「no」と一致するもの

三菱商事は5月16日、シェルカナダ、韓国ガス公社(Kogas)、中国石油天然気(PetroChina)とのLNG輸出計画 、「LNG Canada」構想を発表した。

4社でカナダのブリティッシュ・コロンビア州 Kitimat港周辺においてLNG輸出基地を共同開発する。
(当初の案では立地は Prince Rupert とされていた。)

権益比率   シェル   40%
三菱商事 20%
Kogas  20%
PetroChina 20%



液化設備   600万トン/年x2=1,200万トン
将来的な数量拡張の可能性
生産開始   2010年代末

4社は、今後共同でプロジェクトの検討を進めると共に、先住民及び地域住民との協議を開始する。

PNG   Pacific Northern Gas
PTP    Pacific Trail Pipelines

付記

TransCanadaは6月5日、ShellとパートナーからCoastal GasLink projectの設計、建設、所有、運営担当として選ばれたと発表した。

40億ドルと予想されるパイプラインは、Dawson Creekの近辺のガス生産地域とKitimat近辺に建設するLNG輸出基地を結ぶ。

 

日本は現在、LNGの大部分を東南アジア及び中東から輸入しているが、カナダからもLNGを輸入することで、調達先の多様化に繋がり、エネルギー資源の安定供給に貢献 する。

三菱商事はカナダの2つのシェールガス計画に参加している。
同社はカナダで生産した天然ガスを北米市場で販売するが、これを原料にLNGとして輸出する可能性についても検討を進めてきた。

三菱商事は2010年8月、カナダの大手エネルギー会社Penn West Energy Trustが所有するブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガスを中心とした天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結した。
同社は今後50年以上の期間に亘り当該鉱区のシェールガス開発および生産を推進し、持分ガスを
CIMA Energyなどを通じて、北米市場で販売する。

   2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画

三菱商事とカナダの天然ガス最大手のEncana Corporationは2012年2月、British ColumbiaのCutbank Ridgeの未開発の土地でのシェールガス開発で提携したと発表した。

   2012/2/21  三菱商事がカナダのシェールガス開発に参加

三菱商事は、これとは別に、Cameron LNGとの間で、米国産天然ガスの液化を委託する交渉を行っていることを明らかにした。

   2012/4/20 三菱商事と三井物産、米国産LNGを輸入へ

但し、米国からのLNG輸出については米国の国策ともからんでおり、エネルギー多消費型の産業界(発電業界、化学、アルミ、米国ガス協会等)からの反対もあり、簡単ではない。

野田首相は4月30日のオバマ米大統領との首脳会談で、LNGの対日輸出拡大などエネルギー面での協力を求めた。

オバマ大統領は首相の輸出要請に対し、「日本のエネルギー安全保障は米国にとっても重要」と理解を示す一方、「(対日輸出は)政策決定プロセスにある」として、明言は避けた。日本政府内には「少なくとも11月の大統領選までは、オバマ大統領が輸出認可に動く可能性は低い」との見方が強い。

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カナダの西海岸のKitimat港からのLNG輸出については、本計画のほかに2つの計画が既に政府申請を行っている。

詳細は JOGMEC 「カナダ西海岸からのアジア向けLNG輸出計画」
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/4/4362/1104_out_f_canada_lng_export_upstream_kitimat.pdf

事業計画者 規模と計画 Feedガス

Apache 40%
EOG Resources 30%
EnCana 30%
 
第1フェーズ 500万トン(2015年-)
 
第2フェーズ 500万トン(2017-2018)
 
主に
Horn River及びMontneyシェールガス他
② Douglas Channel
Energy Partnership

 
第1フェーズ 90万トン 2013年末

第2フェーズ 90万トン

上流事業者からガス購入

ギリシャ議会の総選挙は5月6日に投票が実施された。

最大与党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)のベニゼロス党首(前財務相)は総選挙の前の最後の演説で、選挙の結果次第ではギリシャがユーロ圏離脱を余儀なくされる恐れがあると訴え、有権者の支持を仰いだ。
「ギリシャ国民は6日、運命の岐路に立つ。ギリシャが欧州、かつユーロ圏にとどまるのか、もしくは国家を破たんさせ、国民を深刻な貧困に陥れるかは、6日に決定される」と述べた。

しかし、EU/IMFの支援を受けるために数々の緊縮策を打ち出してきた連立与党の新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の2党が300議席中149議席で、過半数を獲得できなかった。

逆に、緊縮策のゼロからの見直しを求める急進左派連合(SYRIZA)が反緊縮世論の支持を追い風に第二党に躍り出た。

SYRIZAは共産党から分裂した左派小集団が2004年に選挙対策で寄り集まったもの。チプラス党首は行政・外交・経済の実務経験は皆無。「債務を検査し直し、EUと合意を結び直す」とするが、具体的な修正点は不明。
 「無責任で大衆迎合的」と批判されている。

選挙結果は以下の通り。

ギリシャの総選挙では第一党には50議席のボーナス議席が与えられる。

  選挙前 今回 増減   
全ギリシャ社会主義運動(PASOK) 160
(50+110)
41  -119
(-69)
緊縮推進

EUとの合意支持

新民主主義党(ND) 82 108
(50+58)
28
(-30)
(連立与党) (242) (149) (93)
急進左翼連合(SYRIZA) 13 52 39 反緊縮

EUとの合意反対

 

独立ギリシャ人 0 33 33
ギリシャ共産党 21 26 5
黄金の夜明け 0 21 21
民主的左翼 0 19 19
正教民衆集会 15 0 -15
合計 291 300 9  

