「no」と一致するもの


デンマークは10月30日、建設中のロシアとドイツを結ぶガスのパイプラインNord Stream -2について、デンマーク領海での建設を許可したと発表した。
ガスプロムが主導する建設企業に対し、パイプラインが通るバルト海におけるデンマークの大陸棚での工事を許可した。


Nord Stream -2
は全長約1200キロメートルで、バルト海を通ってロシアと独北部を結ぶ。輸送能力は年550億立方メートルで、ロシアの欧州へのガス輸出量の約4分の1に当たる。ドイツなど欧州企業も事業に参加し、これまでに建設作業の9割弱の建設が終わっており、デンマークの判断を受け、年内に完工するとの観測が出ている。

ロシアのGazpromは2015年、シベリアの天然ガスをサンクトペテルブルク北方のビポルクからバルト海海底約1200キロを通ってドイツ北東部グライフスバルトまで供給するNord Stream Pipelineの倍増計画に着手した。(Nord Stream 1 は2011年に完成)

2015年9月にShareholders' Agreementが調印された。

Nord Stream -1 Nord Stream -2
Gazprom 51.0% 51.0%
E.ON 15.5% 10.0%
Wintershall(BASF子会社) 15.5% 10.0%
Nederlandse Gasunie 9.0%
GDF SUEZ 9.0%
Shell 10.0%
OMV 10.0%
ENGIE  仏電気・ガス事業者 9.0%

2015/7/1 Nord Stream 倍増計画

Nord Stream -2は2017年にデンマークが領海での建設許可を保留したため工事が中断された。
2014年にロシアがウクライナ南部クリミア半島を一方的に編入して以降、欧州はロシアへの警戒心が増大した。米国やポーランドなどが、ロシアへのガス依存を高め、欧州の安全保障を脅かすとして中止を訴え、デンマークが許可を保留した。

これに対し、ロシアはパイプラインを純粋に商業的な事業と主張し、許可を求めていた。

また、ドイツは安価な天然ガスを安定需給できるとして計画に賛成してきた。
ドイツの国防相は10月11日、
Nord Stream -2の現状を踏まえると、建設を中止できると考えるのは非現実的だと述べた。ドイツのエネルギー供給確保においてNord Stream -2 は重要な要素だと指摘、また同パイプラインに関する法的枠組みには、ウクライナの保護策が盛り込まれる必要があると述べ、従来のドイツの立場を繰り返した。

ロシアとウクライナの天然ガスパイプラインに関する抗争については 2014/11/4 ロシアとウクライナ、天然ガス交渉で合意 を参照

ロシアが欧州各国にガスを輸出するためウクライナ国内のパイプラインを利用する契約は、今年末に期限を迎える。
両国はEUを仲介役として新規契約を交渉しているが、立場の隔たりが埋められていない。ロシアは1年ごとの契約更新を主張する一方、ウクライナは長期契約を求めているという。
ロシアは
Nord Stream -2完工のメドが立ったことにより、より強気で交渉に臨む可能性も指摘されている。
Nord Stream -2
が完成すれば、従来のパイプラインが通るウクライナのガス通過料収入が大幅に減ることが予想される。

このため、ドイツのメルケル首相はロシアのプーチン大統領に対し、「ウクライナ経由のガス供給は続ける」との確約を求めた。


ウクライナを迂回したロシア産ガスの輸出ルートでは、黒海からトルコに輸出し、さらにブルガリアやハンガリーなどに輸出する
Turkish Stream も建設されている。 2020年に運用開始の予定。

ロシアから欧州南部に天然ガスを輸送するパイプライン South Stream 計画は、EUの規制で、ブルガリアが認可しないことが理由で、2014年12月1日に中止となったが、ロシアとトルコは同日、黒海経由でトルコにつながる新たなガスパイプラインの建設で合意し、Gazpromトルコの Petroleum Pipeline Corporation (BOTAŞ) との間で覚書を交わした。 

ロシアからトルコまでは黒海を通るBlue Stream Pipeline があるが、新しいパイプラインを建設する。

海底部分のうち660kmはSouth Stream用に予定されていたルート、その他に 250kmがトルコ向けの新ルートとなる。黒海南西部沿岸の都市 Kıyıköyから陸上に入り、ギリシア国境のİpsala までの180kmが敷設される。
年間輸送能力は630億m3315億m3で、うちトルコが140億m3 半分を引き取る。トルコからブルガリア、セルビア、ハンガリーを経由して欧州へと輸送する。

2014/12/4 ロシア、South Stream 計画を取り止め

2015/7/15 ギリシャへの中国、ロシアの接近



米医薬品大手 Amgenは10月31日、中国のバイオテクノロジー会社、百済神州(BeiGene)の株式20.5%を現金約27億ドルで取得すると発表した。

Amgen はBeiGeneと提携して世界2位の医薬品市場である中国での抗がん剤事業を拡大する。

AmgenのCEOは「がん治療薬を中国で展開する上で、中国に販売や臨床研究の基盤を持つベイジーンは強力なパートナーとなる」と強調した。


BeiGeneは研究開発ベースで癌に特化したバイオテクノロジー企業で、開発部門に600名を抱える。

BeiGeneのパイプライン https://www.beigene.com/sites/default/files/2019-08/BeiGene Pipeline_8.13.19.pdf

FDAは2019年1月、BeiGeneの開発後期のBTK 阻害剤zanubrutinib について、成人のマントル細胞リンパ腫患者の2 次療法をBreakthrough Therapy に指定した。

BeiGeneは、中国で非扁平上皮非小細胞肺がんの第一選択治療として、化学療法と併用したtislelizumabの第3相試験を開始したと発表した。

BeiGeneと米のCelgeneは2017年7月5日、BeiGeneが開発中の免疫チェックポイント阻害薬BGB-A317の開発・販売に関する戦略的提携契約に合意した。Celgeneは米国、欧州、および中国以外のアジアで、2018年に固形癌患者を対象とする大規模臨床試験を開始する。
しかし、Bristol-Myers SquibbによるCelgene買収が決まったことを受け、BeiGeneは2019年6月17日、国際的な提携を終了することで合意したと発表した。CelgeneはBeiGeneに1億5000万ドルを支払う。

