「no」と一致するもの

アイルランドの製薬大手のEndo International は5月18日、米同業のPar Pharmaceutical の買収で合意したと発表した。
Par Pharmaceutical 株を所有する TPG Capital North America から負債を含め80億5千万ドルで買収する。

Parの株主には、Endoの株式 15.5億ドル相当と現金41億ドルが支払われる。Par の負債24億ドルも引き継ぐ。

両社の売上高は合算で約42億ドルとなり、米国のジェネリック市場で5位に浮上する。

ーーー

Endo International plc はアイルランドの製薬会社で、DuPont とMerckのJVであったDuPont Merckから分離した。

DuPontが1969年にEndo Laboratories を買収して血液溶剤Coumadin(R) を上市

1991年にMerck との50/50JVのDuPont Merck Pharmaceutical を設立

1997年に3人の役員がEndo Laboratories のジェネリック製品を買収してEndo Pharmaceuticals Inc. を設立(Management Buyout)

DuPont は翌1998年にDuPont Merck Pharmaceutical のMerck持分を買収し、DuPont Pharmaceuticals と改称、2001年6月、DuPont Pharmaceuticals をBristol-Myers Squibb に売却した。

Endoは1999年にAlgos Pharmaceutical Corporation を買収・統合し、上場した。

2014年2月にカナダのスペシャルティ医薬会社 Paladin Labs を買収・統合し、Endo International plc と改称、主に米国で事業展開するが、本社をアイルランドに置いた。

同社は2014年10月、米国のAuxilium Pharmaceuticals Inc の買収で合意した。
現金と株式の組み合わせで約26億ドルを支払う。(前月に22億ドルでの買収を持ちかけたが、拒否されていた。)


2015年2月にカナダの製薬大手
Valeant Pharmaceuticals International が米同業Salix Pharmaceuticals買収することで合意したが、Endo International plcが3月11日、Salix Pharmaceuticalsに対して1株当たり175ドル、総額112億ドルの現金と株式での買収提案のレターを送った。

しかし、Valeant Pharmaceuticals は3月16日、新しい条件での買収で Salix Pharmaceuticals と合意、Endo International は買収提案を取り下げた。

2015/3/18  Salix Pharmaceuticals の買収合戦

今回、Par Pharmaceutical を買収する。


下記の通り、買収合戦が続いている。

Par Pharmaceutical は1978年に設立されたジェネリック医薬品メーカーで、TPG Capital North America が2012年に約19億ドルで買収し、非公開会社とした。
     (公開会社を買収して非公開化するのを、take-private transactionと呼ぶ。)

次の3つの会社に分かれている。
 
Par Pharmaceutical :high-barrier-to-entry generic drugs
 Par Specialty Pharmaceuticals :niche, innovative brands
 Par Sterile Products :branded and generic aseptic injectable (無菌注射)pharmaceuticals

ーーー

ジェネリック医薬品会社も買収合戦を続けている。

2015/4/16    ジェネリック医薬品大手のMylan、アイルランド製薬大手に買収提案

2015/4/24 イスラエルのTeva Pharmaceuticals、同業のMylanに買収提案




1. 三菱ケミカルホールディングス

増収増益となった。

下期から大陽日酸が連結対象となったことも増益に貢献した。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 34,988 1,105 1,031 322 6.0 6.0
2015/3 36,563 1,657 1,631 609 6.0 7.0
前年比 1,574 552 600 286 1.0
2016/3予 40,000 2,270 2,140 650 7.0 7.0




営業損益対比(億円)           
  2014/3 2015/3 前年比 増減内訳   2016/3
予想
売買差 数量差 コスト
削減
その他
ケミカルズ 7 92 85 25 -14 45 29 520
ポリマーズ 23 268 245 389 4 78 -226 350
エレクトロニクス -55 -27 28 -33 18 42   5
デザインドマテリアルズ 475 561 86 2 65 51 -32 660
ヘルスケア 673 770 97 -231 277 68 -17 775
その他 57 65 8   2 6   40
全社 -75 -71 4     4   -80
合計 1,105 1,657 552 152 352 294 -246 2,270



ポリマーズ(ポリオレフィン、MMAなど)が売買価格差などで大幅増益となった。
ケミカルズでは 下期から大陽日酸が連結対象となったことが増益に貢献した。(産業ガス 184億円)
ヘルスケアは薬価改定で大幅値下がりとなったが、ロイヤリティ増などもあり、増益となった。


グループ別の営業損益は以下の通りで、  2011年3月期と比較すると、三菱化学(ケミカルズ、ポリマーズ等)と三菱レイヨン(MMA等)の減益が大きい。
三菱レイヨンは前年比では大きな増益となっている。

大陽日酸を下期から連結対象とした。
   2014/5/19   三菱ケミカルホールディングス、大陽日酸株式の公開買い付け 

  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 2015/3
三菱化学 881 231 42 231 194
田辺三菱製薬 766 690 690 591 671
三菱樹脂 166 106 128 201 278
三菱レイヨン 410 303 68 88 289
生命科学Institute - - - - 55
大陽日酸 - - - - 189
調整 42 -24 -26 -6 -19
合計 2,265 1,306 902 1,105 1657


