% 1.8% 15.8% 11.9%
韓国 9,019 23.4% 12.2% 10.9% 21.3% 67.8%
中国 37,261 6.8% 31.9% 38.7%
EU 38,308 2.5% 28.6% 31.1%
米国 36,429 3.1%

29.3 6.7% 39.1%

8.4%

メキシコ 7,859 66.0 79.7%
カナダ 8,166 67.1 70.5%
チリ 1,159 93.1%

中国とEUのFTA化率(計)は両者で数字が異なっており、通商白書を採った。

日本の場合、FTAカバー率は22.5%に過ぎない。
米国込みのTPPが発効すれば、EUを加えて52%になるところであったが、米国離脱により、米国を除くTPP締結国(TPP 11)とFTA締結が間近とされるEUを加えても36.2%である。
政府目標の「2018年に7割」には遠い。米国 and/or 中国との締結が必要であるが、問題が多い。

それに対し、韓国はFTAカバー率が67.8%もある。

韓国は、日本が締結していない中国、米国、カナダ、EU、EFTA、トルコ、ニュージーランド、コロンビア、中南米6カ国とFTAを締結しており、更にインド、オーストラリア等とも締結し、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」と称している。(後記)

中国やEUも30%を超えている。

米国、カナダ、メキシコはNAFTAを締結しており、特にメキシコとカナダはNAFTAでの貿易(ほとんどが対米)が大きな比率を占める。
NAFTA再交渉は8月16日に始まる。

首位のチリは93.1%で、中国、韓国、米国、カナダ、EUなどFTAを結 んでいる。

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日本と韓国のFTAの状況は下記の通り。年月日は発効日。
TPP 参加国-2016/2/4 署名日本を含め12カ国
韓国先行
日本 韓国
アジア
個別 ASEAN 個別 対ASEAN
ASEAN マレーシア 2006/7 2009/2/1 2007/6/1
シンガポール 2002/11 2008/12/1 2006/3/2 2007/6/1
ベトナム 2009/10 2008/12/1 2015/12/20 2007/6/29
ミャンマー 2008/12/1 2007/11/27
インドネシア 2008/7 (未発効) 2007/12/7
フィリピン 2008/12 2010/7/1 2008/1/1
ブルネイ 2008/7 2009/1/1  2008/7/1
ラオス 2008/12/1 2008/10/1
カンボジア 2009/12/1 2008/11/1
タイ 2007/11 2009/6/1 2010/1/1
モンゴル 2016/6
インド 2011/8 2010/1/1
中国 2015/12/20
北米 米国 2012/3/15
カナダ (交渉中) 2015/1/1
メキシコ 2005/4
欧州 EFTA
スイス、リヒテンシュタイン、
ノルウェー、アイスランド、
2006/9/1
スイス 2009/9  EFTAとしては発効済
EU 28カ国 (交渉中) 2011/7/1
トルコ 基本&物品貿易 (交渉中) 2013/5/1
サービス&投資 2015/2/26 (署名)
オセアニア オーストラリア 2015/1 2014/12/12
ニュージーランド 2015/12/20
中南米 チリ 2007/9  2004/4/1
ペルー 2012/3  2011/8/1
コロンビア (交渉中) 2016/7/15
中米6カ国
グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、ホンジュラス、コスタリカ、パナマ
2016/11/16 (妥結)
Mercosur (予備交渉)

 



日産自動車は8月8日、日産が保有するバッテリー事業およびバッテリー生産工場を中国の投資会社GSR Capitalに譲渡する契約を締結したと発表した。

売却対象のオートモーティブエナジーサプライ(AESC)に共同出資するNECも、自社及び子会社のNECエナジーデバイスが所有する AESC 株式を日産に売却したこと、及びNECエナジーデバイスをGSR Capital に譲渡する交渉を行っていることを発表した。
NECエナジーデバイスはバッテリーおよび電極の開発・製造を行っており、AESCに電極を供給している。

GSR Capital (金沙江創業投資基金)は、北京、香港およびシリコンバレーに拠点を持つ中国の投資ファンドで 、電気自動車、新エネルギー、現代農業、医療および無線技術などの高成長分野への投資に焦点を置いている。近年、超小型EVメーカーやリチウムイオン電池メーカーに相次いで投資を行っている

サッカーのイタリア1部のACミランは本年4月にRossoneri Sport Investment Lux に売却されたが、このオーナーはGSR Capital の会長のSonny Wu(伍伸俊)である。

日産の譲渡契約の対象となるバッテリー事業には、AESCの全株式(NECから譲渡を受けたものを含む)、北米日産会社が保有するバッテリー生産事業、英国日産自動車が保有するバッテリー生産事業、及び日産のバッテリー事業に関連する追浜、厚木、座間の開発・生産技術部門の一部が含まれる。


日産では、「AESCは、GSR Capital の幅広いネットワークや積極的な投資を活用し、新たな顧客の獲得により、その競争力の向上が可能となる。これは日産にとってはEVの競争力の更なる強化にもつなが る」としている。AESCを引き続き同社の重要なパートナーとし、日産は市場をリードするEVの開発及び生産に専念するとしている。

GSR CapitalのSonny Wu 会長は、「AESCの取得は、新エネルギー自動車産業に関わる当社にとって重要な一歩とな る。R&Dへのさらなる投資を行い、米国、英国および日本で既存生産能力を拡大していく。また、中国および欧州に新たな工場を建設し、世界中により良い製品を提供してい く」と述べた。

NECでは、スマートエネルギー分野では蓄電システムの構築・運用・保守を行うサービス事業へのシフトを進めており、総合的に検討した結果、このたびの契約締結に至ったとしている。

ーーー

オートモーティブエナジーサプライ(AESC)は2007年4月に、日産自動車、NEC、NECトーキンの合弁により、自動車用高性能リチウムイオン電池の開発、マーケティングを事業内容として設立された。

2008年に自動車用高性能リチウムイオン電池の開発、生産、販売を行う会社へ移行、2010年にHEV用、EV用のバッテリーの本格的な量産を開始した。

2010年4月にNECエナジーデバイスが設立され、NECトーキンの「大容量ラミネートリチウムイオン二次電池」事業を承継した。
AESCの株主も、NECトーキンからNECエナジーデバイスに代わった。


Renault と
日産自動車は当初、AESCの技術をベースにした 電気自動車用電池工場を、2012年半ばまでにRenault のフラン工場に建設する計画を発表していた。

しかし、この計画は延期された。

2012年時点では、ルノーのEVの電池については、小型商用車「Kangoo Z.E.」とセダン「Fluence Z.E.」向けはAESCが、2人乗りの超小型車「Twizy」向けはLG Chemが供給していた。

電気自動車の分野での戦略的提携をしている Renault とフランス原子力庁は2012年7月、電気自動車用次世代電池の量産開発でLG Chemと提携すると発表した。

LG Chemは、EV用次世代電池の工場をフランス国内に建設し、2015年末からEV用電池の現行品の量産を開始する。
ルノーが2012年末発売予定の小型 EV「ZOE」も、LG Chemの電池を採用する。

AESCの生産能力が限られているため、日産自動車は自ら出資するAESCの電池を優先して使い、RenaultはLG Chemの電池を採用することになったとされた。

Renault は2014年5月21日、Renault とLG Chemが次世代のゼロエミッションの自動車用のバッテリーを共同開発する契約に調印したと発表した。

2014/5/28 ルノー、韓国LG Chem と将来の電気自動車のバッテリーを共同開発、GMはバッテリーをLGに統一


車載リチウムイオン電池の世界シェアは次の通り。(2017/8/3 日本経済新聞)

パナソニックは2017年1月4日、Tesla が米ネバダ州に建設した「Gigafactory」で円筒形リチウムイオン電池セルの量産を開始すると発表した。

Gigafactory内に設置されたパナソニックの電池セル工場で 新型EV(電気自動車)「モデル 3」およびTeslaの住宅用蓄電池「PowerWall」、産業用蓄電池「PowerPack」向けに、「2170」サイズの円筒形電池セルを生産する。

2017/1/11 Tesla Motors とパナソニック、「Gigafactory」でバッテリーの生産開始


東芝は8月10日、PwC あらた監査法人から2017年3月期の有価証券報告書について監査法人から「限定付き適正」の監査意見を受領し、有価証券報告書を関東財務局に提出した。


上場継続の3条件の1つを辛うじて達成した。

債務超過の解消

有価証券報告書での適正意見

特定注意市場銘柄指定解除 東証が今秋をメドに判断

2017/8/2  東芝、東証2部降格   

PwCあらた監査法人は昨年度の決算はおおむね妥当だとする「限定付適正意見」を出した。

東芝の決算をめぐっては、監査法人が、アメリカの原子力事業による巨額の損失をもっと早く認識できなかったか、過去の決算も調べる必要があるとして承認せず、発表が延期されてきた。

