「no」と一致するもの

キヤノンは2016年3月に東芝から医療機器子会社東芝メディカルを買収したが、両社は米国司法省から Hart-Scott-Rodino Act が規定する事前の通知義務に違反したとして訴えられ、罪を認めて罰金を払うことで解決した。

両社はそれぞれ罰金として250万ドルを支払う。加えて同法に基づくコンプライアンスプログラムを実施し、監査を受け、報告を行う。

付記

欧州委員会は6月27日、キヤノンに28百万ユーロの罰金を課した。通知義務違反と承認前の買収を問題にした。

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キヤノンは2016年3月17日、東芝の医療機器子会社、東芝メディカルシステムズを買収する契約を結んだと発表した。
3月9日に東芝から独占交渉権を得て協議を続け、合意したもの。買収額は6655億円で3月17日に決済した。

日本の
独禁法第10条では、(株式取得で)一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、取得してはならないとしており、第10条2項で、会社が他の会社の株式取得する際、一定の基準に当たる場合には、公正取引委員会に事前に届出しなければならないとされている。

しかし、東芝は、債務超過を避けるためには、2016年3月期に売却益 5900億円を計上する必要があり、各国の審査を待っていては間に合わない。

このため、下記の手続きをとった。

A種類株(議決権あり)20株を特別目的会社(株主は東芝とキヤノンのいずれからも独立した第三者の3人)のMSホールディングに譲渡(対価 98,600円)

B種類株(議決権なし)1株と新株予約権をキヤノンに譲渡(対価 6,655億円)
B種類株には議決権はないが、組織再編などの重要事項について拒否権を行使できる条項あり)

独禁法第10条2項の規定は、具体的には、取得後の議決権の数の割合が新たに20%又は50%を超えることとなる場合となっている。
議決権は第三者のMSホールディングが保有するため、条文の上からは公取委の承認前の株式取得は認められることになる。

2016/3/18 キヤノン、東芝メディカル買収を発表、独禁法対策で奇手

東芝メディカルの議決権の対価がたった10万円で、キヤノンは議決権無しの株と新株予約権に6,655億円も払うというのは通常は考えられず、わざわざこういう手続きを取る他の理由も考えられない。また、議決権無しの株には重要事項に対する拒否権があ る。各国の承認を得れば直ちにキヤノンが議決権を100%取得する。

事前に承認を得るという規定を避けるための便法であることは明白である。

公取委は2016年6月30日、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの株式取得について、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと認められたので、排除措置命令を行わない旨の通知を行い、審査を終了したと発表した。

しかし、株式取得のスキームが、事前届出制度の趣旨を逸脱し、独占禁止法第10条第2項の規定に違反する行為につながるおそれがあることから、両者に対し異例の注意を行った。

また、今後、企業結合を計画する者が仮にこのようなスキームを採る必要があるのであれば、当該スキームの一部を実行する前に届出を行うことが求められるとした。

日本の独禁法の規定の文言上は「株式取得」にはならないが、制度の趣旨を逸脱するものであると明言しており、今後は認めないとしている。

2016/7/4 公取委、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの株式取得を承認

中国商務省は2017年1月4日、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの買収に関連し、キヤノン (佳能)に30万元(約500万円)の 罰金を科す「行政処罰決定書」をウェブサイトで公表した。

独占禁止法に基づく買収の事前届け出義務違反を問題とするもので、競争制限はないとして買収自体は認めている。

2017/1/6 中国、東芝メディカル買収でキヤノンに罰金の行政処分

今回は、米司法省がこれを問題視したもの。

トランプ大統領は6月7日、メキシコからの全輸入品に対する5%の関税発動を「無期限」で見送るとツイッターで発表した。メキシコが米国への不法移民流入を防ぐための対策を取ることで合意した。

詳細は国務省が発表するとしている。

I am pleased to inform you that The United States of America has reached a signed agreement with Mexico.

The Tariffs scheduled to be implemented by the U.S. on Monday, against Mexico, are hereby indefinitely suspended.
Mexico, in turn, has agreed to take strong measures to stem the tide of Migration through Mexico, and to our Southern Border.

This is being done to greatly reduce, or eliminate, Illegal Immigration coming from Mexico and into the United States.

Details of the agreement will be released shortly by the State Department. Thank you!

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トランプ米大統領は5月30日、メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に関税を課すと表明した。

米国を脅かす非常事態に対応するため、大統領に商業活動を規制する権限を与える「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づき、関税を課するもので、メキシコが対策を取るまで、下記の通り、順次税率を引き上げる。

6月10日から 5%、7月1日に10%、8月1日に15%、9月1日に20%、10月1日に25%とし、問題解決までこれを維持する。

2019年6月1日 米政権、メキシコからの全輸入品に関税、移民問題解決まで毎月税率引き上げ


これについては、与党の共和党の議員も適用阻止を求め、メキシコ政府との交渉で解決策を見いだすようここ数日間、トランプ米政権に要請してきた。

共和党上院議員の大半は国境対策強化を強いる手段として関税を使うことに反対しており、大統領としての法的権限の選択を疑問視し、関税発動の阻止へ議会で行動することを検討している。


しかしトランプ大統領は6月4日夜のツイッターで、6月10日にメキシコからの輸入品すべてに5%の関税賦課を始めるとの警告は「はったりではない」と言明。面目を保つために安易に合意をまとめることには一切関心がないと明確にした。

Can you imagine Cryin' Chuck Schumer (民主党上院総務)saying out loud, for all to hear, that I am bluffing with respect to putting Tariffs on Mexico.

