「no」と一致するもの

Ineos 苦境? - 化学業界の話題

Ineosはこれまで、EVC、Innovene などを次々買収して拡大してきた。

同社の創業者で会長を務めるのJim Ratcliffe Ineosを担保にして金を借りるという形で、他の事業を買収していった。<p><p><p><p>><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p>

2006/6/14  事業買収で急成長した化学会社 

同社は過去10で、BASFとDowに次ぐ世界第三位の石油化学会社となった。
現在、
20カ国以上で18の事業を行なっており、従業員は16,000人に達する。

同社は equity fund には頼らず、借入金により大きくなった会社である。
BPからの Innovene 買収は90億ドルで、ほとんどが長期借入金で賄った。

昨年の講演で、Ratcliffe会長は、10年の期間の高利のボンドを利用しており、借り入れ期間中は金利の支払いのみであることを明らかにしている。

今回の金融危機は当然予想していなかったもので、同社の経営に大きな影響を与える。
金融危機に加え、実体経済にも悪影響が出ており、特に、Ineosが買収したEVCとHydro のPVCは、住宅不況の影響で非常に苦しい状況にある。

このため同社が借入金返済のため、米国の多くの資産売却を検討しているという情報が広く流されている。

少なくとも、拡大路線は変更せざるを得ない状況にある。

ーーー

同社は11月3日、異例の発表を行なった。<p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p>

INEOS - Adapting in turbulent times

最近メディアでいろいろ推測記事が出ているが、Ineos はこれまで銀行との契約を守らなかったことはない。
この3年間に借入金を大きく減らしており、近いうちに返済期限がくる借入金はない。

2005年のInnovene 買収以降、10億ポンド以上の借入金を返済した。9月末のキャッシュ残高は13億ポンドに達する。

化学産業のサイクルは底にあるが、会社は全事業が利益を上げている。但し、現在の経済情勢のもと、多くの他の企業に歩調を合わせ、重要でない投資計画は再検討している。

全事業にわたり、コストを低減し、効率を高めており、グローバル市場で十分戦っていける。

ーーー

なお、同社はこのたび、テキサス州La PortePP工場の停止を決めた。
合計235千トンで、1系列は本年末、他の1系列は来年1月末に停止、他のプラントから供給を続ける。

 


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三菱レイヨンは11月11日、世界最大手のMMAメーカー、Lucite International Group Limited の発行済み株式の全てを取得し、連結子会社化するための株式売買契約を締結すると発表した。
Lucite も同日発表を行なった。

       2008/9/5 MMAメーカー Lucite、売却か? 

買収概要は以下の通り。

・Lucite International Group Limited 全株式を買収

所有株式数
(千株)
持分比率
(%)
Funds managed by Charterhouse Capital Partnership  7,794  81.6
Ineos Investors  1,100  11.5
ルーサイト社の取締役  350   3.7
AMJ   206  2.2
米国ルーサイト社従業員  54  0.6
Halifax EES Nominess International Limited   52  0.5

・買収費用総額(予定) 16億USドル既存外部借入金の引受けを含む

  買収費用は三菱東京UFJ銀行による融資で賄う。

スケジュール 2008年11月11日 株式売買契約締結、
           関係当局認可を経て、2009年1月本件買収完了予定

・将来の新興市場への展開等での更なるシナジーを求めて、戦路的事業パートナーの参画を募る予定。
    三菱レイヨンがマジョリティ保有。出資比率、出資タイミング等は調整中。

 

同社は買収目的を次のように説明している。

①MMA市場におけるリーディング企業の実現

MMAモノマー能力シェア
2007/末 2010/末
三菱レイヨン   12%   14%
Lucite   23   22
(合計)  (35)  (36)
住友化学     6    8
LG MMA    3    5
(合計)    (9)  (13)
旭化成    3    5
R&H (Dow)   15    13
Evonik (旧Rohm   14   12
Arkema    6    5
その他   18   17
* 2007年 310万トン
  
三菱レイヨン 第6次中期経営計画より

MMA業界に関しては 2006/4/13  MMA事業の拡大 

②米欧アジアでのバランスの取れた三極生産体制を確立

Lucite:欧州(旧 ICI)、米国(旧 DuPont)、上海、シンガポール(アルファ法)
三菱レイヨン:日本、タイ(サイアムセメントJV)、中国恵州、韓国(湖南石化JV)、米国(計画)

東欧、ロシア、南米など成長の期待される新興市場への展開を加速

③MMA製造技術の拡幅(新エチレン法の獲得)

LuciteACH法、新エチレン法(アルファ法)
三菱レイヨン:直酸法(C4法)

Lucite は11、シンガポールのアルファ法プラントが予定より早くスタートしたと発表した。
能力は12
万トン

同社は2番目のアルファ法プラント建設の検討を進めている。能力は25万トン

④買収シナジーの発現

ーーー

Lucite と三菱レイヨンは20056月にMMA事業での提携契約を締結した。
両社は投資を分担し、相互に製品を供給すること、将来両社工場を
JVとするための検討を行なうこととした。