独立ギリシャ人:新民主主義党(ND)の議員が『反緊縮財政策』を掲げて2012年2月に立ち上げた。

ーーー

2011年秋、ギリシャではユーロ圏各国がまとめた支援策の前提条件の改革案に反発、ストが相次いだ。

この時の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)内閣のパパンドレウ首相は当初、国民投票を行う意向を表明した。
最終的にはEUとの協議の後、11月3日に緊急閣議を開き、国民投票を撤回する意向を明らかにした。

しかし、ギリシャの政治的、社会的、経済的混乱は続き、パパンドレウ首相は新たな連立内閣が1300億ユーロの支援策を議会通過させ、財政破綻を避けるよう呼び掛け、自身は首相を辞任する可能性を示唆した。

これを受け、議会は11月5日、内閣に対する信任案を賛成多数で可決した。首相の退陣示唆を受け、与党内で内閣信任に反対していた議員らも賛成に回った。

2009年に全ギリシャ社会主義運動が政権党の新民主主義党を破り、パパンドレウが首相となった。
パパンドレウ首相が前政権の粉飾を明らかにしたのが、ギリシャ危機のきっかけとなった

11月6日に首相辞任と引き換えに、中道右派の最大野党・新民主主義党(ND)が連立政権発足に協力することで与野党が基本合意、11月9日に大連立内閣が誕生し、欧州中央銀行のパパデモス前副総裁が新首相に指名された。

EUは第二次支援を1300億ユーロとするとともに、民間銀行のギリシャ国債元本削減幅を従来の50%から更に拡大することとし、ギリシャにそのため 、「財政緊縮関連法案の議会承認」、「財政緊縮策実行の誓約書」「歳出削減策の具体化」の3条件を科した。    
第二の条件の「緊縮策実行の誓約書」は連立内閣の与党の全ギリシャ社会主義運動のパパンドレウ党首と、新民主主義党のサマラス党首がサインした。

2012/2/23 ギリシャ第二次支援決定 

連立内閣は当初、2012年2月に総選挙を予定していたが、国債の交換完了を優先させるため、5月に延ばした。

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選挙結果を受け、パプリアス大統領は5月6日、第1党になった与党の新民主主義党(ND)に組閣を要請した。(第二党、第三党に順に要請する)

新民主主義党(ND)は極右政党「黄金の夜明け」を除く全党と連立協議を行ったが、5月7日、組閣を断念した。

全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は連立入りに前向きな姿勢を示したが、左派政党の政権参加を条件にした。
急進左派連合(SYRIZA)や民主左派党は連立入りを拒否し、右派新党の「独立ギリシャ人」や共産党は協議自体を拒否した 。

次いで、第2党へと躍り出た急進左派連合(SYRIZA)のアレクシス・チプラス党首も9日、各党との連立協議を断念すると発表した。

共産党と民主左派党との協議が決裂した。

第3党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)のベニゼロス党首も11日、連立交渉が失敗したことを明らかにした。

ベニゼロス氏は
①EUとユー口圏に残留する
②EU・IMFと合意した財政緊縮策を段階的に解消することを目標に、2014年までの財政再建を目指す
とした「挙国一致政権」構想を急進左派連合(SYRIZA)に持ちかけ、参加を求めた。

だが、SYRIZAのチブラス氏は「民意に反して緊縮策を継続するための政権であり、参加できない」と拒否した。
「緊縮策の廃止という自分たちの選挙公約は変わらない。新民主主義党や全ギリシャ社会主義運動のように緊縮策を推進しておきながら選挙で負けたら『修正に応じる』と態度を変えるようなことはできない」と述べている。

これを受け、パプリアス大統領は13日夜、連立政権発足の成否の鍵を握る穏健派政党、民主的左派のクベリス党首と会談したが、調停は不調に終わった。

パプリアス大統領は14日に議会第1~3党の党首とクベリス氏を大統領官邸に招いて、連立政権発足に向けた最後の調停を試みる。
調停が成立しない場合、6月10日か17日に再選挙が実施される。

最新の世論調査では、緊縮策のゼロからの見直しを求めるSYRIZAが第1党に躍進する一方、旧2大政党は現議会勢力をさらに減らすとの予想が出ている。

ギリシャは6月末に追加歳出削減策の策定期限を迎えるが、SYRIZAは緊縮策反対の左派連立政権樹立を目指しており、政権を取れば、緊縮策の廃止、銀行の国有化、賃金・年金カットの取り消しなどの政策を実施する方針 。

付記

その後、大統領による調整は失敗、再選挙を6月17日に行うこととなり、ピクラメノス憲法裁判所長官が16日に選挙管理内閣の首相に就任した。

 

EUのファンロンパイ大統領と欧州委員会のバローゾ委員長はギリシャの各政党の党首に対し、ギリシャがユーロ圏にとどまりたい場合、EUなどから受けた支援の条件を遵守する必要があると電話で伝え た。
ドイツのメルケル首相、およびショイブレ財務相、欧州中央銀行のアスムセン専務理事らも同様のメッセージを公の場で発している。

EUは「財政緊縮関連法案の議会承認」、「財政緊縮策実行の誓約書」「歳出削減策の具体化」の3つを条件として、第二次支援 を1,300億ユーロとするとともに、民間銀行のギリシャ国債元本削減幅を従来の50%から更に拡大することとした。(1,300億ユーロの追加支援のうちIMFの負担分 が280億ユーロ)

1,300億ユーロの融資は2012-14年に実施される。
このうち、ギリシャが既に融資を受けたのは、
3月の75億ユーロ(ユーロ圏から59億ユーロ、IMFから16億ユーロ)など、少額。