What a Creep. He would rather have our Country fail with drugs & Immigration than give Republicans a win. But he gave Mexico bad advice, no bluff!


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メキシコのエブラルド外相は6月5日~6日に関税措置の撤回に向けてペンス米副大統領、ポンペオ国務長官らと会談した。

この結果、今回の合意に達した。

国務省の発表(U.S.-Mexico Joint Declaration は次の通り。

中米からメキシコを経由して米国に入る移住者の急増で、両国は、人道的な緊急事態と安全保障の問題を早期に解決する必要性を認識する。両国は直ちに共同で永続的な解決を目指し協力する。

1)メキシコ側

移住者を抑えるため前例のない手段を取る。国家警備隊を国境を中心に全国に配置する。移住を斡旋、アレンジする組織や違法な資金・輸送ネットワークを潰すべく決定的手段を取る。
メキシコと米国は情報交換や共同行動など、相互協力を強化する。

2)  Migrant Protection Protocols(トランプ政権が2019年1月より開始した移民政策 )

「メキシコから米国に到着した外国人で、明らかに許可されない者と退去手続き中の者」は、裁判所による手続きの間、メキシコに送還し、待機させるというもの。
トランプ大統領は2018年12月の発表時「メキシコ残留」政策と呼んでいた。

2019年1月にカリフォルニア州サン・イーサイドロの難民申請者から適用を開始し、その後、カレクシコやエルパソにエリアを拡大していた。

米国は直ちにMigrant Protection Protocolsを国境全体で実施する。
メキシコとの国境を越えて難民申請をするものは直ちにメキシコに戻され、そこで申請結果を待つ。

メキシコは、それらのものが申請を待つ間、メキシコに入るのを人道的見地から認める。職やヘルスケア、教育の面倒を見る。

米国は出来る限り早く申請の結論を出す。

3) これらの対策が効果が出ない場合、再度協議し、90日以内に結論を出す。

4) 地域戦略

メキシコのロペスオブラドール大統領は、移民の北上を抑えるため、貧困に悩むメキシコ南部やホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラの開発支援でメキシコと協力するようトランプ米大統領に働き掛けてきた。

2018年12月18日に両国はこの必要性を認める声明を出し、米国は同地域の開発に数十億ドル規模の投資を行うこととした。

今回、両国はこの声明を確認し、メキシコがこの目的達成のためにエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスとともに行うなうComprehensive Development Plan を歓迎する。

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トランプ大統領の追加関税を使った脅迫外交がひとまず成功した。

しかし、米国が密入国の流入を阻止できないのをメキシコが阻止できるとは考えにくい。実際に流入が減らなかった場合に再び問題が再燃する恐れがある。

付記

メキシコのエブラルド外相は6月10日、米と合意した不法移民対策が45日間で中間評価されることを明らかにした。米側に不十分と判断されれば追加措置を取り、最終的に90日間で追加関税発動の是非を含めた結論が出される。



6月6日に下院補欠選挙が行われ た。

多数の候補が乱立し、欧州議会選挙で躍進したNigel FarageのBrexit党の候補が初の下院議員になるか (Brexit党は上院・下院に議席無し)と見られたが、結果は僅差で労働党候補が当選した。保守党候補は3位になった。

補欠選挙が終わるのを見届け、メイ首相は6月7日、与党・保守党の党首から退いた。 (後任党首が決まるまで、首相の地位に留まる。)


2月17日にウェールズを選挙区とするベテラン労働党議員が死去したが、この後任については4月5日の補欠選挙で労働党候補が当選し、議席を維持している。

今回は議員の死亡によるものではなく、リコール制度で免職となった議員の補欠選挙である。

英国では2015年3月にリコール法が発効した。

議員が懲役刑に科せられたか、または最低10日間に渡って議会から停職処分を受けた際に、有権者はリコール請求を行なうことができる。

これらの場合、リコール請求のための署名が集められ、10%を越える有権者が署名すれば、議員の欠員が正式に公示され、次に補欠選挙がおこなわれる。

リコール対象となったのはイングランド東部のPeterborough 選挙区の労働党女性下院議員Fiona Onasanya である。

2017年7月に制限速度が30マイルのところで41マイルで運転をしていて捕まった。運転しながらスマホを操作していたことも分かった。

しかし、警察に対し、スピード違反をしていないと主張した。

2018年の裁判で、警察に嘘をついてスピード違反を免れようとした司法妨害の罪で有罪とされた。
控訴したが却下され、2019年1月29日に懲役3か月となった。

労働党は2019年1月に、前年12月に遡り、党から除名した。

選挙区でリコール請求が行われ、必要な10%を超える27.6%が署名し、成立した。下院は5月1日に議席が空席になったことを発表、6月6日の補欠選挙が公示された。


千代田化工建設は6月6日、イタリアSaipem S.p.A.及び 米国McDermott International Inc.と 共同で、モザンビーク共和国におけるLNG計画(Anadarkoが主導するモザンビーク・オフショア・エリア1 の共同事業者が計画)EPC(設計・調達・建設工事) 業務を受注したと発表した。

千代田化工は米国のCameron LNGなどで巨額の赤字を計上しており、本年2月に受注した米国のGolden Pass LNG輸出基地の設計・調達・建設業務では千代田の負うスコープは基本的に設計と調達に限定した

