「no」と一致するもの



Lanxessは9月5日、江蘇省常州市のChangzhou Yangtze Riverside Industrial Parkに世界最大のEPDMプラントを建設すると発表した。
能力は年産16万トン、投資額は235百万ユーロで、2015年に生産開始の予定で、必要なすべての認可は取得済み。

この投資額は同社の中国への投資で最大のもの。

原料のエチレンとプロピレンは、同地に建設中のMTO(メタノールからのオレフィン製造)プラントから供給を受ける。

付記

MTO計画はDMTO触媒のメーカーの正大能源材料(大連)有限公司 China Tai Energy Materials (Dalian)が行うもので、能力は年産33万トン(メタノール投入量 年100万トン)

同社はこの工場で最新のKeltan ACE技術を使用する。

Lanxessは2011年に DSM から310百万ユーロでDSM Elastomers部門を買収した。

DSM ElastomersはNova ChemicalsのSingle Site触媒技術の独占使用権を取得し、これをベースに効率的にEPDMを製造する触媒技術を開発、これをKeltan ACE と名付けた。
触媒廃棄物がなく、省エネで、Green technologyであるとしている。
また、油展EPDMや特殊高分子量EPDMなど、新しいグレードの生産も可能である。

2010/12/20 Lanxess、DSM Elastomersを買収

Lanxessは中国をグローバルな成長戦略の基盤とみており、香港・台湾・マカオを含めたGreater Chinaで2012年の売上高目標を10億ユーロ以上としている。同社の13部門の全てが、Greater Chinaの10か所で事業を行っている。

常州市では皮革用化学品の工場(能力5万トン)を建設中で、2013年上半期に生産を開始する。

ーーー

LANXESS はEPDMをドイツのMarl(6万トン)、米国のOrange(6万トン)で生産していたが、DSMからのオランダのGeleen(16万トン)、ブラジルのTriunfo(4万トン)を加え、合計能力は年産32万トンとなっている。

DSM1989年に出光とのJVの出光DSMを設立し、千葉でEPDM 年産4万トンの生産をしていたが、20049月末に千葉での生産を停止し、JVを解散した。
DSM
はまた2004年に、老朽化した米国ルイジアナ州Addisの工場を停止している。

LANXESSはGeleen の能力の半分を2013年にKeltan ACEに転換する。

LANXESSは昨年末以来、ブラジルのTriunfoで世界初のバイオベースのEPDM(ブランド:Keltan Eco)を生産している。

Braskemが砂糖キビから製造するバイオベースのエチレンをパイプラインで既存のEPDM工場に運ぶ。

Bayerから分離独立したLanxessEPDMをBayerから引き継いだBuna EPブランドで販売していたが、Buna EPのブランドを廃止し、2013年1月からブランドをKeltanに統一する。

2011/10/5 LANXESS、EPDM事業を強化

ーーー

Lanxessはまた、合成ゴムでのアジア進出を進めている。

同社は2010年5月にシンガポールのジュロン島で年産10万トンのブチルゴム工場の着工式を行った。
2013年第1四半期のスタートを目指している。

Lanxess20082月、シンガポールに年産10万トンのブチルゴム生産拠点を新設すると発表した。

当初は
2010年稼動の予定であったが、需要の減少を受け、二度にわたり、延期し、この期間を利用し、製造技術の更なる改良を行った。
その後
20105月に前倒しでの再開を決定し、20105月に着工式を行った。

Shellは、Jurong島に隣接するブコム島にある同社のコンプレックスのブタジエン抽出設備から、ブタジエン抽出後のラフィネートをパイプラインを通してLanxessに供給する。

また、本年9月11日には、この隣接地で年産14万トンの新しいネオジウム触媒ポリプタジエンゴム (Nd-PBR)の鍬入れ式を行う。

2011/6/6 Lanxess、シンガポールでポリブタジエンゴムを生産


 



韓国知識経済部の趙石第2次官は8月29日に米ヒューストンの総領事館で開かれた記者会見で、北米で開発が進む新型天然ガス「シェールガス」について述べた。

 ・シェールガスの黄金時代が来るだろう。
 ・他国から多くのエネルギーを輸入する韓国にとって、シェールガス開発への参加はエネルギーの円滑な供給に向け非常に重要だ。

 ・全ての輸送費用を含めても従来のガスより30%安いと見込まれる。
 ・韓国ガス公社がこの水準の価格で2017年からガスを輸入する契約を結んだ。

韓国ガス公社は本年3月、ルイジアナ州のSabine Pass で天然ガスのLNG化設備を建設中のCheniereとの間で、2017年から20年間にわたってシェールガスを液化した液化天然ガスを年間350万トン輸入する契約を結んだ。
これは韓国の昨年の輸入量の10%以上に相当する。

FOB価格は、原料ガスコスト(Henry Hub 渡し市況 x 115%)+固定費(ガス化費用など)。

Cheniereは2010年9月に米国がFTAが発効している国に限定して輸出許可を受けたが、異議申し立てを行い、2011年5月に条件付きですべての貿易相手国への輸出が認められた。
この結果、当時はFTAが発効していなかった韓国の韓国ガス公社も認められた。

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

韓国石油公社(KNOC) は2011 年3 月、独立系大手の石油・天然ガス会社Anadarko Petroleum とテキサス州の Eagle Ford Shale 鉱区の資本参加に15.5 億ドルで合意したと発表した。