2019/1/9 ブリストル・マイヤーズスクイブ、米バイオ製薬大手セルジーンを買収


今回の提携の内容は下記の通り。

・ BeiGeneの株式20.5% の取得  取得株価は36%のプレミアム

・ BeiGeneは中国でAmgenの3つの製品を販売する。利益と費用を折半する。

XGEVA® (denosumab) 癌転移による骨損傷(SRE)の予防薬 2019/9に中国で販売開始
KYPROLIS® (carfilzomib) プロテアソーム阻害剤(多発性骨髄腫の治療薬)
2013年にAmgenが104億ドルで買収した
Onyx Pharmaceuticalsの製品
中国でPhase 3 trial
BLINCYTO® (blinatumomab) 再発あるいは前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病(前駆B細胞ALL)を対象

このうち、1剤は5年後、1剤は7年後にAmgenに戻す。
BeiGene は期間終了後も他の1剤は販売を続ける権利を持ち、Amgenに戻した製品についてもその後の5年間は販売ロイヤリティを受ける。

・ Amgen とBeiGene はAmgenの革新的な癌治療薬パイプラインのうちの20品目を中国及び全世界で進めるよう協力する。

BeiGeneはグローバルな研究開発コストを負担し、これらの薬を進めるため12.5億ドルを支出する。

Amgenはこれら製品の中国外での販売についてロイヤリティをBeiGeneに支払う。
但し、固形腫瘍治療薬として研究されているAmgenの画期的なKRASG12C inhibitor(AMG 510)は除く。

・ 開発中の20品目について、AMG 510を含め、BeiGeneは 発売後7年間、販売権を持つ。
 その後、AMG 510を除き、6年間の販売の権利を留保する。

権利がAmgenに戻るまでの間、両社は中国での利益を折半する。権利がAmgenに戻ってから5年間はAmgenはBeiGeneに販売ロイヤリティを支払う。

・ Amgenは癌以外の薬を引き続き中国で販売する。

本年初めに心臓発作のリスクを下げるLDLコレステロール低下剤のRepatha® (evolocumab)を発売した。
このほか、閉経後の骨粗鬆症のリスクを下げるProlia® (denosumab)などを7~8年内に中国で販売する計画である。

・ XGEVA, KYPROLIS、BLINCYTO及びその他の癌治療薬はAmgenの既存のプラントで生産する。

・ AmgenはBeiGeneに取締役を1人派遣する。

三井化学

基盤素材(石油化学品・工業薬品)の交易条件悪化で大幅減益となった。

                         単位:億円(配当:円)
  売上高 営業損益 持分法 経常損益 特別損益 株主帰属
損益

配当

中間 期末
17/3 12,123 1,021 2 972 -114 648 5.0 9.0
18/3 13,285 1,035 71 1,102 -160 716 9.0 9.0
19/3 14,829 934 108 1,030 23 761 10.0 10.0
20/3予 13,650 840 790 420 10.0 10.0
増減 -1,179 -94 -240 -341
18/9中 7,209 497 86 584 -27 418
19/9中 6,749 345 28 326 -94 118
増減 -460 -153 -58 -258 -67 -300


営業損益

17/3 18/3 19/3 20/3予 増減 18/9 19/9 増減

内訳

数量差 交易条件 固定費他
モビリティ 407 423 427 410 -17 201 198 -3 -3 11 -11
ヘルスケア 101 108 136 145 9 63 60 -3 0 6 -9
フード&パッケージング 206 199 178 195 17 88 79 -9 -13 10 -6
基盤素材 385 389 278 175 -103 184 49 -136 -13 -120 -3
その他 -3 -9 -14 -10 4 -12 -11 1 1
全社 -75 -75 -71 -75 -4 -27 -30 -3 -3
合計 1,021 1,035 934 840 -94 497 345 -153 -29 -93 -31

ーーー

東ソー

クロルアルカリの交易条件の悪化などで大幅減益となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 当期損益

 配当

中間 期末
2017/3 7,430 1,112 1,131 -26 757 7.5 16.5
2018/3 8,229 1,306 1,323 -19 888 12.0 16.0
2019/3 8,615 1,057 1,130 3 781 14.0 14.0
2020/3予 8,000 840 860 570 14.0 14.0
増減 -615 -217 -270 -211
18/9中 4,245 560 607 -7 417
19/9中 3,964 404 419 -9 268
増減 -281 -156 -189 -2 -149

営業損益は下記の通り。

 

 

  17/3

18/3

19/3 20/3予 増減 18/9 19/9 増減

内訳

数量差 交易条件 固定費他
石油化学 201 225 134 117 -17 80 53 -27 -5 5 -27
クロルアルカリ 479 666 460 279 -181 251 112 -138 0 -63 -76
機能商品 354 339 353 307 -47 193 154 -39 -29 2 -12
エンジニアリング 51 49 83 113 30 24 72 48 47 0 1
その他 27 27 27 24 -3 13 13 0 - - -
合計 1,112 1,306 1,057 840 -217 560 404 -156 14 -56 -113

ーーー

信越化学

2019年3月期は2期連続の最高益になった。

本年度は価格の下落で各社が大幅減損となったが、 信越化学は価格下落の環境のなかでも好調を維持した。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2017/3 12,374 2,386 2,421 1,759 60 60
2018/3 14,414 3,368 3,403 2,662 65 75
2019/3 15,940 4,037 4,153 3,091 100 100
2020/3 15,500 4,050 4,180 3,140 110 110
前年比 -440 13 27 49 10 10
18/9中 7,917 2,092 2,171 1,588
19/9中 7,865 2,105 2,182 1,650
増減 -52 13 11 62