1. 北米 建設: 三菱レイヨン
  場所: テキサス
  規模: MMA及びMAA(メタクリル酸)14万トン
  製造法: C4法
  時期: 2009年末完工、2010年商業運転

2. アセアン 建設:
Lucite International
  場所: シンガポール
  規模: MMA12万トン
  製造法: アルファ法(C2法)
  時期: 2007年末完工、2008年商業運転

ーーー

Lucite 2006年に売却を検討した。三菱レイヨンも交渉を行なったが、当時の売値は20億ドル~25億ドルで、価格が折り合わなかった。

同社はシンガポールのAlpha 法プラントの立ち上がるのを待って、希望価額での売却か、又は上場を狙った。

しかし、今回の金融危機で情勢が変わった。

Lucite Moody の格付けで Caa1 というジャンク級に下げられた。
また、
Lucite を狙う会社は多いが、買収資金の手当が難しくなった。

最後は、サウジのSipchem Lucite技術を導入してANM 200千トン、MMA 250千トンを事業化する)がサウジの投資会社Jadwa Investment と組んで三菱レイヨンと争ったが、三菱UFJから資金を確保した三菱レイヨンが買収した。

買収にはLucite の債権者の同意を必要とするが、最近は欧州のLBOの債権は平均して額面の65.8%でしか売れない状況で、今回は額面で引き取ってもらえるため、全く問題はないとされている。

逆に三菱レイヨンにとっては、最近の英ポンド安、ドル安により、非常に安く買収できたこととなる。

買収額の16米ドルは10億英ポンド強となる。
2008年7月初めには210円/ポンドであったが、11月上旬には155円/ポンド程度となっており、2,100億円が1,550億円に下がることとなる。

 


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中国国家品質監督検査検疫総局は10月30日、日本から輸入したしょうゆなどから有害物質トルエンと酢酸エチルが検出されたことが広東省検疫当局の調べで分かったと発表した。

検出されたのはトルエンは0.00064~0.0053ppm、酢酸エチルは0.417~0.537ppm で、輸入業者が既に対象製品を販売店から撤去したという。

北京の日本大使館は31日、問題の商品名とメーカーを公表した。

   ヤマサ醤油 「NH小包日式醤油」
   万城食品  「NH小包わさびペースト」
   キッコーマン 「公務小醤油」

キッコーマンは31日、同社に「公務小醤油」という名前の商品はないとした上で、下記の発表を行なった。

この件につきましては、日本醤油協会よりすでに、「微量であり、人の健康に影響を及ぼすとは考えられない」 との見解が示されております。(下記)
弊社としましても、トルエンおよび酢酸エチルは、通常、しょうゆに含まれていること、検出量が微量であることから、人の健康に影響をおよぼすものではないと考えております。

なお、しょうゆ中に微量のトルエンが含まれていることについては、20年以上前より日本農芸化学会で報告されており 学会での定説とされています。
また、
酢酸エチルは、醸造物中に香気成分として含まれます。酵母によって生成されたエチルアルコールと原料由来、あるいは酢酸菌や乳酸菌によって生成された酢酸から酢酸エチルが生成されます。

日本醤油協会では「いずれも微量であり、人の健康に影響を及ぼすとは考えられません」とし、検出レベルについて以下のように説明している。

上記検出レベルに対する考察
① トルエン
 ○ 日本の水道水の水質管理目標値 0.2mg/L(ppm)以下
 ○ WHO 水質基準ガイドライン値 0.7mg/L(ppm)以下
 上記の0.0053ppmは、水道水に設定された値に比較し十分に低いレベルである。

② 酢酸エチル
 醸造物中の酢酸エチルの濃度(ppm)
   しょうゆ(15)、清酒(12~45)、米焼酎(25)、高粱酒(中国酒)(1280)、茅台酒(中国酒)(1390)、
   ビール(10~20)、赤ワイン(95~174)、白ワイン(46~98)
 上記の0.537ppm は、一般に醸造物中に含まれる量に比較し低いレベルである。

ヤマサ醤油も、「NH小包日式醤油」という商品名の商品は弊社にはありませんとし、キッコーマンと同じ説明をしている。

万城食品では、「検出された量はいずれも微量であり、当社としては人の健康に影響を及ぼすものとは考えておりません」としている。
同社では製造工程ではトルエン・酢酸エチルは一切使用していないが、包装フィルム製造時これらの物が使用されている事は承知しているとし、食品衛生法・食品・添加物の規格基準の何れの数値をも下回っているので、何ら問題ないものと判断するとしている。

ーーー

実はこれは厚生労働省の措置に対する報復であった。

厚生労働省は10月7日、以下の発表を行なった。

つぶあんからのトルエン、酢酸エチルの検出について

本日、別紙のとおり、名古屋市において公表されたのでお知らせします。
なお、トルエンと酢酸エチルが検出された製品の同一ロット品については、輸入者が自主回収を行っています。

本事案の発生を踏まえ、厚生労働省としては次の対応をとったところです。
1 当該製造者からのあんについて、本日以降、輸入手続を保留
2 都道府県等に対し、同様の事案があった場合には直ちに報告するよう要請
3 当該品は日本国内において加工されておらず、未開封で流通していたことから、
  中国政府に対し、製造段階における異物混入の有無等について確認を要請