東芝は2016年12月に、2015年末の
Stone & Webster 買収で数十億ドル規模の「のれん」計上の可能性が生じたことを明らかにしたが、PwCあらたとWestinghouse を監査する米国のPwCは、巨額損失が突如分かったのは不自然だとし、2016年3月以前に損失を認識できたのではとみており、2016年3月期決算(前任の新日本監査法人が適正意見を出している)でその一部を計上しておくべきだと主張している。

今回、PwCあらたは、この主張は取り下げない一方で、現在の財務状況などは適正 であると認め、決算の内容はおおむね妥当だとする「限定付適正意見」を出した。

PwCあらたは2016年4-12月期決算について、「意見不表明」としており、今回もその案があったが、金融庁や公認会計士協会などが、「責任放棄にあたる」とけん制したと報じられている。

決算そのものについて、「不適正」や「意見不表明」となった場合、東証が審査中の解除判断に影響を及ぼし、上場が廃止されかねないとみられていた。


但し、PwCあらたは、東芝社内のチェック体制を示す「内部統制」については、巨額の損失を見過ごすなど問題があるとして、「不適正」とする意見 をつけた。

これについて、東証の審査に影響を与えるのではとの懸念があるが、東芝では、「内部統制に不備があったのはWestinghouseの会計で、損失の計上時期についての一点のみであり、Westinghouseが連結からはずれたことで不備が指摘されたところもなくなった。内部体制を強化しており、不備はないと考えている」としている。

今回の結果を受け、東証は特注銘柄から外すかの判断を出す見通し。


問題は
の債務超過の解消で、東芝メモリの2018年3月末までの売却完了の目途は立っていない。
売却が決まっても、当初予定からどんどん遅れているため、3月末までに各国の独禁法当局の承認を全て得るのは難しくなりつつある。

増資については、特設注意市場銘柄のため公募増資は事実上困難で、第三者割当増資の引き受け手の確保が必要となる。

ーーー

確定した2017年3月期及び2017/4-6月期決算と、現時点での2018年3月期決算予想の概要は次の通り。(億円)

  16/3 17/3 増減 6/23発表
見通し
増減 17/1Q 18/3
売上高 51,548 48,708 -2,840 48,708 0 11,436 49,700
営業損益 -4,830 2,708 7,538 2,708 0 967 4,300
(うち東芝メモリ) (1,100) (1,866) (766) (903) (3,712)
(東芝メモリ以外) (-5,930) (842) (6,772) (64) (588)
非継続事業純損益 -1,298 -12,801 -14,099 -13,065 264
純損益 -4,600 -9,657 -5,057 -9,952 295 503 2,300
株主資本 3,289 -5,529 -8,818 -5,816 287 -5,043 -4,100


東芝メモリ分はストレージ&デバイスソリューションのうち、HDD、デバイスほかを除いた 「メモリ」をとった。
米国原子力事業は、2016/3は継続事業で営業損益に含まれる。2017/3は非継続事業。

東芝が6月23日に監査意見無しで「見通し」として発表したものとほぼ同じで、米電力会社との合意で親会社保証額がほぼ確定した分が差の大部分である。  

親会社保証引当金
確定額 Vogtle 3、4号機 3,680百万ドル 4,129億円
V.C. Summer 2、3号機 2,168百万ドル 2,432億円
その他 316億円
合計 6,877億円
引当額 (2017/6/23 業績見通し) 7,162億円
引当金 減額 益 285億円

2017年3月末時点での株主資本は5,529億円の赤字となった。

2018年3月末までに赤字を解消できなければ、上場廃止となる。

上表の2018年3月期予想(4,100億円の赤)には、東芝メモリの売却益は含んでいない。2兆円とされる売却が実現すれば、赤字は解消する。

なお、2018年3月期予想の営業損益の4,300億円のうち、東芝メモリ以外は588億円しかなく、東芝メモリ売却で上場廃止は免れるが、その後の経営は苦しい。

さらに、追加の損失発生のリスクがある。

東芝はFreeport LNGとの間で年間220万トンのLNGの購入契約を結んでおり、これはTake or Pay の契約であり、市況が下がっても契約価格での引取り、または固定費の支払いが必要である。

計画 立地 生産開始 日本企業 契約数量
Freeport LNG テキサス州 2018 大阪ガス 
中部電力
220万トン
220万トン
2019 東芝    220万トン

東芝では、「LNGの供給事業がリスクだ。全く売れない場合に1兆円を見積もっているが、販売先で決まっているところはある。契約に向けて営業活動をすすめている」と述べている。

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Westinghouseに関しては電力会社に対する親会社保証問題は完了したが、これで負担問題が全て無くなった訳ではない。

それぞれの電力会社は総括原価方式により追加コストを電気料金に転嫁しており、消費者が東芝を訴える恐れもある。

Southern電力は米政府の債務保証で銀行から融資を受けており、これが影響する恐れもある。

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東芝は2016年3月の東芝メディカルシステムズのキヤノンへの売却の場合は、独禁法審査を後回しにして、先に売却し、売却益を計上するという奇手を使った。

2016/3/18 キヤノン、東芝メディカル買収を発表、独禁法対策で奇手

これに対し、欧州委員会はキヤノンに対し、承認前に買収をした疑いで異議告知書を送付した。今後の検討で問題だと認定した場合、罰金支払を命じるが、罰金は世界全体でのキヤノンの年間売上高の最大10% (3,400億円)にもなる。

2017/7/7 EU、キヤノンの東芝メディカル買収で異議告知書

どこも取り上げていないが、キヤノンは承認をえてから売却すれば問題ないのに、わざわざこんなリスクのある取引をしたのは、明らかに東芝の要請によるものであり、リスク回避の条項を契約に織り込んでいると思われる。


経済産業省及び財務省は、2016年9月30日以降、中国原産の輸入高重合度ポリエチレンテレフタレート(PET)に対するダンピング調査を行ってきたが、ダンピングの事実及び日本産業に与える実質的な損害等の事実を推定するに至ったとして、8月4日付でダンピングの仮決定を行った。

ダンピング課税の発動要件は以下の通り。
  1) ダンピング輸入の事実
  2) 国内産業の損害の事実
  3) 両者の因果関係
  4) 国内産業を保護するために必要であること

2016年9月6日に三井化学、三菱化学、日本ユニペット及び越前ポリマーからの申請を受け、両省合同の調査を実施した。

今後、引き続き調査を行い、ダンピング関税の課税の可否を政府として判断することとなる。

現在の関税率はゼロで、ダンピングが確定した場合、WTOのルールで最大54%までとすることができる。

PETの状況は次の通り。

2013年度 2014年度 2015年度 2013/2015
総輸入量 577,182 625,364 660,430 +114%
うち 中国 254,034 299,577 364,258 +143%
中国の比率 44.0% 47.9% 55.2%

ーーー

これまでの調査対象とその状況は下記の通りで、現時点で、電解二酸化マンガン、TDI、水酸化カリウムが課税中で、炭素鋼製突合せ溶接式継手が調査中である。

日本政府は2016年に関税定率法の政令改正を決めた。反ダンピング課税の申請が出来るのは、一定条件を満たす生産者とその団体であるが、団体についての要件を変更する。

この改正により、団体による申請がし易くなる。

2016/4/8 日本政府、反ダンピング課税申請要件を緩和 



品名 調査開始 相手 決定 課税率 課税期間 現状
(アンチダンピング)
ポリエステル短繊維 2001/4/23 韓国 2002/7/26 クロ確定 1社6%、4社0%、他 13.5%

2002/7/26/~2012/6/28

課税終了
台湾 10.3%
カットシート紙 2012/6/29 インドネシア 2013/6/26 課税なし  -
電解二酸化マンガン 2007/4/27 スペイン 2008/9/1 クロ確定


2014/2/21 延長確定
(除 豪州)

14.0% 2008/9/1~2019/3/4 課税中
中国 1社 34.3%、他 46.5%
南アフリカ 14.5%
豪州

29.3%

2008/9/1~2013/8/31 課税終了
TDI 2014/2/14 中国 2015/4/14 クロ確定

69.4%

2015/4/25/~2020/4/24

課税中
 2014/12/9 日本、中国原産の輸入TDI にダンピングの仮決定
水酸化カリウム 2015/5/26 韓国 2016/8/2 クロ確定 49.5%

2016/8/9/~2021/8/8

課税中
中国 73.7%
ポリエチレンテレフタレート 2016/ 9/30 中国 2017/8/4 クロ仮決定 仮決定
炭素鋼製突合せ溶接式継手 2017/3/31 韓国 調査中
中国
・・
(相殺関税)
ハイニックス社製DRAM 2004/8/4 韓国 2006/1/27 クロ確定 ~2008/8/31 27.2%

