「no」と一致するもの

 

中国の靴メーカー浙江奥康靴業(Zhejiang Aokang Shoes Co)は11月18日、中国製皮靴に対する反ダンピング訴訟で同社の勝訴を支持するとする最終判決書をEU高等裁判所から受け取った。

最終判決では、2010年4月にEU第一審裁判所が行った審理は、法の適用を誤り、公正を欠いていると判断された。

「市場経済国」との認定を受けていない国の場合、ダンピング調査の際に、輸出価格は、国内価格との比較ではなく、経済発展レベルが近い代替国の価格と比較して判定される。

但し、EUの規則には例外規定がある。

Article 2(7)(b)
反ダンピング調査を受けた非市場経済国の製造者が、当該製品に関しては市場経済環境が存在するということを証明した場合、一般ルールが適用される。

市場経済扱い(MET)企業は個別に計算、それ以外は代替国価格をベースに計算する。
今回のケースで、MET扱いの場合、反ダンピング税率は9.7%、それ以外は16.5%である。

浙江奥康靴業はMET扱いを主張したが、EU第一審裁判所はこれを受け入れなかった。今回の判決はこれを誤りとした。

浙江奥康靴業に関しては、2006年10月の中国・ベトナム産革靴に対する反ダンピング税徴収法適用を無効とした。

EU高裁は、浙江奥康靴業のEU第一審裁判所と高裁への訴訟においてかかった費用を支払い、6年間にわたって納めた反ダンピング関税を還付するよう命じた。

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EU欧州委員会は2006年、中国・ベトナム製の革靴に対し、4月7日から臨時反ダンピング税を課すよう提案した。
最初は4%とし、段階的に引き上げて最後は 19.4%(ベトナム製は16.8%)に引き上げ、臨時措置の6カ月間にダンピングが解消されなかった場合は、正式な反ダンピング税の課税に踏み切るというもの。

欧州連合(EU)は2006年10月、加盟国による投票を行い、中国・ベトナム産革靴に対する反ダンピング税徴収法案を僅差で可決した。
同法案に基づき、EUは10月7日から、中国製品には16.5%、ベトナム製品には10%の反ダンピング税が課される。

同法案はフランスが提出し、僅差で可決された。投票結果は反対12、賛成9、棄権4。EUの規定では、提案を否決するには加盟国の過半数の票が必要で、棄権票は賛成票とみなされることから、同法案はかろうじて可決された。

中国商務部は、特にEUが中国を非市場経済国待遇をしていることに猛烈に反発した。

EUは2年の期間が満了した後、再審査を行い、関税適用を2011年3月31日まで延長する決定を下した。

2006/2/27  EU、中国・ベトナムの革靴に反ダンピング税

欧州委員会の決定を受けて、浙江奥康靴業を始め、浙江省温州市の泰馬、広東省広州市の南海金履、福建省などの靴メーカー5社は、EU第一審裁判所に提訴した。

2010年4月、EU第一審裁判所は、中国の靴メーカー5社の訴えを却下し、中国の靴メーカーの敗訴を言い渡した。

2010年4月、中国政府はWTOに訴え、EUによる不公平な国際貿易紛争の解決を求めた。

2010年5月、4社は、第二審での勝訴を見込めないと判断し、控訴を放棄したが、浙江奥康靴業のみ、EU高裁に控訴した。

EU委員会は20113月末に、いかなる延長申請も受理していないとして、中国とベトナムの革靴に対する反ダンピング措置を打ち切った。

浙江奥康靴業はその後も訴訟を続け、今回の判決を勝ち取った。

中国では今回の判決を受け、中国企業は外国の不公正な政策にもっとチャレンジすべきだとの声が挙がっている。

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反ダンピングを巡っての中国企業の勝訴は2件目となる。

欧州司法裁判所は2012年7月、浙江新安化工集団が除草剤・グリホサートに関する反ダンピング措置をめぐって欧州連合を訴えていた裁判の最終判決を下した。

同裁判所はEUが同公司に対して取った反ダンピング措置は無効であると認定し、欧州理事会の上告をすべて棄却した。

新安化工は非市場経済国についてのArticle 2(7)(b)による一般ルールの適用を求めたが、EUは中国政府が新安化工に出資(少数株主)していることを理由に、国家の関与があるとしてこれを拒否した。

このため、新安化工は訴訟に持ち込んだ。

欧州司法裁判所の判決は、政府が出資しているだけで市場経済国待遇を適用しないのは経済の実態に合っていないとした。

2012/7/30 中国企業、EUの反ダンピング措置の裁判で勝訴 


 



関西電力は11月19日、BPシンガポールとの間でLNG購入契約に関する基本合意書を締結したと発表した。

2017年度から15年間、年間約50万トンのLNGをBPシンガポールから購入するもので、原油価格ではなく、天然ガス価格を指標価格とする。

また、従来のようにLNG供給源を特定したものではなく、BPグループがトリニダード・トバゴやエジプトを始め、世界各地に保有する複数のLNG供給源から、BPシンガポールを通じてLNG供給を受けるポートフォリオ契約となっている。

LNG基本合意書の概要

売主 BPシンガポール
買主 関西電力
受渡開始 2017年4月
契約期間 15年間
契約数量 年間約50万トン(合計約750万トン)
受渡形態 Ex-ship(売主がLNG船を手配し輸送)

契約数量は2011年度の同社の年間輸入量の約7%に相当する。現時点で関電が保有するLNG火力発電所全16基の燃料として使用する。

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原油価格ではなく、天然ガス価格を指標価格とするのは2件目。