<製品の概要>
1.品 名:つぶあん (賞味期限2009年4月17日)
2.輸 入 者:マルワ食品株式会社(静岡県磐田市宮本218-2)
3.原 産 国:中華人民共和国
4.製 造 所:LANGFANG TORA YA FOODSTUFF CO., LTD.(河北省廊坊市)

5.検査結果

項目 苦情品 苦情品と同一品(1) 苦情品と同一品(2)
トルエン 0.008ppm 0.008ppm 0.010ppm
酢酸エチル 0.16ppm 0.28ppm 0.11ppm

6.検査機関:名古屋市衛生研究所

 

「粒あんを食べてめまいがした」との苦情が保健所に寄せられ、食べ残しを検査した。

同日付の朝日新聞は以下の解説をつけている。

トルエンは、塗料の溶剤などとして使われる。空気中の濃度が高まると、のどや目に刺激を感じるとされる。健康被害が報告された中国製冷凍ギョーザの包装の外側から検出されたことがある。酢酸エチルはトルエンと同様に溶剤として使われ、マニキュアの除光液にも含まれる。口にすると頭痛や眠気を催すほか、意識を失うことがある。

 

実際には、この検査結果は、上記の日本醤油協会の「考察」によると、「いずれも微量であり、人の健康に影響を及ぼすとは考えられない」ものである。

検疫総局は、(それを知った上で?)、日本の報道を引用し、日本でトルエンなどが入った食品を食べた人が体調不良を訴えたと指摘している。

ーーー

国立医薬品食品衛生研究所の畝山智香子さんは「食品安全情報blog」http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20081031#p4 で、「これは日本側が先にやった間違いだし、謝った方がいいと思うけど」、とコメントしている。

中西準子さんはホームページの雑感451-2008.11.4「信じられない認識と対応-トルエン」で、以下のように述べている。

これまで、マスコミの過剰報道がしばしば問題になってきた。しかし、厚生労働省がこうではどうしようもない。国際紛争の引き金になりかねない。猛省を望む。そして、もっと勉強してほしい、監視安全課と言うからには。

 


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黒木亮の小説 「エネルギー」(上下 日経BP社)を読んだ。
日経ビジネスオンライン(2006/4~2008/6)の連載小説「エネルギー 国際資源を巡る男たちの戦い」に加筆修正したもの。

「国際資源戦争」の最前線を描いた経済小説!
サハリンの巨大ガス田開発、イランの「日の丸」油田をめぐる暗闘、シンガポールの石油デリバティブ巨額損失事件――。
世界中の視線を集める資源開発の現場に切り込み、綿密な取材をもとに描いた野心作。
(日経BP書店のPR)

1997年から2007年までの世界のエネルギー事情と、サハリン-2開発、イランのアザデガン油田開発と、中国航空油料集団の子会社のシンガポールでの石油デリバティブ巨額損失事件のそれぞれの進展が並行的に述べられている。

勿論、小説なので主要登場人物は架空だが、内容は事実に沿っており、それぞれにからむ社名、人名もそのまま出ている。

背景が詳細に説明されており、下巻の巻末には38ページにわたる詳細な 「エネルギー・経済用語集」までついている。

ーーー

1)サハリン-2開発(三菱商事の目で見たもの)

1994年のスタート時点では米国Marathon OilMcDermott が入っていたが、その後前2社が撤退、シェル 55%/三井物産 25%/三菱商事 20% となった

2006年12月、ガスプロムが50%+1株、シェル 27.5%、三井物産 12.5%、三菱商事 10% となった。

       2007/1/9 サハリン2計画 再スタートとその背景 

   (なお、サハリン1については 2006/8/31 サハリン原油の初購入) 

<p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p>

この計画は当初、原油価格低下、LNG買い手探し難航、ロシアの適用諸法律の食い違い等の問題を抱えていたが、更に、環境団体による反対(環境団体は廃止を主張、漁民は事故対策を要求、欧州復興銀行EBRDは環境団体の意見に影響を受ける)、建設費倍増などにより資金集めが難航、加えて過去に外国に渡した石油の権利を取り戻すべく、プーチンが環境問題を種に揺さぶりをかけた。

ロシア側が3社に攻勢をかけた背後には、シェルに不満を持つ英国の老人とその息子Alfred and John Donovan の動きが寄与していた。
二人はインターネットでシェル告発のサイト(小説では別アドレスだが、実際に
http://www.royaldutchshellplc.com が存在している)を立ち上げ、シェル内部からも多数の情報提供がなされている。

Mission Statement
Our objectives are simple. We want Royal Dutch Shell executives to act at all times in accordance with Shell General Business Principles which include the claimed core principles of honesty, integrity, openness and respect for people in all of Shell's dealings.

