「no」と一致するもの

カネカは4月18日、ドイツでの酸化型コエンザイムQ10に関する特許侵害訴訟でカネカの請求を棄却する判決が出たため、4月13日に控訴したと発表した。

カネカは、酸化型コエンザイムQ10に関する同社の欧州特許(EP 1 466 983)を侵害しているとして、2010年10月に浙江醫藥(Zhejiang Medicine) と欧州のディストリビューターである欧州協和発酵を相手取り、ドイツ・デュッセルドルフ地方裁判所に販売差し止めと損害賠償を求める訴訟を提起していた。

判事は浙江醫藥の設備を視察した後、3月13日に、カネカの請求を根拠がなく、侵害の事実はないとして棄却する判決を下し、訴訟費用をカネカ負担とした。

カネカはこの判決を不服とし、4月13日に控訴した。

浙江醫藥は、最初から請求は根拠のないものと考えていたとし、世界中でカネカが行っている裁判で同じ結果が出ると信じていると述べた。

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カネカは、コエンザイムQ10に関する研究開発投資を継続的に行っており、その過程で生じた知的財産は重要な経営資源と位置付け、これを守るため各地で訴訟を行っている。

2009年に、中国の廈門金達威ビタミン(Xiamen Kingdomway Vitamin)と米国のPacific Rainbowを被告として、還元型コエンザイムQ10に関する特許の侵害に対して、米国カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所に販売差し止め及び損害賠償を求める訴訟を提起し、その結果、被告が米国での還元型コエンザイムQ10の販売を取りやめることに同意した。

酸化型コエンザイムQ10に関しては、2010年10月には、上記のドイツに加え、中国のコエンザイムQ10 メーカーと輸出業者及びフランスの輸入業者を相手取ってフランス・パリ地方裁判所に特許侵害訴訟を提起した。

さらに、2011年3月には、米国特許(U.S. Patent 7,910,340)に基づき、カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所に下記の7社を被告とする侵害訴訟を提起し、差止と損害賠償を求めた。

浙江醫藥 (Zhejiang Medicine)と同社の米国子会社 ZMC-USA
廈門金達威集團 (Xiamen Kingdomway Group)
米国 Pacific Rainbow International
三菱ガス化学
米国 Maypro Industries(
山田進社長が商社の駐在員として渡米し、独立して設立)
神舟生物科技ShenZhou Biology & Technology)

この米国訴訟の追加的措置として、カネカは2011年6月に米国国際貿易委員会(ITC)に申立を行い、上記の7社による特許侵害についての調査を行うよう求め、ITCは7月に調査を決定した。

通常、調査開始決定から約1年後に特許侵害の有無の初期決定(Initial Determination)が下され、再審査がなければ初期決定がITCの最終決定となる。
ITCは、米国関税法337条に基づき、輸入品による特許侵害や輸入品に関わる不正競争についての申立に対応する権限を持っている。

これに対し、三菱ガス化学は以下の発表を行っている。

自社の製造方法が当該特許のいかなる有効なクレームも侵害しないとの決定をITCが速やかに下すものと確信している。
同社独自の製法でコエンザイムQ10を製造し、カネカの米国特許出願の10年以上前から米国で販売している。
カネカの米国特許権を侵害していないと確信しており、積極的に反論していく。

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コエンザイムQ10は、人間の全ての細胞1つ1つに存在する補酵素で、①エネルギー産生、②抗酸化の働きがあるが、加齢とともに減少する。

体内には還元型と酸化型のコエンザイムQ10が存在するが、大部分は還元型(血中では95%以上)。

抗酸化力を発揮するのは「還元型」だけで、酸化型コエンザイムQ10は小腸ですぐ還元されて体内では還元型
コエンザイムとなる。
但し、
体内で"酸化型"を"還元型"に変換する力も、年齢とともに、衰えていく。

カネカは、世界で初めて高純度還元型コエンザイムQ10の大量生産技術を確立した。



4月22日午前2時15分ごろ、山口県和木町和木6丁目の三井化学・岩国大竹工場のレゾルシンプラントで爆発事故が発生した。
8時06分にも同プラントのタンクが爆発した。
同日17時15分に全プラント鎮圧を確認した。

爆発の3時間近く前の21日午後11時半ごろ、蒸気を供給する設備にトラブルがあり、構内の7割のプラントが緊急停止に入った。

爆発が起きたレゾルシンプラントでは、作業員が約30メートル離れた計器室で停止のために自動弁の開閉や窒素の注入などを始めるボタンを押した。その後、死亡した従業員がプラント内に入り、完全に停止させるために手動でバルブを閉める作業などに当たっていたとみられる。

同社では、「爆発は酸化過程に出る過酸化物が影響した可能性がある」が、タンク内で爆発したのか、タンク外に何かの原因で可燃性物質が漏れて爆発につながったのかなどは「調査してみないと分からない」としている。

付記

田中稔一社長は「社内の事故調査委員会の結果を踏まえて、徹底して対応する」と話した。

1984年にも同じプラントで爆発事故(静電気による発火が原因で負傷者なし)が起きていることから、警察は事態を重くみて、23日に業務上過失致死傷の疑いで工場などを捜索した。詳しい経緯を調べる。

被害は次の通り。(4月22日19時時点)

    人的被害 物的被害
死亡 負傷
構内 1名 9名(うち重症 2名) 損傷 14プラント
隣接JX 麻里布製油所   2名  
地域住民   10名 家屋損傷 267軒(主にガラス破損)
合計 1名 21名  

可燃性ガスや毒性物質などの漏出はないという。

 