大阪ガスと中部電力は7月31日、米国のFreeport LNG Development との間で、天然ガス液化加工契約に関する契約を締結した。

Freeport LNGはFreeport LNG受入基地に、液化設備を新たに3系列(1系列あたり年間約440万トン)を建設することを計画しており、2017年に液化事業を開始することを目指している。

大阪ガスと中部電力は、同基地の第1系列の液化設備においてそれぞれ年間約220万トンずつの天然ガス液化能力を確保した。
これにより、シェールガスをはじめとした米国産天然ガスを自ら手当し、 同基地での液化を経て、LNGとして調達することが可能となる。

米国は現在、LNG輸出を自由貿易協定(FTA)締結国向けに限定しており、Freeport LNGは日本などFTA未締結国向け輸出許可を申請中。

但し、米国の日本向け輸出許可の取得は簡単ではない。

DowのAndrew Liveris CEOは、貴重な資源をそのまま輸出するのではなく、加工して付加価値をつけて輸出すべきと主張している。

また、米国にとっては戦略資源であり、中国に輸出する考えはなく、中国への輸出を避けるためにはFTA締結国に限定するというのは良い案ということになる。

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

大阪ガスは2012年6月22日、米国テキサス州のPearsall Shale ガス・オイル開発プロジェクトに参画することを決め、Cabot Oil & Gas Corporationとの間で、権益35%を250百万米ドルで取得すること等を定めた権益売買契約を締結した。

所在地:米国テキサス州南部(イーグルフォード地区)
参加者:Cabot 65%(オペレーター)、大阪ガス 35%
開発対象:ピアソール層
主な産出資源:天然ガス、軽質原油、NGL

Freeport LNGがFTA未締結国向け輸出許可を 取得できれば、自社枠の天然ガスをLNGにして輸入することも可能となる。

両社は、米国産LNGの調達を通じて、供給ソースの分散化および調達方法の多様化を図るとともに、引き続き安定的かつ経済的な原燃料の調達を目指すとしている。

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LNG価格は、LNGプロジェクト毎に売主・買主間の引き取り契約交渉で決定される。

日本・韓国・台湾等の極東地域では主力燃料である輸入原油価格にリンクするフォーミュラで形成される。

極東向けLNG価格は現在、原油価格をJapan Crude Cocktail(全日本輸入原油平均CIF価格)を指標とし、これに傾き係数、フレート、環境プレミアム要素等を加味した定額を加えた基本フォーミュラが主流となっている。

現時点での価格は100万BTU(英国熱量単位)あたり約17ドルに達する。

日本は当初、LNGを原油の代替品として使用した。このため、価格は原油価格にリンクした。

これに対し米国では、天然ガスは原油とは別物として扱われ、天然ガスの価格はその需給で決められる。

従来は、原油100ドル/bbl天然ガス10ドル/100万BTUであったが、米国の天然ガス市況はシェールガス増加で大幅に下がった

天然ガス価格は一時2ドル近辺まで下がっていたが、値下がりにより発電燃料が石炭からガスへの移行が進み、本年9月下旬には3ドル台に定着した。11月20日には先物価格が一時3.83ドルをつけている。

Cheniere Energy がルイジアナ州Sabine PassのLNG受入基地に天然ガスのLNG化設備を建設しており、2016年から輸出を行う予定で、既に韓国の韓国ガス公社(Kogas)等と売買契約を締結済である。

それによるとLNGのFOB価格は、原料ガスコスト(「Henry Hub」x 115%)+固定費(ガス化費用など)。
15%は天然ガスのトレーダーとしてのマージン で、固定費はKogas向けが
百万BTU 当たり3ドルとなっている
天然ガス価格を3ドルとすると、LNG価格はF0Bで6.45ドルとなる。

「Henry hub」はSabine Pipe Line LLC.が所有するルイジアナ州Erathの天然ガスパイプラインのハブにおける取引価格。

ちなみに、WTI原油の市場取引の大部分は売買差額のみの決済で、現物の受け渡しはほとんど発生しないが、現物はオクラホマ州Cushingにある貯蔵庫のみで受渡がされることとなっている。

今回の関電の契約は、米国の主要な天然ガス指標価格である「Henry Hub」を用いる。

日本向けLNG運賃は以下の通りで、米国Gulf Coastの場合、約3ドル。

  Kirimat(カナダ西海岸)   1.24 $/百万BTU 
  US Gulf Coast        2.96  
  Cove Point(東海岸)   3.07  
         
  Gordon(豪)   1.17  
  Gladstone(豪)   1.21  
  Ichthys(豪)   1.23  
    資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25  

関電の契約では、液化や輸送のコストを加えても12ドル前後で済むとみられ、現在の原油価格ベースの約17ドルと比べ、大幅な値下がりとなる。     

上記のCheniere Energy の韓国の韓国ガス公社(Kogas)の例では 、天然ガスが3ドルの場合、CIF価格は10ドル以下となる。

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政府は本年9月20日、LNGの消費国と産出国が集まる「LNG産消会議」を開催した。

枝野経産相は、シェールガスの生産やロシアやアフリカといった新たな供給源の参入などで大きな変化が起きており、原油価格に連動する方式の「合理性は薄れてきている」と強調し、現在の価格水準だと、「アジアの国々では、石炭や原子力の利用を増やさざるを得ない」と生産国関係者をけん制した。

参加国は、主要輸入国で割高となっているLNG購入価格の決定方式の見直しが必要との認識で大筋合意した。

 

 

 


Huntsman は11月13日、Sinopec Jinling Company(シノペック金陵石化)とJV設立契約を締結したと発表した。

JV名は南京金陵ハンツマン新材料(Nanjing Jinling Huntsman New Materials Co.,Ltd. )で、南京にワールドスケールのPO/MTBEプラントを建設する。

