「no」と一致するもの

プーチン大統領の訪中時に、昨日の記事の「GazpromによるCNPCへの天然ガス供給」のほか、下記の契約が締結された。

1.NovatekとCNPCのLNG供給契約

ロシアの民間ガス会社Novatekは5月20日、プーチン大統領の立会いの下、中国のCNPCとの間で Yamal LNG (Total 20%、CNPC 20%出資のJV)のLNGを年間300万トン、20年間供給する契約を締結した。

価格はJapan crude cocktail を基準に決定される。

韓国や台湾なども含めてアジア太平洋地域の LNG 価格の多くは、日本に輸入される全原油平均価格(Japan crude cocktail)を指標として、これにリンクしたものとなっている。
LNG
価格=係数 × JCC +定額

Yamal LNG 計画は2020年までに1650万トン/年のプラントを建設することになっており、2017年に第一期の550万トン/年が生産を開始する。

ーーー

2.Rosneft とPetroChina、JVの天津製油所への原油供給契約

RosneftとPetroChina は2007年10月にPetroChinaが51%、Rosneftが49%のJV 中露東方石化(天津)を設立した。
300億人民元を投じて年産1300万トンの製油所を建設するもので、1300万トンの常圧・減圧蒸留装置、270万トンの連続改質装置、400万トンの残油改質装置、芳香族とプロピレン製造装置(能力非開示)などの装置を含んでいる。

製油所の完成は2015年を予定しており、ロシア側が原油の約70%を市場価格で供給し、残りの30%はアジアで手配する。

2010/9/30  PetroChinaとロシアのRosneftが天津で製油所建設

今回、原油供給契約を締結した。

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3.SinopecとSibur、戦略的協力契約を締結

今後、取引の拡大やガス処理・石化計画での協力などを検討する。

その一環として、Shanghai Chemical Industry Parkにブタジエンにトリルゴム (NBR) のJVの設立を決めた。

能力:50千トン/年
出資:Sinopec 74.9%、Sibur 25.1%
技術:Siburがライセンス

両社は2013年にロシアKrasnoyarsk にNBRのJVを設立している。

能力:56千トン/年
出資:Sinopec 25%+1株、Sibur 75%-1株
技術:Siburがライセンス

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4.神華集団とEn+ Group Ltd、中ロ国境近くのZashulanskoye炭鉱の開発契約締結

両社は50/50JVのRazrez Ugol LLCを設立し、中ロ国境近くのロシアのザバイカル地方(Transbaikal Territory)のZashulanskoye炭鉱を開発する。
2年以内に承認を得ることを予定している。

世界最大の石炭会社である神華集団にとり、ロシアでの最初の計画となる。


両社はこれに加え、代替エネルギーでも協力する。

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5.中国国家核電技術公司とRosatom State Atomic Energy Corp、水上原子力発電所で協力

ロシア連邦原子エネルギー局で低容量の浮かぶ原子力発電所(Floating nuclear power stations)の建造が進められている。
2基(70MWと300MW)の改良型KLT-40Sソビエト海軍核推進動力炉をそなえる施設で、造船所で建設し、電力消費地の沿岸部まで曳航する。

両社はこの分野で協力することとなったが、今後、それぞれの権利や責任の明確化が必要とされる。

 

 

韓国の遠洋漁船による漁獲量制限違反など違法操業を問題視している欧州連合(EU)が、6月8日に韓国に調査団を派遣することを決めた。
6月末に違法操業国家に指定するかどうかを決定する。

EUは韓国の遠洋漁船が長期にわたり西アフリカ沿岸で、定められた漁獲量を超過するなどの違法操業を行っているとして、昨年の時点で韓国を違法操業国に予備指定した。

違法操業国家指定が確定すれば、年間1億ドルに上るEUへの水産物輸出が全面的に凍結される上、韓国の遠洋漁船はEU加盟国の港を利用できなくなる。


違法操業国の指定は、韓国にとっては大きなイメージダウンとなる。

遅まきながら、韓国政府は、罰金制度の強化や外国水域での全ての韓国漁船の操業をモニターする監視センター設置などの対策をとった。

韓国海洋水産部の関係者は「違法操業国指定を阻止するために最善を尽くす」としている。


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EUは、全世界における違法漁業による総生産額を年間100億ユーロとし、EUの2007年の水産物輸入(150億ユーロ)のうち、IUU漁業を起源とするものは11億ユーロと推計した。

違法漁業=IUU漁業のIUUはIllegal, Unreported and Unregulated の略で、'pirate' fishing とも呼ばれる。

EUは、IUU漁業が水産生物資源の持続的な利用に対する最も深刻な脅威の一つであり、EUの共通漁業政策及び国際的な取り組みの根幹を揺るがすものと位置付けた。

2008年9月にIUU漁業を防止、抑止及び廃絶するための欧州共同体システムを確立する「IUU漁業規則」を採択した。

EUは2010年1月1日からIUU Regulation を全面的に施行した。

IUU漁業規則商業漁業に従事する全ての漁船を対象とし、EUへ輸出する全ての水産製品(養殖魚、淡水魚等を除く)について、正当に漁獲されたものであることを漁船の旗国が証明する漁獲証明書の添付が義務付けられ、IUU規則に違反する水産物がEU域内に入域することを防止、抑止及び廃絶することを目的にしている。


2013年11月にEU の海事・漁業担当委員はIUUに違反する国との取引を禁止する計画を発表した。

構造的問題を解決して違法な漁業問題に取り組むとの熱意を示せなかったとして、ギニア、カンボジア、ベリーゼの3国を非協力国に指定した。
これらの3国の漁船が獲った全ての漁業製品をEUが輸入することを禁止し、更にEUの漁船がこれらの国の水域で漁業を行うことを禁止した

