「no」と一致するもの

広島大学大学院総合科学研究科の彦坂正道特任教授と岡田聖香博士研究員らは、科学技術振興機構の産学連携事業の一環として、鉄鋼を超える比強度を持ち、安価で水に浮く軽さで、リサイクルが可能なシート状の超高性能汎用プラスチックの創製に成功した。
科学技術振興機構と広島大学が4月19日に発表した。

融点以下に冷やした高分子の融液を引っ張って結晶化させるという極めてユニークな製法により、代表的汎用プラスチックのポリプロピレンの結晶化度をほぼ100%に高めることに成功し、引張強度をこれまでの7倍以上の230MPa(メガパスカル)に高め、比強度を鉄鋼の2~5倍にした。
しかも通常の汎用プラスチック並みに安価で成形しやすく、リサイクルが可能という大きな利点を持っている。

ーーー

高分子材料は軽量・安価・高成形性の利点を持つが、強度や耐熱性などの材料特性が金属などより著しく劣るために高度な性能要求に応えることができない。

その原因は、結晶にならない部分の比率(非晶率)の高さにある。

結晶性高分子は長いひも状分子だが、融液中で毛玉のように互いに絡み合う部分が多いために、これらが薄い板状結晶にしかなれず、結晶と非晶が層構造を成し「球晶」というゴルフボールのような結晶体になる。
球晶内には結晶にならず、固化しただけの非晶が半分以上残ってしまう。

彦坂特任教授と岡田博士研究員らは、高結晶化度と超高性能実現の方策として、「ナノ配向結晶体(NOC)」に狙いを定めた。
ひも状の高分子鎖が融液段階で毛玉状に絡まっているために非晶が発生するため、これを一定方向にきれいに並べた上で結晶化すれば、結晶化度の高いナノ配向結晶体が実現すると考えた。

発案したのは、融点以下に冷やした高分子の融液を潰す(compress)ことによって伸長するというアイデア。

融点以下に冷やした高分子の融液を潰す圧力と速度を変えながら伸長と配向の様子を観察したところ、1秒間に数百倍も伸長するような、大きな伸長歪み速度によって、同じ結晶化温度でも結晶化が一気に100万倍も速くなる「臨界伸長歪み速度」が確認された。過冷却融液中の高分子鎖が平行に並んだ完璧に近い配向融液になり、無数の核がミリ秒オーダーで生成し、融液全体の92%が結晶化することが確認された。
「ナノ配向結晶体(NOC)」の実現が確認された。

ポリプロピレンのナノ配向結晶体は以下の特徴を有している。

・引っ 張り破壊強度はこれまでの7倍以上の230MPa

・成形性がよく錆ないプラスチック本来の特性を持ちながら、
 引っ 張り破壊強度が
同重量の鉄鋼の2~5倍、アルミの6倍 

  引張破壊
強度(MPa)
比重  比強度 
(MPa)
アルミニウム 100 2.7 37
ステンレス 500 7.8 64
鉄鋼(車両用) 400-800 7.8 51-102
本研究 iPP 230 0.94 244
 比強度=引っ 張り破壊強度/比重

耐熱性は通常のポリプロピレンより50℃以上高い176℃

・光の波長より小さいナノ結晶であるがゆえに高い透明性(透過率 99%)

・折りたたんでも、力を外すと、再び元の形状に戻る

高分子融液を潰すという単純な工程が加わるだけで、通常の汎用プラスチック並みに安価

・従来の成形法を少し改良した成形法で成形できる

・何も混ぜ物を加えないので、高い収率でリサイクルができる

こうした数々の特性によって、既存のエンプラにとって代わることは十分に期待され、比強度の大きさから、鉄鋼やアルミニウムなどの金属材料に代替することで、製品の軽量化を図ることが期待される。
また、高剛性と高靱性を備え、錆ないことから、高層ビルや家屋などの建築材料にも適しており、耐水性も加味されるので、橋梁やダムなどの構造材としての利用も期待される。
しかも透過率 99%という高い透明性は、ガラスの代替材としても期待できる。