ギリシャが3つの条件を満たさない場合、この融資が受けられない可能性がある。

急進左翼連合(SYRIZA)はユーロ圏残留を主張しているが、緊縮策を廃止して融資を受けられなくなった場合どうするかの方策は持っていない。

ーーー

フランス大統領選では、「欧州には雇用と繁栄こそが必要」と成長重視の財政再建策を提唱するオランド氏が勝利した。
単年度財政赤字をGDPの0.5%以内に抑えることを義務付けた新財政協定について、再交渉を主張している。

これに対し、メルケル独首相は、成長戦略の必要性を認めつつ、「これ以上の財政悪化は容認できない」と言明、新財政協定の再交渉を拒絶した。

ドイツのウェスターウェレ外相は5月11日、ドイツも成長に軸足を置きたいが、歳出拡大を意味するのであれば、そうではないと述べた。ギリシャは、追加支援を受け、ユーロ圏にとどまることを望むのであれば、合意した改革を実施する必要があると指摘した。
 また、ユーロ圏の結束を維持したいが、それはギリシャがユーロ圏にとどまることを望むかどうかに左右されると指摘した。

一旦はギリシャ問題に目処がついたように思われたが、ユーロ圏の政治的混迷懸念が高まった。
ギリシャのユーロ圏離脱の可能性も出てきた。


 

DuPontは5月1日、大豆タンパクと大豆食物繊維製品のJVのSolae LLC(ソレイ)を100%子会社にしたと発表した。
JV相手の
Bungeから28%の持分を440百万ドルで取得した。

Salaeの元はProtein Technologies International で、1958年に設立され、当初は産業用大豆タンパクのみであったが、その後食品などに展開した。

1997年にDuPont がRalston PurinaからこれをDuPont株式 15億ドルで買収した。

DuPontは2003年
4月にBunge Ltdとの合弁(DuPont 72%、Bunge 28%)でSolae LLC を設立した。
当初はDuPontのProtein Technology事業とBungeの北米と欧州の素材事業を新会社に移行し、第二段階でBungeのブラジルの素材事業を移行した。

ーーー

Solae LLCの14億ドル~17.5億ドルでの売却を目指し、ファンドや欧州企業と交渉していると報じられた。

しかし、DuPontはその後、売却方針を変換し、逆に SolaeのBunge持株の28%を購入し、100%子会社にすることを検討した。

今回の100%子会社化に当たり、DuPontでは「同社はNutrition & Health事業に注力しており、今回の投資は、2011年のDanisco買収と並び、食品素材業界のリーダーとしての同社のポジションを強化するもの」としている。

ーーー

DuPontは2011年5月に、デンマークの食品用酵素や素材のメーカーのDanisco64.9億ドルで買収した。
Daniscoの工業用酵素事業(Genencor部門)とDuPontは2008年に50/50 JVDuPont Danisco Cellulosic Ethanol LLCを設立し、次世代バイオ燃料であるセルロース系エタノールの生産に取り組んでいる。

DuPontEllen Kullman会長兼CEOは、「Daniscoの食品添加剤事業と工業用酵素事業(Genencor部門)のDuPontへの統合は、Dupont自体のNutrition & HealthApplied BioSciences部門と相補い、工業用バイオサイエンス、栄養、健康分野で業界のリーダーになれる」と述べた。

2011/5/27  DuPontDaniscoの買収成功 



Delta Air Linesは4月30日、子会社のMonroe Energy LLCがPhillips 66との間でフィラデルフィアの南にあるTrainer refinery complex を買収する契約を締結したと発表した。

Monroe Energy LLCは同時に、BPとPhillips 66と原油供給とマーケティングに関する戦略的契約を締結した。

Trainer Refineryは精製能力日量185千バレルで、主に軽質の低硫黄原油を処理する。

ConocoPhillipsはスピンオフにより Exploration & Production事業のConocoPhillipsRefining & Marketing事業のPhillips 66に分かれた。
   2012/4/10  ConocoPhillips、川下事業をPhillips 66 として分離 

買収金額は150百万ドルで、ジェット燃料を最大限取るために100百万ドルを投資して改造する。
州政府から雇用創出とインフラ改良の補助として30百万ドルを受ける。

戦略的契約に基づき、BPは今後3年間、Trainer製油所で処理する原油を供給する。
また、BPとPhillips 66はTrainer 製油所で生産されたガソリンや他の留分と、両社が他の製油所で生産するジェット燃料を交換する。

Delta Airは製油所での生産と交換により得られたジェット燃料で同社が米国で必要とするジェット燃料の8割を確保する。

Delta Airでは新しいワイドボディの飛行機1機分のわずかな投資で年間3億ドルの燃料費の節約が出来、また燃料の安定供給が確保できるとしている。

上期中に買収完了し、ジェット燃料生産は第3四半期に始まる予定。設備の改造は第3四半期末には終わる。

ーーー

ConocoPhillips は(分離前の)2011年9月に、Trainer製油所の買い手を探しており、直ちに生産を停止し、6か月以内に売却できない場合は永久に停止すると発表した。

製品輸入、ガソリン需要の弱さ、規制への対応にコストがかかることなどから、米国東海岸の製油所は何年もの間厳しい状況にあるとしている。

このため、州の政府や議会は雇用維持のため製油所存続に動いていた。

Sunocoも2011年9月に、Refinery事業からも撤退し、Marcus HookとPhiladelphiaの製油所の売却手続きを開始したと発表した。
同社は石油化学からも撤退している。

