「no」と一致するもの

カナダのAthabasca Oil Sands Corp. 831日、PetroChina との間で、PetroChina Athabasca MacKay River 及び Dover オイルサンド計画の60%の権益を取得する契約を締結したと発表した。対価は19億カナダドル。

両地域はAlberta州北東部のAthabasca 地域にあり、それぞれビチューメン埋蔵量50億バレルと想定されている。

流動性のない高粘度のタール状原油を含む砂岩層を、オイルサンドという。
採取された原油は、粘性に応じてビチューメン、あるいは超重質油と呼ばれる。
(世界石油会議の定義では、
API 比重が 10 度以下で、粘性が10,000 Cp 以上のものを天然ビチューメンと呼んでいる)

2009年末にもMacKay Riverで最初の日量35千バレルの商業計画の申請を行う。

Athabasca Oil Sandsでは「オイルサンド事業は資本集約の長期投資で、通常のファイナンスは難しく、このためJV方式を選んだ」としている。世界最大のエネルギー会社の一つであるPetroChina をパートナーに選ぶことで、タイムリーに開発が進むと期待している。

更に、PetroChinaの中国北東部の石油施設でPetroChinaが重質油開発技術(SAGDや火攻法など)をもっていることも、同社を選んだ理由の一つとしている。

SAGDsteam assisted gravity drainage スチーム補助重力排油法

オイルサンド油層内に上下平行な水平坑井 2坑(水平区間は 500 ~1,000m 、上下の水平井の距離は 5m 程度)を掘削し、上位の井戸で水蒸気を圧入する。
圧入された水蒸気は井戸周辺に広がり熱伝導によって周囲のビチューメンが加熱され流動化する。
流動化したビチューメンは水より高比重のため重力により下方へ移動し、下位の井戸内へ排出され回収される。

他にCyclic Steam Stimulation(CSS)法がある。

  詳細は 2008/2/4 Dow Canada、オイルサンドからのエタン、エチレン購入契約

火攻法(Fire-flood

油層に熱エネルギーを与えることにより、原油の粘度を下げて採収率を増加させる方法で、油層内において原油の一部を燃焼させることにより熱エネルギーを発生させる方法。

他に、地上で発生させた熱エネルギーを水蒸気の形で油層に圧入する水蒸気圧入法(
steam injection)がある。

ーーー

中国勢は既にカナダのオイルサンド事業に参加している。

中国海洋石油は2005年4月に、カナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を1億5千万カナダドルで買収した。

SINOPECは同年6月、カナダのアルバータ州ノーザンライツにおけるオイルサンド事業の権益の40%を1億5千万カナダドル(約130億円)で買収した。


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既報の通り、経済産業省は825日、エチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品等の石油化学製品についての、西暦2013年までの世界の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめ、発表した。

既報 2009/8/26 世界の石油化学製品の今後の需給動向
    2009/9/1   <p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>世界のエチレン系誘導品の需給予想

既報で資料が未発表としたのは誤りで、下記が発表されている。

経産省発表

世界の石油化学製品の今後の需給動向

(別紙)世界の石油化学製品の今後の需給動向

2008年の需要が世界的景気減速の影響により激減したが、その後は世界全体で経済の回復が達成されることを前提に昨年度版より需要の伸び率が縮小するものの、緩やかに回復していくと見ている。

昨年度版では、2006~2012年のエチレン系誘導品の世界全体の需要量の伸び率を年平均約4.8%と推計していたが、今回は同期間で年平均約1.7%と伸び率が減少する見込み。プロピレン系誘導品の需要量の見通しにも同様。


エチレン系製品の需要の伸びは地域別に傾向が異なり、アジア地域が年平均+3.9%程度。中国の需要増が大きく、中国1ヶ国のみで、2007年から2013年までの間に780万トンの需要増。
一方、北中南米は年平均+1.3%、西欧は年平均 -1.1%で推移する見通し。

なお、2009年から2013年のアジア全体の伸びは、年平均で5.7%でエチレン換算で1,037万トンの増となっている。

世界のエチレン系誘導品の生産能力(エチレン換算)は、2007年末時点で130.7百万トンだが、現時点において2013年までに稼働する可能性の高い生産能力新増設計画に基づくと、2013年末の生産能力は159.6百万トンと2007年比で29百万トンの増とみている。

