「no」と一致するもの

国立科学博物館は9月3日、セメダインCやカシオSL-800、除虫菊を含む蚊取り線香など計22件を未来技術遺産として登録することを発表した。
   http://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/159444.pdf

化学関係は以下の通り。

1)00117号 量産初期のPVC樹脂製造装置

カネカ大阪工場

鐘淵化学工業が1950年に月産能力60トンで工業化した時の実験用重合機及び製造装置(5000L重合機、PVC反応1号炉、アセチレン発生器)

製造法は乳化重合法から懸濁重合法に、また原料もカーバイドから石油に移行する前のもので、国内に現存する最古級の塩ビ製造装置とされている。


 

1949年に鐘淵紡績が兵庫でVCM(アセチレン法)、PVC(乳化重合法)の試験生産を開始、1949年に鐘紡の非繊維部門の分離・独立により鐘淵化学が設立され、塩化ビニル試験設備を継承した。
  
1950年に大阪でVCM、PVCの生産を開始した。

当時は古河グループがGoodrich、三菱(日本化成)がMonsantoの、資本と懸濁法重合技術を導入する計画が進んでおり(日本ゼオンと三菱モンサント)、各社とも懸濁法の研究を行い、切り替えを図った。

同社は1951年に自社技術で懸濁法に転換した。
その後、1960年に高砂で、1970年に鹿島で、PVCの生産を開始した。
大阪工場は1995年に停止した。

VCMについては、同社はUCCからEDC法技術を導入して、1964年に高砂でEDC法VCMを工業化した。
その後、Staufferからオキシ法VCM技術を導入し、1968年に高砂でオキシ法VCMの生産を開始するとともに、東で信越化学などとともに鹿島塩ビモノマーを設立した。

2)00133号 セメダインC

1938年製作。日本初の合成接着剤。ニトロセルロースを主成分とする。

 

ーーー

1923年に今村善次郎が東京で接着剤類の製造販売を開始。
1941年に各種接着剤の製造販売を目的に有限会社今村化学研究所を設立。
1951年に販売会社としてセメダイン㈱を設立、1956年にこれを吸収合併して、社名をセメダイン㈱に改称した。

創業時にイギリス製の「メンダイン」と呼ばれる接着剤が隆盛で、同社も当初はこれを輸入販売していたが、創業者が「市場から攻め(セメ)出せ、メンダイン」との闘志を込めて、開発した製品に「セメダイン」という名前をつけた。

「接着剤」という言葉も今村善次郎が創った言葉だと言われている。

3)00135号 世界初の除虫菊を含む蚊取り線香

   大日本除虫菊

(1)1911~1914 棒状蚊取線香「金鳥香」

(2)1919~1925 渦巻型蚊取線香「金鳥の渦巻」

(3)1895    渦巻型蚊取線香 試作木型

(4)明治末期~1957 機械式手巻き用 線香押し出し機

(5)1930~1940 蚊取線香戦前の海外向けポスター群

(6)1896    「除虫菊栽培書」「日本の除虫菊」

(7)1902頃   木製 線香突き

蚊取線香については 2006/8/21 夏休み特集 蚊取り線香物語 ピレスロイドの歴史

 

過去に指定された未来技術遺産の化学関連のものは以下の通り。

2011/10/8   「未来技術遺産」

年度 登録番号 名称                                   所在地 製作年 詳細
2008 00009号 国産初期の硬質塩化ビニル管サンプル アロン化成
名古屋工場
1951 PDF
2009 00026号 池田菊苗博士抽出の第一号具留多味酸
― 日本最古のグルタミン酸 ―
東大大学院 1908 PDF
00029号 【 アンモニア合成装置 】 輸入機器
(1) アンモニア合成塔
(2) 混合ガス圧縮機
(3) 清浄塔
― わが国初の本格的なアンモニア合成プラント ―
旭化成
(延岡市)
1923 PDF
00039号 界面活性剤製造設備(TO リアクター)
― 世界で初めてα オレフィン・スルフォン酸塩の工業化に成功 ―
ライオン
大阪工場
1976 PDF
2010 00051号 合成ガス循環機
― 日本初の国産アンモニア合成装置 ―
昭和電工
川崎事業所
1930 PDF
00056号 ビニロン(ポリビニルアルコール繊維)
― 国産初の合成繊維 ―
クラレ
岡山事業所
1950 PDF
00057号 塩化ビニル被覆電線・ケーブル見本
― 現存最古級の塩化ビニル被覆電線 ―
古河電工
(市原市)
1950~
1955頃
PDF
00072号 上中啓三 アドレナリン実験ノート
― 高峰譲吉によるアドレナリン発見を決定づけた実験ノート ―
教行寺
(西宮市)
1900 PDF
2011 00080号 硬質塩化ビニル板製造用プレス機
― 日本最古の硬質塩ビ板成形プレス ―
三菱樹脂
長浜工場
1954 PDF
00082号 "テトロン"糸生産第一号機
― 日本初のポリエステル繊維製造装置 ―
東レ
(三島市)
1958 PDF
2012 00095号 クロード法によるアンモニア国産化史料
  アンモニア合成管用台盤、運転日誌、分離器
下関三井化学 1923~
 1930
PDF
00097号 国産初のPVC製LPレコード 日本コロンビア 1951
00106号 世界初の木材用非ホルマリン系接着剤
 イソシアネート系PVA系接着剤量産工場
光洋産業
 富士工場
1972年