KNOC はMaverick 盆地鉱区でのAnadarko の2011年の掘削費用100%とそれ以降2013年末までの90%(合計15.5億ドルまで)を支払い、その見返りに23.67%の権利を取得する。

同鉱区で生産可能なシェールガス量は1億5000万石油換算バレルに達すると見込まれる。

韓国政府は、韓国ガス公社などの公営企業と民間企業による共同体を作って、アメリカとカナダが進めるシェールガス田の開発に参入する方針を決めた。

大統領府青瓦台が7月20日に明らかにしたところによると、アメリカとカナダのシェールガス田の開発に、韓国も政府レベルで参入し、向こう数年間に数十兆ウォンを投じる。

まず、韓国ガス公社や韓国石油公社などの公企業及び民間企業によるコンソーシアムを組織し、米国とカナダのシェールガス田開発に参入するため、シェールガス鉱区買収の検討を進めており、近く具体化する。

韓国はエネルギーの海外依存度が97%に達し、原油やガスの海外鉱区開発・買収により確保した資源の比率を示す自主開発率は13.7%にすぎない。このため、エネルギーの安定的な確保は恒常的な課題になっている。

ーーー

米国はLNGを戦略物質とみなし、輸出を個別の許可制にしている。

唯一の例外は本土48州に輸送不可能だったアラスカのKenai LNGの輸出だった。

日本の各社が米国のシェールガス開発に相次いで参加しているが、日本への輸出には米国政府の個別承認が必要となる。

米国は輸出承認で米国とFTAを締結している国とそれ以外で差をつけており、FTAを結んでいない日本はガス輸入のハードルが高い。

中国との紛争を避けつつ、中国へのLNG輸出を避けるためには、FTA締結を条件にする案が出てくる。

野田首相は4月30日のオバマ米大統領との首脳会談で、LNGの対日輸出拡大などエネルギー面での協力を求めた。

オバマ大統領は首相の輸出要請に対し、「日本のエネルギー安全保障は米国にとっても重要」と理解を示す一方、「(対日輸出は)政策決定プロセスにある」として、明言は避けた。日本政府内には「少なくとも11月の大統領選までは、オバマ大統領が輸出認可に動く可能性は低い」との見方が強い。

これに対し、韓国の場合は米韓FTAが発効しているため、LNGの輸入許可の問題はない。

LNGの輸入問題で韓国に差を付けられる恐れがある。




三井化学は9月5日、国内勝ち残りへ向けて、千葉地区で更なる石化事業の構造改革を実施することを決定したと発表した。

出光興産と共に運営している千葉ケミカル製造有限責任事業組合(LLP)で、低稼働領域で高効率となる改造を行い、2013年8月から稼動する。
合わせてLLPの2基のエチレン製造装置をより柔軟に最適運営出来る対策を進めている。

ーーー

三井化学と出光興産は2010年4月に、「千葉地区における生産最適化」の第1ステップとして両社のエチレンの運営統合を発表した。

中東及び中国を中心とした大型石化設備の新増設、北米におけるシェールガスの台頭などにより、日本の石化事業は抜本的な国際競争力の強化が必須の状況にあるとし、統合により、日本トップレベルの競争力をもつエチレンセンターの構築を目指した。

2010年4月1日付けで両社折半出資で「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」(LLP)を設立、同年10月1日に出光の37万トン、三井の55万トン、合計92万トンのエチレン装置を譲渡し、LLPの運営を開始した。

2010/4/3  出光興産と三井化学、千葉のエチレン統合

今般、エチレン装置について、今後の誘導品流入による内需の低下及び輸出市況の低迷による低稼働を見込み、需要動向に柔軟に対応するために改造を行う。

生産能力は変わらないが、稼働率を70%まで落としても高効率な安定運転を維持できるという。

ーーー

合わせて、両社のポリオレフィンJVのプライムポリマーの姉崎工場(旧 出光)の高密度ポリエチレン製造設備1系列(13万トン)を2013年3月に停止することを発表した。

プライムポリマーではポリオレフィン事業で以下のような徹底的な合理化と汎用分野から高付加価値分野へのシフトを進めている。

1)宇部ポリプロ 停止、精算(2010/4/5 発表)

宇部市三井化学西沖工場内 9万トン 2011/3 停止、2012/3 精算


2)ポリプロピレン製造設備 1系列 停止(2012/6/20 発表)

市原工場(旧 三井) 9万トン 2013/6停止


プライムポリマー PP能力 (トン)
    処理前 処理後

徳山ポリプロ

徳山

200,000

 200,000

宇部ポリプロ

宇部

90,000 0

プライムポリマー

出光 千葉

400,000

400,000

三井 千葉

223,000

133,000

三井 大阪

448,000

448,000

合計

(1,071,000)

(981,000)
総合計 1,361,000 1,181,000


3)メタロセン触媒系HAO-LLDPE 「エボリュー」の増強 (2010/2/24発表)

日本エボリュー(出資比率:プライムポリマー 75%、住友化学 25%の生産JV)

三井化学㈱市原工場内 2011/11完工

  当初
 200千トン
増強
 240千トン
増強
 300千トン
プライムポリマー  150  190  250
住友化学   50   50   50


4)高密度ポリエチレン製造設備1系列 停止 (今回発表)

姉崎工場(旧 出光) 13万トン 2013/3 停止

 