2011/8/25 Sunoco、石油化学の売却を完了




米天然ガス2位、Chesapeake Energy は5月1日、創業者で会長兼CEOの Aubrey K. McClendonが会長職を辞すると発表した。CEO職には止まる。
独立した非常勤の会長候補を新たに探す。

ーーー

4月18日に同社の株価が一時10%近く急落した。

McClendon CEOがChesapeakeの石油・ガス井に対する個人持分を担保に過去3年間で11億ドルを借り入れていることをReutersが報じた。

Chesapeakeには創業者参加計画(FWPP:Founder Well Participation Program)という名の計画があり、McClendonが同社の数千にも及ぶ井戸の全てについて2.5%の持分を購入することを認めている。
借り入れた資金はこの個人持分の購入に使われていた。

借入金の一部はChesapeakeが取引している投資会社 EIG Global Energy Partnersからのもので利益相反の疑いがある。
この借入金については株主に公開されていない。

これを受け、同社は4月26日にこのFWPPを2015年末までの10年の期間が過ぎれば延長をしないと発表したが、5月1日になってこれを見直し、2014年6月末に終了させると発表した。

4月30日に Wall Street Journalは税務当局(IRS)がFWPPの調査を始めたと報じた。

Chesapeake Energy は5月1日、McClendonが会長職を辞すると発表した。

5月2日には、McClendon が2004年から2008年までの間にヘッジファンドを通じChesapeakeの扱う製品と同じ石油や天然ガスなどに2億ドルを投じていたと Reutersが報道した。
ヘッジファンドの石油やガスの取引は、McClendon がCEOとして市場を動かすような情報を得ている期間に行われており、 これらの情報を個人のために利用しているのではとの疑惑が起こり、この報道で株価は更に下がった。

ある上院議員は司法省に対し、詐欺、価格操作、利益相反、その他の違法行為がないか、Chesapeakeを捜査するよう求めた。

SECは非公式調査を開始しており、会社とMcClendon に対し、資料の保持を求めた。

S&Pは本件を懸念し、同社の格付けをBB+からBBに下げた。


ーーー

Chesapeak Energy はMcClendonがTom L. Ward(元社長)と二人で1989年に5万ドルの投資で始めたもので、現在では天然ガスではExxonMobilに次ぐ2位で、昨年の売上高は116億ドル。
"America's Champion of Natural Gas"、"the biggest frackers in the world"(シェールガスのFracking)と自称している。

同社の業績       

単位:百万ドル 

  2008 2009 2010 2011
売上高  11,629  7,702  9,366  11,635
営業損益 1,457 -8,945 2,805 2,921
純損益 504 -5,853 1,663 1,570
 2009年:減損その他で -11,202百万ドル


同社は過去5年で900万エーカーを超える土地をリースした。これは全てを掘削するのに30年かかるというもの。
そして新しいシェール層が見付かると、権利の獲得を続けた。

Chesapeake Energyの現在の主な鉱区は以下の通り。

このうち、Eagle Ford Shale については中国のCNOOCが60万エーカーのリース権益の33.3%を購入している。

2010/10/18  CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加

BHP Billitonは、Chesapeake Energyからアーカンソー州のFayetteville Shaleの権益全てとパイプラインを47.5億ドルで買収すると発表した。

2011/2/23 BHP Billiton、米シェールガス鉱区を買収 

日揮は2011年6月、Chesapeake Energyからテキサス州 Eagle Ford シェールの権益の10%を65百万ドルで譲り受けた。


しかし、最近はシェールガスの供給拡大で天然ガス市況は昨年に50%下がり、直近では100万BTU当たり2ドルを割り、2001年以来の安値となっている。

天然ガスの供給過剰を懸念し他の業者が減産を始めたのに対し、McClendonは天然ガス価格の高騰に賭け、Chesapeakeは第1四半期に生産を18%増やしている。

この結果、同社の長期債務は100億ドルに達した。

このやり方は資産価値が高止まりする場合にのみ成功するが、天然ガス価格が近い将来高騰する可能性は少ない。

2012年第1四半期決算は予想外の赤字となった。

McClendon CEOの個人の行動だけでなく、彼の考え方で拡大を続けてきたChesapeake Energy自体が大きな問題を抱えている。



タイのMap Ta Phut 工業団地にある合成ゴムメーカー、BST Elastomersの工場で5月5日、トルエンタンクが爆発して火災が起こり、11人が死亡、140人以上が重軽傷を負った。

工場はグレード変更のために停止中で、水分を除くためトルエンで設備を洗っていた。爆発の原因は不明。

すぐ近くにIndoramaの年産70万トンのPTAプラントなどがあるが、これらは稼働を続けている。

BST Elastomersはタイの化学メーカー
Bangkok Synthetics (BST)の子会社。

BST本体は以下の製品を生産している。
  ブタジエン 140千トン
  MTBE       55千トン
  ブテン-1     35千トンなど

BST Elastomersは1996年に下記各社による合弁会社として設立された。

BST 60%、タイ企業 8%
JSR 14%、日本ゼオン 12%、三井物産 3%、伊藤忠商事 3%  

JSR(Ni触媒)とゼオン(Ni触媒)の技術によるブタジエンゴム(4万トン)とJSR技術(エマルジョン重合)によるSBR(6万トン)プラントを建設、1998年に商業運転を開始した。

製品の主な販売先は、タイ国内外のタイヤ、PS樹脂、工業用品、履き物メーカーで、タイ国内の販売はBST Elastomersが行い、輸出はJSRとゼオンが支援、協力した。