営業損益

セグメント  17/3 18/3 19/3 20/3予  

 

 
18/9 19/9 増減
塩ビ・化成品 532 932 1,065 597 517 -80 市況の影響があったが高水準の出荷
シリコーン 425 520 585 291 311 21 汎用製品の価格下落があったが、機能製品を中心に拡販
機能性化学品 222 257 266 135 139 4
半導体シリコン 560 930 1,320 666 745 79 半導体デバイス市場に軟化の動き
電子・機能材料 552 616 670 341 333 -8
その他 96 115 133 64 73 8
全社 -1 -2 -3 -2 -13 -12
合計 2,386 3,368 4,037 4,050   2,092 2,105 13


半導体シリコンは市況は落ち込んだが、信越化学は
主力の直径300ミリメートル品の約95%以上が長期での販売契約を結んでおり(世界で3割のシェアを持ち、契約条件で強気に出られる)、おおむね契約に基づく価格で出荷できた。(日本経済新聞 2019/10/25)



なお、Shintechのエチレン新設(14億ドル)は2019年下半期に、また、PVC新増設(塩~電解~VCM~PVCの一貫:14.9億ドル)は2020年下半期に完成する。

立地 PVC VCM カ性ソーダ エチレン
Texas州 Freeport  145   -   -
Louisiana州 Addis   58   -   -
Plaquemine   60   160  106
2013/6 増設 32 30 20
手直し 4
2019 完成 50
(認可取得) (86) (66)
2020年末 完成 29 ? 27
今回増設後合計 324  ?   157 50

大幅減益となった。

MMAが売買差で大幅減益となった。

ヘルスケアは2017年3月期には1000億円程度の営業利益があったが、当期実績及び年間予想は100億円程度にとどまる。田辺三菱製薬の項を参照。

                                     単位:億円(配当:円)
  売上高 営業損益 うちコア うち
持分法
税引前
損益
法人
所得税
税引後
損益

うち

配当

少数株主 株主帰属 中間 期末
17/3 33,761 2,686 3,075 170 2,583 -444 2,165 603 1,563 8.0 12.0
18/3 37,244 3,557 3,805 266 3,441 -677 2,764 646 2,118 15.0 17.0
19/3 39,234 2,980 3,172 269 2,881 -713 2,167 472 1,695 20.0 20.0
20/3予 37,650 2,410 2,500 2,210 1,310 20.0 20.0
増減 -1,584 -570 -672 -671 -385
18/9中 18,819 1,856 1,872 171 1,830 -369 1,469 267 1,202
19/9中 18,277 1,306 1,308 81 1,224 -376 1,017 204 813
増減 -542 -550 -564 -90 -606 -10 -452 -63 -389

       税引後損益には非継続事業損益を含む。

営業損益

17/3 18/3 19/3 20/3予 増減 18/9 19/9 増減 内訳
売買差 数量差 コスト削減 その他

機能部材

623 580 382 520 138 237 253 16 -19 -14 26 -45
機能化学 319 360 331 290 -41 220 152 -68
MMA 379 1,096 944 450 -494 635 253 -382 -310 16 14 -180
石化 209 259 87 90 3 72 18 -54
炭素 38 124 249 190 -59 113 89 -24
産業ガス 521 575 633 930 297 269 443 174 -9 172 4 7
ヘルスケア 984 812 538 100 -438 343 98 -245 0 -261 36 -20
その他 2 -1 8 -70 -78 -17 2 19 1 11 0 7
合計 3,075 3,805 3,172 2,500 -672 1,872 1,308 -564 -337 -76 80 -231

     その他差には受払差、持分損益差(-90億円)等

産業ガスについては、子会社の大陽日酸が2019年3月に米国Praxairの欧州事業を買収したため、増収増益となった。

2018/7/13 大陽日酸、米国Praxairの欧州事業を買収

付記 MMAの足元の国際価格(アジア地域)は1トンあたり1600ドル弱で、18年夏から4割も下落した。(2019/11/30 日経)

ーーー

田辺三菱製薬 (三菱ケミカルHDの出資比率は56.3%)

営業損益のほとんどを占めていたロイヤリティ収入が激減し、大幅減収減益となった。

売上高 営業損益 うちコア ロイヤリティ 税引前 株主帰属 配当
中間 期末
17/3 4,240 941 945 822 961 713 24.0 28.0
18/3 4,339 773 785 791 788 580 38.0 28.0
19/3 4,248 503 558 631 504 374 28.0 28.0
20/3予 3,760 115 100 192 120 50 28.0 28.0
増減 -488 -388 -458 -439 -384 -324 0 0
18/9中 2,097 345 345 363 348 250
19/9中 1,881 126 117 92 121 83
増減 -216 -219 -228 -271 -227 -167

問題は多発性硬化症治療剤「ジレニア」のロイヤリティ収入である。

田辺三菱製薬の前身の吉富製薬が創製し、海外ではノバルティス(スイス)に導出したこの薬剤のロイヤリティ収入は、収益の柱となっている。

2019年2月、ノバルティスから本件契約の規定の一部の有効性について疑義が提起され、2019年2月15日、国際商業会議所より、ノバルティスを申立人とする仲裁の申立てがあった旨の通知を受領した。

ノバルティスは、米国、EU等における製品の売上ベースのロイヤリティ支払い義務を定める本件契約の規定の一部は無効であり、ノバルティスにはロイヤリティの一部の支払義務がないことの確認を求めている。

本仲裁は、ICCの仲裁規則に従い、英国ロンドンを仲裁地として行われる。

IFRSルールでは、収益認識基準の要件の一つ に「契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している」 があり、ノバルティスが契約の有効性について疑義を提起している部分がこれを満たさなくなったため 、売上収益から除外する。

田辺三菱は、本件契約の有効性を検討した結果、何ら問題はないという結論に至っているとしている。今後、仲裁で勝利した場合、売上収益から除外している部分については一括収益計上する。

