「no」と一致するもの

Bayerは2013年に創立150年を祝い、世界中でいろいろな催しを行う。

1983年8月1日、染料セールスマンのFriedrich Bayerと染色業者のJohann Friedrich Weskott がヴッパー川沿いに位置する工業都市 WuppertalのBarmen地区に新会社Friedr. Bayer et compを設立した。数年前に発明されたコールタールからの合成染料の製造販売を業とした。

同社のCEO のDr. Marijn Dekkerは11月30日、以下の通り述べた。

Barmen地区で小さいが革新的な染料工場としてスタートしたBayerは今や従業員11万人以上のグローバル企業となった。
過去150年にBayerの発明品は人々の生活の質の向上に貢献してきた。

Bayer製品は我々の生活に不可欠になった。

1899年に上市したアスピリンは今もBayerのトップ製品の一つである。
現在はこの部門はBayer HealthCareに発展した。

1892年に世界最初の殺虫剤Antinonninを上市した。
Bayer CropScienceは現在、農業科学のグローバルリーダーである。

高機能材料分野では1930年代にポリウレタンを発見、1953年にはポリカーボネートの特許を取得した。

1981年に株式会社とし、Farbenfabriken vorm. Friedr. Bayer & Co. となった。

同社はその後拡張を続け、1912年に本社を現在のLeverkusen に移した。

ドイツは第一次世界大戦で敗戦、この結果、米国の資産と特許、商標は1917年に没収され、競売に付された。

Sterling Drug がBayer商標やアスピリン事業などを買収した。
1988年にEastman Kodak がSterling Drug を買収した。
1994年になって、ようやくBayerがKodakからSmithKline Beecham 経由でSterling Drug を買収し、米国でBayerの社名を使い、Bayer Aspirinを販売できるようになった。

2012/1/31 Kodak と Bayer

第一次大戦で世界市場を失ったドイツの染料業界は統合を決め、1925年12月に下記の各社が合併し、IG Farbenが設立された。

Bayer 27.4%
BASF 27.4%
Hoechst 27.4%
Cassella
Kalle
Agfa 9.0%
Griesheim-Elektron 6.9%
Weiler Ter Meer 1.9 %

IG Farbenは1951年に連合国軍により解散させられ、Bayerは1952年にFarbenfabriken Bayer AGとして再出発した。

Bayerは1988年の創立125周年後にコア事業への集約を開始し、1999年に子会社Agfaを売却、2004年7月にBayer Chemicalsの大半とBayer Polymersの一部を新会社 Lanxess として分離し、2005年に上場した。

2006/9/6 Bayer と Lanxess

他方、農薬部門では2001年に Aventis CropScience を、医薬部門では2006年にドイツのSchering AGを買収し、拡大している。

2006/6/12 2つの買収劇 の2



 

米エネルギー省は12月5日、LNGに関する2つの報告書を発表した。

1つは同省によるAnnual Energy Outlook 2013 の速報版で、2040年までのエネルギーの予測である。
 
http://www.eia.gov/forecasts/aeo/er/pdf/0383er%282013%29.pdf

もう1つは、NERA Economic Consultingに委託したLNG輸出の影響に関する調査結果報告書である。
  
Macroeconomic Impacts of LNG Exports from the United States

1)Annual Energy Outlook 2013

   参考 
2012/1/26 米エネルギー省、米国のエネルギー見通しを発表

 概要は以下の通り。

 ・原油生産、特にTight Oil からの生産は急増する。

 ・自動車用ガソリン需要は、厳しい燃費基準、天然ガス使用により減少

 ・天然ガスはシェールガスの増で生産が国内需要を上回り、輸出を促進する。

2011~2035年の天然ガス生産は、シェールガス増産により前年の想定より8%高い。
2016年にはLNGのネット輸出国になる。
LNG輸出は2016年に日量60億立方フィートからスタート、2027年には45億立方フィートとなる。
カナダ、メキシコからのパイプラインによる輸入は前回予想より減り、2021年にはパイプラインによるネット輸出国になる。

 ・シェールガス増産とそれに伴う天然ガスの価格低下で米国の工業生産は拡大する。
   バルクケミカルでは2011~2025年で年率1.7%増、一次金属では2.8%増

