「no」と一致するもの

2011年の日本の「今年の漢字」は「絆」となった。

2007年 「偽」 (食品表示偽装、年金記録問題、TV番組捏造問題)
2008年 「変」 (オバマ次期大統領のChange !)
2009年 「新」 (民主党政権発足、オバマ新大統領就任)
2010年 「暑」 (記録的猛暑)

 

中国でも2006年から「今年の漢字」が発表されている。

昨年は 物価や利息、不動産の値上がりを表す「(2007年に次いで2回目)であったが、本年は「控」となった。

」はコントロール、抑制の意味で、昨年のの流れを受け継ぎ、物価上昇を抑えるという政府の努力と国民の期待を反映したものとされている。 

 

これまでの漢字は以下の通り。

2006年 「」(マスコミを利用した大々的な宣伝や投機的な売買)
2007年 「」(物価や株、不動産の値上がり)
2008年 「」(北京五輪の開催)
2009年 「」(させられる、受身的な生活)
2010年 「」(物価や利息、不動産の値上がり) 


合わせて、「今年の単語」と「中国メディア十大新語」も発表された。

「今年の単語」は中国の単語が「傷不起」(「つらいよ!」「大変!」の意味)、世界の単語が「欧債危機」(欧州債務危機)となった。

「2011年度中国メディア十大新語」は以下の通り。

「傷不起」   「つらいよ!」「大変!」
「起雲剤」    食品添加物。台湾品に可塑剤成分DEHP含有が見つかり、大問題になった。
虎媽」   中国式のスパルタ教育ママ(イェール大学 の中国系チュア教授の超スパルタ教育が話題に)
「政務微博」   政府公式マイクロブログ
「北京精神」    北京市発表の愛国・創造・寛容・道徳を主とする北京魂
「走転改」    組織の末端を歩き、習わしを変え、体制を改めると銘うった政府の活動
「微電影」   短期間・低予算制作の短編映画
「加名税」   不動産名義追加税。結婚後に夫婦双方の名義に変更する場合にかかる税金
「淘宝体」   大手ショッピングサイト・淘宝(タオバオ)で、出品者が商品説明文で使う独特の言い回し
「雲電視」   クラウドコンピューティングを利用したテレビ

 

 

 

英科学誌 Nature は12月21日号で「今年の10人:Ten people who mattered this year」を掲載した。
 

そのなかに、東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授が選ばれた。
「フクシマのうるさ方(
Fukushima's gadfly)」のサブタイトルがついている。 

教授は放射線体内被曝の専門家で、7月27日の衆議院厚生労働委員会で意見を述べた。

「どうやって本当に除染をやるか。
7万人の人が自宅を離れて彷徨っているときに国会は一体何をやっているのですか。

 

他の9人は以下の通り。

Dario Autiero: Relativity challenger

ニュートリノ振動を検証する国際共同実験(OPREA実験)のコーディネーター

研究グループは、ニュートリノよりも早い可能性があると発表 した。

Sara Seager: Planet seeker

   太陽系外惑星の研究を行っているマサチューセッツ工科大学の天文学者(女性)

Lisa Jackson: Pollution cop

米国EPA長官(女性)

Essam Sharaf: Science revolutionary

エジプト暫定内閣の元首相、カイロ大工学部教授の経歴

デモ隊と治安部隊の衝突が続くなか、11月21日、 「一連の混乱は遺憾」として、暫定統治に当たる軍最高評議会に対し辞表を提出した。

Diederik Stapel: Fallen star

長期にわたる論文データ捏造が話題となった社会心理学者

データのねつ造は過去10年近くにわたり繰り返し行われていたことが判明した。

Rosie Redfield: Critical enquirer(女性)

NASAの「リンの代わりにヒ素を使う生物発見」の論文をブログで批判したカナダ人微生物学者
 

 
NASAはこの会見を「宇宙生物学上の発見」と予告していたが、このことから「宇宙人発見か」と誤解され、話題になった。

 「この論文の著者は、単に無能な科学者なのか。それとも、『地球外生命を発見した』と大声で叫びたがるNASAの片棒をかついでいるのだろうか」

Danica May Comacho: Child of the times

「70億人目の赤ちゃんたち」のひとり

Mike Lamont: The Higgs mechanic

欧州原子核研究機構(CERN)の技術者

CERN
は12月13日、大型粒子加速器「LHC」を使って、あらゆる物質に質量を与えたと考えられる仮説上の素粒子「ヒッグス粒子」の存在を確認する手がかりを得たと発表した。

John Rogers: Tech exec

「表皮電子装置」を開発した物理学者で起業家

皮膚と同じくらい柔らかく、重さはゼロに近い。皮膚に貼ればワイヤレスでその人の脳や心臓、筋組織の活動を監視でき、喉に貼れば、音声作動式のコンピューターゲームを90%以上の精度で操作できるという。
 

富士フイルムは12月15日、携帯型超音波診断装置の大手企業SonoSite, Inc.をTOBにより友好的に買収することについて合意した。
SonoSiteの発行済普通株式の総数を総額約995百万米ドルで取得する。

SonoSiteは携帯型超音波診断装置のリーディングカンパニーで、ワールドワイドで高いシェアを持つ。

特に、
患者がいる医療現場で、直接医師が治療方針の判断・処置を行うPoint Of Careにおいて、医療現場における医師のニーズを的確にとらえて、他社に先駆けそのニーズにこたえる機能を製品に搭載することにより、超音波診断装置の新たな応用分野を開拓してきた。