2013年の需要量は127.6百万トンの予想で、32百万トンもの過剰能力となっている。(実際には上記に加え、多くの新設があると思われる。)
2013年の需要水準では現在の能力でも十分という状況である。
 

ーーー

中国の需給予想は以下の通り。

中国については2008年も需要減はなく、2007年以降平均6.5%で伸びるとしている。

中国政府は早くも昨年11月に、2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施するとの緊急経済対策を発表した。
(地方政府の経済対策を入れると150兆円になるとの説もある)

さらに、中国国務院は本年に入り、国内の10産業について景気刺激策を順次発表した。

中国政府は2007年末に農村市場の消費刺激策として「家電下郷」(農村部に家電を)制度を策定し、2008年1月に導入したが、今回これを全国に適用し、対象製品を増やした。

また本年に入り、「汽車下郷」(農村部に自動車を)制度をスタートさせた。

中国の耐久財の生産は好調を続けているが、耐久財の需要増はこれらによるところが大きい。

他方、これまで中国経済の牽引車であった輸出は上期が前年比で21.8%減、7月も23.0%の減となっている。

中国の農村部と都市部の収入格差が実質 4-6倍前後になり、2000年当時(収入差は2.79倍)より経済の格差は大幅に拡大している。

2009/6/29 中国の現状

緊急対策資金が切れた後、需要がこの予想のとおりとなるのかどうかが大問題である。

ーーー

各国(地域)の需給は以下の通り。

ーーー

主要製品の需給予想は以下の通り。

ーーー

参考

昨年の記事  2008/5/29  世界の石油化学製品の今後の需給動向 


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Nomura Holdings Inc.はこのたび、BASF株式の格付けを“neutral”から“reduce”に引き下げた。同社の利益が来年減少すると予想した。

同社の格付けは次の3段階
 Buy
 Neutral
 Reduce

工場の操業度が低いままで、利益水準が落ちると予想、2010年は「失望」とした。

ーーー

同社の上半期の業績は前年同期を大幅に下回っている。部門別でも農業部門以外はいずれも前年よりも悪い。

ただし、Performance Products とOil & Gas を除き、第2四半期実績は第1四半期を上回っている。

                                                単位:百万ユーロ
       2Q      1Q         上期
2009 2008 差異 2009 2008 差異   2009 2008 差異 同 %
Sales 12,502 16,305 -3,803 12,219 15,921 -3,702   24,721 32,226 -7,505 -23.3
EBIT(特損除く)   1,140   2,408  -1,268    985   2,354   -1,369     2,125   4,762  -2,637   -55.4
EBIT 772 2,359 -1,587 928 2,303 -1,375   1,700 4,662 -2,962 -63.5
Net income 343 1,297 -954 375 1,170 -795   718 2,467 -1,749 -70.9
 
EBIT(特損除く)内訳
       2Q      1Q         上期
2009 2008 差異 2009 2008/ 差異   2009 2008 差異 同 %
Chemicals   258   377   -119   84   532   -448     342   909   -567   -62.4
Plastics 138 285 -147 -29 352 -381   109 637 -528 -82.9
Performance Products 80 221 -141 123 209 -86   203 430 -227 -52.8
Functional Solutions 48 111 -63 -46 140 -186   2 251 -249 -99.2
Agricultural Solutions 367 363 4 344 259 85   711 622 89 14.3
Oil & Gas 506 1,026 -520 725 984 -259   1,231 2,010 -779 -38.8
Others -257 25 -282 -216 -122 -94   -473 -97 -376   -
Total 1,140 2,408 -1,268 985 2,354 -1,369   2,125 4,762 -2,637 -55.4

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Huntsman831日、世界第三位の酸化チタンメーカーで再生法(Chapter 11)適用中のTronox Incorporated の主要資産の買収の"stalking horse" 契約を締結したと発表した。

Chapter 11は通常は企業再生のためのものだが、優良事業だけを原則として売却し、数年かけて清算する手段としても使用される。

Stalking horse (直訳すれば「当て馬」)方式では、非公式に資産の買い手候補を探し、最もよい条件を提示した買い手候補(Stalking horse)を選択し、それよりも良い条件の買い手が出れば入札で買い手を決め、なければその買い手候補が当初の条件で購入する。

