「no」と一致するもの

 

先週の記事のように、サウジや中東では依然として大規模石油化学プラントが建設されている。

次から次に新しいコンプレックスができるため、全貌の把握が難しくなった。

このため、現時点で筆者が把握している計画を別紙にまとめてみた。

次の目次から各社の計画概要に飛びます。

https://www.knak.jp/ichiran/saudi/new/mokuji.htm

中心となるのはSABIC。
同社はAl Jubail とYanbuに世界の各社とのJV及び単独で石化コンプレックスを展開し、順次、高機能性製品にまで拡大しつつある。
欧州ではDSMの石化部門とHuntsmanの英国石化子会社を買収した。
更に、GE Plastics を買収して
SABIC Innovative Plastics と改称、世界中で機能性樹脂の製造販売を行っている。
中国ではSinopecの天津石化事業に参加し、
SINOPEC SABIC Tianjin Petrochemical としている。

サウジの国営石油会社 Saudi Aramcoも石油化学に参入した。
住友化学とのJVで西海岸のRabighにPetroRabighを設立、新たにJubailでDowとのJVのSadaraを建設中。
中国ではSinopec、ExxonMobilと共同で福建省に石油化学コンプレックスを建設した。

民間企業では、Zamil グループとTasneeが、個別に、及び共同で、多方面に事業展開を行っており、他にも多くの企業がある。

サウジではExxonMobilやShell、その他の欧米企業がSabicと組んで、またDowがAramcoと組んで石化事業を行っているが、Chevronは民間企業と組んでいる。

日本企業は、サウジ石油化学及び日本サウジアラビアメタノールがSABICと、日本アラビアメタノールがSipchemと、住友化学がAramcoと組んで事業を行っている。更に三菱レイヨンと旭化成が新たにSABICとJVを設立した。




Saudi Kayan は2012年12月26日、同社とSadara Chemical Company、Saudi Acrylic Acid の3社がブタノールを生産するJV を設立する契約を締結したと発表した。

JV名はSaudi Butanol Companyで、3社が均等出資を行う。
工場をTasnee PetrochemicalsのJubail Industrial Cityのコンプレックスに建設し、Tasneeが操業を受託する。

能力はn-butanol  が年産 330千トン、iso-butanolが年産11千トンで、建設費は約480百万ドル。2015年第1四半期に操業開始の予定。

製品のn-butanol は3社が均等に引き取り、原料のプロピレンは各社が持ち込む。
iso-butanol はSaudi Acrylic Acid が引き取る。

3社は2011年1月29日にこのJVの設立の覚書を締結している。(Sadaraは当時は設立予定の段階)

3社の概要は以下の通り。

1)Saudi Kayan Petrochemical Company (Saudi Kayan)

2)Sadara Chemical Company (Sadara)

            Saudi Aramco と Dow Chemical のJV

3)Saudi Acrylic Acid Company (SAAC)

Tasnee Petrochemical とSahara Petrochemical がアクリル酸、吸水性樹脂の事業化のために設立した50/50JV。

Tasnee はサウジのワリード・ビン・タラール王子の投資・持株会社Kingdom Holding Companyが筆頭株主のNational Industrialisation Company 51%出資して石油化学事業を行う会社。
Tasneeには他に、
ガルフの6国(バーレン、クウェート、オーマン、カタール、サウジ、アラブ首長国連邦)が均等出資するGulf Investment Corporationなどが株主となっている。

SaharaはAl-Zamil Group の石油化学子会社。

Saudi Acrylic Acid Companyの相関図は下記の通り。
TasneeとSahara は個別にもBasell とのポリオレフィンJVを持っている。

 

 

 

 

三井物産は2012年12月21日、世界有数のガス田、モザンビークのRovuma Offshore Area 1 鉱区での海底天然ガス生産設備とLNGプラントの基本設計作業を発注したと発表した。

この鉱区の最大の権益を持ち、オペレーターを務めるAnadarko Petroleumは同日、隣接するArea 4のオペレーターのEni との間で共同開発の覚書を締結したと発表した。両グループは天然ガスの開発は連系はしつつも個別に行なうが、LNG生産設備建設は共同で行う。

  発注先 概要
Area 1 海底天然ガス田 Technip USA, Inc.
Subsea 7 Saipem SAの企業連合
McDermott及びAllseas USA の企業連合
推定可採資源量
 17~30兆立方フィート超
LNGプラント 日揮びFluor Transworld Servicesの企業連合
CB&I 及び千代田化工建設の企業連合
International Bechtel
LNG年産2,000万トン
   当初LNG年産500万トン×2系列
   追加2系列
  (Area 4との合計)
生産開始 2018年(予定)