また、装置の超小型軽量化に寄与するASIC(特定用途向け集積回路)の設計技術を持つ技術力の高い会社で、高精細な「高周波プローブ」や新たな診断価値を生み出す「光超音波技術」など、次世代の超音波診断装置の開発において優位性のある高い技術も保有している。

超音波診断装置は、体表にプローブを当てて超音波を発生させ、体内で反射した超音波を受信し、画像データとして処理することで、臓器・血管・神経などの様子を可視化することができ、非侵襲で、かつ、大掛かりな設備が不要な画像診断装置。

また、超音波検査は、腹部、頸部、心臓、乳房、血管、神経などさまざまな部位をリアルタイムで診ることができる非常に汎用性の高い検査であり、X線画像診断が不得意とする軟部組織の描写力に優れるので、X線画像診断と極めて高い補完関係にある。

超音波診断装置の市場は、ワールドワイドで5000億円弱/年と、全医療画像診断装置で最大規模となっている。

ーーー

富士フイルムは、メディカル・ライフサイエンス事業を重要な成長分野として位置付け、「予防~診断~治療」の全領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーを目指した事業展開を進めている。

ーーー

上場廃止の声も聞こえているオリンパスは内視鏡事業で高いシェアを有しており、富士フィルムもこの事業を買収する可能性がある企業として名前が挙がっている。 

富士フイルムの古森重隆社長は12月16日の会見で、質問に対し、「オリンパスの件は、まだ、内容が確定されていない。第三者委員会が調査しており、どういう背景があるのか、どういうことだったのか確定していない段階で、我々がとやかく言うことは時期尚早」と述べた。

オリンパスにはソニーやパナソニックも関心を抱いている。
パナソニックはオリンパスとともにデジカメの「マイクロフォーサーズシステム規格」を策定し、関連する要素技術とキーデバイスを共同で開発している。

 

LyondellBasellは12月8日、投資家説明会を開催し、現状と今後の戦略を説明した。

今後の成長戦略のなかで、SinopecとのJVで中国でのPO/TBA計画のFS実施を決めたことや、米国で安価なエタンを使用したエチレンの増強などを明らかにしている。

1)中国 PO/TBA計画

LiondellBasellはSinopecとの間で、浙江省寧波市にワールドスケールのPO/TBAプラントを建設するために共同でFSを実施する契約を締結したことを明らかにした。
新しいJVプラントの最終的なスコープ、建設費、スケジュールを決める。

両社は50/50JVのNingbo ZRCC Lyondell Chemical を持ち、シノペック鎮海煉油化工(ZRCC)の寧波市鎮海地区のエチレン100万トンのコンプレックスの中にSM/POとPGプラントを持っている。

エチレン 1,000千トン
HDPE/LLDPE  450 千トン
PP  300 千トン
MEG  650 千トン
BTX  500 千トン
Butadiene  150 千トン
SM (jv)  600 千トン
PO (jv)  280 千トン
PG (jv)  100 千トン


2007/2/26
 Lyondell とシノペック鎮海煉油化工、寧波で PO/SM 生産

今回は既存のPO/SMに加え、PO/TBAを建設するもの。

Lyondellは世界のPO技術リーダーで、拠点は次の通り。

地区 場所 能力
(千トン)
併産 備考
米国 Bayport, Tex   545 TBA  
Channelview, Tex   530 SM  
欧州 Fos-Sur-Mer, France   220 MTBE  
Botlek, the Netherlands   250 TBA  
Maasvlakte, the Netherlands   318 SM Lyondell/Bayer 50/50
アジア 日本オキシラン(千葉)   181 SM 住化 60%/Lyondell 40%
Ningbo ZRCC Lyondell Chemical   280 SM Lyondell/Sinopec 50/50


ーーー

POの製法は以下の通り。

1)塩素法
従来からの製法で
プロピレ塩素と水を反応させ、生成したクロルヒドリンを水酸化カルシウム或いは水酸化ナトリウムで処理する方法。(併産物:塩化カルシウム or 塩化ナトリウム)

本では現在、旭硝子(鹿島)とトクヤマ(徳山)が生産している。

2)ハルコン法(→LyondellBasell)
イソブタン又はエチルベンゼンを酸素と反応させて得られたハイドロパーオキサイドでプロピレンを酸化する方法で、イソブタンを使った場合はTBA or MTBE、エチルベンゼンを使った場合はスチレンモノマーを併産する

3)住化新法
上記2)の方法でイソブタン或いはエチルベンゼンの代わりにイソプロピルベンゼン(クメン)を用い、生成するクミルアルコールを脱水/水素化してクメンに戻すことにより併産物を生成しない新しいプロセスの構築に成功した。

4)過酸化水素法
過酸化水素を酸化剤とする方法。

2006/3/24 「ダウとBASF、POを新製法で生産」 
 

LyondellBasellでは現状の各製法のシェアを以下の通りとみている。

2) 米国のエチレン、プロピレン 

同社の米国の現状は以下の通り。

エチレン:能力 9,600百万lbs(4,360千トン)で北米1位
      原料はエタンが3/4、ナフサ/コンデンセートが1/4。
プロピレン:1,500百万ポンド(680千トン)
        Methathesisが1,000百万ポンド、リファイナリーグレードが500百万ポンド。
PE:2,640千トン(北米3位)
PP:2,000千トン(北米1位)