更に、韓国、キュラソー、ガーナの3国に対し、違法な漁業を禁止する国際的な義務を果たしていないとして、イエローカードを渡し、改善の努力がなければ同様のレッドカードが与えられると警告した。

英国に本部を持つEJF (Environmental Justice Foundation) は2010年以降、西アフリカで監視活動を始めた。人工衛星を使って、違法漁業がEU市場に入るのを追跡し、EU当局に"IUU Alerts"を送っている。
証拠に基づく調査でこれまで数百万ドルの罰金を課しており、地域によっては違法漁業の激減をみている。

EJFによると、韓国の漁船の違法行為は特に広範であるという。2010年以来、韓国の漁船が西アフリカ諸国の水域で高価格な魚類を狙った違法漁業が200件以上報告されている。保護海域で漁をしたり、パトロールから逃げたり、罰金支払いを拒否したり、登録番号を覆って隠したり、洋上で違法に魚を積み替えたり、現地の漁師を攻撃したりしているという。

更に、韓国船では人権問題も分かっている。14歳の若い労働者を3ヶ月もの漁業の間、ひどい状況のなかで住ませ、働かせていたという。

ーーー

米国も韓国をIUU漁業国の一つとみなしている。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)は2013年1月に議会に報告書を提出した。

その国の漁船がIUU漁業を行っている国として次の10カ国を挙げたが、そのなかに韓国が含まれている。

コロンビア、エクアドル、ガーナ、イタリア、メキシコ、パナマ、韓国、スペイン、タンザニア、ヴェネズエラ

 



各社の3月期決算がほぼ出揃った。

営業損益で見ると、ほとんどの企業が前年を上回っている。
営業損益が好調なのを利用し、大規模な減損処理を行い、身軽になろうとする企業が増えている。

営業損益
 
当期損益
   

信越化学三菱ケミカル、住友化学旭化成、三井化学、東ソーについては既報の通り。

東レ、積水化学、宇部興産、帝人の状況は下記の通り。

ーーー

1.東レ

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2013/3 15,923 834 882 485 5.0 5.0
2014/3 18,378 1,053 1,106 596 5.0 5.0
前年比 2,455 218 224 111
2015/3 21,500 1,300 1,250 700 5.0 5.0
 
 
営業損益対比(億円)           
  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 前年比 2015/3
予想
繊維 324 453 432 529 97 560
プラスチック・ケミカル 271 274 183 180 -3 240
情報・通信機器 422 345 230 246 16 310
炭素繊維複合材料 33 77 73 169 96 220
環境・エンジニアリング 33 49 26 64 38 85
ライフサイエンスその他 61 60 75 56 -19 75
その他 10 13 16 20 4 20
全社 -155 -194 -200 -212 -12 -210
合計 1,001 1,077 834 1,053 218 1,300


損益差異理由:  数量差 577
           石化関連価格差 -100 (売価差 +52、原料価格差 -152)
           その他価格差 ネット -58
                          営業費差 -192
           その他費用差 -9




2.積水化学

住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックの3部門がいずれも好調。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2013/3 10,324 596 607 302 9.0 9.0
2014/3 11,109 825 833 412 11.0 12.0
前年比 784 229 226 110 2.0 3.0
2015/3 11,540 870 850 460 12.0 12.0

 

 
営業損益対比(億円)           
  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 前年比   2015/3
予想
住宅 244 311 363 411 48 430
環境・ライフライン 15 30 18 65 47 75
高機能プラスチック 244 206 232 361 128 400
その他 -1 -2 -7 -8 -0 -25
全社 -8 2 -10 -3 7 -10
合計 493 546 596 825 229 870



3.宇部興産

減収減益となった。化成品・樹脂が全前年比大幅減益となっており、建設資材でもっている状況。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2013/3 6,260 300 280 83 0.0 5.0
2014/3 6,505 244 187 126 0.0 5.0
前年比 245 -55 -94 44    
2015/3 6,700 300 240 135 0.0 5.0



営業損益対比(億円)           
  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 前年比 差異内訳   2015/3
予想
価格差 数量差 固定費差 その他
化成品・樹脂 200 230 51 8 -43 -59 17 25 -25 45
機能品・ファイン 87 55 12 -5 -17 -25 11 2 -4 10
医薬 23 37 34 17 -17 -15 -10 1 6 17
建設資材 81 87 115 155 40 11 33 1 -5 155
機械・金属成形 18 31 37 45 8 -1 4 4 1 45
エネルギー・環境 40 34 60 20 -40 -12 -37 7 1 25
その他 11 10 10 11 1 1 -1 3 -3 10
全社 -17 -23 -20 -7 13     12 1 -7
合計 444 460 300 244 -55 -100 18 55 -28 300


化成品・樹脂ではラクタムチェーンが前年比 -44億円、エネルギーでは電力が -35億円となっている。
建設資材はセメント・生コンが+35億円と好調。


4.帝人

増収増益だが、2012年3月期と比べると、まだ大きな減益状態である。  

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2012/3 8,544 340 343 120 0.0 3.0
2013/3 7,457 124 98 -291 2.0 2.0
2014/3 7,844 181 199 84 2.0 2.0
前年比 387 57 101 375    
2015/3 7,800 250 225 100 2.0 2.0


 
営業損益対比(億円)           
  2012/3 2013/3 2014/3 前年比   2015/3
予想
高機能繊維・複合材料 72 -47 57 104 65
電子材料・化成品 37 -19 -72 -53 -30
ヘルスケア 259 248 245 -3 250
製品 66 47 52 5 55
その他 37 42 17 -25 30
全社 -131 -148 -119 29 -120
合計 340 124 181 57 250


アラミド繊維や炭素繊維などの高機能繊維・複合材料は需要順調で黒字転化したが、ポリカーボネート樹脂やPETフィルムの電子材料・化成品は赤字が拡大した。


 

