「no」と一致するもの

総務省は12月14日、第五世代(5G)移動通信システムの周波数を携帯電話各社に割り当てる際の審査基準を定めた開設指針を決定した。

総務省は事前に公表していた指針案を修正し、12月14日に有識者会議の電波監理審議会に諮問し、即日、内容が妥当との答申を受けた。

基地局など通信設備で、中国製品の一部を事実上排除するよう求める項目を盛り込んだ。

世界貿易機関(WTO)のルールに配慮し、国名や企業名の名指しを避けたが、Huawei、ZTEの製品が念頭にあり、12月10日に関係省庁が申し合わせた「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」(後述)について留意すべきこととしている。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの国内3キャリアは、2019年度米国防権限法(NDAA2019) を念頭に、既に 5GでHuaweiとZTEの通信設備を事実上排除する方針を固めたと報じられている。
ソフトバンクは現行の携帯電話の通信規格「4G」の設備について、華為技術(Huawei)など中国製の基地局をなくす方針を固めた。スウエーデンの
Ericsson、フィンランドのNokiaの製品に順次置き換える。

開設指針では、「考え方」を以下の通りとしている。

我が国の情報通信ネットワークの安全・信頼性を確保することが重要であると考えており、民間事業者においても、サイバーセキュリティ向上に向けて積極的に取り組んでいただけることを期待。

これに関連して、政府調達に係る申合せにおいて通信サービスの調達についても対象とされていること等を踏まえ、12月10日の関係省庁申合せについても留意すべきこととしている。

別表第一
開設計画に記載すべき事項
二 開設計画に従って円滑に特定基地局を整備するための能力に関する事項
1 略
2 特定基地局の無線設備の調達に関する計画及びその根拠
(「情報通信ネットワーク安全・信頼性基準」並びに「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群(平成30年度版)」及び「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」に留意すること。)

当初の開設指針案に対する意見と、それについての考え方も記載している。

意見:セキュリティリスクの問題で諸外国で使用禁止になっているHUAWEI、ZTEの2社の設備は使用禁止にすべき。【個人】

考え方:

我が国の情報通信ネットワークの安全・信頼性を確保することが重要であると考えており、民間事業者においても、サイバーセキュリティ向上に向けて積極的に取り組んでいただけることを期待。

これに関連して、政府調達に係る申合せにおいて、通信サービスの調達についても対象とされていること等を踏まえ、本開設指針案の別表第1において、(中略)、「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」 (平成30年12月10日関係省庁申合せ)についても留意すべきこととしている。

ーーー

政府は12月10日、首相官邸で中央省庁のサイバーセキュリティー担当者が集まる「サイバーセキュリティ対策推進会議」を開き、中央省庁がIT機器や情報システムを調達する際にサイバーセキュリティーの観点から手続きを厳格化する「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」を決定した。

1.目的
複雑化・巧妙化しているサイバー攻撃に対して、政府機関等におけるサイバーセキュリティ対策を一層向上させるためには、従来行われている取組に加え、より一層サプライチェーン・リスクに対応するなど、政府の重要業務に係る情報システム・機器・役務等の調達におけるサイバーセキュリティ上の深刻な悪影響を軽減するための新たな取組が必要である。

そのため、各省庁等において特に防護すべき情報システム・機器・役務等に関する調達の基本的な方針及び手続について、次のとおり関係省庁で申し合わせ、講ずべき必要な措置について明確化を図る。

2.対象とする調達
別紙1に掲げる各省庁等において、別紙2に掲げる情報システム・機器・役務等の調達のうち、別紙3に掲げる重要性の観点から、より一層サプライチェーン・リスクに対応することが必要であると判断されるものについては、情報通信技術(IT)総合戦略室及び内閣サイバーセキュリティセンターと協議のうえ、本申合せに基づき必要な措置を講じる対象とする。

別紙2 情報システム・機器・役務等 (詳細略)
・通信回線装置
・サーバ装置 ・端末
・複合機 ・ソフトウエア
・周辺機器
・外部電磁的記録媒体
・役務
別紙3 重要性の観点
①国家安全保障及び治安関係の業務を行うシステム
②機密性の高い情報を取り扱うシステム並びに情報の漏洩及び情報の改ざんによる社会的・経済的混乱を招くおそれのある情報を取り扱うシステム
③番号制度関係の業務を行うシステム等、個人情報を極めて大量に取り扱う業務を行うシステム
④機能停止等の場合、各省庁における業務遂行に著しい影響を及ぼす基幹業務システム、LAN 等の基盤システム
⑤運営経費が極めて大きいシステム
4.契約方式 本申合せの対象となる調達の契約方式については、総合評価落札方式や企画競争等、価格面のみならず総合的な評価を行う契約方式を採用するものとする。


5.調達手続

各省庁等は、第2項で特定した調達を実施する際は、会計法及び予算決算及び会計令に基づき契約手続を進めるに当たり、調達する情報システム・機器・役務等の提供事業者及びその製品並びに役務について、サイバーセキュリティ確保の観点から、仕様条件の決定、製品及び役務を提供する事業者の選定のために必要な情報を、Request for Information(RFI)及び Request for Proposal(RFP)等により取得することとする。

各省庁等は、調達手続のうち、サプライチェーン・リスクの観点から必要な場合において、情報通信技術(IT)総合戦略室及び内閣サイバーセキュリティセンターに対して、講ずべき必要な措置について、原則、助言を求めるものとする。


新ルールは2019年4月1日以降に調達手続きを始めるものから適用する。


「申合せ」では特定の企業名や製品名は示していないものの、HuaweiやZTEなどの中国通信機器メーカーの製品にセキュリティー上の懸念があることを踏まえたもの。

中国外務省の報道官は12月10日、日本政府が政府機関の調達先から中国通信機器大手、Huaweiなどの製品を事実上排除する方針を決めたことについて、「中国はいかなる差別的な対応も受けるべきではないと考えている」と述べ、不快感を示した。5G移動通信システムに関し、Huaweiが20カ国以上の企業と契約していることも明らかにした。