2006/1/27/~2009/4/22

課税終了
~2009/4/22  9.1%

 


カナダのアルバータ州でプロパン脱水素、PP生産の大型石油化学計画が進んでいる。

カナダの大手石油製品パイプライン会社 Pembina Pipeline Corporation とクウェート国営石油(KPC)子会社のPIC (Petrochemical Industries Company)が本年5月にJV契約を締結し、50/50 出資の Canada Kuwait Petrochemical Corporation を設立した。
既に技術の選定も終えており、2018年末までに基本設計を終え、最終的に投資を決める予定。

Pembina Pipeline Corporation はCalgaryベースの石油製品の輸送・貯蔵・販売会社で、石油製品のパイプタインおよびオイルサンド・パイプラインを運営するほか、石油の 貯蔵や天然ガスの収集加工も手掛ける。2017年に同業のVeresen Inc.を買収した。

Pembinaは
Redwater Fractionation Complex で第3精留装置を建設中で、これが完成すると、精留能力は日量20万バレルとなる。


両社は2016年4月にAlberta 州でのプロパン脱水素、PP生産事業の共同FS契約を締結し、検討を続けてきた。

過去10年、同州で生産されるプロパンの約85%が北米各地に輸出されてきた。これを利用して地方を活性化しようというもので、日量35,000バレルのプロパンを使い、年産80万トンのPPを生産しようというものであった。

本年5月のJV契約では、能力が若干縮小されている。

原料プロパン 日量22,000バレル(Pembinaの Redwater Fractionation Complex その他から)
製品PP 年産550千トン
立地 Alberta州Sturgeon CountyにあるPembina社のRedwater Fractionation Complex 
投資総額 $3.8 - $4.2 billion  

 
   

    

   


東京大学発ベンチャーのペプチドリームは8月7日、塩野義製薬、積水化学と共同出資会社を設立すると発表した。

共同出資会社の社名はペプチスター(PeptiStar Inc.)で、「ペプチド医薬品」と呼ばれる次世代医薬品の原薬の合成・製法の研究開発、製造及び販売を実施する。

現在、特殊ペプチド医薬品の研究開発が国内外の製薬企業において進められているが、高品質な特殊ペプチド原薬を低コストで安定供給できるCMO(医薬品製造受託機関)は世界的に見ても存在していない。 また、これまで広く使われてきたペプチド合成法の生産性は極めて低くその改善が求められている。


ペプチドリーム、塩野義製薬、積水化学の3社は6月1日に、3社を中心に特殊ペプチド原薬の研究開発、製造及び販売を行う新会社を設立することについて、検討を開始したと発表した。

ペプチドリームが保有する特殊ペプチド医薬品の周辺知財及び周辺技術をもとに、オールジャパン体制の構築とさまざまな最先端技術の集約による高品質特殊ペプチド原薬の低コスト且つ安定供給体制の確立について検討を行っており 、3社のほか、大塚化学、キシダ化学、島津製作所、長瀬産業、中村超硬、日産化学工業、浜理薬品工業、マイクロ波化学、渡辺化学工業等が検討に加わっている。

今回、9月1日付で 3社均等出資の資本金1.5億円で設立し、本社と製造工場を摂津市の塩野義製薬の工場内に設置する。
その後、他社も含めて順次増資し、各社20%未満での出資比率に調整する。

早ければ2019年7~9月ごろの工場稼働を予定する。

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一般的な医薬品は、その多くが分子量500以下の低分子医薬品と呼ばれている。

この対極にあるのが、抗体医薬品などの生物学的製剤で、分子量150,000程度にも及ぶ。これらは、低分子医薬品では制御できない分子標的に作用し薬理機能を発揮できるメリットがある一方で、遺伝子組み換えが必要で、生産管理に手間がかかり、製造コストも高い。

ペプチドは、分子量では低分子医薬品と生物学的製剤の中間で、「中分子医薬品」と呼ばれる。低分子医薬品では標的とすることができないような分子についても薬理作用を発揮することができることに加え、生物学的製剤と異なり、完全に化学合成で製造可能であるという特長 を有している。


 図は http://www.jitsubo.com/jp/business/peptide.html


ペプチド
は、決まった順番で様々なアミノ酸がつながってできた分子の系統群である。

特殊ペプチドは、一般的なペプチドが6~50 アミノ酸残基からなるのに対して、天然の 20種類のアミノ酸のみならず、各種特殊(非天然型)アミノ酸(L-アミノ酸誘導体、D-アミノ酸、N-メチル化アミノ酸、β-アミノ酸等)を組み込んだ6~20 アミノ酸残基からなるペプチドのこと。

特殊ペプチド治療薬は、様々な治療用途に適用可能で、特に、低分子化合物では見出すのが困難だったタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する治療薬や、特定の生体内情報伝達経路を活性化するアゴニスト(活性化治療薬)を見出すことが可能で ある。


特殊ペプチド治療薬は細胞外ターゲットに対して有効なアプローチであり、極めて高い薬理活性及び選択性を達成するだけでなく、比較的高い安全性及び忍容性を付与でき、多くの異なる投与経路を選択することが可能。

さらに特殊ペプチド治療薬は、現在使用されている抗体医薬品を中心とする生物学的治療薬に対して、薬品の品質管理や製造コストの面で極めて高い優位性を持ってい る。

しかし現在、特殊ペプチド医薬の市場を形成するのに不可欠な特殊ペプチド原薬の製造供給体制は世界的にも存在していない。

国内に存在する各種最先端技術を戦略的に集約することで特殊ペプチドの原薬製造体制を確立し、世界初・世界最先端の特殊ペプチド原薬 CMO を設立する。

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ペプチドリームは、東京大学の菅裕明教授が開発した特殊ペプチドを事業化すべく、2006年7月に設立された。

独自の創薬開発プラットフォームシステム:PDPS (Peptide Discovery Platform System) により、多様性が極めて高い特殊環状ペプチドを多数(数兆種類)合成し高速で評価を可能にすることで、創薬において重要なヒット化合物の創製やリード化合物の選択等が簡便に行えるようになる。

ペプチドリームは米Bristol-Myers Squibb や英GlaxoSmithKline、スイスのNovartis、田辺三菱製薬や第一三共 ななど製薬世界大手とも創薬研究の契約を締結している。


塩野義製薬は、2016 年2月にペプチドリームと特殊環状ペプチドの創製を目的とした共同研究開発契約を締結した。

同社は2017年6月 に、ペプチドリームのPDPS (Peptide Discovery Platform System) の使用について、日本企業としては初めて、非独占的ライセンス契約を締結した 。ペプチド化合物を起点とし、同社の従来からの強みである低分子創薬力との融合を図ることで、創薬の生産性を画期的に向上させる。

塩野義は、食道癌や膀胱癌の癌ワクチンの開発を行っている。塩野義のワクチンはがん細胞に発生する「ペプチド」を人工的に合成したもので、 患者に投与されたペプチドを樹状細胞が捕捉し、T細胞に抗原を提示する。T細胞は体内を循環し、同様のペプチドを持つがん細胞を見つけて攻撃する仕組み。

2009年にオンコセラピー・サイエンスとがんペプチドワクチンに関するライセンス契約 を結んでいる。

2017年6月に、従来のがん治療薬より効果が高いとされる「がんワクチン」に使う原薬の量産技術を開発した。ペプチドの分子構造を変え、量産しやすいようにした。


積水化学は、 ライフサイエンス分野を戦略分野に位置付けるとともに、グループ外との技術等の融合を図ることで関連事業の強化を目指している。

具体的には、子会社の積水メディカルにおいて検査薬・検査機器を中心とした検査事業、医薬品開発の研究開発支援等の創薬支援事業、医薬品原薬の受託製造等の医薬事業を展開しており、今般のペプチド医薬の受託製造分野への参入は、ライフサイエ ンス分野の強化領域(融合強化)拡大に寄与するものと期待している。

8月9日 同社は構造改革計画を発表した。

2017/8/4 「ジャパンディスプレイ、1千億円融資要請」に内容を付記しました。




メガカリオンは8月7日、iPS細胞を用いた独自の血小板産生技術並びに日本企業保有の周辺要素技術を結集し、ヒトiPS細胞由来血小板製剤について臨床試験用製剤の製法を確立したと発表した。

2020年を目途に医療現場での応用に向け量産体制の構築に努める。

メガカリオンは2011年9月に、東京大学の中内啓光教授、京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之教授らの開発したヒトiPS細胞由来の巨核球を不死化・凍結保存する技術を継承して設立された。
献血に依存しない、①計画的安定供給が可能で、②感染等のリスクを排した、③医療コストの低い、ヒトiPS細胞由来血小板製剤を世界の医療現場へ提供することを目指している。