 




本年7月にようやく稼働したLG化学子会社 Compact Powerのミシガン州Hollandのリチウムイオン電池工場が9月に入り生産を停止した。6週間程度止まると見られている。

LGは以下の通り説明している。

米国での商業生産開始の前に使用する原料をEPAに登録する必要があるが、製造に使う非常に少量の原料(名前は開示できない)について登録されていない可能性があることが判明した。

現在、登録状況をチェック中で、問題の早期解決のためEPAと協議している。
登録されていることを確認するか、又は承認を取得するまで、約6週間、生産活動を止める。

生産は止めるが、従業員のレイオフはしない。
改善工事や特別訓練、メンテナンスなどを行う。

直ぐに生産を再開できると自信をもっている。

EPAは9月6日、LGがどんな原料を使っているかを確認するため、本年7月にLGに対し原料リストの提出を命じたことを明らかにした。

ーーー

米政府から151百万ドルの補助金を受け、2010年7月の起工式にはオバマ米大統領が出席した、LG化学子会社 Compact Powerのミシガン州Hollandのリチウムイオン電池工場は、当初、2012年に稼動し、2013年末までに"Chevy Volt"ベースで6万台分を生産する予定であった。

しかし、電気自動車が不振で、GMは2012年に「Volt」を5万台売るという目標を設定したが、2012年10月までの販売台数は2万台弱に止まっていた。

このため、LGは工場完成後も生産開始を行わず、 韓国からのリチウムイオン電池輸出を続けた。

2013年2月にエネルギー省のInspector General (監察官)はLG Chem とエネルギー省職員を非難する報告書を発表した。

これを受け、エネルギー省はLGに対し補助金のうち、 842千ドルの返還を命じた。

2013/2/15   LGの米リチウムイオン電池工場への批判 


LGは2013年7月になって、Holland工場でリチウムイオン電池の製造を開始した。
5月に製造部品承認プロセス(Production Part Approval Process)が完了して需要家GMの承認を取得、その後、GMと共同で"pre-production testing"も終えた。

生産を開始しても、リチウムイオン電池はsettling period (「エイジング検査期間」:バッテリーを一定期間放置し、沈殿物の有無で不純物の混入を確かめる検査の期間)が必要なため、最初の出荷は9月終わりか10月初めの予定となっており、GMの工場にはここからの出荷はまだ行われていない。

生産ラインは3ラインで、2015年9月までに更に2ラインを追加する。


 

大塚製薬は9月5日、Astex Pharmaceuticals を買収することで同社と合意したと発表した。

1株 $8.50(過去30日の株価平均に48%のプレミアム、9月3日の終値に対しては27%)で全株式を現金で買収するもので、総額は886百万ドルとなる。10営業日以内に買い付けを始め、開始後20営業日以内に終了する。

Astex Pharmaceuticalsは、分子設計創薬技術に優れた、がんと中枢神経領域に焦点を合わせたカリフォルニアに本社をおくバイオベンチャー企業で、フラグメント創薬のリーディングカンパニーとして知られる。

1991年設立の米国のSuperGen, Inc.が2011年7月に英国のAstex Therapeutics Limited を合併し、Astex Pharmaceuticals に改称した。

英国ケンブリッジにフラグメント分子設計創薬研究所と、米国カリフォルニアに臨床開発部門を有している。

フラグメント創薬とは、小さな分子フラグメントと、疾患に関与する複雑な立体構造をもつ大きな分子の標的タンパク質との相互作用を明らかにすることで分子設計し、新規化合物を創りだす技術で、NMR やX線結晶構造解析を用いて、相互作用を明らかにする創薬技術。

フラグメント技術によって、過去8年間で8つの癌と中枢神経領域における新規化合物が臨床開発段階に移行している。

現在、フェーズ2に4化合物、フェーズ1に4化合物があり、そのうち4化合物は、AstraGeneca、Novartis、Janssen Pharmaceutical(Johnson & Johnson子会社)とのアライアンス体制のもと、臨床開発が行われている。

臨床開発部門は、抗がん剤の開発に特化し、骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病治療剤「静注Dacogen®」の開発に成功している。
Dacogen
は、北米においてはエーザイが、その他の地域においてはJohnson & Johnson子会社のJanssen Pharmaceuticalが販売している。