付記

三井化学は6月14日、この事故の業績への影響見通しを発表した。

営業利益  30億円 生産・販売の減少及び代替品の調達による損失等
特別損益  -30億円 補償、撤去及び復旧等に係わる費用
事故に起因するプラント停止に伴う固定費及び保険収入等
税引前損益  -60億円  

 

岩国・大竹工場は小瀬川を挟んで山口、広島両県にまたがって立地している。爆発が起きたのは川の南側にある山口県内の工場。

 

 

中国地方では2011年11月に東ソー南陽事業所(周南市)で1人が死亡する爆発事故が起きたばかり。
EDCプラント不具合が生じ稼働を停止、点検中で、塩ビモノマーなどを貯蔵タンクに一時抜き出す移液作業をしていた。

総務省消防庁は4月23日、大規模なコンビナート群がある全国33道府県に対し、事業者に再発防止策を指導するよう求める通知を出した。同様の通知は、2007年12月の 三菱化学鹿島事業所で起きた火災以来。
通知では「緊急停止作業を行う際には、作業手順の確認を行い、作業に携わる者全員に周知徹底を図ること」とした。

 
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レゾルシンはタイヤ補強材(タイヤコード)の接着原料や紫外線吸収剤などに使用される。

世界需要は約6万トン。


 

メーカーは以下の通り。

 

能力

 
住友化学  30,000トン 千葉2万トン、大分1万トン(2010/4 新設)
INDSPEC Chemical 20,000トン Occidental Petroleum子会社
Petrolia, Pennsylvaniaに工場
三井化学 7,600トン 岩国大竹
その他 約2千トン インド、中国など
(ロシアメーカーは操業中止)
合計 約6万トン  


住友化学と三井化学はプロピレン、ベンゼンを原料とし、1,3-diisopropylbenzeneから製造している。
これに対し、INDSPECは1,3-benzenedisulfonic acid から製造する。

その他ではインドのAtul が能力1500トンで、5000トンへの増設を希望している。
中国に小規模メーカーが数社あると言われる。
以前にはロシアの Orgsintez が生産していたが、2007年に停止した。

 

付記

住友化学は4月24日、三井化学から要請のあったレゾルシンの応援出荷に応じる方針を明らかにした。

需給バランスは国際的にも堅調で、現在千葉と大分の両工場ともフル操業状態のため「増産による対応は難しいものの、当面、在庫を切り崩して応援出荷することにした」という。

 

 

自動車部品など機械用のベアリング(軸受け)の販売を巡り、大手メーカー4社が事前の合意に基づいて一斉に値上げする価格カルテルを結んでいた疑いが強まったとして、東京地検特捜部は4月20日、関係先を独占禁止法違反容疑で家宅捜索した。

公正取引委員会が2011年7月に犯則調査権に基づいて、日本精工、NTN、ジェイテクト、不二越の4社の強制調査を実施し、刑事告発を視野に調査を進めてきた。

ベアリングは全体の市場規模が約4500億円と大きく、4社が8割以上のシェアを占める。カルテルが及ぼす社会的影響が大きいうえ、各社の役員クラスがカルテルに関与した疑いもあるとみており、行政調査では不十分と判断した。

公取委は、4社のうち不正を最初に申告したジェイテクトについては、課徴金減免制度を適用し、刑事告発を見送るとみられる。

ジェイテクトは、2005年5月に光洋精工と豊田工機が合併して出来た会社。
NTNは旧称 東洋ベアリング。

特捜部も刑事立件の可否を判断するため、任意での事情聴取を進めていた。

付記

公取委は6月14日、日本精工、NTN、不二越の3社と各社の担当役員ら7人を東京地検に告発、地検は3社を起訴し、担当役員ら7人を在宅起訴した。

ジェイテクトは自主申告したため告発対象から外れた。

 

1973年に、日本精工、光洋精工(現 ジェイテクト)、不二越と、エヌ・テー・エヌ東洋ベアリング(現 NTN)の販売会社「東洋ベアリング販売」の4社が「エー・エム会」と名付けたカルテルの会合を開いていたと認定され、公取委から排除命令を受けている。

原材料の鋼材価格が高騰した2004年ごろ、価格調整を目的としたカルテル組織を復活させた。


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独占禁止法違反被疑事件に関する調査には,行政調査と犯則調査がある。

行政調査は、独占禁止法に違反する事実があると判断した場合に行政処分を行うことを前提として行われる調査で、相手方が調査に応じない場合には刑罰が科せられる間接強制の方法により、営業所などへの立入検査を実施して関係書類の提出を命じ、また、関係者に出頭を命じて事情聴取するなどの調査を行うことができる。(独占禁止法第47条

犯則調査は、公取委が刑事告発に相当する事案であると判断した犯則事件を調査するために行われる調査であり、関係者からの事情聴取、所持品の検査等の調査を行うことができる。
また、裁判官の発する許可状を得て、直接強制(相手方が調査等を拒む場合に、抵抗を排除して実力行使すること)の方法により、臨検(事件調査のため必要な場所に立ち入り、検査を行うこと)、捜索を行い、必要な物件を差し押えることができる。(独占禁止法第102条
調査の結果、刑事告発が相当と認められたときは、検事総長に告発を行う。 

公取委は下記の案件については積極的に告発する方針で、これらに該当すると疑うに足る相当の理由のある場合は、犯則調査の対象とする。

一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為で、国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案
違反を反復して行う、排除措置に従わないなど、行政処分によっては独占禁止法の目的が達成できないと考えられる事案

 