計画は以下の通りで、低コストのエタンをフル利用する。
Channelviewではエタンの処理能力を500百万ポンド増強してエチレンコストの低減を図り、合わせて、エチレン増強も検討する。(2012年)
②同じくChannelviewではMethathesis新設でプロピレン500百万ポンドを増産(同量のエチレンを使って)(2014年)
La Porteでは低コストのエタンを使い、850百万ポンドを増設(2014年)
Midwestでデボトルネッキングでエチレン/プロピレンを100百万ポンド増強(2013年)

(単位:百万ポンド:1ボンドは1/2.2kg)
  能力 原料 計画
Channelview, TX  3,850 flexible +α 
原料エタン増強
La Porte, TX 1,740 Gulf Coast NGL +850
Corpus Christi, TX 1,700 Flexible  
Morris, IL 1,250 Midwest NGL エチレン/プロピレン
    +100
Clinton, IA 1,050 Midwest NGL
エチレン合計 9,600    
プロピレン 1,000 Methathesis Channelview +500
500 Refinery grade  

 

3)メタノール再稼働

低コストの天然ガスを活用し、Channelviewの年産780千トンのメタノール設備を再稼働する。

ーーー

LyondellBasellの事業概況については、投資家説明会資料を参照。

  1. Meeting Agenda
  2. Welcome and Introduction - Jim Gallogly, CEO 
  3. Perceptions and Reality
  4. Olefins & Polyolefins - Americas
  5. Olefins & Polyolefins - Europe, Asia & International and Technology 
  6. Intermediates and Derivatives
  7. Refining and Oxyfuels
  8. Financial Review
  9. Wrap Up and Closing - Jim Gallogly, CEO

 

 

三菱化学は12月8日、事業説明会を行い、①経営の課題、②新中期経営計画「APTSIS 15」初年度進捗概況、③APTSIS 目標、④APTSIS 事業トピックスの説明を行った。
(APTISについては http://www.mitsubishichem-hd.co.jp/group/motto.html 参照)

その中で、石油化学については、 2015年の国内エチレン生産は500万トンまで縮小、その後も更なる縮小を懸念しており、対策を前倒しで実施するとしている。

同社の石油化学事業の再編の状況は以下の通り。

水島コンビナート:
     旭化成との一体運営とダウンサイジングによるフレキシビリティの拡大

鹿島コンビナート:
     構造改革と地域連携による競争力強化

エチレン系:EO強化(EOセンター)、PE強化(高機能化)
プロピレン系:PP強化(S&B 下記参照)
アロマ系:ベンゼン一部停止

 電解・塩ビ再編(協議中)
北共同発電設備最適化検討、石油精製との連携模索

事業再編

1)SMチェーン

ポスト産構法時代には三菱油化がSMの手直し増設で鹿島で205千トン、四日市で271千トンの能力をもち、輸出価格の高騰で莫大な利益を上げた。
(2年間で500億円の利益といわれた。これを利用して時価発行増資を行い、エチレンを増設したのが、結果として同社の足を引っ張った。)

1994年に三菱化学はシェルのシンガポールPO/SM計画に参加した。

社名:Seraya Chemicals Singapore
・出資&引取比率:シェル 70
%/三菱化学 30%
・立地:Seraya島
・能力:SM 290千トン 、PO 129千トン

その後、シェルは第二期計画ではBASFと50/50JVのELLBA Easternを設立し 、SM 550千トン、PO 250千トンを建設したが、三菱化学はこれを機会にSeraya Chemicalsの出資とPO引取権をシェルに譲渡、代わりに2期分を含めたSM 38万トンの引取権を確保した。

その後の状況の変化で、SMと誘導品のPSの赤字が増大、最終的にSMチェーン全体を停止した。

 SM 

2006年5月、油化セラヤのシェルからのSM引取権を解消する方針を固めたことを明らかにした。
2008年度に油化セラヤ解散。

2009年5月、スチレンモノマー事業からの撤退を決定したと発表した。
鹿島のSM 371千トンを2011年3月に停止。
(四日市のSM 180千トンはエチレン停止時に停止済)

 PS

三菱化学は1998年10月に旭化成との50/50JVのA&Mスチレンを設立し、両社のPS事業を統合した。
両社と出光石油化学は2002年7月、
A&Mスチレンと出光のPS事業を再編・統合、合弁会社を設立することで合意し、2003年4月、PSジャパンが営業開始した。

三菱化学は2009年10月、PSジャパンから撤退した。

  統合前 処理 統合後 出資比率 新出資
比率 
A&M
スチレン
旭化成・水島   108     108   45.0%  62.07%
旭化成・千葉   207     207
三菱化学・四日市    85      85   27.5%
合計   400     400    
出光石化・市原   130  -85    45   27.5% 37.93%
合計   530  -85   445   100.0% 100.0%

 ABS

三菱化学は1996年7月1日、JSR 60%、三菱化学 40%出資の合弁会社としてテクノポリマーを設立した。
JSRの四日市にABS 20万トン、三菱化学の四日市にABS 9万トン、AS樹脂 約3万トンの能力を持つ。

三菱化学とJSRは2008年11月25日、合弁事業に関する業務提携を解消し、2009年3月31日付けで三菱化学が保有する全株式をJSRが取得し、同社をJSRの全額出資子会社とすることで基本合意したと発表した。

2)塩ビチェーン

三菱化学と東亜合成は塩ビ事業を統合、2000年4月1日にヴイテックが営業開始した。
当初は三菱化学 60%、東亞合成 40%であったが、2005年3月、損益の悪化を受け、三菱 85.1%、東亜 14.9%に変更した。

2008年5月に水島のPVCを停止、輸出を止め、四日市、川崎2工場生産による国内販売に集中した体制に移行。
2010年9月に四日市のペースト塩ビ 20千トンを停止した。