  
再生可能燃料の使用は化石燃料使用よりも伸びが大きい。

 2)NERA レポート 

 ・ LNG輸出の米国経済への影響を、輸出の量、グローバルな市場状況、天然ガスコスト等々、いろいろな前提で検討した。
 ・ 全てのシナリオで、LNG輸出は輸出をしない場合と比べ、ネットで経済的メリットがある。
輸出により国内の天然ガス価格が上がっても、輸出メリットは国内の損失を上回る。
 ・ 米国がシェールガスを大量に安価に生産でき、世界の需要が急速に伸び、他の地域の供給に限度がある場合、米国の利益は最大になる。
 ・ 米国の生産が十分でなく、コストが高い場合や、他の地域から充分な供給がある場合は、輸出しないだけであり、国内に影響しない。
 ・ LNGを輸出すると国内天然ガス価格は上がるが、輸出価格の上昇には限度がある。


ーーー

米国は現在、LNG輸出を自由貿易協定(FTA)締結国向けに限定しており、Freeport LNGは日本などFTA未締結国向け輸出許可を申請中。

但し、米国の日本向け輸出許可の取得は簡単ではない。

DowのAndrew Liveris CEOは、貴重な資源をそのまま輸出するのではなく、加工して付加価値をつけて輸出すべきと主張している。

また、米国にとっては戦略資源であり、中国に輸出する考えはなく、中国への輸出を避けるためにはFTA締結国に限定するというのは良い案ということになる。

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

米エネルギー省の報告はLNG輸出を後押しするものにはなるが、天然ガスは米国にとって戦略製品であり、政治がからむため、簡単ではない。

ーーー

日本・韓国・台湾等の極東地域ではLNG価格は輸入原油価格にリンクするフォーミュラで形成される。

関西電力は11月19日、BPシンガポールとの間で天然ガス価格を指標価格とするLNG購入契約基本合意書を締結したと発表した。大阪ガスと中部電力が7月31日に米国のFreeport LNG Development との間で、天然ガス液化加工契約に関する契約を締結したのに続く。

関電の契約では、液化や輸送のコストを加えても12ドル前後で済むとみられ、現在の原油価格ベースの約17ドルと比べ、大幅な値下がりとなる。     

2012/11/21 関西電力、BPシンガポールとLNG購入契約に関する基本合意書 


 


 

EUは12月5日、テレビやコンピューターモニター用のブラウン管CRTについて、1996年から2006年までの10年にわたり価格カルテルを結んだとして、パナソニックや東芝を含む6社に対し、過去最高となる総額14億7000万ユーロの制裁金を科した。

 

減免率

制裁金(千ユーロ)

TV用 モニター用 合計
台湾・中華映管(Chunghwa 100% 0
(8,385)
0
(8,594)
0
(16,979)
Samsung SDI 40% 81,424 69,418 150,842
Philips 30% 240,171 73,185 313,356
LG Electronics 0% 179,061 116,536 295,597
Philips/LG Electronics 30%
(Philips分)
322,892 69,048 391,940
フランス Technicolor 10% 38,631 - 38,631
パナソニック 0% 157,478 - 157,478
東芝 0% 28,048 - 28,048
パナソニック/東芝/松下東芝映像ディスプレイ 0% 86,738 - 86,738
パナソニック/MT映像ディスプレイ 0% 7,885 - 7,885
合計   1,142,328 328,187 1,470,515

注1.中華映管の(制裁金)は減免がない場合のもの

注2.PhilipsLG Electronicsは2001年に両社のブラウン管事業を分離し、LG. Philips Displaysを設立、
     2007年にLP Displaysに改称。

注3. 松下電器産業と東芝はブラウン管事業を統合、2003年4月に松下東芝映像ディスプレイを設立、
    2006年にドイツとアメリカの子会社での生産を停止し、
清算
    2007年に松下が東芝持株(35.5%)を買い取り、完全子会社化し、MT映像ディスプレイに改称。

東芝は、欧州競争法に違反する行為を行っていないとし、今後裁判で争う方針としている。
 パナソニックは、事実認定や法令適用に疑義あり、提訴も視野に検討するとしている。

