「no」と一致するもの

日本の石油化学産業の構造改善(選択と集中時代)で触れなかった品目を順次取り上げたい。

スチレンモノマーのメーカー別能力推移は添付の通り。http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/sm.htm

SM業界は1985年1月に産構法の業種指定を受けたが、設備処理は各社が自主的に進めた。
住友化学が千葉工場、三井東圧化学が大阪工場を停止した。

ポスト産構法時代前期には三菱油化が手直し増設で鹿島で205千トン、四日市で271千トンの能力をもち、輸出価格の高騰で莫大な利益を上げた。(2年間で500億円といわれた。これを利用して時価発行増資を行い、エチレンを増設したのが、結果として同社の足を引っ張った。)

これをみて,各社が増設をおこなった。

出光石油化学は92年春に徳山で200千トン設備を新設した。
(同社は1969年に日本ゼオンとのJVの徳山スチレンモノマーを設立したが、1981年に千葉に工場を新設した際に休止している)

電気化学は1983年に千葉に160千トンのSMプラントを稼動させているが、92年に電気化学60%/住友化学40%の千葉スチレンモノマーを設立し、電化構内で94年5月から250千トンプラントをスタートさせた。現在、両プラントを合わせると能力は510千トンで、単一工場として日本最大である。

三井東圧化学は大阪工場を停止したが、宇部興産による宇部エチレンセンター構想に乗り、先行して宇部の西沖の山埋立地にSMプラントを建設、1994年に250千トンプラントが稼動した。
三井東圧、宇部興産、鐘淵化学3社の共同生産(最終的にはJVを目指した)で、引取り比率で固定費を負担する形をとり、比率は三井が70%、宇部が15%、鐘化が15%であった。

しかし、エチレンセンター構想が取り止めとなり、輸送コストなどにより競争力が低下したこともあり、共同事業を解消することで合意、2000年3月に鐘化が償却費持ち分を負担して離脱した。

新日鐵化学は1982年に新日鐵大分に150千トンのSMプラントを稼動させたが、1988年に新大協和石油(1990年に東ソーが吸収)とのJV(新日鐵化学65%)の日本スチレンモノマーを設立し、1990年大分で200千トンプラントを稼動させた。
1992年に昭和電工が参加したが、同社は94年にPS事業を旭化成に譲渡し、SM事業からも撤退した。

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東ソーのSM事業は1971年に新大協和石化、大日本インキ化学、協和発酵、日立化成が設立した中部ケミカルで80千トンプラントを建設したのに始まり、中部ケミカルの新大協和石化への吸収、90年の新大協和石化の東ソーへの吸収合併で東ソー事業となった。
自社で誘導品を持たない唯一のメーカーで、大日本インキ化学のPS向けに供給していた。

日本オキシランは1972年に住友化学/昭和電工/ハルコン/ARCO(現在のライオンデル)が設立したJVで1975年にPO/SM 併産設備が完成した。(1980年にハルコン持分がARCOに譲渡され、ARCO 50%)
採算悪化から1982年には製造部門を分離してスミアルコを設立(住化 50%/ARCO 50%)したが、1987に日本オキシランがスミアルコを吸収、住化 44.76%/昭電 5.24%/ARCO 50%となった。(2002
6月に住化 50%/Lyondell 50%)

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日本のSM事業は輸出比率が約4割で、中国の需要に左右された。
また原料のベンゼンがアップしても売価に転嫁できないことが多く、損益は大きく変動した。
1997年からのアジアの経済危機時には販売は激減し、操業度を落とした。

東ソーは、市況が大幅に下落するなかで事業収益改善の可能性が極めて困難であると判断、1998年9月末で四日市のSMプラントの操業を停止した。日本スチレンモノマー(東ソー出資比率35%、年間引き取り量約8万トン)での事業は継続する。

三菱化学は石化事業の最大の赤字のPS,SM事業の立て直し対策としてPSでは1998年10月にA&Mスチレンを設立して旭化成と事業統合したが、SMについては1999年秋に四日市のベンゼン2系列年22万トン、EB同29万トン、SM2系列同27万トン(うち1系列9万トンは休止中)をスクラップ、鹿島では約20億円を投資してEBを16万トン増強して計43万トンヘ、SMは手直しで6万トン増の39万トンに増強した。
(2001年1月に四日市のエチレンを休止)
1999年3月の日経に「三菱化学と旭化成工業は2000年4月をメドにスチレンモノマーの生産・販売を一体化する」との記事が出た。前年のPSに続いてSMも、との記事である。しかし、検討は行った模様だが実現はしなかった。

三井化学は2001年12月に山口スチレン工場の生産中止を検討していることを明らかにした。しかし、2002年秋の定期修理を実施、稼動継続を決めた。

同社は2004年1月、山口スチレン工場でのスチレンモノマー(SM)事業を太陽石油に譲渡した。
太陽石油は主力の四国事業所(愛媛県菊間町)で原料ベンゼンを生産しており、高付加価値のスチレンモノマーへの進出で収益力を高めるためSM事業に進出した。
太陽石油 70.1%、三井化学 9.9%、三井物産 20.0% で
太陽石油化学を設立して運営に当たる。

住友化学はこれまで日本オキシランのSMを受託販売していたが、PO事業を石油化学部門のなかでコア事業の1つに位置づけ、2003年3月に日本オキシランの出資比率を60%に引き上げ、SM販売については日本オキシランに移管した。

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他方、旭化成はSM事業を拡大している。2001年9月、同社は水島の2系列のうち、B地区の150千トンを休止し、C地区に既存の300千トンの横に330千トンを新設し、630千トンとすると発表した。能力増分は自家消費の増加分および中国での米国ダウケミカル社とのJV・スタイロン(張家港)のPS(能力120千トン)用などに充てるとした。
同社は2003年に150千トン設備の廃棄を見送り、2004年春の新プラント商業生産開始で、総能力を780千トン(METI数値は751千トン)とした。

 

