「no」と一致するもの

マレーシアの国営石油会社PetronasとSaudi Aramco が270~280億ドルを投じてマレーシア南部ジョホール州 Pengerangで建設してきたRAPID計画(日量30万バレルの精油所と石油化学コンプレックス)が間もなく正式にスタートする。

2018年11月29日にメカニカルコンプリ―ションとなり、それ以降、試運転を続けており、1月後半に原油蒸留を開始する。
2018年9月に最初の原油 200万バレルが現地に到着している。

Project RAPIDRefinery and Petrochemical Integrated Development )は石油精製から石油化学までの一貫生産プロジェクトで、2011年5月にNajib Razak首相が建設を発表した。既存の同国の石油、ガス、石化設備と合わせ、マレーシアを地域の石油産業のハブにするという政府の方針に基づく。

東洋エンジニアリングは2014年8月21日、RAPIDのうち、中核をなすスチーム・クラッカー・コンプレックスを一括受注したと発表した。下記プラントを建設する。

エチレン、ガソリン熱分解、ブタジエン抽出、ベンゼン分離、MTBE、用役その他

2014/8/25 東洋エンジニアリング、マレーシアで大規模石化プラント受注  

製油所関連の建設は、下記各社が受注した。

残油流動接触分解装置 (RFCC)、LPG処理装置、プロピレン回収装置、caustic中和装置 consortium of
CTCI Corp.(中鼎工程公司)
千代田化工
Synerlitz (Malaysia) Sdn. Bhd.
MIE Industrial Sdn. Bhd.
原油蒸留装置、常圧残油脱硫装置、水素回収・供給装置 Sinopec Engineering (Group) Co. Ltd.
ケロシン水素化装置、ディーゼル水素化装置、ナフサ水素化装置ほか Tecnicas Reunidas SA(スペイン)
アミン回収装置、硫黄回収装置、Sour water 除去装置、液体硫黄貯蔵装置、硫黄固体化装置 Petrofac International (UAE) LLC

付帯設備としては、コージェネレーション設備(1300 MW)、LNG受入基地、LNG再ガス化設備、空気分離装置、 真水供給設備、原油・製品タンク、ユーティリティーなどがある。

ーーー

Saudi Aramco は2017年2月28日、 RAPIDの建設に70億ドルを投資すると発表した。

Saudi Aramco はRAPID refineryのフィードストックの70%を供給する。天然ガス、電力、その他用役はPETRONASが供給する。

2017/3/2 SaudiAramco、マレーシアのRAPID計画に参加 

両社は2018年3月、Share Purchase Agreement を締結し、石油精製、石油化学事業を50/50で運営することとした。

2018年5月、50/50 JVの社名を決定した。

石油精製はPengerang Refining Company Sdn Bhd  略称 PRefChem Refining

石油化学はPengerang Petrochemical Company Sdn Bhd  略称 PRefChem Petrochemical

全体を "PRefChem" と呼ぶ。

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PRefChem Refining は日量30万バレルで、低硫黄ジェット燃料、自動車用ガソリンとディーゼルなどを生産するとともに、PRefChem Refiningに原料を供給する。

PRefChem Petrochemical については、製品及びその能力などは明らかにされていないが、断片的に以下の発表が行われている。

 ナフサクラッカー
 過酸化水素と酸化プロピレン
EvonikとPetronasは2013年1月、過酸化水素、1-ブテン、オキソ製品のJVを設立する覚書を締結した。

報道では過酸化水素は25万トン、1-ブテン 11万トン、イソノニルアルコール 22万トンとなっている。

酸化プロピレンはEvonikとThyssenKrupp Uhdeが開発したHPPO processを採用するとされている。


 ポリエチレン

INEOS Technologiesは2012年11月、LLDPE/HDPE(350千トン)計画に Innovene G 技術が採用されたと発表した。


 ポリプロピレン

Lyondellbasellは2012年12月、PP(2系列合計 900千トン)計画に Spheripol PP 技術が採用されたと発表した。


 合成ゴム(中止)

イタリアのEniの子会社の Versalis とPetronasは2013年11月、合成ゴム(4製品)の製造販売のJVの設立契約を締結した。Petronasが60%、Versalisが40%を出資するとされた。

しかし、この計画は2016年4月に取り止めとなった。

市場の動向や採算性が低いことなど、諸般の事情を勘案したとしている。


 Specialty chemical products (取り止め)

BASFとPetronasは2012年3月、specialty chemical products のJV設立の覚書を締結した。
製品は、イソノナノール、ポリイソブチレン、非イオン系界面活性剤、メタンスルホン酸、炭素繊維プリカーサなど

しかし、両社は2013年1月、合意に達しなかったとして、取り止めた。

 Specialty chemical products

Evonik とPetronas は2013年1月、下記製品のJV設立の覚書を締結した。

過酸化水素 250,000トン、イソノナノール 250,000トン、1-ブテン 110,000トン

  Ethylene Glycol

Petronas は2015年12月、シェル技術によるEthylene Glycol 年産74万トンプラントの建設を韓国のSamsung Engineering に発注した。
合わせて、上記のポリエチレン 35万トンプラントも発注した。

SABICは12月31日、ルイジアナ州 St. James Parishでワールドクラスのメタノール工場の建設を計画しているSouth Louisiana Methanol (SLM) との間で、本計画に参画する基本契約を調印した。
計画の実施には認可を得られることと資金の目途がつくことが条件となる。

South Louisiana MethanolはNew Zealandの独立系の石油・ガス事業者のTodd Corporation と、テキサス州のエネルギー会社の ZEEP Incorporated のパートナーシップで、2012年2月にシェールガスを利用して米国南部にワールドクラスのメタノール工場を建設する計画を発表した。