プライムポリマー PE能力 (トン)
会社名 工場 LDPE LLDPE LL/HD併産 HDPE 合計 処理後
LL HD

日本エボリュー

千葉

240,000

240,000

  300,000
三井化学 岩国・大竹

3,000

3,000

3,000

プライムポリマー

出光興産千葉

60,000

130,000

190,000

60,000

三井化学千葉

85,000

11,000

87,000

116,000

299,000

 

小計

(145,000)

(11,000)

(87,000)

(246,000)

(489,000)

(359,000)
三井・デュポン
ポリケミカル

千葉

110,000

110,000

 

岩国・大竹

60,000

60,000

 

小計

(170,000)

(170,000)

(170,000)
総合計 170,000 385,000 11,000 87,000 249,000 902,000 832,000
* 日本エボリュー能力には住友化学枠(50千トン)を含む。

 

なお、三菱化学も本年6月29日、日本ポリエチレンと日本ポリプロが川崎市千鳥地区のHDPE及びPP工場(旧 東燃化学)各1系列を2014年4月に停止すると発表している。

  日本ポリエチレン 日本ポリプロ
停止プラント HDPE 第二系列(スラリー法) PP 第3系列(バルクー気相法)
元の所有者 東燃化学(昭電より譲受) 東燃化学
能力 52,000トン/年 89,000トン/年

2012/7/9 三菱化学、旧東燃化学川崎のPEとPPを停止へ

ーーー

三井化学と出光興産は千葉地区のエチレンを統合して千葉ケミカル製造有限責任事業組合(LLP)を設立したが、三菱化学と旭化成も水島地区のエチレンを統合し、西日本エチレン有限責任事業組合を設立している。

定修スキップ年能力は、旭化成は504千トン、三菱化学は494千トン。

西日本エチレン有限責任事業組合の最適化計画は以下の通りで、エチレン需要3割減を前提とした減産体制を取り、更にエチレン需要が縮小すれば、その時点でエチレンを1基に集約するとしている。 

(1) 両社ともエチレンセンター生産設備のダウンサイジング
     エチレン需要3割減を前提とした設備対応(2012年までに実施)
(2) さらなるエチレン需要の縮小時にはエチレンセンターを1基に集約(需要動向にあわせて実施)

            以下略 

2011/3/1  三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合のためのLLP設立 


東西のエチレン統合会社はいずれも、需要減に対応して統合しながら、工場を止めず、双方の工場の 70%操業を前提にした設備対応をとることになる。

最適合理化策は、どちらか1つのエチレンの停止であり、固定費削減により大きな効果が得られる。
仮にエチレンが若干不足すれば、他のエチレンセンターは減産しているため、どこからでも安く購入できる。

これが出来ないのは、雇用問題を中心とする日本の固有事情であるが、敢えてこれに踏み切らない限り、生き残りは難しい。



米電力大手Exelonは8月28日、テキサス州Victoria County Stationの原発申請を取り下げた。
同社は、シェールガスの増産で天然ガスが値下がりし、予想しうる将来にわたって競争力がなくなったと判断した。

同社はさきに、建設を長期間遅らせことを決め、一括許認可(COL)の申請を取り下げていたが、今回、早期立地許可(ESP) の申請取り下げをNuclear Regulatory Commissionに通知した。

米国では原発建設に2種類の認可がある。
早期立地許可(Early site permit for land:ESP)
  炉型を想定し、サイトの立地適性を審査し、立地のみ単独で認可する。

一括許認可(Combined construction and operating license:COL)
  サイト毎に建設許可と運転許可を一括して審査し、認可する。

同社は米国内で合計10カ所(17基)の原発を運営する。

同社はテキサス州南部のビクトリア市近郊に原発2基を新設する方向で検討し、2008年にCOLの申請を行った。
しかし新設決定に至らず、2010年にCOL申請を取り下げ、ESPの申請を行った。これにより、20年間建設決定を延ばすことができる。

今回のESP申請取下げでこの計画は完全取り止めとなる。原子炉のメーカーは決まっていなかった。

ーーー

Exelonは、シェールガスの増産で天然ガスの値下がりし、予想しうる将来にわたって競争力がなくなったと判断したと述べているが、ガス価格が約10年ぶりの水準に下落、今後も低位安定すると見られている。


  詳細は  2012/2/21  三菱商事がカナダのシェールガス開発に参加


7月30日付の英 Financial Times は、"Nuclear 'hard to justify', says GE chief" のタイトルでGeneral ElectricのCEOのJeff Immeltのインタビュー記事を掲載した。

シェールガス革命で天然ガスが豊富に供給され、再生可能エネルギーの選択肢も増えたことから、原子力発電を正当化することは難しくなったという。

2012/7/31 原子力発電の正当化困難にーGE会長 

ーーー

なお、NRG Energyも2011年4月、福島第1原発事故の影響で「規制動向など先行きが不透明になった」として、東芝との合弁会社でテキサス州で進めていた原発2基の新設計画への投資を打ち切った。同計画の認可申請は取り下げられていないが、事実上計画は宙に浮いている。

NRGは2008年にNuclear Innovation North America(NINA)を設立。同年に東芝が300百万米ドル(12%) 出資し、サウステキサスプロジェクト原子力発電所に改良型沸騰水型原子炉 (ABWR)2基(3号機、4号機)を増設する計画を進めていた。

ーーー

米原子力規制委員会は2012年8月7日、最近の連邦控訴裁判所の判決で提起された使用済み核燃料の保管に関する規則を見直すまで原子力発電所建設の認可手続きを停止すると発表した。