広島大学では今後、サンアロマー(高分子最適化)及びエフピコ(食品容器製品化)と共同研究を行い、実機プロトタイプの超臨界伸長成形機を開発し、実用サイズの超高性能高分子材料の成形、量産技術を確立し、製品化を図る。

 


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河南煤業化工集団 (Henan Coal & Chemical Industry GroupHNCC)の子会社の安陽化学(Anyang Chemical)はこのたび、河南省安陽市で年産20万トンのMEGの起工式を行った。

安陽化学は旧称安陽化学肥料で、年産24万トンのアンモニア、42万トンの尿素、20万トンの複合肥料のプラントを持っている。

総額13.5億人民元を投じ、通遼GEM ChemicalTongliao GEM Chemical) のCoal-to-MEGプロセスを使用し、安陽化学の余剰の石炭ベース合成ガスを原料とする。
これはHNCCにとって5番目の
Coal-to-MEG計画で、合計能力は100万トンとなる。同プロセスにとっては6番目の計画となる。

通遼GEM Chemical Coal-to-MEGプロセスは中国科学院福建物質構造研究所と江蘇省の丹化グループ及び上海のGEM Chemical Technology により開発された石炭ベースのsysgas からMEGを生産する技術で、3社のJVの通遼GEM Chemical2007年8月に内蒙古の通遼経済開発地域で20万トンのプラントの建設を開始した。
その後計画を変更し、MEG 15万トンとシュウ酸(MEGを酸化して生産)10万トンとしたが、昨年末に完成した。(現在手直し中で、5月に商業生産を開始する。)

同プロセスによるプロジェクトは以下の通り。

実施者 立地 能力 建設開始
通遼GEM Chemical
中国科学院/丹化/GEM
内蒙古・通遼経済開発地域 150千トン 2007/8
(400千トン) 計画
HNCC HNCC/通遼GEM Chemical 河南省洛陽市 200千トン 2009/11
HNCC/通遼GEM Chemical 河南省商丘市 200千トン 2009/11
HNCC/通遼GEM Chemical 河南省新郷市 200千トン 2009/11
中原大化集団(HNCC子会社) 河南省濮陽市 200千トン 2010/2
安陽化学(HNCC子会社) 河南省安陽市 200千トン 2010/4
合計 1,000千トン

HNCCは2009年に通遼GEM Chemical のメンバーの陽化学(丹化)に出資、第二位の株主となった。
HNCCと
丹化は本年3月にCoal-to-MEG投資契約を締結、 今後の計画は共同で実施することを決めた。

中国のMEGの輸入は2009年は580万トンで前年比12%の増加となっている。
ASIACHEM Consultingによると、中国のMEG消費は2012年には1050万トンを超える予想で、HNCC5計画が完成すると能力は100万トンとなり、全消費の10%を占めることとなる。

HNCC200812月に5つの石炭事業会社、永城煤電(Yongcheng Coal) 、鶴壁煤業(Hebi Coal)、焦作煤業(Jiaozuo Coal) 、中原大化(Zhongyuan Dahua)、河南省煤気集団(Henan Provincial Town-Gas)が合併して設立された。石炭埋蔵量は400億トンで、年間生産量は57百万トンとなっている。

同社は石炭化学の開発に積極的である。
シノペックと河南省は本年2月に、河南省鶴壁市で年産180万トンのメタノールと60万トンのオレフィンを製造する計画の覚書を締結したが、これはシノペックとHNCCが実施するもので、石炭採掘から、メタノール合成、MTO(メタノールからオレフィン製造)、誘導品製造を統合する。
初期段階ではHNCCが石炭採掘関連、シノペックがメタノール、MTO、誘導品を担当し、河南省の関連部局が必要書類を準備する。

ーーー

ASIACHEMによると、上記のほか計画中のCoal-to-MEG計画は以下の通り。

実施者 立地 能力(千トン)
Hebi Baoma Group 河南省鶴壁 0.3 Pilot plant
Shanghai Coking, Huayi Group 上海 10 同上
Jiangsu Danhua Group 江蘇省鎮江 10 同上
Wison Group Hengyuan Chemicals 内蒙古オルドル 300
Kailuan Group 同上 200
Huawai Energy
(Towngas & Sanwei Resources jv)
同上 200
East Sea New Energy 同上 200
SES Zaozhuang New Gas 山東省棗荘 40
Hualu Hengsheng 山東省徳州 50
Shaanxi Coal and Chemical Industry 陝西省渭南 200