当期の特別損益には以下を含む。(億円) 

段階取得差益  341  大陽日酸子会社化に伴うもの
固定資産売却益 130  
     
減損損失 -312  
     

減損損失 -312億円の主な内容 (前年は-31億円) 

インド テレフタル酸 104億円
田辺三菱 かずさ事業所 44億円
同   鹿島工場 22億円
同   販売権 16億円
同   大阪事務所 12億円
中国 負極材 17億円
水島 正極材 17億円
マレーシア 産業ガス 12億円


田辺三菱製薬の実績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 4,127 591 619 454 20.0 20.0
2015/3 4,151 671 677 395 20.0 22.0
前年比 24 80 58 -59 - 2.0
2016/3予 3,960 675 670 405 22.0 22.0


薬価改定による値下がり損 -290億円
ロイヤリティ収入 604億円(前年比 +60.7%)


 

ーーー

2.住友化学 

増収増益となったが、医薬品が大幅減益となった。

前年に続き、特別損益に多額の減損損失を計上したが、当期損益は522億円の黒字となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 22,438 1,008 1,111 370 6.0 3.0
2015/3 23,767 1,273 1,574 522 6.0 3.0
前年比 1,329 265 463 152 - -
2016/3 22,500 1,450 1,600 800 8.0 6.0

 



営業損益対比(億円)           
  2013/3 2014/3 2015/3 前年比 増減内訳   新区分
価格差 コスト差 数量差等   2015/3 2016/3予
基礎化学 -64 -109 -4 105 100 15 -10 エネルギー・
機能材料
8 40
石油化学 -32 49 212 163 110 -5 58 石油化学 208 170
情報電子化学 117 349 324 -25 -340 55 260 情報電子化学 324 410
健康・農業関連 263 382 569 187 65 5 117 健康・農業関連 561 630
医薬品 309 471 290 -181 -90 60 -151 医薬品 290 320
その他 80 84 157 73   -15 31 その他 -118 -120
全社 -222 -218 -275 -57       全社
合計 450 1,008 1,273 265 -155 115 305   1,273 1,450


石油化学、基礎化学が価格差により大きく採算向上した。基礎化学はほとんどトントンになった。
健康・農薬関連も好調。
情報電子化学は大幅値下がりで若干の減益、医薬品は大幅減益となった。

なお、営業外損益に含まれる持分法投資損益は増加した。
 
PetroRabighなどがようやく、損益に貢献し始めた。

2013/3 54億円
2014/3 120億円
2015/3 239億円

 

特別損益の推移は以下の通りで、減損損失と事業構造改善費用として、前年に続き、多額の損失を計上した。 


2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 2015/3
投資有価証券売却益 98 34  
減損損失 -32 -36 -229 -218 -333
事業構造改善費用 -41 -64 -108 -106  
投資有価証券評価損 -47 -15 -322
持分法投資損失 -260  
その他 -11 -7 4 56 247
合計 -84 -268 -379 -249 -407


減損損失は以下の通り。

(2013/3 229億円)
千葉 エチレン等 63 2013/2/4 住友化学、エチレン国内生産から撤退
大分  レゾルシン 66 事業環境悪化で収益性低下
中国 偏光フィルム 57 環境変化で事業計画見直し(建設途中)
ポーランド 偏光フィルム 32 営業停止を決定
 
(2014/3 218億円 )
新居浜  カプロラクタム

 73

2015年末 1系列停止
米国  研究開発費用  43  
サウジ 工業団地インフラ      37  
遊休厚生施設      24  
千葉 日本オキシラン     18 2013/11/29 日本オキシランのSM、PO、PGを2015年に停止
 
(2015/3  333億円)    
英国 EL材料、デバイス 126  
新居浜 アルミナ 64  
新居浜 医薬品(撤去) 52  
韓国 サファイア基板 48  
韓国 ダッチセンターパネル 16  


大日本住友製薬の実績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 3,877 421 406 201 9.0 9.0
2015/3 3,714 233 233 154 9.0 9.0
前年比 -163 -189 -173 -46 - -
2016/3予 3,920 270 265 180 9.0 9.0


売上高は、米国や中国など海外販売は好調だったが、薬価改定の影響で国内販売が大幅に落ち込んだ。

抗精神病薬「ラツーダ」の広告宣伝費が膨らみ販管費が増え、営業利益は45%減の232億円。


 

 

世界保健機関(WHO)は5月9日、西アフリカで広がったエボラ出血熱感染で死者数の最も多いリベリアでの流行が終息したと宣言した。西アフリカの主要な感染拡大国での終息宣言は初めて。

エボラ熱の潜伏期間は最長21日で、WHOは潜伏期間の2倍の42日間、新たな感染例が出ない状態を終息の目安としているが、最後の感染者確認から42日が経過したことを受けて終結を宣言した。

今回のエボラ熱流行は、2013年12月にギニアで始まり、2014年3月にエボラ熱と確認された。
WHOによると、死者数(疑い例を含む)は約1万1000人で、リベリアは最多の4716人
感染者は1万564人)となっている。