同社は、ヒトiPS細胞から自己複製および凍結保存が可能な不死化巨核球前駆細胞(MKCL)を誘導し、これから大量且つ安定的に血小板を産生させる基盤技術を有している。(下記)

しかし、血小板製剤の製造には、この基盤技術を基に、
①大量培養による血小板の産生と機能・品質の確保、
②血小板の分離精製・保存 、
③各種分析・試験といった要素技術の組み合わせと最適化が必須となる。

そこで、これら要素技術を有する日本企業と連携(共同研究、業務委託等)、コンソーシアムを形成し、臨床試験に用いる為の血小板製剤の製法を確立した。

巨核球は造血幹細胞から作られる細胞で、血小板を生み出す細胞。巨核球は成熟すると核分裂はするが細胞分裂はしないという特殊な分裂を行い、大型で多核の細胞になる。

血小板は止血に重要な役割を果たす血液細胞で、巨核球という細胞から分離することで生み出され、血液の中を循環しながら、止血で利用されるが、一定の寿命で崩壊 する。
自ら分裂することはできないので、常に巨核球から作られ、必要量が補充されている。

深刻な貧血および出血素因をもたらすような血液疾患の患者は、献血による血液製剤を用いた輸血に頼らざるを得ない状況だが、献血ドナーの数は少子高齢化などもあり、減少してい る。
2027年には我が国の必要な輸血製剤の20%はドナー不足に伴い供給できないと発表されている。

特に血小板は機能を維持するために室温で保存する必要があり、有効期間は採血後4日間しかなく、必要なときに必要な量の血小板を供給することが困難である。

また、何回も血小板輸血を受けた患者の中には、血小板上のHLA抗原(ヒト白血球抗原)の存在によってHLA抗体が産生され、輸血効果を認めなくなることがあ る。このような患者にはHLA型を適合させた「HLA適合血小板」が必要となるが、HLAは親子や兄弟の間でも一致する確率は低く、非血縁間では数百〜数万分の1の確率でしか一致しない 。

ヒトiPS細胞由来の血小板製剤は、このような献血血小板製剤が抱える需給問題並びにHLA適合血小板の確保という課題を一元的に解決できる手段として、早期の実用化が望まれてい る。

HLAは白血球の血液型といえる。

HLA型は何万もあり、全てのストックは無理だが、HLAホモドナー(父母が同型)のものは、片方が合えば使用できる。

HLA型が例えば 〔Ax-By-DRz〕& 〔Ax-By-DRz〕のドナーのものは、片方が〔Ax-By-DRz〕の人すべてに移植可能である。

民族によりHLA型の分布が異なるが、日本人の場合は、ある1名のホモドナーで全体の20%75名のホモドナーで80%をカバーできる。

2012/7/26 「iPS細胞ストック構築」で赤十字と提携

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江藤教授らのグループは2010年に皮膚細胞由来のiPS細胞から培養皿上で血小板が生産できることを発表した。
しかし1回の輸血では患者1人につき2,000~3,000億個もの血小板が必要だが、これまでの方法では、10億個程度しか生産できなかった。

江藤教授らのグループは2014年2月、ヒトiPS細胞から血小板を安定的に大量に供給する方法を開発したと発表した。

iPS / ES 細胞から2週間かけて誘導した造血前駆細胞に2種類の遺伝子を導入し、さらに2~3週間後に1つの遺伝子を追加で働かせることで、ほぼ無限に複製できる巨核球を作製することに成功した。

巨核球で強制的に働かせていた3つの遺伝子の働きを止めると、およそ5日後には巨核球が成熟し、血小板を生産した。

この方法では25~50Lの培養液を用いれば輸血に必要な1,000億個の血小板を5日以内に用意できることになる。(従来法では26日必要)

今回の方法で生産した血小板は基本的な血小板の機能を持っていた。

複製可能な巨核球(不死化巨核球前駆細胞)は凍結保存が可能であるため、このシステムにより、日本人に多いHLA型のiPS細胞から血小板製剤を生産するための巨核球のストックや、ドナーが見つかりにくいHLA型やその他の特殊な血小板型(HPA型)の患者への血小板製剤の安定供給が可能となった。

メガカリオンは、この技術を今回、実用化した。

東芝は8月3日、四日市工場にて建設中の第6製造棟に関し、第1期分として予定している次世代の96層積層プロセスを用いた3次元フラッシュメモリ用クリーンルームへの生産設備導入を東芝メモリ単独で実施すると発表した。


四日市工場では、3次元フラッシュメモリの生産拡大のため、第6製造棟を建設中だが、需要拡大が見込まれることから、東芝では本年6月末に、第1期分の生産設備と第2期分の建屋建設投資(総額1800億円)を2017年度中に実施することを取締役会で承認した。

第1期分生産設備としては、96層積層プロセスを用いた3次元フラッシュメモリ固有の製造工程を担う最先端の成膜装置やエッチング装置などを導入する。
第2期分建屋については、2017年9月に起工し、2018年末に竣工する予定。

四日市工場では、フラッシュメモリの生産設備はWestern Digital 子会社のSunDisk とのJVが所有、建屋は東芝が所有し、生産は東芝が実施している。
本年4月に東芝は当該事業を東芝メモリとして分離したため、建屋は東芝メモリが所有、生産は東芝メモリが実施する。

第1期分生産設備については、SunDiskによる投資参加の有無を協議中としていたが、合意にいたらず、東芝メモリ単独で実施することとした。投資額は1950億円に増額した。
但し、東芝は本件についてWestern Digital とは協議を続ける意向。

生産設備の導入時期は2017年12月を予定している。

東芝メモリは、これにより、データセンター向けエンタープライズSSDやPC向けSSD、スマートフォンなどを中心とした2018年の需要拡大に対応し、事業を拡大し、フラッシュメモリ生産量のうち3次元比率を2018年度 には約90%とすべく、継続的な投資を適切に実施するとしている。

SSD(ソリッドステートドライブ)はNAND型フラッシュメモリを主記憶デバイスとするデータストレージデバイス

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四日市工場のNAND型フラッシュメモリの生産体制は次の通り。(第3製造棟のJV名、出資比率修正)

JV 引取比率
第3製造棟 Flash Partners(東芝 50.1% / SanDisk 49.9%) 当初は均等引取、
2008/10 改組:30%分は東芝が単独運営、70%分は従来通り JVで均等引取
第4製造棟 Flash Alliance(東芝 50.1% / SanDisk 49.9%)
第5製造棟 Flash Forward(東芝 50.1% / SanDisk 49.9%) 均等引取
新第2製造棟
第6製造棟 (東芝単独)

  
2017/4/14 東芝の半導体売却に新たな難問 参照

住友化学は8月2日、デング熱やジカ熱などの感染症予防に有効な長期残効型の蚊発生源処理樹脂製剤スミラブ(SumiLarv)®2MRについて、発生源処理用樹脂製剤として世界で初めて世界保健機関(WHO)の推薦を取得したと発表した。

WHOは、デング熱やジカ熱などの感染症流行地域における感染症媒介蚊の防除戦略として、蚊が繁殖する貯水タンクなどの発生源の薬剤処理を非常に有効な手段として推奨している。


スミラブ®2MRは、蚊の羽化阻害効果を示すスミラブ®を有効成分と
する。

スミラブ®は一般名ピリプロキシフェンで、1981年に住友化学により開発された4-フェノキシフェノキシ構造を有する殺虫剤。

昆虫体内で幼若ホルモンとして作用し、胚仔の発育阻害による殺卵作用、蛹化または成虫化を阻害することによる変態阻害作用等により作用すると考えられている。

住友化学は7月20日、 国内関係機関によるヒアリの侵入および定着阻止の各種取り組みに役立てるために、海外で展開するヒアリ対策剤「Esteem®」を日本に導入すると発表した。

「Esteem®」は、同社の100%子会社のValent U.S.A.が開発した誘引ベイト剤で、主に餌剤と有効成分ピリプロキシフェン(Pyriproxyfen)から構成された顆粒剤が、ヒアリによって巣に運ばれ摂食された後、有効成分の作用によって女王アリの産卵および幼虫の成虫化を抑制する効果がある。

2017/7/25 住友化学、海外で展開するヒアリ対策剤を日本に導入 

スミラブ®2MRは、マラリア対策用の長期残効型蚊帳オリセット®ネットと同様に、ポリエチレンに薬剤を練りこみ、薬剤の溶出を制御し、薬剤を徐々に表面に染み出させることで、防虫効果が長期間持続する。

2017/7/29 本の紹介 日本人ビジネスマン、アフリカで蚊帳を売る: なぜ、日本企業の防虫蚊帳がケニアでトップシェアをとれたのか?