参天製薬は5月13日、日本・欧州・アジア太平洋地域において、米国のMerck & Co. が有する緑内障・高眼圧症治療薬 9品目と関連した権利等一式を取得する譲渡契約を調印したと発表した。

対象製品の2013年の売上高は約4億ドルで、参天製薬は契約実行時に約6億ドルを支払う。さらに販売マイルストンに基づく追加支払の可能性がある。

生産は当面、Merckに委託し、2~5年間 対象製品の供給を受ける。

先進国の高齢化で市場が伸びる緑内障治療薬の品ぞろえを増やすとともに、英仏やタイなど現在事業を展開していない国や地域へのアクセスを獲得することで海外事業展開の加速を目指す

対象製品はいずれも緑内障・高眼圧症治療薬で、以下の通り。

ドルゾラミド塩酸塩点眼液   Cosopt、Cosopt PF、Trusopt、Trusopt PF
チモロールマレイン酸点眼液   Timoptic、Timoptic PF、Timoptic XE
タフルプロスト点眼液   Saflutan、Taptiqom

 このうち、タフルプロストは参天製薬と旭硝子が共同で開発したプロスタグンジン系緑内障・高眼圧症治療剤で、2009年4月にMerckに西欧(ドイツ除く)、北米、南米、アフリカ等での販売権を許諾した。
東欧、北欧、ドイツ、日本、アジア諸国は参天が権利を維持した。(当時、日本、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーで上市)

米国ではMerckが2012年2月にFDAから販売承認を得ている。    
今回の取引で、西欧での販売権を取り戻した。

タフルプロストは、旭硝子のフッ素化学と有機合成技術を融合した医薬原体で、旭硝子の千葉工場で生産していたが、米国での承認取得で需要が増大するのを見込み、旭硝子の子会社のAGC若狭化学の小浜工場で増設した。


参天製薬では、現在は2割弱の海外売上高比率を4~5割に高め、2020年度までに連結売上高を2013年度より3割増の2千億円に引き上げる方針で、「今回の買収は長期目標実現の第一歩、今後、ドライアイ向けなど他の新薬も海外で販売し、飛躍を狙う」としている。

ーーー

Merckの眼科製品事業は2011年に眼科薬の開発などを手掛けるInspire Pharmaceuticalsを買収して拡大した。

Merckは現在、医療用医薬品に経営資源を絞り込み、開発主導の一流バイオファーマ企業になるというゴールを目指す。
本年5月6日、Consumer Care事業を142億ドルでBayerに譲渡することで合意したと発表した。

Merck expects after-tax proceeds from the sale of MCC to be between $8 and $9 billion. The company will use the after-tax proceeds -- consistent with its capital allocation strategy -- to resource those areas within its business that represent the highest potential growth opportunities, such as MK-3475, to augment the company's pipeline with external assets that can create value and to continue to provide an industry-leading return of capital to shareholders. - See more at: http://www.mercknewsroom.com/news-release/consumer-care-news/merck-announces-sale-consumer-care-business-bayer-ag-142-billion#sthash.4F0Y8bch.dpuf
Merck expects after-tax proceeds from the sale of MCC to be between $8 and $9 billion. The company will use the after-tax proceeds -- consistent with its capital allocation strategy -- to resource those areas within its business that represent the highest potential growth opportunities, such as MK-3475, to augment the company's pipeline with external assets that can create value and to continue to provide an industry-leading return of capital to shareholders. - See more at: http://www.mercknewsroom.com/news-release/consumer-care-news/merck-announces-sale-consumer-care-business-bayer-ag-142-billion#sthash.4F0Y8bch.dpuf

2014/5/10 Bayer、米 Merckの大衆薬事業を買収 

Merckは本年、米国の眼科製品事業を米国のニッチ医薬品会社のAkorn Pharmaceuticals に売却した。
Merckは当面、ラテンアメリカ、カナダ、豪州、中東、アフリカその他では事業を継続する。

これに伴い、参天製薬は本年4月1日、タフルプロストの米国での販売について、Akorn子会社のOak Pharmaceuticalsとライセンス契約を締結した。



1.三井化学 

石化の増益が大きく、増収増益となった。 基礎化学品(フェノール、高純度テレフタル酸など)とウレタンは赤字が続く。

同社はこれら赤字製品の再構築を行っているが、再構築費用として257億円の特別損失を計上し、当期損益は251億円の赤字となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2013/3 14,062 43 92 -81 0.0 3.0
2014/3 15,660 249 225 -251 3.0 0.0
前年比 1,598 206 133 -170 3.0 -3.0
2015/3 16,800 350 310 120 0.0 3.0

 

 

営業損益対比(億円)           
  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 前年比 差異内訳   2015/3
予想
数量差 交易条件 固定費他
石化 128 89 77 253 177 51 92 33 195
基礎化学品 204 86 -189 -174 15 -23 -6 44 -90
ウレタン -90 -146 -26 -52 -26 30 -30 -26 10
機能樹脂 72 82 84 119 35 47 26 -38 145
(加工品) 14                
機能化学品 100 116 124 150 25 40 14 -28 165
フィルム・シート   2 -33 9 42 10   32 10
その他 1 1 -6 -6 -0        
全社 -25 -15 12 -50 -62     -62 -85
合計 405 216 43 249 206 155 96 -45 350
石化 :エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン
基礎化学品 :フェノール、ビスフェノールA、高純度テレフタル酸、ペット樹脂、エチレンオキサイド


石化の増益は、売上増、交易条件の改善、ナフサ価格上昇での在庫評価益、連結子会社決算期統一(15ヶ月の業績取り込み)による。
 

特別損益として、ポリウレタン材料事業とフェノール事業の事業再構築費用 257億円を計上した。

三井化学は2月6日、ポリウレタン材料事業とフェノール事業、高純度テレフタル酸(PTA)の再構築を発表した。
この時点では再構築費用を206億円としたが、第4四半期で更に51億円を追加した。