大手メディア『環球時報』は12月10日、「HuaweiとZTE排除によって日本は自らの利益を必ず損なう」という社説を発表し、「中日関係を改善させる重要なタイミングで日本は米国の政治圧力に屈した。大きな悪影響がもたらされるかもしれず、日本の安全保障にもよくないことだろう」と強調した。

日本企業が、近い将来、中国内で排除される、報復措置の可能性もありうる。 


中国政府は12月14日、米国から輸入する自動車に上乗せしていた25%の関税を来年1月から3カ月間、停止すると発表した。米国製自動車の関税はいまの40%から元の15%に戻る。

12月1日の米中首脳会談の合意に基づく措置である。

米国は2000億ドル分の中国製品について、2019年1月1日に追加関税を25%に引き上げるのを止め、当面 10%に留める。

中国は、非常に多くの農産物、エネルギー、工業製品その他を米国から購入し、貿易のインバランスを減らす。

両国は5分野での構造変化の協議を開始し、90日以内に結論を得る。

2018/12/2 米、中国への追加関税を90日猶予

発表にはないが、トランプ大統領は中国が自動車関税を引き下げると述べていた。

中国財務省は「国内市場に合った製品の輸入が拡大し、人民のニーズを満足させられる。追加関税は米国の保護主義に迫られてとった措置だった。あらゆる追加関税を取り消す方向で協議を加速し、バランスのとれたウィンウィンの新たな貿易秩序を築きたい」と、他の分野でも摩擦を解消する意向を示した。

中国の国営企業が12月12日に150万トン以上の米国産大豆を購入したことが分かった。更に追加するとみられる。

但し、(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪(窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議が、90日以内(2019年2月末まで)に結論を得られるかどうか、疑問であり、振出しに戻る恐れもある。

さらに、今回の華為技術(Huawei Technologies )の孟晩舟副会長 兼 最高財務責任者の問題もあり、楽観視は出来ない。

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中国財務部は2018年5月22日、輸入自動車及び自動車部品に対する関税を引き下げると発表した。貿易赤字削減へ関税引き下げを求めてきたトランプ米政権に中国側が歩み寄った。

自動車については、税率が25%の(関税番号での)135種と、20%のトラック4種を引き下げ、全て15%にし、自動車部品については、8%、10%、15%、20%、25%の(関税番号での)79種を引き下げ、全て6%とする。

2018/5/24 中国、自動車関税を一律引き下げ 米に歩み寄り

しかしその後、米中の制裁関税、報復関税が相次いだ。

トランプ米政権は2018年7月6日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を発動した。

米通商代表部(USTR)は、第一弾の340億ドル分について、米東部時間7月6日午前0時1分(日本時間午後1時1分)以降に米国に到着したり、国内の保管庫から取り出されたりした輸入品から関税を徴収すると通知を出した

中国も対抗して7月6日に同額の輸入品に追加関税をかけた。乗用車、電気自動車なども含まれており、乗用車は40%となった。

米通商代表部(USTR)は、残り160億ドル(25%)の制裁関税を8月23日に発動すると発表した。

これを受け、中国も、残り160億ドルの追加関税の対象製品リストについて相応の調整を行った後、2018年8月23日午後0時1分より25%の追加関税を課すことを決定したと発表した。

2018/7/6  米国、対中制裁関税を発動、中国も対応

トランプ米政権は9月17日、中国からの輸入品2千億ドルを対象に第3弾の制裁関税を9月24日に発動すると発表した。

家具や家電などに10%の関税を上乗せする。中国が踏み込んだ政策変更に応じない場合、2019年以降は25%に引き上げる。

中国は9月24日午後0時1分より 報復関税を課した。5207品目、600億ドルに対し、5%と10%追加関税を課す。

2018/9/20 米国、対中関税第3弾を9月24日発動

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中国の乗用車関税の推移:

  全体 対米国
当初 25% 25%
2018年5月 15%


 
15%
 2018年7月 対米追加関税 25% 40%
 2019年1月~3月 対米追加関税免除 15%
 2019年4月以降 米中交渉結果次第 40% ?

米財務省が12月13日に発表した11月の財政収支によると、関税収入は62億ドルと前年同月比でほぼ2倍に増えた。

米国は3月23日から日本などから輸入する鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税をかけ、5月31日からは一時的に免除していたEU、カナダ、メキシコからの輸入品についても関税を課した。

中国については、7月6日から340億ドル分に25%、8月23日から160億ドル分を追加して合計500億ドル分について25%の関税を課した。

9月24日に中国製品へのSection 232 による第三弾の追加関税(2000億ドル分に対して10%)を課したことで急増した。


自由貿易を求める関税に反対する組織 Tariffs Hurt the Heartland によると、関税収入の内訳は下記の通りとなる。
   

10月の対中国の追加関税は、26億ドルとなり、前月比で14億ドル増となっている。これは2000億ドル分の10%が加わったことによる。

これは2019年1月からは25%にアップする予定であったが、(12月1日から)90日間延期となった。この間に(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪(窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議を開始し、結論を得る。

合意できなければ、25%に引き上げられる。月間14億ドルが35億ドルにと21億ドル増加する。10月の関税収入62億ドルが83億ドルまで増えることとなる。
2017年10月ベースに比して、53億ドルの増となる。年間では従来ベースより600億ドル以上の増加となる。

この関税はは米国企業が払っているものであり、最終的には米国の需要家に転嫁される。多額の関税増は、2017年末の大型減税の効果を打ち消すものとなる。

多くのエコノミストが、関税は米国企業の負担であり、多くの企業が投資を遅らせ、雇用のペースを緩め、レイオフなどのコストカットを行い、価格に転嫁する。最終的には米国のGDPを下げることとなる、と述べている。