連邦高裁は2012年6月、運転をやめた原発の敷地内で60年間、使用済み燃料の保管が認められていることについて、NRCの安全性評価は不十分だとして再検討を命令。原発敷地内ではなく、最終処分場の候補地を検討するよう求めている。

ーーー

米国で計画中の原発は以下の通り。

NRCは本年2月9日、Southern Nuclear Operating Companyのジョージア州オーガスタの南東26マイルのVogtle power plantの2機の建設・運転一括許可を承認した。

東芝は3月31日、同社グループ会社のWestinghouseによる新型加圧水型原子炉「AP1000®」の建設運転一括許可(Combined License=COL)を米国原子力規制委員会(NRC) が承認したと発表した。

2012/4/4 米、2件目の原子力発電所新設を承認 

  申請 機種 立地 基数 既存
稼働
 状況
NRG Energy 2007/9/20 ABWR South Texas Project 2 TX 取り止め
NuStart Energy 2007/10/30 AP1000 Bellefonte 2 AL 保留
UNISTAR 2008/3/13 EPR Calvert Cliffs 1 MD 審査中
Dominion 2007/11/27 USAPWR North Anna 1 VA 審査中
Duke 2007/12/13 AP1000 William Lee
 Nuclear Station
2 SC 審査中
Progress Energy 2008/2/19 ESBWR Harris 2 NC 審査中
NuStart Energy 2008/2/27 ESBWR Grand Gulf 1 MS 保留
Southern Nuclear
Operating Co.
2008/3/31 AP1000 Vogtle 2 GA 2012/2 承認
South Carolina
Electric & Gas
2008/3/31 AP1000 Summer 2 SC 2012/3 承認
Progress Energy 2008/7/30 AP1000 Levy County 2 FL 審査中
Exelon Nuclear
Texas Holdings
2008/9/3 ESBWR Victoria County
 Station
2 TX 申請取下げ
Detroit Edison 2008/9/18 ESBWR Fermi 1 MI 審査中
Luminant Power 2008/9/19 USAPWR Comanche Peak 2 TX 審査中
Entergy 2008/9/25 ESBWR River Bend 1 LA 保留
AmerenUE 2008/7/24 EPR Callaway 1 MO 保留
UNISTAR 2008/9/29 EPR Nine Mile Point 1 NY 保留
PPL Generation 2008/10/10 EPR Bell Bend 1 PA 審査中
Florida Power
 & Light
2009/6/30 AP1000 Turkey Point 2 FL 審査中

 

AP1000  Westinghouse Electric(東芝)
EPR  Framatome (Areva), Electricité de France, Siemens
US-APWR  三菱重工業
ESBWR  General Electric   

ソース:http://pbadupws.nrc.gov/docs/ML1200/ML12004A009.pdf



アルミニウム圧延品最大手の古河スカイと2位の住友軽金属工業は8月29日、2013年10月1日付で経営統合することで合意したと発表した。

合併比率は古河スカイ1に対し住軽金0.346で、古河スカイが存続会社になる。新会社の社名は未定。

アルミニウム圧延事業を取り巻く環境は急速に変化しており、厳しい状況にある。

国内アルミニウム圧延品需要の減少
  ・ 人口減少・高齢化等
  ・ 需要家の海外への製造拠点移転
東アジア地域における競争激化
  ・ 海外アルミニウム圧延メジャーの攻勢
  ・ 中国、韓国等東アジア地域における新興アルミニウム圧延メーカーの台頭

両社は経営統合により、相乗効果を追求し、アルミニウム圧延市場における競争力と企業体質の強化を図る。

統合の目標は以下の通り。

①新規成長分野・成長市場への積極的なグローバル展開
②企業価値の向上:研究開発・設備投資等への積極的投資、グローバルな供給体制の構築

③経営統合効果


ーーー

住友軽金属は1959年に、住友金属工業の伸銅、アルミ圧延部門が分離して設立された。

現在、住友金属工業が9.32%、住友商事が5.44% 出資している。
(住友金属工業は古河スカイに出資する新日本製鐵と10月1日に統合し、新日鉄住金となる。)

古河スカイは2003年10月1日に、スカイアルミニウムと古河電気工業の軽金属部門の事業統合で設立された。

スカイアルミニウムは1964年に、昭和電工(S)、カイザーアルミナム(K)、八幡製鐵(Y)の3社(SKYの社名の由来)により設立されたアルミニウム板圧延会社。

その後、1973年にカイザーが離脱した。

1998年に古河電工とスカイアルミニウムはアルミニウム事業についての業務提携を開始し、2000年4月にはユニファスアルミニウムを設立して販売部門を統合、全体の事業統合に向けて着実に進め、2003年10月に統合した。

スカイアルミニウム
昭和電工   37.25%
新日本製鐵   36.25%
丸紅   12.75%
三井物産   12.75%
富士銀行   1.00%
 

 

古河電気工業
軽金属部門

 

 

 

 

 

古河スカイ (合併時)
古河電気工業   70.0%
昭和電工   11.2%
新日本製鐵   10.9%
丸紅   3.8%
三井物産   3.8%
みずほコーポレート銀   0.3%
 
古河スカイ (現状)
古河電気工業   53.00%
昭和電工    ー
新日本製鐵   8.23%
丸紅   1.00%
三井物産   1.00%
みずほコーポレート銀     ー