Smjuyo SMの2005年の需要は内需 1,944千トンに対して輸出が1,577千トンもあり、輸出が45%をも占める。
PSが日本のレジンのなかで唯一、過剰設備の処理を進め、ほぼ国内需要相当量まで能力を落とし得たのは、(一時的には輸出不振で減産も強いられたが)SMの輸出が可能であったためである。Smchina
しかし、PSの需要が減少を続けており、増加の見込みはないなかで、METIの「世界の石油化学製品需給動向」(2006年3月)によるとメインの中国では能力の急増により需要と供給のギャップが大幅に縮まる予想であり、先行きが懸念される。
 



日本企業の海外進出は3件ある。

1)出光石油化学(マレーシア)
1997年にマレーシアのPasir Gudang
PetronasとのJV、Idemitsu Styrene Monomer (M) Sdn Bhd (出光70%)を設立、200千トンの能力をもっている。
PSではPetrochemicals (Malaysia)に参加、現在は98%出資で能力140千トン)

2)トーメン(インドネシア)
Styrindo Mono Indonesia を設立トーメン 75%、出光興産 5%、ビマンタラ 10%、サリム 5%)メラクで1992年に100千トンでスタート、現在400千トン。

3)三菱化学(シンガポール)
三菱化学は当初、シェルとのPO/SMのJV Seraya Chemicals に30%の出資をしたが、シェルが2期計画でBASFとのJV Ellba Eastern を設立したのに伴い、持ち分とPO引取り権をシェルに譲渡し、その代金を1期、2期のSM 380千トン分の建設費相当分として預託し、引取り権を得た。
SMはタイの100%子会社のHMTポリスチレン(90千トン)や台湾奇美実業などに供給している。

付記 
三菱化学は2006年5月11日、シンガポールの100%子会社である油化セラヤにおいて、シェルからのスチレンモノマー(SM)引取権を解消する方針を固めたことを明らかにした。原料価格高騰を受けスプレッドが悪化。将来的にも収益改善が見込めないと判断した。

ブラジル最大の石油化学会社ブラスケムは5日、同社が35%出資するPEの合弁会社ポリテーノを、住友化学などの他株主の持株を買い取って100%子会社にしたと発表した。
ブラスケムは2003年には三菱化学等からHDPE、PVCの合弁会社の持株を買い取っており、これで日本の合成樹脂はブラジルから撤退することとなる。

1970年代央にブラジル政府はブラジル東北部カマサリ地区に石化コンビナート建設を計画、日本を含めて各企業に協力を要請した。

住友化学はLDPE事業で資本・技術の両面で参加することとなり、19749月、ポリテーノ(Politeno Industria e Comercio S.A. が設立された。住化が20%、伊藤忠が10%出資、住化のベッセル式LDPE技術により1978年に100千トンプラントを建設した。
その後、ポリテーノは
1992年にデュポン・カナダから技術導入してLLDPE/HDPE を建設した。現在、前者の能力は150千トン、後者は210千トンとなっている。

三菱化成(当時)は日商岩井(当時)とともに2つの事業でこれに参加した。
第一はHDPE事業で、1974年に三菱化成 16.4%、日商岩井 16.7%出資で地元企業と合弁でポリアルデン・ペトロキミカを設立、第二はPVC事業で、1975年に三菱化成 19.0%、日商岩井 14.3%で同じく CPC社を設立した。
なお、両社はこれに先立ち、1969年に可塑剤製造販売のJVのシキネ・ペトロキミカを設立している。(同社は2001年にメインの株主の政府が入札を行い、Elekeiroz
社に売却した。)
CPCは1996年末にCPC株主のオデブレヒトが中心のEDCメーカーのサルジェマと合併してトリケム社となり、電解からPVCまでの一貫体制となった。なおCPCはAlagoas地区でも三菱化成技術でPVCプラントを建設した。

ブラジルでは2001年に政府はカマサリ石油化学コンビナートのエチレンJVのコペネ社のエコノミコ財団の持株の売却を決めたが、これをオデブレヒト/マリアニ両社グループが購入し、ブラスケムを設立した。
それまでは各誘導品会社は、政府や国営ペトロブラス傘下の石化会社ペトリキザ、各石化会社などが参加するJVであったが、両グループは
誘導品会社の他社持ち分の買収を行い、ブラスケムへの吸収を始めた。
2003年にブラスケムは三菱化学、日商岩井からポリアルデンとトリケムの持株を買収(日商岩井はブラスケム株式と交換)し、他の誘導品会社のProppet(PET)、OPP Petroquimica(PE)、Nitrocarbono(カプロラクタム)、及びエチレンのCopeneを吸収した。
今回、残るポリテーノの株式を住化、伊藤忠および競争相手のスザノ社から買収したもの。

現在、ブラスケムはカマサリでエチレンからPE、PVC、PET、ラクタムの一貫生産のほか、AlagoasとSao PauloでPVC、TriunfoでPE、PPを生産している。

ブラジルには現在4つのエチレン会社がある。添付図の如く、ブラスケムのカマサリ(1,340千トン)以外はすべてJVである。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/brazil-kanren.htm

Copesul (1,135千トン)はブラジル最初のエチレンセンターでTriunfoにある。1992年に民営化され、現在はブラスケムが29.46%、Ipiranga(Ipirangaグループとヘキスト、ペトロキザのJVから後2社が離脱)が29.46%、ペトロキザが15.63%出資している。

PQU(500千トン)は1966年に設立された。現在の株主はペトロキザが17.5%、Uniparが37.2%、スザノが6.8%など。

Riopol (520千トン)は1996年にリオのガス/石化コンプレックス建設のために設立されたJVで、スザノとUnipar が各33.33%、ペトロキザとBNDESPAR(ブラジル開発銀行子会社)が各16.66%を所有している。2005年6月にスタートした。

ブラスケムと競合するスザノ社はBasellとのJVのPP会社 PolibrasilのBasell 持株を買収し吸収合併している。

なお、ブラスケムはヴェネズエラの国営石油会社PDVSAの石化子会社Pequivenとの50/50JVで、ヴェネズエラに天然ガス原料の120万トンのエチレンコンプレックス建設のFSを実施すると発表した。2010年末までにスタートさせたいとしている。