もう一つのロイヤリティの「インヴォカナ」は、ヤンセンファーマシューティカルズに導出した2型糖尿病治療剤。


富士フイルムホールディングスは11月5日、Xerox Corporationとの間で、Xerox が保有する富士ゼロックスの株式の全てを富士フイルムホールディングスが取得する契約を締結したと発表した。富士フィルムは米Xeroxの買収を断念した。

富士フイルムおよびXerox の各取締役会において、全会一致で承認された。本件の取引完了は2019年11月中を予定している。

ーーー

富士フイルムは2018年1月にXerox買収を発表した。

富士フィルムが持つ富士ゼロックスの株式(75%)を61.8億ドル(6710億円)と評価し、これを Xerox に渡す見返りにXerox株の50.1%を取得する。
Xerox株主はXeroxの株式100%の代わりに、Xeroxの49.9%と特別配当25億ドルを受け取る。

しかし、Xeroxの大株主がこの取引に反対、Xeroxが同年5月に富士フイルムと結んだ買収契約を一方的に破棄した。
富士フイルムはXeroxに損害賠償を求めて訴訟を起こした。

推移:

2018/2/1 富士フィルム、米国Xerox Corporationの50.1%を取得
2018/2/15 富士フイルムによる買収、ゼロックス大株主が差し止め提訴
2018/2/22 ゼロックス大株主、富士フイルム以外への身売り提案
2018/3/5 米ゼロックス、大株主が再び提訴
2018/4/23 Xeroxを巡る戦い 激化、委任状争奪戦に発展か?
2018/4/30 富士フイルムの Xerox買収、NYの裁判所が差し止め仮処分
2018/5/2 Xerox、富士フィルムとの統合見直し、株主のCarl Icahn、Darwin Deason と和解
2018/5/4 Xerox、株主との和解を撤回、現取締役会メンバー全員が留任
2018/5/11 Xerox、富士フィルムと条件面で再交渉へ
2018/5/14

Xerox、再び株主と和解、富士フイルムによる買収契約を破棄

2018/6/21

富士フイルム、米Xerox を提訴

2018/6/27

Xerox、富士フイルムによる提訴に反論、提携解消も

の後、事態は進展せず、今回、富士フィルムは米Xeroxの買収を断念し、富士ゼロックスのXerox持分を買い取り、100%子会社とする。


取引概要:

富士フイルムホールディングスによるXerox保有の富士ゼロックス株式25%ならびに
富士フィルムとXeroxのJVでレーザープリンターや消耗品のOEM販売とサポートを行う Xerox International Partners のXerox 持分(51%) の取得

対価は総額23億ドル(約2,530億円)で、富士ゼロックス株は22億ドル、後者が1億ドル。

2018年1月に富士フィルムは富士ゼロックスの75%を61.8億ドル(6710億円)と評価した。
これによると、25%分は20.6億ドルに相当する。
今回、これを22億ドル(7%増し)で購入することとなる。Xerox株主を満足させるためか?

欧米市場を含むワールドワイドでOEM供給の拡大を可能にする新たな契約の締結

富士ゼロックスによる Xeroxへの5年間の製品供給の継続

取引完了時に富士フィルムが2018年6月18日に提起したXeroxに対する10億ドルの損害賠償請求訴訟を取り下げ


富士フイルムの古森重隆会長は「ドキュメント事業を成熟産業と捉える見方もあるが、私はそうは思わない。富士ゼロックスは販売地域を全世界に広げる」と述べた。

Xeroxは、富士ゼロックス株の売却で得る23億ドルのうち、5億5000万ドルを負債の返済にまわし、残りは株主還元とM&Aに充てる。

付記

Xeroxは米パソコン大手 HP Inc. (Hewlett-Packard)に対して買収提案を行った。現金と株式交換の組み合わせによる買収で、買収額は約330億ドルとされる。
HP Inc.は11月6日、協議が進行中と発表した。

We have had conversations with Xerox Holdings Corporation from time to time about a potential business combination. We have considered, among other things, what would be required to merit a transaction. Most recently, we received a proposal transmitted yesterday (2019/11/5).
We have a record of taking action if there is a better path forward and will continue to act with deliberation, discipline and an eye towards what is in the best interest of all our shareholders."


ーーー

富士フィルムとXeroxの問題が、これで全て解決した訳ではない。

現在、Xeroxと富士ゼロックスの技術契約に基づき、富士ゼロックスはアジア太平洋で「Xerox」の商標を使って独占的に販売する権利を持つ。事務機器市場が縮小するなかで、アジア太平洋市場は成長が続いている。

この契約では営業地域などを決めており、5年ごとに更新する。次回は2021年の更新で、更新がなければ、2021年からはXeroxが「Xerox」の商標で独占的に販売できることになる。

Xeroxの大株主で「物言う株主」として知られる著名投資家 Carl Icahn と同じく大株主のDarwin Deason は富士フィルムによる買収に反対し、株主に訴え続けてきた。

Carl Icahn とDeasonは2018年2月20日、Xeroxの株主に対し「競合他社との合併や身売り」や「買収ファンドへの身売り」を提案する書簡を公開したが、その中で、「契約上、Xeroxは2020年に契約を終息するプロセスを始める権利を持つ。その場合、Xeroxは世界で唯一の成長市場であるアジア太平洋市場でXerox商標で事業ができる」と述べている。

2018/2/22 ゼロックス大株主、富士フイルム以外への身売り提案

米コンサルティング会社 Mercerが10月にまとめた2019年度の年金制度の国際ランキング(Melbourne Mercer Global Pension Index :MMGPI) によると、日本の年金制度は先進国を中心とする37の国と地域のうち31位だった。年金の持続性を問う項目の評価が低かった。

Mercerは日本の年金制度を「改善がなされなければ、年金制度の効果と持続性には疑義が生じる」と指摘している。


発表(日本) https://www.mercer.co.jp/newsroom/2019-global-pension-index.html
発表(原文) https://info.mercer.com/rs/521-DEV-513/images/MMGPI 2019 Full Report.pdf