ポリウレタン事業:

 鹿島工場  2016年12月末 閉鎖
  TDI(年産117千トン) 停止
  無水マレイン酸(32千トン)、フマル酸(151千トン) 停止、事業終了
  特殊イソシアネート群(2400トン) 大牟田工場に生産移管
  
 大牟田工場
  MDI(年産60千トン) 停止  2016年12月末
  特殊イソシアネート群の大型プラント(5000トン)新設 2015年10月稼動

フェノール事業:

 千葉フェノール(フェノール 250千トン、アセトン 80千トン) 2014年9月末に停止、解散 
 市原工場のビスフェノールA(90千トン) 2014年3月末に停止
 シンガポールのビスフェノールAの1基 70千トンを停止

高純度テレフタル酸事業:

 インドネシアのJV P. T. Amoco Mitsui PTA Indonesia 持分をBPに売却 (売却益を計上した模様)

2014/2/10 三井化学の事業構造改善計画 

 

2.東ソー

増収増益となった。

南陽のVCM工場がフルに稼動し、クロルアルカリが数量差益で黒字になった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2013/3 6,685 245 336 169 3.0 3.0
2014/3 7,723 416 495 296 3.0 3.0
前年比 1,038 171 159 127
2015/3 8,100 460 450 520 5.0 3.0

 

 

営業損益対比(億円)           
  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 前年比 差異内訳   2015/3
予想
数量差 交易条件 固定費他
石油化学 104 125 105 148 42 15 19 9 118
クロルアルカリ -35 -100 -16 39 55 88 14 -47 57
機能商品 203 131 90 192 102 31 70 1 240
エンジニアリング 36 57 44 13 -31 -30   -1 22
その他 27 24 22 24 2 4   -2 22
合計 335 237 245 416 171 108 103 -40 459


2011年に爆発事故を起こした南陽のVCM工場は、第1VCMプラント(年産能力:25万トン)が2012年5月に、第3VCMプラント(年産能力40万トン)が2012年7月に再開した。

 

3.旭化成

増収増益となった。

ケミカルズ、エレクトロニクス、医薬の増益が大きく、住宅も好調。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2013/3 16,666 920 951 537 7.0 7.0
2014/3 18,978 1,433 1,429 1,013 7.0 10.0
前年比 2,311 514 477 476 - 3.0
2015/3 20,160 1,500 1,510 900 8.0 9.0


 

営業損益対比(億円)           
  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 前年比 差異内訳   2015/3
予想
数量差 売値差 うち為替差 コスト差他
  ケミカルズ 644 445 229 389 160 37 497 495 -374 500
繊維 42 31 40 86 45 9 70 60 -34 90
  住宅 365 463 543 630 87 95 75   -83 560
建材 21 18 40 55 15 11 5   -1 50
エレクトロニクス 143 64 28 142 114 63 46 154 5 150
  医薬・医療 70 88 159 303 143 119 58 58 -33 290
クリティカルケア     -37 -35 1 81 -3 1 -77 5
その他 17 30 22 17 -5 1     -6 15
全社 -72 -97 -105 -153 -48       -48 -160
合計 1,229 1,043 920 1,433 514 416 748 768 -651 1,500

2014年度より、ケミカルズ・繊維、住宅・建材、エレクトロニクス、ヘルスケア(医薬・医療+クリティカルケア)の区分となる。


特別損益では、ケミカル事業における水島地区エチレンセンターの集約(旭化成のエチレン廃棄など)および国内石油化学事業の基盤強化などによる事業構造改善費用 225億円を特別損失に計上した。

2014/2/27  旭化成と三菱ケミカル、水島地区エチレンセンター集約で合意 

なお、特別利益に 受取損害賠償金 535億円がある。

旭化成ファーマが開発したRho-kinase 阻害剤「ファスジル」のライセンス契約に関連して、スイスのActelion社およびその関連会社・役員を被告とする損害賠償請求訴訟で、2014年3月にカリフォルニア州最高裁判所から勝訴確定の決定が下された。

2011/8/24  旭化成、医薬品開発中止に対する損害賠償請求の第一審で勝訴 の付記

 



 


1.住友化学 

石油化学が黒字化し、情報電子化学、農薬、医薬が大きく増益となり、増収増益となった。
メタアクリルや合成繊維原料の基礎化学部門は赤字が続いた。

前年に続き、特別損益に多額の減損損失、事業構造改善費用を計上したが、当期損益は370億円の黒字となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2013/3 19,525 450 503 -511 6.0 0
2014/3 22,438 1,008 1,111 370 6.0 3.0
前年比 2,913 558 609 881 - 3.0
2015/3 23,200 1,050 1,200 450 6.0 3.0

 

営業損益対比(億円)           
  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 前年比 2015/3
予想
基礎化学 206 93 -64 -109 -45 -60
石油化学 111 62 -32 49 82 100
情報電子化学 261 110 117 349 232 370
健康・農業関連 233 265 263 382 119 450
医薬品 287 209 309 471 162 260
その他 41 77 80 84 4 60
全社 -260 -209 -222 -218 4 -130
合計 879 607 450 1,008 558 1,050

 

特別損益の推移は以下の通りで、減損損失と事業構造改善費用として、前年に続き、多額の損失を計上した。 


2011/3 2012/3 2013/3 2014/3
投資有価証券売却益 98 34
減損損失 -32 -36 -229 -218
事業構造改善費用 -41 -64 -108 -106
投資有価証券評価損 -47 -15
持分法投資損失 -260
その他 -11 -7 4 56
合計 -84 -268 -379 -249