犯則調査の流れは下記の通り。


カルテルでの刑事告発のケースは少ない。
今回
公取委が告発に踏み切れば、2008年11月の亜鉛メッキ鋼板カルテル事件以来、約3年半ぶりとなる。

1974 -  石油ヤミカルテル事件
    過去に行政指導で生産調整が行なわれてきた経緯もあり、
最終的に生産調整カルテルは無罪、価格協定カルテルも一審では有罪だが、最高裁で一部が無罪となった。
     
(この間、17年間 刑事告発なし)
     
1991   ラップフィルム(ストレッチフィルム)の価格カルテル
      罰金600万~800万円、懲役6月~1年(執行猶予2年)
1999   ダクタイル鋳鉄管 シェアカルテル
      罰金3000万~1億3000万円、懲役6月~10月(執行猶予2年)
     (以上2件の概要は、2007/7/16 塩ビ管カルテル調査
     
2000   ポリプロカルテル 告発断念 
     公取委は刑事告発しようとしたが、検察が告発を受けないことを決めた。*(村山治「市場検察」)
     
2008   公取委、塩ビ管のカルテル疑惑 刑事告発を断念
    塩化ビニル管及び同継手で排除措置命令及び課徴金納付命令
     
2008   溶融亜鉛めっき鋼板カルテルに排除措置及び課徴金納付命令
    亜鉛メッキ鋼板の価格カルテルで刑事告発 
      2009/5 日新製鋼淀川製鋼所、罰金1億8000万円、日鉄住金鋼板に1億6000万円
   
      個人6被告について、1年~10月の懲役(執行猶予3年)
     
同書によると、当時の笠間治雄特捜部長は、談合について、従来 必要悪として黙認してきた商慣行であり、それを経済の外側にいる検察が悪と認定し、血刀を振るうことには抵抗があったという。
業績の上がらない業界の価格協定を摘発すること自体に違和感を持ち、暴利を貧ろうというのでなければ処罰価値がないと考えた。そして、価格協定とされるものが「拘束性」が証明されていないと受け止めていた。
公取委は、協定し、その実効性があったからこそPPが値上がりしたとの主張だったが、ポリエチレンも同様の値上がりをしていた。「それをどう説明するのか。協定と値上がりとの因果関係を証明できなければ、協定に拘束力があった証明にならない」とした。

 

なお、改正独禁法による課徴金減免制度で、刑事罰について刑事訴追を免ずる規定はない。

公取委は2005年10月の方針で、調査開始日前に最初に課徴金の免除に係る報告及び資料の提出を行った事業者(及び調査に協力した個人)については告発を行わないこととするとした。

2005年独禁法改正法の国会審議では、法務省刑事局長が質問に対し、「公取委に対しては専属告発制度が認められていることの趣旨を踏まえると、公取委が刑事告発しなかったという事実を検察官は十分考慮することになるので、課徴金減免制度は十分機能することになると思われる」旨の答弁を行っている。

なお、亜鉛めっき鋼板カルテル事件でJFE鋼板が刑事告発されなかったが、他社の弁護側が、カルテルに深く関与していた同社が刑事責任を追及されなかったことを強調して、刑の軽減を求めたのに対し、判決は「(JFE鋼板の告発免除は)課徴金減免制度を有効に機能させるための措置で、考慮する必要はない」と退けた

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、4月20日午後に共同声明を採択して閉幕した。

焦点だったIMFの融資能力の強化については4300億ドル超の調達にメドを付けた。

本日我々は、IMFCとともに、危機の予防と解決のためにIMFの資金基盤を拡大するとの合意に達した。これは、多数の国々を含む、幅広い国際協調のための努力の成果である。2010年改革における増資に加えて、IMFの利用可能資金を増加させるという確実なコミットメントは4300億ドルを上回っている。この資金はIMFの全ての加盟国に利用可能であり、いかなる特定の地域にも限定されるものではない。

IMFのChristine Lagarde専務理事は、メンバー各国がIMFの資金を4300億ドル以上拡大し、融資能力をほぼ倍増することを約束したことを歓迎、拠出を約束した各国に感謝を表すとともに、拠出の意向を示した各国に感謝するとし、特に、中国、ロシア、ブラジル、インド、インドネシア、マレーシア、タイの名前を挙げた。

米国はIMF強化の方針自体には賛同したものの、共和党の賛同を得られないため、資金拠出は見送った。
カナダも
「現時点では」その用意はないとしている。

現在の拠出の内訳は以下の通り。

  億米ドル 現地通貨建て  
ユーロ圏 2,000 1500億ユーロ  
英国 150    
スウェーデン 100   今後、+47の増額用意
ポーランド 80 62.7億ユーロ  
デンマーク国立銀行 70  53億ユーロ  
チェコ 20 15億ユーロ  
(EU合計) (2,420)    
日本 600    
韓国 150    
サウジアラビア 150    
スイス 100    
ノルウェー 93 60億SDR  
オーストラリア 70    
シンガポール 40    
米国 0    
カナダ 0    
その他 (677)   中国、ロシア、ブラジル、
インド、インドネシア、
マレーシア、タイ、その他
合計

4,300
 以上

   

ラジルのマンテガ財務相は4月19日、「一部の国はIMF改革にあまり熱心ではない。出資割り当て問題の進展よりも資金集めの方に熱心だ」と述べ、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は具体的な拠出額提示の用意はないと述べた。
これら諸国は
、IMFの政策決定への投票権拡大が伴うべきと主張している。

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欧州の金融危機への対応で、2011年11月のG20首脳会合では、IMFが十分な資金を持つ必要で一致した。
IMFは欧州への支援を念頭に最大5000億ドルの財源調達を目指した。(うちEUが2600億ドル規模を拠出)