両グループはLNGプラントについても独自で実施する考えであったが、モザンビーク政府が重複による全体のコストアップを懸念し、圧力をかけたといわれている。

東京ガス、中部電力、大阪ガスなどはそれぞれ、モザンビークで開発中のガス田からの調達を目指し、Anadarkoや三井物産と交渉に入ったとされる。

ーーー

三井物産は2008年2月、米国大手独立系石油・ガス開発会社 Anadarko Petroleumがモザンビークに保有する石油・天然ガス探鉱鉱区(Area 1)の権益の一部を取得することで同社と合意した。

権益保有者は以下の通り。

  当初 現在
Anadarko (オペレーター) 76.5% 36.5%
Mitsui E&P 20%
モザンビーク国営石油会社 15% 15%
Bharat Petroleum(インド) 10%
Videocon (インド) 10%
Artumas Group(現 Wentworth Resources) 8.5%
PTT Exploration & Production (タイ)   8.5%

ーーー

モザンビークとタンザニアの国境を流れるRovuma川の河口と沖合に世界最大規模のガス田が発見され、開発が始まった。

モザンビークの海底ガス田の開発は6区に分けて行われており、三井物産はArea 1に権益を持つ。
LNGプラントはPalmaの南に建設される。


各鉱区の権益保有者は以下の通り。ENHはモザンビーク国営石油会社。

Area 4 Eni 70%、ENH 10%、ポルトガルGalp 10%、韓国Kogas 10%
Area 2 Statoil (当初 Norsk Hydro)90%、ENH 10%
 Statoil 65%、英Tullow Oil 25%、ENH 10%
Area 5
Area 3 Petronas 90%、ENH 10%
Area 6

            Norsk Hydroの石油部門は2007年にStatoilに吸収された。

付記

国際石油開発帝石は4月2日、Area2&5鉱区の25%の権益をノルウェーのStatoilから取得したと発表した。

なお、モザンビークの陸上ガス田はオスロに上場しているArtumas Group(現 Wentworth Resources)が権益を持つ。

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タンザニア側では英BGと米Ophir Energyの連合、Statoil とExxonMobile連合等が開発を行っている。




シノペック武漢化学の80万トンエチレン計画が昨年末に完成した。2012年12月29日の新華社通信が報じた。

立地は湖北省武漢市の揚子江沿岸で、5年をかけて建設した。

シノペック武漢化学は1971年に設立され、1977年に年産能力500万トンの原油処理能力の製油所が稼働した。

この計画は2007年初めに承認を得て、同年12月に建設を開始したもので、製油所能力を800万トンに拡大し、次の石化プラントを新設する。

 エチレン   800 千トン
 LLDPE   300  
 HDPE   300  
 EG   300  
 PP    400  
 BTX   400  
 ブタジエン   120  


2007/4/9 中国、湖北省武漢市のエチレン計画を承認

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2008年5月に韓国のSK化学がこの計画に35%の出資をすることで合意した。

2008/6/2  韓国SK Energy、シノペックの武漢エチレン計画に出資

しかし、2009年4月に、SKは、当時の経済危機のなかで十分な資金がないとして、この投資を延期することを明らかにした。
但し、撤退の考えはなく、当初の構想どおり、エチレン計画に35%の出資をする予定とした。

その後、この件についての進展はなく、シノペック単独で完成させた。

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中国の2011年末のエチレン能力は15,510千トンであった。

2012年には、PetroChina 大慶石化が600千トンの増設を行って能力を倍増した。
続いて
PetroChina 撫順石化が800千トンの増設を行い、能力を約100万トンとした。
更に
PetroChina 四川石化が四川省彭州市にエチレン80万トンの彭州石化を建設中で2012年の年末に完成したと見られている(未確認)。

今回の大慶石化の増設を含めると、300万トンの増設となる。

中国のエチレン能力(単位:千トン)

    2011
年末
能力
2012
完成
PetroChina 大慶石化 黒竜江省 600 +600
PetroChina 吉林石化 吉林省 850  
華錦集団(盤錦エチレン) 遼寧省 620  
PetroChina 遼陽石化 遼寧省 200  
PetroChina 撫順石化 遼寧省 150 +800
PetroChina 彭州石化 四川省 800
Sinopec 北京東方化工 北京市 150  
Sinopec 燕山石化 北京市 710  
Sinopec 天津石化 天津市 200  
Sinopec 斎魯石化 山東省 840  
Sinopec 揚子石化 南京市 650  
Sinopec 上海石化 上海市 850  
Sinopec 広州エチレン 広東省 200  
Sinopec 茂名石化 広東省 1,020  
Sinopec 中原石化 河南省 280  
Sinopec 武漢化学 湖北省 800
PetroChina 蘭州化学 甘粛省 690  
PetroChina 新疆独山子 新疆自治区 1,220  
瀋陽化工 (残渣油から*) 遼寧省 300  
YPC-BASF 江蘇省 740  
SECCO 上海市 1,190  
CNOOC-Shell 広東省 950  
福建連合石油化工 福建省 800  
Sinopec SABIC (Tianjin) 天津市 1,000  
Sinopec 鎮海煉油 浙江省 1,000  
神華包頭石炭化学
(Coal-to-Olefin)
内蒙古自治区 300  
合計 15,510 +3,000