原油価格の高騰が続いている。18日は世界中で過去最高値を更新した。Oil
東京市場のドバイ原油は 65.50ドル、
ロンドン市場 北海ブレント石油は18日一時 72.20ドル、 
NY原油 18日時間外で一時70.88ドル、17日終値 70.40ドル、
でいずれも過去最高となっている。

ちなみに石油ショックの頃の日本の原油価格と比較すれば、当時の年間最高は36.94ドルに過ぎない。18日の価格はこれの1.77倍にも達する。Oilimportprice(2005年までは年間平均、nowは4/18の終値ベース)
勿論、当時のドルレートは200円を超えており、円ベースの価格は最高で53,500円/kl程度で現在の48,600円/kl と比べると現在よりも高く、影響も大きかった。


これは需要増もあるが、イラクの核開発問題やナイジェリア情勢の混乱を材料にした投機による影響が強いと思われる。

原油価格高騰を受け、東京市場ナフサ(オープンスペック)も過去最高値 611ドルを記録している。Naphtha

最近のナフサ価格上昇を受け、住友化学は17日、ポリエチ、ポリプロを5月15日から15円値上げすると発表、
日本ポリエチレンと日本ポリプロの両社も18日、ともに5月21日出荷分からポリエチレンを12円以上
C6-LLDPEとメタロセンPEは18円以上)、ポリプロピレンを15円引き上げると発表した。

世界中でPTAの大増設が続いている。筆者のデータベース更新情報では4/13に欧州、ブラジル、中国、タイのPTAの記事が同時に載った。

PTAはポリエステル繊維やペットボトルの原料で、需要は伸びている。中国では年率10%の成長が見込まれている。しかし、こんなに増設して大丈夫であろうか。これもバブルではないのだろうか。

2006/3のMETI「世界の石油化学製品需給動向」では2007年の全世界の需要を3,700万トン、能力を4,400万トンとしており、能力が上回っている。しかし、この能力は過小とみられており、例えば、中国の能力を1,230万トン(生産836万トン)としているが、中国の情報では1,840万トン(生産1,400万トン)となっており、600万トンの差がある。
中国の増設計画は下記の通り。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/china/china-5.htm#pta-plan

三井化学は中国のポリエステル大手と進めていたPTAの3月の輸出価格交渉で3ヶ月連続で値下げをした。中国国内のポリエステル繊維の国内需要と輸出がともに不振で、重合各社の3月の平均稼働率は65%に止まり、在庫が膨らんでいるという。

メーカー各社の動きをみる。

日本のメーカーでは三菱化学と三井化学が海外で競っている。

三菱化学:
同社は海外シフトをとり、国内では黒崎工場を停止、松山工場(旧松山化成)で25万トンを生産している。
韓国では三養社とのJVの三南石油化学(40%出資)で150万トン、
インドネシア
では三菱化学インドネシア(旧バクリー化成:83.2%出資)で64万トン、
インド
ではMCC PTA (66%出資)で47万トン(80万トン増設を決定)を生産している。
中国では日本側投資会社(三菱化学61%+伊藤忠、三菱商事)が90%、中国中信集団が10%出資の寧波三菱化学を設立、浙江省寧波市大シャ島でPTA60万トンプラントを建設している。

なお、同社は三菱ガス化学とダイヤティーエーを設立(三菱化学65%)を設立し、国内の販売を統合した。
三菱ガス化学は東洋紡との50/50JVの水島アロマで25万トンの生産を行っている。

三井化学:
日本では岩国で75万トンの生産を行っている。
インドネシアではBPとのJV・PT Amoco Mitsui PTA Indonesia 45%出資)で45万トンを生産、
タイではサイアムセメントとのJV・Siam Mitsui PTA140万トンの生産を行っている。
同社は
中国に三井化学(張家港)を設立して江蘇省張家港市で60万トンのPTAを生産する計画で2004年に投資認可申請をしたが、未だに認可を得られていない。同社では代わりにタイでの増設も検討している。

このほか、東レが東海工場で25万トンのプラントをもっている。
帝人は松山南で23万トン、徳山で9千トンでDMTのプラントをもつ。

PTAの世界のトップメーカーはBPである。同社はオレフィンと誘導品事業をInnoveneとして分離した上で昨年12月にIneos売却したが、TPAと原料パラキシレン及び酢酸事業をコア事業として残している。(酢酸でのSINOPECとの提携の関係で上海SECCOはIneosへの売却から外し、自社事業とした) 

同社によると「アジア、北南米、欧州に合計 900万トン以上の21のプラントをもち、JV分を含めると世界の能力の31%(自社枠だけでは21%)を占める。またパラキシレンでも合計290万トンの能力で、世界の11%を占めている。」

同社の現状は以下の通り。
Geel ベルギー):デボトルネックを実施中で35万トン増設し140万トンとする。
米国の南カロライナ州
Cooper River プラントで2系列127万トン
ブラジルのサンパウロに
Rhodia-Ster/M&G とのJV・Rhodiaco Indústrias Químicas(49%出資)で南米唯一(*)の25万トンプラント。
台湾で中国石油等とのJVの
CAPCO (59.02%)でアジア最大の6系列合計210万トン。
韓国で三星グループとのJVの三星石油化学(47.41%)で140万トン。
インドネシアで三井化学とのJVの
PT Amoco Mitsui PTA Indonesia 50%出資)で45万トン。
マレーシアでBP単独で60万トン。
中国では
富華集団とのJVのBP Zhuhai(85%出資)が広東省珠海で35万トンを生産。なお、同社は最新技術で80万トンの新工場を建設することで申請中。

*ブラジルではPetrobras子会社のPetroquisa 55万トンのPTAプラント建設を検討中。

台湾の石油化学 - 化学業界の話題

韓国に続いて、「世界の石油化学製品需給動向」(2006/3)に基づき、台湾の石化製品の需給を別紙にまとめた。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/taiwan.htm

2005年の台湾のエチレン系製品のエチレン換算合計では、能力3,675千トンに対して需要は2,429千トンと、1,246千トンの差がある。
(韓国は能力5,912千トンに対して需要は3,696千トンと、2,216千トンの差)