2013/6/8 住友化学のOlyset Net

このため、効力持続期間が短い従来の製品と比較すると、薬剤処理にかかる管理コストを大きく下げることができる。

また、蚊発生源対策分野で使用されている他の主な製品と作用機作が異なるため、薬剤抵抗性を持つ蚊を防除できるだけでなく、他の幼虫駆除剤の抵抗性対策にも寄与する。

住友化学は、「スミラブ®2MR」がWHOの推薦を取得したことを受けて、2018年以降のブラジルでの発売をはじめとして、世界各国での販売体制の整備を進めていく。


米国の上院と下院は8月3日、事実上の夏季休会に入った。

上院は7月11日、夏の休会の開始日を当初予定していた7月29日より遅らせ、8月の第3週とすることを決めた。
オバマケアの代替法案の審議時間をとり、成立を目指すためであった。

7月25日には代替法案の審議開始を承認したが、その後提出した3つの法案は、いずれも与党共和党員の一部の反対で否決された。
この結果、早期の法案可決を諦め、休会入りしたもの。

休会は9月5日までだが、9月末までの短期間に来年度(2017年10月~2018年9月)の予算案と、債務上限の引き上げを決める必要があり、いずれかが間に合わなければ政府機関の閉鎖もありうる。

民主党のObama大統領時代は、野党の共和党が上下両院で多数で、一時的に政府機関の一部を閉鎖したり、閉鎖寸前までいくのが常態であった。

大統領がメキシコとの壁の建設などに固執すれば、Trump大統領になって与党が両院で多数を占めながら、同じことが起こる可能性が出てくる。

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米議会下院は5月4日の本会議で、共和党が提出した医療保険制度「オバマケア」の廃止と、これに替わる制度の創設を盛り込んだ法案(American Health Care Act )を賛成217、反対213の僅差で可決した。共和党からは20人が造反した。

2017/5/9 オバマケア代替法案 米下院が可決 (法案内容も) 

オバマケア代替法案を巡り、上院共和党では穏健派が無保険者の増加につながると懸念する一方、保守派はオバマケア廃止には不十分と主張し、見解が割れた。

トランプ大統領は6月27日、52人の共和党上院議員全員をホワイトハウスに呼び、今後の対応について協議したが、過半数の賛成は見込めず、米共和党上院トップのマコネル院内総務は同日、党内の支持を増やすため、採決を先送りすることを決定した。

上院は7月11日、夏の休会の開始日を予定していた7月29日より遅らせ、8月の第3週とすることを決めた。「重要法案に関する作業を完了させる時間をとるため」と説明した。

共和党のマコネル上院院内総務は7月11日、上院の修正案を7月13日に発表し、審議を開始し、7月18日の週に採決すると発表した。

しかし、7月17日夜に新たに党内から2人の造反が出て、反対が4人となったことで今回も頓挫した。

2017/7/24 オバマケア代替法案、上院で再び頓挫 

米上院は7月25日、オバマケア見直しの法案審議を開始することを承認した。脳腫瘍と診断されアリゾナ州の自宅で療養中のジョン・マケイン上院議員も出席、採決は50対50の同数だったため、上院議長であるペンス副大統領の判断で可決した。

同日行われた第1弾の包括的な代替法案である通称"Trumpcare 3.0"の採決では、共和党から9人の造反が出て43対57の反対多数で早くも否決された。

上院は7月26日、オバマケア廃止法案(2年後に廃止する、それまでに代替案を検討するという案)を採決し、45対55の反対多数で否決した。与党・共和党(52人)から、手術から復帰したばかりのマケイン上院議員を含む7人が反対した。

上院は7月28日、与党共和党執行部が作成したオバマケアを限定的に廃止する法案を賛成49対反対51の僅差で否決した。"Skinny(骨と皮ばかり)"と呼ばれる法案で、個人の保険加入義務や医療機器メーカーに対する課税などオバマケアの一部だけを廃止する内容。しかし、米議会予算局の試算では、今後10年間で1600万人が保険を失うとされ、共和党からマケイン上院議員と他の2人が反対した。

この法案は共和党内で「最後の妥協案」とも言われていた。

この結果、早期の法案可決を諦め、休会入りした。8月3日から9月5日までの休会となる。

上院については、正式の休会ではない。形式上は開会状態を維持しており、3日おきに1分間の "pro-forma" session を開催する。

上院は、大統領による指名人事について承認権を有する。実質休会に先立ち、8月3日に50人以上の幹部役人の承認を行った。

問題は、上院の休会中は、大統領が議会承認なしに閣僚を任命し、一定期間職務に就かせることができるというルールがあることである。トランプ大統領が Jeff Sessions 司法長官を辞任させ、新たな長官を就任させるという観測が広がった。

これを防ぐため、形式上は開会状態を維持することとした。1人の議員が開会の小づちをたたき、約1分で閉会する。3日以上議会を開かないためには議員の議決が必要なため、3日置きにこれを行う。

これも大統領に対する不信感が理由である。

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2018年度は10月1日から始まるため、議会は9月6日以降、月末までに予算案を通す必要がある。

2017年度(2016/10~2017/9)については、野党であった共和党の反対で期日までに予算が通らず、最終的に9月28日に、12月9日までの暫定予算で妥協に達し、大統領選挙の前の政府機関の一部閉鎖などは回避された。

2016/10/5 米国、2017会計年度も暫定予算でスタート

米上院は12月9日午後11時16分に、2017年4月28日を期限とする連邦政府の暫定予算案を賛成 64票 反対36票で可決した。昨年とほぼ同レベルの支出を政府に認めるもので、Hurricane Matthew の災害対策など若干の追加を含んでいる。

2016/12/10 米国議会、来年4月28日までの暫定予算を可決 

2017年に共和党のトランプ大統領が就任し、予算問題は決着するとみられた。

しかし、議会では大統領の看板公約であるメキシコ国境の壁の費用計上を巡って、野党民主党が強く反対しており、成立のメドが立たなかった。
上院で民主党のフィリバスターを阻止するには全100議席のうち60票が必要になるが、共和党は52議席しかない。

このため、政府機関閉鎖を避けるため、米上下両院は4月28日、5月5日を期限とする1週間のつなぎ予算を可決した。

共和党と民主党は4月30日夜、9月末までの資金を手当てする1.16兆ドルの暫定予算案について合意した。大統領が執着したメキシコ国境の壁建設については見送られた。代わりに国境警備強化で支出を15億ドル増やすことで合意した。

大統領は、予算を通すのに上院で60%の賛成が必要なことについて Twitter で不満を表明した。2018年の中間選挙で共和党上院議員をもっと選ぶか、ルールを変更して51%にすべきだとし、9月に与野党が合意できず政府機関が閉鎖されても構わないと民主党に脅しをかけた。

2017/5/4 米議会、9月末までの予算案で合意、政府機関の閉鎖回避

大統領がオバマケア代替法案にこだわったため、予算の議論は進んでいない。大統領の5月の発言もあり、今回も予算案が期日までに通らない可能性がある。

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債務上限問題については、2015年10月に債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長して、乗り切っている。

  2015/11/4 米議会、債務上限引き上げと予算案を承認、大統領署名 

凍結は3月15日に切れたが、その後も資金のやり繰りで乗り切ってきた。しかし、財務長官は議会宛ての7月28日付書簡で、連邦政府債務の上限を9月29日までに引き上げなければ政府の債務返済のための資金が枯渇すると警告した。  

予算問題も合わせ、政府機関閉鎖や米国債の債務不履行(デフォルト)のリスクに直面する。

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トランプ大統領の目玉政策の一つの税制改革も進展がない。

トランプ米政権は4月26日、大型税制改革の基本方針を公表した。

「経済成長と米雇用のための税制改革」とし、連邦法人税率を35%から15%へと大幅に引き下げ、大幅減税で「企業の競争力を高める」とした。

2017/4/28 トランプ政権の税制改革案

これに対し下院共和党の税制改革案は、 現在35%の連邦法人税率を20%に引き下げる国境税の導入(輸出品については、法人税を免除、輸入品は法人税の計算上、コストと認めず、実質20%課税)であった。

ホワイトハウスと米議会指導部は7月27日、税制改革で焦点となっていた「国境税」について、「多くの不確定要素がある」として、導入を見送ることで合意した。
「国境税」の見送りにより、
財源確保のめどが立たなくなり、トランプ政権が目指す大幅減税の規模にも影響を与えることとなる。

2017/8/1 米、「国境 税」断念

千代田化工建設、三菱商事、三井物産、日本郵船の4社は、次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合を設立し、世界に先駆けて水素の国際間サプライチェーンの実証事業に本格着手する。

2015年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「水素社会構築技術開発事業/大規模水素エネルギー利用技術開発」の補助事業を受けた「有機ケミカルハイドライド法による未利用エネルギー由来水素サプライチェーン実証」として実施する。