Huntsmanが49%、Sinopec Jinling が51%を出資し、750百万ドルを投じて、Huntsman技術で PO 25万トン、MTBE 73万トンの併産プラントを建設する。2014年末完工の予定。

POはポリウレタンの原料で、ポリウレタンはPOとMDI(or TDI)を反応させてつくる。

Huntsmanのポリウレタン事業部は、米国(Geismar, Louisiana)、オランダ(Rozenburg, Rotterdam)と上海にMDIプラントを持っている。
 
同社はTDI も製造していたが、2005年にBASFにTDI 事業を売却(工場は停止)し、MDIに特化している。
 

 上海ではBASFと上海クロルアルカリ等とのJVで粗MDIを生産し、上海クロルアルカリとのJVで精製している。

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Huntsmanは、テキサス州Port Neches にPO/MTBE(24万トン/75万トン)を持っている。

このプラントは1997年にTexacoから買収した。

TexacoはPort Neches で塩素法POを生産していたが、1970年代終わりにこれを廃棄した。

同社はその後、POの新製法の開発を進め、PO/MTBE併産法の開発に成功、プラントを建設した。
1994年に生産を開始したが、工場の操業は隣接するHuntsmanに委託していた。


Huntsmanは2011年5月に、煙台万華ポリウレタン(Yantai Wanhua Polyurethanes)との間で PO/MTBE の技術供与の契約を締結したと発表した。
能力や契約条件は明らかにしていない。

2011/5/31 Huntsman、煙台万華ポリウレタンに PO/MTBE 技術供与 

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POとTBA及びSMの併産設備ではLyondellBasellがトップメーカーである。

1966年に Halcon International とARCO Chemical のJVとして Oxirane Chemical Company が設立され、Halcon法によりPO/SM(後にPO/TBAも)の生産を始めたが、これがLyondellの元である。

1985年にARCOの子会社としてLyondell が設立され、1989年に独立、1998年にLyondell ARCO Chemical Company を買収している。

2004年12月、Lyondell とMilleniumが合併、2007年12月にBasellがLyondellを買収し、LyondellBasellが誕生した。

2007/7/18 Basell Lyondell を買収


LyondellBasellの拠点は次の通り。

地区 場所 能力
(千トン)
併産 備考
米国 Bayport, Tex   545 TBA  
Channelview, Tex   530 SM  
欧州 Fos-Sur-Mer, France   220 MTBE  
Botlek, the Netherlands   250 TBA  
Maasvlakte, the Netherlands   318 SM Lyondell/Bayer 50/50
アジア 日本オキシラン(千葉)   181 SM 住化 60%/Lyondell 40%
Ningbo ZRCC Lyondell Chemical   280 SM Lyondell/Sinopec 50/50

LiondellBasellは2011年12月、Sinopecとの間で、浙江省寧波市にワールドスケールのPO/TBAプラントを建設するために共同でFSを実施する契約を締結したことを明らかにした。

両社は50/50JVのNingbo ZRCC Lyondell Chemical を持ち、シノペック鎮海煉油化工(ZRCC)の寧波市鎮海地区のエチレン100万トンのコンプレックスの中にSM/POとPGプラントを持っているが、更にPO/TBAプラントを建設する。

2011/12/20   LyondellBasellの成長戦略 


他の併産法メーカーは次の通り。

    場所 能力
(千トン)
併産  
欧州 ELLBA CV Moerdijk、the Netherlands   250 SM Shell/BASF 50/50
アジア SKC Chemical 蔚山   160 SM 当初 ARCO/油公JV、1992年ARCO撤退
Seraya Chemicals Singapore Singapore   220 SM Shell 100%
ELLBA Eastern Singapore   250 SM Shell/BASF 50/50

 



Saudi Aramco は11月14日、サウジアラビアの南西端にあるJizan (Jazan とも表す)に建設するJizan Refinery とMarine terminal 設備の設計・購入・建設契約(EPC)の締結式を行った。

2012年4月の基本設計(FEED)完了後に入札を行い、決定した。

総建設費は60億ドルで、下記の各社が選ばれた。(建設費総額と受注額の内訳は業界筋による情報)

サウジ Petrofac Saudi Arabia 14億ドル
韓国 Hyundai Arabia 3億ドル
韓国 Hanwha Engineering and Construction 6億ドル
韓国 SK Engineering & Construction 10億ドル
スペイン Tecnicas Reunidas 10億ドル
日本 JGC 10億ドル
日本 Hitachi Plant Technologies 5億ドル

 Jizan Refineryはサウジアラビアの南西端のJizan市に建設中のJizan Economic City の中核を占める。


 

製油所の能力は日量40万バレルで、Arabian Heavy、Arabian Medium 原油を処理し、ガソリン(75千bpd)、超低硫黄ディーゼル(100-160千bpd)、燃料油(160-220千bpd)とベンゼンを生産する。 (製品別能力は処理する原油により異なる)

Marine terminal は原油の30万トン級タンカー(VLCC)が接岸可能で、また製油所から石油製品を出荷するためのバースを持つ。

完成予定は2016年後半。

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Jizan Economic City は4つのゾーンに分かれる。

1)重工業ゾーン

・ Saudi Aramco Oil Refinery  本件

・ Steel Complex   
        Metal plates:年産100万トン
  鉄筋:年産50万トン

・ Ship Building & Maintenance Complex

  2)二次産業ゾーン

・ Silicon Processing
・ Pharmaceuticals
・ Food Industries
・ Primary Construction Materials
・ Petrochemical Industries
・ Plastic Industries
・ Metal Fabrication and Manufacturing
・ Automotive Spare Parts

 3)Human Resources and Business Development Zone

 4)Residential Areas and Seafront District

 