なお、2010年5月27-28日に、上海のGrand Metropark Jiayou Hotel で第一回Coal-to-MEG 会議が開催される。
詳細は
http://www.chinacoalchem.com/events/2010MEG/MEGChina2010.pdf

 

ーーー

20104月時点の中国のMEGメーカー大手は以下の通り。

メーカー 立地 能力
 千トン
備考
シノペック鎮海煉油化工 浙江省寧波市 650 2010/4 スタート
シノペック上海石化 上海市 610  
シノペック揚子石化 江蘇省南京市 450  
シノペック・SABIC石化 天津市 420  
中海シェル石化 広東省恵州市 320  
シノペック燕山石化 北京市 300  
BASF-YPC 江蘇省南京市 300  
ペトロチャイナ遼陽石化 遼寧省遼陽市 200  
シノペック茂名石化 広東省茂名市 200  
遼寧華錦グループ
(盤錦エチレン)
遼寧省金州市 200  
ペトロチャイナ吉林石化 吉林省吉林市 160  
通遼GEM Chemical 内蒙古自治区
 通遼市
150 Coal-to-MEGプロセス

ソース:ASIACHEM Consulting)

 


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ConocoPhillipsは4月12日、カナダのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada Ltd の持株 9.03%Sinopecに売却すると発表した。
売却金額は
46.5億米ドルで、中国の北米投資で最大のものとなる。
市場での予想は40億ドルで、
Sinopecの買値は予想を上回った。

中国によるカナダのオイルサンドへの投資としては既にSinopecPetroChinaのものがあるが、今回のものは開発段階ではなく、既に1978年から操業をしており、日量35万バレルの生産を行っている。取引金額もはるかに大きい。

Sinopec20056月、 カナダのアルバータ州Northern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% を15千万カナダドルで買収し2009年に買い増しして50%にアップした。

PetroChina 2009831日、カナダのAthabasca Oil Sands Corp. からMacKay River 及び Dover オイルサンド計画の60%の権益を取得する契約を締結したと発表した。対価は19億カナダ ドル。

2009/9/10 PetroChina、 カナダのオイルサンド事業に参加

ConocoPhillipsにとっては2年計画での100億ドルの資産処分計画の一部で、昨年10月に売却を発表していた。
当初は
Syncrude Canadaの最大株主のCanadian Oil Sandsが買うのではないかと見られていた。

Syncrude Canadaの現在の株主は以下の通り。(%)

Canadian Oil Sands 36.74
Imperial Oil Resources 25.00
Petro-Canada Oil and Gas 12.00
Conoco-Phillips Ois Sand 9.03
Nexen Oil Sands Partnership 7.23
Murphy Oil 5.00
Mocal Energy
(
新日本石油開発 100%)
5.00
合計 100.00

このうち、新日本石油開発の100%子会社のMocal Energy 1980年代に三菱石油が資本参加していたもので、後に日本石油による三菱石油の吸収合併で、新日本石油開発の子会社となった。

 


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Reliance Industries 49日、米国のAtlas Energy, Inc.との間で米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアでのシェールガス開発でAtlasの権利の40%を取得する契約を締結したと発表した。

Relianceは、Atlasが権利を持つ合計30万エーカーの未開発鉱区のうち不可分の40%の権利を取得する。
操業は
Atlasが行うが、Relianceは将来、Atlasの主操業地区以外で操業を行うオプションを持つ。

Reliance は権利取得に339百万ドルを支払うとともに、7年半の開発期間中に自社枠の開発投資のほか、Atlas分の開発投資の75%13.6億ドルが限度)を負担する。

Marcellus Shale豊富な埋蔵量に加え、一大需要地である米国北東部に近く、また生産コスト面でも競争力が高いため、米国において、最も有望なシェールガス産出地の一つと言われている。

三井物産は本年216日、三井石油開発とのJVMitsui E&P USA を通して、Anadarko Petroleum が米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアにおいて開発・生産中のシェールガス事業に参画すると発表した。
http://knak.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-2727.html