  立地 能力(千トン)
当初 2007/12 2008/5 2010/9
電解 水島 ソーダ
 135
180 180 180
VCM 水島 300 400 400 400
PVC 水島 100 110 0
四日市 110 100 100 80
川崎 180 95 120 120
合計 390 305 220 200

 

三菱化学は2009年5月、ヴイテックが全製造設備を2011年3月末までには停止することを決定したと発表した。

ただし、東亞合成の川崎の設備は、東亞合成がヴイテックから引取り、カネカから年間70~100千トンの製造受託を行う。

ヴイテックは2011年9月末に解散した。

3)ナイロンチェーン

三菱化学は2005年3月末にカプロラクタムの外販事業国内販売・輸出から撤退し1系列50千トンを同年9月末で製造停止したなおシクロヘキサノンについては、カプロラクタム1系列停止後も生産量を維持し、国内及び中国を含むアジアマーケットへ拡販を目指した。

2009年5月、同社はカプロラクタム事業からの撤退を発表した。

工場 製品 能力  
水島 シクロヘキサン
  ↓
110千トン 2010年3月停止
黒崎 シクロヘキサノン
  ↓     
120千トン 2010年3月停止
カプロラクタム 
  ↓
60千トン 2010年3月停止
ナイロン
  
30千トン DSMへの譲渡

 

三菱化学は2010年2月、Royal DSMとの間で事業の交換(ポリカーボネート事業の買収及びナイロン事業の売却)で合意したと発表した。

4)界面活性剤

三菱化学は2008年12月に中期経営計画の見直しを発表した。

石化事業全般として、C3/C4誘導品は戦えるが、C2誘導品は厳しいとの見方を示し、アルファオレフィン(及び高級アルコール)とエトキシレートは2009年に停止するとした。

三菱化学は、2010年末に四日市事業所のグリコールエーテル設備を停止し、事業から撤退した。
これまで原料のEOを鹿島から輸送していたが、安全上の問題などから輸送を停止するため。

5)テレフタル酸

三菱化学は2009年2月、テレフタル酸事業の事業構造改革を発表した。
国内生産から撤退、本社機能を海外に移す。

 

6)PP

三菱化学と東燃化学はポリオレフィン事業を統合し、1996年9月から日本ポリケムとして事業を行った。
2003年10月、日本ポリケムとチッソの合弁会社・日本ポリプロが発足した。

日本ポリプロでは2008年に鹿島にチッソ気相法による300千トンの最新鋭プラントを建設し、同能力の老朽スラリープラントを停止した。

  2008/1   2010/12 2011 2011/12  
三菱化学・鹿島 346 +300 646 -90 556 2008  
 300千トン新設
2011/5 
 90千トン停止
東燃化学・川崎 227 -138 89   89 2009/3
 2系列 138千トン停止
三菱化学・四日市     2002/12
 37千トン停止(エチレン停止で)
三菱化学・水島 100   100   100  
チッソ・千葉 329   329 -79 250 2011/6
 79千トン停止
チッソ・四日市 80   80   80  
合計 1,082 +300
-138
1,244 -169 1,075 (+300-307)

参考 PE

PEについては、鹿島コンビナートの項で、PE強化(高機能化)を挙げているが、能力について老朽・少量設備の廃棄の動きはない。

三菱化学と東燃化学はポリオレフィン(PE+PP)事業を統合し、1996年9月から日本ポリケムが営業開始した。
別途、昭和電工と日本石油化学はPE事業を統合し、1995年10月から日本ポリオレフィンが営業開始している。

20016月、日本ポリケムと日本ポリオレフィンはポリエチレン事業について両社の事業を統合することにつき検討を開始することで合意したと発表した。

しかし公取委は、東燃化学がダウとの合弁会社の日本ユニカーの株主でもあることから難色を示したため、三菱化学が日本ポリケムの東燃持分を(東燃のPEプラント込みで)買取り、2003年9月に日本ポリエチレンが営業開始した。
    2006/10/2 日本のポリオレフィン業界の変遷-3 

現在の能力は以下の通り。(単位:千トン)

    LDPE LLDPE HDPE 合計  

日本ポリケム
三菱・鹿島 62 261 10 333  
三菱・四日市 - - - - LDPE (75)
 2004/9/末で停止
三菱・水島 66 53 94 213  
東燃・川崎     50 50  

日本ポリオレフィン
昭電・大分 123   200 323  
日本石油・川崎 94 50 121 265  
    +2     +2 工場不明
合計   347 364 475 1,186  

 

 

 

帝人は12月9日、GMとの間で今後GMが世界で市場展開する量産車に向けて共同で熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRP)の製品開発を行う契約を締結したと発表した。

東レはドイツのダイムラーと生産JVを設立することで合意しており、三菱レイヨンもドイツのBMWの電気自動車用にプレカーサーを供給している。
今回の帝人の提携で、炭素繊維の世界シェアの約7割を握る3社が欧米の大手自動車メーカーと組むことになる。

炭素繊維は、通常の鉄に比べて10倍の強度と4分の1の軽さを有することから、熱可塑性CFRPが車両の部品に使用されることで、劇的な車両の軽量化が期待できる。

炭素繊維と、3社の炭素繊維事業の状況については、2006/9/9 炭素繊維 参照。

1)帝人

帝人は11月30日、熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料(CFRP)によるコンポジット製品の事業化を加速するため、松山事業所内にパイロットプラントを設置すると発表した。
世界初となる「炭素繊維からコンポジット製品の成形加工までを1分以内で連続一貫生産するパイロットプラント」としている。