なお、昭和電工は別に50.1%出資の昭和アルミニウムを持っていた。

ユニファスアルミニウム設立による販売部門の統合についての合併審査に当たり、公取委は押出類のシェアに関し、これを問題にした。平成11年度:事例7

古河電工は押出類を製造販売しているが、スカイアルミは製造販売していないことから、当事会社が設立する新会社についてみれば、シェアは増加しないものの、
昭和アルミニウムの販売分を加算した場合、
押出類中、棒における販売数量シェアは40%弱でその順位が第1位となり、上位3社での市場占拠率は80%強となること、
また、管についても合算シェアは30%強となり、その順位が第1位となることから、
新会社と昭和アルミとの間で協調的な関係が生じた場合、競争への影響が懸念される。

これに対し、「新会社と昭和アルミニウムとの間の販売活動の独自性を保持するための具体的措置を講じる」旨の申出があったこと等から、公取委は、押出類の販売分野において、競争を実質的に制限することとはならないと判断した。   

昭和電工は2001年7月1日に昭和アルミニウムを吸収合併し、古河スカイ設立時にはスカイアルミ株主として参加したが、その後、古河スカイ株を売却した。

なお、2009年1月に、「古河電気工業と昭和電工がアルミ事業統合で最終調整しており、同年夏にも両社のアルミ事業を古河スカイに集約する」と観測報道されたことがある。

ーーー

住友軽金属は2011年44日、古河スカイ、住友商事、伊藤忠商事、伊藤忠メタルズとともに、BPからアルミ板圧延品メーカーのARCO Aluminumの全株式を譲り受けることに合意したと発表した。
両社の合併で、新会社は共同持ち株会社の75%を占めることとなる。

2011/4/11 住友軽金属など、BPから米のアルミ板圧延メーカーの株式取得 

ーーー


統合により、新会社の能力は以下の通りとなる。

・古河スカイと住友軽金属の能力は単体ベース
・TAAは上記のARCO(現 Tri-Arrow Aluminum)
・タイ新工場は古河スカイが昨年発表した100%出資のアルミ板圧延工場(能力は1期及び2期分)
・乳源は中国の乳源東陽光精箔、BALは英国のBridgnorth Aluminum。いずれも古河スカイ持分法適用会社で
 能力は持分比率割合。


Novelis   2005年にAlcanからスピンオフ。上記Logan Millのパートナー。
Chinalco   Aluminum Corp. of China
Constellium   Parisに本社を置く大手アルミ圧延会社

 



帝人は8月28日、NASAの無人火星探査機 Curiosityと超音速パラシュートとをつなぐサスペンション・コード(吊り下げ用のコード)の素材として、帝人テクノプロダクツのパラ系アラミド繊維「テクノーラ」が採用されたと発表した。

宇宙船 Mars Science Laboratoryは8月5日、火星の大気圏に接近するにつれて火星の重力に引かれて加速、時速2万1240キロで大気圏に突入した後は、超音速パラシュートによって減速し、降下部分(Decent stage)がロケットエンジンを点火してさらに減速。上空約10mの地点で滞空し、クレーンを使って1トンのCuriosityを火星のGale Craterに吊り降ろした。

2012/8/6 火星探査車Curiosity、着陸に成功

この超音速パラシュートは、「テクノーラ」製のサスペンション・コードを80本装着しており、コードも含めると総重量約60kg、直径約15m、全長は16階建てのビルに匹敵し、これまでに製造されたパラシュートの中で最大のサイズ、最高の強度を誇る。

NASAの計算によると、火星着陸時にこのパラシュートが受けた重力は9Gで、これは80本の「テクノーラ」製サスペンション・コードが、27トンの重量に耐えたということになる。

同コードは、実際に72.5トンの重量に耐え得る強度を備えており、さらに寸法安定性、耐熱性などの「テクノーラ」の優れた特性がNASAに高く評価され、採用された。

ーーー

帝人は「テクノーラ」を独自に開発し、1987年に生産を開始した。

「高強力」、「耐疲労性」、「寸法安定性」、「耐熱性」、「耐薬品性」の特徴を有しており、産業用のロープやケーブル、光ファイバーケーブル、ゴムベルトやホース、コンクリートなど、幅広い製品の補強材として使用されている。

アラミド繊維はDuPont(日本では東レ・デュポン)と帝人が世界の市場を二分している。
(帝人とDuPontはアラミドペーパーで折半出資の合弁会社 デュポン帝人アドバンスドペーパーを設立している。)

韓国のKolonは1979年にアラミドの基礎研究を開始、1994年に完成させ、2005年末から商業生産を開始したが、DuPontに敗訴している。

   
2011/9/21 DuPont、アラミド繊維の技術盗用裁判で韓国のKolonに勝訴

3社の状況は以下の通り。

  パラ系アラミド メタ系アラミド 2009年生産量
(新聞情報)
poly-p-phenylene-
terephthalamide
左に
ジアミノフェニレン-
テラフタルアミドを共重合
poly-m-phenylene-
isophthalamide
DuPont Kevlar®   Nomex® 28,000 t 
帝人    Twaron®
(オランダで生産)
テクノーラ®
 
コーネックス®
 
25,000 t 
Kolon Heracron®     5,000 t  


Twaronについて:

Courtauldsの繊維部門Enkaが開発した。
DuPontとの特許紛争があったが、1988年に和解している。 

1998年にAkzoNobel がCourtauldsを買収、EnkaとCourtauldsの繊維、化学部門を統合して
Acordis設立した。

その後、1999年にCVC CapitalがAcordisを買収した。)