Huntsmanよりもよい条件の買い手が現れなければ、Huntsmanが買収できる。

買収対象はTronox の次の事業

・オランダと米国(Savannah, Georgia を除く)の酸化チタン製造設備

・南アの
Exxaro Resources との豪州での酸化チタンの50/50JVの持分

・米国の電解製品製造設備(2工場)
 (電解二酸化マンガン、塩素酸ソーダ、三塩化ホウ素、エレメンタルホウ素、酸化リチウムマンガン)

Tronoxは他にオランダに酸化チタン製造設備を持っている。

豪州JVの相手のExxaro Resources Huntsmanによる肩代わりに条件を付けるとしている。

買収金額は運転資金込みで415百万ドルとなる。Huntsmanはこのうちの半分を借入金で賄う。

同社はPigments 部門で酸化チタンを扱っており、CEOは「これら資産を既存のPigments 部門に加えることにより、効率を高めることが出来る」とし、収益性と資金繰りの改善に役立つとしている。

同社の事業 2007/2/20 ハンツマン、米国の汎用品事業を売却

Huntsman はHexionと合併契約を締結したが、Hexionが解約しようとしたため、裁判になり、最終的にHuntsmanが10億ドルの解約金を受け取り、合併契約を破棄した。更に銀行からも1,732百万ドルの和解金を受け取っている。

2009/6/24 Huntsman、銀行と和解

ーーー

Tronox は本年112日にChapter 11 を申請した。

同社は2006年に米国の独立系石油企業であるKerr-McGee からスピンオフした。

その直後にKerr-McGee は Western Gas Resoucesとともに、独立系石油企業のAnadarkoに買収された。

Chapter 11 申請は主にKerr-McGeeから引き継いだ負債(legacy liabilities)によるもので、環境汚染の復旧費用と訴訟費用が中心である。

銀行から125百万ドルのDIPファイナンス(一時的な運転資金)を受けている。

 


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「REACH規則」には「高懸念物質(SVHCSubstances of Very High Concern )の通知義務」の項目がある。

製品中に「高懸念物質」が重量比で0.1%以上含まれている場合、企業は直ちにその旨を公表する義務があり、消費者からの情報の要求があれば45日以内に答えなければならない。

高懸念物質(SVHC)の対象は以下のとおりとされており、行政庁において具体的な物質リストが作成される予定となっている。
 ①一定程度以上の発ガン性・変異原性・生殖毒性物質(CMR物質)
 ②残留性、蓄積性、毒性を有する物質(PBT物質)
 ③残留性及び蓄積性が極めて高い物質(vPvB物質)
 ④上記以外の化学物質で、内分泌かく乱特性を有しており人の健康や環境に深刻な影響がありそうなもの(個別に特定)

SVHCリストに掲載される化学物質は約1,500種と言われているが、一度に全てのSVHCが公開されるわけではなく、順次発表される。

欧州化学品庁 (ECHA) 91日、15の新しい高懸念物質(SVHC)候補を発表した。45日以内のコメントを求めている。

品目 理由
Anthracene oil Persistent, bioaccumulative and toxic
Anthracene oil, anthracene paste,
Light fractions from distillation
Persistent, bioaccumulative and toxic
Anthracene oil, anthracene paste,
anthracene fraction
Persistent, bioaccumulative and toxic
Anthracene oil, anthracene-low Persistent, bioaccumulative and toxic
Anthracene oil, anthracene paste Persistent, bioaccumulative and toxic
Coal tar pitch, high temperature bioaccumulative and toxic;
carcinogen, category 2
Acrylamide (アクリルアマイド) Carcinogen, category 2;
mutagen, category 2
Aluminiosilicate, Refractory Ceramic Fibres Carcinogen, category 2
Zirconia Aluminosilicate,
Refractory Ceramic Fibres
Carcinogen, category 2
2,4-Dinitrotoluene (2,4-DNT) Carcinogen, category 2
Diisobutyl phthalate Toxic for reproduction, category 2
Lead chromate Carcinogen, category 2;
toxic for reproduction, category 1
Lead chromate molybdate sulphate red
(Pigment Red 104)
Carcinogen, category 2;
toxic for reproduction, category 1
Lead sulfochromate yellow
(Pigment Yellow 34)
Carcinogen, category 2;
toxic for reproduction, category 1
Tris(2-chloroethyl)phosphate Toxic for reproduction, category 2