<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>彼らはプーチンに建設費倍増の情報を、天然資源監督局にはこの計画が環境面で問題であるという情報を送り、ロシア側はそれを材料に攻めたという。

最後はガスプロムの過半数取得により事業が前進するが、環境問題は完全には解決しておらず、場合によっては大事故が起こる可能性も示唆している。<p><p>HTML clipboard</p></p>

「油井とガス井の設計と掘削方法がサハリン島の地層に適していない。鉱区に若い活断層があり、その上に、大量のガスが存在している。適切な掘削技術を用いないと、地震を発生させ、ガス爆発や石油の流出を招来する危険がある。」

ーーー

2)イランのアザデガン油田開発(トーメンの目で見たもの)

1999年に発見されたアザデガン油田はイラン最大級の油田で、カフジ石油を失った日本政府は2000年のハタミ大統領訪日時に両国間で交渉開始に合意し、2001年7月、平沼赳夫経済産業相がテヘランでハタミ大統領と会談し、開発の早期契約に向けて努力することで合意した。
当初の日本側メンバーは、国際石油開発、石油資源開発、トーメンの3社であった。

    2006/10/9 アザデガン油田の開発権引き下げでイランと合意 

しかし、イランの核問題で米国政府の圧力を受け、日本政府は後ろ向きになり、トーメンも豊田通商に合併され、(小説では米国の自動車事業への影響を恐れる奥田会長の命令で)撤退する。

但し、全面撤退ではなく、将来への布石として10%の開発権を残した。
イランは日本がやらないなら、中国があると脅したが、現地の厳しい地形、硫黄分が高い重質油であることから中国では無理で、将来状況が変われば再度取り組むという姿勢。
現実に中国も他の国も乗り出していない。

ーーー

3)石油デリバティブ巨額損失事件(日本のデリバティブ会社のトップの目で見たもの)

中国航空油料集団のシンガポール子会社CAOの中国人社長は「上がった原油価格は必ず下がる」という過去の経験で石油のデリバディブに突っ込み、5億5000万ドルの損失を出して破綻、逮捕された。親会社役員もインサイダー取引や、情報公開規定違反などで捕まった。

日本のデリバティブ会社ではヘッジファンドが原油に手を出しているのは知っているが、裁定取引は常に売りと買いを組み合わせるので、市場に対しては中立なのに、ヘッジファンドや金融機関が一方的にWTI先物を買い続けているのは何故かを調べ、運用難で困ったアメリカの年金基金がコモディティ市場に押し寄せてきていることを知った。

米国では企業年金だけでも4兆ドルを超える規模があり、決済と同時に新たな先物を買い、それを繰り返してポジションを持ちっぱなしにしている。
(この時点でのWTIは80ドル程度だが、その後も上昇を続け、150ドル近くまで上がった。)

このため原油価格が下がることがないと確信、CAOに売り込む一方、CAOに対する債権について銀行から保証を受け、大儲けをする。

ここではヘッジファンドの裁定取引などについて、詳細な説明がある。

ーーー

文中にはLNG市場などの詳しい説明もある。

シンガポールで先物取引で860百万ポンドの損失を出し、Barings Bank を破産させたトレーダーのNick Leeson の話や、銅取引で26億ドルの損失を出した住友商事の部長の話も出てくる。

Nick Leesonが出所して再出発し、ホームページを開いているとの記載もあり、本当かなと思って開いてみると実在していた。http://www.nickleeson.com/


小説としても面白いが、石油事情について勉強になる。


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Dow Agrosciences は10月22日、Quebec 州が同社の除草剤 2,4-D を禁止したのに対し、北米自由貿易協定(NAFTA)の第11章に基づいて、200万カナダドルの賠償を求めていることを明らかにした。

ケベック州は2003年に農薬の貯蔵販売使用を厳格に規制するための新農薬法案を発表した。
農薬の最小限で慎重な使用により、「ケベック州は健康と環境のために最も危険な農薬を禁止する、北米で最初の場所になる」とした。

この法律(The Pesticides Management Code)は2006年に成立した。

問題となったのは次の条項。
ほとんどの有害農薬について、ゴルフ・コースを除いて、公共、準公共の芝生、及び地方自治体の緑地帯で使用することを禁止。
ほとんどの有害農薬について、個人の芝生及び商用緑地帯で使用することを禁止。

禁止される農薬のなかに、2,4-D が含まれている。
農業用の使用は従来通り認められている。

The Pesticides Management Code の詳細は
   
http://www.mddep.gouv.qc.ca/pesticides/permis-en/code-gestion-en/index.htm

他の州や市町村も同様の規制を行なう方向にある。

Dowは、ケベック州は2002年に科学的根拠なしに、NAFTAの規定に違反して、2,4-Dに反対するキャンペーンを始めたと批判している。
重要な公共政策は科学的証拠、予見可能性、明確な原則に基づくべきで、透明な枠組みで運営されるべきだと主張している。

Dowでは、カナダでも米国でも欧州でも、2,4-D は科学的根拠に基づき、使用上の注意を守れば安全な農薬だと認められているとしている。
Health Canada Pest Management Regulatory Agency では本年5月2,4-D は芝生や農業用で、使用上の注意を守れば安全であるとの報告を行なった。