Atlasの開発地域では3000以上の井戸を掘り、13.3 tcfe (Trillion Cubic Feet Equivalents)を得ることを想定している。(Reliance持分 5.3 tcfe)

Atlasは開発地域の拡大を計画しているが、Relianceはその40%を取得するオプションを得た。

ーーー

RelianceLyondellBasell145億ドルで買収する提案をしていたが、LyondellBasellはこれを拒否した。

2010/3/11 LyondellBasell、Reliance の買収提案を拒否

Reliance はインドの新興財閥でインド最大の私企業。 事業は多岐にわたり、ガスパイプライン、石油精製、化学繊維、アパレル等の上流から下底までの石油化学事業、通信、電力等インフラ事業を行っている。

同社はアジアを越えて欧州と北米に石油化学、合成樹脂事業などを拡大する機会を狙っており("global player になりたい")、いずれも失敗はしたが、BPの石化子会社 Innovene 買収を図り、更にGE Plasticsの買収も検討した。

2007/1/16 インドの Reliance Industries

同社はLyondellBasell買収を狙うと同時に、オイルサンドの権利を持つカナダのValue Creation Inc.買収にも関心を示し、同社の65%を取得するため20億ドルのオファーを行ったとされていた。

しかし、Value Creation315日、BP CanadaとのPartnership契約締結を発表した。
Value Creationが開発権を持つAthabasca 州のTerre de Graceオイルサンドの開発でBPが過半のシェアを持ち、運営に当たる。

Relianceとしては2つの大物、LyondellBasellValue Creation を相次いで失い、次の手としてAtlas Energyと手を組んだこととなる。


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経済産業省は4月6日、2009年末時点の我が国の主要石油化学製品生産能力調査の結果を発表した。
(単位:千トン)

若干の増減はあるが、前年末と大差はなく、相変わらずの小規模多数工場体制である。
各製品とも能力に対する内需の比率は低く、今後輸出の縮小が予想されるなか、大幅な設備廃棄が必要である。

1.エチレン  前年末と同じ

  定修年 スキップ年  
東ソー   493   527  
昭和電工   615   691  
東燃化学   491   540  
三菱化学  1,278  1,301 水島のエチレンの統合交渉中
山陽石化(旭化成) 443 504
丸善石油化学   480   525  
京葉エチレン   690   768 丸善石化 50%、三井化学 25%、住友化学 25%引取り
住友化学   380   415  
大阪石化(三井化学)   455   500  
三井化学   553   612 千葉のエチレン運営統合 「千葉ケミカル製造」
出光興産  997  1,101
新日本石油精製   404   443  
合計  7,279  8,023  

・三菱化学 鹿島火災事故で以前より能力減となっている。
 
事故前の能力は定修あり 1,301千トン、定修なし 1,422千トンであった。(定修なしで121千トンの減)

2009年のエチレン生産量は6,913千トン。
これに対して、エチレン製品のエチレン換算輸出量は2,945千トン、輸入量は407千トンで、差引き内需は4,375千トンに過ぎない。(定修年能力に対し、60%)

2.ポリエチレン 前年末と同じ

  LD専用 HD 併産 合計  
LD LL HD LL
旭化成   120       116   47        283  
宇部丸善PE 147   50       197  
チッソ     63     63  
東ソー 152 31 125     308  
丸善石油化学     111     111  
日本ポリエチレン 347 364 475     1,186  
日本ユニカー 180     10 110 300  
住友化学 172 133       305  
日本エボリュー   240       240
  当初 現状 計画
プライムポリマー  150  190  250
住友化学   50   50   50
合計 200 240 300
プライムポリマー   145 246 87 11 489  
三井化学     4     4 試験設備
三井・デュポン 170         170 下記参照
合計 1,288 963 1,141 144 121 3,657  
               
LDPE合計           2,372  
HDPE合計           1,285  

* プライムポリマーは2010年4月に高圧法LDPE事業を三井・デュポンポリケミカルに譲渡する。

2009年のLDPE出荷は、国内 1,325千トン、輸出 331千トン、合計 1,656千トン。
  (能力に対し70%、内需は56%)
HDPE出荷は、国内 819千トン、輸出 214千トン、合計 1,032千トン。
  (能力に対し80%、内需は64%)