MMGPIは、Monash Centre for Financial Studies (MCFS、メルボルンにあるMonash University Business Schoolの研究センター) とプロフェッショナルサービスを提供するMercerとの共同研究プロジェクトであり、豪州ビクトリア州政府の支援を受けている。

調査開始から今年で11年目となる今回は、 世界人口のほぼ3分の2を網羅する37ヵ国の年金制度を比較検証した。

MMGPIは、「十分性 (Adequacy)」、「持続性 (Sustainability)」、「健全性 (Integrity)」に大別される40以上の項目から構成され、この3つの項目指数を加重平均して算出している。

 1) 十分性:老後への備え、預貯金や持家などの資産状況、福利厚生、税制面の補助等に関する評価

 2)持続可能性:年金基金の資産状況、人口動態、政府の負債、国の経済成長の見通し等

 3)制度面の健全性:監督規制、ガバナンス、制度運用コスト等

現行制度における将来の年金給付継続の可能性を測定することで、「持続性」サブ指数は多くの年金制度の弱点を引き続き浮き彫りにしている。


オランダは指数が最も高く(81.0)、過去11年のMMGPIレポートのうち10年において一貫して1位または2位の座を維持している。最も指数が低かったのはタイであった(39.4)。

各サブ指数で最も高い指数となったのは、十分性ではアイルランド(81.5)、持続性ではデンマーク(82.0)、健全性ではフィンランド(92.3)であった。
最低指数は、十分性ではタイ(35.8)、持続性ではイタリア(19.0)、健全性ではフィリピン(34.7)だった。

日本の総合指数で、下から7番目である。サブ指数でもそれぞれ下位にある。特に持続性が低い。

Grade 綜合指数 サブ指数
十分性
(40%)
持続性
(35%)
健全性
(25%)
A >80 Netherland 81.0 78.5 78.3 88.9
Denmark 80.3 77.5 82.0 82.2
B+ 75-80 Australia 75.3 70.3 73.5 85.7
B 65-75 Finland 73.6 73.2 60.7 92.3
Sweden 72.3 67.5 72.0 80.2
Norway 71.2 71.6 56.8 90.6
Singapore 70.8 73.8 59.7 81.4
New Zealand 70.1 70.9 61.5 80.7
Canada 69.2 70.0 61.8 78.2
Chile 68.7 59.4 71.7 79.2
Ireland 67.3 81.5 44.6 76.3
Switzerland 66.7 57.6 65.4 83.0
Germany 66.1 78.3 44.9 76.4
C+ 60-65 UK 64.4 60.0 55.3 84.0
Hong Kong 61.9 54.5 52.5 86.9
USA 60.6 58.8 62.9 60.4
Malaysia 60.6 50.5 60.5 76.9
France 60.2 79.1 41.0 56.8
C 50-60 Peru 58.5 60.0 52.4 64.7
Columbia 58.4 61.4 45.0 70.8
Poland 57.4 62.5 45.3 66.0
Saudi Arabia 57.1 59.6 50.5 62.2
Brazil 55.9 71.8 27.7 69.8
Spain 54.7 70.0 26.9 69.1
Austria 53.9 68.2 22.9 74.4
South Africa 52.6 42.3 46.0 78.4
Indonesia 52.2 46.7 47.6 67.5
Italy 52.2 67.4 19.0 74.5
D 35-50 Korea 49.8 47.5 52.6 49.6
China 48.7 60.5 36.7 46.5
Japan 48.3 54.6 32.2 60.8
India 45.8 39.9 44.9 56.3
Mexico 45.3 37.5 57.1 41.3
Philippines 43.7 39.0 55.5 34.7
Turkey 42.2 42.6 27.1 62.8
Argentina 39.5 43.1 31.9 44.4
Thailand 39.4 35.8 38.8 46.1
E <35 該当なし
平均 59.3 60.6 50.4 69.7

大日本住友製薬は10月31日、米国のRoivant Sciences との間で、戦略的提携に関する正式契約を締結した。

本戦略的提携には、Roivant の子会社 5 社の株式取得、他の子会社 6 社の株式取得に関するオプションの獲得、Roivant 株式の 10%以上の取得、ヘルスケアテクノロジープラットフォームの取得が含まれている。

具体的な取得対象は後記の通りで、大日本住友製薬は対価として総額30億ドルを支払う。(子会社5社を含めた新会社に 20億ドル、Roivantの株式 に10億ドル)


大日本住友製薬が米国で年約1800億円を販売する主力薬「ラツーダ」の 物質特許は本年1月2日に失効した。

しかし、用途特許や製剤特許はなお有効であり、昨年12月に後発薬各社との間で和解が成立し、後発薬の登場を2023年2月以降に4年遅らせることに成功した。

2019/1/25 大日本住友製薬、主力薬「ラツーダ」の特許で 後発薬各社と和解

この間にラツーダの後継を育てることが事業存続のために必須である。

対策の一環として、大日本住友製薬は2012年4月25日、米国のBoston Biomedical Inc.の買収を完了した。

Boston Biomedical は癌領域を専門とするバイオベンチャー企業で、癌幹細胞への抗腫瘍効果を目指して創製された低分子経口剤であるBBI608 (ナパブカシン及びBBI503 の2 つの有力な開発パイプラインを有している。

2012/3/3 大日本住友製薬、米国医薬品会社Boston Biomedical を買収 

しかし、2019年7月2日、同社はナパブカシンの膵がん患者を対象としたフェーズ3試験の中止を発表した。(結腸直腸がんの試験は続行中)


今回、多額の投資を行い、ポスト・ラツーダ候補品目に加え、初期パイプライン、ヘルスケアテクノロジープラットフォームおよび人材を獲得し、持続的成長の実現に向けてグループ全体の大変革を実現する。