しかし、国際的な支援増強の前に「欧州の自助努力が必要」との条件が出され、EUの対応待ちとなった。

2012/3/7 欧州金融危機への今後の対応

EU27カ国は3月30日、コペンハーゲンでユーロ圏財務相会合を開き、債務危機に対応するための安全網全体の規模(2013年7月以降)を現在の案の5,000億ユーロから8,000億ユーロ(約88兆円)に拡大することで合意した。

  2012年7月ESM発足以降
当初案 目標 決定
欧州基金 ESM   5000億ユーロ 統合、上限撤廃
    7500億ユーロ
     (約1兆ドル)
8000億ユーロ
 ESM 5000億
 ギリシャ一次支援 529億
 EFSF 1917億
 EFSM 485億
EFSFの残 打ち切り 
    (2500億ユーロ)
IMF資金枠 現行   約 4000億ドル     +5000億ドル
 (うちEU 2600億ドル)
ユーロ圏EU 1500億ユーロ
      (2000億ドル)
合計       1兆9000億ドル  


2012/4/2 ユーロ圏、金融安全網 8,000億ユーロに拡大で合意

IMFは当初5000億ドルの増強を考えていた。

しかし、米国が「欧州は債務問題対応であらゆる必要な措置をとるべきだ」として追加供与する積りはないとするなど消極的な動きがあることから、「昨年想定していた世界経済へのリスクが現実のものにならなかった」ことを理由に、追加的に必要な資金の見通しを 4000億ドル超に引き下げていた。

日本は4月17日、IMFに600億ドルを拠出する考えを正式に発表した。
スウェーデンは、100億ドルを即時拠出し、後に147億ドルに増額する用意があると表明。デンマークも70億ドルの拠出を発表した。

IMFのLagarde専務理事は声明で「こららの諸国は、今週末の春季会合までに決定的な前進ができる基盤を作った」と歓迎の意を示した。

安住財務相は4月20日記者会見し、IMFの資金基盤強化で合意したことについて「日本は大きな貢献を果たせた」と述べ、ユーロ圏以外で口火を切って日本が600億ドルの拠出を表明したことで「予想以上の成果を挙げることができた」と自賛した。

ーーー

日本はこの600億ドル拠出に2012年3月末に1兆2887億ドルに達した外貨準備高を利用する。

Lehmanショック直後の2009年にIMFに外貨準備から1000億ドルを拠出したが、500億ドルが年内にも返済される見込み 。
これに外貨準備から100億ドルを上積みする。

2009年2月に日本政府がIMFに最大1000億ドルを拠出する取り決めに正式に署名した。
2008年11月のG20金融サミットで、当時の麻生首相が表明したもの。

加盟国支援が必要になった場合、要請を受けた日本が外貨準備からIMF貸し付ける形で拠出するもので、加盟国による資金提供としては過去最大、ストロスカーン専務理事は「人類の歴史上、最大の貢献だ」と謝意を表明 した。

外貨準備高は、円高を阻止するための為替介入の結果の外貨資産(米国債など)。
政府は国債の一種である政府短期証券を発行し金融市場から円資金を借りて外国為替市場でドルを買う。

このため、外貨資産に対応して、政府短期証券のかたちの円建て債務が生じている。
(2011年12月末の政府短期証券残高は、
123兆7889億円となっている。 円高で多額の為替差損が出ている。

2002年に政府は円売り・ドル買い介入を行い、その結果、2002年10月末残高4607億ドルが、2003年度末(2004年3月末)に8266億ドルに激増した。

2011年10月-11月の介入で残高は増加している。

 


バイエル が同社の経口避妊薬YasminやYazが血栓を起こしたとの500件の訴訟の解決のため少なくとも110百万ドルを支払うことが明らかになった。匿名のバイエル関係者が明らかにした。一人当たり220千ドルを支払う。

イリノイ州の連邦裁判所判事が1月9日に、経口避妊薬の健康リスクについて女性をミスリードしたとする裁判を、調停により解決するため、延期していた。

2009年以来、バイエルは避妊薬が時に致命的な血栓を起こすとする訴えを多数受けている。
原告側はバイエルは血栓のリスクが高いことを知りながら、他の製品より安全として販売してきたと主張している。

原告側弁護士は2004年から2008年の間に少なくとも50件の死亡が避妊薬に関係しているとのFDAの報告を引用した。

連邦裁判所に出された訴訟はイリノイ州連邦裁判所に統合された。

裁判官はバイエルの要請を受け、George Washington Universityの法学部教授に調停を要請した。

バイエルは米国での裁判の判決よりも和解を選んだ。

約11千件の訴訟が行われており、最初の解決となる。

ーーー

2011年4月に、第4世代のプロゲステロンであるDrospirenone配合のYasminやYazについて、従来のプロゲステロンと比べ、静脈血栓塞栓症のリスクが高いとする論文がBMJ 誌のオンライン版に掲載された。

FDAは2011年5月31日に注意勧告した。
FDAは835千人以上のデータをチェックし、他の避妊薬と比べて血栓の可能性が74%以上高いとしている。

本年4月10日にFDAはバイエルや他の避妊薬メーカーに対し、ラベルで血栓についての警告を強調するよう指示した。

バイエルの避妊薬の2010年売上高は1580億ドル。
 

 

三菱商事と三井物産は4月17日、それぞれが米国のSempra Energyの子会社であるCameron LNGとの間で、米国産天然ガスの液化を委託する交渉を行っていることを明らかにした。

Cameron LNGはルイジアナ州HackberryのLNG輸入基地の輸出基地への転用工事を2013年後半より開始し、総工費60億ドルで1系列年間400万トン能力の液化設備3系列(合計能力 1,200万トン)を建設し、2016年末より生産・輸出する計画を検討している。