2013年2月末にルイジアナ州 St. James Parishにメタノール工場を建設することを発表した。

現在の状況は次の通り。

能力は米国で最大の年産200万トンで、建設費用は20億ドル(当初予算では13億ドルであった)。既存のメタノール技術とCO2回収技術を使用する。

基本設計は既に終えており、大気汚染防止法の認可を受領済。

立地の5マイル範囲に7本の天然ガスパイプラインがあり、原料入手に問題はない。

当初の計画から建設費が上昇したことも理由か、着工できないでいたが、SABICを入れることで前進させる。

South Louisiana Methanolは、「SABICはメタノール工場の操業で長年の経験を持ち、グローバルな販売網を持っており、今回の契約締結の発表ができて嬉しい」としている。


SABICはサウジに
IBN SINA(National Methanol)とAR-RAZI(Saudi Methanol)の2つのメタノールJVを持つ。

IBN SINA(National Methanol)はSABICが50%、Celaneseが25%、Pan Energyが25%出資していた。

現在はSABICとCTE Petrochemicalsの50/50JV。CTE Petrochemical はCelanese Corporationと Duke Energyの50/50のパートナーシップ。
(1997年にDukeとPanEnergyが合併してDuke Energyとなった。)

IBN SINAでは中東及びアフリカ地区で最初のポリアセタール(POM) の年産5万トンプラントの生産開始を祝う式典が2018年4月5日に開かれた。

POM ホモポリマーは、メタノールを空気酸化してホルムアルデヒドをつくり、これを重合して生産する。

AR-RAZI(Saudi Methanol)はSABICと日本・サウジアラビアメタノール(JSMC)との50/50JVであったが、2018年11月29日の合弁契約期限切れに伴い、JSMCのAR-RAZI持株の半分(全体の25%)を150百万ドルでSABICに売却した。日本側は2019年3月末までに下記の条件での合弁契約の20年間継続の可否を決定する。継続しない場合、残り25%も150百万ドルで売却し、SABIC 100% とする。

2018/12/7 三菱瓦斯化学、Saudi Methanol でSABICと合意、最終的には2019年3月末に決定

SABICはSADAF(Shell とのJVであったが、現在はSABIC 100%)などでメタノールとTBAを反応させ、MTBEにしている。また上記の通り、IBN SINAでメタノールを原料にポリアセタール(POM) を生産している。


英国議会は1月7日に再開し、1月14日の週に採決が行われる予定。離脱まで3カ月を切り、2度目の採決延期は困難で、いよいよ最終段階を迎える。

付記

採決は1月15日の予定。

英議会下院は1月9日、採決で離脱案が否決された場合、メイ首相が3日以内に「プランB(代替案)」を議会に提案するよう求める修正動議を賛成多数で可決した。
規定では「21日以内」となっていた。政府はEUと十分な協
議をすることなく議会に新たな提案をしなければならなくなる。


メイ首相は2018年12月10日、英国のEUからの離脱案を巡り、12月11日に議会下院で予定していた採決を見送ると表明した。
離脱案の内容に対して野党だけでなく与党の一部からの反発も強く、このままでは採決しても否決が確実だと判断した。

特に、Backstop案移行期間中にも北アイルランド問題が解決しない場合に英国全土をEU関税同盟に残すという最後の策)では英国が永遠にEU関税同盟に残ることとなり、「EUの政策決定に関与できないまま、EU規則に縛られ続ける」と不満が噴出している。

2018/12/12 Brexit 難航

英国の与党・保守党では12月12日、メイ首相に対する不信任投票が行われ、結果は信任が200票、不信任が117票で、メイ首相の続投が確定した。

信任されたメイ首相は官邸で会見し、北アイルランドのバックストップについて、12月13~14日に開催される欧州理事会(EU首脳会議)でEUから「法的・政治的な」確約を得るべく働き掛けを行う、とコメントした。しかし、EU側は合意文書を変更することは拒否している。

報道によると、アイルランド首相は1月3日にドイツのメルケル首相と電話で協議し、現行の合意文書に変更は加えないものの、英国にさらなる確約と保証を提示することで一致したという。

メイ首相は、欧州各国の首脳から離脱協定のいくつかの条件についてさらなる確証を得ていく方針。

コックス法務長官から受けた法的助言では、Backstopについて、「恒久的なものを意図しておらず、別の恒久的な取り決めに替えるという当事者の明確な意思を記すものだが、国際法では代替的な合意が取り交わされるまでの間、無期限に存続する」と指摘、「停止する権利がないため、英国が長期的、反復的な交渉に縛られる法的リスクがある」としている。

EUは合意文書の変更は拒否しているが、どのような「確約と保証」で法的リスクを避けられるかが問題である。


メイ首相は1月1日の新年の挨拶で、議会が離脱協定を承認すればイギリスは「窮地を脱し」、「意見の違いを棚上げにできるようになる」と述べた。
合意に基づく秩序だった Brexitが実現すれば、イギリスは住宅不足や技術教育の改善、国民保健制度(NHS)の追加予算確保といった課題にエネルギーを注力できるようになると説明した。

離脱協定が発効するには下院(定数650)での合意案承認が不可欠で、正副議長らを除いた639の過半数(320)の支持が必要である。

下院の体制は次の通りで、保守党全員が賛成しても過半数に及ばない。

議員 投票
保守党 318 316 議長(保守党)と副議長3人(保守党1人、労働党2人)の計4人は採決に加わらない。
民主統一党 10 10
労働党 262 260
他野党 53 53
シン・フェイン党 7 0 アイルランドのナショナリズム政党
エリザベス2世女王への宣誓を拒否して登院せず、議員歳費も受け取らず
合計 650 639
過半数 320