ーーー

Roivantは2014年に設立された非上場企業で、機敏性と起業家精神を重視し、領域や化合物ごとに「◯◯vant」と呼ぶ子会社を複数設立している。
現在、テクノロジーを活用したプラットフォーム、臨床および非臨床開発段階にある45以上の開発中の医薬品、複数のヘルスケアテクノロジーを備えた20のVantsで構成されている。

Roivantのビジネスモデルは、ほかの製薬企業が戦略的な理由で開発を中止した化合物を譲り受け、開発を進めるというもの。例えば、今回の提携で大日本住友が獲得するレルゴリクスは武田薬品工業が、ビベグロンは米メルクが創製した化合物。

創業者Vivek Ramaswamy はヘッジファンドに勤めている際に製薬会社が多額のコストと時間をかけて開発している新薬を途中でやめてしまう事が多いことを知り、他企業が中断した新薬技術を買い取りロイヤリティの取り決めをした上で新薬を開発するビジネスモデルを思いつき、同社を立ち上げた。

膨大な公開データベースからAIを用いて新薬候補、作用機序、エンドポイントのデータを調べチャートを作る「薬群マッピング」戦略で開発薬を絞込みと商業的実用化の可能性を探る。次に製薬会社と交渉し、契約がまとまると子会社が開発を続行する。

ソフトバンクグループは2017年5月20日、サウジアラビアなどと共同で10兆円規模の投資ファンド SoftBank Vision Fundを発足させた。
Roivantは
2017年8月、11億ドルの出資を受けると発表したが、その大半はSoftBank Vision Fundによるもので、おそらくはバイオテック企業への史上最大の単一出資である。


 図のソース https://answers.ten-navi.com/pharmanews/16908/


具体的な取得対象は次の通り。

①下記の子会社5社の株式とヘルスケアテクノロジー等に関わる人材を移管した新会社を取得する。

初めの2社は上場しており、Roivant持ち株を全て取得(Myovantは46%保有だが、Roivantが50%超にした上で取得)

取得比率
Myovant Sciences Ltd.
NYSE上場
50%超 婦人科および前立腺がん レルゴリクス、MVT-602など
Urovant Sciences Ltd.
NASDAQ上場
75% 泌尿器 ビベグロン、URO-902など
Enzyvant Therapeutics Ltd. 100% 小児希少疾患 RVT802、RVT-801など
Altavant Sciences Ltd. 100% 呼吸器系希少疾患 Rodatristat ethylなど
Spirovant Sciences Ltd. 100% 嚢胞性線維症遺伝子治療 SPIRO-2101、SPIRO-2102など


これらの5社は合計9品目の有望な開発パイプラインを有し、2019年度から2022年度までの間に米国で複数の製品の承認取得が期待されている。
このうちレルゴリクスおよびビベグロンはブロックバ
スターになることが期待される。

Roivant に残る子会社のうち 6 社の株式を取得するオプションを取得し、2024 年までの期間中、各子会社に対する当該オプションを行使することができる。

Dermavant Sciences Ltd. 乾癬対象にフェーズ3試験を、アトピー性皮膚炎を対象にフェーズ2試験を実施中
Genevant Sciences Ltd. RoivantとArbutus Biopharma CorporationとのJV
脂質ナノ粒子 (LNP)およびリガンドコンジュゲートデリバリープラットフォームを利用した核酸医薬品を開発
Sinovant
(Roivant China Holdings Ltd.)
中国の市場ニーズに合致したパイプライン(抗がん剤、感染症治療薬など)
Cytovant
(Roivant Asia Cell
Therapy Holdings Ltd.)
T細胞受容体をターゲットとした樹状細胞を利用した細胞治療
Lysovant Sciences Ltd. 感染症領域の生物学的製剤の開発
Metavant Sciences Ltd. 慢性腎臓病を伴う糖尿病を対象としたフェーズ1b試験を完了

 また、Roivant が有するAxovant Gene Therapies, Ltd.の式に関する先買権(right of first refusal)も取得する。

②Roivantの株式の10%以上を取得

③Roivantのヘルスケアテクノロジープラットフォーム取得

RoivantのヘルスケアテクノロジーのDrugOmeおよびDigital Innovationを取得

④Roivantの子会社が開発したヘルスケアテクノロジーの利活用に関する業務提携

Roivantグループのヘルスケアテクノロジー子会社 Datavant, Inc.(外部の複数のヘルスケア関連データを匿名化のうえで連結、分析)、Alyvant, Inc.(営業活動の効率化)が提供するサービスを利用





2019/10/11 トランプ大統領 弾劾の状況

2019/10/12 ニューヨークの連邦地検、ジュリアーニ弁護士と関わりのあるビジネスマン2人を逮捕

2019/10/17 トランプ大統領 弾劾の状況 -2 

2019/10/22 トランプ大統領 弾劾の状況 -3

10/22 ウクライナのアメリカ大使館のテイラー臨時代理大使が証言

バイデン氏の家族が役員を務める企業などに関してウクライナ側が調査すると表明することがアメリカによる軍事支援の条件だった。

このことはトランプ大統領の意向であると、ソンドランド駐EU大使からテイラー氏に伝えられた。

証言を聴き、「これはトランプが大統領になって『最悪の日』で、この証言でトランプ弾劾は100%可能になった」とのコメントも。

ホワイトハウスは「トランプ大統領には何もやましい点はない」とする声明

トランプ大統領ツイッターで、「すべての共和党員は、いま目撃しているのがリンチだということを忘れてはいけない。しかし、われわれは勝つ!」

So some day, if a Democrat becomes President and the Republicans win the House, even by a tiny margin, they can impeach the President, without due process or fairness or any legal rights.

All Republicans must remember what they are witnessing here - a lynching. But we will WIN!

リンチは1880年代と1960年代に繰り広げられた多数のアフリカ系アメリカ人の殺害を示唆する言葉。共和党のマコネル上院院内総務は「歴史を考えると、わたしはリンチと比較することはしない。残念な言葉の選択だ」と述べた。

別途、大統領は、「トランプの罪は2016年の大統領選挙で勝ったことだけだ」と。

"The Democrats are trying to draw out this inquiry because they don't have the support.
Donald Trump is guilty only of winning the 2016 Election."