* 瀋陽化工

藍星集団の子会社、瀋陽化工は2010年に遼寧省の瀋陽でエチレンプラントをスタートした。

独自の技術を使用し、50万トンの残渣油を熱分解して12万トンのエチレンを生産する。(その後、300千トンに)

瀋陽化工は、中国最大のペースト塩ビのメーカーで、エチレンは全量、塩ビ用に使われる。
併産するプロピレンは、同社が三菱化学からライセンスを受けて建設した
アクリル酸(8万トン)及びアクリル酸エステル(12万トン)用に使用される。
 

 

 


12月26日付の毎日新聞のコラム(水説)に「日銀総裁の変心」 が出ている。

これまで金融緩和のためのインフレターゲット(物価目標)に反対していた日銀白川総裁が、1月の金融政策決定会合で導入に踏み切る考えを表明した。記者会見で、政策変更は次の首相になる安倍さんの強い要請に応えるためだ、と説明した。

総裁の変心(乱心という人もいる)に対し、筆者の潮田道夫・専門編集委員は以下のように述べている。

「変心の理由は明白で、ここで白川さんが突っぱれば、安倍さんは日銀法改正に動く。面目にかけてもそうせざるをえない。政府提案でなく議員提案になるかもしれないが、これは成立する。素案通りなら先進国とは思えない異常な中央銀行法になる。

白川さんはそれを回避するために、安倍提言を受け入れた。法改正が行われれば、国民の共有財産である中央銀行の価値を損なう。恒久的な損失につながる。政策変更は白川さんのメンツを傷つけるに過ぎない。副作用も制御不能というわけではないだろう。

日銀法改正を唱えてきた政治家たちは作戦成功と喜んでいる。あきれて声も出ない。日銀は日本国を形成するさまざまな集団の中で、いまだに信用を保持している希少な存在だ。政治家のなすべきことは政治不信の解消であって、日銀不信を作り出すことではないはずだ。」

ーーー

自民党は2012年4月の財務金融部会で、日銀法の一部改正案を取りまとめた。(2012/12/4 毎日新聞

 ・金融政策の目的に「雇用の安定」を追加
          「物価の安定を通じ、雇用の安定を含む国民経済の健全な発展に資すること」
 ・物価目標を定める協定を政府と結ぶ
 ・日銀は物価目標の達成状況を定期的に説明
 ・目標未達成の時は、達成できなかった理由、達成に向けた方針、政府の経済政策との整合性、
    達成に必要な時間−−を説明
  ・目標と現実の数値が著しく異なる場合、内閣は両院の同意を得て総裁、副総裁、審議委員を解任できる
  ・日銀は必要に応じ、自ら外国為替の売買を行うことができる
           現在は、政府の指示に従うだけ

   みんなの党も2012年04月10日、日銀法改正案を提出した。

ーーー

白川総裁は2012年11月12日に「物価安定のもとでの持続的成長に向けて」という講演を行い、日銀の考え方を分かり易く説明している。
これは辛口の評論家も激賞しているものである。

  1.はじめに
  2.海外経済の動向
  3.日本経済の動向
  4.日本銀行による金融政策運営
  5.デフレ脱却を巡る論点
   デフレ脱却と物価上昇率の関係
   インフレ予想の実像
   需給ギャップの意味
   成長力強化の重要性
  6.日本銀行の金融政策を巡る論点
   金融緩和は不足か十分か
   資産買入れを「無制限」に行うと宣言すべきか
   マネーの増加は問題を解決するか
   外債を買うべきか
  7.おわりに

「切迫感を持ちつつも悲観論には陥らず、日本全体の力を結集して、成長力の強化に真剣に取り組んでいくことが重要です。日本銀行としても、引き続き、デフレから早期に脱却し物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現に向けて、中央銀行として最大限の努力を続けていきたいと考えています。」

ーーー

  この中で、特に「需給ギャップの意味」が示唆に富む。

需給ギャップは、一般に「需要不足額」として認識されているため、これを埋めるだけの需要を政策的に付ければ、ギャップが直ちに解消してデフレから脱却できるはずだ、という議論がなされることがあります。

注意しなければならないのは、需給ギャップというのは、あくまで現存する供給構造を前提に、それらに対応する需要不足を捉えたものに過ぎない、という点です。

日本でも、高齢化や女性の社会進出、価値観の多様化などによって、新しいタイプの需要が潜在的にはどんどん生まれていると考えられます。例えば、医療・福祉産業では、高齢化により潜在需要が急拡大しているにもかかわらず、各種の規制や現場の人手不足などから、需要に見合うサービスが提供できていないとの声が多く聞かれています。また最近注目が集まっている高齢者の消費についても、所得、健康状態、嗜好の違いなどから若年層の消費よりも個別性が強く、供給者サイドの工夫如何でさらに拡大する余地があることが指摘されています。