労働党は採決で否決された場合、政府に対する不信任案を提出し、早期の総選挙実施を狙っている。労働党党首は、労働党が政権をとれば、EUと再交渉してより良い離脱条件を引き出す道を模索すると述べている。

肝心の与党保守党でも離脱案への反対が強い。

調査会社のYouGovは12月17~22日に保守党員1,215人を対象に調査を行った。

https://d25d2506sfb94s.cloudfront.net/cumulus_uploads/document/veyvny2qzz/QMULResults_181222_ConMembers_Brexit_w1.pd

結果は次の通りで、離脱案反対が過半数で、合意なしの離脱にも賛成の方が多い。

・ 離脱案に賛成か?  賛成:38%、反対: 59%

・ 離脱案は国民投票の結果を尊重しているか?  Yes: 42%、 No: 53%

・ メイ首相の交渉は成功か?  Yes: 15%、 Noで、他のリーダーならもっと良い結果:37%、Noで、誰がやっても同じ: 43%

・ 労働党ならもっと良い結果を出せたか?  No: 96%

・ 否決の場合、総選挙を望むか?  No: 83% (保守党敗北が必至のため)

・ 否決の場合、国民投票を望むか?  Yes: 14%、No: 82%

・合意なしの離脱    好ましい、ほっとする:63%、失望や怒り:23%

採決で過半数をとるのは難しく、合意なし離脱の可能性が強まっている。

武田薬品は1月4日、アイルランドの製薬大手Shire plc 買収に関して英ジャージー裁判所の認可を取得したと発表した。


武田薬品は今回の買収に英国の法律に基づく
Scheme of arrangement を活用した。

英国法上、上場会社を完全子会社化するには、公開買付で大部分を取得し、残り株を買い取る方法Squeeze Out)と、Scheme of arrangement を使う方法がある。

前者の場合、TOBで90%以上を取得した場合に限り、Squeeze Outの提案ができる。TOBでは3か月以上かかるとされる。

後者の場合は、議決に参加した株主の過半数が賛成し、賛成株主が75%以上を有している場合に限り、裁判所が認可する。最短で2か月とされる。株主総会で賛成を得られない場合、改めてTOBをすすめることができる。

臨時株主総会を通じた株主の同意と裁判所の認可があれば短期間で全株式を取得できる買収手法で、英国企業の買収にはこの手法が使われるケースが多い。


武田薬品は2018年11月20日、
Shire plcの買収で欧州委員会の承認を取得した。

2018/11/21 武田薬品、シャイアー買収でEUの承認取得 

各国の承認を得たことから、武田薬品は12月5日、臨時株主総会を開き、Shire plcの買収を決議した。創業家の一部が反対していたが株主の過半を占める機関投資家が賛成し、株主全体の3分の2以上の同意を得た。

Shire plc も同日の株主総会で売却を承認した。


今回、裁判所の認可を得たことで1月8日にも買収が完了する。日本企業のM&Aとして最大となる460億ポンドの買収が実現する。

付記

2019年1月8日付で買収を完了した。

買収金額(円換算)は、買収を発表した昨年5月時点は約6.8兆円だったが、円高が進んだことで約6.2兆円となった。

同日付で普通株式を発行した。増加する資本金及び資本準備金の額は下記の通り。  
  増加する資本金の額:1兆5656億4千万円
  
  増加する資本準備金の額:1兆5656億4千万円

連結売上高が3兆円超の世界8位となる巨大製薬会社が誕生する。

ソース:https://answers.ten-navi.com/pharmanews/13709/



トランプ米大統領は2018年12月31日、アジア諸国との安全保障や経済面の包括的な協力強化を盛り込んだ「アジア再保証推進法:
Asia Reassurance Initiative Act:ARIA」に署名し、同法が成立した。

法案:https://www.congress.gov/bill/115th-congress/senate-bill/2736/text#toc-H8D70EE453E2F41CFA3259C8F8F0FC0EE

この法律は、2018年4月24日に対中強硬派の共和党のCory Gardner、Marco Rubio、民主党のEd Markey、Ben Cardin上院議員が提出したもの。

2018年12月の上院及び下院での採決では野党・民主党を含め賛成し、対中強硬の方針は議会の総意となった。

ホワイトハウスによれば、この法律はインド・太平洋地域での米国の安全保障、経済的利害、米国のバリューを高めるための多面的戦略を確立するものである。

東アジア、東南アジアでの米国のプログラムのために2019年-2023年度について各年度
15億ドルの予算を充てる。

この予算は米国にとって最も能力の高い同盟国、およびパートナーと二国間、多国間で定期的な関与を行い、戦略的課題に対処するために使用される。

目的として以下を挙げている。(3)では中国と北朝鮮を名指しで挙げている。

 (1) to advance United States foreign policy interests and objectives in the Indo-Pacific region

 (2) to improve the defense capacity and resiliency of partner nations

 (3) to conduct regular bilateral and multilateral engagements to meet strategic challenges, including--

   (A) certain destabilizing activities of the People's Republic of China; and

   (B) emerging threats, such as the nuclear and ballistic missile programs of the Democratic People's Republic of Korea;

 (4) to build new counterterrorism partnership programs

 (5) to help partner countries strengthen their democratic systems

 (6) to ensure that the regulatory environments for trade, infrastructure, and investment in partner countries are transparent, open, and free of corruption;

 (7) to encourage responsible natural resource management in partner countries, which is closely associated with economic growth; and

 (8) to increase maritime domain awareness programs in South Asia and Southeast Asia--

   (A) by expanding the scope of naval and coast guard training efforts with Southeast Asian countries;

   (B) by expanding cooperation with democratic partners in South Asia, including Bangladesh, Nepal, and Sri Lanka;

   (C) through intelligence sharing and other information-sharing efforts; and

   (D) through multilateral engagements, including by involving Japan, Australia, and India in such efforts.