リベリア政府は2014年7月、感染拡大を防ぐため国境を封鎖し、同8月には非常事態宣言や夜間外出禁止令を出して抑え込みをはかった。

他の感染拡大国のギニア、シエラレオネでは5月3日までの1週間の感染者の確認件数がそれぞれ9件と鈍化しているものの、引き続き感染例が報告されている。

「国境なき医師団」では、「3カ国全てで、42日間感染例なしを記録するまでは手綱を緩めることはできない」と話している。

ーーー

WHOは潜伏期間の2倍の42日間、新たな感染例が出ない状態を終息の目安としているが、異なる情報も報道されている。

米疾病対策センター(CDC)の医師らは5月7日、エボラ出血熱からほぼ回復し、血液からウイルスが検出されなくなって数か月たった男性の目の中で、エボラウイルスが生き残っているのを発見したと、New England Journal of Medicine に発表した。
       http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1500306?query=featured_home

男性は米国の医師で、2014年9月、西アフリカのシエラレオネで医療活動中に感染、米アトランタの病院で未承認薬などによる治療を受け、1か月半後に血液からウイルスが検出されなくなって退院した。

しかし、その約2か月後、左目が痛くなり、青い瞳が緑に変色した。検査の結果、目の内部を循環する水「房水」からエボラウイルスが見つかった。
現在は目の症状も回復しつつあるという。

WHOは5月8日、エボラ出血熱から回復した男性から女性への性交渉による感染の可能性について、「かなり強い」とする見解を発表した。
   http://www.who.int/reproductivehealth/topics/rtis/ebola-virus-semen/en/

WHOは、症状が出てから82日間たった後でも精液からエボラウイルスを分離することがあるとの研究事例を紹介し、回復後に血液からウイルスを検出しなくなった後かなり経過してからも、性交渉による感染拡大がありえるとした。

そのため、回復後も診断を受け、精液を2回検査してウイルスを検出しなくなるまでか、検査できない場合は少なくとも発症後半年間、男性がコンドームを正しく装着することを勧告した。

回復した女性から男性への性交渉による感染について、可能性は低いとしつつも「理論上は可能性あり」とした。




DuPontの株主総会が5月13日に開催され、取締役12名全員の留任が承認された。
 

昨年来、物言う株主(Activist)のNelson Peltz が率いる米Trian Fund Management が会社の分割を要求している。

既に発表されているPerformance Chemicals部門に加え、DuPontを2社に分割する。
   GrowthCo      (Agriculture, Nutrition and Health, Industrial Biosciences)
   CyclicalCo/CashCo    (Performance Materials, Safety and Protection, Electronics and Communications)

しかし、DuPont が反対姿勢を崩さないので、要求の実現を目指すため、Peltz氏を含めて4人の取締役を選任するよう求め 、委任状争奪戦となった。

DuPontは4月6日、株主に対して同社の過去の実績、今後の方針などを説明する詳細資料を発表した。

資料では、DuPontのこれまでの方針、今後の方針が正しいこと、Trianの要求する会社分割がいかに問題であるかを説明、Trianが退任を求めている4人の現取締役が適任であるとし、逆にTrian が推薦している4人の取締役候補が経験などの点からDuPontの取締役には適していないとしている。

2015/4/10  DuPont、「物言う株主」と株主総会で対決

Syngentaは5月8日、MonsantoからSyngentaの株式を1株449スイスフラン、総額450億米ドル(うち45%を現金 )で買収する提案を受けたが、取締役会はいろいろな観点から十分に検討したうえで満場一致で拒否することを決めたと発表した。

現在のSyngentaの株価は短期的な通貨変動とコモディティの価格変動の影響を受けて下げっているが、売上の50%以上を占める発展途上国市場で事業が好調である。

同社の戦略はこれらの市場で成功し、2014年には5年連続で2桁の伸びを示した。新製品もグローバルに売上が伸びており、開発中の製品も多い。

Monsantoの提案額はSyngenta の価値を過小評価している。また、多くの国で行われる独禁法等によるチェックのリスクを過小評価している。


これを受け、Monsantoも買収提案をしたことを発表した。

両社の統合は両社の株主に大きな価値を生む。

統合は大きいシナジーをもたらし、需要家に総合的な解決策を供与できる。

独禁法については、専門家と十分な検討をしており、必要な認可を得る自信があるとしている。

関係者によると、統合事業の一部の売却を検討しており、既に Bayer などに売却を打診したという。


アナリストは、Singentaの将来は明るく、もっと高いプレミアムを望んでいるのは理解できるとするとともに、両社の企業カルチャーは異なっており、統合すればかなりの問題が出るだろうと見ている。

Monsantoの買収価格は、過去12ヶ月のSyngenta の金利・税・償却前利益の17倍に相当する。過去10年のアグロケミカル大企業の取引価額の中間値は約12倍であり、成立すれば高価格での取引の一つとなる。

ーーー

Syngentaは2000年にAstraZeneca (ICIから独立したZeneca とスウェーデンのAstra が1999年に合併)の農薬部門と、Novartis(Ciba Geigy とSandozが1997年に合併)の種子部門が2000年に統合してできた会社で、農薬(殺虫剤、除草剤、殺菌剤)と穀物・野菜・花の種子、ローン&ガーデン製品を扱う。