Tariffs Hurt the Heartland は次のように述べている。

数字は嘘をつかない。米国人がこの関税を支払うのであり、しかも以前よりはるかに多い。この関税は、我が国を豊かにするのではなく、真逆である。データは関税が政府が決めたもののうち、まぎれもない失敗であることを示している。起こっているのは、企業と消費者が余分に支払うことであり、報復によって米国の輸出は急減少しており、政府が懸念している貿易赤字は急増する。

10月の輸入は0.6%減ったが、報復により輸出は37%減少した。

米連邦準備理事会(FRB)は関税引き上げによって、物価上昇と景気悪化が同時に進む「スタグフレーション」に陥るリスクを懸念する。

しかし、トランプ大統領は数十億ドルの関税を勝ち取ったと誇らしげに述べた。

We are right now taking in $ billions in Tariffs. MAKE AMERICA RICH AGAIN."

12月13日の米テレビ番組のインタビューで「中国がモノを米国に送る際に、彼らは25%を支払っている」とも語った。

米メディアは「大統領は中国製品にかけた関税の支払いを、米国民ではなく中国側が負担していると誤解しているのではないか」と疑問視する。

部分的には、関税引き上げ分の一部を中国の業者が輸出価格の値下げの形で負担しているケースもあるとは思われるが、25%分全てを負担するなどはあり得ない。

こんな誤解のもとに、政策が決められているとすれば、恐ろしいことである。

商務省などは当然、この点を理解しており、関税引き上げ対象の中国製品を選ぶ際に、直接の消費財は除外している。但し、消費財でなくとも、関税でコストが上がり、それを使った消費財の価格に最終的に転嫁される。

大統領は、中国製品の2500億ドル相当分の残りについても関税を課すと脅しているが、その場合には消費財そのものの関税が上がり、すぐに転嫁されることになる。

大統領は、関税引き上げで米国での生産増を図るが、輸入品よりも安価に生産することは難しい。逆に中国の報復関税を避けるため、中国での生産を図る企業も出ている。


政府や三菱重工業などの官民連合がトルコの原子力発電所の建設計画を断念する方向で最終調整に入った。日本経済新聞が報じた。


三菱重工は「当社が発表したものではない」とのコメントを出した。7月末に提出した事業化に向けた調査報告書(FS)をトルコ政府エネルギー・天然資源省にて評価中であるとしている。

建設費が当初想定の2倍近くに膨らみ、トルコ側と条件面で折り合えなかった。


三菱重工業とフランスのArebaは、1991年に燃料サイクル分野において合弁会社を設立、2006年には原子力事業でのより広範な協調で合意した。

2007年7月11日にArevaとの折半出資による合弁会社ATMEA社を設立、両社技術を融合した電気出力110万kW級の最新鋭の加圧水型軽水炉(PWR)ATMEA 1 を開発した。

2017年にフランス政府は、Arevaの救済のため、抜本的な同社の構造改革を決めた。

原子力部門はフランス電力(EDF)が主体で、三菱重工も出資した。(文末に再編図)

これに伴い、合弁会社ATMEAも、2018年1月1日にEDFと三菱重工の50/50 JVとなった。

ATMEA 1 はトルコのSinop原発で110万kW 4基の採用が決まった。 トルコの原発計画は、日本政府が成長戦略として推進する原発輸出政策の一環と位置づけられている。2013年に安倍晋三首相とトルコのエルドアン首相(現大統領)がトップ会談して本格的に動き出した。

2013年5月に日本・トルコ両政府は原子力協定と原子力発電所建設の細目を規定した政府間協定に調印したのに続いて、2013年10月に商業契約を締結した。

ロシアのRosatomが受注したAkkuyu 原発に続くもの。

Westinghouseは、トルコの三番目の原発計画(イーネアダ原発)でAP1000の原子炉4基を建設する方向で交渉したが、断念 した。

事業主体の国際コンソーシアムには、三菱重工業 15%、伊藤忠商事 15%、GDF Suez(現 Engie)21%、トルコ国営電力会社(EUAS)49%が出資することとなっていた。

トルコ建国100周年を迎える2023年の1号基稼働を目指した。

2013年当時の総事業費の見込みは2兆円規模だった。しかし、2011年の福島第1原発事故の後に強化された安全基準に対応した結果、総事業費は増大した。

低価格で原発輸出を進める中ロと比較され「価格差が開きすぎた」。今夏以降のトルコの通貨リラ急落も響いた。

2018年3月に採算性の調査を担当する三菱重工が内々にトルコ政府に事業費の見積もり を伝えたが、トルコ政府にはねつけられた。

三菱重工が7月末に提出した報告書では建設費が当初の2倍近くに膨らみ、総事業費は5兆円規模に達した とされる。

企業連合の出資で3割、日本の国際協力銀行などの融資で7割の建設費を確保し、売電収入で資金を回収する枠組みを想定していたが、 完全に予定が狂った。

日本、トルコ両政府が2013年に大筋合意した想定売電価格ではコストが回収できないのは明らかで、価格見直しが争点となるが、トルコ政府としても大幅値上げは難しいとみられる。


伊藤忠商事は、事業への参画はリスクが高いとみて、2018年3月末で離脱した。

三菱重工社長は2018年6月の朝日新聞のインタビューで、次のように述べた。

「われわれは(企業連合に)入る予定だが、事業体が成り立つかどうか。すべて責任を負うわけではない。設備の製造では中核になるが、事業体の中核にはならないと思う。どこが(中核に)なるかはこれからの問題で、コメントできない」