DacogenはSuperGenが開発した。

SuperGenは2004年9月にMGI PHARMA, INC.にDacogenの全世界の独占権を与えた。

MGI PHARMAは2006年に7月に、Dacogenの北米以外の権利をJohnson & Johnsonの子会社のJanssen にサブライセンスした。

エーザイは2007年12月、がん・救急治療に強みを持つMGI PHARMA を総額約39億米ドルの現金にて買収する最終契約を締結、米国子会社の100%子会社とした。

この結果、現在はエーザイが北米、残り地域はJanssen がDacogenを販売している。

大塚製薬では、今回のアステックス社の買収は同社の目指すがん領域のポートフォリオ拡充のみならず、中枢神経領域の創薬研究の強化にもつながるものと期待している。

Astexのフラグメント創薬技術と、大塚製薬の強みである中枢神経領域の研究を組み合わせることによって、新たな作用メカニズムの中枢神経領域の医薬品を届けられると期待している。

また、臨床開発力にも優れたAstexの買収で、がん領域のポートフォリオを拡充するとともに、大塚製薬の抗がん剤開発体制を強化する。

大塚製薬の主力製品の統合失調症治療薬「エビリファイ」が全世界で売上高を伸ばしているが、2015年4月に米国で特許切れを迎える。
2013年3月期の連結売上高1兆2180億円のうち、エビリファイが4385億円(うち米国は3361億円)を占めており、特許切れ後の対応としての一手が注目されていた。

Astexの最近の損益状況は下記の通り。(百万ドル)

  2012 2011 2010
売上高 ロイヤリティ 71 61 53
開発費収入 12 6 1
合計 83 67 53
営業費用 開発費 60 44 28
管理費 16 17 9
その他 14 4 0
合計 90 65 37
営業損益 -7 2 16
税引前損益 -5 2 16
純損益 8 5 16

 

 

米の独立系の石油会社 Apache Corp は8月29日、Sinopec傘下で海外事業を担当するSinopec国際石油勘探開発(Sinopec International Petroleum Exploration & Production)との間で石油・ガスの開発に関するグローバルパートナーシップを形成すると発表した。

提携の第一歩として、SinopecはApacheのエジプトでの石油・ガス開発事業の33%の権利を取得し、31億ドルを支払う。オペレーションはApacheが引き続き担当する。

Sinopecとしてはエジプトの石油・ガス開発への初の進出となる。
中国勢の海外の石油資源の取得としては
本年2月26日に完了したCNOOCによる Nexen買収に次ぐものである。

Apacheは現在、米国の2つの地区、テキサス州とニューメキシコ州南東部にまたがるPermian盆地と、テキサス州とオクラホマ州にまたがるCentral地区Anadarko盆地の開発に力を入れている。
両地区では以前から活動していたが、2つの買収により、活動を大幅に拡大した。

Apacheは2010年7月、BPから総額70億ドルで米国、カナダ、エジプトの石油資産を買収する契約を締結した。対象はパーミアン盆地の油田、西カナダの天然ガス、及びエジプトの西砂漠油田とEast Badr El-din 油田。

2010/7/22  BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却

Apacheは2012年5月、Anadarko盆地に312千エーカーの権利を持つCordillera Energy PartnersⅢを買収した。
現金25億ドルと同社普通株630万株を支払う。

これらにより、北米での産出量は2.4倍となった。(但し、借入金も増大した。)

確認埋蔵量は両買収により、石油換算29億バレルから一挙に117億バレルと4倍になり、うち、Permianは37%、Centralは48%と、北米が85%を占めるに至った。エジプトは10%から2%に下がった。他は、カナダ 5%、豪州 3%、北海、アルゼンチンなど。

Apacheは今年に入りバランスシートを強化するため、長期の成長に役立ち、現金を生み出す資産を大事にし、ノンコアの事業を売却するという戦略をたて、本年5月9日の第1四半期決算発表時に、2013年末までに40億ドルの資産を売却すると発表し た。

同社では40億ドルの半分を借入金返済に使用し、残りは普通株の7.5%を買い戻すのに使用する。

同社は7月18日に、Gulf of Mexico Shelf の事業をFieldwood Energy に37.5億ドルで売却すると発表している。

今回の売却もその一環で、今回の取引で目標を上回ることになる。
Sinopecとの提携でエジプトでの開発を継続しつつ、バランスシートを改善する。

ーーー

Apache はエジプトで20年以上開発を行っており、970万エーカーの権益を持つ。うち18%が開発済み。

Egyptian General Petroleum とのJVのKhalda Petroleum とQarun Petroleum で運営している。
Khaldaは西エジプトとシナイ半島で事業を行っており、Qarun Petroleum は西エジプトで事業を行っている。

エジプトは政治の混迷期にあるが、Apacheでは同社の事業は遠隔地にあり、問題はないとしている。

Apacheは本年の第2四半期にFaghur盆地(4か所)、Shushan盆地、Matruh盆地、Abu Gharadig盆地で合計7か所の油田・ガス田を発見したと発表している。


Apacheのエジプトでの生産は拡大し続けている。

 