これに対して、カナダ環境のための医師連合では2,4-D といろいろの病気に関連があるとの科学的証拠があると反論している。

ケベック環境省では、禁止は科学的証拠に基づく、住民の福祉と健康のための予防措置であり、2,4-Dに対する姿勢を変える考えはないとしている。

.ーーー

NAFTA 第11章(「投資及び紛争処理」)は、加盟国の政策変更や規制強化が外国民間企業による訴訟の対象になるとする規定である。

もともとは投資の自由化や紛争処理に関する諸規則を定めており、その中の投資家の権利を国有化等から保護するために設けられている。資産を収用する場合は公平な扱いや補償支払いなど一定の義務を果たすことを定めている。

訴えは各国の裁判所ではなく、NAFTA の紛争処理パネルで決定される。

この規定が一般の法律に適用されて、当初は予期していなかったことが生じた。

カリフォルニア州が1999年に、MTBE がガソリンタンクからの漏洩等を通じて地下水を汚染しているとして、MTBE を段階的にエタノールに代える行政命令を発表した。
この行政命令に対してメタノールを米国内の子会社で製造しているカナダの
Methanex が、州政府の措置撤回と約10 億ドルの損害賠償金の支払いを求めてNAFTA 紛争処理パネルに訴えた。

メキシコでは米国のMetalcladは同社が買収した毒性廃棄物処理場の許可が地元の市や州から取り消されたとしてNAFTA に基づく訴えを起こした。

オハイオ州のS.D.Myer はPCB廃棄物をカナダから米国に輸出することをカナダ政府が一時的に禁止したことに対して損害を被ったとしてカナダ政府を訴えた。

デラウエア州のGL Farms はカナダがミルク販売で恣意的、差別的に干渉していると訴えている。

コネチカット州の Chemtura (旧 Crompton )はカナダが菜種(canola)の種子処理での農薬リンデン使用を禁止しているのを訴えている。

 


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OPECは10月24日、原油価格急落を受け、ウィーンで臨時総会を開き、加盟11カ国の日量2880万バレルの現行の目標生産量を150万バレル引き下げる本格減産を決めた。11月1日から実施する。

12月17日にアルジェリアで臨時総会を開き、レビューを行ない、必要なら更なる減産を行なう。

市場では日量100万バレルの減産を有力視していたが、OPECは価格下落に歯止めがかからないことを懸念し、減産を拡大した。

ロシアのエネルギー省幹部は23日、今年のロシアの産油量が昨年より100万トン少ない4億9000万トンになるとの見通しを表明した。事実上0.3~0.4%の減産となる。
OPEC事務局長は22日モスクワでロシアのメドベージェフ大統領と会談、大統領は「ロシアも安定した原油価格の維持に関心がある」と述べた。

OPEC生産枠推移は以下の通りIraq を除く、Indonesiaは離脱)。 単位:1,000b/d   

2007/2 2007/11 2008/1 2008/9 2008/11 増減
Algeria 794 1,357 1,357 1,357     1,286     -71
Indonesia 1,370 865 865        ー    ー   ー
Iran 3,788 3,817 3,817 3,817     3,618   -199
Kuwait 2,065 2,531 2,531 2,531     2,399   -132
Libya 1,371 1,712 1,712 1,712   1,623     -89
Nigeria 2,123 2,163 2,163 2,163     2,050   -113
Qatar 663 828 828 828       785     -43
Saudi 8,399 8,943 8,943 8,943    8,477    -466
UAE 2,257 2,567 2,567 2,567    2,433   -134
Venezuela 2,970 2,470 2,470 2,470    2,341    -129
Angola     ー     ー 1,900 1,900    1,801     -99
Equador     ー     ー 520 520    493    -27
Total 25,800 27,253 29,673 28,808  27,300 -1,500
(増減) (-500) (1,450) (2,420) (-865) (-1,500)  

OPECは前回9月の定例総会で、日量約52万バレルの実質的な減産を決めていた。

   2008/9/11 OPEC、実質 日量52万バレル減産 

ーーー

OPEC減産にもかかわらず、10月24日のニューヨーク・マーカンタイル取引所で原油先物相場は急反落、WTIは前日比3.69ドル安の64.15ドル/バレルで取引を終えた。
世界景気の悪化に伴う原油需要の減退懸念は根強く、一時62.65ドルまで下げた。これは2007年5月末以来、約1年5カ月ぶりの安値となる。
「景気悪化=原油需要減退」で株価との連動が続いている。

年初来の平均は110.6ドルまで下がった。

東京市場でも原油、ナフサともに大幅下落が続いている。

11月24日のドバイ原油は57.75ドル/バレルと、1年7ヶ月ぶりの安値となった。

オープンスペックナフサは23日が404ドル/トンであったが、24日には2005年2月10日(397ドル)以来初めて400ドルを割り、終値は390ドルとなった。
本年7月4日に過去最高の1,248ドルとなったが、4ヶ月弱で858ドルもの値下がりとなった。

原油の値下がり以上に下がっているのは、アジアでのナフサ需要減を反映したものと思われる。


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米ファイザーは1017日、消炎鎮痛剤の副作用で健康被害を受けたとして患者などから訴えられていた問題について、原告側の大半と和解したと発表した。
和解金の総額は894
百万ドルにのぼる見込み。640万ドルの関連費用(税引き後)を2008年7―9月期決算で損失処理する。