その後JVを解消し、現在はBSTの子会社となっている。
現在の能力はBRが5万トン、SBRが7万トン。

タイでは他に宇部興産がJVでBRを生産している。

会社名Thai Synthetic Rubbers
設立  :1995/11
出資  :宇部興産 73.1%、丸紅 13.0%、TSRC(台湾) 13.0%ほか

能力  :当初 50千トン、2006年の増設後 72千トン

ーーー

JSRはこのJVからは離脱したが、別途2011年6月にBSTとS-SBRの製造のJVを設立した。

会社名JSR BST Elastomer Co., Ltd.
工場 :
Map Ta Phut  
出資  :
JSR 51%
     BST 49%  
能力  :S-SBR 第一期 50千トン (2015年に 100千トンに)

2012年3月に起工式を行った。2013年6月稼働予定としている。

S-SBRはエコタイヤと呼ばれる低燃費タイヤ向けへの需要が世界的に急拡大しており、JSRでは2011年12月に四日市工場で25千トンの増強を完了し、60千トンに生産能力を拡大している。

  
2010/12/27 溶液重合法SBRの増設相次ぐ

建設中のこのプラントは事故現場とは2キロメートル離れており、直接の影響はない。
JSRではBSTからの要請があれば、個別に検討し可能な限りの支援を行っていく予定としている。

ーーー

Map Ta Phut 工業団地では、急激な重工業化にともない、住民たちが十数年前から大気や水汚染による環境・健康被害を訴えてきた。1990年代末には悪臭騒ぎで学校が避難・休校となり(数年後に移転)、「マプタプット公害問題」が全国でも知られるようになった。

タイ中央行政裁判所は2009年9月、同国東部のRayongMap Ta Phut地区で計画されている石油化学などの76事業について、健康影響アセスメントと公聴会が行われなかったのは違憲という訴えの最終判決を下すまで一時凍結するようタイ政府に命じた。

2009/12/4 タイ最高行政裁判所、マプタプットの石化計画などの凍結を継続

その後、ほとんどの計画が認められたが、住民の不満は強い。

2010/9/24 タイマプタプットで抗議集会開催か

今回の爆発事故を受け、住民の反応は厳しく、工場の再開を認めるべきではないとの声も出ている。

 

三井物産と三菱商事は5月1日、豪州のWoodside Petroleumが推進するBrowse LNG Projectに参画すると発表した。

Browse LNGプロジェクトは、豪西オーストラリア州沖合のBrowseコンデンセート田で生産する天然ガス・コンデンセートをKimberley地区に輸送し、精製・液化・出荷を行う大規模な開発計画で、Woodsideの子会社がオペレーターを務めてい る。
LNGの生産は年間1,200万トンの予定。

両社が折半出資する豪Japan Australia LNG (MIMI) Pty Ltdを通じて、Woodsideの子会社Woodside Browse と4月30日に権益売買契約を締結した。

Woodside Browseの持つ権益46%のうち、14.7%を20億ドルで買収する。

現在、2013年6月末までの最終投資決断を目指し、2012年初めに終了した基本設計の評価作業および設計・調達・建設業者の選定に向けた作業を行って いる。

MIMI BrowseとWoodside Browseは今後共同で、両社が本プロジェクトから引き取る一定量のLNGに関し日本を含むLNG顧客向けの販売活動を進めること で合意した。日本向けについては年約150万トンと報じられている。

Woodside は既に台湾の CPC Corporation と年間200-300万トン、PetroChinaと200万トンのLPGを供給する契約を結んでいる。

ブラウズLNGプロジェクトの概要は以下の通り。

 

BrowseはTorosa(Scott Reef)ガス田、Brecknockガス田、Callianceガス田に分かれている。

隣接のIchthysガス田については
  2012/1/16 国際石油開発帝石、豪州イクシスLNGプロジェクト 最終投資決定


プロジェクトパートナー Woodside Browse (Operator)
BHP Billiton
BP
Chevron
Shell
          ※各パートナーの最終的な権益比率は未定。
ガス・コンデンセート田位置 西オーストラリア州Broome市沖合425km 北西大陸棚Browse 地域
陸上プラントサイト予定地 西オーストラリア州Kimberley地区James Price Point
年間LNG生産量 1,200万トン(400万トン×3系列)
※将来的には2,500万トンまで拡張可
埋蔵量
(ウッドサイド・エナジー社見積もり)
ガス:15.5兆立方フィート、
コンデンセート:4億1,700万バレル
最終投資決断 2013年上半期


ーーー

豪州沖合は近年ガス発見率が高いが、ガス田開発を先送りする事例が増えている。

Browse LNGも、1970 年代に主要ガス田(Torosa、Brecknock)が発見されていたにも拘わらず、パートナー(オペレーターWoodsideとBP、Chevron、Shell、BHP Billiton)間のガス事業戦略が異なるために開発時期と開発方法が合意できなかった。

2 0 0 9 年1 2 月に連邦及び州政府は、Browse LNGガス田群のリース更新に際し、Woodsideに対して1 2 0日以内にKimberleyでの液化設備建設を受け入れるか、あるいは経済合理性のある他の候補を提案するように申し渡した。
併せて3 年以内にBrowse LNGプロジェクトの最終投資を決定することを求めた。

ライセンス失効を恐れたBrowseコンソーシアムは、20100 年2月にJames Price Point に液化基地を建設するガス田開発案に合意することを表明し、直ちにプレFEED作業を発注し、計画が進み始めた。

ーーー

2010年代後半までに予定される主なアジア向け新規LNGプロジェクトは以下の通り。(2012/1/14 日本経済新聞)