設備投資額は20数億円で、速やかに着工し、2012年年央の稼働開始を予定する。

同社は世界に先駆けて、既に熱可塑性CFRPによるコンポジット製品を1分以内で成形する量産技術を確立しており、コンポジット製品の量産成形技術に加え、独自のCFRP接合技術を用いることで、極限まで車体骨格を軽量化したオール熱可塑性CFRPのコンセプトカーを製作している。

自動車業界での理想的なタクトタイム(工程作業時間)は1分前後と言われている。

同社は本年3月に、複合材料開発センターと、100%子会社で炭素繊維・複合材料事業の中核会社の東邦テナックスとの連携により、熱可塑性CFRPを1分以内で成形する画期的な量産技術を世界に先駆けて確立した。

従来は5~10分程度かかっており、生産性の面から量産車向けの部品として使用するには課題があった。

今回のGMとの共同開発契約締結に伴い、帝人はこのコンポジット製品を量産する技術を活用することにより、今後GMが世界で市場展開する乗用車、トラック、クロスオーバーなどの量産車に向けて共同で熱可塑性CFRPの製品開発を行う。

帝人は共同開発の場として、複合材料の用途開発機能とマーケティング機能を集約した「Teijin Composites Application Center」を来年早々に米国北東部に設置、GMの研究員を受け入れる。

共同開発により、GMは、主力車種に熱可塑性CFRPによるコンポジット製品を導入するポテンシャルを持つことになる。
一方、帝人は、一部の高級車などに限られてきたCFRPの用途を量産車へと拡大する。

帝人はGMを選んだ理由として、高級車ではなく、量産車に炭素繊維を搭載するという目標が一致したためとしている。
2020年頃には年100万台の自動車に搭載し、1500億~2000億円の売上高を目指す。

なおGMとLGは8月25日、LGによるバッテリー供給での協力関係を拡大し、電気自動車を共同で開発すると発表している。
  
2011/8/29 韓国LG、GMと電気自動車の共同開発へ 

帝人の炭素繊維・複合材料事業については http://www.teijin.co.jp/about/fields/carbon/index.html

ーーー

東レ

東レは2008年に名古屋事業場にオートモーティブセンター(AMC)を開所し、炭素繊維、熱可塑性樹脂、製造プロセス、評価・分析技術等を融合した、自動車向けの最適材料の開発を続けている。

東レは9月9日、次世代型の電気自動車(EV)「TEEWAVE AR1」を試作したと発表した。
車体基本構造には熱硬化炭素繊維複合材料(CFRP)製のRTM一体成型モノコックとCFRP製衝撃吸収体を採用、車体重量は846kgと、鋼板主体の従来型のEVに比べて4割以上軽量化し、同時に高い車体剛性と衝突安全性を実現した。

2011/9/14 東レ、次世代型電気自動車を試作

同社は2011年1月、ダイムラーAGとの間で、東レが開発した炭素繊維複合材料 (CFRP)の革新的成形技術である「ハイサイクルRTM成形技術」を活用してCFRP製自動車部品を製造・販売する合弁会社(東レ 50.1%、ダイムラー 44.9%、その他 5.0%)を設立する契約を締結した。

また同社は2011年6月、オランダのTenCate Advanced Compositesとの間で、航空機用途向け熱可塑性樹脂複合材料用の炭素繊維の長期供給基本契約を締結したが、合わせて、自動車に使用される熱可塑性複合材料における市場開拓および製品の共同開発を検討していくことにも合意した。

東レの炭素繊維複合材料事業については http://www.toray.co.jp/ir/pdf/lib/lib_a144.pdf

ーーー

三菱レイヨン

三菱レイヨンはドイツの炭素繊維メーカーのSGL TechnologiesとJVを設立し、BMW向けの炭素繊維のプレカーサー(ポリアクリルニトリル繊維)の供給を行っている。

The Carbon Companyとの愛称を持つSGL TechnologiesとBMWは2010年1月、炭素繊維複合材料の展開のため合弁会社SGL Automotive Carbon Fibersを設立した
BMWが2015年までに発売を予定している電気自動車 "Megacity Vehicle"の基幹部品用炭素繊維を製造する。

三菱レイヨンは2010年4月、SGL Automotive Carbon Fibersに炭素繊維のプレカーサーを供給するため、SGL Technologiesとの間で合弁会社MRC-SGLプレカーサー」を設立した。

出資比率は三菱レイヨンが66.66%、SGLが33.34%で、製造拠点は 三菱レイヨンの大竹事業所内とする。
2011年4月に量産を開始した。商業生産開始はで、生産能力は、当初3年間に7千トン/年規模まで高める。

モノの流れは以下の通り。

MRC-SGLプレカーサー 大竹 プレカーサー
SGL Automotive Carbon Fibers  米ワシントン州 焼成→ラージトウ炭素繊維
  同上(中間材工場) 独 バイエルン州 →各種織物
BMW部品工場   成形加工→炭素繊維複合材料
BMW   次世代環境対応車"Megacity Vehicle"


三菱レイヨンの炭素繊維・複合材料については http://www.mrc.co.jp/pyrofil/   

 

丸紅は11月29日、カナダ・ケベック州投資促進公社との間で、 Aluminerie Alouette製錬所の6.66%権益を約1.8億米ドルで追加取得することで合意したと発表した。
これにより丸紅の権益比率は現在の6.67%(アルミ権益数量:38千トン)から13.33%(同:76千トン)に増加する。