EU発表によると、これら2つのカルテルは最も組織的なカルテルで、過去10年にわたり、価格操作、市場分割、顧客割当、能力や生産量の調整、秘密情報の交換など、最も悪質であらゆる種類の反競争的行為を行った。
また、工場訪問で能力規制を守っているかどうかをチェックするなどもしていた。

ゴルフの後で行うために "green meetings"と呼ばれるトップレベルの会合を開き、方向付けを行っていた。
詳細については下部組織が "glass meetings"で決めていた。

法律に違反していることを認識し、没収された資料には、「秘密厳守、需要家やEUにばれると重大な被害を生じる」と記載されていた。「読後破棄」と書かれた書類もあった。

現在ではブラウン管は液晶パネルに切り替わっている。
中国国有のテレビ用ブラウン管大手、彩虹顕示器件(陝西省)は中国の大手企業で唯一、ブラウン管製造を続けていたが、同社も10月にブラウン管生産から撤退した。

制裁金合計1,470,5百万ユーロは過去最高。

過去の制裁金 順位 
対象分野 制裁金
(百万ユーロ)
 
自動車用板ガラス  1,383,9 2008/11/15 欧州委員会、自動車用板ガラスで制裁金
エレベーター   992 2007/2/28 EU、エレベーターのカルテルで過去最高の罰金
ビタミン   790.5 2001年 (当初は855.2百万ユーロ、2社減額)
 Hoffman-La Roche (462百万ユーロ)、 BASF(296.16→236.8)、 Aventis(5.04)、
 Solvay Pharmaceuticals(9.1)、Merck(9.24)、
 武田薬品工業(37.05)、エーザイ(13.23)、第一工業製薬(23.4→18)
送電設備   751 2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金
パラフィンワックス    676 2008/10/6 EU、パラフィンワックスのカルテルで制裁金

なお、カルテル以外では、EUは2009年5月13日、米Intelが、CPU市場での独占的な地位を悪用し欧州独占禁止法に違反したとして、1,060百ユーロの制裁金支払いを命じている。
1社に対する制裁金としては、Microsoftに対する
899百万ユーロ(後にEU裁判所が860百万ユーロに減額)を上回る過去最高金額となった。



 

ユーロ圏17か国は12月3日の財務相会合で、スペインの銀行を支援するため、同国政府に対し 395億ユーロの支援を実施することを決めた。欧州委員会が11月28日にスペインの銀行再編計画を承認したのを受けたもの。

ユーロ圏は6月にスペインの銀行支援として最大1000億ユーロの支援を行うことを決め、支援条件として、スペインに中央銀行改革、金融監督の強化を指示した。

今回はその第一弾で、スペイン政府は支援資金を活用し、国内の銀行に公的資金を注入する。
他のスペインの銀行については、12月20日に決定するという。

今回の支援対象となる銀行は、既にスペインの銀行再編基金 FROB (Fund for Orderly Bank Restructuring) の管理下に入っている4銀行。

Bankia   181億ユーロ
Catalunya Banc   90億ユーロ
Novagalicia Banco   54億ユーロ
Banco de Valencia   45億ユーロ
(小計)   370億ユーロ
Sareb   25億ユーロ
(合計)   395億ユーロ

Sarebは金融機関から不良資産を買い取る「バッドバンク」

4行のうち規模が最も小さいBanco de Valenciaは売却され、スペイン3位のBank La Caixa と統合される。
他の3行は今後5年間でバランスシートを6割以上圧縮する必要がある。

これらの銀行の債券保有者も損失を負担することになるという。

4行のなかで規模が最も大きいBankiaは、全従業員の約4分の1に相当する6,000人を超える人員削減を行い、支店数を約39%削減し、2013年までに収支を黒字化させる。

ーーー

ユーロ圏は6月にスペインの銀行支援として最大1000億ユーロの支援を行うことを決めたが、銀行への直接注入は「銀行監督機能の一元化」の達成が条件 となった。

欧州首脳会議は6月の会合で銀行監督一元化の導入を決め、10月の首脳会議で、ユーロ圏の銀行を一括して欧州中央銀行(ECB)が監督する銀行監督一元化を2013年から段階的に導入することで合意した。