今回も、Saipem社およびMcDermott社が実施する設計のレビューを主とする技術的なサポート業務に限っている。

付記 三井物産は6月19日、最終投資決断を行ったと発表した。

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モザンビークとタンザニアの国境を流れるRovuma川の河口と沖合に世界最大規模のガス田が発見され、開発が始まった。

モザンビークの海底ガス田の開発は6区に分けて行われている。

全体図   Area 1

  

三井物産は2008年2月、米国大手独立系石油・ガス開発会社 Anadarko Petroleumがモザンビークに保有する石油・天然ガス探鉱鉱区(Area 1)の権益の一部を取得することで同社と合意した。

権益保有者は以下の通りであったが、その後異動があった。

当初 当時 現在
Anadarko (オペレーター) 76.5% 36.5% 26.5% ONGCに 10% 譲渡
Mitsui E&P 20% 20%
モザンビーク国営石油会社
ENH Rovuma Área
15% 15% 15%
ONGC Videsh
Oil and Natural Gas Corp (インド)
10%
(+6%)
Anadarkoより
(Beas Rovuma)
Beas Rovuma Energy Mozambique
(ONGC and state-run Oil India )
10% Videocon より
(ONGC60%、Oil India 40%)
Oil India(インド) (4%) (Beas Rovuma)
Videocon (インド) 10% Beas Rovumaへ
BPRL Ventures Mozambique(インド)Bharat PetroResources Limited (BPRL) 10% 10%
Artumas Group(現 Wentworth Resources) 8.5%
PTTEP Mozambique Area 1
PTT Exploration & Production (タイ)
8.5% 8.5%


この鉱区の最大の権益を持ち、オペレーターを務めるAnadarko Petroleumは2012年12月、隣接するArea 4のオペレーターのEni との間で共同開発の覚書を締結したと発表した。両グループは天然ガスの開発は連系はしつつも個別に行なうが、LNG生産設備建設は共同で行う。

概要
Area 1 海底天然ガス田 推定可採資源量
17~30兆立方フィート超
LNGプラント LNG年産2,000万トン
当初LNG年産500万トン×2系列
追加2系列
(Area 4との合計)
生産開始 2018年(予定)

2013/1/10 モザンビークの天然ガス開発 

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当初、2018年にも生産を開始する予定であったLNGプラントはその後も着工されていなかった。

このたび、Anadarkoは着工を決定した。

Anadarkoは5月8日 次の発表を行った。

資金の目途がつき、販売先が確保され、その他も順調である。モザンビーク大統領とAnadarkoのCEOは、 Mozambique LNG project の最終投資決定を6月18日に発表することとなった。

今回千代田化工等が受託した内容は、LNG設備 2系列 合計能力1288万トンと、用役、インフラ設備となっている。

当初計画では500万トンx2系列とArea 4 分の追加2系列となっていた。今回は、Area 4 分は切り離したとみられる。更に1系列分の能力を500万トンから644万トンに増やしている。

ーーー

Anadarkoは2019年2月5日、2つのLNG売買契約を締結したと発表した。

1つ目の売買契約は、2018年6月の基本合意に基づく東京ガスと英国ガス大手 Centricaの共同調達で、LNG生産開始から2040年初頭まで年間260万トンのLNGを供給する。

2つ目の売買契約は、Shellの子会社との間で締結された。13年間にわたり、年間200万トンのLNGが売買されることになる

今回の発表に先立ち、2月1日に、中国海洋石油集団(CNOOC)と、13年間にわたり年間150万トンのLNGを供給する契約を締結している。

2018年2月にはフランス電力会社EDFと年間120万トンを、2018年10月に東北電力とも年間28万トンの売買契約を締結している。

LNG長期契約は年間750万トンに積み上がり、残りのLNG売買契約も近い将来に見込まれているとしている。

メイ首相は5月24日、6月7日に辞任すると表明した。

直ぐに辞任しなかった理由は、トランプ米大統領の訪英(6月3~5日)と下院補欠選挙(6月6日)があるためである。

これを終え、6月7日に保守党党首を辞任する。保守党はこの後、新党首を選び、新党首が首相となる。

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トランプ大統領は6月3日から5日まで、国賓として英国を訪問した。訪英前に英国では日本での歓迎の模様が詳しく報じられた。

到着前から、いろいろ物議を醸した。

ロンドンのSadiq Khan市長がトランプ大統領について「丁重に迎えるべきではない」と述べたのに対し、「完全な負け犬」とツイートした。

Sadiq Khan, who by all accounts has done a terrible job as Mayor of London, has been foolishly "nasty" to the visiting President of the United States, by far the most important ally of the United Kingdom.
He is a stone cold loser who should focus on crime in London, not me.
Kahn reminds me very much of our very dumb and incompetent Mayor of NYC, de Blasio, who has also done a terrible job - only half his height.
In any event, I look forward to being a great friend to the United Kingdom, and am looking very much forward to my visit. Landing now!