インド政府は11月8日、日本政府との間で合意していた対日レアアース輸出について正式に承認した。

野田首相とシン首相が11月16日に東京都内で首脳会談し、正式合意する予定であったが、「16日衆院解散」発表を受け、両政府がシン首相の公式訪日の延期を決めた。

日本、インド両政府は16日、経済産業省内でレアアースの共同生産と日本向け輸入を始める覚書に署名した。
2013年度から最大4,100トンのレアアースを輸入する。

インドのIndian Rare Earths と豊田通商の間で協力し、合弁会社(下記)によってレアアースの共同生産・輸出を行う。


2010年10月25日、日・印首脳会談が開催され、レアアースとレアメタルの開発や再利用に向け、日・印両国が協力することで一致し、共同声明が出された。


「両首脳は、将来の産業にとってのレアアース及びレアメタルの重要性を認識し、レアアース及びレアメタルの開発、リサイクル及び再利用や代替品の研究及び開発における両国間の協力を追求することを決定した。」

日印両国は2012年4月にニューデリーで開かれた初の閣僚級経済対話で、8月にも輸出を始める方向で大筋合意したが、価格などの調整が難航し、インド政府側の承認が遅れていた。

これまでの両国間の交渉では、インドからの供給量は年間5,000トン前後とされ、日本の年間需要量の15~20%程度に相当する。
ランタン、セリウム、ネオジムの3種類のレアアースで、自動車のモーターや排ガス削減のために使用される重希土類。

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米地質調査所によるとインドのレアアースの埋蔵量は世界全体の3%にあたる310万トン。
生産を独占する国営
Indian Rare Earths (IRE)は東部オリッサ州の主力鉱山が環境規制で採掘を停止したことに伴い、2004年以降は輸出を見送っている。

インドは外国企業にレアアースの採掘権を認めていない。

豊田通商は2010年12月、インド子会社のToyotsu Rare Earths Orissa (TREO)が、インド国営のIndian Rare Earths (IRE) と信越化学の協力のもとに、インド・オリッサ州でレアアース酸化物の製造工場を建設する計画を推進していることを明らかにした。

 

IREはインド原子力庁傘下企業で、原子力発電推進のため、海岸の漂砂鉱床より採掘・選鉱されたモナザイト鉱石から燃料(ウラン・トリ ウム)を抽出しているが、その抽出後に副産物として混合塩化希土も産出しており、今回のレアアース製造工場は、その混合塩化希土を原材料としてレアアースの酸化物を製造するもの。

 

信越化学は工場への技術支援および製品の引き取りを決定している。
また、信越化学、IRE、JOGMECは、TREOへの投資を検討している。


2010/12/14 豊田通商、インドでレアアース製造工場建設、住商は米マウンテン・パス鉱山に出資

外電によれば、この工場は2012年夏に完成し、12月から生産を開始する。

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日本のレアアースの年間輸入量は2~3万トンで、中国からの輸入が大きい。

2010年通年ベースで総輸入量 28,564トンのうち中国が 23,422トン、82%を占めていた。

しかし、2010年の尖閣諸島を巡る日中対立で中国当局がレアアースの対日輸出を止めたことから、日本企業の「脱レアアース」技術の開発が進んだことにより、需要が急減した。

2012年の1~6月のレアアースの輸入実績を2倍すると、2012年通年輸入状況(見込み)は12,204トン、うち中国が5,980トンとなり、中国の比率は49%にまで下がることとなる。

中国のレアアース輸出量は激減しており、2011年の実際の輸出量は輸出枠30,258トンの61%の18,600トンに止まっている。
 2012年1-6月のレアアース輸出総量は、輸出枠21,226トンに対し、2011年同期比42.7%減の4,908トンとなった。
 (中国側は密輸の影響が大きいとしている。)


枝野幸男経済産業相は11月12日の衆院予算委員会で「来年半ば以降、レアアースの国内需要量の5割程度を中国以外から確保できる」との見通しを示していた。

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カザフスタン北部アクモラ州 Stepnogorskで11月2日、住友商事が出資した合弁企業 Summit Atom Rare Earth Companyによるレアアースの分離精製プラントの開所式が行われた。

JVにはカザフスタン国営原子力公社Kazatompromが51%、住友商事49%出資する。

30百万ドルを投じたプラントで、年産1,500トンのレアアース酸化物を生産する。
ウラン残土からレアアースを回収するもので、ジスプロシウムなど、特に希少性が高い重レアアースを中心に生産する。

試験稼働を経て来年1月にも対日輸出が始まる。

2012/11/5   住商のレアアース合弁、カザフに精製工場完成

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豪州のレアアース開発会社のLynas Corp.と双日は2010年11月に、レアアースの日本向け供給、およびLynas のレアアース拡張プロジェクトに関して、戦略的提携を締結することに基本合意し、2011年3月に双日と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、Lynasへ総額250百万米ドルを出融資することを決定し、10 年に亘って日本の消費量の約3 割にあたる年間約8,500 トン(±500 トン)以上のレアアース製品を長期供給する契約を締結している。

2010/11/25 双日、レアアースの供給・拡張プロジェクトで豪州Lynasと戦略的提携の基本合意

Lynasは西オーストラリア州のMt.Weld 鉱床でレアアースを採掘するが、マレーシア東海岸のPahang 州 Kuantan のGebeng Industrial Area にプラントを建設することとした。
当初、中国山東省にレアアース分離プラントの建設を計画したが、中国政府による締め付けが強くなったことから、中国を断念した)

しかし、マレーシアでは反対運動が起こった。

マレーシアでは1979年に当時の三菱化成が35%出資でAsian Rare Earth (ARE)を設立し、1982年にイットリウムなどレア・アースをスズの鉱石と一緒に出るモナザイト鉱などから抽出する事業を開始した。