現在、Cameron LNGは、自由貿易協定(FTA)締結国向けのLNG輸出許可を米国エネルギー省から取得しているが、日本を含むFTA未締結国向けの輸出許可は2011年12月に申請され、現在、承認待ちの状態となっている。

先行しているのはCheniere Energy が海外からのLNG受入基地に天然ガスのLNG化設備を建設してLNGを輸出する計画で、2010年9月に米国がFTAを締結している国(将来締結した国も含む)に限定して輸出許可が出された。

これに対し、同社は、多国間での自由貿易協定を目指すWTO加盟国へのガス輸出を禁止することが正当かどうかの判断を政府に求め、エネルギー省は2011年5月、同社に条件付きですべての貿易相手国への輸出を認めた。

Cheniereは2012年1月に建設着工、早くて2015年に稼働開始の予定で、既に売買契約を締結済である。

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米国ではシェールガスの生産増で天然ガス価格は暴落している。(4月には100万BTU当たり2ドルを割った)

しかし、天然ガスの輸出には反対も多く、特にFTA未締結の日本への輸出は簡単ではない。

米政府は「LNG輸出の国内ガス需給への影響」に係る調査実施を2012年第1四半期に完了させる予定。
米市場への適切なエネルギー供給を維持するために、LNG輸出に対しては何らかの条件が加えられる可能性がある。
 中国への輸出を避けるため、FTA未締結国への輸出を制限する可能性がある。

米国のエネルギー多消費型の産業界(発電業界、化学、アルミ、米国ガス協会等)から米国のLNG輸出に対する懸念が頻繁に提起されている。輸出により国内ガス価格が上昇するのを懸念し、一定の制限を設けるべきとの主張を展開している。

 

DowのAndrew Liveris CEOは「天然ガスを輸出する代わりに、液体形態ではなく、これを加工した固体形態で輸出するべきだ」と述べ、シェールガスからのLNGの輸出を制限するよう求めている。

付記

野田首相は4月30日のオバマ米大統領との首脳会談で、LNGの対日輸出拡大などエネルギー面での協力を求めた。

オバマ大統領は首相の輸出要請に対し、「日本のエネルギー安全保障は米国にとっても重要」と理解を示す一方、「(対日輸出は)政策決定プロセスにある」として、明言は避けた。日本政府内には「少なくとも11月の大統領選までは、オバマ大統領が輸出認可に動く可能性は低い」との見方が強い。

ーーー

三菱商事は、原料となる天然ガスを市場から調達のうえ、Cameron LNGに年間約400万トンの天然ガスの液化作業を委託して、生産されたLNGを需要家に販売する。

原料ガスについては、同社が34%保有する米独立系ガスマーケティング会社であるCIMA Energyなどを通じての調達も検討する。

三菱商事は2008年6月、米国でガスマーケティング事業を展開しているCIMA Energy Ltdの持分34%を同社の個人パートナーから取得した。

CIMA Energyは1996年設立で、米国内におけるガスおよび原油のマーケティング事業を行っており、年間のガス取扱高は約145百万MMBtu(LNG 換算280万t)となっている。

三菱商事は2009年1月より米国テキサス州のFreeport LNG 受入基地の使用を開始したが、同基地に持ち込むLNGを再気化した天然ガスについても、CIMA が米国内で販売を行う。

同社では、米国からも日本にLNGを輸入することで、調達先の多様化に繋げるのみならず、米国内の天然ガス市場も活用した柔軟性のある供給計画を実現させ、エネルギーの安定調達を目指すとしている。

なお、三菱商事はカナダでも天然ガス開発に参加しており、カナダで生産した天然ガスを原料に、液化天然ガス(LNG)として輸出する可能性についても検討を進めている。

三菱商事は2010年8月、カナダの大手エネルギー会社Penn West Energy Trustが所有するブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガスを中心とした天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結した。

2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画

三菱商事とカナダの天然ガス最大手のEncana Corporationは2012年2月、British ColumbiaのCutbank Ridgeの未開発の土地でのシェールガス開発で提携したと発表した。

2012/2/21  三菱商事がカナダのシェールガス開発に参加

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三井物産はLNG輸出プロジェクトの準備費用の一部を負担し、1系列分に相当する年間400万トンのLNG輸出枠を確保する方向でSempra Energyと共同で検討を行う。

三井物産は米国ペンシルベニア州マーセラス・シェールエリアとテキサス州イーグルフォード・シェールエリアのシェールガス・オイル事業に参画しており、現在LNG換算で年間100万トンに相当する天然ガスを米国内で生産している。

Marcellus Shaleエリア 2010/2/18   三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画  

Eagle Ford エリア     2011/7/4  三井物産、テキサス州のシェール開発に参加

これらのシェールガス・オイル事業では、今後も生産量の増加が見込まれることから、三井物産が権益を保有する天然ガスをLNG輸出に向けた原料ガスとして活用する可能性についても検討していく。

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2012年2月時点での米国のLNG輸出計画は下記の通り。  

プロジェクト 事業者 申請液化能力
万トン/年
       政府認可状況
エネルギー省 エネルギー規制委
Sabine Pass ルイジアナ Cheniere 1,600 認可済 審査中
Freeport テキサス Freeport LNG 900 審査中 審査中
Lake Charles ルイジアナ Southern Union 1,500 認可済 未申請
Cove Point メリーランド Dominion 800 未申請 未申請
Jordan Cove オレゴン Jordan Cove LNG 900 未申請 未申請
Cameron ルイジアナ Sempra 1,200 未申請 未申請
 米国計画 合計  6,900    

 