石油資源開発(JAPEX) は9月2日、イラクのガラフ(Garraf or Gharaf) 油田が8月31日に原油生産を開始(ファーストオイル)したと発表した。

Garraf 油田はイラクのジカール県(Thi Qar Province)にある。

イラクの石油の第二次入札が2009年12月に行われ、日本の石油資源開(Japex)がマレーシアのPetronasと組んで、Garraf 油田を落札した。

両社は入札で 3つのチームに打ち勝った。
 ・
トルコ国営石油(TPAO)/インド ONGC
 ・
カザフスタンのKazMunaiGas/韓国のKoGas/イタリア Edison
 
・インドネシア Pertamina

2009/12/14  イラクの石油第二次入札で石油資源開発が落札

両社はイラク国営南部石油(South Oil Company)との間で開発サービス契約を締結した。

開発請負者 参加比率 資金負担比率
Petronas 45% 60%
JAPEX Garraf 30% 40%
国営北部石油
(North Oil Co.)
25%  -

JAPEX Garraf はJAPEX 55%、石油天然ガス・金属鉱物資源機構 35%、三菱商事 10%の出資。

国営北部石油のコストは海外2社が負担する契約で、PetronasJAPEX Garraf が共同で約70億ドルを投入し、7年以内に生産を開始する。

原油1バレルごとに $1.49 の報酬を受け取る条件で、20年間、日量230,000 bbl を生産する。
イラクでは油田の権益自体は取得できないが、開発・生産のコストを原油で受け取ることができる。

JAPEXでは、「投資費用は数年で回収できる」としている。

2011年3月にベースキャンプを開設、6月から坑井掘削作業を行い、これまでに評価井2坑、開発井9坑の計11坑を掘削するとともに、生産施設を建設してきた。

このたび日量3.5万バレル規模で生産を開始、2017年には目標の日量 23万バレルまで増産する計画。

JAPEX Garraf 分として引き取る原油については、日本への持ち込みを視野に、販売方針を検討中としている。

ーーー

石油資源開発(JAPEX) は1955年に石油資源開発株式会社法に基づく特殊会社として設立された。
1967年に石油開発公団の設立に伴い、同公団の事業本部となった。

1970年に石油開発公団から分離し、民間会社として再発足した。




環境保護部はこのたび、2012年の31省・自治区・直轄市および新疆生産建設兵団における主要汚染物質の総合的排出削減量の審査の結果を発表した。

それによると、中央企業(中央政府直属の国有企業)8社のうち、華為集団(発電)、大唐集団(発電)、華電集団(発電)、国電集団 (発電)、中国電力投資集団(発電)、神華集団 (石炭を中心とするコングロマリット)の6社が同年の排出削減目標を達成し、審査に合格したが、中国石油天然気(CNPC、子会社はPetroChina)とSinopecは目標に達しなかった項目があり、審査に不合格となった。

両社の実績は以下の通りで、2012年目標に達しなかったのは各1項目だけだが、12次5カ年計画目標に対しては両社とも大きく未達となっており、特にNOxについては両社とも逆に増加となっている。
汚染物質排出削減の達成量はスケジュール的にみて大きく後れており、全国各地のペースにも大きく後れを取っている。

  CODの排出量 アンモニア性窒素 二酸化硫黄(SO2) NOx
2012年
実績
CNPC 0.08%減
目標 0.6%減
1.33%の減 1.62%減 3.26%
Sinopec 2.62%減 1.91%減 3.90%減 1.28%
目標 ゼロ排出
 
12次5カ年計画目標 10%減 8%減 10%減 8%減
2012年末
累計
CNPC 0.53%減 0.04%減 4.31%減 8.27%
Sinopec 2.3%減 2.1%減 6.0%減 2.52%


両社の場合、汚染物質排出削減プロジェクトにおける措置の著しい後れ、汚染対策プロジェクトの技術の後れと運営効果の低さ、環境の管理水準のばらつき、の3つが問題とされた

規定により、審査結果発表の日から、CNPCとSinopecの2つのグループ会社に対し、石油製品のグレードアップと省エネ・汚染物質排出削減の両分野でのプロジェクトを除き、精製設備の新設・改造・拡張プロジェクトの環境評価に対する審査認可を一時的に停止することが決定された。

影響が出るのは準備中または環境影響評価の文書を提出した立案中のプロジェクトの一部に限られ、稼働中及び建設中のプロジェクトには影響しない。

停止を解除する時期は、2013年上半期の総合的排出削減量の審査、および汚染物質排出削減の責任と目標を明確に定めた目標責任書の履行状況を踏まえて確定する。

 




アメリカの電力大手 、Entergy Corporationは8月27日、バーモント州南部にあるYankee 原子力発電所の稼働を来年の末に停止し、廃炉にすることを決めたと発表した。
原発は"safe-store"(
安全貯蔵)の状態に置かれ、核物質が冷却されて取り除けるまで60年間そのままに置かれる。


 