但し、エチレンそのものについては需要の3,325千トンに対して能力は2,850千トンで、エチレンを輸入して誘導品を生産し、輸出している状況である。

エチレン換算での能力と需要の差の内訳は実量ベースで、

LDPE    461千トン
HDPE    260千トン
PP    744千トン
PVC    933千トン
PS    1,133千トン

等である。PE、PP等の内需は横ばいだが、PSは需要家の海外進出により大幅に減少しており、PVCの内需も減っている。

Taiwanmap台湾では添付の通り、CPC(中国石油)が林園に2系列、高雄に1系列、合計1,115千トンの、台湾石油化学が麦寮に1,735千トンのエチレンコンプレックスをもっている。

http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/taiwan-complex.htm

台湾メーカーは海外進出に熱心である。

台湾石化(FPC)
FPCは米国にFormosa Plastics Corporation, U.S.A. をもっている。

1981年にStaufferからDelaware工場(PVC)を買収、1983にはTexas工場(エチレン1,500千トン、HDPE、LLDPE、PP、電解、VCM、PVC)を建設、1990年には Louisiana工場(電解、VCM、PVC)を建設している。
また、2002年には破産したBorden Chemicals and PlasticsからIllinois州のIlliopolis工場(PVC)を買収した。(残る2プラントはWestlakeとShintechが買収した)

*2004年4月にIlliopolis工場で、2005年10月にテキサス工場で爆発事故が起こっている。

また米国では、Inteplast Corporationを設立してBOPP, ストレッチフィルム、PPシート、硬質PVCシート、PE袋などを生産、J-M Manufacturing Co.を買収してPVCパイプを生産、さらに子会社の南亜がEG、ポリエステル繊維、軟質及び硬質PVCフィルムを生産するなど、幅広く活動している。

FPCは何度も中国本土でエチレンコンプレックスの建設を検討し、現在も浙江省寧波に120万トンのエチレン建設計画をもっているが、台湾・中国双方の認可が得られていない。しかし、川下分野ではグループとして大規模に進出している。
長江デルタ地帯の浙江省寧波の中間原料工場群、江蘇省昆山のエレクトロニクス材料工場に加え、江蘇省呉淞江に紡織原料の生産拠点を設置し、麦寮の第6エチレンを最上流とする垂直統合生産システムの完成を目指している。

寧波には、FPCのPVC30万トン、台湾化学繊維のABS 25万トンとPTAの工場があり、アクリル酸エステル、ポリプロピレンも近く生産を開始する。

Westlake/Titan
華夏プラスチック(CGPC)の元のオーナーのT.T.Chaoは台湾政府と問題を起こし、名目上撤退して持株をBritish Tire & Rubberの豪州子会社、BTR Nylexに譲渡したが、米国とマレーシアに進出した。

米国ではWestlakeを設立、ルイジアナ州Lake Charlesエチレン、LDPELLDPESMを、ケンタッキー州のCalvert Cityでエチレン、塩素、VCM、PVCを生産している。同社は破産したBorden Chemicals and Plastics からルイジアナ州GeismarのPVCプラントを買収している。

Chaoグループはマレーシアの国有Permodalan Nasional Berhad と組んでパシールクダンにTitan Chemicalsを設立、石化コンプレックスを建設した。
エチレン70万トンで、HDPE、LLDPE、LDPE、PPを生産している。
同社は昨年、インドネシアのPT PENI (当初 BP/三井物産/住友商事JV:LLDPE/HDPE 45万トン)を買収し、PT Titan と改称した。

奇美実業(Chi Mei
奇美は
浙江省鎮江市にBS 250千トン(350千トンに増設中)PS 50万トンを生産しており、PMMA 45千トンを建設中。更にPCプラント建設のFSを行っている。
(既報の通り、ANMの揚子江での輸送禁止で影響を受けている)

4月10日、三菱化学は黒崎事業所のポリカーボネート(PC)の増設と、北京でのSINOPECとのJVによるPC及び原料ビスフェノールAの事業計画について発表した。4には三井化学がSINOPECとのビスフェノールAのJV設立で認可を取得したと発表している。

中国におけるPC樹脂需要は、年率10%を上回る勢いで成長を続けており、世界でも最大の需要地となっており、欧米企業を含め各社が中国やタイ、シンガポールに進出している。

以下に日本におけるPC樹脂の状況と、欧米企業を含めたアジアでの活動状況をまとめた。

国内の状況は以下の通り。

三菱エンジニアリングプラスチック(MEP)は1994年に三菱ガス化学と当時の三菱化成が折半出資によって設立した会社で、両社のエンジニアリングプラスチックス事業を継承し、一体化した。コンパウンドは自製、国内の原体製造は各社が行う。
PCについては
三菱化学・黒崎に 40千トン、三菱ガス化学・鹿島に 100千トンのプラントをもつ。(三菱ガス化学・大阪の 25千トンは停止)
今回の発表では三菱化学・黒崎の40千トンのうち老朽化した20千トンを廃棄し、新たに60千トンを建設し、80千トンにする。

住友ダウ(住友化学 50%/ダウ 50%)は愛媛に 55千トンをもつ。
1992年に住友ノーガタック(住化100%)から改称したもので、95年にPCを生産開始、同年に元の住友ノーガタックのABS、ラテックス事業を分離(現在は三井化学との合弁の
日本エイアンドエル)した
ダウは日本のほか、米国、ドイツと韓国(下記)にプラントをもつ。

日本ジーイープラスチックス(GEPJ)は千葉に45千トン。
1989年設立で、GE 51%、三井化学 41%、長瀬産業が8%出資している。三井化学・千葉工場内にPCとビスフェノールA工場をもっている。

GEは米国とオランダ、スペインにプラントをもつ。

出光興産は千葉に50千トン。
1960年に
自社技術により工業化した。「世界でも出光のみの原油からの一貫生産を実施」。

帝人化成は松山に 120千トン。
1960年に製造開始した。

旭化成は世界で初めてのCOからの非ホスゲン法PC樹脂製造技術を開発した。
世界のPC樹脂は全て一酸化炭素(CO)を原料とするものであり、大部分は一酸化炭素と塩素から製造されるホスゲン(毒ガス)を原料としている。ホスゲン法はホスゲンの毒性問題や環境面での問題をもっている。Asahipcprocess
同社の技術は
エチレンオキサイドと副生CO及びビスフェノールAを原料とし、高性能のPC樹脂と高純度EGの2つの製品を高収率で製造するもので、日本に先駆け、台湾奇美実業との合弁会社(旭美化成:当初、旭化成 49%/奇美実業 51%、現在、旭化成 10%/奇美実業 90%)で100千トンのプラントを建設した。