EU財務相理事会は12月4日、ECBによる銀行監督一元化を柱とする銀行同盟構想について協議したが、合意は得られなかった。

ECBの権限をめぐり仏独が激しく対立している。

ドイツは銀行監督の最終権限をECB理事会に委ねるべきではないとし、大半の銀行を各国当局の監督下に置かなければ、合意は得られないと主張した。
「銀行監督と金融政策との間にチャイニーズウォールが絶対的に必要」とし、ECBが銀行監督を兼務することに懐疑的な見方を示した。

これに対しフランスは、ECBを銀行監督の中心に据えるべきと反論した。

ユーロ圏外のスウェーデンは、フィンランドに大半の銀行が存在しており、ECBが自国の銀行資産を監督することになれば、ECB内で相応の発言権を得なければならないと懸念を示している。

今後ユーロ導入を目指すポーランドやハンガリーといった国も、ECBが銀行に対するより強力な権限を持つことで不利益とならないよう保証を得ようとしている。

当面はスペイン政府を通じて融資することとなる。




BPとロシアのRosneftは11月22日、BPのTNK-BPの持分(50%)をRosneftに売却する契約を締結した。
2013年上期に手続き完了の予定。

BPはJVの50%を譲渡し、現金171億ドルとRosneftの株式 12.84% を取得する。
BPは同時に、ロシア政府からRosneft株式 5.66%を48億ドルで買収する。(BPはネットで123億ドルを受け取ることとなる。)
BPは既にRosneft株式 1.25%を保有しており、この取引で合計19.75%を保有することとなり、Rosneftの取締役会に2人の取締役を出す。

Rosneft とAAR consortium (Alfa Group、Access Industries、Renova) との残り50%についての交渉も進展しており、12月にも契約締結の見込み。

2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収

TNK-BPの買収が成立すると、Rosneftは上場石油企業としては、石油・ガスの埋蔵量及び生産量でExxonMobleを抜き世界一となる。

      付記

Rosneft は12月12日、AARとの間でTNK-BPの50%持分を買収する契約を締結した。

ーーー

BPは2011年114日、ロシアのRosneftとの間でグローバルな戦略的提携で合意したと発表した。

2011/1/17 BP、ロシアのRosneft と戦略的提携 

しかし、TNK-BPの50%を持つAARを構成する4人の新興財閥が、BPRosneftとの取引がTNK-BPを除外しているのは、BPTNK-BPの株主協定に違反するとしてロンドンの高等法院(High Court)に訴えた。

裁判所は調停での問題解決を命じ、調停委員会は201151日、下記の決定を下した。

  ・TNK-BPRosneft の同意を前提に、北極海開発に参加する。
  ・これを条件に、
BPRosneftの株交換を認める。
    但し、株交換は投資目的に限られ、議決権は独立の受託者に供託、双方は役員を派遣しない。

これに対しRosneft TNK-BPの北極大陸棚での事業参加には難色を示したため、AARが保有するTNK-BP株のBPRosneft による買い取りを軸に和解交渉が進められたが、結局、時間切れでBPRosneftの契約は白紙となった。

2011/5/18 BPRosneft との提携、白紙に

RosneftはBPに代わる提携先を探していたが、2011年8月30日にRosneftとExxonMobilは両社が北極海と黒海の開発、技術協力、米国その他での共同事業の実施で合意したと発表した。

2011/9/1  Rosneft、石油開発でExxonMobil と提携

BPは今回の取引でRosneftの19.75%を保有することになり、念願の北極大陸棚などロシア資源開発への参入の道が通じた。

ーーー

Rosneft株主向けプレゼンテーション(2012/10/23)によると、合併後の姿は以下の通り。 

石油・ガス生産量 
埋蔵量
 

TNK-BPはベネズエラ、ブラジル、ベトナムにも権益を持っている。









東京ディズニーランドは、ミッキーマウスなどのキャラクターをかたどったヘリウム風船の販売を中止した。
運営するオリエンタルランドが11月27日、ヘリウムガスの安定確保が困難になったために前週から風船販売を中止したことを明らかにした。