目標とする2023年からの稼働 は、「コメントできる立場ではないが、現実論として原発はかなり期間がかかるというのは事実だ」

「われわれが着工できる条件を、採算性調査の中で申し上げることに全力を尽くす。それが関係者にとって満足いくかどうかは、また別の話。みんながやりたいということにならないと進まないと思う」

他方、ロシアのRosatomが受注したAkkuyu 原発については、4基(能力は各120万kW)のうちの1号機の起工式が2018年4月に行われた。両国大統領は映像回線経由で参加した。

エルドアン大統領は「4基すべてが稼働すれば、同原発がトルコの必要電力の10%を賄う」と言及。計画は遅延しているが、2023年には1号機の運転を開始すると述べた。

総投資額は220億ドルと見積もられていたが、現時点での投資額は不明。

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東芝(Westinghouse)の撤退を含め、日本企業の海外原発計画は進展していない。

日英両政府は2016年12月22日、原子力分野で包括的に協力する覚書を結んだが、覚書では、日立傘下のHorizon Nuclear Power の英中部Wylfaの原発計画に加え、東芝傘下のNuGenが英中部 Moorside(Sellafield)で計画する原発について言及している。

2016/12/27 日英、原発建設協力で覚書、日立・東芝の案件対象

東芝は11月8日、英国における原子力発電所新規建設事業からの撤退を決定し、連結子会社のNewGeneration (NuGen)を解散すると発表した。

これまで売却交渉を続けてきたが、2018年度中のNuGen社の株式売却完了の見通しが立たないこと、及びNuGen社維持費用の継続負担等を勘案し、経済合理性の観点から、今般、解散を決めた。

2018/11/9 東芝、英原発事業を清算

朝日新聞は8月17日、「日立の英原発建設、米大手が外れる方向 建設費の高騰で」と報じた。

北ウエールズのAnglesey島 Wylfa Newydd における原子力発電所の建設(Horizon Project)で、建設工事の中核から米建設大手 Bechtelが外れる方向になった。建設費の高騰で採算をとりづらくなっているためで、原発建設のノウハウに乏しい日立には痛手となるとしている。

日本側も英国側も出資の目途はたっていない。
また、完成した場合の電力の買い取り価格も決まっていない。

2018/8/22 日立の英原発計画がピンチ

ベトナム政府は2016年11月22日、日本企業が受注し、同国南部に建設することになっていたベトナムで初めての原子力発電所の建設計画を中止すると決めた。

2016/11/14  ベトナムの原発建設計画 中止へ

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2017年のフランス政府によるArevaの構造改革のスキーム:


2017/7/14 三菱重工業、フランスのアレバ原子炉事業に出資

米上下両院は2018年8月、華為技術(Huawei)や中興通訊(ZTE)と、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION )、浙江大華技術(Dahua Technology)、海能達通信(Hytera)の計5社への締め付けを大幅に強化することを盛り込んだ「2019年度米国防権限法(NDAA2019)」を超党派の賛成で可決し、8月13日にトランプ大統領が署名、成立した。

米国では議会が2012年頃から「Huawei と ZTEの通信機器が中国のスパイ活動に利用され、米国が開発した軍事技術が流出している」として米企業に2社の製品を使わないよう呼びかけを始めた。

2017年には国防総省による2社の製品調達を禁止する法律 (National Defense Authorization Bill ) が成立した。

2018年5月に国防総省は世界中の米軍基地の携帯電話販売店で HuaweiとZTE製のスマホの販売を禁止した。

背景には、米国による「中国製造2025」潰しもある。


2019年度米国防権限法(NDAA2019)は、禁止を国防総省以外にも拡大するもので、対象条項は、SEC. 889. Prohibition on certain telecommunications and video surveillance services or equipment.

禁止対象製品 (covered telecommunications equipment or services) は次の通り。

(A) Huawei Technologies と ZTE (関係会社を含む)製の通信機器 (Telecommunications equipment)

(B) Hytera Communications、Hangzhou Hikvision Digital Technology、Dahua Technology Company (関係会社を含む)製のセキュリティ用のビデオ監視・通信機器 (video surveillance and telecommunications equipment)

(C) 国防長官が国家情報長官、FBI局長との協議で、中国政府の影響下またはつながりがあるとみなす企業の通信機器及びビデオ監視システムも同様の扱いとなる。

* B 条項を提案したVicky Hartzler 下院議員は次のように述べている。

中国政府があらゆる手段を使って米国を標的にしている現実に対処せねばならない。中国企業が販売するビデオ監視装置やセキュリティ機器は米国政府を著しく脆弱な状況にしている。この法律は中国政府に米国の政府機関のビデオ監視をやらせないようにするものだ。

HIKVISIONは監視カメラ業界で世界シェア31.3%で1位、Dahua Technologyは世界2位
海能達通信(Hytera)は警察など特定用無線で世界1位

禁止は2段階に分かれる。

第1 段階(発効日の1年後=2019年8月13日以降)

  米政府機関(連邦政府、軍、独立行政組織、政府所有企業)が5社の製品や、5社が製造した部品を組み込む他社製品を調達することを禁止

procure or obtain or extend or renew a contract to procure or obtain any equipment, system, or service that uses covered telecommunications equipment or services as a substantial or essential component of any system, or as critical technology as part of any system;

第2段階(発効日の2年後=2020年8月13日以降)

5社の製品を社内で利用している世界中の企業との取引を禁止
(米政府機関に収めている製品・サービスが通信機器とは一切関係のない企業でも、5社の製品を使っておれば禁止)

enter into a contract (or extend or renew a contract) with an entity that uses any equipment, system, or service that uses covered telecommunications equipment or services as a substantial or essential component of any system, or as critical technology as part of any system.