各社のアジア進出状況は以下の通り。

中国:
Bayerは米、独、ベルギー、イタリアとタイ(下記)、中国に拠点をもつが、中国では上海のケミカルパークにPC関連とポリウレタン関連の諸プラントを建設中。PCはBayer 90%/上海クロルアルカリ10%のJVで能力は200千トン。ビスフェノールA 200千トンも今後建設する。
(2006/9修正 PCは2006/9に第一期 100千トンが完成、2008年末までに倍増する。ビスフェノールA完成時期は未定)

帝人化成浙江省嘉興市に100%子会社・帝人化成(中国)を設立し、50千トンのプラントをもつ。現在、倍増中で2006年9月に完成する。原料ビスフェノールAは現在は輸入だが、上海石化三井化工のプラントが完成すればそこから供給を受ける。(シンガポールでも三井が原料供給)
なお、同社はバイエルとPC樹脂事業でグローバルで製品の相互供給を行うことで合意した。バイエルの上海工場も相互供給の一環とする予定。
帝人とバイエルは1998年に新しいPC樹脂の開発のために帝人バイエルポリテックを設立している。2000年には高密度光ディスクに適した全く新しいタイプのPC樹脂を開発した。

三井化学はビスフェノールAを製造・販売するSINOPECとの50/50合弁会社・上海石化三井化工有限公司の設立で中国政府の認可を取得した。130億円を投じて上海ケミカルパークに12万トンのプラントを建設する。原料フェノールはSINOPEC上海高橋分公司から供給を受ける。

三菱化学は黒崎の増設とともに、中国でのPC計画についてSINOPECと共同FSを行うことを発表した。
日本側投資会社(三菱化学とMEP)とSINOPECがJVを設立し、北京の燕山石化敷地内にPC 60千トン、ビスフェノールA 100千トンを建設する。

タイ:
三菱エンジニアリングプラスチック(MEP)は1996年にタイタイ・ポリカーボネート社設立(MEP60%、三菱ガス化学 5%、三菱化学 5%、TOA Chemical 30%)、50千トンからスタートし、現在は140千トンの能力をもつ。

Bayerは1999年にアジアで最初のプラント(50千トン)を建設した。現在の能力は200千トンで、ビスフェノールAも160千トン生産している。

シンガポール:
帝人化成と帝人はジュロン島にTeijin Polycarbonate Singaporeを設立し(現地EDB 10%出資)、PC樹脂 180千トンを生産している。
原料のビスフェノールAはジュロン島の
Mitsui Phenols Singaporeから供給を受ける。

三井化学はジュロン島でフェノール、アセトン、ビスフェノールA、塗料原料用樹脂、アクリルエマルジョン、ビニルウレタン接着剤、合板用接着剤、ホルマリン、エラストマー製品(「タフマー」)などを製造している。フェノール、アセトン製造会社とビスフェノールA製造会社を統合したMitsui Phenols Singapore(三井化学 95%/三井物産 5%)では、ビスフェノールAを230千トン製造している。

韓国:
ダウとLGの50/50JVは麗川に65千トンのプラントをもつが、昨年9月に倍増することを発表した。

三菱化学(当時は三菱化成)は1989年に三養社との50/50JVの三養化成を設立した。現在は三菱化学25%、MEP 25%、三養社 50%出資で、能力は85千トン、半量をMEPが引き取って販売している。

台湾:
出光石油化学(当時)は台湾プラスチックとの50/50のJVの台化出光石油化学を設立し、麦寮工業区に100千トンのプラントをもっており、第3期75千トンの建設で合意している。

旭化成は上記の通り、旭美化成をもっている。

 

4月6日、住友化学はシンガポールでMMAの第三期増強の起工式をおこなった。三菱レイヨンも海外展開に活発で、旭化成もタイへの進出を検討している。

MMAモノマーは従来のキャストシート、エマルジョン、人工大理石、MBS樹脂、透明ABS樹脂などの用途に加え、液晶ディスプレイやプロジェクションテレビ向けなどのIT関連材料用の需要が急増している。各社の増設はこれに対応するものである。

以下に日本のメーカーの状況をみる。

MMAモノマーの製法面でみると、下記の通り、従来のACH法から直酸法、改良ACH法、更にはエチレン法と、多彩である。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/mma.htm

従来、MMAの製法はACH法であった。

アクリロニトリルから副生する青酸(クラレは天然ガスから青酸を製造)とアセトンを反応させてACH(アセトンシアンヒドリン)とし、これにメタノールを反応させてMMAをつくるが、大量の硫安ができるのが問題である。
日本では三菱レイヨン(一部)、旭化成(一部)、クラレがこの製法を使っている。
欧米では現在もほとんどがこの製法である。

三菱ガス化学はこれを改良して硫安を副生しない新ACH法を開発し、新潟に51千トンのプラントを建設した。副生したホルムアミドを青酸にして再利用するものである。

住友化学と三菱レイヨンは直酸法である。(住化はこれのみ)
旭化成は当初、イソブチレン原料の
MAN法を採用したが、ACHと同様に硫安を副生する。現在はイソブチレンとメタクロレインを反応させる直メタ法を使っている。

これらの製法の問題点はイソブチレンである。イソブチレンはC4留分からブタジェンを抽出した後のラフィネート-1のなかに含まれており、メタノールと反応させてMTBEにして他の留分(ブテン-1、ブテン-2、ブタン)と分離し、メタノールを除いて得ている。
このため、ナフサクラッカーの場所でないと製造できない。(原料と他の留分の輸送費がネック)

これらの製法に対して、エチレンやプロピレンを原料とする製法が研究されている。
ICIからMMA事業(ICIはデュポンからMMA事業を買収しており、これを含む)を買収したルーサイトは
エチレン法を開発、αプロセスと名付けたが、第1号プラントをシンガポールに建設することを決めている。