半導体の製造工程などに必要なヘリウムガスが世界的に不足しており、国内ガス各社が対応を急いでいる。100%を輸入する国内では価格も上がっている。

大陽日酸は来年から米国での合弁生産に踏み切り、岩谷産業は輸入元を中東カタールに広げる。

ヘリウムは不活性で熱伝導率が高く、あらゆるガスの中で最も沸点が低い極低温の性質を持ち、医療やハイテク産業では欠かせない希少なガスである。

                                岩谷産業の資料「ヘリウム産業」から

2009年の世界の需要は169百万m3で、内訳は以下の通り。
 
アメリカ   74百万m3   44%
欧州   35百万m3   21%
加・中南米   14百万m3   8%
環太平洋地域   38百万m3   24%
その他   5百万m3   3%
 

ヘリウムは、製造業の成長が目覚ましい中国を始めとするアジア地域で需要増大の一途をたどっており、2000~2007年で約2倍になった。
中国を始めとした新興国で医療用MRIの需要が増加しており、中国のMRI
台数は現在、2000台(日本は4000台)で、今後も増加すると見られている。

ヘリウムは工業的に生産出来ず、特定の天然ガス田のみで産出される。

現状の生産量は以下の通りで、約170百万m3だが、後記の通り、既存ソースは減る方向にある。

生産の大半は米国カンザス・テキサス・ワイオミング・オクラホマ州等中西部に頼っている。

米国政府は「ヘリウム条例1960修正条項」により、カンザス州の民間所有ガス精製工場から天然ガス中のヘリウム回収を始め、これをテキサス州アマリロ近郊のクリフサイドにある国家備蓄基地へ集約、ここで純度向上と貯蔵を行った。

1995年段階で、ヘリウム備蓄量は10億m3に達し、翌年に議会は貯蔵増の停止と 、2005年までに備蓄ヘリウムをすべて販売することを命じた。ただし、備蓄分の売り切りは2015年と予想される。

カンザス州・テキサス州の主力ガス田が枯渇し減産体制に入ったが、最大ガス田であるワイオミング州の稼動は安定している。

アルジェリアでは 1994 年にArzew、2007 年にSkikdaでヘリウム生産を開始した 。
スペインとの天然ガス供給パイプラインの完成により天然ガスの液化が行われなくなったため、大幅な減産体制となっている。

カタールでは2005年にRas LaffanのLNG プラントにヘリウム回収設備が加わり生産を開始した。
2013年には岩谷産業が20%の引取権を持つ第二期がスタートする。

その他、ロシアのOrenburg、ポーランドのOdolanówで 小規模生産が行われている。

2010年3月に豪州のダーウィンで、420万m3/年の生産が始まっ た。

ーーー

これまで、アメリカの供給停止で2度にわたり供給逼迫があり、産業界に激震が走った。

・2002年に米西海岸の湾岸スト(岩谷は空輸で緊急輸入した)

・2007年に米国はじめ各国の生産プラントでトラブルが発生

今回のヘリウム不足は米国のヘリウムプラントの不調が原因。

・米国土地管理局の粗ヘリウム貯蔵庫からヘリウム精製プラントに延びているパイプラインのトラブルで生産量が20%減。

・エクソンモービル社の持つ世界最大のヘリウムプラントが昨秋の定期修理が長引き、現在もフル稼働になっていない。

・このほか、上記のアルジェリアのヘリウムプラントの減産などが重なる。

世界のヘリウム供給力がヘリウムの需要増に追い付いていない状況は当面の間解消されず、2013年5月に予定されているカタールのヘリウム新プラント稼働まではこのような不安定な状況は続くと予想される。

ーーー

日本のガス会社は対策を急いでいる。

1)大陽日酸

大陽日酸の米子会社Matheson Tri-Gasは2010年10月、Air Products and Chemicalsとの合弁で米ワイオミングでヘリウム生産設備の建設に着手した。

生産能力は600万m3で、大陽日酸の引取枠は1/2の300万m3で、2012年末に稼働する。
2014年には生産量を倍増する。

大陽日酸は2006年に英国のBOCから米国、ロシア、ポーランドのヘリウム引き取り権と関連する事業資産を買収している。
 
工業ガスで世界第5位の独リンデが同第2位のBOCグループを買収する計画に伴い、独占禁止法上の問題で欧米の行政当局から譲渡事業に指定された。

2)岩谷産業

岩谷産業は2010年5月、「カタールヘリウム2プロジェクト」への入札に参加し、日本企業として初めてヘリウムを直接輸入する権益を取得した。

世界最大の能力を有するカタールのLNG生産工程の随伴ガスからラスラファン工業地区で液化ヘリウム生産を行うもので 、能力は約4,000万m3
岩谷は20%の800万m3の引取権を持ち、2013年初頭の生産開始時より輸入を開始する。契約期間は2032年まで。