いずれにせよ、こうした未充足の需要、すなわち成長分野における「供給不足」は、需給ギャップにカウントされていません。
本来「需給のミスマッチ」と認識すべき部分まで、「需要不足」という形で示されているということです。

持続的に需給ギャップを改善していくためには、潜在需要を顕在化させるように、経済の変化に合わせて供給構造を作り変えていくことが必要です。



12月29日の日本経済新聞は白川総裁のインタビューを掲載した。

白川総裁は物価目標について「金融政策の柔軟性が確保できれば『めど』か『目標』かという議論に意味はない」と述べ、安倍首相が求める物価目標の導入に前向きに応じる姿勢を示した。

インタビューでは総裁は上記の講演で述べたのと同じ趣旨で説明しており、「変心」は見られない。 

4つの論点

 ・「物価安定」や「デフレ脱却」の意味を正確に共有する必要
   単なる物価上昇ではなく、景気が良くなり、それから物価が上がるということが必要。
   賃金が上昇し、雇用が確保され、企業の収益も増えていく状況が望まれる。   

 ・物価上昇を達成するには、成長力の強化と金融面からの後押しの両方が必要 
   上場企業の43%が実質無借金で、手元現預金だけをみても47兆円ある。
   魅力的な投資機会がなければ、お金は有効に使われない。成長力強化の取り組みが不可欠。

 ・金融政策の柔軟性と金融システムの安定の確保

 ・政府の果たす役割
   マクロ経済政策、規制緩和をはじめとする成長力の強化、財政規律


日銀の独立性について
 ・中央銀行は、政府の財政赤字を穴埋めするために国債を引き受ける財政ファイナンスを行ってはいけない。

 ・ゼロ金利環境のもとでのデフレ脱却達成には、中央銀行と政府が力を合わせることが必要
   金融面の後押しと成長力強化の推進が欠かせない。

 ・中央銀行が採用する政策の性格を十分認識することも重要
   中央銀行が採用する非伝統的政策は、財政政策の要素を帯び始めており、損失発生の可能性がある。

注)中央銀行の非伝統的政策:
   マネタリーベースを拡大して市中に潤沢な資金を供給する量的緩和や、
   CPや社債などのリスク資産を従来の範囲を超えて購入する信用緩和など。
    社債などが大きく値下がりした場合、損失が発生し、国民の税負担となる。


 

付記

日本銀行は1月22日の政策委員会・金融政策決定会合において、金融緩和を思い切って前進させることとし、①「物価安定の目標」を導入すること、②資産買入等の基金について「期限を定めない資産買入れ方式」を導入することを決定した。
  http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122a.pdf

①については、民間出身で2012年7月に就任した木内登英氏(野村証券出身)と佐藤健裕氏(モルガン・スタンレーMUFG証券出身)が、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とすることに反対した。

また、政府との共同声明「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」を発表した。
  http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122c.pdf



米与野党幹部は2012年12月31日夜、 2012年末から2013年初頭にかけて米国で減税の期限切れと政府支出の強制削減がほぼ同時に訪れる「財政の崖」への対応で、当面の回避案で合意した。

米議会上院は1月1日未明、この法案を89対8の賛成多数で可決した。

しかし、下院では共和党員が、この案はほとんどが増税で、歳出カットはほとんどないとして、猛反発した。
保守派が追加の歳出削減を盛り込む法案修正を目指したため、協議が長引いた。

最終的に賛成257、反対167で法案は可決された。共和党は過半数が反対した。

オバマ大統領は、2%の富裕層に対し増税し、中間層の増税を防ぐものと評価し、米国の税制をより公平なものにするという大統領選での公約を果たせたとするとともに、新年においてはこの種の政策をもう少し円滑にまとめられないか皆が考えることを期待すると述べた。

法案の成立は1月1日に持ち越したため、形式上は一旦全国民が増税となったが、遡って減税を実施する。

ーーー

財政の崖(Fiscal Cliff)は"Ben" Bernanke FRB議長が使った言葉で、次の2つによる増税と歳出減で(財政赤字は縮小するが)消費の大幅減 となり、アメリカの景気が崖から落下するように悪化するというもの。マイナス成長と失業増が懸念される。

米経済がつまずけば、世界景気への影響も大きく、格付け会社FitchRatingsは、米国が「財政の崖」を回避できなければ、控えめに見積もっても、2013年の世界の経済成長率が半減する可能性があるとの見通しを示している。