問題は第2段階である。

既に世界の企業で多くの中国製通信機器が利用されている。企業が米国政府と取引を続けたい場合には、問題視されている機器の利用を一切やめ、その旨を米政府に報告・誓約しなければならなくなる。

中国国内に工場を持ち製品を作っている企業の多くは、中国製の通信機器を使わざるをえない状況にあるケースが多いという。これらの企業にとっては、「米政府と取引を続けるか、中国での生産活動を続けるか」という事実上の踏み絵を突き付けている。

日本でも多くの企業がHuaweiなどの製品を使っている。

Huawei の通信基地局の日本国内シェアは2017年度に13%で、低価格を武器に、約18%のNECや富士通に迫る。

ソフトバンクは Huawei の基地局を採用しており、同社と5Gの共同開発や実証実験を行っている。NTTドコモも5Gの実証実験で Huawei と組んでいる。

ソフトバンクは次世代通信「5G」の基地局などに中国製の設備を使わない方針を固めた。

付記 ソフトバンクは現行の携帯電話の通信規格「4G」の設備について、華為技術(Huawei)など中国製の基地局をなくす方針を固めた。スウエーデンのEricsson、フィンランドのNokiaの製品に順次置き換える。
    

一方、Huawei は大量の部品を日本企業から調達している。2017年の日本での調達額は約4900億円。

付記 

カナダ司法省は12月1日、中国の通信機器最大手、華為技術(Huawei Technologies )の創業者 任正非(Ren Zhengfei)の娘である孟晩舟(Meng Wanzhou)副会長 兼 最高財務責任者(CFO)をバンクーバーで逮捕した 。12月5日に明らかにした。

付記 

裁判所は12月10日、保釈の可否を巡る審問を開いたが、判断を示すことなく休廷した。現地時間11日午前10時(日本時間12日午前3時)に再開する。

ーーー

カナダの裁判所は12月11日、同氏の保釈を認める決定を下した。

条件として1000万カナダドル(約8億5千万円)の保釈金を支払ったり追跡装置を身につけたりする。夜間の外出は禁じられ、パスポートは押収される。

カナダの裁判所は来年2月に、米国の正式な要請に基づいて身柄を引き渡すかどうかを別途判断する。

米側は逮捕から60日以内に具体的な証拠を裁判所に示す必要がある。
ーーー

トランプ大統領は12月11日、ロイターとのインタビューで、米国の安全保障と対中貿易協議の進展に資するなら、この問題に介入するとの考えを示した。

"If I think it's good for the country, if I think it's good for what will be certainly the largest trade deal ever made - which is a very important thing - what's good for national security - I would certainly intervene if I thought it was necessary."

( Meng 副会長が釈放される可能性について)

"Well, it's possible that a lot of different things could happen. It's also possible it will be a part of negotiations. But we'll speak to the Justice Department, we'll speak to them, we'll get a lot of people involved."

ーーー

国際シンクタンク The International Crisis Group(ICG)は12月11日、同団体の上級顧問を務めるカナダの元外交官、Michael Kovrigが中国で拘束されたとの情報が入ったことを明らかにした。

カナダ外務省は12月13日、カナダ人実業家 Michael Spavor氏が中国の国家安全保障に脅威を与えた疑いで中国当局に拘束されたことを認めた。

ーーー

付記

カナダのトルドー首相は2019年1月26日、同国のジョン・マッカラム駐中国大使が同日付で辞任したと発表した。首相が辞任を要請した。

マッカラム氏は1月22日に中国語メディアとの会合で孟氏の逮捕にはトランプ米大統領の政治的な意向が反映されていると指摘。逮捕容疑であるイラン制裁違反に関して「カナダは(米国が求める)イラン制裁措置に署名していない」とし、引き渡しが行われない可能性を示唆していた。


米司法省は、イランへの輸出に対する米国の制裁にもかかわらず、華為技術が同国に製品を販売したかどうかについて捜査を始めていた。 今年8月22日に孟氏の逮捕状を取り、11月29日に孟氏がバンクーバーに立ち寄ることを把握し、犯罪人引渡協定に基づき、カナダに逮捕と身柄引き渡しを求めていた。(なお、今回の件が犯罪人引渡協定の対象になるかどうかについて議論があるという。)

逮捕の12月1日には、トランプ米大統領と習近平中国・国家主席 が、G20出席のため訪問中のBuenos Airesで夕食会形式で首脳会談を開き、米国が中国への追加関税を猶予することを決めている。


ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、孟氏が12月1日に逮捕されることを「事前に知っていた」と明らかにした。 大統領が知っていたかどうかは不明だが、ボルトン補佐官は米中首脳会談に出席しており、逮捕情報を知りつつ習氏ら中国側に情報開示をしなかった可能性が出てきたことで、中国側が今後の通商協議で態度を硬化させる恐れがある。


報道によると、米当局は少なくとも2016年から、Huawei がイランとの違法取引に関わっていないか捜査してきた。
英金融大手HSBCがHuawei の関与の疑いのある取引を見つけ、米捜査当局に報告したとされる。

12月7日にバンクーバーの裁判所で孟氏の保釈をめぐる聴聞会が開かれた。カナダ司法当局は拘束理由を明らかにし、逃亡の恐れがあるため保釈しないよう求めた。

カナダ当局によると、米司法当局は、Huawei が2009~14年に香港に拠点を置く関係会社のSkycom Techを通じて米国のコンピュータ機器をイランの携帯電話の会社に販売したとみている。これは米国製品をイランに販売することを禁じる法律に違反するもの。
しかし、孟氏は2013年に米金融機関に対して、
Huawei とSkycom Techが「無関係だ」と虚偽の説明を行い、違法な金融取引に関与させた疑いがある。

米司法当局の調べでは、Huawei は2009年にSkycom Techを売却したように装っていたが、少なくとも2014年まで管理下に置いていた。
Skycom Techの登記簿によると、孟氏は2008年2月~2009年4月に同社取締役を務めていた。

カナダの裁判所は12月10日にも聴聞会を開き、保釈の可否を判断する。米国に身柄を送還するかどうかは、裁判所が判断したうえでカナダの司法相が決める。米国で有罪となれば最大30年投獄される可能性があるという。


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Huaweiは12月6日、「現時点で逮捕に関する情報は少しもないが、不正行為の認識はない。カナダと米国の司法制度が最終的には公正な判断を下すことを信じている 。Huaweiは、事業を営む場所全てで、国連と米国とEUの輸出管理と制裁の法律・規則を含め、法と規則を遵守している」と述べた。

The company has been provided very little information regarding the charges and is not aware of any wrongdoing by Ms.Meng. The company believes the Canadian and US legal systems will ultimately reach a just conclusion.
Huwai complies with all applicable laws and regulations where it operates, including applicable export control and sanction laws and regulations of the UN, US and EU.