訪英を前に、英国のBrexit 党首のNigel Farage氏と、離脱強硬派で保守党党首選に立候補するBoris Johnson前外相を「友人」と呼び、両氏を大いに尊敬していると述べた。

記者団とのやり取りのなかで、訪英中に二人に会うのかと聞かれ、「多分ね。二人は友人だ。いい奴だ。面白い奴だ」と述べた。
欧州議会選でのBrexit党の勝利に触れ、「Nigel の大勝利だ。ゼロだったのが32%も取った。よくやった」と付け加えた。
Johnsonについては、「友人だ。しかし 党首選での応援はしない。私のすることではない。しかし尊敬しているよ」とした。

元女優で米国出身のメーガン妃は、ヘンリー王子と婚約する以前の2016年の米大統領選では民主党のヒラリー・クリントン候補を支持し、トランプ大統領について「女性差別主義者」などと語 り、もしトランプが大統領になれば、カナダに移住すると述べた。
トランプ大統領は英サン紙のインタビューでメーガン妃について「嫌な人だ("nasty")」とコメントした。

記事が掲載された翌日には「嫌な人だとは言ったことはない。フェイクニュース・メディアによるでっち上げだ」などと自らの発言を否定したが、サン紙はインタビューの録音データを公開してトランプ大統領のうそが暴かれた。

5月に第1子アーチーを出産したメーガン妃は「産休のため」として晩さん会には出席しなかった。

6月3日にバッキンガム宮殿で女王と会見し、同日夜、バッキンガム宮殿での晩さん会に出席した。

王室の歓迎に感謝のツイッター、Brexit後の米英FTAに期待を示した。

Could not have been treated more warmly in the United Kingdom by the Royal Family or the people.
Our relationship has never been better, and I see a very big Trade Deal down the road.
"This trip has been an incredible success for the President." (Laura Ingrahamの発言を引用)

6月4日にメイ首相との首脳会談を行った。

トランプ米大統領はBrexit後の英国に「とてつもない」貿易協定を提供すると約束した。

英国の国民皆医療保険制度の「国民保健サービス(NHS)も含めて「あらゆることが交渉の対象になる」と述べたが、会見後のインタビューで大統領はNHSについては取り消した。「誰かに質問されて、あらゆることが交渉の対象だと答えた。その通りなので。けれどもNHSは貿易の一部だとは思わない。それは貿易じゃない」と述べた。

会談後の記者会見での発言内容:

  • Brexit交渉を現段階まで進めたメイ首相は「とても良くやった」し、「たぶん彼女の方が僕より交渉はうまい」
  • Brexitは「実現するし、たぶん実現すべきだ」。なぜならイギリスは「偉大な、偉大な国で、自分たちならではのアイデンティティーを求めているので」
  • Brexit後に米英が締結をめざすFTAについて、「途方もない可能性がある。(両国の貿易が)今の2~3倍になる可能性がある」
  • 米英両国は、「イランが決して核兵器を開発せず、テロ活動の支援と関与を確実にやめるよう」強い意志で関わっていく。
  • 米英は中国の通信機器大手 Huaweiへの姿勢で食い違っているが、両政府間の情報共有手段を保全するため合意に到達するだろう。
  • 保守党党首選については、ボリス・ジョンソン前外相は「よくやるだろう」し、ジェレミー・ハント外相も同様だが、自分はマイケル・ゴーヴ環境相のことは「知らない」。

労働党のコービン党首から会談の申し出があったが、断ったことを明らかにし、「僕は物事を実現する人は好きで尊敬するが、それと同じくらい、批判ばかりする人は本当に嫌いだ」と述べた。

一方、滞在先のアメリカ大使公邸で、ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首と会談した。以前から交流があり、訪英直前に「ファラージ氏をBrexit交渉の席に着かせるべきだ」と発言している。


トランプ米大統領に対し、市民らが大規模な抗議デモを行った。ロンドンでは4日も雨の中、数千人が参加した。

大統領はツイッターで歓迎の群衆だとしている。

I kept hearing that there would be "massive" rallies against me in the UK, but it was quite the opposite.
The big crowds, which the Corrupt Media hates to show, were those that gathered in support of the USA and me. They were big & enthusiastic as opposed to the organized flops!

最終日の6月5日は南部ポーツマスでノルマンディー上陸作戦の75周年記念式典(D-Day 75)に参加 した。エリザベス女王や各国首脳(ドイツのメルケル首相を含む)が出席した。

ツイッター:

As we approach the 75th Anniversary of D-Day, we proudly commemorate those heroic and honorable patriots who gave their all for the cause of freedom during some of history's darkest hours. #DDay75



トランプ大統領の攻撃に対する中国の反撃が始まった。

1. 制裁関税

米政権は5月10日午前0時1分、2千億ドル分の中国製品に課す制裁関税を現在の10%から25%に引き上げた。

これを受け、中国は6月1日に 米国からの輸入品に対する税率を引き上げた。

  • 2493品目について関税率を10%から25%に引き上げ。一部機械部品や天然ガス、スキンケア製品など
  • 1078品目については10%から20%に引き上げ。一部機械、光学機器など
  • 974品目については5%から10%に引き上げ。板ガラス、レーザー、制御弁など
  • 595品目については5%の税率を維持。自動車部品は引き続き対象外

これについて、中国国務院関税税則委員会は5月13日に公告を発表している。

2019年6月1日午前0時より、すでに追加関税が実施されている600億ドル分相当のリストに掲載された米国製品の一部について、関税率を25%、20%、10%のいずれかに引き上げることを決定した。
すでに5%の関税が上乗せされている品目については、引き続き5%を上乗せする。

中国が調整を行い追加関税措置を執るのは、米国の一国主義、保護貿易主義への対応だ。中国は、米国が二国間経済貿易交渉の正しい軌道に戻り、中国とともに努力し、中国と向き合って進み、相互尊重を基礎とした互恵ウィンウィンの合意への到達を目指すことを願う。