次に、各社の状況と戦略をみよう。

国内能力の合計は547千トン(2005年末)で、三菱レイヨンが217千トン(直酸法+ACH法)でトップである。

同社は海外進出にも精力的で、
タイではサイアムセメントと組んで 80千トンを生産しており、中国広東省では2006年に 90千トンをスタートさせる(原料は中海シェルから購入)。中国にはポリマーやシートでも進出している。
同社は更にルーサイトとの提携を決めた。三菱レイヨンが
米国に140千トン、ルーサイトがシンガポールでアルファ法で120千トンをそれぞれ建設し、互いに製品を供給するというもの。ルーサイトは上海にACH法(青酸は上海SECCOのANM副生品)で100千トンプラントを完成させたが、これと三レの広東省のプラントの製品も対象となる。(ルーサイトは台湾にもJV・Kaohsiung Monomerをもっている) 
このほか、本年1月には
韓国の湖南石油化学との間で韓国でモノマー、ポリマーを製造販売するJV設立で合意した。湖南石化は三井/クラレの直酸法を導入して50千トンプラントをもっている。

住友化学は1984年に日本触媒との合弁で愛媛に直酸法プラント(40千トン)を建設(既存のACH法プラントを廃棄)、その後、第二プラントとして姫路に50千トンプラントを、更に韓国でLGとの合弁でプラントを建設した。(のちにLGのポリマー事業をJVに取り込んだ)
なお、姫路のプラント向けイソブチレン入手のため水島に三菱化学とのJVでプラントを建設した。

更にシンガポールでの事業展開の一環としてMMAモノマー及びポリマーを生産している。

現在、韓国の能力は100千トンで、2008年の増設後は176千トンとなる。シンガポールは現在133千トン、今回の増設が完成すると223千トンとなる。
これらの完成後、住友化学グループのアジアにおける生産規模は、MMAモノマーで489千トン、MMAポリマーで244千トンとなり、アジア最大規模のメーカーとなる。

なお、住友化学と日本触媒は2002年に住化のアクリル酸事業、日触のMMA事業を、シンガポール事業を含めそれぞれ相手に譲渡した。(日触は韓国のJVには残留)
日触がアクリル酸事業で幅広く誘導品事業を行っているのに対し住化は単体営業だけであり、MMAでは住化がシート、成形材料など幅広く事業を行っているのに対し日触がモノマー営業だけであることから、事業交換により夫々がコア事業に経営資源を投入することとしたものである。

旭化成の国内能力は100千トン(直メタ法とACH法)である。同社はこのたび、タイPTTと組んで、同地でANM 200千トンと、ここから副生する青酸を原料としてACH法でMMAを70千トン生産する共同事業化の詳細検討を開始すると発表した。同社が開発したプロパン法ANプロセスを世界で初めて使用する。(旭化成のANM能力は、これが完成すると100万トン規模となる。)

このほか、三井化学が直酸法で40千トン、クラレがACH法で67千トンの能力をもっている。
三井の40千トンは1988年に三井東圧が完成させたもので、1989年に協和ガス化学が50%出資して共同モノマーとし、同年のクラレによる協和ガス吸収合併でクラレと三井化学のJVとなった。
2005年9月に両社は合弁を解消、共同モノマーは三井化学100%子会社となった。

 

欧米ではLuciteがICI及び旧デュポン(ICIが事業買収)のMMA事業を引き継いでいるが、他に米国ではRohm & Haas、欧州ではDegussa(旧 Rohm、米国にも100%子会社 Cyroをもつ)、及びSartomerTotal 子会社、旧称Atofina)があり、凌ぎを削っている。
Rohm & HaasとAtofinaは両社のMMAポリマー事業を統合してAtoHaas としたが、後、R&H が撤退し、AtoGlassと改称した。

各社ともエチレン法、プロピレン法などACH法に替わる製法の検討を行っているが、米国で本年5月にガソリンへのMTBE添加義務が失効してMTBE需要が激減するとみられていることから、これを原料とする直酸法の採用の可能性もある。
(住友化学は1988年頃、姫路の第二工場建設の代わりに、米国でARCOやRohm & Haas とのJVでARCOのTBAを原料としてMMAを生産することも検討した)
**TBAはイソブチレンを水と反応させるもので、TBAとメタノールでMTBEになる。ARCO(現ライオンデール)はPO/SMとPO/TBAの併産プラントをもっている。

5)麗川NCC(麗川)Koreamap_2

麗川NCCは1999年に同じ麗川で隣り合わせのハンファと大林産業がナフサクラッカーを統合したもの。同時に、ハンファはPPとHDPEを、大林産業はLDPEとLLDPEを、相手に譲渡した。

a)ハンファ

韓国政府は麗川で湖南石化のほか、ダウの50/50JVのKorea Pacific ChemicalでLDPE、EDC、VCMを企業化したが、1984年に韓国火薬が韓国ダウの事業を含めてこれを買収し、韓洋化学とした。
それより遥か前、1972年に韓国政府は既存のPVCメーカー5社を統合し、韓国プラスチックとしていたが、1988年に韓洋化学はこれを吸収合併し、電解~PVCの一貫メーカーとなった。
1994年に名前をハンファ(韓国火薬の「韓火」から)とした。

麗川のほか、蔚山のSKコンプレックスにもプラントを持っている。
1992年、麗川にナフサクラッカーをスタートさせた。

Ncc

b)大林産業

韓国政府は麗川に政府出資の韓国綜合化学を設立し、エチレンは同社100%の湖南エチレンで企業化したが、1979年に韓国政府は韓国綜合化学をロッテと大林産業に売却(その後大林は離脱)、湖南エチレンは大林産業に売却した。
大林産業は1987年に湖南エチレンを吸収合併した。