付記

住友商事と東京ガスは4月27日、米国のDominion Cove Point LNGと米国産LNG調達に関する協議を開始したと発表した。

Dominion がCove Point LNG受入基地にLNG 液化プラントを新たに建設し、米国内で生産されるシェールガスをはじめとした天然ガスを精製・液化する。
同社と液化加工契約締結をした事業者は、自らが調達した米国産天然ガスを本プロジェクトのLNG液化プラントで液化し、LNGを引き取ることができる。

Cove Point LNGプロジェクトの概要

  • 事業主体 : Dominion
  • 所在地     : 米国メリーランド州 
  • 液化能力: 約500万トン/年

住友商事が先行契約で取り決めた天然ガス液化加工契約の主要条件

  • 契約数量  : 約230万トン/年(LNG換算)
  • 契約期間  : LNG液化プラントの運転開始から20年間    

住友商事は本プロジェクト近郊で参画しているマーセラス・シェールガス開発プロジェクトなどからの調達を予定している。

住友商事は2010年9月1日、子会社Summit Discovery Resources II, LLCを通じ、米国の独立系石油ガス開発会社であるRex Energyが米国ペンシルベニア州マーセラス・シェール・フィールドで開発している天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結したと発表した。

Rex社の既存資産プラス新規リース権の約30%を取得する。
取得資産の対価として契約締結時に約88百万ドル、2011年12月末までに追加で約 106百万ドル、合計194百万ドルを拠出する。

同社の持分ベースで総開発エリアは22,000エーカーで、生産量(ピーク) 46 bcf/年(原油換算 約8.4百万バレル)。
今後約10年間で累計1,100本以上の井戸を順次掘削していく計画で、総開発費用は約 1,200百万米ドルを見込む。

同社は又、米国の独立系開発会社であるCarrizo Oil & Gasが米国テキサス州Barnett Shale fieldに保有している天然ガスコアエリア開発プロジェクトに12.5%参画した。

また、100パーセント子会社であるPacific Summit Energyが米国内でガストレーディング・マーケティング事業も手掛けており、今回、本プロジェクトが最終合意に至れば、ガス上流開発から流通、液化、LNG輸出まで、米国における天然ガス・LNGのバリューチェーンの構築が可能になる。

 

アルゼンチン政府は4月16日、スペインの石油会社Repsol-YPFのアルゼンチン子会社YPFを国有化する方針を明らかにした。

時価による買収ではなく、資産没収で、補償額は国家評価裁判所(National Appraisal Tribunal)が決定するとするだけで、詳細は明らかにされていない。

石油生産の低迷や投資をめぐり対立していたスペインの親会社Repsol-YPFから経営権を奪う。
Fernández大統領はYPFのCEOに Julio De Vido企画・公共投資相を起用した。近く、YPF株式の51%を取得できる法案を議会に提出する。残り49%についても同国の地方に分配する計画。

付記
アルゼンチン下院は5月3日、国有化法案を可決した。上院は可決済で、大統領の署名で施行される。

YPFはもともとアルゼンチンの国有石油会社だった。1999 年の民営化に伴う政府放出株式をRepsolが購入した。
アルゼンチン政府は0.2%の"golden-share"を持ち、買収拒否権などの重要事項についての権利を持つ。

Repsolは 1987 年に主に下流事業を営む石油会社としてスペイン政府により設立された国営石油会社であったが、1989 年以降、順次株式が公開され 1997 年に 100 %民間企業となった。
1999 年にYPF を買収し、社名をRepsol-YPFに変更した。

それまでのRepsolは石油下流、およびガス事業が主体の企業であったが、南米に豊富な炭化水素資産を持つ YPF の取得により、石油メジャー企業の一角を占める国際石油企業となった。

同社については 2006/8/5 Repsol YPFによるポルトガルの石油化学増強

RepsolはYPFの買収後、2008年にアルゼンチンの億万長者Eskenazi 一族に15%を売却、昨年には更に10%をEskenazi に売却した。現在、RepsolはYPFの57.4%を保有している。

Eskenazi一族は買収資金を銀行とRepsolからの借入金で賄った。

アルゼンチンは燃料輸入が昨年倍増し94億ドルに達したが、権はこの一因をYPFの生産低迷や投資不足にあるとして、批判を強めていた。

YPFはEskenazi の買収時の契約に従い、利益の90%を配当(年2回)として支払っている
政府は2011年に2回、本年に1回、取締役会でこれに反対した。

本年3月8日の取締役会では、政府は配当支払いではなく、石油開発と生産に使用することを要求した。

大統領は、「石油は極めて重要な資源だ。YPFは必要な投資を怠った。このままでは国の存続も危ぶまれる」とし、石油生産の落ち込みで同国が「発展できない国」にならないようYPFの経営権を取り戻す必要があると述べ た。

YPFは本年2月に、南アルゼンチンのVaca Muertaシェールオイル層に少なくとも230億バレルの油があることが分かったと発表した。そのうち、130億バレルがYPFに帰属する。

大統領は、「アルゼンチンは自国の石油をコントロールできない少数の国の一つであるが、今後、YPFの運営をうまくやる」と述べた。

ーーー

Fernández大統領(Cristina Fernández de Kirchner)は弁護士 出身で、Nestor Carlos Kirchner前大統領の妻。2007年10月の大統領選で勝利した。

大統領は2008年には、欧州の金融機関も参入していた240億ドルの年金基金と、スペイン企業傘下にあったアルゼンチン航空をそれぞれ国有化している。今回のYPFを巡っても国有化の噂が絶えなかった。

ーーー

これに対し、スペイン政府は「これはRepsolに対する敵対行為であり、即ち、スペインに対する敵対行為である。政府は対応策を協議しており、明確で断固たる措置を取る」と述べた。 