対象は消炎鎮痛剤の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)のBextra Celebrex を巡る訴訟で、
(1)患者か
らの、服用に伴う副作用で心臓発作になったなどという訴訟(Personal Injury Cases)で 745万ドル、
(2)米33州とコロンビア特別区の司法長官らが起こしていた、販売促進に絡み安全性リスクに関する情報を消費者に示さなかったことについての訴訟(
State Attorneys General Claims)で60万ドル、
(3)販売促進に絡み虚偽の宣伝で消費者をだまし、経済的損失を与えたとする集団訴訟(
Consumer Fraud Cases)で89万ドル、
の和解金がそれぞれ原告側に支払われる見通し。

同社Bextra については2005年に自発的に撤退している。

昨年末から本年初めにかけて連邦裁判所及びニュヨーク州裁判所が、原告側は一般的な用量(1日200mg)でCelebrexが心臓発作を与えるという科学的証拠を出せなかったとする判決を下したのを受けて和解を行なった。
これは
2004年にFDAが、適正な用量では患者にとってCelebrex のメリットがリスクを上回るとした結論と合致しているとしている。

Pfizerは今回の和解で、裁判が延々と続くのを打ち切り、患者の治療のための革新的医薬品を供給するという同社の事業のコアに集中できると述べた。
また、医者が純粋に臨床データに基づいて
Celebrex の効力を考え、患者の苦しみに対処できるようになるとしている。

ーーー

リウマチは、手足などの関節が破壊されて痛む病気だが、痛みには、細胞内で作られるシクロオキシゲナーゼ(COX:Cyclooxygenase)と呼ばれる酵素が関係しており、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)はこの酵素の働きを妨げて痛みや炎症を抑える。

アスピリンは代表的なNSAIDである。

COXには、胃腸の粘膜を守るCOX1と、炎症を促すCOX2の2種類がある。
NSAIDの多くは、両方の働きを抑えるので、胃腸が荒れやすくなる副作用が表れる。

そこで、痛みに関係するCOX2だけを狙う「COX2阻害薬」が開発された。胃かいようの発生率が従来の薬に比べ半分ほどに減った。<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>
アスピリンを超える「スーパーアスピリン」と呼ばれる。

しかし、この薬の一つ、Merck Rofecoxib(商品名Vioxx)を飲んだ患者は、一般的なNSAIDの服用者に比べ、約4倍も多く心筋梗塞を起こしたことが、2000年に米国で発表された。

Vioxx は年間25億ドルを売上げ、米国だけで患者が2000万人に達するという大型薬だが、Merckは2004年9月、Vioxxの自主回収を発表した。

Merckは200711月、Vioxx の副作用に関する訴訟で、和解金48億5000万ドルを支払うことで原告側の大半と和解の合意に至ったと発表した。

Celecoxib(Celebrex)、Valdecoxib(Bextra)についても、FDAは「心筋梗塞や脳梗塞の危険性を高める恐れがある」として、心臓病患者への処方や多量の長期使用を避けるよう勧告した。

2005年4FDAはBextra の販売停止をPfizer社に要請、Pfizerはこの要請を受け入れた。
心血管疾患リスクや中毒性表皮壊死症(
Stevens-Johnson syndrome)のような皮膚に関する重篤な副作用のリスクが、他の非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)と比べて高く、またBextraならではの優位性にも欠けることが理由。

FDAは、同社のCOX2阻害薬であるCelebrex や、その他の処方薬のNSAIDについては、注意書きを改め、心血管疾患リスクや胃腸出血に関する記述を強調し、またそれらのリスクに関して患者の理解を促す「Medication Guide」を加えるよう求めた。

ーーー

日本では2007年1月にアステラス製薬とファイザー製薬が、2002年末に申請していた非ステロイド性消炎・鎮痛剤(COX-2選択的阻害剤)「セレコックスR錠(一般名:Celecoxib)」について、「関節リウマチ、変形性関節症の消炎・鎮痛」を効能・効果として、製造承認を取得した。


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「台湾の松下幸之助」と評された台塑集団(台湾プラスチックグループ)の創始者、王永慶Wang Yung-Chingは10月11日から仕事で米国を訪問していたが、15日朝(米東部時間)、米ニュージャージー州の病院で、心筋梗塞のため死去した。91歳だった。

<p><p>HTML clipboard</p></p>16歳で起業して1954年に台湾プラスチック(FPC)を創設して塩ビ事業を始め、1958年には南亜プラスチックを、その後台湾化学繊維を設立した。

中国石油(CPC)が台湾のエチレンを独占していたが、1992年5月に傘下の台湾プラスチック(40%)、南亜プラスチック(30%)、台湾化学繊維(30%)の出資で台塑石化(Formosa Petrochemical) を設立、雲林県麦寮区に第6エチレンの大規模な石油化学コンプレックスを建設した。

現在はCPCのエチレンが1,080千トンであるのに対し、第6エチレンは2,935千トンに増設している。

  台湾の石油化学の状況 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/taiwan-complex.htm