10/23 Laura Cooper ロシア・ウクライナ・ユーラシア担当国防次官補代理の証言

国防省の証言禁止に反して証言

証言を非公開で始めようとしたところ、委員会に所属していない20人以上の与党共和党議員が傍聴を求めて室内に立てこもり、約5時間も開催が遅れる異例の事態となった。トランプ氏が高官の非公開証言が続いている状況に不満を示していることに呼応し、非所属の共和党議員らは傍聴を求めた。 その後5時間にわたり公聴会は膠着状態。

10/25 ワシントンの連邦地裁は、トランプ大統領に対する下院民主党の弾劾調査は適法と判断、
司法省に対しモラー特別検察官の捜査報告書で黒塗りにされた大陪審関連の情報を30日までに下院司法委員会に開示するよう司法省に命じた。

トランプ政権は弾劾調査を承認する採決が行われていないことを理由に、下院の調査は正当でないと主張してきた。

捜査報告書は2016年の米大統領選に絡むロシア疑惑を巡ってモラー特別検察官がまとめた約400ページの報告書で、トランプ陣営とロシアの共謀疑惑や司法妨害の可能性について、22カ月にわたった捜査の詳しい内容が明らかになる。大陪審が集めた捜査資料は、法律で開示が禁じられ、2019年4月に公表された捜査報告書は黒塗りにされた。

「大統領の弾劾が支持されるかを判断する重大な憲法上の義務の遂行に当たり、2年近くを費やした特別検察官の捜査を議会がやり直す必要はなく、既に情報提供した可能性のある証人によって誤った判断に導かれるリスクを冒す必要もない」とした。

10/28 トランプ米政権、モラー元特別検察官の報告書を巡り、議会委員会に無編集で全文を提出するよう命じた地裁の判断を不服として、控訴裁判所に上訴

「執行が停止されなければ、司法省は修復不可能な打撃を受けるため、執行停止は正当化される。いったん情報が開示されれば、撤回は不可能で、大陪審の情報の機密性が永遠に失われる」

判事が司法委員会の調査について、報告書全文の公開を正当化する合法的な弾劾調査の一環であるとの「誤った判断」を下した。

民主党は、弾劾訴追の調査について正式承認する決議案を下院本会議で採決することを決めた。採決は31日の見込み。

「米国民に開かれた公聴会手続きを確立し、証言内容の記録文書の公開を認め、弾劾条項を審議する下院司法委員会に証拠を送るための手続きを定めるもの」

トランプ氏と複数の共和党議員が、本会議での採決をしないまま弾劾手続きを進めようとしていると民主党を批判していることに対抗する措置

10/29 国家安全保障会議(NSC)メンバーのアレクサンダー・ビンドマン陸軍中佐がホワイトハウス当局者として初めて下院の3委員会で証言

トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に政敵のバイデン前副大統領の調査を求めたことに懸念を抱き、ホワイトハウスの弁護士に国家安全保障の観点から問題を報告したと明かした。

「外国政府に米市民の調査を求めることが適切とは思わなかった。米政府のウクライナ支援に関する暗示について懸念した」

公開済みの米ウクライナ首脳の電話記録からバイデン氏に関する部分など「重要な文言が抜け落ちた」と述べた。政権が不都合な部分を意図的に排除した可能性がある。

10/30 下院委員会、9月に解任されたボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に公聴会で11/7に証言するよう書簡で求めた。

ボルトン氏は、トランプ氏のジュリアーニ顧問弁護士がウクライナに非正規外交ルートで影響力を行使していたことに批判的だったとみられており、トランプ氏には大きな打撃となりそう。

10/31 下院本会議で、トランプ大統領に対する弾劾調査の手続きを定めた決議案を賛成232、反対196の賛成多数で可決
弾劾調査で公開証言などを行うことが可能に。
共和党 民主党 無所属 合計
賛成 231 1 232
反対 194 2 196
棄権 3 1 4
合計 197 234 1 432

9月に 共和党2議員が辞職、10月に民主党議員が逝去で欠員3、無所属は共和党からの離党者

トランプ大統領ツイッター:

The Greatest Witch Hunt In American History!

米連邦準備理事会(FRB)は10月30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き下げ、7月、9月に続く3会合連続の利下げに踏み切った。

貿易戦争のリスクを警戒し、金融緩和で景気悪化を未然に防ぐ。

.
2008/10  2.00%→1.50%→1.00%
2008/12  0.00%~0.25%
 0.00%~0.25%
2015/12  0.25%~0.50%
2016/12  0.50%~0.75%
2017/3  0.75%~1.00%
2017/6  1.00%~1.25%
2017/12  1.25%~1.50%
2018/3  1.50%~1.75% パウエル議長
2018/6  1.75%~2.00%
2018/9  2.00%~2.25%
2018/12  2.25%~2.50%
2019/7  2.00%~2.25%
2019/9  1.75%~2.00%
2019/10  1.50%~1.75%

付記 2020年3月3日、FRBが緊急利下げ 0.50%
3月15日、政策金利を一気に1%引き下げ

2020/3/3

 1.00%~1.25%

2020/3/15

 0.00%~0.25%

声明文では、「見通しについての不確実性が残る」との文言を残した。
しかし、「景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」との文言は削除された。

パウエルFRB議長の定例会見では以下の発言があり、利下げを当面休止すると示唆したと見られている。

「金融政策は良い状況にあると判断」
「現行の政策スタンスは適切であり続ける可能性が高い」
「利上げの前には著しいインフレ率の上昇が必要」
「米景気は底堅く、物価上昇率も2%に復するだろう。3回の利下げはこうした経済見通しを支えるものになる」

付記 FRBは12月11日、4会合ぶりに金融緩和を見送った。2020年は「利上げも利下げもゼロ」との政策シナリオを提示した。

"Over in Europe and Japan they have NEGATIVE RATES. They get paid to borrow money.