 2019/5/15 米中、関税引き上げ合戦

トランプ大統領はCameron LNGの出荷開始を祝したが、中国を主たる輸出先の一つとみなしていたLNGの関税も25%に上げられた。

米側は残りの3000億ドル分についても追加関税を課すべく、準備をしている。

しかし、中国の米国からの輸入は残り少しであり、追加関税での報復は出来ない。後述のレアアースや、中国政府が大量に保有する米国債などが噂の対象となっている。

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2. 「信頼できない企業リスト」

中国商務部は5月31日、中国企業の利益を損ねる「信頼できない外国企業等」(不可靠實體のリストを作成する方針を 明らかにした。

現在、世界の経済発展は、不確定要素、不安定要素が増え、一国主義、保護貿易主義が台頭し、多国間貿易体制は深刻な危機に直面しており、正常な国際貿易活動が妨害を受けている。

一部の外国の企業は、非商業的な目的で、正常な市場の規則や契約の精神に反して、中国企業に対して、封じ込み、供給停止及びその他の差別的措置を講じて、中国企業の正当な権益を損ない、中国の国家安全や利益を脅かしているほか、世界の産業チェーン、サプライチェーンの安全をも脅かし、世界経済に打撃をもたらし、関連の企業や消費者の利益を損なっている。

国際貿易規則や多国間貿易体制を守り、一国主義、保護貿易主義に反対し、中国の国家安全、社会の公共利益、企業の合法的権益を守るために、中国政府は「信頼できな い企業リスト」を構築することにした。

非商業目的で、中国の企業等に対して、封じ込みや供給停止またはその他の差別的措置を講じたり、中国企業や関連の産業に対して実質的な損害を与えたり、中国の国家安全を脅かしたり、脅かす可能性のある外国法人、その他の組織、または個人をリストに盛り込む。

リストに載った企業などに対しては必要な措置を取る。詳細は近く発表する。

れについて、商務部安全・管制局は6月1日、「中国政府は、企業等をリストに加えるかどうか決定する際に、4つの要素から総合的に判断する」とした。

(1)企業等が中国の企業等に対する封じ込め、供給停止、およびその他の差別的な措置を講じた行為があったか。
(2)その企業等の行為は非商業的な目的に基づくものか。また、市場規則と契約の精神に反しているか。
(3)その企業等の行為が、中国企業または関連産業に実質的な損害をもたらしているか。
(4)その企業等の行為が中国の国家安全に脅威または潜在的な脅威をもたらしているか。

リストに加えられた企業や個人であっても、リストへの追加後に正当な調査の手続きが実施され、企業や個人には弁明の権利も与えられる。

中国の報道では、リスト作成は5つの意味を持つ。

1) 警告:リストに載った企業は、中国との関係が制限される。

2) 米国への対抗:

米国はHuaweiを対象に、①米国の安全保障にとってリスクのある外国企業の通信機器を米企業が使うことを禁止、②Huaweiに対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を取った。
米国は他の中国企業も狙っている。これを放置すれば、好き勝手にやられる。米国への対抗策である。    
    2019/5/16 米国、Huawei を対象に2施策

3) 中国企業の保護

4) 第三国企業への警告:米中企業が自国の法律に従うのはやむをえないがとし、関係ない企業が追随するのを警告 
   これについては、英国企業で日本企業(ソフトバンク)子会社のARMを挙げている。
   自国の法律で規制されていないのに、何故Huaweiを差別するのかとしている。

5) 放置すれば、外国の企業が中国から全て出てしまう。


中国商務部の報道官は前日の記者会見で、「中国は米アップル社に何らかの規制を加えて、米国が華為技術(Huawei)を攻撃したことへの報復手段とするのか」との 質問に対し、次のように答えた。

中国は、在中国のすべての外資系企業の合法的権利は中国政府によって保護されると繰り返し強調してきた 。中国は揺るぎなく改革を深化させ、開放を拡大し、さまざまなタイプの企業のために安定した、公平で、透明な、予測可能な世界でも一流のビジネス環境を創出するよう引き続き努力していく 。

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3. 「中米経済貿易協議に関する中国側の立場」白書

中国国務院新聞弁公室は6月2日、中米経済貿易協議の基本状況を全面的に紹介し、中国の中米経済貿易協議に対する政策的な立場を明らかにすることを目的とした「中米経済貿易協議に関する中国側の立場」白書を発表した。

中米経済貿易貿易協議の基本的な状況を包括的に紹介し、中米経済貿易貿易協議に対する中国の政策スタンスを明確にするために、中国政府はこの白書を発表した としている。

内容は次の通り。

中米経済貿易関係は、両国間の外交関係の確立、 両国間の経済貿易関係の発展、協力分野の拡大、そして協力のレベルの継続的改善により、両国にとって有益であるだけでなく、世界全体に利益をもたらす相互利益関係が形成される。

発展段階と経済システムの段階が異なるため、両国は必然的に経済協力と貿易協力に違いと摩擦を抱くことになる。
中米経済貿易関係の発展の過程で、多くのねじれや変化、困難があったが、合理的かつ協力的なやり方で、両国は対話と協議を通して問題を解決し、矛盾を解決し、違いを狭め 、より成熟した関係をつくってきた。

現在の米国政府が2017年に就任して以来、関税の適用やその他の手段を脅かし、しばしば主要な貿易相手国との経済的および貿易的摩擦を引き起こしてい る。

2018年3月以降、米国政府が一方的に開始した中米経済と貿易の摩擦に対応して、中国は国と国民の利益を断固として擁護するために効果的な措置を講じなければな らなかった。
同時に、中国は対話と協議を通じて紛争を解決し、米国との経済および貿易に関する複数回の協議を行い、二国間の経済および貿易関係の安定化に努めるという基本的見地を常に遵守してきた。