  プロジェクト 能力
万トン/年
操業主体
豪州 Gorgon 1,500 Chevron
Wheatstone 860 Chevron
Queensland Curtis  850 英BG Group
Ichthys 840 INPEX
Australia Pacific 700 ConocoPhillips
Pluto 430 豪 Woodside
インドネシア Tangguh 380 BP
Abadi 250 INPEX
Donggi-Senoro 200 三菱商事
パプアニューギニア PNG 660 ExxonMobil


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三菱商事と三井物産は4月17日、それぞれが米国のSempra Energyの子会社であるCameron LNGとの間で、米国産天然ガスの液化を委託する交渉を行っていることを明らかにしている。

2012/4/20 三菱商事と三井物産、米国産LNGを輸入へ 

野田首相は4月30日のオバマ米大統領との首脳会談で、LNGの対日輸出拡大などエネルギー面での協力を求めた。

オバマ大統領は首相の輸出要請に対し、「日本のエネルギー安全保障は米国にとっても重要」と理解を示す一方、「(対日輸出は)政策決定プロセスにある」として、明言は避けた。日本政府内には「少なくとも11月の大統領選までは、オバマ大統領が輸出認可に動く可能性は低い」との見方が強い。



クラレの2012年3月期決算は好調で、営業損益は2008年3月期を上回り、2期連続最高益となった。
配当も年6円の増配とした。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益

 配当

中間 期末
2008/3 4,176 481 428 256 11 11
2011/3 3,632 531 511 287 13 14
2012/3 3,690 547 539 315 16 17
前年比 58 16 29 27 3 3
2013/3予 4,000 600 585 350 18 18

セグメント別ではポバール、PVB、エバール等の酢酸ビニル系の「樹脂」が好調で、500億円程度の営業利益を計上している。
特に、液晶向け「ポバールフィルム」が安定的に利益を稼いでいる。

  11/3実績 12/3実績 13/3予想 対象製品
樹脂 508 499 550 ポバール、PVB、エバール等の樹脂・フィルム
化学品 87 91 95 MMA樹脂、熱可塑性エラストマー、イソプレン関連、メディカル関連製品
繊維 -2 11 20 合成繊維、人工皮革、不織布
トレーディング 33 35 40 合成繊維・人工皮革の加工・販売、グループ製品等の販売
その 49 57 60  
全社 -144 -145 -165  
合計 531 547 600  

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ラレの「樹脂」セグメントは酢ビ系の樹脂・フィルムで、以下の製品がある。

ポバール樹脂はクラレが世界で初めて事業化した機能性樹脂で、世界トップシェアを誇る。

水溶性、造膜性、接着性、乳化性、耐油性、耐薬品性などの特性をもち、紙加工剤、接着剤、塩ビ重合安定剤をはじめ、自動車のフロントガラス用中間膜原料などの様々な用途で使用されている。

ポバールフィルムは、大型薄型テレビをはじめモニター、パソコン、携帯電話等のLCDの表示に欠かせない偏光フィルムのベースフィルムで、同社の製品は30年以上前からほぼ独占的にこの分野に使用されてきた。

光学用ポバールフィルムの世界シェアで約8割を占める。
日本合成化学工業がこれに続き、世界市場でもこの2社でほぼ独占している。

PVB(ブチラール)樹脂はポバールを主原料とする樹脂で、安全ガラスの中間膜、燃料電池用セルなどファインセラミックス用のバインダー、塗料・インク用のバインダーなどの用途に幅広く用いられる。

PVBフィルムは、その優れた透明性、ガラスとの接着性、耐貫通性を生かし、建築用の安全合わせガラスや自動車のフロントガラスなどの中間膜に使用されている。近年は太陽電池の封止材用途へも拡大している。

EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)樹脂のエバールはプラスチックの中で最高の気体遮断性をもつ機能性樹脂で、酸素を遮断して内容物の劣化を防ぐことから、各種食品包装材に広く使用されている。またプラスチック製ガソリンタンクや、床暖房用のパイプなど食品包装以外の分野でも需要が広がっている。

1972年にクラレが世界で初めて工業化した。クラレの世界シェアは約65%。


同社は酢ビ系事業の世界展開を図っている。
欧州のポバールとPVB樹脂及びPVBフィルム事業は買収事業を拡大した。
更に北米とアジアでの新設を検討している。

    付記

クラレは6月5日、クラレアメリカ(クラレ100%間接出資子会社)によるポバール樹脂生産設備の新設を決定したと発表した。

立地:テキサス州ラ・ポルテ市(工場用地は先行取得済)
生産能力:第一期 40,000トン/年
時期: 2014年9月完工予定

 

クラレの世界展開  数字は能力(単位:千トン)
  日本 アジア 欧州 北米 合計
酢ビ 岡山 150             150
PVA(ポバール)樹脂 岡山・新潟 124 Kurare Asia
Pacific

40

Kurare Europe
    (増強中)
70
+24
(決定*1)   234
+24
ポバールフィルム 玉島・西条
(増強中)
*2                                          
PVB樹脂         Kuraray Europe 39     39
PVBフィルム     (検討中)   Kuraray Europe
  (増強中)
34
    34
エバール 岡山 10 (検討中)   Eval Europe 24

Kuraray
 America
(増強中)
 

35

+12
69
  (+12

*1  Kuraray America は2011年1月、酢ビ・ポバール事業の拡大のためエバール工場の近くの土地を購入した。
  上記 付記参照

*2 ポバールフィルム能力
        2007年初めは西条3100万m2、玉島3000m2の合計6100万m2であったが、
    現状は 1億8000万m2となっており、2013年6月には西条増強で合計2億1200万㎡まで拡大する。
        西条工場の増強では大型液晶テレビ用偏光フィルムのための幅5000mmの広幅タイプの生産ができる。