Yankee原発は、1972年に運転を開始したGE製の沸騰水型(BWR)の原子力発電所で、フル稼働時の能力は620メガワット。

廃炉を決めた理由について、シェールガスの生産増加の影響で天然ガス価格が低くとどまり、発電コストの競争力が低下したことや安全性や信頼性向上のために多額の費用がかかることなどを挙げている。

同社では、人為的にエネルギー価格を低下させる欠陥市場構造(a flawed market design)が問題であるとしている。

米国の原発は天然ガスブームによる著しい価格競争に襲われているが、Vermont Yankeeは米国で最も古く、最も小さいプラントの一つで、反原発運動が盛んな州にあり、最初に廃炉に追い込まれる原発になると見られてきた。

1970年代以降、同原発に対する反対運動が行われ、福島原発事故の際と、最初のライセンスの切れる2012年3月には大規模な抗議運動が行われた。

同原発は2012年3月に稼働40年になるため、2006年に20年間の操業延長の申請をNRCに行い、2011年3月に2032年3月までの20年延長の承認を得たばかり。

同原発については、バーモント州の原発を含むユーティリティの監督を行うPublic Service Boardが操業延長を認めたのに対し、2010年初めに州上院がこれを否定し、延長を認めない決定を行った。議員は工場の安全性、老朽化、工場経営者によるリアクター部品についての虚偽の説明を問題にした。

これに対し、米地裁は2012年に、州上院の決定は放射能の安全性についての議論に基づいているが、その問題はNRCだけが独占的に関与しうるとして州の敗訴の判決を下した。また州が延長を認める条件として電力を安い価格で州内の施設に売るよう求めたことについて、憲法違反とみなした。

2013年8月には連邦控訴審が地裁の判決を支持した。Atomic Energy Act of 1946により安全性は連邦政府(NRC)だけの責任であるとした。

今回の停止・廃炉決定で州との争いにも終止符が打たれる。

ーーー

現時点で他に5基のの原子炉の停止が発表されている。全てのケースで安価な天然ガスが停止の一因とされているが、多くはメカニカルな問題を抱えている。
Dominion のKewaunee原発と今回のYankee原発は、特に大規模な設備投資の必要性に迫られておらず、天然ガスとの競争に負けての停止である。

1)電力大手Dominion は本年5月7日、ウイスコンシン州のKewaunee原発(556メガワット)を永久停止した。純粋に経済性の観点としている。

同社は中西部地域で原発投資の橋頭堡を築く目論見だったが、中西部で適当な他の原発を買収することに失敗し、この原発を維持する経済合理的根拠を失い、売却を決めたが、買い手はみつからなかった。
同原発はすでに20年間の延長許可を取得しており、2033年まで操業できるはずだった。

2012/10/26   米の発電会社、不採算を理由に原発を閉鎖

2)Exelon は2010年に、ニュージャージー州のOyster Creek原発を認可の期限の2019年末までに停止すると発表した。
1969年稼働の米国最初の大規模商業用原発で、645メガワットのBWR型原発。
温排水による環境への影響の懸念で州環境保護局から冷却塔の追加を要求され、高コストを理由に廃炉を決めた。


3)フロリダ州のCrystal River原発は能力860メガワットで、原子炉の格納容器にひびが入ったため、2009年9月から停止していた。

Duke Energyは2012年7月に同原発を所有するProgress Energyを買収したが、その後の調査の結果、修理費が15億ドル、最悪シナリオでは34億ドルかかることが分かり、現在の電力料では回収できないと判断、Duke Energy は
2013年2月、同原発を永久停止すると発表した。(保険金850百万ドルを回収)

Duke Energyは又、本年8月1日に、フロリダ州のWilliam Lee 原発の新設計画を断念すると発表した。
東芝子会社のWesting Houseが原子炉2基を納入する予定だった。

Dukeが2016年以降の運転開始を目指して2008年に申請したが、NRCは最終ヒアリング(当初目標は本年3月)は2016年になると通知したため、Dukeは撤回を決めた。

4) 三菱重工業製の蒸気発生器の配管破損で昨年から停止中の米カリフォルニア州南部のSan Onofre原発について、運営するSouthern California Edison 6月7日、全2基を廃炉にすると発表した。

2号機は1983年、3号機は1984年にスタートした。
三菱重工業は2号機、3号機の取替用の蒸気発生器を各2基 納入した。

San Onofre原発は2012年1月31日、3号機の蒸気発生器の配管から水が漏れて緊急停止、微量の放射性物質が漏れた可能性もある。定期点検中の2号機でも配管摩耗が見つかり、NRCはすべての稼働を禁じた。

Edisonは2012年10月、2基のうち1基を7割の出力で稼働する計画をNRCに出したが、市民団体や一部議員が反対、NRCも公聴会を重ねるなどして判断に時間がかかり、「再稼働できるかどうか、できたとしてもいつになるか不安定な状態がこれ以上続くのは、利用者や投資家にとってよくないとの結論に至った」とコメントを出した。