Don't we have to follow our competitors?" Yes we do. The Fed doesn't have a clue! We have unlimited potential, only held back by the Federal Reserve. But we are winning anyway!

発表を受け、失望を表明した。

People are VERY disappointed in Jay Powell and the Federal Reserve.
The Fed has called it wrong from the beginning, too fast, too slow. They even tightened in the beginning.
Others are running circles around them and laughing all the way to the bank. Dollar & Rates are hurting our manufacturers.
We should have lower interest rates than Germany, Japan and all others.
We are now, by far, the biggest and strongest Country, but the Fed puts us at a competitive disadvantage. China is not our problem, the Federal Reserve is! We will win anyway.


なお、FRBは7月末に
米国債など保有資産を縮小する「量的引き締め」も、2カ月前倒しして終了することにした。

3月20日の米連邦公開市場委員会で「量的引き締め」は2019年9月末で停止すると決めたが、7月末の終了を決めた。

しかし、FRBは10月11日、短期金融市場の資金不足を解消するため、短期国債を月600億ドルのペースで購入すると発表した。
10月15日から開始し、少なくとも2020年4~6月期まで続ける。

米市場は資金需給が逼迫して短期金利が急上昇するなど不安定な状況が続いていた。

ーーー

米商務省が10月30日に発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)の速報値(季節調整済み)は年率換算で前期比1.9%増と、市場予想の1.6%増を上回った。

米国のGDP 2019/3Q 一次速報 1.9% (2Q 確報+2.0%、1Q確報 +3.1%)

物価の状況は次の通り。

米国の9月のCPI、PCE
NY連銀の「基調的な物価指標」(UIG)

付記 10月の統計が発表になったため、差し替え
10月の米雇用統計(非農業部門、季節調整済み、速報値) +12.8万人  8月、9月と大幅上方修正  

2019/9の失業率3.5%は、1969年12月(3.5%)以来。

2019/9 3.5%
2019/4、5、10月の失業率は3.6%






英議会下院は10月29日、EUからの早期離脱を目指すジョンソン首相が提出した12月12日に総選挙を実施する特例法案を可決した。

同氏は選挙で与党・保守党の過半数議席を取り戻し、2020年1月末の離脱期限に向け、膠着する内政の打開を狙う。足元の世論調査では保守党の支持率が労働党をリードしている。

解散に慎重だった最大野党・労働党が早期選挙の支持に転じた。

上院の承認、女王の裁可を経て正式決定する。

11月6日に議会は解散する。これまでに離脱法案が成立しない場合、政府の離脱案か労働党の離脱案かの選択になる。

付記

John Bercow下院議長が10月31日に議員を引退した。

2009年から議長を務め、大声で "orderrrr!"と叫ぶので有名になった。

後任の議長の選任は11月4日に行われた。

7人が立候補し、3回目の投票で労働党のSir Lindsay Hoyleが267、労働党のChris Bryantが169で残り、保守党のDame Eleanor Laingが127で落ちた。

4回目の投票でSir Lindsay Hoyleが325、Chris Bryantが213となり、これまで副議長であったSir Lindsay Hoyleが議長に選任された。

下院は6日未明に解散した。


10月28日に行われた総選挙前倒しの採決は否決された。

下院の任期は法律(Fixed-Term Parliament Act)で固定化されており、これに反する解散総選挙には、下院(定数650)の3分の2以上 (434) の賛成が必要である。
28日はこの法律にもとづき、解散総選挙を実施するための動議であった。修正案は出せず、賛否だけを決めるもので、下院だけで決定される。

今回は、今回限りの解散総選挙実施の一般法案で、修正動議も可能であり、過半数の賛成で可決されると上院に回され、女王の裁可で法律となる。

英国は慣例法であり、新しい法律が古い法律に反する場合は新法が優先される。

今回の法律は、Early Parliamentary General Election Act 2019で、2019/12/12に総選挙を行うという法律で、Fixed-Term Parliament Actに優先する。
これ以降に行われる選挙にはFixed-Term Parliament Act が適用される。

審議に先立ち、与党保守党は党籍停止者のうち、10名を党に復帰させた。

英下院は9月3日、議会進行主導権を政府から議会に移す動議を賛成328票、反対301票の賛成多数で可決し、野党・労働党などが提出した離脱延期法案の審議入りを可能にした。

事前の警告通り、与党保守党はこれに賛成した議員21名を党籍停止した。

まず、自由民主党とスコットランド民族党が提案した12月9日投票案が審議され、295対315で否決された。
労働党以下、野党がほとんど賛成したが、保守党と元保守党のほか、民主統一党も反対に回り、ぎりぎりでの否決となった。

次いで、政府提案の12月12日投票案が審議され、今回は労働党の半分が賛成にまわり、過半数で可決された。

今後、上院に回るが、上院の賛成は確実のため、女王の裁可を得て、法律となる。

議席数

10/28 解散動議 議席 12/9 投票案 12/12投票案
賛成 反対 棄権 賛成 反対 棄権 賛成 反対 棄権
保守党 288 280 5 298 291 7 290 8
民主統一党(DUP) 10 10 10 10 10
(与党) (298)
労働党 244 1 38 201 244 228 1 15 127 11 106
スコットランド国民党 35 35 35 35 1 34
自由民主党 19 18 1 19 19 19
独立グループ 34 18 4 13 24 8 13 2 11 4 16
The Independent Group for Change 2 7
Change UK 5 5
シンフェイン党 7 7 7 7 7
ブライドカムリ 4 4 4 4 3 1
緑の党 1 1 1 1 1
議長 1 1
合計 650 299 70 272 650 295 315 38 438 20 191

賛成が2/3未満で否決

否決 過半数で可決

今回の投票結果はBBCによるが、内訳には若干誤差がある。

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