ーーー

ECHAは2008年11月4日に、第一回目のSVHC候補 15品目(下記)を発表した。

ECHAは本年5月26日にそのうちの7物質(下記のうちの色がけ分)を認可対象物質リスト(Authorisation List)に入れることに同意している。

2009/6/16 REACH 認可対象物質 

品目 理由
Anthracene Persistent, bioaccumulative and toxic
4,4'- Diaminodiphenylmethane (MDA) Carcinogen, cat. 2
Dibutyl phthalate (DBP) Toxic for reproduction, cat. 2
Cobalt dichloride (二塩化コバルト) Carcinogen, cat. 2
Diarsenic pentaoxide (五酸化ニ砒素) Carcinogen, cat.1
Diarsenic trioxide(三酸化ニ砒素) Carcinogen,
cat.1
Sodium dichromate Carcinogen, cat. 2;
Mutagen, cat. 2 Toxic for reproduction, cat. 2
5-tert-butyl-2,4,6-trinitro-m-xylene (musk xylene) Very persistent and very bioaccumulative
Bis (2-ethyl(hexyl)phthalate) (DEHP) Toxic for reproduction, cat.2
Hexabromocyclododecane (HBCDD) and
all major diastereoisomers identified
(
α-HBCDD, β-HBCDD, γ-HBCDD)
Persistent, bioaccumulative and toxic
Alkanes, C10-13, chloro (Short Chain Chlorinated Paraffins)
(短鎖塩素化パラフィン)
Persistent, bioaccumulative and toxic
Very persistent and very bioaccumulative
Bis(tributyltin)oxide (TBTO) Persistent, bioaccumulative and toxic
Lead hydrogen arsenate (ヒ酸鉛) Carcinogen, cat. 1
Toxic for reproduction cat. 1
Benzyl butyl phthalate (BBP) Toxic for reproduction, cat. 2
Triethyl arsenate Carcinogen, cat. 1

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シノペックの親会社である中国石油化工集団は818日、スイスに本拠を置き、ロンドンとカナダで上場している石油開発大手のAddax Petroleum の買収を完了したと発表した。金額は約75.6億米ドルで、中国企業による外国企業買収としては2009年で最大規模になった。

6月24日にAddax Sinopecの買収提案を受け入れると発表、8月10日にシノペックが中国政府から承認を得た

2009/6/26  Sinopec、Addax Petroleum を買収

Addax はナイジェリア、ガポンなどとイラクのクルド自治区で権益を有している。

イラクのクルド自治区ではTaq Taq 油田についてトルコのGenel Enerji が組んで2005年7月に自治区政府と生産物分与契約を結んだ。2006年11月に生産を開始した。

イラク政府はこの契約を承認していないが、本年6月、例外的措置としてイラク政府はこの油田からの原油輸出を承認した。

2009/6/9 イラクのクルド自治区の原油輸出開始 

 

イラク石油省の副大臣は8月24日、シノペックのAddax買収が確認できれば、イラクの石油の入札からシノペックを除外することを検討していると述べた。シノペックはCNOOCCNPCSinochem とともに入札資格社として選ばれている。

中央政府はクルド政府が外国企業と結んだ契約は違法として認めておらず、中央政府の承認なしにクルド政府と石油契約を締結した企業とは取引しないとしている。

しかし、China Business News 26日、イラク政府がシノペックのAddax買収を通じてのクルド地区での石油権益取得を承認したとのシノペックの発言(発言者は明らかにせず)を報道した。

ーーー

中央政府はクルド政府が外国企業と結んだ契約は違法として認めていない。

イラク政府は37年ぶりに油田権益を外資企業に開放し、増産体制を整備して、2013年に原油生産能力を現状の日量250万バレルから460万バレルに引き上げることとした。

イラクは6月30日、第一次開放対象の国際入札を実施し、Rumaila油田のみが落札された。BP 66%/CNPC33% 連合が落札した。

11月に行われる第二次開放対象の入札資格社が既に選ばれている。

第一次、第二次の入札資格社から韓国の韓国石油公社とSKエナジーが除外された。

韓国石油公社などが参加する韓国コンソーシアムは2008年2月14日、イラクの北部クルド自治区内の油田4つの鉱区の開発とインフラ建設を並行して進める内容の覚書をクルド自治政府と締結した。