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孟氏はHuaweiの創業者、任正非(Ren Zhengfei)(74)の長女で1972年生まれ 。16歳の時に母親の姓に改姓した。

1992年に大学を卒業後、1年間、国有銀行大手「建設銀行」で勤務した後、Huaweiに入社 し、秘書として商品リストの打ち込みや営業サポートなどを経験した。
1997年から1年半休職し、華中理工大学で会計学を学び、その後は社内の財務部門で昇進した。

社内では2011年の役員就任時に任会長の長女であることを初めて明かした。

本年3月に副会長に就任したことで、後継有力候補と目されるようになった。

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Huaweiは中国最大の民営企業で、習近平指導部が進めるハイテク産業育成策「中国製造2025」で重要な役割を占める。
次世代通信規格「5G」のインフラに注力しており、世界66カ国の通信会社向けに約1万件の基地局をすでに出荷している。

輸出管理法を管轄する米商務省が違法と判断すれば、米国企業との取引を規制する制裁を科す可能性がある。

HuaweiはGoogleのスマホ用基本ソフト(OS)Androidや米Qualcommの半導体を採用するなど米国企業と幅広く取引して おり、米国が制裁に踏み切れば、同社の経営には大きな打撃となる。

米商務省は2016年3月、中興通訊(ZTE)が2010年にイランや北朝鮮に禁輸措置品を輸出し、その事実を隠ぺいしたとして、輸出禁止の対象とした。

その後、トランプ大統領と習主席の話し合いで、ZTEが罰金を支払うことで7月に制裁を解除した。

2018/6/8 米政府、中興通訊(ZTE)の事業再開認める


Huaweiの問題が米中協議に悪影響を及ぼすとの懸念が市場で広がっている。

トランプ米大統領と習近平中国・国家主席は12月1日の首脳会談で、両国は直ちに、(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪 (窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議を開始し、90日以内(2019年2月末まで)に結論を得ることで合意した。

この間に合意できない場合、現在は追加関税が10%の2000億ドル分の中国製品について、追加関税は25%に引き上げられる。

トランプ米大統領は7日「米中協議はとても順調だ!(China talks are going very well!)」とツイッターで強調した。
米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は、Huawei 問題は「安全保障の問題」であり、米中協議とは「別の問題だ」と主張した。


米国政府・議会は、中国の通信・監視カメラなどハイテク企業を排除すべく、動いている。日本をはじめ、各国もこれに引き込まれつつある。

米上下両院は2018年8月、華為技術(Huawei)や中興通訊(ZTE)と、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION )、浙江大華技術(Dahua Technology)、海能達通信(Hytera)の計5社への締め付けを大幅に強化することを盛り込んだ「2019年度米国防権限法(NDAA2019)」を超党派の賛成で可決 し、8月13日にトランプ大統領が署名し成立した。2020年からは、これら各社の製品を使用する世界の企業は米国政府との取引を禁止される。(詳細 明日の記事)

豪州政府は8月に、次世代通信規格「5G」の通信網について、「安全保障上の懸念」から、Huawei とZTEの参加を認めない方針を出した。

ニュージーランドでは同国大手通信事業者が11月下旬、5Gの整備で華為製品を使用しないと発表した。同国政府が、華為製品の使用は「国家安全保障上の重大な危機」があると警告したため。

日本政府は、Huaweiなどを念頭に、中央省庁が情報通信機器を購入する際、価格だけでなく、安全保障上のリスクを低減できるかどうかを考慮するという調達指針を策定することとした。

各省庁や自衛隊などが使用する情報通信機器について、安全保障上の懸念から、中国通信機器大手HuaweiとZTEの製品を「事実上」排除する方針を固め与党関係者によると、「政府がファーウェイの製品を分解したところ、ハードウェアに"余計なもの"が見つかった」という。

EUの欧州委員会の副委員長は12月7日、Huaweiなどの中国のIT企業は中国の情報機関との協力を義務付けられているとし、欧州の安全保障上のリスクを懸念する必要があると述べた。

住友金属鉱山および住友商事は12月5日、カナダの資源メジャー企業 Teck Resources Limited が保有する チリのQuebrada Blanca銅鉱山の権益のうち30%について、住友金属鉱山が25%、住友商事が5%の権益を取得することで合意したと発表した。


両社は権益取得に係る対価 8億米ドルに加え、建設工事費に対応する4億米ドルを2019年中に支払う。
また、今後Quebrada Blanca Phase 2 における 鉱石処理量が一定の増産を達成する場合は0.5億米ドルをTeck に支払う。
将来、Quebrada Blanca 銅鉱山の大規模な拡張工事に住友金属鉱山および住友商事が参入を決定する場合にはQB銅鉱山の評価額の増大に対して、相当額の負担すべき資金を支払う

両社はQuebrada Blanca 銅鉱山について、権益を保有するアリゾナ州のMorenci 銅鉱山(住友金属鉱山25.0%、住友商事3.0 %)や ペルーのCerro Verde銅鉱山(住友金属鉱山16.8%、住友商事4.2%)と比肩するワールドクラスの銅鉱山となることを期待して いる。