   

クラレはポバール原料の酢ビを岡山工場で生産している。
なお1983年に中条工場の
天然ガス法酢ビ(86.4千トン)を休止した。

2006/5/20 酢酸業界


同社の海外拠点は以下の通り。

Kurare Asia

クラレは1996年10月、シンガポールに日本合成化学との50/50JVのPoval Asia を設立したが、2008年1月付けでクラレ 100%になった。

2008年7月にアジア・オセアニアのポバール樹脂販売会社Kuraray Specialities Asia と統合し、Kuraray Asia Pacificとした。

Kurare Europe

 1) PVA、PVB事業

クラレは2001年にClariantのPVA、PVB事業を買収、Kuraray Specialities Europe GmbH を設立した。
工場はフランクフルトで、能力はPVA 50千トン、PVB 16千トンであった。その後増強。


2006年
9月に
Kuraray Europeが吸収合併した。

 2) PVBフィルム

2004年11月にRütgers AGの子会社HT Troplast社から買収した。
工場はドイツのトロイスドルフで、能力は26千トンで、2007年に34千トンに増強した。 
これにより、PVA樹脂→PVB樹脂→PVBフィルムの一貫体制を完成

2012年3月、世界的なPVBフィルムの需要拡大(特に新興国を中心に伸長する自動車用途)に対応し、増強を決定(能力非公表)。2013年11月稼働目標。

Eval Europe

1999年にベルギーのアントワープでエバールの生産を開始した。

Kuraray America

当初、Eval Company of America を設立し、1986年にテキサス州パサディナでエバールを生産開始した。
その後、
Kuraray Americaに吸収合併した。

 

付記

クラレは5月22日、米国のポバールフィルムのメーカーのMonoSol社を買収すると発表した。
MonoSolは、洗剤・農薬・染料などの個包装、人工大理石離型用など産業用ポバールフィルムではリーディングカンパニーの位置にある。
本件買収により、クラレはポバールフィルムに関し、偏光フィルム向けの光学分野だけでなく、広範な産業分野においてもグローバルリーダーとなるとしている。

東京高裁は4月26日、大衆薬のネット販売の権利の確認を求めた訴訟の控訴審で、原告側敗訴の一審判決を一部取り消し、2社に販売権を認める逆転判決を言い渡した。
省令の無効確認などの訴えは、一審同様に不適法として却下した。

付記

国は2社に販売権を認めた東京高裁判決を不服として上告する方針を固めた。

これについて、池田信夫blog (2012/5/9) 「法の支配を無視する厚労省」は以下の通り述べている。

東京高裁の判決で注目されるのは、「・・・法律の委任によらないで国民の権利を制限する省令の規定は国家行政組織法12条3項に違反する」として、法律で決まっていない規制を官僚が恣意的に行なうことを禁じた点だ。
厚労省が上告したのは、このような省令による裁量行政が霞ヶ関では当たり前だからである。(以下略)

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2006年に薬事法が改正され、2009年6月1日に実施された。

これまでは一般用医薬品は薬剤師を置かないと販売できなかった。
逆に、薬剤師を置けばインターネット販売も可能であった。

薬事法 第37条 
薬局開設者又は一般販売業の許可を受けた者、薬種商若しくは特例販売業者は、店舗による販売又は授与
以外の方法により、医薬品を販売し、・・・・してはならない。

厚生労働省は、薬事法上「店舗による販売又は授与」とは必ずしも店頭に限定するものではないとの解釈の下、インターネット販売は適法とし、これを容認してきた。


改正でコンビニエンスストアなどでも、登録販売者を置けば、「一般医薬品」の販売ができるようになるなど、医薬品販売の規制緩和がなされた。

             改正薬事法 省令
専門家 相談対応 積極的情報提供 ネット販売
第一類 副作用等により日常生活に支障を来す程度の
健康被害が生ずるおそれのある一般医薬品のうち、
特に注意が必要なもの
(胃腸薬「ガスター10」、発毛剤「リアップ」など)
薬剤師 義務 文書義務付け   ○    X
第二類 副作用等により日常生活に支障を来す程度の
健康被害が生ずるおそれのある一般医薬品
(主な風邪薬、「葛根湯」などの漢方薬、鎮痛薬など)
薬剤師
登録販売者
義務 努力義務   ○ X
第三類 第一類医薬品、第二類医薬品以外の一般医薬品
(ビタミン剤、整腸薬など)
薬剤師
登録販売者
義務 規定なし   ○
  * 登録販売者:実務経験1年以上で、都道府県が実施する試験に合格したもの


しかし、厚生労働省は2月6日、改正薬事法施行に合わせて、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を規制する内容の省令を公布した。

今回の省令は、薬剤師や販売者が説明や情報提供を尽くすため、薬局や店舗での「対面販売」を原則とし、インターネット販売を含む通信販売の対象を、ビタミン剤や整腸薬などの第三類に限定した。

この結果、それまでインターネットで購入できている一般医薬品のうち7割近くが販売できなくなった。

但し、離島居住者などの問題が出たため、厚生労働省は2009年5月29日に一部改正の省令を交付・施行し、薬局などが存在しない離島に居住する者などに伝統薬などと第2類医薬品の通信販売を2011年5月31日まで2年間可能にするとした。
2009/6/1 薬事法施行規則などの
一部を改正する省令の一部を改正する省令