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2013年に水素エネルギーフロンティア国家戦略特区の創設が提案され、62件の提案があったが、その中に川崎市と千代田化工建設が提案した「水素エネルギーフロンティア国家戦略特区」があった。
世界初となる水素の輸入・供給基地を川崎市に建設し、輸入した水素を使う世界初の商用水素発電所を建設するもの。

海外の油田等で出る水素をトルエンに反応させてメチルシクロヘキサンとし、常温で日本に輸送し、日本でこれから水素を取り出すもので、これまでメチルシクロヘキサンから水素を取り出すのは不可能とされていたが、千代田化工が開発した触媒がこれを可能にした。同社は「SPERA水素」(ラテン語で「希望せよ」という意味)の愛称で水素供給事業実現を目指す。

千代田化工は2013年5月31日、有機ケミカルハイドライド法による「大規模水素貯蔵・輸送システム」の実証試験で所期の性能を確認することができたと発表した。

2013/10/29 水素エネルギーフロンティア国家戦略特区

今回、この技術を使い、ブルネイ・ダルサラーム国に水素化プラント、川崎市臨海部に脱水素プラントを2019年までに建設し、ブルネイで調達した水素を、常温・常圧下で液体の形で日本へ海上輸送し、川崎市臨海部で気体の水素に戻して需要家に供給する。

実証規模:1年間で最大210トン(燃料電池自動車フル充填約4万台分) の水素を供給予定

水素供給源:Brunei LNGの天然ガス液化プラントで発生するガスの供給を受け、水蒸気改質により水素を製造

Brunei LNG は年産671万トン、出資はブルネイ政府 50%、Shell 25%、三菱商事 25%

水素供給先:川崎市臨海部の東亜石油京浜製油所域内にて、同社傘下のジェネックスの火力発電設備の燃料用途等に供給


実証期間(予定):

(プラント建設)2017年8月~2019年12月

(実証運転)2020年1月~2020年12月


参考 
 2014/11/24 川崎重工、産業用では初の純国産独自技術の水素液化システムを開発 

          本件及び川崎重工の豪州褐炭からの液化水素輸送計画

経営不振が続く中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)が、取引銀行に融資を要請 、主力銀行は総額1100億円規模の融資枠を設ける方向で最終的な調整に入った。筆頭株主(35.58%出資)の産業革新機構が債務保証する。

主力のスマートフォン向けの液晶パネルが振るわず、2017年3月期決算の純損益は317億円の赤字で、3年連続の赤字だった。

昨年も資金難に陥り、産業革新機構から750億円の支援を受けたが、すでに底をついている。

国内に6カ所ある生産工場の集約や早期退職者の募集を検討している。財務基盤の改善を急ぐと同時に、生産設備を入れ替えるなどして競争力を高める方針。

中国江蘇省にある工場や石川県能美市の能美工場の生産停止などを検討しており、能美工場の従業員は同県白山市の白山工場に配置転換するとされる。

同社は、「市場の変化に合わせた事業構造・企業体質のさらなる変革が必要と認識しており、抜本的な施策の実施を検討している」とのコメントを発表した。

付記 

同社は8月9日、構造改革計画を発表した。縮小均衡案に過ぎず、抜本策ではない。これだけでは存続さえ、望み難い。(文末参照)

今後、外部企業との連携も模索する。会長は「連携はいろんな形がある。有機ELの設備投資での連携、(資本注入を意味する)財務投資という話もある」と語った。

ーーー

液晶パネルには「2012年問題」があった。中国企業が建設中の大型パネル工場も2012年以降、相次いで稼働するため、世界の液晶パネルは2012年に約1600万台の供給過剰になるとされ、2011年7-9月期に液晶パネルで世界の上位4位を占めるSamsung、LG、友達、奇美の4社が赤字となった。シャープは2012年3月期決算で3761億円の最終赤字を計上した。

これに対し、中小型液晶については日本勢はまだ頑張っていた。しかし、各社が単独で事業を進めた場合、十分な能力増強投資ができず、競争力を失ったテレビ用パネルの二の舞いになる可能性が高い。

このため官民ファンドの産業革新機構は東芝とソニーの中小型の液晶パネル事業を統合させ、機構が2000億円を出資してテコ入れすることを決めた。その後、日立ディスプレイズも参加を決めた。

ジャパンディスプレイは、日立・ソニー・東芝の液晶事業を統合して2012年に発足し、スマホの上位モデルをターゲットに液晶を供給してきた。

しかし、最大顧客の米アップルが iPhone の新モデルで初めて有機ELを採用、有機ELに強い韓国メーカーを前に競争力を失っている。

ジャパンディスプレイも有機EL事業の進出を図り、 日立製作所から取得した茂原工場に試験設備を設けて研究を進め、2017年夏に有機ELパネルの生産ラインを立ち上げる。(2018年上期の量産開始を目指す。)

それと同時に、2015年1月にソニーとパナソニックの有機ELディスプレイパネルの開発部門を統合し発足したJOLEDに15%を出資したが、2016年12月に51%の出資とすることを決めた。
(しかし、中期経営戦略の見直しに伴い、日程についてペンディングとしている。)


ジャパンディスプレイ概要



国内工場

石川工場 東芝モバイル(松下電器)
能美工場 東芝モバイル(東芝) 今回 停止案
白山工場 ジャパンディスプレイとして新設   2016/12 稼働
鳥取工場 ソニーモバイル(鳥取三洋)
東浦工場 ソニーモバイル
茂原工場 日立ディスプレイズ
深谷工場 東芝モバイル(東芝) 2016/4 閉鎖

海外製造子会社

Suzhou JDI Devices 江蘇省蘇州市 旧 日立顕示器件(蘇州)
Suzhou JDI Electronics 素尼移動顕示器(蘇州)を買収
Shenzhen JDI 広東省深圳市 旧 深圳日立賽格顕示器
Nanox Philippines Philippines ナノックスより、81%取得
Kaohsiung Opto-Electronics Taiwan 旧 高雄日立電子



山形大学の城戸淳二教授の「
大学教授のぶっちゃけ話」(2016/9/12)は「日本の有機ELディスプレイ」で次のように述べている。

間違いなく、確実に、100%の確率で、JDIのお客さんである中国のセットメーカーは3年後には自国パネルメーカーからのパネル調達になるでしょうし、JDIにとって最大の大口顧客のアップルも、液晶から有機ELに舵を切ることから、JDIの客は一気になくなることが予想されます。

ですから、JDIが生き残るためには、一刻も早く有機ELの生産に取り掛からなければならず、それができないと5年後には会社の存続すら難しいでしょう。


このような変化の激しい産業では、状況の変化に機敏に、大胆に対応する必要があり、政府(産業革新機構)主導で再建しようとしても無理である。東芝メモリも同様である。

京都大学 iPS細胞研究所(CiRA)と大日本住友製薬は8月1日、戸口田淳也教授、池谷真准教授を中心とするグループが iPS細胞を使って、進行性骨化性線維異形成症(FOP)の異所性骨化のメカニズムを解明し、それを抑える薬の候補としてラパマイシンを同定したと発表した。

この研究成果は7月31日にThe Journal of Clinical Investigation で公開された。

Activin-A enhances mTOR signaling to promote aberrant chondrogenesis in fibrodysplasia ossificans progressiva

iPS細胞研究所はまた、このグループが 進行性骨化性線維異形成症という希少難病に対して、iPS細胞を活用した創薬研究としては世界で初めての医師主導治験を、医学部附属病院において開始することになったと発表した。

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進行性骨化性線維異形成症は、200万人に1人という極めて希な疾患で、国内の患者は約80名と推定されている。幼少期より、まず背部の骨格筋や腱のような本来骨が存在しない部位に骨組織が出現(異所性骨化)し、徐々に四肢に広がり、著しい運動機能障害をきたす疾患。

2006年にこの疾患の原因が骨形成因子(BMP)の受容であるACVR1のアミノ酸置換変異であることが判明したが、変異受容体がどのようにして骨化のシグナルを伝えるのかは未解決のままで、有効な治療法はない状態が続いていた。

本研究グループは、大日本住友製薬との共同研究によって、まず患者からiPS細胞を樹立して、培養皿の中で病気を再現し、異所性骨化発生の引き金となる物質としてアクチビンAを同定することに成功した。

そしてアクチビンAがどのようにして異所性骨化を誘導するのかを解析することで、mTORというシグナル伝達因子が重要な役割を果たしていることを見出した。

異所性骨化は、アクチビンAが変異型ACVR1に作用し、ENPP2というタンパク質が作られ、mTORのシグナルを活発にすることが原因であることが分かった。

異所性骨化のモデルマウスでも mTORシグナルの重要性を確認した。

更に、mTORの働きを阻害する薬剤のうち、ラパマイシン(Rapamycin :別名Sirolimus)という、既に他の疾患の治療薬として国内でも使用されている薬剤が異所性骨化を抑制することを確認した。