1)2012年末で大型減税が期限切れを迎える。

増税関連
・ 医療改革に伴う増税 110億ドル
・ 医療保険税(Obama Care)増税 180億ドル

特別措置の終了
・ 失業手当金給付期間延長措置の終了 260億ドル
・ 投資減税延長期間の終了 650億ドル
社会保障税の減税の終了 950億ドル
・ ブッシュ減税(所得税率や配当・キャピタルゲイン税率の軽減)の終了 2,210億ドル

2)財政管理法に基づく歳出の一律削減

連邦政府債務が上限に達したため、米与野党指導者は2011年7月、債務上限を2.1兆ドル引き上げるとともに、その条件として今後10年間で2.5兆ドルの財政赤字を削減することで合意に達した。

しかし与野党が具体的な削減案に合意できなかったため、2013年1月から10年間1.2兆ドルの予算カット条項が発動されることとなった。この半分は国防・安全保障費で、メディケアも一部カットされる。但し、Social Security とMedicaidは除外。

2012/10/8 米国経済の問題点

米議会予算局(CBO)は、「財政の崖」が現実になれば5000億ドル超の規模の財政緊縮となり、2013年の実質経済成長率はマイナス 0.5%、失業率は9.1%になる と予想する。

民主党と共和党では、「財政の崖」と赤字削減に関する主張に大きな隔たりがある。

民主党は富裕層への増税を主張、共和党はこれに絶対反対で、逆に福祉カットを主張している。

保守系の市民運動 Tea Party もオバマ政権の大型景気対策や医療保険制度改革などを批判し、増税なき小さな政府」を掲げるが、Tea は"Taxed Enough Already" (もう税金はたくさんだ!)を表している。

逆に、大富豪のWarren Buffettは高額所得者に応分の負担を求めるべきだとしている。

両党は12月21日を与野党協議の期限として交渉を続けた。

最大の対立点は税制で、民主党側は「富裕層増税抜きの合意はあり得ない」としたが、共和党はこれに反対した。

共和党のベイナー下院議長は12月14日に、それまでの「減税継続・増税ゼロ」の主張 から降り、「年収100万ドル以上の富裕層への増税」案を出した。

これに対し、オバマ大統領は12月17日、これまでの「夫婦合算年収25万ドル超での減税打ち切り」から降り、「40万ドル超での減税打ち切り」を提案した。

しかし、この後の交渉は進展せず、最終日を迎えた。

ーーー

今回の合意の内容は以下の通り。

・年収40万ドル超(夫婦合算申告では45万ドル超)の個人の所得税減税措置の打ち切り
  これにより、これら高所得層の税率は35%からクリントン政権の頃の39.6%に引き上げられる。

米国の所得税率(夫婦合算申告)  
所得 Bush減税前  現行税率 改正税率
~$14,400 15%  10%

同左 *
(Bush減税
          継続)

~$17,400  15%
~$70,700
~$142,700 28%  25%
~$217,450 31%  28%
~$388,350 39.6%  33%
~$450,000  35%
$450,000~ 39.6%
   * オバマ大統領の当初案は25万ドル以下のみを減税継続

・配当とキャピタルゲインへの税の引き上げ
  年収40万ドル超(夫婦合算申告では45万ドル超)の個人の所得に対し現在の15%から20%へ

・年収25万ドル超(夫婦合算申告では30万ドル超)の個人への所得控除、税控除の上限復活

・500万ドル以上の資産の遺産税は35%から40%に引き上げる。

・社会保障税(給与から控除)の減税打ち切り
  2011年にオバマ政権が経済刺激策として従来の6.2%を4.2%に下げたが、これを6.2%に戻す。

・逆に、2百万人に対する緊急失業 保険給付金の1年延長

政府予算の強制削減措置については、2カ月間延長する。

ーーー

今回の合意は「財政の崖」問題の当面の回避に過ぎない。

歳出の大幅カット問題は2011年夏以降の協議で結論を得られなかった。
共和党は今回、増税だけを呑まされたとの不満が大きく、強硬に福祉関連予算のカットを要求すると思われる。

2011年7月31日に連邦政府の債務上限14.3兆ドルを2.1兆ドル引き上げデフォルトを直前で逃れたが、2012年末には連邦債務はその16.4兆ドルに達している。
このため、財務省は公務員の年金基金などへの投資凍結などの「緊急措置」を発動したが、2月中には限度にくるとされる。しかも、その時期は、今回延期された国防費の自動的な歳出削減が発動される時期と重なる。

今後も両党の攻防は続き、協議がまとまらない場合は世界経済にも悪影響を与える。





 

AOCホールディングスは12月27日、連結子会社のアラビア石油が会社分割により新たに設立する子会社をJX日鉱日石開発に譲渡する契約を締結したと発表した。

新会社は2013年4月に設立の予定で、石油上流事業に携わってきた過程で蓄積した技術と豊富な経験を有する人員と、AOCグループが保有する日本オイルエンジニアリングの全株式を承継する。(日本オイルエンジニアリングの他の株主はコスモ石油)