両鉱山については 2016/2/19 住友金属鉱山、米国モレンシー銅鉱山の権益追加取得

Quebrada Blanca銅鉱山事業の概要は下記の通り。

投資予定額:約47億米ドル
主要投資内容:選鉱場や尾鉱ダムなど

生産開始予定:2021年
生産品目:銅精鉱・モリブデン精鉱
平均年間生産量(金属量):銅約24万トン、その他モリブデン、銀

可採鉱量(金属量):銅約620万トン

マインライフ:約28年

採鉱法:露天掘り

出資者:

現状 今後
Teck Resources 90% 60%
Empresa Nacional de Mineria 10% 10%
住友金属鉱山 25%
住友商事 5%
合計 100% 100%

立地:

住友金属鉱山および住友商事は、Teck Resourcesとは、アラスカのPogo金鉱山を1997年から2009年まで共同経営するなど、長年にわたりパートナーシップを維持している。

住友金属鉱山と住友商事は8月30日、豪州大手の産金会社Northern Star Resources Limitedに、アラスカのPogo金鉱山の権益を全て譲渡すると発表した。
Pogo金鉱山は、アラスカ州で2006年から操業し、2009年からは住友金属鉱山がオペレータを務めてきた。

Pogo金鉱山概要:

1)位置:米国アラスカ州フェアバンクスの南東約145キロ

2)権益比率:住友金属鉱山アメリカ社(住友金属鉱山100%子会社) 51%→85%→ 0
       Teck Resources 40%→ 0
       SC Minerals America(住友商事100%子会社) 9%→15%→ 0
         2009年4月以降、出資比率変更

2018/9/1 住友金属鉱山と住友商事、アラスカの金鉱山権益を売却 

 

両社の銅鉱山権益は下記の通り。

鉱山

権益

能力
住友金属
鉱山
住友商事 その他
Morenci 米国 25% 3% Freeport-McMoRan 72% 48万トン
Cerro Verde ペルー 16.80% 4.20% Freeport-McMoRan 53.56%
others   25.44%
30万トン→50万トン
 
Sierra Gorda チリ 31.5% 13.5% KGHM International 55% 22万トン
Ojos del Salado チリ 16% 4% Lundin Mining 80%  
Candelaria
Batu Hijau インドネシア 3.5% 18.2% Newmont Mining 31.5%
others 46.8%
 
Northparkes 豪州 13.3% 6.7% China Molybdenum 80%  


三菱瓦斯化学は11月1日、SABICと日本・サウジアラビアメタノール(JSMC) との50/50JVの Saudi Methanol Company (AR-RAZI) が11月29日に合弁契約の期限切れを迎えると発表した。

2018/11/5 三菱瓦斯化学のSaudi Methanol、合弁契約の期限切れ 


その後、両社は合意に達し、三菱瓦斯化学は12月4日、SABICとの交渉の結果を発表した。

①  11月29日の合弁契約期限切れに伴い、JSMCのAR-RAZI持株の半分(全体の25%)を150百万ドルでSABICに売却

② 日本側は2019年3月末までに下記の条件での合弁契約の20年間継続の可否を決定する。

  継続しない場合、残り25%も150百万ドルでSABICに売却し、AR-RAZIをSABICの100%子会社とする。

  条件:
   ・ JSMCは契約延長対価としてSABICに1,350百万ドルを支払う。

   ・ 省エネ効果を高めるメタノール新技術の商業化の共同検討、および新技術によるメタノール設備更新の検討
      (SABICによると、SABICはこの新設備の"an equal co-owner" になる)

まとめると、次のとおり。

JSMC SABIC
従来 50% 50%
2018/11/29 25% 75% SABICは 150百万ドルをJSMCに支払い
2019/3/末
 Case 1 契約延長 25% 75% JSMCは 1,350百万ドルをSABICに支払い
新設備の検討
 Case 2 契約延長せず 0% 100% SABICは 150百万ドルをJSMCに支払い

付記 2019年3月22日、Case 1 の20年延長を決定。 1,350百万円は3年分割払い(費用としては20年分割算入)


まず、今回の25%分の引き渡し(対価 150百万ドル)は、サウジ現地では、SABICにとって非常に有利("highly favourable")と見られている。

JV契約の期限切れによるものであり、おそらく契約にはその際の株式の引取価格の規定があると思われるが、年間で120億円程度の配当のある株の取引価格としては非常に安い。

恐らく、簿価に近いものと思われる。

三菱瓦斯化学の連結決算での本件の投資損益は、2008~2017年度平均で約120億円。日本側全体ではその倍であり、今回売却分はその半分。

三菱瓦斯化学はJSMCに47%出資するが、同社は今回、同社としての為替差損と、JSMCでの売却益に対する税金から、売却損失が50億円程度としている。


契約延長を決めた場合、JSMCは延長のためだけで、1,350百万ドルの支払が必要である。持分は半分に減るため、現状ベースでは年間配当は120億円程度であり、元を取るのに時間がかかる。

また、三菱瓦斯化学が開発することになる新技術を、技術料は取るにしても、SABICとのJV(出資比率は50/50になる)に出す必要がある。

どうするであろうか?