これは法律で認められているものを省令で禁止する形となるもので、内閣総理大臣の諮問機関である規制改革会議では、省令案の段階で「法律に基づかない規制は違法性もある」と指摘していたという。

2009/2/9  大衆薬ネット販売規制

医薬品・健康食品のインターネット通販会社のケンコーコムとウェルネットは2009年5月、国を相手取り、医薬品ネット販売の権利確認と省令の無効確認・取消を求め、東京地裁に提訴した。

東京地裁は2010年3月30日、上記の請求を棄却した。

岩井伸晃裁判長は「規制は健康被害防止の観点から必要性、合理性が認められ、行政の裁量の範囲内」として、省令は合憲と判断した。

一方で、将来的に副作用に対する消費者の認識や、情報通信技術などに変化が生じた場合は「新たな状況に応じた規制の見直しが図られるのが改正法の趣旨にも合致する」として、 「
今回の規制が恒久的に固定化されるべきだという判決ではない」と付言した。

今回の高裁判決では、三輪和雄裁判長は「改正法には医薬品のネット販売を直接禁止・制限する規定はなく、一律に禁止しているとは認められない」と指摘し、ネット販売を原則禁止する省令の規定は「法律の委任なしに国民の権利を制限しており違法」と判断した。

規制について定めた省令の部分は、国民の権利を制限する省令の規定であり、国家行政組織法12条3項(「省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、または義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない」)に違反する。

薬品を適正使用するための情報提供についても「インターネットなどを通じた幅広い情報提供の方法が考えられる」として、「ネット販売は情報提供が不十分」とする国の主張を退けた。

小宮山洋子厚労相は4月27日の閣議後の記者会見で、「便利にインターネットを利用したい方がいる一方で、薬害の被害にあった方からは、慎重な対応を求める声もある」と指摘し、「しっかりと判決内容を見て検討し、関係省庁とも協議をしていきたい」とした。


米地質調査所(USGS)は米中部地域での地震の急増はシェールガス採掘が関係していると報告した。

水圧破砕法(fracking:液体を地中に注入し天然ガスを抽出)の廃液をdeep well に注入することにより起こされるとみている。

Deepwellは深さ1~4kmの井戸で、廃液を岩塩層の下に流し込むもの。岩の割れ目を通って地下水中に漏れる化学物質も見られ、問題とされている。

テキサスなどではシェールガス採掘の廃液はDeepwellに投入して処分するが、ペンシルバニアでは地形上これが出来ず、下水処理場に輸送して処理している。

USGSは昨年8月にオクラホマ州の地震について報告書を出したが、それによると、小さな地震が多発したが、ほとんどはfracking 作業が終了して24時間以内に発生した。

2011年11月に英エネルギー会社Cuadrilla Resourcesは、同社がイングランド地方北西部ランカシャー沿岸で行った水圧破砕法による天然ガスの掘削によって、いくつかの弱い地震が引き起こされた可能性が極めて高いと発表した。

同地域では4月にM 2.3、5月にM 1.5の地震が記録された。同社が委託した外部の専門家チームの調査報告書は、「採掘現場の地質に、操業時に注入された水の圧力が加わるという、珍しい条件が重なったことがこれらの地震の原因」だと している。

今回、USGSは米国地震学会の年次大会での報告で、magnitude 3.0以上の地震が急増していることを明らかにした。
最終報告書は夏に発表される予定。

異常なことが起こっており、地震の多くは産業活動に結びついていると考えている。

2000年までの30年間で米中部地域での地震活動は年平均21回であったが、2009年に50回、2010年87回、2011年134回と急増した。

2001年に始まった増加はColorado-New Mexico の境界のRaton Basinでのcoalbed methane層での地震活動による。

OklahomaではM3以上の地震は、過去50年の年間平均1.2回から2009年には25回以上と急増した。
2011年11月には
M5を超える観測史上最大級を記録した。

こんな急増は火山地域以外では過去にないことで、ほぼ確実に人工のものである。

2009年に始まった急増はArkansasやOklahomaの石油とガス生産地域で起こっており、廃液のDeep well への注入に関係するという証拠がある。

Frackingでは水と砂と薬剤をシェール層に注入し、地中の岩を砕いて、閉じ込められている天然ガスを取り出すが、注入された水は回収され、処分される。
地震活動はガスや石油を抽出するプロセスよりも、排水を井戸に流し込んで処分するプロセスで発生する。

メンフィス大地震研究情報センターの研究員によると、地下に戻された水が断層の隙間に入り込んで滑りやすくなり、地震が起きやすくなったと考えられる。

なお、これらの人工の地震による被害はほとんど出ていない。

2011年にエネルギー省はfracking の環境影響を調査する委員会を立ち上げたが、委員会は天然ガス業界への環境ガイドラインに、fracking や廃液注入により起こされる地震に関する調査を求めた。

各州ではDeep well に対する新しい規制を検討している。

ーーー

なお、EPAは4月17日、ガス井戸からの大気汚染に対する最初の規則を発表した。

http://epa.gov/airquality/oilandgas/actions.html


NHK
BS世界のドキュメンタリー 「ガスランド ~アメリカ 水汚染の実態~」 では水質汚染の問題に加え、大気汚染の問題も取り上げている。

回収された薬剤入りの水は仮の溜池に保管されているが、池の土手から水が漏れている。
また、溜池から薬剤がどんどん蒸発している。

コンデンセートタンクからもガスがもうもうと蒸発しており、大気汚染を起こしている。

天然ガスのパイプラインは途中でガスを放出している。

2011/8/8  「ガスランド ~アメリカ 水汚染の実態~」

 


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