同社は三菱重工に損害賠償を請求する。

Edisonは三菱重工業に対し、原発停止で生じた損害全額を賠償するよう求めているが、三菱重工側は契約上の責任上限額を超える賠償責任はないと反論している。

ーーー

米国では、1979年のスリーマイル島原発事故以来、原発建設は凍結されていた。

オバマ政権はこれを再開する方針を示しており、NRCは2012年2月9日、Southern Nuclear Operating Companyのジョージア州オーガスタの南東26マイルのVogtle power plantの2機の建設・運転一括許可を承認した。
東芝傘下のWestinghouse Electricの新型加圧水型軽水炉(PWR)のAP1000を採用する。

NRCは2012年3月30日、South Carolina Electric & Gas とSantee Cooperがサウスカロライナ州のコロンビアの北西約40キロにあるV.C. Summer 原発の2号機と3号機について建設運転を承認した。
これもAP1000を採用する。

2012/4/4 米、2件目の原子力発電所新設を承認

米原子力規制委員会は2012年8月7日、最近の連邦控訴裁判所の判決で提起された使用済み核燃料の保管に関する規則を見直すまで原子力発電所建設の認可手続きを停止すると発表した。

連邦高裁は2012年6月、運転をやめた原発の敷地内で60年間、使用済み燃料の保管が認められていることについて、NRCの安全性評価は不十分だとして再検討を命令。原発敷地内ではなく、最終処分場の候補地を検討するよう求めている。

ーーー

新規計画が2つ承認された一方、申請していた計画の2つが既に取り止められており、上記のDuke Energyのフロリダ州のWilliam Lee 原発の新設計画断念が3つ目となる。

1)NRG Energyは2011年4月、福島第1原発事故の影響で「規制動向など先行きが不透明になった」として、東芝との合弁会社でテキサス州で進めていた原発2基の新設計画への投資を打ち切った。

NRGは2008年にNuclear Innovation North America(NINA)を設立、同年に東芝が12%出資し、サウステキサスプロジェクト原子力発電所に改良型沸騰水型原子炉 (ABWR)2基(3号機、4号機)を増設する計画を進めていた。

2)Exelon は2012年8月、テキサス州Victoria County Stationの原発申請を取り下げた。

同社はさきに、建設を長期間遅らせるため、combined construction and operating license (COL)の申請を取り下げていたが、今回、残していたearly site permit for land の申請も取り下げた。

天然ガスの値下がりで、予想しうる将来にわたって競争力がなくなったと判断した。

2012/9/6 米電力大手Exelon、原子力発電所の申請を取り下げ 


2012年7月30日付の英 Financial Times は、"Nuclear 'hard to justify', says GE chief"のタイトルでGeneral ElectricのCEOのJeff Immeltのインタビュー記事を掲載した。

シェールガス革命で天然ガスが豊富に供給され、再生可能エネルギーの選択肢も増えたことから、原子力発電を正当化することは難しくなったというもの。

2012/7/31 原子力発電の正当化困難にーGE会長 

 

 


8月30日付の香港紙 South China Morning Post は、中国共産党指導部が周永康Zhou Yongkang前政治局常務委員の汚職をめぐる調査を開始することで合意したと報じた。

現役および退任後を含めて政治局常務委員が経済犯罪で調査を受ければ、文化大革命以降で初のケースとなる。

付記

新華社は9月1日、中国共産党中央規律検査委員会が、本年3月までCNPCの会長であった国務院国有資産監督管理委員会の蒋潔敏(Jiang Jiemin主任(閣僚級)に対し「重大な規律違反」の疑いで調査を始めたと報じた。
同氏は党で約200人しかいない中央委員を務める。薄煕来被告とも政治的に密接だったと指摘されている。

新華社は9月3日、国有資産監督管理委員会の蒋主任(閣僚級)を「重大な規律違反の疑い」を理由に罷免したと伝えた。

これまで中国政府が中国石油天然気集団(CNPC)と子会社PetroChinaの幹部を「重大な規律違反」で取り調べていることが報じられていた。

先ず8月26日に、中国の中央規律検査委員会の情報として、CNPC副総経理の王永春が党の規律の重大な違反で調べられていると報じら、翌8月27日には中国国有資産監督管理委員会が他の3人を取り調べていると発表、CNPCは4人の辞職を発表した。

王永春(Wang Yongchun) CNPC副総経理、大慶油田分公司総経理
李華林(Li Hualin CNPC副総経理 、子会社 昆侖能源(Kunlun Energy)会長
冉新権(Ran Xinquan CNPC副社長、長慶油田分公司總經理
王道富(Wang Daofu PetroChina 主任地質学者、勘探開發研究院(Exploration Development Institute)


参考
CNPCの現在の董事長(会長)は周吉平(Zhou Jiping)で、2013年4月にPetroChina社長から昇格した。
総経理(社長)は
廖永远Liao Yongyuan)で、副総経理は退職した2人のほかに、汪东进Wang Dongjin)、喻宝才Yu Baocai)、沈殿成Shen Diancheng)の3人がいる。