  注)2012年3月期の持分法投資損失260億円は豪州農薬会社のNufarm の株式評価損。 

減損損失は以下の通り。
(前年 229億円)
千葉 エチレン等 63 2013/2/4 住友化学、エチレン国内生産から撤退
大分  レゾルシン 66 事業環境悪化で収益性低下
中国 偏光フィルム 57 環境変化で事業計画見直し(建設途中)
ポーランド 偏光フィルム 32 営業停止を決定
 
(本年 218億円 )
新居浜  カプロラクタム

 73

 2015年末 1系列停止
米国  研究開発費用  43  
サウジ 工業団地インフラ      37  
遊休厚生施設      24  
千葉 日本オキシラン     18 2013/11/29 日本オキシランのSM、PO、PGを2015年に停止

ナイロン原料のカプロラクタムは中国の大増設で価格が下落しており、原料のベンゼンとの格差は2011年初めに2,430ドル/トンあったのが、現在は965ドルに下がっている。
宇部興産も本年3月末に堺工場を停止、宇部とタイ・スペインの3拠点体制とした。

大日本住友製薬の実績は以下の通り。
単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2013/3 3,477 250 245 100 9.0 9.0
2014/3 3,877 421 406 201 9.0 9.0
前年比 400 171 161 100 - -
2015/3予 3,520 200 190 120 9.0 9.0


営業損益はSunovion Pharmaceuticals買収に伴う特許権とのれんの償却費182億円を控除したのちのもの。
前年の償却費は259億円であった。

北米で独占販売期間が満了した短時間作用型β作動薬「ゾペネックス」が減収となったが、非定型抗精神病薬「ラツーダ」が大きく伸長して補い、円安の影響(北米のみで295億円の益)もあって大幅な増収となった結果、増益となった。

2015年3月期には、北米での後発品参入、日本の薬価改定の影響が大きく、戦略製品の伸長でカバーするが、9.2%の減収となる。
これに対し、特許権の減少、経費の効率的使用による販管費の減少、優先開発品目への集中投資により研究開発費総額を増やさないなどにより、費用を押さえ、200億円の営業損益を確保する。

ーーー

2.三菱ケミカルホールディングス

増収増益となった。但し、営業損益は2011年3月期のちょうど半分である。(ケミカルズ、ポリマーズの損益減が原因)

食品機能材、電池材料、精密化学品、樹脂加工品、複合材、無機化学品、化学繊維などを扱うデザインド・マテリアルズが好調で、営業利益は前年比倍増となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2013/3 30,886 902 871 186 6.0 6.0
2014/3 34,988 1,105 1,031 322 6.0 6.0
前年比 4,103 202 160 137 - -
2015/3 35,300 1,360 1,270 380 6.0 6.0




営業損益対比(億円)           
  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 前年比 増減内訳   2015/3
予想
売買差 数量差 コスト
削減
その他
ケミカルズ 530 149 -2 7 9 -48 -16 100 -27 40
ポリマーズ 550 254 1 23 22 -2 5 53 -34 190
エレクトロニクス 10 -53 -51 -55 -4 -22 -33 53 -2 -30
デザインドマテリアルズ 365 240 225 465 240 16 91 51 82 500
ヘルスケア 851 764 749 683 -66 3 -32 18 -56 700
その他 45 61 65 57 -8   -13 18 -13 40
全社 -86 -108 -85 -75 10     3 7 -80
合計 2,265 1,306 902 1,105 202 -53 3 296 -43 1,360


グループ別の営業損益は以下の通り(億円)で、 2011年3月期と比較すると、三菱化学(ケミカルズ、ポリマーズ等)と 三菱レイヨン(MMA等)の減益が大きい。 

  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3
三菱化学 881 231 42 231
田辺三菱製薬 766 690 690 591
三菱樹脂 166 106 128 201
三菱レイヨン 410 303 68 88
調整 42 -24 -26 -6
合計 2,265 1,306 902 1,105

 

当期の特別利益に「仲裁裁定による特別利益」 130億円が含まれている。

田辺三菱製薬は日本で販売する抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」に関し、Janssen Biotech(Johnson & Johnson子会社)に対して、開発販売契約に基づく供給価格の改定を求める国際商工会議所への仲裁申立を行っていたが、これに対し、裁定があったもの。

2013/8/21    田辺三菱製薬、仲裁裁定で117百万ドル受領


田辺三菱製薬の実績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2013/3 4,192 690 694 419 20.0 20.0
2014/3 4,127 591 619 454 20.0 20.0
前年比 -65 -98 -75 35    
2015/3 4,090 600 615 405 20.0 20.0

 



BMWは5月9日、自動車の軽量化に役立つ炭素繊維の生産能力を3倍にすると発表した。

ドイツの炭素繊維メーカーのSGL TechnologiesとのJV のSGL Automotive Carbon Fibersのワシントン州のラージトウ炭素繊維工場に2億ドルを投じ、現在の年産3千トンを9千トンに引き上げる。
2015年に完成すれば世界最大のプラントとなる。


全量がBMWの自動車に使う炭素繊維強化プラスチックに使われる。

当面、電気自動車とハイブリッドカーに使用するが、BMWでは増産完成後は他のモデルでもコンペティティブな価格で大量に使用できるとしている。
2年後に改装されるBMW 7 - シリーズのフラッグシップセダンは幅広くカーボンファイバーを使うと見られている。

原料プレカーサーは三菱レイヨンとSGLのJVのMRC-SGL Precursor の大竹工場から供給される。

ーーー

BMWは2010年に、大都市圏での使用を前提としたゼロ・エミッションの車両 "Megacity Vehicle"を2013年に市場に導入することを発表した。

昨年、電気自動車「BMW  i 3 compact car」を発売、受注台数は1万台を超え、本年4月には米国で販売を開始した。
昨年9月にフランクフルトモーターショー2013で発表されたハイブリッド車「BMW  i 8 plug-in hybrid sports car」は夏に発売する。