台湾については、以下の通り規定している。

a) 米国のコミットメント

 (1) to support the close economic, political, and security relationship between Taiwan and the United States;

 (2) to faithfully enforce all existing United States Government commitments to Taiwan, consistent with the Taiwan Relations Act of 1979 (Public Law 96-8), the 3 joint communiques, and the Six Assurances agreed to by President Ronald Reagan in July 1982; and

 (3) to counter efforts to change the status quo and to support peaceful resolution acceptable to both sides of the Taiwan Strait.

(b) 台湾への武器売却
 
The President should conduct regular transfers of defense articles to Taiwan that are tailored to meet the existing and likely future threats from the People's Republic of China, including supporting the efforts of Taiwan to develop and integrate asymmetric capabilities, as appropriate, including mobile, survivable, and cost-effective capabilities, into its military forces.

(c) 台湾への米高級官僚の訪問
 
The President should encourage the travel of highlevel United States officials to Taiwan, in accordance with the Taiwan Travel Act

ーーー

台湾への防衛装備品の売却推進やインド太平洋地域での定期的な航行の自由作戦を盛り込み、中国をけん制している。


これに対し、中国の習近平国家主席は1月2日の演説で米国を念頭に台湾問題への介入に強く反発した。

世界には一つの中国しかなく、『一つの中国』原則の堅持は一般に認められた国際関係の準則であり、国際社会の共通認識だ。

『台湾独立』分裂活動に反対し、国家統一の完成を目指す中国人民の正義の事業を国際社会は幅広く理解し、支持している。中国政府はこれに称賛と感謝の意を表する。中国人のことは中国人が決めなければならない。台湾問題は中国の内政であり、中国の核心的利益と中国人民の民族感情に関わり、外国からのいかなる干渉も許さない。

習主席は、平和統一の実現、一国二制度適用、「一つの中国」原則の堅持、中台の融合・発展、統一意識の増進の5項目の対台湾方針を示した。

一方で「武力行使を放棄することは承諾しない」とも明言し、台湾との関係強化に動く米国を念頭に「外部勢力の干渉」を拒否する姿勢を鮮明にした。

この習主席の会見を受け、台湾の蔡英文総統は会見を行い、「台湾は一国二制度を断固として受け入れない。台湾の人々の大半は一国二制度に反対している」と反論、統一のために武力行使も辞さないという中国側の姿勢について、「圧力と脅迫を用いるのではなく、平和的な方法でお互いの違いに対処しなければならない」と述べた。

米議会上院の与野党は12月21日午後8時30分に、新たなつなぎ予算案を可決することなく22日正午まで休会に入った。 国土安全保障省、司法省、住宅都市開発省など、連邦政府の約4分の1にあたる機関では 12月22日午前0時1分に予算が失効した。

上院共和党は、下院が議決した「国境の壁」費用として57億ドルを盛り込んだ2019年2月8日までのつなぎ予算を通そうとしたが、民主党は壁の予算は一切認めないとしている。

2018/12/21 米政府機関 一部閉鎖の恐れ 


上下両院は12月27日、政府閉鎖を終わらせることなく数分で閉会した。 多くの議員がワシントンに戻らず、この日の審議を欠席した。米議会は12月31日に再開されるが採決の予定はなく、来年1月1日は休会となる。閉鎖解除が年明けにずれ込むのは確実な情勢である。

ホワイトハウスは声明で「民主党は米国民でなく不法移民を守るために、政府閉鎖の継続を選んだ」と糾弾、それに対し民主党の上院議員はツイッターで、「無駄遣いで効果のない50億ドルの壁建設という言語道断の要求のため、トランプ氏は政府を人質に取っている」と応酬し、大統領と民主党が責任を押し付け合う構図となっている。

トランプ大統領は12月24日、ツイッターで ぼやいた。


I am all alone (poor me) in the White House waiting for the Democrats to come back and make a deal on desperately needed Border Security.
At some point the Democrats not wanting to make a deal will cost our Country more money than the Border Wall we are all talking about. Crazy!

12月29日には、 「野党は大統領いじめに忙しい」と述べた。

I am in the White House waiting for the Democrats to come on over and make a deal on Border Security.
From what I hear, they are spending so much time on Presidential Harassment that they have little time left for things like stopping crime and our military!

付記

トランプ大統領は1月1日のツイッターで、3日からの新議会で下院議長に就く予定の民主党のNancy Pelosi 院内総務に対し、「壁建設費や政府閉鎖の問題で下院議長の任期を始めたくないだろう! 取引をしようか?」と述べた。

Border Security and the Wall "thing" and Shutdown is not where Nancy Pelosi wanted to start her tenure as Speaker! Let's make a deal?