3.PP  前年末比 162千トン増

プライムポリマー プライムポリマー  1,071  
宇部ポリプロ 90 2011年3月停止、2012年3月清算
徳山ポリプロ 200 トクヤマとのJV
サンアロマー 347  
住友化学 316  
日本ポリプロ 1,244 前年比 +162
(鹿島 +300、川崎 -138)
合計 3,268  

2009年の出荷は、国内 2,278千トン、輸出 303千トン、合計 2,580千トン。
  (能力に対し79%、内需は70%)

4.SM  前年末と同じ

太陽石油化学    335 04/1/1 三井化学から譲受け(宇部市)
日本オキシラン   412 住友化学60%/Lyondell 40%
PO/SM併産
千葉スチレンモノマー   270 電気化学 60%/住友化学40%
電気化学    240  
新日鐵化学   422 2008年3 月末に東ソーとのJVの日本スチレンモノマーを
100% 完全子会社した上で設備(232千トン)を取得。
出光興産   550  
三菱化学   371  
旭化成    678  
合計   3,278  

2009年の出荷は、国内 1,379千トン、輸出 1,650千トン、合計 3,030千トン。
  (能力に対し92%、内需は42%)

5.PS  前年末比 162千トン減

日本ポリスチレン   0 住友化学 /三井化学
2009年9末で生産停止(162千トン)→解散
DIC   131  
東洋スチ レン   278 電気化学/日鉄化学/ダイセル
PSジャパン   445 旭化成 /出光興産 (2009/10 三菱化学撤退)
合計   854  -162

2009年の出荷は、国内 687千トン、輸出 32千トン、合計 719千トン。
  (能力に対し84%、内需は80%)

6.VCM 前年末と同じ

テック   391 PVC:ヴイテック
2011年3月末までに停止
東ソー  1,454 PVC:大洋塩ビ
トクヤマ   330 PVC:新第一塩ビ
京葉モノマー   200 (旭硝子/クレハ/丸善石化)
カネカ   540 PVC:カネカ
鹿島塩ビモノマー   600 PVC:信越化学、カネカ
合計  3,515  

2009年の出荷は、国内 1,684千トン、輸出 1,027千トン、合計 2,711千トン。
国内出荷のうち、輸出PVC用は705千トン。
  (能力に対し77%、内需は48%。輸出PVC用を除く純国内用は28%)

7.PVC 前年末比 -41千トン

徳山積水   114 前年比 -1
(積水化学 70%/東ソー 30%)
テック 220 2011年3月末までに停止
  06/12 07/12 08/5
川崎 115 95 121
四日市 104 99 99
水島 115 110 0
334 304  220
大洋塩ビ   558  
東ソー    28 ペースト
新第一塩ビ   255 前年比 -4
信越化学   550  
カネカ   431 前年比 -35
合計   2,157 前年比 -41

2009年の出荷は、国内 960千トン、輸出 705千トン、合計 1,665千トン。
  (能力に対し77%、内需は45%)

8.アクリロニトリル

旭化成 419  
ダイヤニトリックス 196 三菱レイヨン65%/三菱化学35%
昭和電工 55 前年比 -4
住友化学 52  
合計 722 前年比 -4

 

9.EO

丸善石油化学 197 (2005/4に丸善ケミカルを吸収)
日本触媒 324 前年比 +70
三井化学 100 前年比 -119
2009年11月、市原工場停止
三菱化学 286  
合計 907 前年比 -49

 

10.アセトアルデヒド 前年末と同じ

協和発酵ケミカル   60
昭和電工  300
日本アルデハイド   69
合計  429

 

11.合成ゴム

  SBR   BR   IR  
旭化成   133        35 前年比 +11          
宇部興産       95          
JSR 257 前年比 -2   61 前年比 -4     39 前年比 -1  
日本エラストマー 46 前年比 +6   16 前年比 +5       旭化成 75%、
昭和電工 25%
日本ゼオン 146 前年比 -7   55     36 前年比 +3  
三菱化学 43                
合計 625 前年比 -3    262 前年比 +12     75 前年比 +2  