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同氏は2002以降は株主総会に出ておらず、2006年には会長を退任した。現在親会社は甥のWilliam Wong と娘のSusan Wangが率いる7人委員会が経営に当たっている。
現在の金融危機にあたり、米国の事業をチェックするため、訪米していたという。

ーーー

FPCは早くも1981年に米国に進出した。

Formosa Plastics Corporation, U.S.A. を設立、1981年にStaufferからDelaware工場(PVC)を買収、1983にはTexas工場(エチレン1,500千トン、HDPE、LLDPE、PP、電解、VCM、PVC)を建設、1990年には Louisiana工場(電解、VCM、PVC)を建設した。

また、2002年には破産したBorden Chemicals and PlasticsからIllinois州のIlliopolis工場(PVC)を買収した。(残る2プラントはWestlakeとShintechが買収した)

2004年4月に上記 Illiopolis工場で、2005年10月にテキサス工場で爆発事故が起こっている。

   2007/3/12 米国Formosa PlasticsのPVC工場爆発事故の調査結果

また、Inteplast Corporationを設立してBOPP, ストレッチフィルム、PPシート、硬質PVCシート、PE袋などを生産、J-M Manufacturing Co.を買収してPVCパイプを生産、さらに子会社の南亜がEG、ポリエステル繊維、軟質及び硬質PVCフィルムを生産するなど、幅広く活動している。

ーーー

王永慶は何度も中国本土でのエチレンコンプレックスの建設を検討した。

現在も浙江省寧波市の北崙経済技術特区で石油精製10百万トンとエチレン120万トン、プロピレン60万トン、及び各種誘導品を建設する計画をもっているが、台湾・中国双方の認可が得られていない。

しかし、寧波での誘導品計画はドンドン進展している。

FPCは間もなく、寧波市の北崙経済技術特区で45万トンのPPプラントの商業生産を開始する。
子会社のFormosa Chemical and Fibre Corp も同地で間もなく年産 60万トンのPTAプラントの生産を開始する。
既に北崙経済技術特区の梅山島でPVC 30万トン、ABS 24万トン、アクリル酸 16万トン、アクリル酸エステル 30万トンを操業している。

最近になって、寧波のエチレン計画を取り止め、エチレンやプロピレンを麦寮から輸送する案が出ている。

 2008/4/16  台湾プラスチック、寧波エチレン計画取り止めか 

寧波の石油化学製品のほか、江蘇省昆山にエレクトロニクス材料工場、江蘇省呉淞江に紡織原料の生産拠点を設置している。

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なお、王永慶と同様、台湾でPVCから事業を始め、米国でもPVCから事業を拡大、更にマレーシア、中国に進出したのT.T. Chao だが、彼も本年3月に86歳で逝去している。

 2008/3/12 T.T. Chao 逝去 

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付記 原油価格

昨日、「原油価格、株価に連動して下げ」として、原油価格と株価の連動を報告した。

この原則は早くも崩れた。

16日のニューヨーク原油先物相場のWTI原油は、この日発表された米週間石油在庫統計で、原油在庫が事前予想の190万バレル増に対して560万バレル増と大幅増加になったのを受け、終値は69.85ドルとなり、2007年8月以来初めて70ドルを下回った。

NY株式相場のダウ工業株30種平均は、当初上昇、その後反落があったが、原油価格が70ドルを割ったのを受け消費関連株が買われたことが相場を押し上げ、前日比401.35ドルアップの8979.26となった。<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>


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EUの化学物質新規REACHRegistration, Evaluation, Authorisation and restrictions of Chemicals)が20076月1日に発効した。

    2007/6/4 REACH 発効 

本年6月1日から12月1日までに既存化学物質の予備登録を行なうこととなっている。

「REACH規則」には「高懸念物質(SVHC:Substances of Very High Concern )の通知義務」の項目がある。

製品中に「高懸念物質」が重量比で0.1%以上含まれている場合、企業は直ちにその旨を公表する義務があり、消費者からの情報の要求があれば45日以内に答えなければならない。

高懸念物質(SVHC)の対象は以下のとおりとされており、行政庁において具体的な物質リストが作成される予定となっている。
 ①一定程度以上の発ガン性・変異原性・生殖毒性物質(CMR物質)
 ②残留性、蓄積性、毒性を有する物質(PBT物質)
 ③残留性及び蓄積性が極めて高い物質(vPvB物質)
 ④上記以外の化学物質で、内分泌かく乱特性を有しており人の健康や環境に深刻な影響がありそうなもの(個別に特定)

SVHCリストに掲載される化学物質は約1,500種と言われているが、一度に全てのSVHCが公開されるわけではない。

本年6月30日にSVHCの候補物質として、パブリックコメント募集用として16物質が公開された。

British Rubber & Plastics の伝えるところでは、REACH をフォローしている英国のコンサルタント会社のSmithers Rapra Technology は、最初のSVHCのリストは今月末に発表される予定で、候補品目が9つあり、そのうち樹脂加工にとって重要な化学品が7つ含まれているとしている。