欧州委員会報道官は「強制的な国有化は投資家に悪い印象を与え、アルゼンチンの投資環境を傷つける」と警告。同じ中南米のメキシコのカルデロン大統領すら「残念ながら誰も利することのない政策だ」と突き放した。

アルゼンチンは昨年、EUに対し143億ドル(前年比28%増)の輸出を行っており、EUからの報復は大きなリスク要因となる。

フェルナンデス大統領は、「どんな脅しにも屈しない」とYPF国有化に向けた決意を強調した。

ベネズエラのチャベス政権は同日「我が国は欧州からのいかなる脅しも拒絶し、南米諸国にアルゼンチンへの連帯を呼び掛ける」との声明を発表。外交問題に発展した場合はアルゼンチン擁護に回る意思を明確にした。

アルゼンチンは2001年、823億ドルのデフォルト(債務不履行)に陥った。現在も日本などの Paris Club(主要債権国会議)関係の政府系金融機関が持つ債務については交渉を続けている。今回の方針が、国際金融界への復帰を一層難しくする可能性もある。

 

ーーー

アルゼンチン政府の国有化発表にもかかわらず、SinopecがRepsolからアルゼンチン子会社のYPFの買収で交渉しており、150億ドルで買収する非拘束の合意に達したという。4月17日付の中国の財新網Caixin.com)が伝えた。
買収にはアルゼンチン政府の承認が必要である。

スペイン語のEl Confidencial newspaper が4月10日に、Sinopecが91.6億ドル以上で買収する交渉を行っていると伝えていた。

Sinopec は既にアルゼンチンに進出している。2011年2月に Occidental Petroleum がアルゼンチンの資産をSinopecに25億ドルで売却している。

2010/12/17 Sinopec、Occidental からアルゼンチンの石油権益を買収



Dow、増配を発表 - 化学業界の話題

Dow Chemicalは4月12日の取締役会で、第2四半期の配当金を1株当たり25セントから32セントに増額することを決めた。
6月29日現在の株主に対し、7月30日に支払われる。
これは1912年以来連続での403回目(四半期ごと)の配当となる。

Andrew N. Liveris 会長兼CEOは、「今回の増配は、会社の長期的な成長を反映する配当政策を推進し、明確に定められている当社の3つの優先事項(株主還元、債務の返済および当社ポートフォリオにおける内部投資)に対して現金を配分するという当社取締役会のコミットメントを示すものである」と述べた。

ーーー

Dow は2009年第1四半期に、金融市場の混乱、化学製品需要の前例のない低迷、グローバルな景気後退、ペンディングとなっているR&H合併問題等の要素の複合を理由として、42セントから15セントへ97年目で初めての減配を行った。

2009/2/23 Dow Chemical、史上初の減配

その後、2011年第2四半期に25セントに増配していた。

この発表に先立つ4月2日に、同社は工場閉鎖による年間250百万ドルのコストダウン策を発表している。
2011年に始めたコストダウンとEfficiency for Growth programの一環。

概要は以下の通りで、約900人の職が失われる。

・ポルトガル、ハンガリーとイリノイ州のSTYROFOAM断熱材プラントの閉鎖、オランダの同工場の休止
・ブラジル
Camaçari のTDI工場の閉鎖
・ポリウレタンとエポキシの一部設備の統合による最適化

ーーー

同社の決算は下記の通りで、業績は回復している。(単位:百万ドル)
なお、2009年4月1日に Rohm & Haas 買収が完了した。

セグメント別業績

Segment 内訳 (2011/3Q 変更)

2010 Sales 内訳

Advanced Materials Division  
.... Electronic &
Functional
Materials
Dow Electronic
  Materials
Semiconductor Technologies
Interconnect Technologies
Display Technologies
Growth Technologies
Functional
  Materials
Dow Home & Personal Care
Dow Microbial Control
Dow Wolff Cellulosics
Performance Additives
JV Dow Corning
Coatings &
Infrastructure
Solutions
Dow Building &
Construction
Dow Building Solutions
Dow Construction Chemicals
Dow Solar Solutions
Dow Coating
 Materials
Architectural Coatings
Industrial Coatings
Dow Water & Process Solutions
Performance Monomers
JV Dow Corning
Agricultural
   Sciences 
   Division
Dow AgroSciences Seeds, Traits & Oils
Ag Chemicals
Other: AgroFresh
 
Performance
   Materials
   Division
Amines
Chlorinated Organics
Dow Automotive Systems
Dow Formulated Systems
Dow Plastic Additives
Epoxy
Oxygenated Solvents
Polyglycols, Surfactants & Fluids
Polyurethanes
Other: Dow Oil & Gas, SAFECHEM
JV: SCG-Dow
Performance
   Plastics
   Division
Dow Elastomers
Dow Electrical & Telecommunications
Dow Packaging & Converting
Polyethylene
Other: Polypropylene,
    Plastics Licensing & Catalyst
JVs: EQUATE,
       The Kuwait Olefins Company,
  MEGlobal, SCG-Dow,
  UnivationTechnologies
Feedstocks &
   Energy
   Division
Chlor-Alkali /Chlor-Vinyl
Energy
Ethylene Oxide / Ethylene Glycol
Hydrocarbons
JV: CompañíaMega, EQUATE,
      The Kuwait Olefins Company,
      MEGlobal, SCG-Dow

 

 

 

 


コスモ石油は、サウジアラビア国営石油会社のSaudi Aramcoが沖縄県にあるタンクに貯蔵している原油を調達する。
5月上旬に沖縄県の基地にあるサウジ産原油20万キロリットルを船積みする予定で、堺製油所まで運び、石油製品を生産する。