日本では1987年に住友化学とEnkaが日本アラミドを設立した。
2001年に帝人がAcordisのアラミド事業(日本アラミドも)を買収した。



米国のPfizer とMylanは8月23日、日本における後発医薬品の開発、製造、流通、販売について、独占的な長期戦略的業務提携を締結したと発表した。

Pfizerは、これまで培ってきた強いブランド力と、日本市場への新薬導入の非常に優れた実績をもとに、両社の後発医薬品事業のポートフォリオの市場化、およびセールスとマーケティング業務を担当する。

Mylanは、研究開発、製造を含む技術分野を担い、同社がグローバル市場で培った、製品開発力、製造品質、サプライチェーンにおける信頼性、卓越したサービスの一層の強化に努める。

両社の業務提携には、幅広い治療分野における350以上の製品群と、125以上の開発中の製品が含まれる。

両社子会社のファイザーとマイラン製薬は日本でそれぞれに独立した企業として業務を行うが、現行および将来の後発医薬品については提携し、ファイザーブランドのもと、両社名を表示した製品の販売を行う予定で、それによって生じる経費と利益を共有する。

日本は、アメリカに次いで世界第2位の医薬品市場であり、後発医薬品市場でも、2011年11月締めの決算期でおよそ52億ドルの売上高を有し(IMS Healthcare, Market Prognosis, 2012)、世界で6番目の市場となっている。

2012年4ー6月の後発医薬品の使用割合は25.3%となったが、日本政府は2012年度末までにこれを30%まで引き上げることを目標としている。

ーーー

Pfizerは世界最大の医薬会社で、2011年の売上高は以下の通り。

医薬品 57,747 百万ドル
動物薬 4,184  
消費者ヘルスケア  3,057  
栄養品  2,138  
その他 299  
合計  67,425  


Generic 医薬品は子会社のGreenstoneが扱うが、売上高は明らかにされていない。

MylanはGenericメーカーで、1,100以上の後発医薬品といくつかのブランド医薬品で構成される潤沢な製品ポートフォリオを提供している。
さらに、さまざまな抗レトロウイルス医薬品も提供しており、発展途上国ではHIV/エイズ患者の約3分の1が使用してる。

2011年の売上高は6,130百万ドル。

ーーー


世界のgeneric医薬品メーカー大手は以下の通り。医薬品大手が含まれている。

企業 備考

2011
売上高
百万ドル

日本の活動
Teva Pharmaceutical イスラエル 米国 Barr Pharmaceuticals を買収
ドイツ
Ratiopharmを買収
18,312 興和テバ
→テバ製薬
Sandoz ドイツ Novartis のgeneric 部門

2012/5 Fougera Pharmaceuticalsを
買収(1.525百万ドル)

9,473 サンド
 

Watson Pharmaceuticals

 

本体 アメリカ Andrx を買収 4,584  
Actavis アイスランド 米 Amide Pharmaceutical を買収
米 Alpharma
を買収
 (
AlpharmaはHoechstの
      generic部門を買収)
2,500 あすかActavis製薬
新 Watson   2012/4 Actavisを買収(EUR4.25billion)

2012年の売上高は80億ドル以上

  7,100  
Mylan アメリカ ドイツMerck のgeneric部門買収
インド Matrix Laboratories を買収
6,130 マイラン製薬
前身は
メルク製薬
Greenstone アメリカ Pfizerのgeneric 部門   ファイザー
Apotex カナダ   10億
加ドル
 
Stada Arzneimittel ドイツ   17.2億
ユーロ
 
Zentiva
(旧称 
Winthrop)
英国 Sanofi-Aventis のgeneric 部門    
Bayer ドイツ      
Dr. Reddy's Laboratories インド      
Ranbaxy Laboratories インド 第一三共が買収    
Sanofi Aventis フランス     日医工サノフィ・
アベンティス

 


 

8月25日の日本経済新聞はGeorge P. Mitchell  とのインタビュー記事を載せている。

シェールガス、次は中国 豊かな埋蔵量強み
 「革命」の立役者に聞く 環境汚染、ルール作り急務

 Mitchell Energy and Developmentの創業者George P. Mitchell  (93歳) の発言は以下の通り。

「革命の第2幕」の舞台として、推定埋蔵量が米国を上回る中国に注目している。

日本にはシェール層はほとんどないようだが、中国が国内にある巨大なシェールガス田の開発に成功すれば、エネルギーの需給が変わる。日本にも恩恵があるはずだ。

Mitchell Energyがテキサス州北部のBarnett shale の開発に着手して間もない1988年5月、大慶市石油行政局の地質学者3人と技術者1人が来訪した。ミーティングは5時間に及び、中国側はBarnett shale の開発状況について熱心に聞いてきた。
米国内ですら、ほとんど注目されていなかったにもかかわらず、わざわざ訪ねてきた中国人の嗅覚に誰もが驚いた。

(米国でのシェールガス開発が地下水の汚染など環境への負荷を指摘されていることについて)
一部の荒くれ者のために、この国が十分な天然ガスを手に入れる機会をフイにすべきではない。
問題を起こす業者には厳罰で対処すべきだ。
政府と業界でルール作りを急ぐべきだ。