現議会は1月2日正午までとなり、11月の中間選挙で選出された新議員が同日宣誓して就任する。

上院は共和党勝利だが、60票には満たない。下院は野党民主党が過半数を獲得。

  共和 民主 欠員 未確定
上院

任期6年
1/3ずつ改選

体制 51 47+2#     100
新体制 53 45+2#     100
 
下院

任期2年
過半数は218

体制 235 193 7   435
新体制 199 235   1 435


上院民主党の # 印は民主党系無所属(Vermont州のBernard Sanders とMaine 州のAngus King 議員)

下院ノースカロライナ州第9選挙区は共和党勝利となっていたが、不正投票の疑いがあり、未確定、再投票の可能性も。 


ーーー

2019会計年度(2018年10月~2019年9月)の米連邦予算は異例のものとなっている。

トランプ大統領は、壁建設費50億ドルの歳出予算を盛り込むことを求めているが、民主党はこれに反対しており、上院民主党はかねてから、国境の壁建設予算16億ドルなら支持する方針である。

トランプ大統領は7月29日のツイッターで、「民主党が壁を含むBorder Securityに賛成しなければ、政府を閉鎖する」と述べた。

米議会の共和、民主両党は、政府機関閉鎖の回避を目指し、面白い案を考えた。

トランプ大統領も賛成する部分(国防省、労働省、教育省、保健福祉省などの予算)については正式予算を作成する。

壁の建設を担当する国土安全保障省や、国務省や商務省、司法省、科学関連省庁の予算については、11月6日の中間選挙の結果を待つこととし、正式予算ではなく、12月7日までのつなぎ予算とし、現行の予算水準を維持する。

2018/10/2 米国、10月からの政府閉鎖回避

1980年以降の政府機関の閉鎖は次の通り。


2013/10/1 米国、予算成立せず、政府機関を一部閉鎖

2018/1/20 米政府機関、閉鎖 
  
2018/1/23 米国、政府機関閉鎖解除へ 
2018/2/10 米国政府機関、再度の閉鎖、数時間後に予算合意で解除

付記 2019年1月12日、一部閉鎖は22日目に入り、これまでの最長(21日)を超えた。

ーーー

2018年中間選挙で下院の1議席(North Carolina 州 第9選挙区)が未定となっている。

投票結果は次の通りで、共和党候補が僅差で勝利した。

Mark Harris (共和党) 139,246
Dan McCreay (民主党) 138,341
905

しかし、共和党候補者の側に不正投票があることが明らかになり、調査が始まった。

次の点が報道されている。

  • 第9選挙区のうちの2つの地区で異常に多くの不在者投票の要求があった。多くが実際には投票がなかった。
  • 選挙民の数人が宣誓書で、身元不明の女性が自宅を訪問し、不在者投票表を回収したと述べた。代わりに出しておくからと言って回収した。不在者投票表はサインも封もしていない。
  • 来訪した女性がLisa Brittであったとする選挙民がいる。彼女は共和党候補の選挙事務所で不在者投票を担当するLeslie McCrae Dowless Jr.の養女である。
  • Britt ともう一人の Dowlessの親戚Jessica Dowlessは選挙期間中に事務所でDowless のために働いたと述べている。
  • 彼らに不在者投票表を渡した選挙民は実際に投票していない。

 しかし、次の点は不明である。

  • 投票がなかった不在者投票分が実際にどう処理されたのか?
  • Harris候補の陣営が Dowlessの行動を知っていたのか?
  • 異常な活動は2地区だけなのか、他の地区でも疑いがあるのか?


共和党のMark Harris候補は12月28日、選挙結果を認めるよう緊急要請書を提出したが、North Carolina 州の選挙管理委員会は、その直後、9区の結果を決めることなしに解散した。
12月1日付でHarris側に資料提出命令を出したが、ごく一部しか提出しなかったとしている。何度も提出すると言いながら、提出しなかったとする。

民主党は2019年1月3日にMark Harris候補が議員として宣誓するのに反対するとしている。

あとは、裁判所が選挙結果を認めるかどうかとなる。再選挙の可能性もある。


  

三井物産がロシアのガス大手 Novatek との間で北極圏のArctic LNG 計画への出資を協議していることが分かった。日本経済新聞が12月22日に報じた。ロイターも同日、三井物産、ロシア政府出資のファンドのRussian Direct Investment Fund (RDIF)及びサウジのSaudi Aramcoが出資交渉をしていると報じた。

Arctic LNGは、Yamal LNG計画のあるヤマル半島の東隣のギダン半島のSalmanov(Utrennye) ガス田等を供給源とするもの。

Novatekにとって、Yamal LNGに次ぐ第二のLNG計画で、投資額を200~210億ドルとみている。
能力は660万トン×3 系列の1,980万トン/年で、第1系列が2022-2023年、第2系列が2024年、第3系列が2025年の稼働を目指している。

現在は、Novatek が90%、フランスのTotal が10%を出資するが、Novatekはこのうち60%分を維持し、30%を他社に譲渡する考え。場合によっては、30%以上を譲渡することもあり得るが、事業のコントロールのため50%以下はあり得ないとしている。(Yamal LNG は51%)

TotalとNovatekは2009年からTermokarstovoyeガス田(地図の⑩)を共同で開発、2015年5月に生産を開始した。
この関係もあり、Yamal LNG とArctic LNGに出資している。

購入希望は多く、既に中国のCNPCや日本(三井物産か?)や韓国の企業と交渉したとされる。

本年10月にサウジのエネルギー相がSaudi Aramco の出資の可能性に言及した。

エネルギー相は2017年12月にYamal LNG の第一船積み込み式典に主賓として招かれており、2018年2月にはNovatek とAramcoの間で天然ガス計画に関する国際的協力(LNG供給、LNG市場開発、ガス探査・製造計画、R&D を含む)についての覚書を締結している。

Russian Direct Investment Fund (RDIF)は資金100億ドルのロシア政府出資のファンドで、世界の有力ファンドとともにロシアの有望企業に直接出資をしている。