ラパマイシンは、臓器移植後の拒絶反応を抑える免疫抑制剤として使われている。 日本ではノーベルファーマがラパリムス錠1 mgとして、海外ではPfizerがRapamune名で販売している。

大日本住友製薬は2011年4月、京都大学iPS細胞研究所との間で難治性希少疾患の治療法創成を目的とする5年間の共同研究を行うことについて合意し、共同研究契約を締結した。

遺伝子の変異に起因する難治性希少疾患の一つに焦点を当て、その疾患特異的iPS細胞を用いて、産学協同して病気が進行するメカニズムを解明し、患者に特有の疾患関連シグナルを同定してその経路を阻害する治療薬を探索する としていたが、疾患の名前は公表していなかった。

本研究グループの日野恭介CiRA研究員は大日本住友製薬からの出向。

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本研究グループは、進行性骨化性線維異形成症に対して、京都大学医学部附属病院においてラパマイシンを使った医師主導治験を開始する。

研究結果をもとに、ラパマイシンを用いた医師主導治験を計画し、治験薬提供者のノーベルファーマ及び医学部附属病院臨床研究総合センターの支援を受けて多施設共同医師主導治験として、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の助言の基に最終案を作成し、医学部附属病院の医薬品等臨床研究審査委員会(IRB)の承認を得て、PMDAに治験計画届を提出し受理された。

京都大学を含む全国4機関での共同治験となる見込みで、実際に患者の受け入れなどを始めるのは、最も早い京都大学でも9月以降となる。

iPS細胞を使った創薬の治験は世界で初めてとなる。

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iPS細胞の応用では、① 体の組織を作って移植する再生医療と② 創薬が二本柱として期待されている。

再生医療では理化学研究所などがiPS細胞を使い、滲出型加齢黄斑変性の患者に目の網膜を再生する研究をすでに進めている。

大阪大学の澤芳樹教授らのグループは6月20日、重い心臓病の患者に、iPS細胞から作製した心臓の筋肉の細胞をシート状にして貼り付けて治療を行う世界初の臨床研究を、学内の審査委員会に申請した。
チームは、患者の太ももから取った筋肉の細胞を培養して作る「細胞シート」を心臓に移植して重い心不全の患者を治療する研究で実績がある。

しかし、再生医療にはいろいろのハードルがあり、時間がかかる。(上記の2つは比較的ハードルが低い例である。)

それに対し、②の創薬は、患者の細胞をもとに作ったiPS細胞から、病気を引き起こす細胞を実際に作り出 し、患者の体内を実験室に再現できることで、新薬を試す実験が進む。

実際の患者で実験は出来ないし、マウス等での実験でもヒトに同じ効果があるかどうか、副作用がないかなどは分からない。
iPS細胞から病気を引き起こす細胞を実際に作り出すことにより、いわば人体実験を実験室で行うことができることとなる。

京大の別のチームは2012年に、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)に慢性骨髄性白血病の薬が効果を発揮することを見つけている。

iPS細胞研究所と武田薬品は2015年12月、iPS細胞研究に関する共同研究を開始した。がん、心不全、糖尿病、神経変性疾患、難治性筋疾患など6つの疾患領域で、iPS細胞技術をツールとして用い、創薬および難治性疾患の画期的な治療法の創出に対する新たなアプローチの開発に向け、今後10年にわたり研究を行う。

山中伸弥所長は当初より②が本命であるとしていた。

今回、山中伸弥所長は次のコメントを出した。

iPS細胞を使って選び出した薬の候補物質を使った治験を開始できることとなりました。ヒトiPS細胞が出来て10年の節目となる今年に、この様な発表が行われたことを嬉しく思います。

この治験をきっかけに、iPS細胞を使った創薬研究がますます活発に行われ、他の様々な難病に対する新しい治療法の開発につながることを期待しています。

 

東芝株式は8月1日、東京証券取引所の第1部から第2部に「降格」となった。大手電機では2016年のシャープに次ぐ2例目。

2017年3月末時点で債務超過となり、1部上場基準に抵触した。来年3月末までに債務超過の解消、2017年3月期有価証券報告書での適正意見、特定注意市場銘柄指定解除の3つのハードルの全てをクリアできないと上場廃止となる。

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東京証券取引所は6月23日、東芝株式を8月1日付で東証1部から2部へと指定替えすると発表した。2017年3月末時点で「債務超過の状態であることが確認されたため」とした。

東芝は2017年3月期決算について監査法人の承認が得られておらず、株主総会で報告していないほか、有価証券報告書の提出も延期している。

同社は、監査法人の承認を得られないまま、76月23日に同社としての「2016年度業績見通し」を発表した。

当期純損益

-9,952億円

期末株主資本 -5,816億円

今後の上場継続の条件は下記の通り。

債務超過の解消

増資は考えられないため、東芝メモリの売却益を計上することが唯一の方法である。

来年3月末までに、現在交渉中の東芝メモリの売却がまとまり、各国の独禁法当局の承認を得て、代金決済が完了することが必要となる。

しかし、交渉相手先の日米韓連合にはSKハイニックスが議決権を求めている問題があり(この場合、独禁法審査が長引く)、売却対象に含まれるNAND型フラッシュメモリ合弁事業の相手のWestern Digital が対抗措置をとることが必至のため、見通しが立たない状況にある。

2017/7/31 東芝メモリ売却に関する米での訴訟で合意

中国の独禁法審査には6カ月はかかるとされ、8月末が期限となる。

東芝メディカルシステムズ売却で使った奇手は使えない。

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東芝は2016年3月の東芝メディカルシステムズのキヤノンへの売却の場合は、独禁法を審査を後回しにして、先に売却し、売却益を計上するという奇手を使った。

2016/3/18 キヤノン、東芝メディカル買収を発表、独禁法対策で奇手

しかし、公取委からは、本件については承認するものの、株式取得のスキームが、事前届出制度の趣旨を逸脱し、独占禁止法第10条第2項の規定に違反する行為につながるおそれがあるとして、異例の注意を受けた。公取委はこの方法を実質的に禁止した。

2016/7/4 公取委、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの株式取得を承認

中国商務部は、独占禁止法に基づく買収の事前届け出義務違反を問題とし、キヤノン (佳能)に30万元(約500万円)の 罰金を科した。

2017/1/6 中国、東芝メディカル買収でキヤノンに罰金の行政処分

更に、欧州委員会はキヤノンに対し、承認前に買収をした疑いで異議告知書を送付した。今後の検討で問題だと認定した場合、罰金支払を命じるが、罰金は世界全体でのキヤノンの年間売上高の最大10% (3,400億円)にもなる。

2017/7/7 EU、キヤノンの東芝メディカル買収で異議告知書

有価証券報告書での適正意見

2017年3月期の有価証券報告書の提出期限は8月10日だが、監査法人のPwCあらた監査法人との間では見解が相違したままとされる。

東芝の監査は2017年3月期から従来の新日本監査法人からPwCあらた監査法人に変更になった。Westinghouse自体の監査は提携するPricewaterhouseCoopers(PwC)になった。

東芝は2016年12月27日、前年末のStone & Webster 買収で数十億ドル規模の「のれん」計上の可能性が生じたことを明らかにした。

PwCとPwCあらたは、巨額損失が突如分かったのは不自然だとし、2016年3月以前に損失を認識できたのではとみている。(その場合、新日本監査法人が承認した2016年3月期の決算変更も必要となる)
これに対し東芝は、何度も調査したが、2016年12月以前の損失の認識はなかったとして、対立が続いている。

現在に至るも、問題の解決が見られず、監査法人が「不適正」の意見を出す可能性が出てきた。

なお、本ブログは2016年7月以前にWestinghouseが損失の存在を知っていたとみている。

Westinghouse がCB&I からS&Wの無償での買収を決めたが、運転資本額を調整する条項がある。
CB&Iは運転資本の算定の結果として基準を428百万ドル上回るとし、返却を求めたのに対し、Westinghouseは2,150百万ドル不足であるとし、支払いを求めた。
CB&I は2016年7月21日に、第三者会計士へ判断を委ねることの差し止めを求める訴訟をデラウエア州公衡平法裁判所に行った。

2,150百万ドル不足というのはである。この時点以前にWestinghouseが損失の存在を知ったと思われる。

デラウエア州最高裁は2017年6月27日、CB&Iの主張を認めた。

2017/6/29 Westinghouse、Stone & Websterの売却価額清算をめぐる CB&Iとの裁判で敗訴 

特定注意市場銘柄指定解除

東証は2015年9月15日、有価証券報告書に虚偽記載を行い、内部管理体制などについて改善の必要性が高いと判断し、東芝を特設注意市場銘柄に指定した。
同時に、上場契約違約金 9,120万円の支払いを命じた。