 



BPは11月28日、北海の石油・ガス田の一部の権利をアブダビのTAQA に売却する契約を締結したと発表した。
売却額は1,058百万ドル+アルファで、追加分は石油価格と生産量により変わるが、250百万ドルを上回ると期待している。

1,058百万ドルのうち、632百万ドルを手付金として既に受領している。
追加分は3年にわたり受け取る予定。

売却資産は以下の通り。

石油・ガス田 BP その他
Brae South, Central, North and West 27.70% Marathon(Operator)
East 33.21%
Braemar  52.00%
Maclure     37.04%(Operator)  
Harding 70.00%(Operator)  
Devenick 88.70%(Operator)  

売却先のTAQAはAbu Dhabi 政府のAbu Dhabi Water and Electricity Authority (ADWEA)が51%を所有し、上場している。
事業はOil & Gas とPower & Waterで、Oil & Gasでは北米、英国、オランダで石油・天然ガスの開発・生産を行っている。

ーーー

BPのCEOのBob Dudleyは、これは長期的に成長の可能性のある高価値の少数資産に集約するというBPの戦略に沿ったものとしている。

BPは北海(英国&ノルウェー)の主たる投資家で、生産量は石油換算で日量20万バレル、確認埋蔵量では30億バレルに達する。

今後5年間で100億ドルを投じる計画で、英国領で3件、ノルウェー領で2件の大きなプロジェクトが実施されている。

一方で、北海での小規模資産の売却を進めており(三井物産向けを含む、下記参照)今回の取引を含め、これまでの売却額は28億ドルとなった。

ーーー

BPは2010年初め以来、資産売却を続けており、今回の売却を含めると約370億ドルとなる。

目標は2010年から2013年の間に380億ドルで、目標達成は確実となった。


主な売却は以下の通り。

発表 売却資産 売却相手 売却金額
  百万ドル
2010/7 北米とエジプトの石油資産 アパッチ 7,000
2010/8 コロンビアの石油関連資産 コロンビア国営Ecopetrol、カナダTalisman 1,900
2010/9 マレーシアのエチレン、ポリエチレンJV持分 ペトロナス 363
2010/10 ベネズエラとベトナムの川上事業 TNK-BP 1,800
2010/10 メキシコ湾の4油田の権益 丸紅 650
2010/12 アルゼンチンのPan American Energy の持株 Bridas その後
Cancel
2010/12 ほとんど全てのパキスタンの権益
 同国南部のSindh provinceの9つのブロック
 アラビア海の4つの海上ブロック
United Energy Group Limited
(連合能源集団)
775
2011/3 U.S. Fuel Storage and Pipeline Assets Buckeye Partners L.P 225
2011/3 Wattenberg, Colorado natural gas processing plant Anadarko Petroleum 575.5
2011/4 ARCO Aluminum 住友軽金属等の日本企業連合 680
2011/5 北海油田 Wytch Farm Perenco UK 610
2011/9 Namibia, Botswana, Zambia, Malawi and Tanzania
の燃料販売事業
Puma Energy 296
2011/11 メキシコ湾 Pompano and Mica fields Stone Energy Offshore 204
2011/12 Canadian NGL Business Plains Midstream Canada 1,670
2012/2 Kansas ガス田、精製プラント  LINN Energy 1,200
2012/3 北海 Southern Gas Assets Perenco UK 400
2012/6 Jonah and Pinedale upstream operation(Wyoming)  LINN Energy 1,025
2012/6 北海 Alba and Britannia fields 三井物産 280
2012/8 Texas Midstream Gas Assets Eagle Rock Energy Partners 227.5
2012/8 Carson Refinery
ARCO Retail Network
Tesoro 2,500
2012/9 メキシコ湾油田 Plains Exploration and Production 5,550
2012/9 マレーシアのPTA事業 Reliance Global Holdings 230
2012/10 Texas Cityの製油所 Marathon Petroleum 2,500
今回 北海 TAQA 1,058
+250