原油の国内輸送に関し大型タンカーの利用が認められたことから費用の軽減が見込まれる。

ーーー

Saudi Aramcoによる沖縄原油タンク活用プロジェクトは2007年4月に中東訪問中の安倍晋三首相がアブドラ国王との会談で提案したもので、2010年6月に資源エネルギー庁とSaudi Aramcoが基本的事項について合意した。

Aramcoがうるま市の沖縄石油基地㈱の原油タンク6基(計60万キロリットル貯蔵)を借り受け、自国原油を蔵置し、商業的に活用する。
経産省が石油天然ガス・金属鉱物資源機構JOGMECを通じ、沖縄石油基地から借りる国家備蓄用タンクのうち6基を転貸)

我が国は、緊急時において貯蔵される原油の優先的な供給を受けられ、エネルギーセキュリティが向上するとともに、日本への原油供給の約30パーセントを担うサウジアラビア王国との戦略的関係が一層強化される。

中東からの原油輸送は通常20日かかるが、沖縄からだと3~4日で製油所まで届く。

第1船(約30万キロリットル)は2011年2月に入港した。

Aramcoはこれまで、中国や韓国などに販売してきた模様。
第一号は2011年5月に韓国の
GS Caltex.に出荷された。
2011年8月にはConocoPhillips向けに米西海岸に出荷されている。

ーーー

沖縄石油基地㈱は1973年設立で、JX日鉱日石エネルギーが65%、コスモ石油が 35%を出資する。

うるま市の約63万坪の敷地に45基(貯油能力450万キロリットル)の巨大タンクを配備し、日本の原油消費量の約6日分に相当する原油を貯蔵している。

平安座島と宮城島の間を埋め立てて、沖縄石油基地㈱の石油備蓄基地(OCC)が作られている。
これに隣接して平安座島に沖縄出光の石油備蓄基地(沖縄ターミナル:OTC)がある。(航空写真の青色の囲い)

本島と結ぶ海中道路は、この石油備蓄基地の為につくられた。

 

 

我が国の現行石油備蓄制度は、国家備蓄と、「石油の備蓄の確保等に関する法律」に基づく民間備蓄の二本立てとなっている。

石油備蓄は現在、国家備蓄が116日分、民間備蓄は89日分となっており、国家備蓄は国内10か所の国家備蓄基地に加え、民間石油タンクを借り上げている。



昭和シェル石油と太陽石油は4月13日、韓国GS Caltexとの間で韓国でのパラキシレン事業に関わる新規プロジェクト基本覚書を締結した。

麗水市のGS Caltexの年産能力135万トンのPXプラントを2014年末に年産235万トンまで増強し、PXの単一工場として世界最大とする。(インドのRelianceが185万トン、韓国のSオイル 170万トン)

昭和シェル石油と太陽石油は原料供給などで協力する。

両社の原料キシレン能力は以下の通り。
 昭和四日市石油 376千トン
 西部石油    250千トン(昭和シェル 38%、宇部興産 11%、他に中国電力ほか)

 太陽石油    400千トン

両社は製造・販売の関与も検討する。
合弁設立の有無や各社の投資負担など協力関係の詳細は今後詰める。

両社は、「この協働により三社は、原材料調達・生産・製品の販売に至る、PX事業を通しての競争力強化を目指してまいります」としている。

総事業費は500億~600億円規模になる見通し。

ーーー

韓国企業はパラキシレンの拡大を図っている。
日本企業の参加が相次いでいる。

1)コスモ石油・Hyundai Oil Bank

 コスモ石油は2009年6月、Hyundai Oil Bankとの合弁会社設立の基本合意を発表した。

合弁会社:HC Petrochem
出資比率:50/50
 ・事業内容 :パラキシレンおよびその他関連製品の製造・販売
 ・設備規模 :Hyundai Oil Bankの既存設備(大山)の譲受
                   ナフサ原料のパラキシレン 380千トン/

         パラキシレン製造設備 新設
           混合キシレン原料のパラキシレン 800千トン
/
           (2011年7月に鍬入れ式)

 ・コスモ石油四日市製油所にミックスキシレン蒸留装置 (300千トン)を新設、JVに供給

 注)コスモ石油とHyundai Oil BankにはUAEのIPICが出資している。

  2009/5/8 コスモ石油、韓国でパラキシレン製造へ

2)JX日鉱日石エネルギーは2011年8月、SKイノベーション(旧称 SK Energy)と合弁設立で合意した。
 2014年に年産能力100万トンのパラキシレンの生産を始める予定。

 2007年1月22日に当時の新日本石油とSKが合意した戦略的業務提携に基づくもの。

1)パラキシレン製造に係る合弁会社設立

社名:未定  付記 2012/6/8設立、ウルサン・アロマティックス
立地:蔚山
出資:JX 50%-1株、SK 50%+1株
能力:約100万トン
原料:JXは日本国内の製油所から供給

注)SKは蔚山にパラキシレン 650千トンを持っている。

2)潤滑油ベースオイル製造に係る合弁会社設立

2011/8/9  JXエネルギーとSKグループ、韓国でパラキシレンと潤滑油ベースオイル製造のJV設立

3)韓国のS-Oilは2011年6月に、温山で1系列で世界最大のパラキシレン工場の商業生産を開始した。

稼働したのはNo.2 Aromatic Complexのパラキシレン年産90万トン、ベンゼン 28万トン。
これにより同社の能力はほぼ倍増し、パラキシレン 170万トン、ベンゼン56万トンとなった。

2011/10/28   韓国S-Oil、1系列で世界最大のパラキシレン工場の竣工式を開催

 

 

 

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