中国の態度は一貫して明確である。中米の協力は有益であり、戦いは害を及ぼ す。協力は双方にとって唯一の正しい選択だ。

両国間の経済的・貿易的差異および摩擦に関して、中国は相互に有益で双方にとって好都合な合意を解決し促進するために協力的アプローチを採用することをいとわない。
しかし、中国は戦うことを厭わず、戦うことを恐れず、そして必要ならば戦わなければな らない。

米国の財務省とUSTRは6月3日、これについて共同声明を発表した。

米中貿易交渉の性質と歴史を誤って伝え、責任のなすり合いに持ち込もうとしていることに失望した。

中国の交渉担当者は概ね合意がまとまっていた重要項目を「撤回」した。重要項目には合意履行に関する規定が含まれていた。

われわれが中国側からの詳細かつ履行可能な合意を要求するのは、中国の主権に対する脅威には全くなっていない。むしろ、議論された問題は通商協定に共通するもので、維持することのできない根強い貿易赤字につながっているシステミックな問題への対処に必要だ。

(報道によると、米国側は中国に法律の制定を要求し、内政干渉という中国国内の反発で撤回したという。中国側は調印して初めて「合意」であり、それまでのやり取りに過ぎず、修正はあり得ることとしている。)

ーーー

4.レアアース

中国商務部の報道官は5月30日の記者会見で、「中国はレアアースの対米輸出の禁止を検討しているのか」との質問に対し、 以下のように答えた。

中国は世界最大のレアアース材料供給国として、これまでずっと開放、協同、共有の方針を堅持しながらレアアース産業の発展を推進してきた。国内需要へのサービス提供を基礎とした上で、中国は世界各国のレアアース資源に対する正当なニーズに対応したいと考えている 。

しかしながら、いかなる国でも中国から輸出されたレアアースを使用して製造した製品で、中国の発展を押さえ込み、圧力をかけようとするなら、感情的にも理屈的にも受け入れることはできない。

鄧小平元国家主席はかつて、「中東には石油があり、中国にはレアアースがある」(中東有石油、中国有稀土)と述べた。
習近平国家主席は5月20日にレアアースの産地にある江西省の会社を訪れ「レアアースは重要な戦略資源だ」と強調した。

国家発展改革委員会は6月4日、レアアースの専門家と会合を開き、専門家は生産から加工、輸出までの全工程を審査するシステムを設けて輸出管理を強化すべきだと提言し、委員会は提言を盛り込んだ措置を早期に打ち出す方針を示したと報道されている。

中国はレアアースの世界の生産の7割を占め、米国は輸入の8割を中国に依存する。

米商務省はこのほどレアアースに関する報告書を発表した。トランプ大統領が2017年12月に出した大統領令を受けて作成したもの

A Federal Strategy to Ensure Secure and Reliable Supplies of Critical Minerals

ウラン、チタン、レアアース各種を含む鉱物35種類を「米経済と国家安全保障にとって決定的に重要」な鉱物に指定。
現代生活に不可欠なもので、米国への供給が途絶えないよう、連邦政府は前例のない措置を講じる。

「同盟諸国との投資・貿易」を通じた供給改善や、連邦政府所有地など国内での採掘許可の円滑化を含めた措置を勧告。さらに、国内での鉱物探査を促進するため、地図
作成やデータ収集の改善計画も挙げている。

下記について大統領に報告することを求めている。

(i) "a strategy to reduce the Nation's reliance on critical minerals;
(ii) an assessment of progress toward developing critical minerals recycling and reprocessing technologies, and technological alternatives to critical minerals;
(iii) options for accessing and developing critical minerals through investment and trade with our allies and partners;
(iv) a plan to improve the topographic, geologic, and geophysical mapping of the United States and make the resulting data and metadata electronically accessible, to the extent permitted by law and subject to appropriate limitations for purposes of privacy and security, to support private sector mineral exploration of critical minerals; and
(v) recommendations to streamline permitting and review processes related to developing leases; enhancing access to critical mineral resources; and increasing discovery, production, and domestic refining of critical minerals."



但し、レアアースを貿易紛争の手段として使うのは問題である。

2010~11年に領土問題で日中関係が悪化した際、中国は日本に対するレアアースの輸出を制限した。日本企業は調達難に見舞われが、日本企業の「脱レアアース」技術の開発が進んだことにより、需要が急減した。

「世界が1年で必要なレアアースの量は12万トンに過ぎず、非常に少ない量であり、多くの国 が低価格で買い入れて大量に備蓄している」と指摘する学者がいる。


厚生労働省は5月29日、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の総会を開き、癌患者の遺伝情報から最適な治療薬を選ぶ「 癌ゲノム医療」への保険適用を初めて決めた。

癌ゲノム医療とは、癌の組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ(癌遺伝子パネル検査)、遺伝子変異を明らかにすることにより、一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療。

イレッサは、当初、全ての手術不能非小細胞肺癌を対象に保険適用が承認された。
その後、
EGFR遺伝子の異常が有る非小細胞肺癌のみに有効であることが証明され、効能効果が変更された。