麗川NCCの現状は添付の通り。

錦湖P&B(フェノール)は当初錦湖グループとShellとのJV(Kumho Shell Chemical)であったが、現在は新日鐵化学が49%出資している。
ポリミレイ(PP)は大林産業がPP事業をバゼルとの50/50JVとしたもので、サンアロマー
が 30%を出資している。
錦湖ポリケム(EPR)は錦湖石油化学JSR35%
、EXXON(15%)のJV。
三南石油化学(TPA)は三菱化学三養社、GS Caltex (旧称 LG Caltex )の
JV。
三南化成(PC)は三養社三菱化学(25%)三菱エンジニアリングプラスチックス(25%) のJV。

錦湖三井化学(MDI)は三井化学錦湖石油化学のJVである。
三菱化学はアルキルフェノールの製造販売の Schenectady Koreaに50% 出資している。
(元、Kumho P&B Chemicals の事業をSchenectadyが買収したもの)

なお、第一毛織 Cheil Industries)は三星グループ。

6)現代石油化学(大山)

現代石油化学は1988年に現代グループが石化進出のために設立した。三星とともに、供給過剰時の新規参入で、業界や政府の反対を押し切り、中国向け輸出が中心としてエチレンコンプレックスを建設した。

1990年代末に韓国では財閥の弊害が問題となった。1998年に韓国・全国経済人連合会が主管して進めた五大財閥の構造調整案(Big deal)策定のなかで現代石油化学と三星総合化学の統合案が決まった。統合新会社に両社がそれぞれ出資し、残りを外国企業の出資を導入する予定であった。
参画外資として
三井物産の可能性も報じられたが、2000年末には結局失敗に終わった。このなかで、2000年11月にLGがVCM、PVCプラントを買収した。LgdaesanLottedaesan

結局2003年1月に韓南石化とLGへの売却が決まった。
2004年11月に両社はLGが第1系列、韓南石化が第2系列を分割所有することが決まり、それぞれ、LG大山石油化学、ロッテ大山石油化学を設立した。

現状は添付の通り。

7)三星総合化学(大山)

2000年末に三星と現代の合併が失敗に終わったが、2002年12月に三星は仏石油大手トタルフィナ・エルフの化学部門であるアトフィナから資本を受け入れる覚書を結んだと発表した。Samsung

2003年8月、50/50のJVのSamsung Atofinaが設立され、三星総合化学の資産が移管された。アトフィナは8億ドルを投入した。同社は現在、Samusung Total と改称している。

2005年10月、同社は「選択と集中」戦略に基づく600億円の拡張計画を発表した。2007年前半完成を目指し、以下の増設(PPはプラント新設)を行う。

エチレン   63万トン 83万トン
プロピレン   32万トン →  55万トン
SM   67万トン →  87万トン
PP   27万トン →  57万トン

なお、三星石油化学、三星BP(いずれも蔚山)は三星とBPのJV。

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本ブログの2-3月のバックナンバーを以下に見易くまとめました。

http://f56.aaa.livedoor.jp/~knak/blog/zenpan-1.htm

都合によりアドレスを変更しました。

http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

 

Koreamap_1 韓国の石油化学の創生期に日本の企業が技術供与、出資で協力したが、その後も多くの企業が進出している。

以下、各コンプレックスの概要と日本企業の状況を見る。(能力は2005年5月現在のもの:単位千トン)

 

1)SK(蔚山)

韓国開発銀行(政府)1962年に大韓石油を設立、その後 Gulf Oil が参加し、1972年に蔚山に韓国最初の石化コンプレックスをつくった。
その後、鮮京(SK)がGulf持株、政府持株を買収して100%出資とした。一時、油公と改称、1997年にSKとした。
SKのコンプレックスの現状は添付の通り。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/sk.htm 

コンプレックス創生期に日本の各社は誘導品で、資本及び技術支援を行った。その後の状況は次の通り。

丸紅とチッソエンジは大韓油化(PP、HDPE)に出資したが、大韓油化は1991年に近くの温山にナフサクラッカーを建設した。(下記2参照)

旭化成はANMで参加した東西石油化学を100%子会社とした。

三井石油化学は三星石油化学のPTAに参加したが、その後離脱した。同社は現在、三星グループとBPのJVとなっている。両社は三星BPで酢酸も生産している。

石油樹脂でコーロン油化に参加した日本石油化学は現在も出資している。

その後、三井化学は龍山三井化学を設立、東西石油化学のANMを使ってアクリルアマイドを生産している。また、三菱ガス化学が愛敬油化に参加して無水マレイン酸を生産している。

三菱化学BASF1.4ブタンジオールとTHFの技術をライセンスし、製品一部引取りの契約をしている。

なお、SKCは旧称・油公ARCOで、PO/SMを生産している。同社は別途SMプラントを建設したが、その後BASFに売却した。

2)大韓油化(温山)Kpc

大韓石油が1972年に蔚山に韓国最初の石化コンプレックスをつくった際に、大韓油化は丸紅とチッソエンジニアリングの出資と技術供与によりHDPEとPPを企業化した。丸紅は41.59%、チッソエンジは8%を出資している。

大韓油化は1991年に4,500億ウオン)を投じて近くの温山に250千トンのエチレン設備を建設したが、これが経営悪化の原因となり、19938月に7,000億W (当時のレ-トで 900億円)の累積債務で法定管理(会社更生法)を申請した。
この時点で丸紅は出資金を放棄して撤退した。チッソエンジはこの結果出資比率が14%となった。(現状不明)
         
現在の同社の状況は添付の通り。

温山のエチレン、プロピレンを蔚山に輸送している。

3)湖南石油化学(麗川)

韓国政府は蔚山の韓国最初の石化コンプレックスと並行して麗川に石化コンビナート建設を決定、日本に協力を要請した。
これに対して三井グループ、三菱グループが参加の検討を行った。(三菱はその後撤退)

三井グループはエチレン35万トン、HDPE 7万トン、PP 8万トン、EO/EG 8万トンとブタジェンの計画をたて、三井石油化学、三井東圧、三井物産及び日本石油化学(ブタジェンで参加)各25%出資で日本側投資会社の第一化学を設立した。Honam

その後、韓国政府は政府出資の韓国綜合化学を設立、エチレンは同社100%の湖南エチレンで企業化、誘導品は同社出資の麗水石油化学と第一化学の50/50出資の湖南石油化学で企業化した。なおブタジェンは取り止めとなり、第一化学は三井3社が各32%、日石化学が4%出資とした。
湖南石化のほか、韓国政府とダウの50/50JVのKorea Pacific ChemicalでLDPE、EDC、VCMを企業化した。(現在のハンファ)