ーーー

Yamal LNG はYamal半島のSouth (Yuzhno) Tambey ガス田を開発し、液化してLNGにする。

2017年12月5日、LNGの生産を開始した。

液化設備は550万トンx 3系列の合計年間1650万トン。LNG基地を含む投資額は270億ドルとされる。

日揮がフランスのTechnipと共同で、このLNGプラント新設プロジェクトの有償見積りおよび詳細設計役務等を受注している。

2013/4/8  日揮、ロシアのヤマルLNGプラントの詳細設計役務等を受注

LNGの売却先は、Total、CNPCとスペインのGas Natural Fenosa。

Novatekは2015年9月3日、プーチン大統領と習近平主席の見守るなか、中国のシルクロード基金(絲路基金にYamal LNG 計画の持分 9.9% を譲渡する基本契約書を締結した。

これにより、Yamal LNG計画の出資比率は下記のようになった。

  従来 2015/9  
Novatek 60% 50.1%  
Total 20% 20.0% 2011/3/2 調印 ロシアの天然ガス開発ーBP撤退、Total進出
CNPC 20% 20.0% 2013/9 参加合意、2014/1/14 株式買収完了
絲路基金 - 9.9% 2015/9/14 中国のシルクロード基金がヤマルLNG計画に出資   

同地に多機能海港のSabetta港が建設され、LNG、石油、天然ガス・コンデンセートを輸出する拠点港になる。

韓国の大宇造船は2014年7月8日、 大宇造船海洋カナダ、中国、日本の海運会社と、Yamal ProjectのLNGを輸送するための17万立方メートル級ARC7 砕氷LNG船9隻に対する受注契約を締結したと発表した。

最大氷厚2.1mの氷海において単独砕氷航行可能な仕様となっており、ヤマル半島サベッタ港のYamal LNG基地から、通年にわたり世界各地への輸送に従事するが、夏季には北極海航路を経由して東アジア向けに運航される。

2014/7/15 大宇造船、砕氷LNG運搬船9隻を28億ドルで受注


付記

三井物産は、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同出資するオランダのJapan Arctic LNG B.V.を通じて、Novatekが推進するアークティックLNG2プロジェクトに参画すべく、プロジェクト会社アークティックLNG2社の持分を10%取得することでNovatekと合意し、2019年6月29日に持分売買契約を締結した。

付記 2019/9/5 最終投資決断を発表した。

出資比率はJOGMECが75%、三井物産が25%。

三菱商事は参画を断念した。

Aramcoが出資交渉中との報道もあったが、これは消えたこととなる。

Novatek 60%
Total 10%
CNODC 10%
CNOOC 10%
三井/JOGMEC 10%

トランプ米大統領と習近平中国・国家主席は12月1日、G20出席のため訪問中のBuenos Airesで首脳会談を開き、米国が中国への追加関税を猶予することを決めた。
米国は、2000億ドル分の中国製品について、2019年1月1日に追加関税を25%に引き上げるのを止め、当面 10%に留める。

両国は直ちに、(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪(窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議を開始し、90日以内に結論を得ることで合意した。

中国との協議で合意できなかった場合、制裁関税を2019年3月2日に引き上げる。

トランプ大統領は対中協議の責任者に、政権きっての対中強硬派のLighthizer USTR代表を指名した。

米中が2019年1月に会合を開き、通商を巡る合意を文書化する意向だが、3月1日の期限までに米中が妥協策を見いだせるかが焦点となる。


日本経済新聞(2018/12/23)は、「 米中協議 『合意は険しい』 中国産業政策 全面転換迫る」と題して、ホワイトハウスのPeter Navarro通商製造業政策局長とのインタビューを掲載している。

Peter NavarroはUniversity of California, Irvine の経済学・公共政策学の教授だが、トランプの大統領選キャンペーンの政策アドバイザーに就任、2016年12月にトランプ次期大統領の指名を受け、新設のホワイトハウス国家通商会議の委員長に就任した。

2017年4月に、ホワイトハウスは国家通商会議を廃止し、通商製造業政策局(OTMP)を新設したが、Navarro はそのトップになった。

OTMPは貿易や製造業に関する政策について大統領に助言するほか、ホワイトハウスと商務省など通商関連官庁との調整や、米国製品の購入や米国人の雇用を促す政策の支援も担当する。OTMPの設置は、「米国の製造業や国防の基盤が損なわれるなか、米国はもはや不正な貿易は容認しないという重要なメッセージだ」とされる。

Navarro は、『中国がもたらす死(Death by China:Confronting the Dragon - A Global Call to Action』を出版、2012年にこれをもとにしたドキュメンタリー映画を監督・プロデュースした。

中国がWTOに加盟し、米中間で自由貿易が開始されて以降、アメリカ国民やアメリカ経済がいかに被害を受けたかが描かれている。アメリカからは工場と仕事が消え、製造業の拠点もなくなっていく。その一方、中国はますますアメリカ国債を所有する......。アメリカが抱える問題の深刻さを、データやインタビューを通じて生々しく描写。


2018年6月19日にNavarroが率いる OTMPは「
How China's Economic Aggression Threatens the Technologies and Intellectual Property of the United States and the World (中国の経済的攻撃はいかに米国と世界の技術と知的財産を脅かしているか)」と題する報告書を発表した。

今回、Peter Navarroはインタビューで、この報告書を引用して、次のように述べている。

報告書で明確に指摘しているのは、中国による米企業への技術移転の強要であり、サイバー攻撃であり、長年にわたるスパイ活動への懸念だ。製造業や先端技術などすべての中国産業を守るため、高率の関税を課し(許認可などの)非関税障壁もある。

どのように中国が我々の技術を追いかけて、日本や米国、欧州の将来を盗もうとしているか。この解決が2019年3月1日までの90日間の交渉の主題だ。

サイバー攻撃や為替操作など中国が関与している50の慣行がある。これらのすべてがWTOルールに違反する不公正政策だ。90日間の交渉が成功と言えるようになるのは、これらのすべての問題に対処しなければいけない。90日での解決は険しい。