Monsantoについては下記を参照。

2015/4/7    国際がん研究機関、米モンサントの除草剤に発癌性の恐れを発表   


Syngentaは農薬の世界最大のメーカーであり、Monsantoは種子と遺伝子組替作物(コーンや大豆など)の世界最大のメーカーである。

仮に買収が成功すれば、農業におけるグローバルなリーダーとなり、Bayer、BASF、DuPont、Dow などにとり、恐ろしい競争相手となる。





 

 


全米鉄鋼労組(USW:United Steelworkers) の石油精製産業の労働者が35年目に初めてのストライキを始めた。

全国水準の団体交渉は3年ごとに行われる。3万人のうち多くの労働契約は1月31日付で終了した。

石油労働者を代表する鉄鋼労組と、エネルギー業界を代表するShellは、1月21日から賃金と作業場の安全条件などをめぐる交渉を行ったが、意見の相違を狭められなかった。

労組側は、賃上げの他にも超過労働、不安定な労働条件、火災や化学ガス放出と漏出、爆発などの危険な作業場の安全要件、労組弾圧、非組合員の契約職拡大などの問題の改善の要求をしている。

2月1日正午から9つの工場でストライキに突入、2月8日に更に2工場が参加し、その後更に、Shell とSaudi Aramco のJVのMotivaの3製油所とShell のNorcoの石化工場が参加し、合計15工場となった。

これ以外の工場では、旧労働協約を1日ごとに延長して操業を続ける。

2015/2/17    米国で石油精製産業のストライキ


参加工場は下記の通り。

    製油所 その他
Shell Deer Park, Texas Chemical
Norco, Louisiana   Chemical
Motiva
 (
Shell / Aramco)
Norco, Louisiana  
Port Arthur, Texas  
Convent, Louisiana  
Tesoro Anacortes, Washington  
Martinez, California  
Carson, California  
Marathon Catlettsburg, Kentucky  
Texas City, Texas Co-Generation
BP Whiting, Indiana  
BP-Husky JV Toledo, Ohio  
LyondellBasell Houston, Texas  
合計   12 3


3月12日に暫定合意に達した。

概要は下記の通り。

・これまでより1年長い4年の契約。

・賃上げ:初年度 2.5%、次の2年に各3%、4年度に3.5%

・健康保険:保険金を会社/従業員 80/20で分担

具体的には各工場ごとに組合員の投票で賛否を決め、更に会社側と協定を結ぶこととなる。


この結果、ストに入っていた15工場のうち、下の(黄色表示)の5工場を除き、職場復帰した。

スト中の5工場の状況は以下の通り。

Marathon 交渉中
BP BPとUSWは5月7日にスト終結の仮合意に達した。
職場復帰の契約を結んでから、組合員による賛否の投票を行う。
BP / Husky 交渉中
Lyondell Basell 会社側は "last, best and final" という提案を行ったが、以前の契約にあった残業時の premium pay 条項がなかったため、組合は圧倒的多数でこれを拒否した。

この結果、会社側は新提案を行い、組合側は5月7日、これを受け入れた。 premium pay 条項
はないが、double-time 条項が入ったとされる。

職場復帰契約はまだ締結されていない。

 

 

 

希少病の治療薬を手掛ける米Alexion Pharmaceuticalsは5月6日、同業の米Synageva BioPharma を総額84億ドルで買収すると発表した。

AlexionSynageva1株あたり、現金115ドルとAlexion株 0.6581株を支払う。買収により、2017年までに少なくとも150百万ドルの節約効果が見込めるとしている。

Synagevaの開発品を取り込み、品ぞろえを強化する。今年の半ばの手続き完了を見込む。

ーーー

Alexion はSoliris® (eculizumab) を開発し、現在世界中で命に係わる超稀少の2つの病気、発作性夜間血色素尿症(PNH) と非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の患者に供給している

2007年に上市し、2014年には20億ドル以上の売上高となっている。2014年1月にはFDAがSolirisを
腎移植患者の移植後臓器機能障害の予防に対しOphan Drug 指定した。

Alexion は2011年12月28日、Enobia Pharmaの全株式を取得する契約に署名した。

Enobiaはモントリオールおよびマサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置き、極めてまれな生命を脅かす遺伝的代謝疾患患者の治療法の開発を専門とした民間のバイオ製薬会社。

Enobiaの開発したStrensiq™(Asfotase alfa)は、承認済みの治療法がない極めてまれな生命を脅かす遺伝的代謝疾患の1つである低ホスファターゼ血症(HPP)患者を対象としたヒト組換えアルカリホスファターゼ酵素補充療法で、2015年の上市が期待されている。

今回買収するSynageva BioPharmは、血液と肝臓に脂肪成分が蓄積し死に至る Lysosomal Acid Lipase Deficiency(リソソーム酸性リパーゼ欠損症)の治療薬の Kanuma™ (sebelipase alfa) を持ち、現在米国と欧州で販売の認可を申請中。