BMWは"Megacity Vehicle"の製造にあたり、電池などで重量が増える分を素材の軽量化で相殺し、走行時のエネルギー消費を抑えるため、炭素繊維を使用することとし、基幹部品用の炭素繊維を製造するため、2010年1月にSGL Automotive Carbon Fibersを設立、1億ドルを投じ、工場を建設した
BMWが49%、
SGL Technologiesが51%出資する。

合弁相手のSGL Technologiesはドイツの炭素繊維メーカーで、三菱レイヨンと提携している。

三菱レイヨンは2005年1月、欧州市場の拡大を見据え、ドイツに本社を置く SGL Carbon Groupと提携し、欧州での焼成拠点を確保した。戦略的な提携の第一歩としてSGLグループのスコットランド会社 SGL Technic Ltd. への年間750トンの生産委託を決定した。

三菱レイヨンは2010年4月、SGL Automotive Carbon Fibersに炭素繊維のプレカーサーを供給するため、SGL Technologiesとの間で合弁会社 MRC-SGL Precursorを設立した。

SGL Precursorの出資比率は三菱レイヨンが66.66%、SGLが33.34%で、製造拠点は 三菱レイヨンの大竹事業所内。
2011年4月に量産を開始した。

モノの流れは以下の通り。

担当企業 立地 製品
MRC-SGL Precursor 大竹 炭素繊維プレカーサー
SGL Automotive Carbon Fibers  米ワシントン州 (焼成)→ ラージトウ炭素繊維
  同上(中間材工場) 独 バイエルン州 → 各種織物
BMW部品工場   (成形加工)→ 炭素繊維複合材料
BMW   次世代環境対応車 "Megacity Vehicle"


2011/12/15 自動車向け炭素繊維複合材料の開発が進展

 


Bayer は5月6日、米 Merck & Co. のConsumer Care事業を142億ドルで買収することで合意した と発表した。
これにより、Bayerは一般用医薬品メーカーとして米 Johnson & Johnson (J&J)に次ぐ世界2位の地位を維持する。

同時にBayer と Merck は肺動脈高血圧症の治療薬の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤のグローバルな共同開発・共同販売を行うことも明らかにした。

関係筋によると、MerckのConsumer Care事業に対しては、米 Procter & Gamble  、独 Boehringer Ingelheim、スイスのNovartis 、仏のSanofi なども関心を示していた。
 
ーーー

MerckのConsumer care business は市販薬(OCT)の世界最大のメーカーの1社で、北米で強い地位を占める。2013年の売上の70%が米国であった。

主な製品は、各種の風邪(Cold、Allergy、Sinus、Flu)、皮膚(日焼けを含む)、足ケア、胃腸などの薬で、allergyのClaritin™、coldのAfrin™、足ケアのDr. Scholl's™やスキンケアのCoppertone™、胃腸薬のMiraLAX™などが有名。

米国のMerck & Co. は1891年にドイツのMerck KGaA の一族が設立したが、第一次世界大戦で敵国企業の子会社として米国政府に接収され、1917年に独立した。接収後は両社は別会社である。

米国
Merckは米国、カナダ以外の地域では「MSD」(Merck Sharp & Dohme)の名称を使用、逆にドイツのMerck KGaAは米国とカナダでは「EMD」の社名を使用している。

米国のSchering-Plough も同様で、元ドイツSchering AGの米国子会社であった。
  
2006/3/23 2つのMerck社

Merck & Co. は2009年3月にSchering-Plough と合併することで合意した。
   2009/3/11 
米Merck、米Schering-Plough を買収

Dr. Scholl's™やCoppertone™など上記の製品はSchering-Plough の製品である。


Bayerはグローバルに戦略的買収を行ってLife Sciences事業を強化しようとしており、OTC分野でも拡大を図っている。

2013年5月にドイツのハーブ薬メーカーSteigerwald Arzneimittelwerk を買収する契約を締結した。

2014年2月には、雲南省昆明市の市販薬 (OTC)と漢方薬(TCM) のメーカーの滇虹集団(Dihon Pharmaceutical Group)を買収すると発表した。

2014/3/4 Bayer、中国の漢方薬メーカーを買収

同社はこれまでの買収に続く今回の買収により、OTC分野で世界2位の地位を確保し、多分野・多地域で同社の事業を著しく高めるとしている。

一般用医薬品市場ではJohnson & Johnson (J&J)が首位で、Bayerは2位である。

本年4月22日にNovartisが大規模な事業再編を発表、GlaxoSmithKline (GSK) から抗がん剤製品群を買収するとともに、大衆薬事業はGSKの事業と統合してGSK主体のJVとすることとなり、このJVがこの分野でBayerを抜くこととなった。
   2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編

しかし、今回の買収で、Bayerは世界2位の地位を確保する。

Bayerの一般用医薬品事業は鎮痛剤のAspirinや皮膚薬のBepanthenなどを手がけ、世界各地に販路を持つ。

今回の買収により、5つの重要なOTCの分野のうちの2分野、スキンケアと胃腸薬でグローバルなリーダーの地位を得ることとなり、各種風邪薬でNo.2となる。栄養剤ではNo.2、鎮痛薬ではNo.3 の地位を維持する。

2013年ベースでの買収事業の売上高は22億ドルで、合算売上高は74億ドルに達する。

買収により、2017年までに販売費や製造コスト面で2億ドルのコストシナジーを期待している。
また、Merckの製品(現在、米国内販売が7割)をBayerの世界的なインフラを使って海外で販売することで4億ドルの販売シナジーを期待する。

ーーー

両社は別途、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤のグローバルな共同開発・共同販売を行う。

肺動脈高血圧症の治療薬であるが、この薬をフルに活用するには更なる開発努力が必要であり、両社がこれに協力する。

現在、Adempas™が外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症の治療薬として承認を得ているが(日本でも2014年1月に製造販売承認を取得)、更に適用範囲を広げる。
加えて、現在開発の初期段階にあるものも共同開発に含める。