能力は年産 4200 トンの軽希土類、550トンの重希土類、4400トンのリン酸三カルシウムで、希土類は全て日本に輸出され、日本で分離精製されが、工場はトリウムを含む残土の保管施設を持たず、工場の裏にあった池や地面に野積み状態にしていた。

工場の目の前には人口1万人が住むBukit Merah 村があった。住民たちの間に健康被害が現れ、住民はAREの操業停止を求めて抗議活動を展開した。

三菱化学は1994年1月、マレーシアからの撤退を決め、問題の工場も閉鎖されたが、廃棄物処理施設の設置工事の契約締結は2009年8月になってからである。

2009/11/14 三菱化学、マレーシアの撤退工場に廃棄物処理施設を設置

今回の抗議はこれが繰り返されるのを恐れた住民とグリーングループが行ったが、これに政治も絡んだ。

2011/7/7 豪州レアアース開発会社Lynas Corp. と三菱

Lynasは本年9月にようやく、工場の認可を得たが、住民は裁判に訴えた。

11月8日、マレーシアの裁判所は工場の操業を認めた。
双日は年間約8,500 トン(±500 トン)以上のレアアース製品を長期供給する契約を締結している。



中国の大増産により、米国やEUの企業で倒産が相次いでいる。
中国企業も経営難に落ち込んでおり、中央・地方政府による救済が行われている。

中国の太陽光パネルを巡る貿易戦争が激化してきた。

1-1 米国(対中国)

米国商務省は10月10日、中国製の太陽電池およびモジュールにダンピングおよび補助金の行為が存在するとする最終判決を下した。

米国際貿易委員会(ITC) は11月7日、上記による被害を最終認定した。(米国ではダンピングの存在は商務省が、被害の存在はITCが認定する。)

この
最終決定により、商務省は10月10日に発表した関税率に基づき、対象製品に反ダンピング関税と相殺関税の5年間の適用命令を出すことができる。

単位:%   AD:反ダンピング、CVD:相殺関税
  最終決定
AD 輸出
補助金
調整後
 AD
CVD 合計
Wuxi Suntech 31.73 -10.54 21.19 14.78 35.97
Trina Solar 18.32 -10.54 7.78 15.97 23.75
他の59社  25.96 -10.54 15.42 15.24 30.66
他の全て 249.96 -10.54 239.42 15.24 254.66


2012/10/13 米国商務省、中国製太陽電池のダンピングを最終認定

米国商務部のデータによると、米国は2011年、中国から31億ドル相当の太陽電池およびモジュールを輸入した。

中国からの安い輸入パネルで太陽発電を推進している米国のメーカー25社(The Coalition for Affordable Solar Energy)は反ダンピング課税・相殺関税に反対し、太陽電池の価格上昇で米国の需要は減少し、10万人の職が失われるとしている。


このほか、2011年9月に倒産した米国の太陽電池メーカーのSolyndra が、中国太陽電池企業の尚徳電力(Suntech Power)、天合光能(Trina Solar)、英利緑色能源(Yingli Green Energy)の3社を相手取り、独禁法違反を理由に15億ドルの賠償を求め、 San Franciscoの連邦裁判所に訴えた。

2012/10/19 倒産した米太陽電池メーカーSolyndra、中国の太陽電池企業を独禁法違反で訴え

 

1-2 中国(対米国)

中国商務省は7月20日、米国製の太陽光発電パネル向け多結晶シリコンについて反ダンピング調査、反補助金調査を開始したと発表した。合わせて韓国製の多結晶シリコンについても反ダンピング調査を開始した。

中国が輸入している多結晶シリコンの約4割が米国製で、2割は韓国製とされる。
中国メディアは安価な製品の流入で多結晶シリコンを生産する中国企業は生産停止や倒産に追い込まれ、多数の失業者が出たと報じている。

米紙は「中国のジレンマ」と報じている。

実際に反ダンピング課税が行われると、中国のソラーパネルメーカーのコストが上がる。更に米国(と恐らくEU)からのソラーパネルに対する反ダンピング、反補助金課税も受ける可能性があり、下流と上流からダブルでコストアップとなる。

2012/7/24    中国商務部、米の太陽発電向けポリシリコンに反ダンピング、反補助金調査開始

ーーー

2-1 EU(対中国)

EUは9月6日、中国製の太陽光パネルと主要部品(solar cells、solar wafers)の反ダンピング調査開始を発表した。
続いて11月8日には反補助金調査を開始した。

中国は2011年に約358億ドルの太陽光発電製品を輸出したが、そのうちEUに輸出された製品の価値は210億ユーロ(270億ドル)に達した。EUの中国太陽光発電企業に対する影響は、米国を大きく上回る。

米国商務部のデータによると、米国は2011年、中国から相当の太陽電池およびモジュールを輸入した。

2-2 中国(対EU)

中国商務部は11月1日、欧州から輸入される多結晶シリコンに対するダンピング・補助金調査を開始することを発表した。
 

中国商務部は11月5日、EU加盟国のイタリアとギリシャの"feed-in tariffs" (固定価格買い取り制度)現地の部品を中心に使っている電力会社を価格面で優遇しているのは協定違反だとして世界貿易機関(WTO)に提訴した。

ギリシャでは太陽光発電による電気をドイツに送るという壮大な太陽光計画(Helios)を打ち出している。しかし長距離送電には問題があることなどから、今のところうまくいっていない。