ーーー

George P. Mitchell は他社が続々撤退する中、20年にわたる努力の末に、初めてシェールガスの開発に成功した「シェールガス革命」の父である。

米国ではシェールオイル、ガスの存在は古くから知られていた。

1919年には石油枯渇説に対し、「1年以内に石油はシェールに置き換わるだろう」の予測 さえ出された。

しかし、技術的な困難性から開発は行われなかった。

George P. Mitchell はMitchell Energy & Development を設立、テキサスで天然ガスを掘削し、パイプラインでシカゴ地区に供給していた。

しかし、天然ガスの埋蔵量が減少し、新規のガス田取得も難しく、このままでは契約を守ることが不可能になった。 

このため、1980年代初めからテキサスの Dallas とFort Worth 近辺のBarnett shale の開発に着手した。
当時、税法Sec 29で非従来型天然ガスの開発には税額控除の制度があり、これを利用した。

他にも多くの企業が参加したが、次々に撤退した。

Mitchell Energyは1998年末にフラッキング(水圧破砕)技術 を開発、その結果、生産量が増大した。

George P. Mitchell は、今後の開発に多額の資金が必要なこと、他の事業があることから 、この事業の売却を検討、2002年にLarry NicholsのDevon Energyに35億ドルで売却した。

Devon Energyはフラッキング技術と自社技術の水平掘削技術を合わせ、技術を完成させた。

ソース:Daniel Yergin    "The Quest" 

ーーー

U.S. Energy Information Administrationのレポート World Shale Gas Resources (2011/4/5) によると、中国のシェールガス推定埋蔵量は1275兆立方フィートで、米国(862兆立方フィート)を上回り、世界最大となっている。

技術的回収可能埋蔵量 (兆立方フィート)

China  1,275
United States 862
Argentina  774
Mexico 681
South Africa 485
Australia  396
Canada  388
Libya  290
Algeria  231
Brazil  226
Poland 187
France  180
   
32か国合計  6,622

 

 iPhone と iPad の特許をめぐり、米 Appleと韓国 Samsungが争っている裁判で、米カリフォルニア州San Joseの連邦北部地方裁判所の陪審団は8月24日、SamsungがAppleの一部特許を侵害したとして、10億5千万ドルのAppleの損害 を認定した。

本件の今後は以下の通り。

(最終判決)

この陪審団の評決に基づき、Lucy H. Koh判事は、来月、判決を下す予定。
故意の侵害が認められたため、損害賠償額は認定損害額10億5千万ドルの3倍まで認められる。
(当初、Appleは約25億ドルの損害賠償を求めていた。)

Samsungは判決が言い渡され次第、米ワシントンの連邦巡回控訴裁判所に控訴する見通し。

(販売差し止め)

 Koh判事は9月20日に、Appleが申請した三星モバイル端末の米国内販売差し止めについて審理を開始する。

陪審団が特許侵害を認めた21の製品が含まれるものと見られる。
しかしAppleは、Samsungが米市場で本格的な発売を開始した最新スマートフォン「Galaxy S3」も自社製品のデザイン特許をまねしたと見ており、販売差し止めリストに含ませる可能性もある。

付記

AppleはSamsungが米国で販売しているスマートフォンの販売を差し止めるよう求める仮処分申請を米カリフォルニア州北部連邦地裁に提出した。

評決では28機種で特許侵害との判断が出たが、Appleはそのうち以下の最新の8機種について販売差し止めを申請した。
  Galaxy S 4G、Galaxy S2 AT&T、Galaxy S2、Galaxy S2 T-Mobile、Galaxy S2 Epic 4G、

  Galaxy S Showcase、Droid Charge、Galaxy Prevail

両社間の訴訟対象ではなかった最新機種 Galaxy S3については、販売差し止めの申請を見送った。Appleではさらに法的検討を重ねた上で販売差し止めを申請するか、別途特許侵害訴訟を起こすとみられている。


今後、Samsung製品の米国販売が差し止められるなどの事態になれば、Samsungの経営戦略に影響が出そうだ。

また、Samsungは携帯端末に米GoogleのOS "Android"を搭載しているため、AppleとGoogleの「代理戦争」とも言われ注目された。
Samsungをはじめ"Android"を使うモバイル端末のメーカー各社(Googleが買収したMotorolaや台湾のHTCなど)がAppleの特許を使う見返りとして、ロイヤルティーを支払う(「Apple Tax」と呼ばれている)こととなれば、消費者販売価格の値上げにつながりかねない。

ーーー

陪審団は、Samsungのスマートフォンの大半は、Appleの技術特許3件とデザイン特許4件のうちの3件(合計7件のうち6件)を侵害したと認めた。

このうち、指の動きをタッチパネルが感知する技術など5件はSamsungが「故意に侵害」したと認定 した。

技術特許 
  Bounce back ('381):ページの端をスクロールしたとき跳ね返る機能
  Single Scroll, Pinch to Zoom ('915):1本指でスロール、2本指でピンチ、ズーム
  Tap to Zoom ('163)  :画面タップにより文書を拡大
     
デザイン特許
  iPhone Front (D'677) :Galaxy Ace以外が侵害
   
  iPhone Back (D'087):Galaxy S, the Galaxy S 4G, Vibrant が侵害
   
  iPhone Home Screen (D'305):13機種全てが侵害
   
  iPad Design (D'889) :侵害無し
   

一方 、陪審団は、「Appleが自社の特許を侵害した」とするSamsungの主張は一件も認めなかった。

'516 特許  wireless technology
 '941   wireless technology
 '711   to play music while using other apps
'893   to scroll through the photo gallery, switch to the camera to take a pic, and then return to the same point
'460   to take a photo, preview it immediately, and email it off seamlessly