候補に含まれるのは以下の7品目とされている。
・フタル酸エステル系可塑剤のDEHP、DBP、BBP
・ポリスチレン用の臭素系難燃剤 HBCDD
・タイヤ添加剤 二塩化コバルト
・ポリウレタン原料MDI製造用のMDA (methylene dianiline)
・ゴム、ペイント、接着剤などの難燃剤 SCCPs(短鎖塩素化パラフィン)

付記

2009年1月14日、 European Chemicals Agency(ECHA)は7品目をSVHCの候補案として公表した。
 
http://echa.europa.eu/doc/press/pr_09_01_consultation_substances_authorisation_20090114.pdf

・フタル酸エステル系可塑剤のDEHP、DBP、BBP
・ポリスチレン用の臭素系難燃剤 HBCDD
5-ter-butyl-2,4,6-trinitro-m-xylene (musk xylene)

・ポリウレタン原料MDI製造用のMDA (methylene dianiline)
・ゴム、ペイント、接着剤などの難燃剤 SCCPs(短鎖
塩素化パラフィン)

 VEC(塩ビ工業・環境協会)のメールマガジン(2009/1/29)ではDEHPについて、以下のように説明している。

DEHPは詳細なリスク評価が終わっており、現行の規制を超える使用制限は必要ないと結論されています。そのため、EUの可塑剤業界は、現在、認められているほぼすべての用途について認可が得られるであろうと見ています。

仮に認可対象物質となった際にどうなるのか?
DEHPそのもの、或いは、調剤(コンパウンドなど)としてEU内で供給しようとする者は、それぞれの用途毎に認可を得る必要があります。
他方、DEHPを含む製品(Article)の輸入品には追加的な義務や制約はかかりません。仮に、認可されていない用途であっても、当該化学物質を含む輸入製品(Article)は認可の対象ではなく、既存の規制を超える追加的な制限はかかりません。

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付記

2009年5月26日、欧州化学品庁(ECHA)は、欧州加盟各国がDEHPなど3種のフタル酸エステルを含む上記7物質を最初の認可(Authorisation)物質とすることに同意し、加盟各国委員会の意見を考慮の上で正式に決定される、と発表した。

可塑剤工業会はこれに関して、見解とQ&Aを発表した。
  
http://www.kasozai.gr.jp/news/news26.html


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既報の通り、9月29日、デラウエア州裁判所は、Hexion が買収契約を破棄できるかどうかを決める裁判Huntsman 勝訴の決定を下した。

Huntsman はまた、買収資金を供給する契約を結んでいたCredit Suisse Deutsche Bank を訴えたが、9月30日、テキサス地裁は、裁判の結果が出るまでに両行が融資契約を打ち切れば、取り返しのつかない害を与えるとして緊急差し止め命令を出した。

 2008/10/2 HuntsmanHexion に勝訴  

ーーー

Huntsman は1014Hexion との合併に関し、裁判でまた勝利したと発表した。

108に始まり14日に終わった裁判で、銀行側はHuntsman には銀行に対する差し止め救済を求める権利はないと主張した。
しかし
判事は、Hexion/Huntsman の合併会社が支払不能になるとか、借入金を返済できないだろうとかを主張する裁判を銀行が起こすことを禁止するのが妥当であるとし、Huntsman の要望に応じ、緊急差し止め命令(10月8日まで)を11月1日までの差し止め命令に置き換えた。

Huntsman Apollo Management ほかに対して 30億ドルの損害賠償(+懲罰賠償、弁護士費用、金利)を求めており、更に銀行に対しては両行が Apolloと組んで、買収契約も邪魔し、自らの利益のためにHuntsmanの権利を侵害したとして訴えている。

今回、判事はこの2つの裁判を合わせ、裁判期日を来年2月9日に設定、陪審裁判を始めることとした。

Peter R. Huntsman CEO は、引き続き合併を推進するとし、銀行も今回の判決を受け、Hexion によるHuntsman 買収に向けて当初の資金供与の約束を果たすことを望むと述べた。

ーーー

Hexion 102日、Huntsman との合併に関して、米国及びEUの承認を得たと発表した。

FTC Hexion が特殊エポキシ樹脂の一部をチェコのSpolchemie に売却したのを受け、承認した。
EUもこれを条件として承認していたが、今回のSpolchemieへの売却を承認した。

チェコの合成樹脂メーカーのSpolchemie 919日、Hexion の特殊エポキシ樹脂事業の購入契約の締結を発表した。
ドイツの
Stuttgart Duisburg の製造設備、米国のArgo, Illinois Norco, Louisiana の工場及びHouston Research Center を購入する。

Hexion の会長兼CEO は「合併に必要な独禁法上の承認が取れて喜ばしい」と述べた。

ーーー

Hexion 親会社 Apollo Management 10月9日、Hexion に対して65億ドルの買収の推進のため 540百万ドルを供与すると発表した。

銀行が買収資金を供与するのを促すのが目的。
65億ドルの買収(負債込みで106億ドル)はほとんどが借入金で賄うこととなっているが、各銀行は融資を渋っており、上記の裁判につながっている。

 


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