イラクのシャハリスタニ石油相は4月2日、イラク駐在の河泰允 (ハ・テユン)大使に会い、「韓国石油公社やSKエナジーなどの韓国企業がクルド自治政府と締結した油田開発事業は、中央政府との協議を経ずに行われた違法なものだ。そのため両社は今後、イラクでの油田開発に関する入札に参加できない」と通知した。

2009/4/7 イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外

本年2月にイラクのタラバニ大統領が韓国を訪問した際、イラク南部バスラの油田開発と現地でのインフラ整備を行うために必要な35億5000万ドルを韓国側が投資するという覚書を交わしたことで、一旦はこの問題は解消するかのように思われたが、石油省は両社を除外したままである。

イラク政府が本当にシノペックの入札参加を認めたのかどうか、発表されてはいないが、もしそうなら、イラク政府が中国との関係を考慮したものであろう。

なお、別枠でNasiriyah油田(Samawahの南東)の交渉が続いている。
将来、日量数十万バレルの生産が見込まれる有望油田で、日本連合(新日本石油/国際石油開発帝石/日揮)とイタリアのEniが争っている。


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中国国務院は8月26日、風力発電装置などの新産業分野での過剰能力について懸念を表し、過剰能力や不必要なプロジェクトなどの問題について行政指導を進めることを決めた。

過剰設備は鉄鋼やセメント産業で以前から問題となっているが、最近は風力発電やポリシリコンのような新産業でも不必要なプロジェクトが出てきた。

政府の4兆元の景気刺激策で新エネルギーや環境産業が重点投資分野に指定され、全国各地で投資が増えた。

特に、鉄鋼、セメント、板ガラス、石炭化学、ポリシリコン、風力発電分野で指導を強化する。

行政指導には、新規進出に対する厳密なコントロール、環境監査の強化、土地利用の制限などが含まれ、金融機関はその産業分野についての産業政策に従って融資するよう命じられた。

関係政府機関はこれら分野の能力の監視を強化し、操業度や需要、政府のポリシーのような情報を共同で発表する。

 

工業情報化部(Ministry of Industry and Information TechnologyMIIT) は813日、鉄鋼業において新規拡張計画の承認を3年間認めないと発表した。着工済の約58百万トン分の計画は続行する。

鉄鋼業は最も過剰能力の目立つ業界で、需要が470百万トンと推定されるのに対し、能力は660百万トンとなっている。

合わせて企業の統合により旧式の設備の廃棄を進める。
河北省の鉄鋼は
23年かけて現在の120百万トンから80百万トンにする。

MIITでは鉄鋼業の統合のガイドラインを作成している。

MIITはまた、セメント産業での過剰能力を減らすため、規制案を作成したと報じられた。
昨年ではセメント生産能力の2/3しか稼動していない。

またMIITでは化学や鉄鋼などの主要セクターでの省エネ、排出削減のガイドラインを出す予定。

 


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KingBoard Chemical Holdings (建滔化工集団)は1998年に香港で設立されたラミネートを製造する会社で、中国各地に工場をつくるとともに、ラミネート原料(メタノール→ホルマリン、エポキシ、その他)に遡及してきた。

メタノールについては、中国海洋石油との合弁会社 CNOOC-KBChemical (CNOOC が60%、KingBoard が40%)を設立して、 2006年9月から海南島の東方市で 60万トン/年の天然ガスベースのメタノールを生産したのを初めとして、単独で重慶ケミカルパーク(45万トン)、河北省Xingtai 市、その他で生産している。

2008/1/11  重慶ケミカルパークのメタノール事業

KingBoard Chemical は8月20日、湖南省衡陽市で第4次計画の建設開始の式典を行った。

第4次計画全体は投資額40億人民元で、イオン交換膜法ソーダ 30万トン、PVC 20万トン、エピクロルヒドリン 5万トン、ソーダ灰 30万トン、カーバイド 30万トンなどから成るが、このうち、イオン交換膜法ソーダ 10万トン、エピクロルヒドリン 5万トンの建設を開始した。

衡陽 KingBoard Chemical は、2003年にKingBoard Chemical が衡陽苛性ソーダ工場を買収して設立し、その後、増設を繰り返している。(単位:トン)