既に上市しているSoliris® に、2015年にも承認を得る見込みのStrensiq™ とKanuma™ を加え、3つの稀少薬を持つこととなる。

Alexionの上市、開発中の製品は下記の通り。

Synageva BioPharmは以下の稀少病のための医薬品を開発中。

ーーー

希少疾病治療薬メーカーの買収が続いている。

2015/4/4   希少疾病治療薬メーカーの買収 続く    




だいぶ前になるが、浜田宏一・安達誠司著 「世界が日本経済をうらやむ日」を読んだ。        


内容紹介

アベノミクスにより、株価は約2倍、円安にもなり、景気は回復しつつある。とはいえ、いまだに「賃金が上がっていない」「生活はよくなっていない」など、アベノミクスに懐疑的な人もいる。
そこで本書では、ノーベル経済学賞に最も近いといわれ、イェール大学名誉教授、兼、内閣官房参与である著者が、「経済の真実」について、経済が苦手な人にでも理解できるよう、わかりやすく伝授。

カスタマーレビューでは次のようなコメントが続く。

日本経済の現状を正しく理解させるタイムリーな良書
アベノミクス効果をわかりやすく説明

デフレ論者には痛い内容

経済学の素人が浜田大先生の批判をするなど恐れ多いことだが、本書での主張がアベノミクスの根本原理であるとすれば問題である。

ーーー

昨年初めに竹中平蔵氏の講演で、浜田教授によるアベノミクス評価というのを聴いた。

第一の矢の金融緩和は5段階評価で A
第二の矢の機動的財政政策は、中期の財政再建が出来ておらず B
第三の矢の成長戦略は全くダメで E
即ち、ABEノミクス

しかし今回、本書を読んで、まったく異なるので驚いた。

浜田教授によると、そもそも、第一と第二の矢は供給(潜在GDP)と需要(実質GDP)の差を埋めるための不況対策であるが、第三の矢の成長戦略は、将来供給と需要の差が埋まったときに供給力を引き上げるための政策であるという。

第二の矢については、マンデル・フレミング命題から、変動相場制のもとでは景気刺激のためには財政政策の効果は少ないとしている。

デフレギャップを埋めるには金融政策だけでよく、成長戦略は 「短期の景気回復には関係のない政策」である。金融緩和政策が成功した後に成長戦略が必要になる。

このため、第三の矢の評価は、(全くダメのEではなく)、今後のEffortのEであるという。

なお、成長戦略とは産業政策ではなく、規制緩和政策であるとしている。

具体的には下記を挙げ、抵抗勢力を潰す必要を強調している。
  労働規制・金融規制の軽減撤廃
  法人税の実効税率の軽減
  TPPを通じた貿易・投資の自由化
  女性労働力の積極的活用
  海外労働者受入(社会・文化を損なわない範囲で)


毛利元就の「三本の矢」は、「矢一本なら一人の力で折ることができるが、3本束ねると折ろうとしても折れない」ことからきている。

しかし、浜田理論では、当面は第一の矢だけが重要で、その効果が出てから第三の矢の出番が来るということで、3本を束ねるということではなくなる。
3本の矢があっても、1本ずつなら折れてしまうのではなかろうか。

ーーー

同書では以下の通り述べている。

「流動性の罠」問題がある。デフレが続くと考えると、不要不急品は買わず、カネを溜め込む。

以前の日銀は、景気回復途中で引き締めなどを行ったため、疑心暗鬼となり、企業も積極投資をしなかった。  

第一の矢(ゼロ金利政策、量的緩和政策、インフレ目標政策)はこれへの対策であり、将来物価が上がるという予想を抱かせる。

この結果、個人消費は増え、企業も安心して投資する。

現在は企業も家計も貯蓄が十分あるが、企業と家計が先ず貯蓄を取り崩し、その後、企業が資金不足になると銀行貸出を使って投資する。

これにより、供給と需要のギャップが埋まる。   

この後が第三の矢の出番で、規制緩和により供給力(潜在GDP)を増やし、経済をさらに成長させる。

 

問題は供給と需要のギャップを埋めるのに第一の矢だけで出来るのかということである。

現実は 「供給 > 需要」 の状態にある。

しかし、将来物価があがるという予想を抱かせるだけで、需要が増え、ギャップが埋まるであろうか。

アダムスミスの時代ならこれは正しい。その当時なら、需要の内容が変われば、それに合わせて供給を自由に変えることが出来た。
このため供給総量と需要総量の比較だけでよい。

実際には、長い間の規制により、供給体制と需要構造が食い違っており、供給できる製品の需要が激減し、潜在需要に対する供給力がないという状況になっている。

少子高齢化が進むと、住宅、自動車、家電や、その原材料の鉄鋼、化学品などの需要は減っている。

既存品の輸出も様変わりで、鉄鋼、石油化学品などは今や、中国が過剰能力で悩むほどで、日本の出番はない。
家電も輸出どころか、日本のほとんどの需要を輸入に頼っている。
自動車さえも、電気自動車になると部品の組み立て化でやれるようになり、中国では
リチウムイオン電池製造のBYDが自動車に進出した。