 

12.MMAモノマー  前年末と同じ

旭化成   100 川崎 直メタ法 70、ACH法 30
クラレ 67 中条 ACH法 67 (2005/9 共同モノマー離脱)
住友化学 72 直酸法(愛媛 40、姫路 32)
三井化学 40 直酸法(大阪:旧 共同モノマー)
三菱ガス化学 51 新潟 新ACH法
三菱レイヨン 217 大竹 直酸法 110、ACH法 107
合計 547  

 


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Sinopec329日、2009年の決算を発表した。

売上高は前年比7%減となったが、営業損益は前年の赤字から一転、2006-7年を上回る黒字となった。
純損益も2006-7年を上回った。

なお、2005年以降、原油価格が上昇する中、政府が石油製品の価格を統制し、石油精製が大赤字となったため、政府が補助金を出してこれを補っていたが、2009年には石油製品の価格の決定方法が変更となり、補助金はなくなった。

連結損益 (百万RMB)
  03 04 05 06 07 08 09
Sales  429,949  597,197  799,115 1,034,888 1,173,869 1,413,203 1,315,915
Operating profit 38,883 63,069 66,814 80,632 81,010 -23,964 84,431
補助金     9,415 5,000 4,900 50,300 0
Net Profit 24,396 41,791 44,776 55,038 55,896 28,525 61,760

部門別売上高は以下の通り。
(部門間売上高を含む。但し、
Refining Marketing and distribution はほぼ重複するため、前者を除外した。)

部門別営業損益は以下の通り。Refining について、上は補助金算入前、下は参入後。
Refiningは補助金無しで2004年以来の黒字となった。原油価格値下がりでExploration の利益は減少している。

化学品の業績は以下の通り。(百万RMB)

  03 04 05 06 07 08 09
売上高 99,379 138,523 172,982 208,323 233,442 247,026 213,860
営業損益 3,543 18,721 14,296 14,458 13,416 -12,950 13,615

化学品の生産実績は以下の通り。 (千トン)

  2007 2008 2009
エチレン  6,534  6,289  6,713
合成樹脂 9,660 9,643 10,287
合成ゴム 800 834 884
合繊原料モノマー、ポリマー 9,018 7,264 7,798
合成繊維 1,417 1,260 1,302
尿素 1,565 1,649 1,752

ほとんどの製品が3月以降フル生産になった。

ーーーーーーー

PetroChinaの決算は以下の通り。

  05 06 07 08 09
売上高 552,229 688,978 836,353 1,072,604 1,019,275
営業損益 192,171 197,976 200,771 159,571 143,444
純損益 133,362 142,224 146,750 114,453 103,387
           
参考
Sinopec純損益
44,776 55,038 55,896 28,525 61,760

部門別では、本年から組替えが行われ、Chemicals はRefining 部門に統合された。

Sinopecと異なり、石油採掘部門の利益が圧倒的である。
2009年は原油価格の値下がりで、この部門の営業損益が前年の240,470から105.019百万人民元へと半分以下になった。
しかし、逆にRefining & Chemicalsが前年の大幅赤字から黒字に転換したため、全体では若干の減益でとどまった。

 

 


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官報で12月決算の報告がほぼ出揃った。

合成樹脂の統合会社はいずれも営業損益、経常損益、当期損益が赤字となっているが、特に日本ポリプロの赤字が大きい。

日本ポリエチレン

  出資:
日本ポリケム(三菱化学) 58%、
      日本ポリオレフィン(昭和電工/新日本石油)
42%
  能力:PE 
1,186千トン

                               (百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 178,358 400 606 123
09/12 124,131 -3,055 -3,108 -2,035
増減 -54,227 -3,455 -3,714 -2,158

日本ポリプロ

  出資:
日本ポリケム(三菱化学) 65%、
      チッソ 35%

  能力:PP 
1,244千トン

                              (百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 206,819 1,047 305 156
09/12 130,757 -13,274 -13,455 -8,478
増減 -76,062 -14,321 -13,760 -8,634