上記の4人はCNPCの元総経理で石油業界のドンとして君臨した周永康の側近(李華林・副総経理は秘書を務めていた)で、最終的に周永康を狙ったものではないかと噂されていた。

CNPC以外では、2012年12月に、周永康に抜擢された李春城・四川省党委副書記が双規(党紀律機関による幹部の拘束、取り調べ)処分となり、本年6月には長年にわたって周永康の秘書を務めた郭永祥が双規処分を受けた。

周永康は 1964年に入党、1966年に北京石油学院を卒業、1985年に石油工業部副部長(次官)となり、1988年にCNPCに転じ、1996年に総経理となった。 党に戻った後も業界で絶大な影響力を持っている。

2007年に第17期1中全会で中央政治局常務委員に昇進した。

江沢民一派の中心人物として目され、8月26日に収賄と横領、職権乱用の罪を問う公判が結審した重慶市の元トップの薄熙来(Bo Xilai)と緊密であり、薄熙来の政治局委員解任に唯一反対したと伝えられた。

薄熙来は公判で、起訴内容について繰り返し否認した。
判決は今後数週間内に言い渡される可能性がある。

習近平、李克強体制になり、昨年11月に周永康を含む旧常務委員7人は引退した。

 

South China Morning Post 紙は、調査開始決定の背景には、腐敗問題の規模や周氏一家の蓄財に対する党内の怒りが高まっていることがあるとしている。
周氏が四川省トップだった時代とCNPCに在籍していた時代が調査の中心になりそうだとしている。

周氏の息子の周斌は、薄熙来と組んだ油田事業などで多額の不当利益を得たと噂されており、周氏やその家族がこれから利益を得たかどうかが調査される見通しだという。

習近平国家主席は同調査を担当する当局者らに対し、「真相を解明するように」と命じたという。
習主席は昨年11月の就任以来、国民の不満が大きい汚職や腐敗の摘発を政権運営の柱の一つとし、権力の基盤固めを進めてきた。
「ハエも虎も一掃する」と腐敗取り締まりを宣言している。

習国家主席が自らの権力基盤を固めるため、「反腐敗を名目に石油閥に焦点を合わせた」との憶測が流れている。


中国共産党の新指導部体制は、太子党(高級幹部の子弟)、共産主義青年団(共青団)、上海閥の3派が並存するトロイカ体制である。

習近平国家主席は太子党
胡錦濤前主席や温家宝前首相、「リコノミクス」の李克強首相は共青団
江沢民元国家主席、周永康、薄熙来らは上海閥




Amgen Inc.は8月25日、Onyx Pharmaceuticals Inc.(オニキス)を1株当たり現金125ドル、総額 104億ドル(Onyxの現金残を考慮すると実質97億ドル)で買収すると発表した。

がん治療の有望な新薬を持つOnyxを取り込み、同分野に進出する。
昨年承認を受けたOnyxのKyprolis(
carfilzomib)は血液がんの一種である多発性骨髄腫の新薬で、アナリストによれば2021年までに30億ドル以上の売り上げが見込まれる。

OnyxはKyprolisの日本を除くグローバルな権利を持っており、米国では2019年までの独占的なorphan drug の指定を受けており、米国特許は少なくとも2025年まで有効である。

日本では小野薬品工業が2010年にKyprolisの全癌種を対象に独占的な開発・商業化の権利を取得している。
   http://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n10_0908_2.pdf

また、Onyxは他に3つの癌関連の製品を持つほか、開発段階のものも多い。
 ・
Bayerと共同販売している肝臓がんと腎臓がんの治療薬 Nexavar
(sorafenib)

 
・Bayerが販売している結腸直腸治療の抗がん剤新薬 Stivarga (regorafenib)

 ・Pfizer, Inc.
が開発する乳がん治療薬 Palbociclib
            2013年4月にFDAが
Breakthrough Therapy(画期的治療薬)に指定。

ーーー

Onyx は本年6月30日、Amgenから1株当たり現金120ドル(38%のプレミアム)での買収提案を受けていることを明らかにした。

同社の取締役会は財務と法律面のアドバイザーの支援を受けてこの提案を検討したが、この価格は低すぎるとし、株主の利益にならないとの結論となり、既にAmgenにこの決定を伝えたとしている。

Amgenや他の第三者からの買収提案を受けて、財務アドバイザーにOnyx買収に関心を持つ相手先との接触を任せた。

これを受け、AstraZeneca、Pfizer、Novaltis などが買収案を提示する準備を進めていると報じられた。

しかし、今回、Amgenが当初提示していた買収金額を引き上げる形で決着した。



米国のJacob Lew 財務長官は8月26日、議会指導部に書簡を送り、10月半ばに米政府の資金が底をつくと警告した。

最新の見積もりでは、現在取っている特別措置は10月半ばには枯渇するし、借入上限に達するため、手持ちの現金でしか運営できなくなる。現在の予想では現金残高は約500億ドルに過ぎない。
不確定要素が多く、現金をいつ使い切るかは見積もれない。
投資家が期限のきた国債について再投資をしなければ、政府は現金不足に陥る。