ーーー

アラビア石油は1958年2月に設立された。

サウジとクウェートの旧中立地帯で、1957年に(前身の日本輸出石油が)サウジの採掘権を、1958年にクウェートの採掘権を取得、1960年1月にカフジ油田を発見して 1961年2月に生産を開始した。1963年11月にはフート油田を発見した。

アラビア石油はここで日本の石油消費量の5%に相当する日量27万バレルを生産して日本に持ち込み、エネルギーの安定調達に大きく貢献してきた。(原油累計生産量は約39億バーレルに達し、その内、約28億バーレルを日本向けに供給)

しかし政府の全面的な後押しを受けて臨んだサウジとの権益更新交渉に失敗して2000年2月にサウジの利権協定が終了、2003年1月にはクウェートとの利権協定も終了した。
利権協定の期限は当初から決まっており、それに対して手を打ってこなかった後継首脳に対する批判がある。

コスモ石油子会社のアブダビ石油が単独で権益を保有し1973年から操業しているアブダビ沖合のムバラス油田は、2012年に45年間の期限を迎えたが、30年の更新が認められた。

新利権協定は2012年12月6日に発効、アブダビ石油が操業中の既存3油田(ムバラス油田、ウルアルアンバー油田およびニーワットアルギャラン油田)の利権が今後30年にわたり更新されるとともに、3油田と同程度の生産規模が見込まれる既発見・未開発の新鉱区(ヘイル油田)について、新たに30年の権益が確保された。

   
2009/1/23 アブダビ石油の油田権益 20年延長へ

その後はカフジの操業は両国の国営石油会社子会社の共同操業に移行し、アラビア石油はKuwait Gulf Oil との技術サービス契約で、人員を派遣、技術、経営管理等のサービスを提供する形で共同操業に参画してきたが、この契約の更新が出来 ず、2008年1月4日、クウェート・カフジ油田の操業から撤退、半世紀に及ぶ元祖「日の丸油田」の役割を終えた。

クウェート石油公社との間では2023年1月まで、最低日量10万バーレルのカフジ原油・フート原油あるいはクウェート原油の売買に関する取り決めを結んでおり、これは今後も継続する。

2008/1/5 アラビア石油、カフジ撤退

なお、アラビア石油と富士石油は2002年10月に事業統合で合意、2003年1月、株式移転によりAOCホールディングスを設立した。

ーーー

アラビア石油はこのほかに2か所で石油開発を進めているが、いずれも諸問題の発生で操業開始が大幅に遅延、巨額な損失が発生している。このため、同社では権益売却を模索する。

(1)ノルウェー領北海・イメ油田再開発プロジェクト

ノルウェーにおける石油・天然ガスの探鉱・開発プロジェクト実施のための現地法人として1988年に100%子会社Norske AEDC ASを設立した。

ノルウェー領北海2/1鉱区のギダ油田(オペレーターはTalisman Energy)に5%の権益を保有している。1990年6月より原油生産を開始し、日量約4千バレルの水準で原油を生産している。

2009年2月に、新たなプロジェクトとしてイメ油田とそれに隣接する2 つの探鉱鉱区の権益をそれぞれ10%取得した(オペレーターはいずれもTalisman Energy)。

イメ油田は、Talismanによる開発作業が行われているが、海上生産設備の不具合等により生産開始が大幅に遅れており、生産開始の目途は立って いない。

(2)エジプト・スエズ湾ノースウェスト・オクトーバー鉱区

アラビア石油は2005年2月、スエズ湾北部のノースウェスト・オクトーバー鉱区の国際入札に成功し、同年7月にエジプト政府およびエジプト石油公社と生産分与契約を締結し、2006年9月に商業量の原油の賦存を確認した。

プロジェクト推進のため、2008年10月に100%子会社のAOCエジプト石油(株)を設立し、開発作業を進めた。

現在、エジプトの政治情勢を注視しつつパートナーのエジプト石油公社と協議を続けて いるが、同国の情勢はなお安定に至っておらず、今後は権益の売却を模索する。

石油上流事業のポートフォリオを整理し同事業から実質的に撤退することも視野に入れ、アラビア石油が半世紀以上にわたり石油上流事業に携わってきた過程で蓄積した技術と豊富な経験を新たな形でわが国石油開発業界において活用する ため、今回の決定を行った。

移籍する社員の半分の約40人が技術系。うち10人はノルウェーとエジプトの現場で腕を磨いている。

現行の上記2件のプロジェクトと、クウェイト石油公社との原油売買契約に基づく原油の購入・販売は引き続きアラビア石油が行 う。

ーーー

一方、JX日鉱日石開発は、2020年を目途に原油換算で日量20万バーレルの石油・天然ガスの生産体制を確立するべく、新規事業案件の獲得および既存プロジェクトの価値の最大化を推進している。