サンアロマー 

  出資:
LyondellBasell 50%、
      SDKサンライズ投資 50%(昭和電工 65%、 新日本石油 35%)
  能力:PP 
347千トン

                           (百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 69,524 1,542 2,106 1,284
09/12 40,789 -382 -358 -960
増減 -28,735 -1,924 -2,464 -2,244

ヴイテック

  出資:
三菱化学 85.1%、
      東亞合成 14.9% 

  能力:
VCM 391千トン
     
PVC  220千トン

                          (百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 45,206 -1,992 -2,365 -3,025
09/12 28,139 -1,269 -1,546 -6,526
増減 -17,067 723 819 -3,501

ヴイテックは2011年3月末までに生産停止すると発表している。

今期は特別損失として
-4,982百万円を計上している。固定資産の評価減と思われる。
資本金6,000百万円に対し、累積損失は
-23,506百万円の巨額となった。


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SABICCelanese41日、サウジのJubail Industrial City National Methanol Co. (IBN SINA)で年産5万トンのポリアセタール(polyoxymethylene:POM) を建設する契約を締結したと発表した。建設費は4億ドルで、2013年稼動の予定。

IBN SINASABIC50%Celanese25%Duke Energy25%出資しているが、POM完成後はCelanese 32.5%Duke Energy17.5%となる。

IBN SINA1981年にSABIC50%CTE 50%で設立された。
CTECelanese A.G. 子会社のElwood Insurance PanEnergy子会社Texas Eastern Transmission の均等出資であったが、PanEnergyDuke Energyに吸収合併され、その後、現在の出資構成となった。
Texas EasternMTBE事業の関係で参加した。

当初、メタノール 90万トン、MTBE 70万トンを建設、1985年に生産を開始した。
現在のメタノール能力は
110万トン。

Celaneseは過去3年間でJVから配当 238百万ドルを受け取っている。

SABIC2020年にglobal leader になるという2020 Strategic Plan を持っているが、POM事業は機能性化学品でSABICの位置を高めるというStrategic Planの重要な部分であり、また、自動車や先端産業に進出する契機にもなるとしている。

SABICはGE Plasticsを買収してSabic Innovative Plastics とした。同社は変性PPE、PC、PBT、PEI (polyetherimide)、ABSやそれぞれのアロイ、及びLNP コンパウンドなどのエンジニアリングプラスチックを持つが、POMそのものは製造していない。

SABIC20095月に投資額32億ドルの誘導品計画を明らかにしたが、これをSaudi International Petrochemical Company (Sipchem) と相互協力で実施する覚書に締結している。

2009/5/11 サウジのSABICSipchem、新プロジェクトで 相互協力の覚書

SABICの計画は以下の通り。

  MMA 250千 トン } 三菱レイヨンがJVの交渉
  PMMA 30千 トン
 アクリロニトリル 200千トン  旭化成がJVの交渉
 ポリアクリロニトリル 50千トン
 ポリアセタール 50千トン
 カーボンファイバー   3千トン
 青酸ソーダ 40千トン

今回の計画はこのなかのPOM 5万トン計画で、POMの原料のメタノールをもち、Celanese(子会社Ticona POM事業を行う)が参加しているIBN SINAでの実施を決めたもの。
POM ホモポリマーは、メタノールを空気酸化してホルムアルデヒドをつくり、これを重合して生産する。Celaneseはメタノールを購入してホルムアルデヒドを製造し、Ticonaに供給している) 

なお、SABICIBN SINAのほかに、三菱ガス化学主導の日本・サウジアラビアメタノールとのJVSaudi Methanol (AR-RAZI)を持っている。

2006/3/31 サウジ・メタノール計画


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DowとクウェートのPICとのPET合弁会社 Equipolymers はイタリアのPTAとPET工場をイタリアの電力会社とタイIndoramaのJVに売却する契約に調印した。

DowとPICはDowの石油化学事業を50/50JVのK-Dow Petrochemicals にする案が破談になった。

2008/12/29 ダウとクウェートの石油化学合 弁、一転破談に 

しかし両社は1995年に設立したクウェートの石化JVのEQUATE Petrochemical のほか、2004年設立のPETのJV Equipolymers EGのJV MEGlobalは維持している。