両社は開発のコストと利益を均等にシェアし、開発及び販売戦略を共有する。

Adempas™の販売はBayerが米大陸、Merckがそれ以外を担当し、それ以外についてはBayerは米大陸以外、Merckは米大陸で商業化を主導するが、互いに相手のテリトリーでも協力するオプションを持つ。

MerckはBayerに一時金として10億ドルを支払い、更に販売目標を達成した場合は 最高11億ドルのマイルストン支払いを行う。

ーーー

Merckは医療用医薬品に経営資源を絞り込み、開発主導の一流バイオファーマ企業になるというゴールを目指す。

Merck expects after-tax proceeds from the sale of MCC to be between $8 and $9 billion. The company will use the after-tax proceeds -- consistent with its capital allocation strategy -- to resource those areas within its business that represent the highest potential growth opportunities, such as MK-3475, to augment the company's pipeline with external assets that can create value and to continue to provide an industry-leading return of capital to shareholders. - See more at: http://www.mercknewsroom.com/news-release/consumer-care-news/merck-announces-sale-consumer-care-business-bayer-ag-142-billion#sthash.4F0Y8bch.dpuf
Merck expects after-tax proceeds from the sale of MCC to be between $8 and $9 billion. The company will use the after-tax proceeds -- consistent with its capital allocation strategy -- to resource those areas within its business that represent the highest potential growth opportunities, such as MK-3475, to augment the company's pipeline with external assets that can create value and to continue to provide an industry-leading return of capital to shareholders. - See more at: http://www.mercknewsroom.com/news-release/consumer-care-news/merck-announces-sale-consumer-care-business-bayer-ag-142-billion#sthash.4F0Y8bch.dpuf

OTC事業の売却で税引き後で80~90億ドルの利益を見込んでいる。

 

日経新聞は5月4日、国際カルテルを巡り、米国での裁判を避けて海外にいた外国人被告の身柄引き渡しが初めて実現したことから、 米司法省が日本企業幹部の引き渡しを要求するとの観測も浮上していると報じた。

本件は2007年のマリーンホースカルテルに関するものである。

米司法省は2007年5月、原油の海上輸送に使うマリンホースの販売で国際的な価格カルテルに関与した疑いがあるとして日欧企業の幹部8人を逮捕したと発表した。

司法省が横浜ゴムの自主申告で調査を開始し、横浜ゴム担当者になりすまして開かせた会合現場で横浜ゴム担当者以外を逮捕した。

2007/7/9 マリーンホース国際カルテル事件

これまで、個別に司法取引や裁判を行ってきたが、状況は以下の通り。

企業:

 

罰金

Dunlop Marine and Oil(英)  4,540千ドル
Trelleborg (仏)  11,000千ドル
Parker ITR(伊) 2,290千ドル
Manuli SPa (伊) 2,000千ドル
ブリヂストン 28,000千ドル
横浜ゴム 自主申告により免責 


個人:

    現場
逮捕
禁固 罰金 備考
PW Consulting
(元
Dunlop
Peter Whittle 30 months $100,000 英国で同一期間の禁固刑を受け、米国での禁固刑は免除
Dunlop Oil & Marine Bryan Allison  24 month $100,000
David Brammar 20 months $ 75,000
Uwe Bangert       逃亡中 時効中断
Manuli Rubber Industries SpA Robert L. Furness   14 months $ 75,000  
Charles J. Gillespie   12 months and
one day
$ 20,000  
Francesco Scaglia

陪審裁判で無罪

Val M. Northcutt  
Trelleborg Industrie S.A.S Christian Caleca 14 months $ 75,000  
Jacques Cognard 14 months  $100,000  
Parker ITR S.r.l. Giovanni Scodeggio six months
自宅監禁
$ 20,000  
Romano Pisciotti   2 years $50,000 今回、引渡し
ブリヂストン Misao Hioki two years $ 80,000  


2008/12/12 マリンホース国際カテル事件で日本人に有罪判決


上記のうち3人を除く全員が司法取引で有罪を認めたが、Manuli Rubberの2人は裁判で無罪を訴えた。

裁判では政府側の証人の上司2人(いずれも禁固刑)が私腹を肥していたことなどが明らかになり陪審員の印象を悪化させた。
弁護士は、Sherman法では外国との取引の場合、米国の取引又は米国の競合者に直接の、実質的な、予期しうる影響を与えない限り適用されないとの規定があると指摘、最終的に無罪を勝ち取った。
弁護士のブログより)

ーーー

なお、欧州委員会は2009年1月に5社に合計131.51百万ユーロの制裁金支払いを命ずる決定を下した。

2009/1/29 EU、マリンホースカルテルに制裁金


当時米国におらず逮捕を免れていたイタリアのParker ITRのRomano Pisciottiは、2013年6月にドイツで逮捕され、本年4月3日に米国に送還された。
独禁法違反で海外から米国に引き渡された最初の例になる。

Romano Pisciottiはナイジェリアからイタリアに戻る途中、ドイツの空港で逮捕された。
その後、Pisciottiはイタリアの裁判所とEUの人権裁判所に訴え、EUの法律が適用されるべきこと、ドイツによる国籍差別の犠牲者であると主張していた。

Romano Pisciottiは4月24日、有罪を認め、禁固2年、罰金5万ドルを受け入れた。
ドイツでの拘束期間の(9ヶ月+ 16日)がこれから差し引かれる。

ーーー

米国で個人が起訴された場合、海外在住であれば米国から見ると国外逃亡で時効中断となる。
米国入国の際に逮捕されることはもちろん、他国に入国しても、犯罪人引渡し条約で米国に引き渡される。

但しこれまでは、独禁法違反の場合には日本政府は該当せずとし、引渡しは行われないとされていた。

起訴された某氏によると、当時、米国の弁護士に相談したところ、海外に行くと逮捕され、米国に送られる可能性があるが、日本に留まっているなら全く問題なしとのことであったという。