この達成を確実なものとした上で、更なる発展を図るためには、上流事業についての高度な専門技術と幅広い知見を有する人材を拡充することが必要にな るが、昨今の資源開発ブームの影響により、石油開発業界の人材は世界的に不足しており、その確保は難しい状況にある。

このため、承継される人材のアラビア石油時代に培った技術・知見を存分に活用し、同社の事業基盤の更なる強化を図る。

 



Braskem Idesa は12月20日、米大陸の石化計画では最大の32億ドルの借り入れに成功したと発表した。

Braskem Idesa はブラジルのBraskemとメキシコのGrupo IDESAのJVで、メキシコのVeracruz石化コンプレックスを建設する。

同社のエチレンXXI 計画の内容は以下の通り。
・エタンベースのエチレン 100万トン(Technip技術)
・HDPE 2系列(INEOS Innovene 技術)
・LDPE (Basell Lupotech 技術)
 (HDPEとLDPE 合計で能力100万トン)

総投資額は約45億ドルで、設備投資額は32億ドル、2015年に操業開始の予定

2009/11/17 Braskem、メキシコでProject Ethylene XXI を実施

完成すれば、メキシコの現在の15~20億ドルの輸入ポリエチレンに置き換わり、メキシコの貿易収支改善に寄与する。
 

融資は三井住友銀行が単独でファイナンシャルアドバイザーを務めたもので、7つの公的機関(イタリアの輸出信用機関SACEを含む)と商業銀行10行が参加する。

構成は以下の通り。
IFCは世界銀行グループ、IDB(米州開発銀行)は、中南米・カリブ海諸国の経済開発を促進するため1959年に米州機構会議で設立を決めた多国間開発金融機関。
銀行 融資額
(百万ドル)
種類
ブラジル BNDES   623 Direct Loan
メキシコ Nafin 280 Direct Loan
メキシコ Bancomext 120 Direct Loan
Export Development Canada 300 Direct Loan
International Finance Corporation (IFC) 285 A Loan
Inter-American Development Bank (IDB) 285 A Loan
三井住友銀行 200 IFC&IDB- B Loan
SACE Guaranteed
HSBC 200 IFC&IDB- B Loan
SACE Guaranteed
ドイツ復興金融公庫 150 SACE Guaranteed
Banco do Brasil 140 IFC&IDB- B Loan
三菱東京UFJ銀行 140 IFC&IDB- B Loan
韓国産業銀行 140 IFC&IDB- B Loan
スペイン BBVA 100 SACE Guaranteed
イタリア Intesa Sanpaolo 100 SACE Guaranteed
スペインSantander 100 SACE Guaranteed
みずほ 30 SACE Guaranteed
TOTAL 3,193  

SACEはイタリアの輸出信用機関

 

 

 

 

EU加盟国の財政規律を強化する「新財政協定」('Fiscal Compact')の批准国が12月21日にユーロ圏諸国だけで12カ国に達し、発効要件を満たしたため、2013年1月1日付の発効が決まった。
フィンランドが21日に批准書を提出した。

'Fiscal Compact' は正式にはThe Treaty on Stability, Coordination and Governance in the Economic and Monetary Union

EU首脳会議は2011年12月9日、ユーロ圏の政府債務危機を受け、財政規律強化のための新条約の制定を協議した。
しかし英国の反対で決定できず、ユーロ圏を中心とした条約とすることとした。

もともとユーロ圏諸国には「財政赤字がGDP比3%以下」など厳しい財政規律が義務付けられ、罰則もあったが、過去に違反した独仏両国を含む各国は制裁はされておらず、骨抜きになっていた。

EUは12月16日、新条約の原案をまとめ、加盟27か国に送付した。

2011/12/12 ユーロ新条約、最大26カ国参加へ 

2012年3月2日のEU首脳会議で、財政規律の強化に向けた新条約に英国とチェコを除く25か国が署名した。
ユーロ圏17か国のうち、12か国の批准で発効する。

2012/3/7 欧州金融危機への今後の対応

英国は主権制限を懸念して拒否した。チェコは憲法上の理由としている。

チェコの国家主権を移譲する必要がある場合、憲法の規定に従って大統領は首相にその権限を与えなければならないが、大統領は拒否する考えを明らかにしている。

ユーロ圏17か国のうち、まだ批准していないのは、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、スロバキア、マルタの5か国。
署名した非ユーロ圏8か国では、デンマーク、リトアニア、ラトビア、ルーマニアの4国が既に批准している。

新条約の概要:

各年の一般政府の構造的財政収支赤字がGDP比0.5%を超えない。
但し、公的債務残高の対GDP比が60%を大幅に下回り、長期的な財政の持続可能性リスクが低いと判断される場合、対GDP比で1%までの構造的財政赤字が認められる。