今回保険診療の対象になるのは「癌遺伝子パネル検査」で、中外製薬とシスメックスがそれぞれ保険適用の希望を申請していた。

中外製薬 FoundationOne CDx 癌ゲノムプロファイル

固形癌患者の腫瘍組織検体から抽出したゲノムDNAの遺伝子変異情報を解析するプログラム

主たる機能は、包括的なゲノムプロファイルの提供、すなわち、324のがん関連遺伝子の変異等(塩基置換、挿入/欠失、コピー数異常、再編成)の検出結果、マイクロサテライト不安定性の判定結果、及びTumor Mutational Burdenスコアの情報提供にある。

シスメックス OncoGuide NCC オンコパネルシステム (国立癌研究センターとシスメックスが開発)

固形がん患者由来の腫瘍組織及び同一患者由来の非腫瘍細胞成分より抽出されたゲノムDNA を検体として用い、解析プログラムにより、腫瘍組織由来の塩基配列と非腫瘍細胞成分由来の塩基配列とのペア解析を行うことにより、遺伝子異常(変異: SNV、InDel、増幅: CNA、融合: Fusion)の一括検出、及び合計変異出現率(TMB:腫瘍変異負荷)の算出を行なうことで、腫瘍組織の包括的なゲノムプロファイルを取得する。

癌治療では癌の遺伝子変異をもとに薬を選ぶ。これまでは一度の検査で少数の遺伝子しか調べられなかったが、 今回のものはいずれも一度に100種類以上の遺伝子を調べることができる。最適な薬が早く見つかる可能性が高くなる。

厚労省が昨年12月に国内販売を承認した。

薬を選ぶまでの医療費は56万円だが、保険適用で患者の自己負担は1割か3割で済む。高額療養費制度を利用すれば、負担はさらに抑えられる。

対象は固形癌(血液癌以外の癌)のうち、手術や抗癌剤での治療が効かなかった人や、治療法がない希少癌や小児癌などの患者で、ピーク時には年に計約2万6000人が利用し、販売額は年計150億円規模と見込まれる。




 
千代田化工建設は6月3日、第1系列からLNGの出荷を開始したと発表した。


トランプ大統領はツイッターで自慢した。(2週間前に現場を訪問している。)

BIG NEWS! As I promised two weeks ago, the first shipment of LNG has just left the Cameron LNG Export Facility in Louisiana.
Not only have thousands of JOBS been created in USA, we're shipping freedom and opportunity abroad!

ーーー

三菱商事は5月14日、キャメロンLNGプロジェクトが現地時間5月14日にLNGの生産を開始したと発表した。

第1系列は4月15日に試運転の最終段階で天然ガスの充填が開始された。



2018/11/14 千代田化工建設、米国LNG計画で850億円の追加工事 

2019/5/9 千代田化工建設、大幅赤字に、三菱商事が支援へ

トランプ大統領は同日、施設を訪問し演説を行った。

大統領は自身が進めてきた税制改革、新たな液化施設建設およびパイプライン敷設に対して許可を出し続けてきたことが、米国がエネルギー面で輸入に依存しない独立的な立場をつくり上げ、雇用を創出したことを強調し、温暖化対策に基づく化石エネルギーの削減は雇用を奪うもので、とりわけオバマ政権下で進められたグリーン・ニューディール政策について否定的な見解を述べた。

日本企業がこのプロジェクトに参加していることは、大統領が登壇する直前にSempra Energy のCEOから紹介された。

同日の大統領のツイッター:

With incredible grit, skill, and pride, the 7,000 workers here at Sempra Energy are helping lead the American Energy Revolution. They are not only making our nation WEALTHIER but they are making America SAFER by building a future of American Energy INDEPENDENCE!

 


メルケル独首相の大連立政権を支える国政第2党、ドイツ社会民主党(SPD)のAndrea Nahles党首が6月2日、党首を辞任する考えを示した。

SPDは欧州議会選で歴史的な大敗を喫した。欧州議会選で過去最低の15.8%の得票にとどまり、緑の党に抜かれて第3党に転落していた。

ナーレス氏は同日朝「職務の執行に必要な支持がもはや得られない」との考えを示した。

大連立を維持する立場を保ってきた同氏の辞任はメルケル政権にとって打撃となる。

欧州議会選挙のドイツの結果

今回 前回
議席
増減
議席 得票率
キリスト教民主同盟 (CDU) CDU/CSU

下院
連立
与党

23 22.6 29 -6
キリスト教社会同盟 (CSU) 6 6.3 5 1
ドイツ社会民主党(SPD) 16 15.8 27 -11
緑の党 21 20.5 11 10
自由民主党(FDP) 5 5.4 3 2
ドイツのための選択肢(AID) 11 11.0 7 4
左派党 5 5.4 7 -2
その他 9 12.9 7 2
合計 96 100 96 0

ーーー

2017年9月24日の連邦議会(下院)選挙で、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は709議席のうち246議席しか確保できなかった。

自由民主党(FDP)や緑の党と進めていた連立協議が11月19日、決裂し、2018年3月になってようやく、第2党の社会民主党(SPD)と続けてきた大連立交渉がまとまり、メルケル氏はわずかの差で首相に選ばれた。

下院の勢力図は下記の通り。

キリスト教民主同盟 (CDU) キリスト教
民主・社会同盟
(CDU/CSU)
246 連立
与党
399

(首相選出投票)
賛成 364
(過半数 +9)
(与党全数 -35)