今回の評決は、世界9ヵ国で行われている訴訟にも、影響を及ぼすものと見られ、SamsungとAppleとの特許を巡る法廷攻防は「終わりではなく始まったばかり」という見方が出ている。

韓国のソウル中央地方裁判所は8月24日、AppleとSamsungの特許侵害訴訟をめぐる裁判で、両社とも双方の特許を侵害しているとの判決を下した。

Appleに対してはSamsungのワイヤレス技術に関する特許2件を侵害したとして4000万ウォン の支払いを、Samsungに対しては、電子文書をスクロールする際に使う機能に関するアップルの特許1件を侵害したとして2500万ウォンの支払いを、それぞれ命じ た。Samsungが自社のデザインを模倣したとするAppleの訴えは認められなかった。

サムスン電子は8月25日、「この判決は消費者の選択権を減らし、革新を妨害するものだ。製品価格上昇を誘発するなど消費者と市場に不利益を及ぼし、グローバルIT業界の発展に否定的な影響を招きかねない」との見解を表明した。

その上で、「当社の革新的製品を米国の消費者に問題なく提供できるように、全ての法的措置を取る」とし、自社の主張が受け入れられるよう努力を続けることを強調した。 

ーーー

今回の裁判では裁判官が韓国系であることで注目された。



Lucy Kohは1968年にWashington D.C.で生まれた。
2010年6月にObama大統領の指名でSan Jose連邦北部地方裁判所判事となった。

当初は、韓国企業と米国企業の裁判に韓国系の判事ということで話題となったが、訴訟指揮は高く評価されている。

 



チリの銅資産権益を保有する英国のAnglo Americanの子会社Anglo American Sur S.Aを巡るAnglo Americanとチリ銅公団(CODELCO)の紛争が、8月23日、和解で解決した。

問題の発端は、2011年11月に三菱商事がAnglo American Sur S.Aの株式24.5%を53.9億米ドルで買収すると発表したこと。

Anglo American Surは、チリ国内にLos Bronces銅鉱山、El Soldado銅鉱山、Chagres銅製錬所、並びに大型の未開発鉱区などの優良資産を保有する。

Los Bronces銅鉱山:現在生産量 22万トン2012年 40万トン
   近隣にLos Sulfatos鉱区及びSan Enrique Monolitoト鉱区の有望未開発鉱区が存在

El Soldado銅鉱山:生産量 4万トン

Chagres銅製錬所:年間約14万トンの銅アノードを生産

三菱商事はAnglo American から打診を受けたものとされるが、Anglo American は別途、チリの国営資源大手チリ銅公団(CODELCO:Corporacion Nacional del Cobre de Chile)に株式の49%購入のオプションを与えており、三井物産がこの資金を供給する契約を締結している。

三井物産はCODELCOとの間で、CODELCOによるAnglo American Surの最大49%の株式取得資金として、67.5億米ドルを上限とする短期つなぎ融資契約を締結した。

また、CODELCOが取得したAnglo American Sur 株式の半分を譲渡することによって返済する権利を借主に与える契約も締結した。

さらに、両社の多面的な関係を構築する一環として、両社は下記の銅売買契約を締結した。

銅売買契約
(1)期間   10年間 (2012年~2021年)
(2)年間平均買取数量   銅精鉱 65,000 DMT
銅地金 12,000 MT
合計  30,000 MT(銅地金換算)
(3)買取価格   市場価格及び市場取引条件により決定

CODELCOは「われわれの権利は明確だ。49%の株式を取得する」と主張し、Anglo AmericanはCODELCOへの売却はAnglo Americanの持分の49%であり、三菱商事への売却部分は除かれるとし、両社とも法的措置を取った。

2011/11/12  三菱商事、チリの銅鉱山・製錬所運営会社に出資 

ーーー

三菱商事は8月23日、以下の発表を行った。

三菱商事はAnglo AmericanにAnglo American Surの持株24.5%のうち、4.1%を8.95億ドルで売却する。

Anglo Americanはこれと自社持分のうち24.5%と合わせた29.5%をCODELCO/三井物産JVに譲渡する。

三井物産も同日発表を行った。

CODELCO/三井物産JVのInversiones Mineras Acrux SpA(Acrux)がAnglo American Surの29.5%を取得する。

このうち、24.5%取得の為の18.63 億米ドルは三井物産からCODELCOへの短期つなぎ融資で、
残り5%は合弁会社Acruxへの出資金(11億ドル)で購入する。

三井物産はAcrux社の17%を保有する。(間接的にAnglo American Surの5.015%を保有)

CODELCOが三井物産からの有利な条件での借換融資を受諾した場合、三井物産はJVの15.25%を追加取得する権利を取得する。

付記
2012年11月2日、
15.25%の追加取得を発表、32.20%とした。間接的にAnglo American Surの9.5%を保有することとなる。
短期つなぎ融資の返済時に当該融資の一部をAcrux社の株式15.25%をもって返済し、その融資残債務(9億米ドル)を貸付期間20年間の長期融資に転換する。

三井物産はAnglo American Surの生産する銅の29.5%を引き取り、その全量を販売する権利を保有する。

 




  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

最近のコメント

月別 アーカイブ