 




米財務省は11月27日、主要貿易相手国の為替政策に関する報告書(為替政策報告書)を発表した。     

そのなかで、「入手可能な証拠は、人民元が依然大幅に過小評価されていることを示している」と指摘したものの、「為替操作国」(currency manipulator)への認定は見送った。

報告では、2010年6月から2012年11月初めまでに、人民元はドルに対し9.3%切りあがり、インフレ率を調整した実効為替相場では12.6%上昇し、貿易収支と経常収支はGDP比でピーク時の各 8.8%、10.1%から 各 2.6%に下がったとしている。

更に、2011年第3四半期以降、中国当局の市場介入が「大幅に」減少し、資本規制が緩和されたことを挙げ、 「これらの進展を鑑み、財務省は、為替操作に関する法律が定める基準を中国が満たしていないと結論付けた」と述べた。

人民元の終値は本年7月後半から上昇を続けている。
11月27日の終値は6.2223人民元の最高値をつけ、弾力化前(2010年6月18日)に対して 9.71%の上昇となった。

中央銀行は4月16日に一日の変動幅をこれまでの±0.5%から±1.0%に変更した。

終値が中間値を上回り始めた9月には中央銀行は中間値を引き下げたが、2012年10月以降、実績が変動幅の上限(1%)に張り付いてからは、中間値をほとんど下げていない。
現在、 終値は上限にほぼ張り付いている。

これは介入がないことを示している。

 

参考  2010/7/12 米財務省、中国の為替操作国認定を見送り

 

 

 

 

中国商務部は11月23日、日本と米国原産の輸入レゾルシンの反ダンピング調査でクロの仮決定を下したと発表した。

商務部は2月3日に中国のレゾルシンメーカーを代表して浙江鴻盛化工から日・米原産の輸入レゾルシンの反ダンピング調査の要請を受け、調査を行ってきたが、3月23日、反ダンピング調査の開始を決定した。

保証金は以下の通りで、非常に高率である。

 日本
  住友化学          40.5%
  三井化学          40.5%
  その他            40.5%

 米国
  INDSPEC Chemical       30.1%
  その他                 30.1%

ーーー

これまでの情報では、レゾルシンの世界需要は約6万トンで、メーカーは以下の通りとされていた。

 

能力

  原料
住友化学  30,000トン 千葉2万トン
大分1万トン(2010/4 新設)
1,3-diisopropylbenzene
(プロピレンとベンゼンが原料)
三井化学 7,600トン 岩国大竹
INDSPEC Chemical 20,000トン 下記参照 1,3-benzenedisulfonic acid
Hoechst

1992年停止
インドのAtul 1,500トン 5,000トンへの増設を計画  
ロシアの Orgsintez

2007年に停止   
その他

     若干   

インド、中国など  
合計 約6万トン    


INDSPEC :
Koppersが
Pennsylvania州のPetrolia工場で世界で最初にレゾルシンを企業化した。
1988年初めに英国のBeazer East がKoppersを買収した際、Petrolia工場と近くの研究センターがMBOで独立、INDOSPECとなるが、1999年にOccidentalが買収し、子会社にした。
(残る旧Koppers設備は1988年末にMBOで再度 Koppersになった

この場合、中国メーカーの供給能力はほんの一部のため、ダンピング課税が行われても中国の大半の需要家は課税後の高い価格で輸入を続けざるを得ず、中国需要家が被害を受けることになる。

商務部は太陽発電用の米・EU原産のポリシリコンに反ダンピング、反補助金調査を開始したが、これは米・EUの中国産の太陽電池パネルの反ダンピング、反補助金調査に対抗した政治的なものであり、通常は大部分を輸入に頼る製品にダンピング課税を行うことはない。

このため調べてみると、反ダンピング調査を要請した浙江鴻盛化工Zhejiang Hongsheng Chemical が2万トンの設備を完成させていることが分かった。既に稼働している模様。