EU内部でも加盟各国の再生可能エネルギー計画には国際的なルール上で問題となるものがあるとして、内々に警告していた。

これと同様の問題がカナダのオンタリオ州の制度にあり、EUと日本が2011年7月にWTOパネル設置要請を行い、パネルが設置されている。

カナダ・オンタリオ州の再生可能エネルギー発電(太陽光・風力発電)分野の支援制度 "feed-in tariffs" プログラムにおいて、同支援制度を受ける条件として発電事業者に一定比率の同州産品の使用を課されている(ローカルコンテント)ことについて、WTO協定との整合性が問題にされた。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/7/0720_05.html

これについては、WTOパネル(委員会)の予備判定がメディアにリークされた。

報道によれば、WTOパネルはオンタリオ州のグリーンエネルギー由来の電力の「固定価格買い取り制度」のローカルコンテント要求がWTO協定と整合しないとする日本・欧州の主張を正しいと結論付けた。判定は後日公式発表され、3か月後にはWTOの上告機関の最終決定を申請することになる。

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中国が米国とEUのダンピング調査で問題にしている点に、米国とEUが中国を非市場経済国待遇をしていることがある。

WTO協定では「貿易の完全な又は実質的に完全な独占を設定している国ですべての国内価格が国家により定められているものからの輸入の場合には、規定の適用上比較可能の価格の決定が困難であり、また、このような場合には、輸入締約国にとって、このような国における国内価格との厳密な比較が必ずしも適当でないことを考慮する必要があることを認める。」と規定している。
但し、「非市場経済国」の定義はなされておらず、どのような場合に輸出国を「非市場経済国」として認めるかについては各国の裁量にゆだねられている。

「市場経済国」との認定を受けていない国の場合、ダンピング調査の際に、輸出価格は、国内価格との比較ではなく、経済発展レベルが近い代替国の価格と比較して判定される。

実際には中国よりコスト水準の高い国を代替国に採用するケースが多く、この結果、ダンピングと判定される確率も高くなっているといわれている。

今回、米国は代替国としてタイを選んだが、EUは米国を代替国に選んだとされる。

EUの場合も、ダンピング認定がされるのは必至とみられている。




各社の中間決算がまとまった。

1) 化学会社

大半の企業の営業損益が前年同期を下回っている。

三菱ケミカルホールディングス、旭化成、住友化学三井化学ソーで、石油化学基礎化学の損益が激減している。している。

旭硝子の減益は電子部門の損益の激減による。

帝人は高機能繊維・複合材料が、トクヤマはシリコンの減益が大きい。

増益となった企業は少なく、増益幅も非常に小さい。

このうち、信越化学は半導体シリコンの大幅減益をシンテックの塩ビがカバーしたもの。

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2) 医薬会社

武田薬品工業以外は前年と比べ若干の変動である。

武田薬品の実績は以下の通りで、営業損益は大幅に減少した。

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 702,502 211,046 209,551 135,660 90.0  
12/9中間 786,936 108,576 113,099 119,790 90.0  
増減 84,434 -102,470 -96,452 -15,870 0.0  
             
12/3 1,508,932 265,027 270,330 124,162 90.0 90.0
13/3 1,550,000 160,000 150,000 155,000 90.0 90.0

当期損益は移転価格税制還付金(税金減 456億円)と還付加算金(特別利益 116億円)があり、若干の減少にと止まった。

2012/4/9 武田薬品の移転価格税制での更正処分で異議決定 

営業損益増減の内訳

   増収による利益増   279億円  
   販売費一般管理費増   -947億円  特殊要因除くと-588億円
   研究開発費増   -357億円  
   合計    -1,025億円

  同上    -666億円

販売費一般管理費には、TAP社統合ミレニアムナイコメッド、URLファーマ買収に伴う無形固定資産とのれんの償却費 669億円が含まれている。
前期のこれは310億円のため、差引 359億円の損益悪化要因となる。今期から始まったナイコメッド社の分は315億円 。

ミレニアムの無形固定資産償却(189億円)は2018年まで、ナイコメッドのそれ(228億円)は2026年まで続く。

なお、ナイコメッド社買収による増収効果は1,661億円となっている。





東ソー

東ソー南陽事業所では2011年11月13日、第二VCMプラント(年産能力55万トン)で爆発・火災が発生、社員1人が死亡した。

この事故で事業所内の塩ビモノマー設備 1-3号機すべてが停止した。

このうち、第一プラント(年産能力:25万トン)は2012年5月8日から、第三プラント(年産能力:40万トン)は7月8日から稼働を再開した。

2011/11/17  東ソー・南陽事業所の第二VCMプラントで爆発事故

2011/4/11   東ソー、南陽事業所爆発事故の調査報告書を発表

この影響で、VCM、PVC、苛性ソーダの売上高が減少した。
営業外費用として、塩化ビニルモノマー製造設備停止に係る費用 -12億円を計上している。

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 367,740 21,663 18,632 9,930 0.0  
12/9中間 311,794 4,819 4,446 310 3.0  
増減 -55,946 -16,844 -14,186 -9,620 3.0  
             
12/3 687,131 23,737 24,773 9,379 0.0 6.0
13/3 650,000 20,000 22,000 8,000 3.0 3.0

 

営業損益推移

各部門で減益となった。クロルアルカリは事故の影響が大きい。

  10/3 11/3 12/3 13/3予 増減   11/9 12/9 増減

内訳

数量差 交易
条件
その他
石油化学 79 104 125 80 -45 79 33 -47 -26 3 -24
クロルアルカリ -143 -35 -100 -52 48 1 -51 -52 -68 -21 38
機能商品 148 203 131 104 -27 100 45 -55 -14 -50 7
エンジニアリング 20 36 57 48 -9 22 13 -9 -7 0 -2
その他 26 27 24 20 -4 14 9 -5 -5 0 0
合計 130 335 237 200 -37 216 48 -168 -120 -68 19