しかし、少子高齢化による医療、健康維持、保育所・託児所など新しい需要が満たされていない。

医薬品や医療技術、IT、新規材料などでも新しい輸出製品の可能性は大きい。
農業なども企業が進出できればオランダのように輸出国になることも可能であろう。

現状では既存の業界が保護され、新規事業への参入が規制されている。

 以下はOECDによる分析で、経済のダイナミズムの欠如が指摘されている。

http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/15041601_ja.pdf

また、「日本をダメにした10の裁判」の一つの解雇権濫用法理により、労働人口が減るなかで、既存企業は仕事が減っても解雇が出来ず、多数の社内失業者を抱えている。
新しい需要分野に人材が流れるという状況にない。

このような、必要なものの供給がなく、需要のない供給力が保護され残っている状況では、将来物価が上がるという予想を抱かせることだけで 「供給=需要」の状態にはなり得ない。

本書では、経済学の常識から、デフレは金融現象であり、金融政策で解決できるとしている。(安倍首相は同じ意味で「デフレは貨幣現象」としている。)
しかし、上記の点から、これは
今の日本では誤りである。

デフレギャップを埋めるには金融政策だけではなく、規制緩和によって需要に合わせた供給力の整備を行うことが絶対的に必要である。
下記のような状況になれば、(仮にインフレ目標政策がなくても)需要は増えるであろう。

やはり、三本の矢は3本を束ねて初めて、効果が生まれる。

 

ちなみに、同書では金融緩和の成功例としてレーマン後の米国をあげている。

しかし、米国の場合は日本の状況とは全く異なる。

規制はほとんどなく、需要の変化を先取りして、新しい「供給」が加えられている。
主に移民の増により、人口は増えている。
ローンにより賄われる需要は旺盛である。

しかし、レーマンショックで、銀行は貸し出しを絞ったため、企業投資や個人消費が抑えられた。

この状況下では、デフレは金融現象であり、金融緩和は成功した。

カネがあるが需要が無い日本とは全く異なる。

ーーー

浜田教授の言うとおり、成長戦略とは産業政策ではなく、規制緩和政策である。

教授は、抵抗勢力を潰す必要を強調している。

その通りであり、抵抗勢力を潰すのは大変である。

特に、管轄する業界と結びつく官僚の対策が難しい。業界の支援を受けている国会議員、地方議員の圧力もある。

経団連なども献金と経済産業省などとの連携により、いろいろの恩恵を受けている側である。たとえば租税特別措置法の全廃などの案に対しては猛反対するであろう。

最高裁判決の解雇権濫用法理を取り消すような法律も必要である。

中国の習近平主席並みの権力が欲しい位である。

Thomas L. Friedman は著書「Hot, Flat, and Crowded」で "China for Day (but Not for Two)" という1章を書いている。

「2日はいやだが、1日だけなら中国になりたい」というもので、米国では何年もかかる案件、レジ袋の有料化、ガソリン無鉛化、自動車燃費規制、等々をトップダウンの命令で直ちに実施したことを取り上げ、中国のやり方を(その部分だけは)羨ましく思っている。

それでも、これをやらないと、しかも、徹底的にやらないと、日本経済の再生は難しい。

官僚の上層部を全て異なる省庁に移すとか、省益に反する決定をしたものしか昇格させないなどの措置が必要であろう。

---

気の毒なのは日銀の黒田総裁である。

2013年11月の記者会見でアベノミクスの評価を問われ、以下の通り述べている。

「第1の矢」の金融緩和、「第2の矢」の財政出動を含めて日本経済を緩やかに回復させており、今後も回復が持続すると思っている。

なかんずく第3の矢の成長戦略が非常に重要。
成長力を底上げするための成長戦略の実行を加速し、強化することが極めて重要だ。

これらの言動から、総裁は「デフレは貨幣現象」とは考えておらず、三本の矢が一体となってデフレを解消させると考えている節がある。

第三の矢は今後の問題とされると、梯子を外されたのと同じであろう。

もう一つ、黒田総裁の考え方と異なる点は消費税の引き上げである。

浜田教授は、景気がよくなれば法人税、所得税が増えて財政赤字が減少するとし、逆に回復途上で消費税を引き上げると、景気が悪化し、法人税、所得税が減少 して財政赤字が増えるリスクがあると主張する。

安倍首相も同じ考えのようで、消費税の10%への引き上げを延期したが、10%から更に引き上げる考えはないとしている。

これに対し、黒田総裁は消費税の引き上げ延期には反対であった。

2014年10月の追加の金融緩和は消費税引き上げ実施をバックアップするためとされた。

2月の経済諮問会議(議事要旨)で次のとおり述べている。

持続可能な財政構造を確立することは、日本経済が持続的な成長を達成していく上で必須の前提であり、日本が国全体として取り組まなければならない課題である。この点、基礎的財政収支を「2020年度までに黒字化」するという財政健全化目標の達成に向け、具体的な計画を策定していくことは重要であり、諮問会議でもしっかり議論していくべきだと思う。
日本銀行としては、政府による財政健全化に向けた取組が着実に進んでいくことを強く期待している。

議事録からは外されたが、次のように懸念を表明したと報道されている。

実はドイツ、アメリカ、イギリスなどが強硬に、銀行が自国の国債を持つことについても資本を積むべきであると主張している。

アナリストは日本の銀行がどれほど国債を持っているか、同じルールが適用されればどれほど資本が不足しているか言い立てるようになる。
国債の格付けが低いほど必要な資本は多くなりかねない。資本不足と言われるのを恐れ(銀行は)国債を手放してしまうかもしれない。