  苛性ソーダ 過酸化水素 PVC エピクロル
ヒドリン
ソーダ灰 カーバイド
第1次 2003年
 衡陽苛性ソーダ工場買収 
  30,000          
第2次 2005年   60,000   80,000        
第3次 2007年  100,000    120,000      
広東省広州(Panyu)の
ホルマリン工場から移設
    65,000        
(現状) ( 190,000) ( 145,000) ( 120,000)      
第4次-1  100,000       50,000    
    -2  200,000     200,000    300,000  300,000
(完成後 合計) ( 490,000) ( 145,000) ( 320,000) ( 50,000) ( 300,000) ( 300,000)

ーーー

同社のホームページによると、中国での活動は以下の通り。

  立地 製品
Kingboard (Hengyang) Chlor-Alkali Co., Ltd
Kingboard (Hengyang) Industrial Co., Ltd.
Hengyan, Hunan Caustic SodaHydrogen PeroxidePVC
Kingboard ( Hengyan ) Chemical Co., Ltd Hengyan, Hunan Caustic Soda Flakes, Liqudified Chlorine, Sodium Hydroxide, Chlorinated Wax, Hydrogen Peroxide
Hebei Chung Shun Chemical Co., Ltd Xingtai, Hebei ethanoic acid
Kingboard (Hebei) Cokechem Co., Ltd.
Kingboard (Hebei) Chemical Co., Ltd.
Xingtai, Hebei Coke, Coke Oil, Benzene, Ammonium Sulphate, Methanol
Shanxi Kingboard Wanxinda Chemical Ltd Linfen, Shanxi Methanol
HuiZhou ChungShun Chemical Co., Ltd Huizhou, Guangdong Phenol/acetoneBPA
Kingboard Natural Gas Chemical (Chong Qing) Limited Chongqing Methanol
CNOOC Kingboard Chemical Limited Dongfang, Hainan Methanol (JV with CNOOC)
Kingboard (Shaoguan) Chemical Co., Ltd. Shaoguan, Guangdong Formalin
Kingboard (ChangZhou) Chemical Co., Ltd ChangZhou, Jiangsu Formalin
Kingboard (Taicang) Chemical Co., Ltd. Taicang, Jiangsu Formaldehyde, Methanol
Kingboard (Fogang) Chemical Co., Ltd Qingyuan, Guangdong Formalin
Kingboard ( Panyu ) Chemical Co., Ltd. Panyu, Guangdong Formaldehyde, Hydrogen Peroxide
Kingboard (Fogang) Special Resin Co., Ltd Qingyuan, Guangdong Polyvinyl Butyral (PVB) Resin
Kingboard (Jiangsu) Chemical Co.,Ltd Jiangyin, Jiangsu Epoxy Resin
Kingboard (Panyu Nansha) Petrochemical Company Limited Guangzhou, Guangdong Epoxy Resin, Formaldehyde, Tetrabromobisphenol,
Hydrogen Peroxide
Kingboard ( Gaomi ) Chemical Co., Ltd. Gaomi, Shandong Hydrogen Peroxide


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藍星集団と同社のフランスの子会社Adisseo Groupは8月19日、メチオニン工場を南京市に建設する契約を締結した。
能力は年産7万トンで、2012年下半期に稼動の予定。

同社は2008年1月にメチオニン計画を発表しているが、その時点では立地は天津市を予定しており、第1期 7万トン、第2期 7万トンで合計14万トンの計画となっていた。
<p>HTML clipboard</p>今回の発表にはないが、恐らく第二期計画も考えていると思われる。

藍星集団では、「豊富な原料供給を満たせることが、両社が南京をメチオニン中国工場の建設地に選んだ理由だ。また、南京は恵まれた立地条件を備えており、川上・川下産業のサプライチェーン配置の合理化に有利で、同時に製品をアジア太平洋地域に輸送することにも便利な土地だ」と述べた。

藍星集団は2006年1月にCVC Capital Partners から動物用栄養製品メーカーのAdisseoを買収した。 AdisseoはCVCがAventis (現在はSanofi Aventis)の動物栄養製品部門を2002年に購入して設立した会社で、メチオニン、ビタミン、飼料用酵素を製造販売しており、年間売上高は5億ユーロ。メチオニンは年20万トンを生産し、世界シェアは29%。