Alouette 製錬所はケベック州の水力発電電力を利用して高エネルギー効率・低環境負荷の操業を行う、年産能力575千トンを誇る米州最大のアルミ製錬所で、1992年に操業を開始した。

株主は以下の通り。

丸紅   13.33%(6.67%)
ケベック州投資促進公社     6.67%(13.33%)
Rio Tinto Alcan   40%
Norsk Hydro   20%
Austria Metall   20%

Alouette 製錬所は現在の年産能力575千トンを930千トンに増強する計画を推進しており、事業化調査を 2012年に開始する予定。
必要な追加設備投資は約20億カナダドルの見込みで、ケベック州電力公社との間で追加電力供給に関する基本合意書を締結している。
 

丸紅はAlouetteのほか、ベネズエラのVenalum、豪州のBoyne 及び Portlandのアルミ精錬計画などに参加しており、今回の追加権益取得により、丸紅が全世界で保有するアルミ権益数量は年産約16万トンから約20万トンまで増加する。 

2016年には権益は277千トンとなり、日本の商社では三菱商事を抜いて首位になる見通しという。(日本経済新聞)

丸紅のアルミ権益 ソースMETI 非鉄金属産業戦略(2006/6)
精錬会社
(主導会社)
国名 生産能力 引取比率 地金引取量
Alouette カナダ 550,000 6.67% 36,700
Boyne Ⅱ
(
Comalco)
豪州 250,000 8.00% 20,000
Portland
(Alcoa)
豪州 345,000 22.50% 77,600
Asahan
(日本アサハン)
インドネシア 235,000 3.00% 7,100
Albras
(Vale)
ブラジル 430,000 1.80% 7,700
合計       149,100

 ーーー

なお、住友商事は2010年9月にマレーシアのアルミニウム製錬事業に参画した。

2010/10/6 住友商事、マレーシアでアルミニウム製錬事業へ参画

 

 

米国とカナダを除く米州33カ国の首脳らが12月2日、「中南米カリブ海諸国共同体Community of Latin American and Caribbean Nations:CELAC」設立のためベネズエラの首都カラカスで会合を開いた。

米国の影響力が強大で、「中南米支配」の象徴とみられている米州機構(Organization of American States:OAS)に対抗した組織で、米国とカナダを排除し、この地域の諸国の自決権を促し、経済、政治、社会の結束を図る。

反米左派のベネズエラのチャベス大統領は演説で「植民地化され、500年以上、搾取され耐えてきた。我々で団結し、貧困や格差を無くし、平和と民主主義を守るために協力しあおう」などと語った。
キューバのカストロ国家評議会議長は「うまくいけばラテンアメリカ諸国の独立後200年で、最も大切で歴史的な出来事だ」と語った。

一方、米国との関係悪化を望まない穏健路線の首脳たちは「米国抜き」を強調することを避けている。メキシコのカルデロン大統領は、「調和と繁栄を目指そう」と述べるにとどまった。

2008年12月にブラジルに33カ国の代表が集まり、米国の支配から自立した平和の地域統合をめざす「サルバドル宣言」が採択された。

2010年2月に首脳会議を準備する外相会議がメキシコ南東部で開催された。
会議では、メキシコの外相が米国・カナダを除く自主的地域新機構の創設は歴史をつくるものだと挨拶した。

2011年7月にベネズエラで第三回会合を開催。チャベス大統領は「独立200年に当たるこの年には機構発足の合意にこぎつけたい」とコメントした。 

首脳会議は3日、「カラカス宣言」を採択し、CELACが正式に発足した。

ブラジルのルセフ大統領は、「我々が最も懸念すべきことは、経済、金融危機だ」と指摘し、「ラテンアメリカ諸国が経済成長を続けるためには、近隣諸国とより密接な関係を結ぶことが重要だ」と強調した。

カラカス宣言は、独立200年を迎えるラテンアメリカの国々が、政治、経済、社会、文化の統合を目指し、経済格差を減らすため South-South economic cooperation を進めるという目標を打ち出した。地域間の経済協力を深めることや、バイオ燃料など環境面で協力するなどの具体的な計画も示した。

22のコミュニケの中には、
・キューバに対する米国の経済・商業・金融封鎖の中止の必要性
・アルゼンチンのフォークランド諸島への権利の承認
に関するものがある。

ーーー 

この地域には現在、以下の組織がある。

1)南米南部共同市場 (Mercosur)

   加盟国
    (1)正式加盟国:アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラ
    (2)準加盟国:ボリビア,チリ,コロンビア,エクアドル,ペルー

   目的
    (1) 域内の関税及び非関税障壁の撤廃等による財、サービス、生産要素の自由な流通
    (2) 対外共通関税の創設、共通貿易政策の採択及び地域的、国際的経済・貿易面での立場の協調
    (3) マクロ経済政策の協調及び対外貿易、農業、工業、財政・金融、外国為替・資本、サービス、税関、
        交通・通信などのセクター別経済政策の協調
   (4)
統合過程強化のための関連分野における法制度の調和

2)ラテンアメリカ統合連合(Latin American Integration Association:ALADI)
  GATTに正式に承認された地域経済統合体
 
  加盟国(13カ国)
   アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、キューバ、エクアドル、メキシコ、ニカラグア、パラグアイ、
   ペルー、ウルグアイ、ベネズエラ 
   (パナマが加盟手続き中) 

  目的
   1)域内特恵関税の設定、
   2)全域協定(全加盟国が参加する協定)、
   3)域内部分協定(域内の一部の国のみが参加する協定)、
   の3点を通じた経済的特恵地域の設置により、漸進的かつ段階的にラテンアメリカ共同市場を達成