韓国検察当局は11月29日、Samsung グループで有機ELパネル世界最大手、Samsung Displayの生産技術を中国パネル最大手の京東方科技集団(BOE)などに流出させたとして、Samsungの取引先のパネル製造装置大手ToptechのCEOを含む9名を、不正競争防止や営業秘密の保護に関する法律に違反した罪で起訴したと発表した。

ほかに中国企業の幹部2人も取り調べたが、起訴を見送った。検察は8月に韓国の情報機関の国家情報院から情報を得て捜査を続けていた。

Samsung はスマホ向けの中小型の有機ELパネルで9割以上の世界シェアを握る。

流出したのは、Samsung電子のGalaxyスマートフォンに搭載された「曲がったOLEDディスプレー」とガラス板を装着する工程の「3Dラミネーション」生産設備および技術資料で、BOEなど4社に流出した疑いがある。流出先には中国のパネル2位である華星光電(CSOT)が含まれている模様。

検察によると、Samsung Displayは2007年から6年間に1500億ウォン(約150億円)を投じてこの技術を開発した後、協力会社のToptech に関連装備の生産を任せた。Toptechはこの装備をSamsungに独占納品する契約を結んだが、偽装会社を通じてBOE などに16台を販売した。 情報提供によりToptecは1385万ドルを受け取ったとされる。

図は朝鮮日報


Toptech 株主に宛てたメッセージを公表し「当社が自社開発した技術を基に中国企業と取引した。Samsungの技術を流出させた事実はない」と、疑惑を強く否定した。 「法廷で真実を証明するために、あらゆる法的手続きをとる」としている。

SK Innovationは11月26日、米ジョージア州Commerce市に1兆1396億ウォン(約1140億円)を投資して、電気自動車用バッテリー工場を建設することを明らかにした。

韓国企業が米現地に電気自動車用バッテリー工場を建設するのは、2012年に完成したLG Chemのミシガン州ホランド工場(下記)に次いで今回が2度目となる。

SK Innovationは、LG Chemと同様、米国と中国と極東、そして欧州というEVマーケットのシェア9割を占める地域をカバーする。

下記の通り、北米でVolkswagenグループへの供給が決まっている。

Commerce工場は112万2000平方メートルの敷地に新設され、来年初めに着工して2022年に完成する予定。年間 9.8GWhの規模で建設される。

新工場が完成すればSK Innovationは韓国(忠清南道瑞山市)とハンガリーKomárom )、中国(常州)を含めて「グローバルの四角生産体制」を構築することになる。

新工場は、瑞山工場(4.7GWh)の2倍を超える規模で、常州工場(7.5GWh)と、2022年に完成予定のKomárom工場(7.5GWh)を合わせれば、全体の生産能力は約30GWhに増える。

稼働 建設
韓国(忠清南道瑞山市) 4.7GWh
中国(常州) 7.5GWh
ハンガリー(Komárom 7.5GWh
米国(Commerce 9.8GWh
合計 12.2GWh 17.3GWh
総計

29.5GWh


SK Innovationは
韓国中西部の瑞山の主力工場に約2000億ウォンを投じて7つ目の生産ラインを設けた。年産能力は2018年後半に2割増えて容量4.7GWhに拡大した。


SK Innovationは2017年11月30日、
ハンガリーにEV向けリチウムイオン電池の新工場を建設すると発表した。投資額は8400億ウォン(約840億円)。約43万平方メートルの敷地に年間容量7.5GWhのリチウムイオン電池工場を建てる。1回のフル充電で500キロメートル走行可能なEVに搭載可能な新型の電池を生産するとみられる。

ハンガリーではSamsung SDIが2017年5月にグドゥ(Goed)市に、蔚山と中国の西安とに次ぐ3つ目の工場を新設した。

Volkswagenグループは2018年11月13日、SK Innovationから電池セルを調達すると発表した。SKIから調達した電池は、北米および欧州で販売するVWグループの電動車に搭載する予定。

VWグループへの電池サプライヤーは、LG Chem、Samsung SDI、中国CATL(寧徳時代新能源科技)の3社にSK Innovationが加わり、これで4社目となる。

当面、LG ChemとSamsung SDIが担っている欧州向けEVの電池サプライヤーにSKIが加わることになるが、2022年からは北米向けの需要にも対応する。Commerce工場から供給する。

なお、CATL(寧徳時代新能源科技)はVWの中国での戦略的パートナーであり、2019年から中国向けEV電池の供給を始めることが決まっている。

ーーー

自動車用バッテリーでは、韓国の3社が競っている。

LG Chem は11月28日、ポーランドのヴロツワフ(Wroclaw)工場の増設に571百万ドルを投じることを決めた。ポーランドの能力を現在の年間10万個から30万個に引き上げる。

稼働 建設
韓国(梧倉〉 10万個=6GWh
中国(南京) 5万個=3GWh
米国(Holland 3万個=1.8GWh
ポーランド(Wroclaw) 10万個=6GWh 20万個=12GWh
合計 28万個=16.8GWh 20万個=12GWh
総計

48万個=28.8GWh

米国工場については下記参照。

2013/2/15 LGの米リチウムイオン電池工場への批判

2013/9/10 LG化学のミシガン州のリチウムイオン電池工場、生産開始2か月で停止 

ポーランドでは子会社の LG Chem Wroclaw Energy で生産している。

付記

LG化学は2018年10月23日、南京の電気自動車バッテリーの第2工場の起工式をに開催した。2023年までに2兆1000億ウォンを段階的に投資し、高性能電気自動車バッテリー(走行距離320km基準)50万台以上の生産能力を確保する計画。2019年末から1段階の量産を開始する。

LG化学は2019年1月10日、1兆2,000億ウォン(約1,155億円)を投じ、中国南京のバッテリー工場を増強すると発表した。
投資額のうち、半分の6000億ウォンは車載電池、残りはスマホやパソコン向け電池の生産ラインに投じる。


Samsung SDIは2017年5月にハンガリーのグドゥ(Goed)市に、蔚山5万と中国の4万とに次ぐ3つ目の工場を新設した。

稼働
韓国(蔚山 5万台
中国(西安 4万台
ハンガリー(Goed 5万台
合計 14万台


なお、Samsung SDI は11月29日、ミシガン州Auburn Hills に62百万ドルを投じて電気自動車用バッテリープラントを建設することを明らかにした。

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