2009/2/3 ダウとクウェートの対立

Equipolymersは両社の50/50JVで、スイスに本社を置き、現在の能力は以下の通り。

工場 PTA PET  
Ottana, Italy  190,000  160.000  
Schkopau, Germany   335,000 No.1160,000
No.2
175,000

イタリアの工場は需要の不振で低操業を続けており、昨年の8月から12月までは技術的な問題で停止していた。本年初めに売却計画を発表した。

EquipolymersSchkopau工場は維持し、研究開発を進める。

売却相手はPET工場の立地に発電所と用役工場を運営しているOttana EnergiaとタイのPTA、PET、ポリエステルメーカーのIndoramaとのJVだが、実質的にはIndoramaが運営すると思われる。

ーーー

Indorama Group 1974年にMohan Lal Lohia ML Lohia)により設立された。
ML Lohia は事業を3人の息子に分割した。長男OP Lohiaはインド、次男 SP Lohia は インドネシア、三男 Aloke Lohia (APL) は タイを受け継いだ。
その後、インドネシアの事業とタイの事業が統合された。
インドの事業は
Indo Rama Synthetics (India) として別に運営されている。

Indoramaは世界最大のポリエステルメーカーで、世界12番目のPTAメーカー。

現在の同社の状況は以下の通り。

    PTA  PET Resin Polyester
Fiber& Filaments
Spun Yarns Fabric 石油化学
Thailand Indorama Petrochem 710,000t          
TPT Petrochemicals 520,000t          
AsiaPet (Thailand)   180,000t        
Petform (Thailand)   PET bottles
ほか
       
Indopoly (Thailand )     110,000t      
Indorama Polyester Industries     285,000t      
Indonesia PT. Indorama
Synthetics Tbk
    280,000t 191K  Spindles 56 million
 meters
 
USA AlphaPet Inc.   432,000t        
StarPet Inc.   225,000t        
Netherlands Indorama Holdings Rotterdam 350,000t          
Indorama Polymers Rotterdam   200,000t        
UK Indorama Polymers Workington   155,000t        
Lithuania UAB Orion Global Pet   198,000t        
Nigeria Eleme Petrochemicals          
Olefin
300,000
PE:: 240,000t
PP 95,000t
Turkey Indorama Iplik
Sanayi Ve Ticaret
      31K  Spindles    
Sri Lanka ISIN Lanka (Pvt) Ltd.       29K  Spindles    
Egypt Indorama Shebin
Textiles Co. S.A.E.
      196K  Spindles    

米国  StarPet Inc は買収
    
AlphaPet Incは新設 2007/4/14 タイのIndorama Polymers、北米でPET工場新設へ 

オランダ・英国:Eastman Chemical から買収(2008/3)

ナイジェリア:ナイジェリアの国有石油化学会社を買収 
           2006/5/26 
アジア企業の海外展開

 


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3月30日に発表された通関統計では輸入ナフサ価格は以下の通り。

なお、昨年12月分と本年1月分の金額が当初発表分から修正されている。

  1月 2月 3月     計
数量(kl) 2,114,807 2,160,448   4,275,255
金額(千円) 96,155,885 100,187,448   196,343,333
@ (円/kl) 45,468 46,373   45,926

1-2月平均では45,926円となり、昨年第4四半期の40,544円から5,382円のアップとなっている。
国産基準価格ベースでは
47,900/kl となる。

過去の推移は以下の通り。(単位:円/kl)

  輸入平均   基準価格
4Q平均  50,047  52,000
09/1  21,500    
09/2  23,836    
09/3  28,632    
1Q平均  24,970  27,000
09/4  29,628    
09/5  30,783    
09/6  33,580    
2Q平 均  31,294  33,300
09/7  37,900    
09/8  39,507    
09/10  40,162    
3Q平 均  39,185  41,200
09/10  39,304    
09/11  39,854    
09/12  42,343    
4Q平 均  40,544  42,500
10/1  45,468    
10/2  46,373    
10/3      
平均  45,926    

基準価格は平均輸入価格に諸掛 2,000円/kl を加算(10円の桁を四捨五入)


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