参考 同事業の環境調査報告

同社は染料等のメーカーの浙江龙盛集团Zhejiang Longsheng Groupが75%、香港の万津集団が25%を出資する合弁会社で、浙江省上虞市Shangyu)に自社技術で建設した。


同社の技術は、ベンゼン、硫酸、硝酸からm-フェニレンジアミンをつくり、これを加水分解してレゾルシンとm-アミノフェノールを製造するもの。レゾルシンは2期に分けて建設し、合計能力は2万トンとされている 。

ーーー

なお、三井化学の岩国・大竹工場は4月22日に爆発事故を起こし、停止しているが、同社では再建を断念したとされている。

報道では、生産停止が半年以上に及び、需要家が他社からの調達に切り替える動きを加速し取引の回復が難しくなったため。市況も低迷しており、再建にかかる数十億円の投資負担は重いと判断したとされている

事故当初は供給不足が懸念され、住友化学が、千葉と大分の両工場ともフル操業状態のため「増産による対応は難しいものの、当面、在庫を切り崩して応援出荷することにした」とされた

三井化学の能力が欠けても問題が起こっていないことをみると、浙江鴻盛化工の供給開始が影響しているのかも分からない。
 



ドイツの太陽電池メーカー大手のQ.Cellsは2012年4月2日、法的整理の手続きを申請すると発表した。

太陽電池ブームを追い風に2008年に世界シェア首位に立ったが、中国メーカーなどとの価格競争が激化し、赤字体質に陥っていた。

2012/4/6 太陽電池大手 Q-Cells 破綻

Q.Cellsは8月26日、韓国のHanwha Groupから買収提案を受けたと発表した。

Q.Cells は8月29日、債権者集会で韓国のHanwha Groupへの事業売却が、参加者の過半数によって承認されたことを発表した。
従業員約1,550人のうち、1,250人を
Hanwha Groupが引き受け、また、Q-Cells の事業の大部分についてもHanwha Groupに移管される。

買収価格は、営業債務の引き受け部分(1〜5億ユーロ相当)と、キャッシュによって支払われる部分(数千万ユーロ)から成り、キャッシュ部分の金額は今後、Hanwha Groupが引き受ける追加債務の金額によって変動する。

新聞情報では、買収額は4千万ユーロで、2億74百万ユーロの負債も引き継ぐ。

2012年10月24日、買収が完了し、Hanwha Q.Cells GmbHが設立された。

Hanwha Q.Cellsは以下の資産を引き継ぐ。

・本社、研究開発拠点および管理部門(ドイツ)
・200MWのセル生産拠点、120MWモジュール生産拠点(ドイツ)
・800MWのセル生産拠点(マレーシア)
・海外拠点(米国、オーストラリア、日本)
・特許34件
・従業員1,225名

ーーー

Hanwha Groupは2020年までに世界トップの太陽電池メーカーになるとの方針を建て、2010年8月に4,300億ウォン(約341億円)を投じて太陽電池モジュール業界で世界4位の中国のSolarfun Power Holdings(江蘇林洋新能源)の株式49.9%を取得し、同社と戦略的関係を結んだ。

同社は太陽光セルとモジュールのメーカーで、ウェハー、セル、モジュールまで生産している。

2011年1月1日付でSolarfun Power はHanwha SolarOneに改称した。

Hanwha SolarOneは太陽電池生産規模を500MWから1,300MWに増やした。

Q.Cells 買収を通じ、Hanwha Groupは2.3GWの生産能力を有する世界第3位の太陽光発電メーカーとなる。

 

Hanwhaは2010年10月にはボストンの太陽光技術開発会社の1366 Technologyの株式 6.3%を500万ドルで取得した。

MITのProf. Emanuel M. Sachsが設立した会社で、インゴット過程を経ずに溶解状態のポリシリコンから直接ウェハーを生産するダイレクトウェハー技術を開発している。

2011年には太陽光発電分野の研究開発を担当するHanwha Solar Americaを米カリフォルニア州シリコンバレー設立した。
2012年4月12日にオープン記念式典を行い、本格稼働を開始した。

ハンファ・ジャパンは本年8月、丸紅が建設を計画している日本全域の太陽光発電所に、向こう4 年間で約50万キロワット分の太陽光モジュールを供給することで丸紅側と合意したと明らかにしている。




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