 

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信越化学

増収増益となった。年度でも前年比で増収増益を予想。

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 521,368 80,411 84,330 51,040 50.0  
12/9中間 536,998 83,620 86,016 55,700 50.0  
増減 15,630 3,209 1,686 4,660 0.0  
             
12/3 1,047,731 149,632 165,237 100,643 50.0 50.0
13/3 1,060,000 160,000 170,000 105,000 50.0 50.0


営業損益推移

半導体シリコンが大幅減益となったが、シンテックが好調で、シリコンとシリコーンの減益分をカバーした。

  10/3 11/3 12/3 13/3予   11/9 12/9
塩ビ・化成品 196 197 237     134 242 109
シリコーン 249 341 337     174 149 -25
機能性化学品 139 129 147     70 76 6
半導体シリコン 226 389 343     211 126 -85
電子・機能材料 307 361 382     187 210 22
その他 68 73 50     27 31 4
全社 -13 3 1     0 3 2
合計 1,172 1,492 1,496 1,600 104 804 836 32


Shintech経常損益

2009年から2011年までは以前と比較すると減益となっていたが、2012年上期は前期比倍増となった。

VCMの第2期 80万トンの増設が完成したと思われ、効果が出てきたものと思われる。

立地 PVC VCM カ性ソーダ  
Texas州 Freeport  1,450   -   -  
Louisiana州 Addis   590   -   -  
PlaquemineⅠ   600   800   530  
PlaquemineⅡ   800  530  2011年完成
Addis  (270)   -   - Bordenから購入、廃棄
合計  2,640  1,600   1,060  


信越半導体グループ経常損益

2010年3月期以降、大幅減益となっているが、本年上半期は更に悪化、前年同期比42%減となった。

 

 

三井化学

営業損益は石化・基礎化学品の交易条件悪化により大幅な減益となった。

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 755,764 28,748 27,888 13,365 3.0  
12/9中間 680,517 1,479 -2,508 -15,283 3.0  
増減 -75,247 -27,269 -30,396 -28,648 0.0  
             
12/3 1,454,024 21,564 22,884 -1,007 3.0 3.0
13/3 1,430,000 23,000 18,000 5,000 3.0 3.0


4月22日、岩国大竹工場のレゾルシンプラントで爆発事故が発生した。

2012/4/24 三井化学大竹工場で爆発事故

レゾルシンとサイメン工場は損傷を受けた。 
事故発生で全工場が停止したが、安全を確認して順次稼働した。
メタパラクレゾールは9月28日に原料を千葉から運んで再開した。

上期決算への影響は以下の通り。
  営業損益    -26億円(基礎化学品 -14、機能化学品 -4 ほか)
  特別損益等   -50億円(補償・撤去・復旧等費用、プラント停止固定費)
  合計      -76億円(年間合計では、保険料戻入等を含め、-60億円)

営業損益推移

ウレタンの赤字幅が減少した。通期では黒字化を予想している。

  10/3 11/3 12/3 13/3予 増減   11/9 12/9 増減

増減内訳

交易
  条件
数量差 その他
石化 -34 128 89 105 16 63 15 -49 -77 6 23
基礎化学品 -48 204 86 -80 -166 182 -70 -252 -218 -75 41
ウレタン -21 -90 -146 5 151 -72 -18 54 24 6 24
機能樹脂 -44 72 82 105 23 43 47 3 -12 12 4
加工品 8 14        
機能化学品 74 100 117 150 33 63 72 9 -8 11 6
フィルム・シート 2 -30 -32 18 -15 -32 -22 -7 -4
その 11 1   -25 -11 -2 -11 -10     -6
全社 -41 -25 -14 -8 -4 3    
合計 -95 405 216 230 14 287 15 -273 -313 -47 88

2012年より加工品セグメントを変更した。(上記の表とグラフで12/3と11/9は新セグメントで表示)

旧セグメント   新セグメント
石化 エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン 同左
基礎化学品 フェノール、ビスフェノールA、高純度テレフタル酸、ペット樹脂、エチレンオキサイド 同左
ウレタン ポリウレタン材料、コート材料、接着材料、成形材料 同左
機能樹脂 エラストマー、コンパウンド製品、特殊ポリオレフィン、エンジニアリングプラスチック 機能樹脂セグメント
加工品 ペリクル事業
フィルム・シート事業 フィルム・シートセグメント
不織布事業 機能化学品セグメント
機能化学品 眼鏡レンズ用材料、ヘルスケア材料、化成品、特殊ガス、触媒、農業化学品
その他 その他関連事業等  

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旭化成

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 784,446 63,768 62,136 38,214 7.0  
12/9中間 787,508 38,305 35,866 20,613 7.0  
増減 3,062 -25,463 -26,270 -17,601 0.0  
             
12/3 1,573,230 104,258 107,567 55,766 7.0 7.0
13/3 1,685,000 96,000 93,000 50,500 7.0 7.0

営業損益推移

住宅と医薬・医療は好調だが、ケミカルズが大幅な減益となった。

2012/4/26に Zoll Medical買収を完了したため、「クリティカルケア」セグメントを新設

  10/3 11/3 12/3 13/3予 増減   11/9 12/9 増減

   

売価差 数量差 コスト差
ケミカルズ 261 644 445 310 -135 341 146 -195 -122 -41 -33
住宅 253 365 463 520 57 179 188 9 20 48 -58
医薬医療 40 70 88 160 72 56 75 19 -23 67 -25
繊維 -28 42 31 40 9 21 17 -4 -8 -4 8
エレクトロニクス 72 143 64 25 -39 70 0 -70 -53 -13 -5
建材 12 21 18 35 17 8 16 8 2 4 2
クリティカルケア       -40 -40   -11 -11 0 0 -11
その 18 17 30 20 -10 12 12 0 0 0 -1
全社 -53 -72 -97 -110 -13 -50 -60 -10     -10
合計 576 1,229 1,043 960 -83 637 383 -254 -183 61 -133