同社は本年6月にフランスとスペインの工場でメチオニンを合計25千トン増強することを明らかにしている。 

ーーー

中国は世界第2位の飼料生産国として、メチオニンの需要は大きく、現在の需要は12万トン程度とされる。

しかし、中国のメチオニンの生産能力は低い。

石家荘海天精細化工、山東天一化学、Degussa Rexim(Nanning) Pharmaceutical などが生産しているが、いずれも少量の生産で、Degussaの場合で年産 350トンに過ぎない。

Degussa Rexim(Nanning)2001年にDegussaNanning Only-Time Pharmaceutical JVNanning Only-Time Rexim Pharmaceutical として設立されたが、2005年にDegussa 100%子会社となり、改称した。広西チワン族自治区南寧市にあり、アミノ酸の生産がメイン。

このため輸入に大きく依存しており、2008年の輸入数量は90,705トンとなっている。

山東天易科技、本渓化工集団精細化工など多数企業が新しいメチオニン進出の意向を示している。

ーーー

住友化学によると、世界的な人口の増加、発展途上国や新興国の経済成長による食肉文化の広がり、健康を意識した鶏肉志向の高まり、家畜排泄物の管理や規制といった環境問題への対応、中長期的な飼料用穀物の不足や高騰に対する懸念など、さまざまな理由から、メチオニンの需要はここ数年拡大を続けており、現在全世界で約700千トンといわれる市場は、今後も年率5%程度で増加していくものと見込まれる。

住友化学は6月8日、メチオニンの増強を発表した。
旺盛な需要に対応するため、愛媛工場に1系列40千トンを新たに増強し、生産能力を合計で約140千トンとする。
増強設備は2010 年第1四半期に操業を開始する予定。

住友化学は、メチオニンのグローバルサプライヤーとして、今後の需要の拡大に対応すべく、今回の愛媛工場の増強に続き、現在、中国における生産を含め、さらなる増強を検討している。


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住友金属鉱山は8月19日、世界有数のニッケル資源国フィリピンの最大規模のニッケル鉱山会社 Nickel Asia の株式16.5%を約39 百万米ドルで取得したと発表した。

付記
2009年12月、追加出資を決定し、同社株式の8.5%を、約22百万米ドルにて取得、出資比率は25.0%となった。

付記
 
Nickel Asia は2011年10月3日、タガニート・マイニング・コープが武装勢力に襲撃されたため、生産と出荷を停止していると発表した。共産ゲリラの新人民軍(NPA)がタガニートをはじめ鉱山3カ所を襲撃、設備や施設に火をつけたという。

NPAの幹部は報道陣に対し、NPAによる襲撃だったと認め、「環境破壊を続ける日本人への懲罰だ」と語った。
住友金属鉱山の関連会社を襲撃目標としていると明言し、「住友のトップの日本人との交渉」を求めるとした。

ニッケル鉱山開発が森林を伐採するなどして環境を破壊し、住民や農民の権利を侵害していると主張。「今年4月、住友の出資する関連会社に「我々と話し合わずに、プラント建設を進めるべきではない」との手紙を送ったが、ろくな返事がなかった。だから攻撃した」と述べた。

Nickel Asia は2006 年2月に、Zamora グループ傘下のニッケル鉱山会社の資本を統合して設立された。
子会社を通じ、
Rio TubaTaganitoCagdianaoTaganaanSouth Dinagat などのニッケル鉱山を持っている。

住友金属鉱山は子会社のCoral Bay Nickel で、Rio Tuba 鉱山の低品位ニッケル酸化鉱を原料として「HPAL法」(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸硫酸浸出法)を用いたニッケル製錬を行っており、更に Taganito鉱山でもHPAL計画のFS中である。

同社は将来にわたる重要な戦略的パートナーとしてのNickel Asia との関係を一層強化するために、資本参加を決定した。

ニッケルはレアメタルの一つとして国家備蓄の対象となっている。

HPAL法(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸浸出法)は、これまで回収が難しいとされてきた低品位酸化鉱石からニッケル・コバルトを回収する画期的な方法。

それまでニッケル製錬は比較的品位の高い鉱石を原料としており、ニッケル分1.5%以下のラテライト鉱は原料に適さないとされてきた。
多くの場合このラテライト鉱の下に高品位の鉱石が存在するため、ラテライト鉱を掘り起こす必要があり、Rio Tuba (Palawan島)でも約20年間にわたり積み立てられたままになっていた。