東芝は、工事進行基準に係る会計処理について調査を要する事項が判明したため、2015年3月期の有価証券報告書の提出を延期した。

同社は、2回の延期を経て2015年9月7日に2015年3月期の有価証券報告書を提出するとともに、2010年3月期から2015年3月期第3四半期までの期間における有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書を提出した。

2009年3月期から2015年3月期第3四半期にかけて損失の先送り等の不正会計が行われ、継続事業税引前利益が累計で2,248億円、当期純利益が累計で1,552億円過大に計上されていたこと等が判明した。

経営陣から事業部門に対して、通常の事業活動を進めていく中では達成困難と考えられる損益改善要求が行われており、事業部門ではそれに応える形で不正会計が実施されていたことが認められた。
また、同社において業務執行の監督又は監査の役割を担うべき取締役会や監査委員会は、不正会計を是正させる行動をとることがなく、業務実態の把握及び事業部門との情報連携が不十分であったことが認められた。
加えて、財務部や経営監査部等のモニタリング機能を発揮すべき部門がその機能を十分に発揮していなかったこと、及び全社的に適正な会計処理を行うことに対する意識が希薄であったこと等が認めらた。
なお、水増し利益をもとに3000億円超の社債を発行したため、金融庁から、金商法に基づき2%超73億7350万円の課徴金納付命令を受けた。

2016年12月、指定から1年を経過した後に同社から提出された内部管理体制確認書の内容等を確認したところ、全社的に改善に向けた取り組みが行われていることが認められたが、なお、問題が見られ、確認する必要があると判断し、特設注意市場銘柄指定を継続することにした。

当該指定から1年6か月を経過した日(2017年3月15日)以後に、同社から再提出される内部管理体制確認書の内容等を確認し、内部管理体制等について改善がなされなかったと認められた場合は、同社株式は上場廃止となる。


日本取引所グループの清田CEOは6月16日の定例記者会見で東芝の特設注意市場銘柄の指定解除の審査について「有価証券報告書が出ないうちに一方的に結論を出すのは難しい」との見方を明らかにした。

監査法人から「適正」意見が出れば、③は解決するが、①の問題は残る。
逆に「適正」意見が出なければ、上場廃止となる。

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上場廃止が回避できたとして、1部復帰の道は険しい。

東証は1部指定の条件に「最近5年間の有報に『虚偽記載』なし」 がある。東芝は2013年3月期の有価証券報告書で虚偽記載があったため、時間がかかる。

シャープは2016年3月末時点で債務超過に転落、同年8月に東証2部に指定替えになった。その後、台湾の鴻海精密工業が買収し、債務超過は解消、経営再建を進めている。2017年6月30日、東証1部への復帰を東証に申請した。早ければ2017年中の1部復帰を目ざす が例外である。

他に債務超過を理由に東証1部から2部に降格された例は過去10数年間で11社で、1部に復帰したのは信販大手のオリエントコーポレーションのみ。今も2部に残るのはチューナー製造のピクセラ と富士通傘下の電池メーカーFDK の2社で、残り8社は全てが上場廃止となっている。

石油資源開発(JAPEX)は7月26日、子会社の JAPEX Montney Ltd.を通じてカナダのブリティッシュ・コロンビア州で検討を進めていたPacific Northwest LNGプロジェクトについて、事業会社のPacific NorthWest LNGが7月25日に事業化を進めないことを決定しと発表した。

本プロジェクトへの参画を決定した時点に比べて、LNGを取り巻く環境は大きく変化しており、現時点でPNW事業を進めないことは合理性があると考えとしている。

Petronasも、長引く価格下落とエネルギー産業でのシフトによるものとしている。

一方、上流事業については、石油資源開発もPetronasも、上流事業価値の最大化を目指すとしている。

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石油資源開発は2013年3月4日、マレーシアの国営石油会社 Petronasとの間で、Petronasが推進するカナダBritish Columbia 州でのシェールガス開発・生産プロジェクトおよび同州西海岸で検討中のLNGプロジェクトに参画することで基本合意したと発表した。

同州 North Montney地域におけるシェールガス鉱区の10%権益を取得するとともに、同州西海岸におけるPacific Northwest LNG Project(生産量1,200万トン/年)の10%権益と同権益比率相当のLNG(120万トン/年)を引き取る権利を併せて取得する。

シェールガス開発は、North Montney地域のAltares、Lily、Kahta鉱区。当初、カナダのProgress Energy Resources Corporationが行っていたが、Petronasは2011年6月にシェール鉱区の権益の50%を取得し、その後2012年6月に、PetronasはProgressを55億カナダドルで買収することで合意し、年末に取得した。

LNG計画は、Petronasが計画したもので、Prince Rupert 市のLelu島で年1,200万トンプラントを建設する。上記の鉱区からガスパイプラインで結ぶ。

2013/3/7 石油資源開発、カナダのシェールガス開発計画及びLNG計画に参画 

Petronasはその後も参加者を募り、2013年12月にPetroleum Brunei がこの計画に3%の出資を行った。
2014年3月にはインド最大の石油会社 Indian Oil Corporation Limited (IOCL) が10%の参加を決めた。

2014/3/15 Petronas と石油資源開発のカナダのシェールガス開発・LNG輸出計画にインドとブルネイが参加

2014年4月にSinopec とパートナーの中國華電集團(China Huadian Corporation)の出資が決まった。

三菱ガスは2014年12月19日、JAPEX Montneyに10%出資することで Pacific Northwest LNG Project に参画すると発表した。

JAPEX MontneyはJAPEX 45%、JOGMEC 45%、三菱ガス子会社 MGC Montney Holdings が10%の出資となる。


2014/5/6 
Sinopec、Petronas のカナダのシェールガス開発・LNG輸出計画に参加

2014/12/23 三菱ガス化学、カナダのシェールガス・LNGプロジェクトに参画 

石油資源開発 は、このLNGを2018年3月からの運用開始を予定している相馬LNG基地を通じて国内に供給する予定であった。同社では、昨今のLNG市況などを踏まえると、当面はLNGの調達については十分な選択肢があると判断している。

石油資源開発では、今回の処理により、約900kmのパイプライン建設計画の解約費用約 65百万カナダドル(日本円約55億円)を特別損失に、またPacific NorthWest LNGに係る持分法による投資損失約37百万カナダドルを営業外費用に、それぞれ計上することにより、合計約1億2百万カナダドル(日本円約87億円)の損失が発生する見込みとしている。

 

ホワイトハウスと米議会指導部は7月27日、税制改革で焦点となっていた「国境税」について、「多くの不確定要素がある」として、導入を見送ることで合意した。

輸出課税を免除する一方で輸入は課税強化する仕組みで、連邦政府には 10年で1兆ドルを超す大幅な税収増が見込まれ、大幅減税の財源として期待された。

日本の自動車メーカーなどにとって、大きな打撃となるほか、輸入製品が値上がりし、アメリカ国民の生活にとっても、大きな影響があると懸念され、内外から導入反対論が高まっていた。

声明では、「国境調整による成長押し上げ効果について討議したが、多くの未知数が存在することを踏まえ、税制改革を進展させるために国境税の導入を棚上げする決定に至った」としている。

「国境税」の見送りにより、財源確保のめどが立たなくなり、トランプ政権が目指す大幅減税の規模にも影響を与えることとなる。

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米共和党のPaul Ryan下院議長は2月16日の記者会見で、日本製品が輸出時の税制で米国製品より優利な扱いを受けていると指摘し、米法人税制に輸出課税を免除し 、輸入課税は強化する国境税(the border adjustment tax または destination-based tax)の導入を求めた。

日本や欧州は消費税のような付加価値税で課税を国境調整しているが、米国には付加価値税がなく、不公平だと主張した。


下院共和党の税制改革案は次の通り。

・ 現在35%の連邦法人税率を20%に引き下げる。

・ 輸出品については、法人税を免除。

・ 輸入品は法人税の計算上、コストと認めない。このため、輸入品のコスト分が利益となり、20%が課税されることとなる。

これに対し、Trump大統領は、国境税は複雑すぎるとして反対、法人税は一律15%とし、海外に工場を建て、そこで生産した製品をアメリカに持ち込もうとする企業には35%の関税をかけるとしていた。


国境税案は当初から、実現しないだろうとみられていた。

自動車だけでなく、衣料品や日用品、家電や玩具など多くの製品が輸入品であり、これらがすべて値上がりとなり、消費者に大打撃となる。

関係業界の反対も強く、共和党の内部でも多くの議員が反対している。

WTOのルールで、国境調整は認められない。法人税の計算で、輸出を免税にしたり、輸入品のコストのみに損金算入を認めないのは補助金となり、ルール違反となる。

2017/2/20 米国の国境税案

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