反対 315
棄権  9
欠席 21

キリスト教社会同盟 (CSU)
ドイツ社会民主党(SPD) 153
緑の党 67  

野党

 
310
自由民主党(FDP) 80
ドイツのための選択肢(AID) 92
左派党 69
無所属 2
合計 709   計 709
過半数は355

2018/3/17 メルケル首相 再選 


当時、社会民主党では1/3が連立に反対していた。今回、党首が変ると、連立から離脱する動きも出てくると思われ、
その場合はメルケル政権の崩壊や議会の解散・総選挙につながる可能性がある。



ドイツで2018年10月14日に実施された保守の牙城のバイエルン州(英語ではBavaria州)の議会選挙で、メルケル政権を支える保守与党、キリスト教社会同盟(CSU)が歴史的な大敗を喫した。

CSUの得票率は前回2013年の47.7%から37.7%に下がり、68年ぶりの低さとなった。連邦議会下院で連立を組むドイツ社会民主党も惨敗し、両党を合わせても過半数を下回る。

逆に緑の党と、極右政党ドイツのための選択肢(AfD)が大躍進した。

2018/10/17 独与党、バイエルン州で大敗 メルケル政権に打撃


今後、総選挙となった場合、
キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が政権を失う可能性もある。

欧州議会選挙は5月23日~26日に行われた。欧州議会議員は任期が5年。総議席は751で、国別に議席数が決まっている。

英国は、本土が70議席、北アイルランドが3議席の合計73議席で、英国は10月末にはEUから離脱するが、規定上、選挙を行った。
英国では5月23日に実施され、Brexit党が29名で最多数となった。与党と労働党は惨敗した。

2019/5/29 欧州議会選挙で英国の与党と最大野党が敗北

欧州議会では、出身国での所属政党ではなく、イデオロギーが近似する議員で会派を作っている。

選挙の結果は下記の通りで、欧州政治の分極化を浮き彫りにした。

これまでの主流の欧州人民党(中道右派)と社会民主進歩同盟(中道左派)が大きく議席を失い、初めて過半数を割り込んだ一方、同じ親EUの欧州自由民主同盟が大きく伸びた。

EU懐疑派では、イタリアの極右「同盟」やフランスの極右「国民連合」、ドイツの極右「ドイツのための選択肢」などの入る、EUとの対峙も辞さない強硬な懐疑派がいずれも伸長した。
しかし、懐疑派の極左は席を失って、全体ではあまり変わらず、EU懐疑派が独り勝ちして欧州統合に強くブレーキがかかる事態はひとまず回避した。

今後は親EU派が結束できるかが焦点となる。

今回 前回 増減
欧州人民党(EPP) 中道右派 179 215 -36 戦後欧州の安定を支えてきた。
初めて過半数を割り込んだ。
社会民主進歩同盟(S&D) 中道左派 153 190 -37
欧州自由民主同盟(ALDE&R) 中道 105 70 35 「最も議席数を伸ばしたのは、大衆迎合主義(ポピュリズム)政党でも極右でもなく、われわれ親EUグループだ」
欧州緑グループ・欧州自由同盟
(Greens/EFA)
69 50 19
(親EU 合計) (506) (525) -19
欧州保守改革G (ECR) EU懐疑派 63 74 -11
国家と自由のヨーロッパ(ENF) 極右 58 39 19 イタリアの極右「同盟」やフランスの極右「国民連合」
(それぞれ国内で第1党を獲得している。)
自由と直接民主主義のヨーロッパ
(EFDD)
54 46 8 ドイツの極右「ドイツのための選択肢」、英・独立党、伊・五つ星等など
欧州統一左派・北方緑の左派同盟
(GUE/NGL)
極左 38 52 -14
(EU懐疑派 合計) (213) (211) (2)
無所属 8 15 -7
未定(新規当選など) 24 0 24
合計 751 751 0


今後、 今秋にそろって任期切れを迎える欧州連合(EU)機関トップ(欧州委員長、大統領、欧州議会議長、ECB総裁など)の後任選びが本格化 する。これらを一体で決めるため、各国で綱引きが行われる。

欧州議会選挙を受け、EUは5月28日に非公式首脳会議を開き、10月末に5年の任期が切れるJean-Claude Juncker 欧州委員長の後任選びなどについて協議した。

これまでは欧州議会の第一会派が擁立する「筆頭候補」が選任されたが、今回は従来方法を見直し、筆頭候補が自動的に選ばれる方式を採らないことを確認した。

今回の選挙では、親EUの二大会派が議席を減らす一方で、右勢力や「緑の党」が伸長し、多極化が進んだ。
EUの意思決定がより困難になることを懸念し、欧州委員長には、首脳らと欧州議会の双方から幅広い支持を得られる人選が必要との認識で一致した。

今回は特に、フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相が対抗している。

欧州委員長の候補には、下記の名が挙がっている。

出身 現職 会派
Manfred Weber ドイツ 欧州議員 欧州人民党
(中道右派)
組織トップの経験なし

Frans Timmermans

オランダ 欧州委
第一副委員長
欧州社会・進歩連盟
(中道左派)
ユンケル委員長右腕
Margrethe Vestager デンマーク  欧州委員
(競争政策) 
欧州自由民主同盟
(リベラル)
米のIT大手と対決
初の女性委員長狙う
Michel Barnie フランス Brexit
主席交渉官
欧州人民党
(中道右派)


メルケル首相は最大会派欧州人民党のWeber欧州議員を推すが、マクロン大統領は、「カリスマ性と経験ある人物がふさわしい」と主張、それを満たす候補として他の3人を挙げている。




  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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