安倍総理は浜田教授の考え方を完全に受け入れていると見られるが、黒田総裁との考え方の相違は今後、広がっていくと思われる。

 

付記

内閣府試算(平成24年1月)によれば、2011~2020年度の平均成長率が名目3%、実質2%となる「成長戦略シナリオ」でも、国・地方の公債残高の対GDP比は増加を続ける。
黒田総裁の発言のとおり、持続可能な財政構造を確立することは、日本経済が持続的な成長を達成していく上で必須の前提である。

ーーー

なお、浜田教授は「金融緩和で物価は上がる」と主張する。

望ましい物価上昇は需要が増えた結果としての物価上昇であり、付加価値が増えるため望ましいものとなる。

最近の物価上昇は円安による食品や原料品の輸入価格アップによるものが多いが、単なる転嫁は付加価値の増加にはつながらず、需要家の生活が苦しくなるだけである。
この結果、消費が抑えられ、結果として値下がりがおこり、メーカーの採算が悪化する。

逆に原油価格の下落による値下がりは、需要家の購買力が増えて消費増につながり、望ましい。

デフレ対策での「物価上昇」は、原油価格のような外的要因や、円安による輸入価格の影響を除外して考えるべきである。

今後、原油価格がまた大幅上昇し、それによりCPIが前年比 2%アップしたとしても、それだけではデフレ解消とは言えない。

 

 ーーー

コメントをお待ちしています。

簡単にコメントを投稿できるよう、修正しました。


 

  

半導体製造装置で世界3位の東京エレクトロンは4月27日、同業で世界最大手の米 Applied Materials と2013年9月に交わしていた経営統合契約を解除すると発表した。
米司法省などの独占禁止当局が難色を示し、経営統合が不可能になったという。

ーーー

東京エレクトロンとApplied Materials は2013年9月24日、半導体およびディスプレイ製造装置業界における「グローバル・イノベーター」を目指し、株式対価による経営統合の契約を締結したことを発表した。

グローバル・イノベーターが誕生、半導体およびディスプレイ産業に大きく貢献するとした。
 
• 株式対価による対等な経営統合で誕生する新会社の時価総額は約290億ドル
• 今後の大きな技術的転換に応える画期的な製品開発を加速し、株主、顧客、従業員により大きな価値を提供
• 株主還元公約のもと、統合完了後会計初年度のEPS(1株当たり利益)向上を予想
• 30億ドル規模の自社株買いを、統合完了から12カ月以内に実施予定
• 統合新会社は東京証券取引所とNasdaq株式市場に上場し、東京と米国カリフォルニア州サンタクララの両本社体制

具体的には、下記のような三角株式交換・三角合併により、統合持株会社(オランダ)をつくる。

両社の株主には、統合持株会社の株が交付される。
経営統合完了後の新会社の株の保有内訳は、Appliedの株主が68.0%、東京エレクトロンの株主が32.0%となる。

 対等合併をうたっているが、実質的にはApplied Materialsによる東京エレクトロンの吸収合併であるとみられていた。
 

                         ↓

売上ベースはAppliedが72億ドル、東京エレクトロンが54億ドルで、両社合算の年間売上高は126億ドル、従業員は27千人に拡大する。

新会社は、統合後初年度において約2.5億ドルの統合シナジー効果の創出を、また統合後3年間において約5億ドルの統合シナジー効果 を見込んだ。


2014年6月に両社株主総会が承認、7月には社名をEterisにすると発表、2014年後半の統合を目指したが、独禁当局の承認が得られず、2014年11月に統合を本年3月に延期、本年2月には更に6月に再延期していた。

ーーー

Gartner Inc.によれば、半導体製造メーカーの2013年の売上高(百万米ドル)は下記の通りで、統合会社の世界シェアは25%となる。

  統合会社

8,517.2

1

Applied Materials

5,460.1

2

ASML(オランダ)

5,302.8

3

Lam Research(米国)

3,163.4

4

Tokyo Electron

3,057.1

5

KLA-Tencor(米国)

2,163.4

6

Dainippon Screen Manufacturing

1,222.7

7

Hitachi High-Technologies

862.0

8

Advantest(旧称 タケダ理研工業)

844.8

9

Teradyne

822.0

10

Nikon

636.3

  Others

10,243.5

  Total Market

33,778.0


日米など8つの国と地域の独禁当局が統合の可否を慎重に審査してきたが、米司法省との協議で承認を得られないことが確実になったという。
中国の反応も厳しい模様。

米司法省は、業界が寡占化して価格競争が起きにくくなることなどを問題視したとみられる。

2001年には米航空大手のユナイテッド航空とUSエアウェイズの経営統合が、2008年には検索大手のヤフーとグーグルの広告事業統合が、米当局が難色を示したことで破談した。

記者会見で東京エレクトロンは次のように述べた。

「米司法省と認識の違いがあり、解決のめどが立たないことが分かった。改善処置のプランを提出したが、実効性の見解に(司法省との間で)隔たりがあった。現行の製品群だけでなく、両社の開発品にまで対象が広がった」