3)ラテンアメリカ経済機構(Latin American Economic System:SELA)

  加盟国 27か国

  目的
   共通の経済問題を協議し、全世界的な視野で経済戦略を検討し、資源開発を効果的に行う

4)中米統合機構(Sistema de la Integracion Centroamericana:SICA) 

  加盟国:グアテマラ、エルサルバドル、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス、パナマ、ベリ-ズ
  準加盟国:ドミニカ共和国
  域内オブザーバー:メキシコ、チリ、ブラジル、アルゼンチン、ペルー
  域外オブザーバー:台湾、スペイン、ドイツ、イタリア、日本、オーストラリア、韓国

  目的
   地域の経済社会統合を図り,和平・自由・民主主義・開発を達成

5)カリブ共同体(Carribbean Community:CARICOM)

  加盟国:15か国
  準加盟国:5か国

    目的
    1) 加盟国間の経済及び貿易関係の調整と法制度の強化、持続的発展と経済的統合の継続及びそれらの利益の公平な分配、加盟国の経済的自立等を目的とした共同市場制度の設立により、加盟国の経済統合を目指す。
    2) 加盟国間の外交政策の調整
    3) 国民の利益となる共通のサービスや事業の効果的実施や、国民間の理解と、社会的・文化的・技術的発展の促進等を含む機能的な協力


6) 
米州機構(Organization of American States:OAS

  加盟国 35か国(日本を含む59カ国とEUが常任オブザーバー
      うち、キューバは1962年除名、2009年に
除名決議無効を決定
          但し、キューバは復帰を拒否
      ホンジュラスは2009年に軍事クーデターで構成国資格停止

   目的
  南北アメリカの国々の平和と安全保障・紛争の平和解決や加盟諸国の相互躍進

7) 北米自由貿易協定(NAFTA)

  米国、カナダ、メキシコ3国間の自由貿易協定

 

各組織の参加国は以下の通り。

    CELAC Mercosur ALADI SELA SICA CARICOM OAS NAFTA
北米 Canada            
USA            
中米 Belize      
Costa Rica        
El Salvador        
Guatemala        
Honduras       ○*  
Mexico    
Nicaragua      
Panama      
カリブ Anguilla              
Antigua and Barbuda          
Bahamas          
Barbados        
Bermuda              
British Virgin Islands              
Cayman Islands              
Cuba        
Dominica          
Dominican Republic        
Grenada        
Haiti        
Jamaica        
Montserrat              
Saint Lucia          
Saint Kitts and Nevis          
Saint Vincent and the Grenadines          
Trinidad & Tobago        
Turks and Caicos Islands              
南米 Argentina    
Bolivia △→○      
Brazil    
Colombia      
Chile    
Ecuador      
Guyana        
Paraguay      
Peru    
Suriname        
Uruguay      
Venezuela        
 
合計 加盟国 33 5→6 13+1 27 7 15 35 3
準加盟国   △ 5→4     △ 1 # 5    
オブザーバー         * 5      

 


 

 

第一三共は12月1日、連結子会社のインドのRanbaxy Laboratoriesが高コレステロール血症治療剤アトルバスタチン(Atorvastatin )を米国にて発売したと発表した。

11月30日にPfizerのアトルバスタチン(商品名Lipitor)の特許が切れた。Ranbaxyは同日付で、略式新薬承認申請に対する販売承認を米国食品医薬品局(FDA)より取得した。また、同社は発売から180日間の独占販売期間を得た。

Ranbaxyは、今回の米国での発売に際し、Teva Pharmaceutical USAとのコラボレーションに関して合意、Tevaに対して、発売から180日間の独占販売期間の売上高に応じた一定の支払いを行なう。

Ranbaxyは2003年以降、長期間にわたり、Pfizerとの間でLipitor の特許について争っていた。

2008年6月、両社はこれに関して和解を行った。
これは両社間だけのもので、Pfizerと他社との間の特許抗争には無関係としている。

対象となる特許は以下の通り。
 基本物質特許 (米国で2010年に失効)
 光学異性体特許(同 2011年)
 プロセス、結晶型特許(同 2016、2017年)
 多剤混合薬特許(同 2018年)

和解により、Ranbaxyは2011年11月30日にLipitorの後発薬を発売する。
RanbaxyはLipitor特許にチャレンジした最初の後発薬メーカーであるため、発売に当たり180日の独占期間の権利を得ることとなる。

Ranbaxyはまた、時期は異なるが、これをカナダ、ベルギー、オランダ、ドイツ、スウェーデン、イタリア、豪州で販売する権利を得る。両社の間の各国での特許紛争は終結する。

ーーー

アトルバスタチン(商品名Lipitor)は高コレステロール血症治療剤で、Pfizerより創製され、日本ではライセンス契約によって2000年5月からアステラス製薬(契約当時は山之内製薬)が製造・販売している。

セジデム・ストラテジックデータ㈱の調査では2010年の世界の大型医薬品売上高のNo.1で、売上高は12,023百万ドルとなっている。米国では9月までの9か月で7,890百万ドルを売っている。

アトルバスタチンは2008年に米ラスカー賞を得た遠藤章・東京農工大名誉教授が発見したスタチンの一種で、スタチンはHMG-CoA還元酵素の働きを阻害することによって、血液中のコレステロール値を低下させる。