住友金属鉱山のCoral Bay Nickel では2005年4月から、Rio Tuba鉱の貯蔵低品位鉱石(Ni=1.26%)を原料としてHPAL法(高圧硫酸浸出法)によりニッケル・コバルト混合硫化物 (Ni=52.7%,Co=3.9%)を生産し、新居浜製錬所で電気ニッケル、コバルトを生産している。

第一期プラントではニッケル量で約10,000トン/年、コバルト量で約700トン/年のニッケル・コバルト混合硫化物 を生産しているが、第2工場完成後はニッケル量で22,000トン/年となる。

HPAL法では大量の硫酸を消費するため、住友金属鉱山東予工場(愛媛県西条市)の銅生産能力増強に伴い生産される硫酸の安定的なユーザーでもある。

ーーー

住友金属鉱山とTaganito Mining は2007年3月、ミンダナオ島北東部タガニート地区での「HPAL法」製錬プロジェクトの共同FS契約に調印した。

同鉱山の低品位ニッケル酸化鉱を原料としてニッケル・コバルト混合硫化物からニッケル量で年産3万トンを生産するもので、操業開始は2012年、操業期間は約30年間を見込んでいる。

付記

住友金属鉱山、三井物産、Nickel Asia(NAC)は、住友が推進しているタガニート・ニッケルプロジェクト(総事業費13 億ドル)に三井とNAC が参画することで合意し、2010年9月15日に株主間契約を締結した。

住友の100%子会社Taganito HPAL Nickel Corp.が実施する第三者割当増資を引受け、引受後の出資比率を住友62.5%、NAC22.5%、三井15.0%とする。

ニッケル製錬の中間品であるニッケル・コバルト混合硫化物(Nickel/Cobalt Mixed Sulfide ニッケル品位約57%)を年間3万トン(ニッケル量換算)生産するもの。

住友金属鉱山は"非鉄メジャークラス入り"を戦略的な目標としている。
(2006年中期経営計画  
http://www.smm.co.jp/ir/management/keikaku/pdf/070220setsumeikai.pdf

1.ニッケル10万トン体制の構築
2.東予工場 銅精錬45万トン体制の確立
3.鉱源確保 自山鉱比率の向上
4.Pogo金鉱山フル生産体制へ

ニッケルでは2005年の同社の能力は56千トンで世界7位だが、上記の計画や新居浜ニッケル工場拡張などにより、2013年に10万トンとし、5位を目指す。

現在、1位はロシアのNorilsk Nickel(25万トン弱)、2位はカナダのInco(ブラジルのCVRDが買収)、3位は豪州のBHP Billiton、4位はカナダのFalconbridge(スイスの Xstrata が買収)、5位が中国の金川ニッケル集団(Jinchuan)、6がフランスのEramet となっている。

2006年6月に米国の産銅会社Phelps DodgeがカナダのIncoFalconbridgeの買収を発表した。
買収額は約400億ドルで、3社合併後の新会社Phelps Dodge Incoは ニッケル生産世界一、銅生産世界2位、モリブデン生産も世界2位となる巨大企業となる筈であった。

しかし、CVRD(リオドセ)がInco、XstrataFalconbridge の買収に乗り出し、Phelps Dodge自身がFreeport-McMoRan Copper & Gold に買収された。

Pogo金鉱山は住友金属鉱山の海外での初の主導的な開発プロジェクトで、1991年に探鉱を開始、1997年にTech Resources と提携し、探鉱及び企業化調査を進めた。
Techは本年4月にこの権益をJVパートナーの住友金属鉱山へ2億4500万米ドルで
売却した。  

1)位置:米国アラスカ州フェアバンクスの南東約145キロ
2)権益比率:住友金属鉱山アメリカ社(住友金属鉱山100%子会社) 51%→85%
        Teck Resources 40%→ 0
        SC Minerals America(住友商事100%子会社) 9%→15%
3)埋蔵金量:109t(2008年末鉱量計算結果)
4)年間生産金量:11~12t/年
5)開発投資額:約378百万ドル(出資比率で負担)

2009/7/14 中国政府系ファンドCIC、カナダの資源大手に出資


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