借入上限引き上げは政府の支出を増やすことではなく、議会が以前に認めた支出を実施できるようにすることである。

議会のみが借入上限を引き上げられるため、米国の信用力を守るのは議会の責任である。それが出来なければ米国経済に取り返しのつかない害を与える。

議会は国に対する責任を果たし、デフォルトの危険を取り除くため、出来るだけ早く行動すべきだ。10月半前に行動すべきだ。

米国の政府債務の動きは下記の通り。

2011年に連邦政府の債務が上限の14.3兆ドルに達した。

同年7月31日、
米与野党指導者は、債務上限を2.1兆ドル引き上げて16.4兆ドルにするとともに、その条件として今後10年間で2.5兆ドルの財政赤字を削減することで合意に達した。

2011/8/3  米国、債務上限引き上げ、デフォルト回避 

与野党が具体的な削減案に合意できなかったため、2013年1月から10年間1.2兆ドルの予算カット条項が発動されることとなった。
2012年末には連邦債務は見直し後の上限16.4兆ドルに達した。
更に、2012年末で大型減税が期限切れを迎えた。

これが「財政の崖Fiscal Cliff)」である。

米与野党幹部は2012年12月31日夜、 2012年末から2013年初頭にかけて米国で減税の期限切れと政府支出の強制削減がほぼ同時に訪れる「財政の崖」への対応で、当面の回避案で合意した。

2013/1/4   米国、「財政の崖」問題を当面回避

その後の動き:

2013/2/4 米国の国債発行の法定上限を暫定的に引き上げる法案成立
  2013年5月18日までに限って
向こう3か月分の歳出に相当する額の国債の発行を政府に認める。
2013/3/1 政府予算の強制削減措置 発効

 ・ 米政府の支出を今後10年間で計1兆2千億ドルを強制的に削減
    ・ 2013会計年度(2012/10-2013/9)で850億ドルを削減
      国防費が13%、国防費以外が約9%削減

2013/3/21 暫定予算案を承認
 850億ドルの歳出強制削減を維持、削減に一定の裁量
2013/5 (2月に上限越えを認めた)約16兆7000億ドルの債務上限に達した。

現在は、デフォルトを回避するためさまざまな緊急措置を実施し、資金をやりくりしている。
年初からの富裕層向け増税、3月からの強制的歳出削減で財政状況が改善、景気回復による連邦税の増加なども役立っている。

ーーー

民主党と共和党の考え方は、税金と社会福祉について全く異なる。
2012年の大統領選挙の選挙公約となる政策綱領は以下の通り。

民主党 「成長する中間層に投資し、強い米経済を再生する」

  中間層以下には年末に期限を迎える包括減税「ブッシュ減税」を延長
  富裕層の減税は打ち切り

共和党 「アメリカンドリーム」は危機にある。政府を適切な役割に戻し、より小さく、より賢くしなくてはならない。

  最善の雇用創出計画は経済成長だ。政府による助成や一時的・人為的な雇用は提供しない。
  ブッシュ減税を延長する。中低所得者層の金利や配当、株式売却益への課税を廃止する。
  オバマ政権の医療保険改革を撤廃する。
  高齢者や低所得者向け医療保険を現在の「確定給付型」から「確定拠出型」に移行する。


オバマ米大統領は4月10日、2014会計年度(2013年10月─2014年9月)の予算教書を議会に提出した。

富裕層に対する増税や社会保障費の抑制などを通して、財政赤字を10年かけて1兆8000億ドル削減する。

大統領は、赤字削減のため民主、共和両党の妥協が必要であるとし、両党に聖域(Sacred cow)はあってはならないと述べ、富裕層に対する増税とともに、大統領としては通常なら提案しない年金の物価調整方式の変更も折り込んだ。

2013/4/13 オバマ大統領、予算教書を議会に提出

昨年末の「財政の崖」協議で富裕層増税を受け入れた共和党は、次は民主党が譲る番だとして、一段の歳出削減や社会保障制度改革を要求している。

下院多数派の野党共和党は、債務上限を引き上げる条件として大幅な歳出カットを掲げている。一部議員はオバマ政権が推進する医療保険制度改革の撤廃を求めている。

一方、オバマ大統領はいかなる取引にも応じない」と述べ、この問題を政治的駆け引きの材料とはさせない決意を示しており、大統領報道官は「議会が積み上げてきた請求書を支払う議会の責任をめぐり、議会で共和党と交渉するつもりはない」と断言した。


ーーー

なお、米国の債務残高は2000年以降、急増しているが、残高がGDPを超えたのは2011年になってからである。
GDP比でみると、イタリアでさえ130%であり、日本が突出している。


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