遠藤氏は三共(現第一三共)の研究者だった1973年、コメの青カビがつくるスタチンを発見。これが血液中のコレステロール値を下げることを動物実験で確認した。

2008/9/16 米ラスカー賞に遠藤章・東京農工大名誉教授

略式新薬承認申請(ANDA=abbreviated new drug application)は米国でのジェネリック医薬品の承認手続きで、その参照とする先発医薬品との化学構造および生物学的同等性を示すデータなどの提出だけで製造・供給を承認する。

ANDAを申請する場合、後発版の製造・使用・販売により先発医薬品の特許が侵害されないとの証明書(下記の4つのケース)をFDAに提出すれば、特許権者である先発企業に通知され、証明書を提出した最初の後発企業に180日のジェネリック薬先発(独占)期間が与えられる。(先行者利益を与えることにより、訴訟費用を負う誘因を与えるのが趣旨)

1. 新薬に関する特許情報がFDAに提出されていない(パラグラフI)、
2. 新薬の特許はすでに有効期限が切れている(パラグラフII)、
3. 今後特定の日付に新薬の特許の有効期限が切れる(パラグラフIII)、
4.  新薬の特許が、無効、法的強制力がない、
  または後発薬の製造、使用、もしくは販売によって侵害されることはない(パラグラフIV)

Ranbaxyは長期間にわたり、Pfizerとの間でLipitor の特許について争い、2008年6月に和解を行ったため、Lipitor特許にチャレンジした最初の後発薬メーカーとして180日の独占期間を獲得した。

今回、RanbaxyはTeva Pharmaceutical とのコラボレーションを行うが、その背景は以下の通り。

米国食品医薬品局(FDA)は2008年9月16日、Ranbaxyの医薬品30種以上の輸入を一時停止した。
これを解除するには数百億円の罰金を払う必要があるとの見方がある。

医薬品の安全性に問題はないが、Ranbaxyのインドのデワスとパオンタ・サヒブにある2つの工場で、製造器具の洗浄状況、生産管理、品質管理などに関する記録の保存に関して問題が改善されていないためとしている。
また、FDAが問題の2工場を査察した際、抗生物質の取り扱い方法にも問題が発見されたという。

2009/1/8 第一三共、ランバクシーの評価損計上

Ranbaxyは当初、後発品の原体をインドでの生産を検討していたが、現状では米国への輸入が認められていないため、Teva Pharmaceuticalに原体の生産を委託する。製剤は米国子会社のOhm Laboratories, Inc. で行う。

これにより、RanbaxyはPfizerの特許切れの翌日から直ちに販売することが可能となった。
Teva はこの代償として、
Ranbaxyの利益の一部を受け取る。

また、RanbaxyはTevaの米国の強力な流通チャネルを利用して拡販するメリットもある。

Tevaは12月1日、FDAからアトルバスタチンの略式新薬承認を得たと発表した。2012年5月にRanbaxyの180日の独占権が終了した時点で販売する。

ーーー

Pfizerはこの動きに対応し、対応策を取っている。

11月初めには、今後出てくる後発品に対応するため、値下げを行った。
Pfizerは、RanbaxyのFDAとのトラブルを材料にして、値下げの代わりに医療保険会社に対して後発品を使用させないようにしようとした。
(しかし最大の医療保険会社のWellPointは後発薬の使用をサポートすることを発表し、Pfizerの試みは失敗した。また3人の上院議員がPfizerのこの動きを問題視している。)

また、PfizerはWatson PharmaceuticalsにPfizer製の低コスト版の「公式後発薬」を供給した。これはPfizer製のため、FDAの承認は必要としない。
Wal-Mart はWatsonの後発薬を扱うと発表した。

この結果、Ranbaxyの後発薬の販売価格は当初想定より40%は低くなると見られており、米国での製造コストがインドで製造するより高いこともあり、Tevaへの支払いも含め、同社の利益は当初想定よりかなり少なくなる。

Tevaが承認を得たのに続いて、MylanやインドのDr. Reddy's Laboratories などもRanbaxyの6か月独占が過ぎた後の販売を狙い、FDAの承認を求めている。

 

 

Saudi Aramcoはバングラデシュに25億ドル程度を投資し製油所を建設することを計画、バングラ政府の経済関係局(Economic Relations Division)に提案した。
経済関係局はエネルギー省にAramcoの意向を伝えており、エネルギー省ではこれを検討中で、間もなく結果をAramcoに伝えるとしている。

バングラ国営Bangladesh Petroleum Corporationの子会社のEastern Refinery Ltd の能力は年140万トンだが、Aramcoの計画はこれをはるかに超える年産700~800万トンとされる。
Aramcoでは一部をバングラ国内で販売、残りを海外に輸出する考え。

Bangladesh Petroleum は原油を中東に頼っており、現在の輸入元はAramcoとUAEのADNOCが主で、2011年に原油を125万トン輸入したが、2012年にはこれが140万トンに増える。

他方、石油製品については、Bangladesh Petroleum は本年度(2011/7-2012/6)に前年度比で27%増の650万トン程度の輸入が必要となる。

バングラ政府が電力ソースとして天然ガス依存を減らすため石油燃焼発電所を建設しており、石油の輸入は増大している。
産業、輸送部門での石油需要も増大している。

本年度の石油製品輸入のために約62億ドルが必要で、値上がりもあって前年度比で53%も増大しており、Bangladesh Petroleum では資金不足に陥り、Islamic Development Bank Groupに融資を求めている。

このような状況下で、Aramcoの製油所計画はバングラにとって好ましいものとなっている。

Aramcoの計画にBangladesh Petroleumが一部参加する可能性もある。

 


 

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

最近のコメント

月別 アーカイブ