中国の政策や慣行をすべて改めないと駄目ということでは、解決は無理と思われる。

中国も、部分的には政策や慣行を改めようとしてはいる。

全人民常務委員会は12月23日、外資投資を保護する外商投資法案の審議を始めた。

法案の内容
 「技術協力の条件は双方の協議で決め、行政手段で強制してはならない」
 「外国投資家の中国での出資、利潤、資本収益などは法に基づいて人民元や外資で自由に海外送金できる」

ーーー

中国の最高人民法院(最高裁)は、2019年1月から知的財産権を巡る紛争を専門に解決する専門部門「知的財産権法廷」の運営を始める。習指導部は最高裁の専門部門設置で保護強化をアピールする。

知財紛争を巡っては、主要16都市の地裁に知財を専門に扱う部門「知的財産権法廷」があり、北京、上海、広州に知財専門裁判所がある。国際的に影響が大きい複雑な案件が増えていることなどから、最高裁の新設部門は上訴された案件の審理を手掛ける。

ーーー

上記のOTMPの報告書では、中国が知的財産を盗み、米国の経済と国家安全保障を脅かす産業政策を追求しているとして厳しく批判している。

中国の目覚ましい経済成長は「世界的な規範・規則を逸脱する攻撃的な行動や政策、慣行を通じて成し遂げられた部分が大きい」とする。

さらに「中国経済の規模と、市場をゆがめる政策の程度を踏まえると、中国の経済的攻撃は今や、米経済だけでなく世界経済全体を脅かしている」と指摘する。

「企業の部内者や企業秘密および極秘の企業情報への信頼されたアクセスを持つ者による経済スパイを通じた物理的な窃盗が、米国の技術や知的財産を手に入れる重要な手段を中国にもたらした」と非難している。

内容は次の通り。

 中国の狙い

国内市場保護:Protect China's Home Market From Importsand Competition
世界シェアの拡大:Expand China's Share of Global Markets
重要天然資源の囲い込み・支配:Secure and Control Core Natural Resources Globally
製造業の支配:Dominate Traditional Manufacturing Industries
キイとなる技術・知財の取得:Acquire Key Technologies and Intellectual Property From Other Countries, Including the United States
先端産業育成:Capture the Emerging High-Technology Industries that will drive Future Economic Growth and Many Advancements in the Defense Industry

 中国の技術・知財取得のやり方 (それぞれについて詳述している。)

1. 窃盗:Physical Theft and Cyber-Enabled Theft of Technologies and IP
Physical Theft of Technologies and IP Through Economic Espionage
Cyber-Enabled Espionage and Theft
Evasion of U.S. Export Control Laws
Counterfeiting and Piracy
Reverse Engineering
2. 強制・規制:Coercive and Intrusive Regulatory Gambits
Foreign Ownership Restrictions
Adverse Administrative Approvals and Licensing Requirements
Discriminatory Patent and Other IP Rights Restrictions
Security Reviews Force Technology and IP Transfers
Secure and Controllable Technology Standards
Data Localization Mandates
Burdensome and Intrusive Testing
Discriminatory Catalogues and Lists
Government Procurement Restrictions
Indigenous Technology Standards That Deviate From International Norms
Forced Research and Development
Antimonopoly Law Extortion
Expert Review Panels Force Disclosure of Proprietary Information
Chinese Communist Party Co-opts Corporate Governance
Placement of Chinese Employees with Foreign Joint Ventures
3. 経済的強制:Economic Coercion
Export Restraints Restrict Access to Raw Materials
Monopsony Purchasing Power
4. 情報収集:Information Harvesting
Open Source Collection of Science and Technology Information
Chinese Nationals in U.S. as Non-Traditional Information Collectors
Recruitment of Science, Technology, Business, and Finance Talent
5. 国営企業による技術獲得のための投資:State-Sponsored, Technology-Seeking Investment
Chinese State Actors Involved in Technology-Seeking FDI
Chinese Investment Vehicles Used to Acquire and Transfer U.S. Technologies and IP
  ・Mergers and Acquisitions
 ・Greenfield Investments
 ・Seed and Venture Funding


発表に際し、日経の記事の図表の元(
中国が関与している50の慣行)が示された。

米国では2019会計年度(18年10月~19年9月)の一部予算が通っておらず、つなぎ予算が12月21日までとなっている。

2019会計年度(2018年10月~2019年9月)の米連邦予算の法案が9月28日にトランプ大統領が署名し、成立した。

トランプ大統領がメキシコとの間の壁の建設費用を認めない場合に政府を閉鎖するとの脅しを続ける中、国防省等については正式予算、メキシコとの間の壁の建設を担当する国土安全保障省等については12月7日までの「つなぎ予算」とする異例の形となった。

当初のつなぎ予算期限の12月7日、トランプ米大統領は12月21日までの歳出を可能にする「つなぎ予算」に署名し、成立した。両院が前日に議決していた。

ブッシュ元大統領の死去(11/30)を受けて国境の壁の議論を先送りした。

問題は「国境の壁」建設費用で、トランプ大統領は、壁建設費50億ドルの歳出予算を盛り込むことを求めているが、上院民主党はかねてから、国境の壁建設予算16億ドルなら支持する方針である。

今回も決着せず、上院は12月19日、2019年2月8日までの「つなぎ予算」を可決した。国境の壁建設費用は含んでいない。

これに対し、トランプ米大統領は12月20日、与党・共和党幹部に対し、「国境の壁」建設費用が計上されていない予算案に署名しない方針を伝えた。

これを受け、下院は同日、「国境の壁」費用として57億ドルを盛り込んだ2019年2月8日までのつなぎ予算を217対185で可決した。与党共和党から8人が反対に廻った。