 





9月中間決算の発表が続いている。

大半の企業が前年同期を下回っている。

三菱ケミカルホールディングス、旭化成、住友化学三井化学ソー で、石油化学基礎化学の損益が激減している。している。


している。
三菱ケミカル、住友化学三井化学減益幅きい。

 参考  2012/8/8  2012年第1四半期決算 

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三菱ケミカルホールディングス

田辺三菱製薬の営業損益は堅調だったが、三菱化学と三菱レイヨンは減益幅が大きく、営業損益は546億円の大幅減益となった。

少数株主損益調整前純損益は145億円だが、田辺三菱製薬(三菱ケミカル持分 56.34%)を中心とする少数株主利益が112億円あり、純損益は33億円に止まった。

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 1,570,197 95,686 92,885 37,504 5.0  
12/9中間 1,529,788 41,105 33,883 3,323 6.0  
増減 -40,409 -54,581 -59,002 -34,181 1.0  
             
12/3 3,208,168 130,579 133,614 35,486 5.0 5.0
13/3 3,200,000 120,000 105,000 21,000 6.0 6.0
                                                         

営業損益推移(億円)

機能商品分野と素材分野では、中国等の海外需要の低迷、円高の継続などで厳しい状況。
ネットでみると、減益理由はほとんど売買価格差である。

逆に、ヘルスケア分野は堅調な需要に支えられ、概ね良好な状況。

  10/3 11/3 12/3 13/3予  

 

 

 

 

 

 

 

 
11/9 12/9

増減内訳

売買差 数量差 コスト その他
ケミカルズ 69 530 148 20 -128 194 -54 -248 -227 29 17 -67
ポリマーズ -225 550 238 150 -88 222 29 -193 -212 17 45 -43
エレクトロ -14 10 -53 -10 43 -12 -13 -2 -23 -11 33 0
デザインド 133 365 231 280 49 184 105 -79 -28 -84 33 0
ヘルスケア 710 851 764 790 26 397 360 -37 -96 74 3 -18
その 62 45 61 60 -1 16 25 9 - 4 5 0
-73 -86 -83 -90 -7 -44 -41 3 - - 1 2
663 2,265 1305 1,200 -105 957 411 -546 -586 29 137 -126


グループ企業別の営業損益は以下の通り。(億円)

田辺三菱製薬の貢献が大きい。
三菱化学と三菱レイヨンは減益幅が大きい。

  11/3 12/3 増減   11/9 12/9 増減
三菱化学グループ 881 231 -650 295 -16 -311
田辺三菱製薬グループ 766 690 -76 361 322 -39
三菱樹脂グループ 166 106 -60 88 60 -28
三菱レイヨングループ 410 303 -107 229 54 -175
調整 42 -24 -66 -16 -9 7
合計 2,265 1,306 -959 957 411 -546
 

田辺三菱製薬の業績          単位:百万円 (配当:円)

  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 200,358 36,051 36,373 19,963 15.0  
12/9中間 203,829 32,246 33,119 19,492 20.0  
増減 3,471 -3,805 -3,254 -471 5.0  
             
12/3 407,156 69,043 68,759 39,014 15.0 20.0
13/3 425,000 70,000 71,000 40,500 20.0 20.0

 

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住友化学

営業損益は医薬品以外、全て前期大幅減益となり、合計で296億円の減益となった。

税引前損益136億円に対して、法人税等で188億円の引き当てを行っており(説明なし)、少数株主損益調整前純損益は-52億円となった。

利益源の大日本住友製薬については、住友化学の出資比率は50.12%に過ぎない。
このため、他子会社も含めた少数株主利益 79億円を控除すると、純損益は-131億円となる。

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 998,281 54,035 48,993 -2,713 6.0  
12/9中間 961,383 24,481 18,948 -13,114 6.0  
増減 -36,898 -29,554 -30,045 -10,401 0.0  
             
12/3 1,947,884 60,688 50,714 5,587 6.0 3.0
13/3 2,020,000 65,000 62,000 10,000 6.0 未定

なお、11/9中間期の特別損失には、豪州の株式市況低落による豪州農薬会社Nufarmの株式評価損 -289億円を含む。

営業損益推移(億円)

基礎化学・石油化学と情報電子化の価格差の影響が非常に大きい。

  10/3 11/3 12/3 13/4予 増減  

 

 

 

 

 

 

 

 
11/9 12/9 増減 内訳
価格差 数量差 コスト
基礎化学    206 93 -20 -113 125 -26 -151 -115 -31 -5
石油化学   111 62 10 -52 78 -2 -80 -100 20 0
情報電子化   261 110 150 40 101 24 -77 -155 3 75
健康農業関連   233 265 320 55 148 77 -71 -20 -51 0
医薬品   287 209 330 121 155 231 77 -50 62 65
その   41 77  -140 -8 35 42 7 0 6 0
全社   -260 -209 -101 -102 -1
 515 879 607 650 43 540 245 -296 -440 9 135

 

大日本住友製薬の業績          単位:百万円 (配当:円)

  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 178,026 14,726 14,480 9,569 9.0  
12/9中間 178,748 19,978 19,925 10,951 9.0  
増減 722 5,252 5,445 1,382 0.0  
             
12/3 350,395 20,402 18,872 8,629 9.0 9.0
13/3 348,000 28,000 27,000 13,500 9.0 9.0

 

 

 

 

 

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