2004年までは、日本人で起訴されたのは役員クラスだけで、すべて時効中断となっていた。

日本人の服役の第1号はダイセルの社員(防カビ剤のソルビン酸価格カルテル、チッソの自主申告で摘発)で、チッソの提出した詳細情報のために若い担当者が起訴されることとなった。
日本にいたため、そのままでは「国外逃亡」のままとなるが、海外に行けないのでは仕事にならないため、自主的に服役(3ヶ月の禁固刑)を選んだ。

米国司法省は、独禁法を有効に施行するという司法省の能力を示すものとして、「日本人で最初に服役」と誇らしげにこれを発表している。
http://www.usdoj.gov/opa/pr/2004/August/04_at_543.htm

第2号がこのマリーンホースカルテルである。
この場合は米国で逮捕されたため、刑に服するしかなかった。

それ以外に多数が起訴されたが、刑に服したのはこの2人だけであった。

この後、2011年から今日まで、自動車部品カルテルで多くの日本企業と日本人が起訴され、これまでと異なり、日本にいたと思われる多くの日本人が有罪を認め、刑に服している。

現時点で、自動車部品カルテルで32名が起訴され、うち有罪を認め禁固刑に服したのが23名となっている。(うち、外国人は1名のみ)
残り9名は「国外逃亡」で時効中断と思われる。

https://www.knak.jp/blog/2013-10-1.htm#cartel

全くの推測だが、今回、非常に多数の日本人が刑に服したのは、米国の姿勢が強硬で、企業が司法取引をする際に、これを罰金の減額の条件にしたのかも分からない。

ーーー

今回の件を受け、日本でも引渡しがあるのではとの意見が出ている。

日米犯罪人引渡条約では、日本及び米国の法令により、死刑又は無期若しくは長期1年以上の拘禁刑(懲役 or 禁錮)に処すべき罪を犯したとされることが要件となっている。

日本の独禁法では、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金となっており、米国では最高10年以下の拘禁刑が適用される。

また、条約の付表では、独禁法は対象となっている。

45) 私的独占又は不公正な商取引の禁止に関する法令に違反する罪

更に、米国では最近は(上表の通り)ほとんどが1年以上の禁固となっている。
(日本では刑事告発は少なく、判決も懲役1年以上はあるが、全て執行猶予となっている。)

時効については海外逃亡で時効中断となっており、問題にはならない。

以上から、本件のような場合は、条約上は対象となる。

但し、条約第5条では、「被請求国は、自国民を引渡す義務を負わない。ただし、被請求国は、その裁量により自国民を引き渡すことができる」となっており、日本政府の判断で引渡しを行うこととなる。

米司法省は先ず、自動車部品カルテルの残りの9名について 、引渡の請求をするかも分からない。



 


出光興産と三井物産は米国に折半出資の合弁会社を設立し、Dow Chemicalからシェールガス由来のエチレンを購入し、アルファオレフィンを生産する計画を進めていたが、5月2日、この事業を断念すると発表した。三井物産も取り止める。

計画では、両社はDow Chemical と提携し、同社が米国湾岸地区にて展開しているエチレン製造供給網を活用して、競争力ある製造コストベースでのエチレンの引取権を確保し、1000億円程度を投じて年産33万トンのアルファオレフィンを製造、製品の一部をDow に販売する 。

2013年3月に3社間で原料調達と製品の一部販売に関し基本合意に達しており、2014年に最終投資判断を行い、2016年の生産開始を予定していた。


計画断念の理由はコンビナートの建設費の増加で、「シェール関連の開発が活発になり、米国で資材や人件費が上がっている」としている。

出光興産は2014年3月期決算で、これまで進めてきた機材調達、コンビナートの設計、用地整備などの費用 42億円を特別損失に計上した。

当初のFSがどうであったか不明で、建設費の当初予想との差額も明らかにされていないが、競争力あるコストベースのエチレンを使用するとしても、競争相手のエチレンのコストも下がり、販売価格も下がる筈で、米国内での販売を狙うのであれば、多額の投資での新設ではやっていけないのかも分からない。

ーーー

出光のアルファオレフィン (商品名:リニアレン)は出光独自の技術でエチレンを重合させてできる、末端に二重結合を持つ直鎖のオレフィンで、重合度合により、炭素数4~24の幅広いグレードがある。

  • 同社独自の技術 (世界最高水準の高純度製造技術により石油学会賞、触媒学会技術賞を受賞)
  • 芳香族化合物、ジオレフィン化合物などの不要物を含まない
  • 二重結合が直鎖の内部に移動した内部オレフィンが少量で、高いαオレフィン純度をもっている
  • 直鎖率が高いため、高純度・高性能の製品を製造するのに適する
ルファオレフィンの用途は、ポリエチレンなど合成樹脂の添加剤、洗剤、高機能潤滑油、製紙用薬剤など多岐にわたり、世界需要は300万トンを超え、今後も安定的な伸長が見込まれ る。

Dow Chemical はリニアアルファオレフィンの大需要家で、同社のPerformance Plastics 部門で、LLDPE(DOWLEX™)、エンハンストポリエチレン樹脂(ELITE™)、EPDM(NORDEL™)、ポリオレフィンプラストマー(AFFINITY™ )、ポリオレフィンエラストマー(ENGAGE™)などの高機能製品の生産に使用している。

ーーー

Dow Chemical も5月2日、これについて発表を行った。

本計画の取り止めに関わらず、Dow Chemical が進めているシェールガスを原料とする戦略的なエチレン計画は予定通り進めており、アルファオレフィン用に予定していたエチレンの他の用途での使用をいくつか評価している。
更に、リニアアルファオレフィンの購入については既存の供給ネットワークを利用する。

 



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