従来の基準は
・単年度の財政赤字額の比率がGDPの 3%を上回わらない
・国債残高が GDP の60%を下回ること
但し、違反に対する罰則は骨抜き

構造的財政収支が中期目標から逸脱した国は、各国毎の目標に向かって速やかに収支を収斂させなければならない。
   
上記の財政均衡化ルールは、協定発効から1年以内に、批准各国の国内法規(憲法上の規定が望ましい)で定められなければならない。
   
一般政府の公的債務残高の対GDP比が60%を上回った場合、当該国は毎年、基準を上回った金額の20分の1ずつ債務を減らさなければならない。
   
国内法規が均衡化ルールに適合していない場合、欧州司法裁判所は是正措置を採るよう求め、是正勧告に従わない場合、GDPの0.1%未満の罰金を科すことができる。

 

 


三菱ケミカルホールディングスは12月25日、医薬品カプセル製造で世界シェア2位の奈良のクオリカプス(Qualicaps)の全株を取得し、子会社化するための株式売買契約をカーライル・グループとの間で締結したと発表した。

クオリカプスの有利子負債を含む買収金額は558億円で、三菱ケミカルは金融機関からの借り入れで賄う方針。

クオリカプスは1965年の設立以来、医薬品・健康食品用カプセルならびに製剤関連機械の開発・製造・販売を日米欧の3拠点を軸に展開するグローバル企業で 、2011年の連結売上高は176億円、海外売上高比率は64%。

高品質・高機能のハードカプセルの提供とともに、長年培ったカプセル製造技術のノウハウを活用した製剤関連機械の設計・開発、製作・据付け、技術サービスの提供というトータルなアプローチで、カプセル市場において確固たる地位を築いてい る。

三菱ケミカルの推定では、
世界のカプセル市場の規模は約1,000億円で、年率数%の安定的な成長が見込まれる。
そのうち医薬品用は半分以上を占めており、クオリカプスは医薬品用カプセル市場において20%を超える世界シェアを有している。
今後年率10%以上の成長が予想されるセルロース系カプセル市場において、クオリカプスは技術・品質の優位性によってリーディングカンパニーとしての地位を確立して いる。

三菱ケミカルは石化事業の収益環境の悪化を受け、好調な医薬品事業を強化する。

但し、世界の医薬品メーカーは目指す分野に投資を集中させ、それ以外の分野を売却しているなかで、本件のカプセル事業は医薬関連であるとはいえ、医薬品の補助材料であり、競合する医薬品メーカーを需要家とする。
 
三菱ケミカルでは、クオリカプスのグローバルな顧客ネットワークは同社の医薬品原体・中間体事業との補完性が高いとしているが、高いノレン代(クオリカプスの2011年営業利益は30億円に過ぎない)を払って買収する意義があるのか、疑問がある。

ーーー

塩野義製薬と米国イーライ・リリーが1965年に50:50の合弁で「日本エランコ」を設立した。

1992年に塩野義100%となり、その後「シオノギクオリカプス」と改称した。
1995年に米国とスペインにカプセル工場を建設した。

2005年10月にThe Carlyle Groupをスポンサーとして、マネジメント・バイアウト(MBO)方式で塩野義製薬から独立した。

塩野義製薬は医療用医薬品への経営資源集中を進め、カプセル事業はノンコアビジネスであった。

クオリカプスは当時、日本市場では業界首位の地位にあったものの、海外市場では各国法人が個別に経営されており、大手医薬品メーカー顧客獲得に苦戦していた。

Carlyleは以下の方針で立て直しを図った。

・グローバル化する顧客ニーズに対応するため、グローバルなカプセルメーカーとしてグループ経営を確立すること。
日米欧連携により製造品質の改善を行い、米国大手医薬品メーカーの顧客を獲得すること。
・植物性カプセルの早期投入による業界におけるリーダーシップを確立
・日本における機械事業をグローバルに展開。
カーライルのグローバルネットワークの活用

独立後、2007年1月に、カナダのハード・カプセル製造会社Pharmaphilの買収した。

そして同年5月には世界的なカプセル製造機械メーカー、カナダのTechnophar Equipment and Service を買収した。
同社はカナダとルーマニアにカプセル機械の製造工場を有しており、さらに、ルーマニアでハード・カプセル工場を建設中であった。

この結果、現在の拠点は下記の通り。

現在はCarlyle group 3社が全株式を保有している。

Carlyleは以上の戦略で企業価値を向上させ、2010年末にクオリカプスの売却を試みた。

しかし、Pfizerによる子会社のカプセルメーカーCapsugel の売却と重なったため、その時は失敗に終わった。

Pfizerは2011年4月1日、Kohlberg Kravis Roberts (KKR)との間でCapsugel を23億75百万ドルで売却する契約を締結したと発表した。
Capsugelはハードカプセルで世界一で、2010年の売上高は約750百万ドル。

 



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