1979年に韓国政府が韓国綜合化学をロッテと大林産業に売却(その後大林は離脱)、湖南エチレンは大林産業に売却した。
湖南石油化学は1992年に自社エチレンをスタートさせている。

日本側は順次湖南石油化学の経営から外れ、2002年12月に第一化学は持株を売却、2003年6月に第一化学は解散した。
現在は湖南石化の過半をロッテが保有している。

コンプレックス現状は添付の通り。
湖南石化は2001年に三井化学/クラレ技術で4万トン(現在5万トン)のモノマーを製造開始したが、モノマーの増強とポリマー事業展開のため、2006年1月、三菱レイヨンとの間でがMMAモノマー及びポリマーを製造・販売するための合弁会社を設立することで基本合意した。


なお、ロッテは現代石油化学の第2系列を買収している。(後記)

4)LG(麗川)

ラッキーは戦後、クリームからスタート(流行していた煙草のLucky Strikeから社名をとった)、樹脂製の瓶の製造から化学に、その樹脂を使って電機(Goldstar)にと事業を展開した。Lg

1978年に麗川でナフサクラッカーを建設した。

LGの現状は添付の通り。

住友化学日本触媒とともにLG MMAでMMAモノマー、ポリマーを生産している。
またダウとのJVでPCを生産している。
なお、LGはPVC(天津)、ABS(寧波)、その他で中国に進出しており、現在は原料VCM、SMを輸出しているが、天津でEDC、VCMプラントを建設中。

また、現代石化から2000年11月にVCM、PVCプラントを買収したのに続き、2003年ロッテと共同で現代石化を買収、その後第1系列を分割所有した。 (後記)

続く

韓国の石油化学 - 化学業界の話題

中国の石化製品の需給予想では経済産業省の「世界の石油化学製品需給動向」に基づいた中国の需給状況を示し、将来予想に関しては需要、能力両面で問題があり、中国バブルがはじける可能性があり、その場合にアジア全体に大きな影響が及ぶと述べた。

同じ「世界の石油化学製品需給動向」に基づき、韓国の石化製品の需給を別紙にまとめた。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/korea.htm

2005年の韓国のエチレン系製品のエチレン換算合計では、能力5,912千トンに対して需要は3,696千トンと、2,216千トンもの差がある。

能力と需要の差の内訳は実量ベースで、

LDPE    798千トン
HDPE   1,229千トン
PP     1,527千トン
PVC    553千トン
PS     933千トン

等である。

韓国には添付の通り、7つのエチレンコンプレックスがある。

エチレン能力 2005/5現在) 

会社名 立地   千トン
Samsung Total Petrochemicals
(旧・三星総合化学) 

Daesan

630

Hyundai Petrochemical
(旧・現代石油化学)
→ 
Lotte Daesan Petrochemical
→ LG Daesan Petrochemical

Daesan

(1,050)

600
450

SK Corporation

Ulsan

730

Korea Petrochemical Ind.
(大韓油化)

Onsan

400

LG Petrochemical
(LG石油化学)

Yeochun

760

Honam Petrochemical
(湖南石油化学:Lotte

Yeochun

720

Yeochun NCC
(麗川NCC)

Yeochun

1,465

Total  

5,755

Koreamap上記のうち、Samsung Total2007年上期にエチレン200千トン、SM 200千トン、PP 300千トンの増設が完成する。

韓国の石油化学は1970年代に蔚山(Ulsan)で大韓石油(韓国開発銀行 50%/Gulf Oil 50%)が、麗水(Yeochun)で韓国綜合化学(政府)がナフサクラッカーを建設、それぞれの誘導品に日本企業の技術支援と出資を得て、スタートした。

・蔚山
 誘導品に、以下の会社が韓国側に技術供与・出資をしている。

会社 相手先 製品
丸紅、チッソエンジニアリング 大韓油化 HDPE、PP
JSR、三井物産 韓国合成ゴム SBR
旭化成 東西石油化学 ANM
三井石油化学 三星石油化学 PTA
日本石油化学 コーロン油化 石油樹脂

・麗水
 三井石油化学、三井東圧化学、三井物産、日本石油化学が投資会社・第一化学を設立
 韓国綜合化学(政府)の100%出資の麗水石油化学と折半で湖南石油化学を設立し、HDPE、PP、EO/EGを生産した。
 

その後民営化により、2つのエチレンセンターのうち、前者はSK、後者は大林産業となり、続いてLG、三星、現代、大韓油化、湖南石油化学(ロッテ)、ハンファと、各財閥が競争でワンセット主義でコンプレックスをつくった。(その後、大林とハンファがナフサクラッカーを統合し、麗川NCCとした)
日本と同じく、基本的に過剰能力体質である。

なかでも大山にある旧・三星総合化学と旧・現代石油化学は、それまで石化事業を行っていなかった三星グループと現代グループが、既に供給過剰であったにもかかわらず、業界や政府の反対を押し切って参入した。
両社は中国輸出向けと称し、大山に新設したのも中国に近いからであるとした。

(1998年2月に財閥の構造改革に関する5大課題が発表され、石油化学については、現代石油化学と三星総合化学を統合し、外資を誘致する予定であった。これは実現せず、最終的には現代石油化学はロッテとLGが1系列ずつを買収し、三星はフランスのトタルとの50/50JVとなった。トタルは中国を中心とするアジア市場への窓口としており、増設に踏み切った。)

このように韓国の石油化学は中国向け輸出を前提に成り立っている。もし、中国向けの輸出がなくなれば、その影響は日本の比ではない。

当初、韓国が自製化を始めた際には日本への輸出が懸念されたが、実際にはあまり影響はなかった。しかし、今回は日本への影響は避けられないであろう。

ーーーーー

その後、大韓油化はエチレンに進出して経営が悪化し、会社更生法を申請、日本側は撤退した。
第一化学は
2002年に株を売却して撤退、20036月に解散している。

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