「非常に残念な結果だと思っている。反トラスト法に引っかかるものではないというのが我々の見解だ。このような結論となり、納得がいかない」

米司法省は合併断念発表を受け、4月27日、次の通り発表した。

司法省が両社の改善措置案では競争上の懸念が消えないと伝えたところ、合併計画を断念した。

合併断念で半導体製造設備の競争が維持できる。半導体産業は米国経済にとり非常に重要であり、提案された改善措置案では、特に次世代半導体設備の開発に関して、統合により損なわれる競争を取り戻せない。

両社の統合は、高容量非リソグラフィー型半導体製造設備を開発・供給するノウハウ、資源、能力を持つ最大の2社の統合となる。

調査に当たり、司法省は韓国公取委、中国商務省、ドイツ連邦カルテル局、その他多くの独禁法当局と協力してきた。

半導体については知らないため、よく分からないが、全体としてのシェアではなく、重要分野でのシェアを問題とされた模様で、企業側としては当局の主張を入れると統合の意味がなくなるということではなかろうか。




国際石油開発帝石(INPEXは4月27日 、アブダビ首長国の陸上のADCO鉱区の5%の参加権益を取得し2015年1月1日からの40年間を契約期間とする利権契約を同国政府及びアブダビ国営石油会社(ADNOC)と締結したと発表した。

ADCO鉱区は同国陸上に位置する11の生産油田と4つの未開発油田から構成されており、本鉱区全体で日量約160万バレルの原油が生産されている世界でも有数の巨大油田群。

ADCO社が本鉱区のオペレーターを務めており、INPEXはADNOCやADCOなどとともに、2017年までに原油生産量を日量180万バレルへと引き上げるべく、開発作業を進める予定。

本鉱区から生産される原油は、同国西部地域のジェベルダナからの出荷に加えて、2012年に稼働を始めた石油パイプラインを利用してインド洋に面したフジャイラからも出荷されている。

日本としては日量8万~9万バレル分の原油を新たに調達できることとなる。

ーーー

ADCO鉱区は4つの地域に分かれている。

1)SE Hub (South East Asset)

Asab 油田 
Sahil 油田 
   
Shah 油田    
Qusahwira 油田
Mender 油田  開発中、2017年生産開始予定

2)Bab Asset

3)Bu Hasa/Huwaila/BQ Assets

Bu Hasa 油田  
Huwaila 油田   
Bida Al-Qemzan (BQ) 油田 

4) North East Bab (NEB)

Dabbiya 油田
Rumaitha 油田
Shanayel 油田

 

陸上油田は1939年以降、外国の石油会社に採掘権を与えられてきた。

1971年の独立を機に、Abu Dhabi National Oil Company (ADNOC)が参加しAbu Dhabi Company for Onshore Oil Operations (ADCO)を設立した。

ADNOCの出資比率は15%であったが、1974年に60%となった。
他のメンバーは以下の通り。

BP、Shell、Exxon Mobil、Total  各9.5%、計38%
PortugalのPatex Oil and Gas 2%

これら各社の権益は2014年1月10日に期限切れで失効した。

これについて、新しく40年間の権益が与えられることとなり、各社が応札している。

先ず2015年1月1日付けでフランスのTotal が10%の権益を取得した。
今回のINPEXの5%権益取得はこれに続くもの。

残りの25%分を次の各社が争っているとされる。

  BP、Shell (当初の権益者)  
    残るExxonMobil は海上油田Upper Zakum優先で、陸上権益争いから降りたとされる。
  Korea National Oil Company (KNOC)、PetroChina

  ロシアのRosneft やノルウェーのStatoil は権益争いには入っていないとされる。

ーーー

INPEXは、2004年5月に、石油公団(当時)が保有するジャパン石油開発(株)(JODCO)の全株式を株式交換により取得し、同社を完全子会社化した。

ジャパン石油開発は同国において海上油田の開発で40年以上にわたり事業を展開している。

INPEXでは、今回の権益取得は、長きにわたり携わってきた数々の石油開発生産事業での操業実績や技術的貢献が評価されたものと理解して いる。

同社の所有する権益は下記の通り。このうち、1996年1月に権益を取得したアブ アルブクーシュ鉱区はInpexとして進出したもの。
同鉱区から生産される原油は、パイプラインを通じてダス島へ送られた後、ウムシャイフ原油と混ぜられ、ウムシャイフ原油として出荷されている。

  JODCO INPEX ADNOC BP TOTAL(仏) ExxonMobil
下部ザクム油田   12%     60%  14.67%  13.33%  
ウムシャイフ油田 12%   60%  14.67%  13.33%  
ウムアダルク油田   12%     88%      
上部ザクム油田   12%     60%       28%
サター油田   40%     60%       
ウムルル油田 12%   60% 14.67% 13.33%  
ナスル油田  12%   60% 14.67% 13.33%  
アブアルブクーシュ油田   25%     75%  


従来の油田は2018年に期限が来るため、延長交渉を行っている。
このうち、上部ザクム油田については2014年1月20日に2041年まで延長された。
 



  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

最近のコメント

月別 アーカイブ