しかし、これが上院で通るメドは立っていない。可決には60票が必要で、現在は共和党議員は51名で、可決には民主党の賛成票が欠かせない。


21日までに予算が成立しなければ、一部の政府機関が閉鎖するリスクがある。

国境警備を担う国土安全保障省や国務省、商務省などの予算が一時的に失効する。航空管制や入国審査、沿岸警備、司法捜査など国家運営に関わる業務は、職員が一時的に無給で勤務を続ける。国立公園は閉鎖される可能性がある。

付記

米議会上院の与野党は12月21日午後8時30分に、新たなつなぎ予算案を可決することなく22日正午まで休会に入った。

国土安全保障省、司法省、住宅都市開発省など、連邦政府の約4分の1にあたる機関では午前0時に予算が失効した。

ただ、上院は休会前に、一時帰休となる連邦政府職員への給与を保証する法案を通過させた。可決は全会一致だったが、下院でも可決する必要がある。

上院共和党は、下院が議決した「国境の壁」費用として57億ドルを盛り込んだ2019年2月8日までのつなぎ予算を通そうとしたが、民主党は壁の予算は一切認めないとし た。

閉鎖がいつまで続くか不明で、トランプ大統領は"for a very long time" と述べた。

上院は22日午後に審議を再開したが予算成立の見込みが乏しいため、クリスマス後の27日午後に審議を再開することを決めた。下院も与野党が予算案で合意するまで審議しない方針を決めた。

付記 トランプ大統領は12月24日、ツイッターで ぼやいた。

I am all alone (poor me) in the White House waiting for the Democrats to come back and make a deal on desperately needed Border Security.

At some point the Democrats not wanting to make a deal will cost our Country more money than the Border Wall we are all talking about. Crazy!

 

製薬世界大手の英 GlaxoSmithKline(GSK)と米 Pfizerは12月19日、一般用医薬品(大衆薬)事業を統合すると発表した。
合弁会社を設立し、GSKが68%、Pfizerが32%出資する。


統合会社は売上高は98億ポンド(約1兆4000億円)で、Johnson & Johnsonを上回り世界最大の大衆薬メーカーになる。市場シェアは7.3%に達し(2位のJ&J は4.1%)、米国と中国を含む主要地域の全てで1位か2位の市場シェアを持つこととなる。

GSKは統合完了から3年以内に新会社の株式を英国で上場させ、医療用医薬品・ワクチン 事業に専念する

GSKの大衆薬事業は歯磨きのSensodyne(日本名シュミテクト)や抗炎症剤Voltaren、非ピリン抗炎症剤・鎮痛解熱剤Panadol(日本名 カロナール) などが主力製品で、2017年12月期の部門売上高は71億ポンド(約1兆円)だった。

Pfizerの大衆薬は痛み止めAdvil(アドビル)や、サプリメント製品のCentrum やCaltrate などを手掛けている。2017年12月期の部門売上高は34億ドル(約3800億円)だった。

ーーー

Pfizerは2012年から、特許で保護された製品を扱うPfizer Innovative Health と、低成長のジェネリック製品を扱うPfizer Essential Health を分割して別々の企業として上場する案を検討してきた。

しかし、2016年9月 に会社分割を見送ると発表した。

2016/10/4 Pfizer、会社分割を見送り 

2017年10月に売上高全体の1割未満にとどまる消費者向け事業切り離す方針を表明し、これまでに米日用品大手 Procter and Gambleなどが買い手に取り沙汰されていた。価値が200億ドル相当と評価され、英国の日用品メーカー Reckitt Benckiserが交渉したが撤退、GSKも名乗りを上げたが、応札プロセスから撤退した。


Pfizerは、スピンオフ(分離・独立)、売却その他の取引を含む戦略的代替案あるいは部門保持を検討していると述べ、2017年内に決定を下す予定だとしていた。

ーーー

GSKは2014年4月に、Novartisとの間で事業交換を行った。

抗がん剤製品群をNovartis に譲渡する一方、Novartisの大衆薬事業を統合し、GSK主体のJVとした。
更にNovartisのインフルエンザ以外のワクチン事業を買収した。

2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編

GSKは2018年3月末に、Novartisとの大衆薬事業JVの持分を130億ドルで 買収し、GSK 100%とした。

今回、Pfizerとの統合で規模をさらに引き上げて収益力を高める。22年までに年間5億ポンド規模のコストを削減できると見込んでいる。

GSKの狙いは医療用医薬品やワクチンの開発力強化にある。
大衆薬はファイザーとの統合で収益力を引き上げる一方、将来的にはこれを切り離し、その売却収入を 医療用医薬品やワクチンのR&D拡充などに注ぎ込む構想。

GSKは12月3日には米がん治療薬ベンチャーのTESARO Inc を総額51億ドルで買収すると発表し、新薬開発に注力する戦略を鮮明にした。

TESARO はがん治療薬であるポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬「ZEJULA™」(一般名 niraparib)を持つ。米国において2017年4月に発売され、米国では卵巣がんの患者に直近で最も処方されているPARP阻害薬の一つ。米国のほか、欧州でも承認されている。


武田薬品とTESAROは2017年7月、「ZEJULA™」(一般名 niraparib)について、独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結した。武田薬品は日本におけるniraparibに関する全てのがんに関して、また、韓国、台湾、ロシア、オーストラリアにおける前立腺がんを除く全てのがんに関して独占的開発・販売権を獲得した。

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