「no」と一致するもの

BASFがCiba買収へ - 化学業界の話題

BASFは9月15日、スイスの特殊化学薬品メーカー Ciba を買収する意向だと発表した。
Cibaの経営陣は株主に対して、この買収提案を受け入れるよう要請している。臨時株主総会を開催する。

買収価格は1株につき50フランで、この価格は12日の終値の32%増しで、発表前30日間の平均の60%のプレミアムとなる。
負債などを含め、61億フラン (約5700億円) の買収となる。

BASFでは、買収によりスペシャリティケミカル分野を拡大し、主導的地位を高めるとしている。

プラスチック分野ではCibaの添加剤は、特にUV安定剤や酸化防止剤でBASFの事業を強化する。
Cibaのコーティング機能材もBASFの既存事業を拡張する。
製紙化学品では両社が事業を行っているが、Cibaの事業は収益性維持に苦労しており、両事業を統合し、マーケットリーダーになるとともに、抜本的リストラが可能となる。
水処理剤ではCibaは強い立場にたっており、BASFの事業を強化する。

また、特に水処理剤ではCibaの事業により開発途上国での活動を拡大できる。
研究開発面でも補完効果が期待できる。

買収提案に当たり、BASFスイスの製造基地とR&D を維持することを約束している。

Cibaは長年にわたって経営難にあり、その将来をめぐりさまざまな噂が立っていた。ここ数日は、マイヤー会長の辞任の噂が流れていた。

Ciba取締役会と経営委員会は、スペシャリティケミカル分野での構造変化、特に業界再編の動き、及び事業展開のシフトとそれに伴うリスクを勘案して、買収提案に賛成するとしている。

Cibaは、「プラスチック添加剤、コーティング機能材、製紙・水処理剤における卓越したイノベーション能力とアプリケーションの専門的知見を通して、スペシャライズド・ケミカル・エンジニアリングの分野で、BASFの戦略とオペレーションを強化する。」とし、「同時に、BASFのグローバルな研究、生産、マーケティング基盤とともに、重要な原材料および中間体についての統合は、Cibaにとって大きなメリットとなる。両社は、これまで長期にわたり、広範囲なサプライヤーと顧客の関係を維持してきた。」と述べている。

ーーー

BASFは昨年来、買収を検討している。

新聞報道では、買収相手として、W. R. Grace や、米国のスペシャルティケミカルのRockwood、ドイツのスペシャルティケミカルの Cognis も候補に上がっているとされていた。

    2008/8/1 BASFがW. R. Grace 買収? 

ーーー

Cibaは旧称 Ciba Specialty Chemicals で、2007年に改称した。
Specialty Chemicals メーカーの枠を超え、その周辺の技術や専門知識、サービスを含めて、顧客に「Value beyond chemistry(化学を超えた価値)」を届けるという、設立当時からのスローガンに近づくことを目指した。

Ciba は合成染料を中心に発展、医薬品、合成樹脂、農薬、写真機材などで事業を拡大した。
Geigy はコールタール染料、医薬品、さらにDDTの発明を機に農薬にも進出した。

CibaとGeigy は1970年に合併してCiba Geigy となり、1992年にCibaと改称、1997年1月にSandozと合併し、生命科学分野に特化したNovartis となった。
同年3月、Specialty chemical 分野(添加剤、コンシューマーケア、ポリマー、顔料、染料)は独立し、Ciba Specialty Chemicals として発足した。

Sandozから分離したClariant とCiba Specialty Chemicals は1998年11月に合併の合意をしたが、同年末までに破談した。

なお、Novartis は2000年に種子事業を分離、AstraZeneca の農薬部門と統合し、Syngenta を設立している。

 

Ciba の2007年の部門別損益は以下の通り。(単位:百万スイスフラン)

  売上高 営業損益
Plastic Additives  2,161  306
Coating Effects  1,837  195
Water&Paper Treatment  2,525  90
全社    -157
Total  6,523  434

  1スイスフランは約95円


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中国では粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石となるケースが相次ぎ、甘粛省で乳児1人が死亡したほか、北京、上海両市や江蘇、山東、安徽、湖南各省などで発症が確認された。

中国当局は14日、新たに1人の乳児が死亡したことを明らかにした。汚染粉ミルクによる死者が報告されたのはこれで2例目。
衛生当局によると、腎臓結石などにかかった乳児は1200人を超えており、340人は入院治療を受け、このうち53人が重症だという。
(政府は17、患者数が6244人になり、3人が死亡したと発表した。
18日、更に1人死亡、計4人 

衛生省などの調査グループは、病気になった乳児の尿からメラミンの成分を検出しており、「結石は汚染粉ミルクが原因」と結論づけた。

石家荘三鹿集団(河北省石家荘市)は9月11日夜、8月6日以前に出荷した同社製の乳幼児用粉ミルクにメラミンが混入していたとして、該当製品700トンをすべて回収することを決めたと発表した。

衛生省は13日、三鹿集団が製造した粉ミルクに有機化合物メラミンが混入し、同製品を摂取した乳幼児に腎臓結石などの健康被害が生じているとして、同社に生産停止を命じたと発表した。

石家荘市政府は12日、「粉ミルクの原料の牛乳を買い取る過程で、不法分子が利益を上げるため牛乳を水で薄め、メラミンを添加した可能性がある」と説明している。
地元捜査当局は関係者78人を取り調べており、立件に向け本格捜査に乗り出した。(16日までに4人を逮捕した。)

新華社電によると、三鹿集団はは8月上旬に製品からメラミンを検出したため、石家荘市の関連部門に報告した。
市共産党委員会と市政府は緊急会議を行い、疑いがある製品の全面回収とメラミンを含む製品が再度市場に出回ることの絶対阻止を同社に指示した。
8月初めに事態が分かったのに発表を今まで抑えたのは、北京五輪開幕(8月8日)直前だったための隠ぺいではないかと批判が高まっている。

下記の22社のなかには、北京五輪で棄権した陸上男子110メートル障害競争の劉翔選手がイメージキャラクターをつとめる、中国の大手乳製品メーカー「内モンゴル伊利実業集団」が含まれている。

乳児2名の死亡は五輪開催前であった。

ーーー

中国政府は16日、三鹿集団のほか、国内の粉ミルクメーカー21社の製品からメラミンが検出されたと発表、製品回収を命じた。

国家品質監督検査検疫総局が全国109社のメーカーの491品目を調べたところ、22社69品目からメラミンが検出された。

広東省のメーカーの製品はバングラデシュ、ミャンマー、イエメンなどに輸出されていた。

汚染粉ミルクが台湾でコーヒー牛乳や月餅などの加工用として使われたとみられることが14日までに台湾の衛生当局の調査で分かった。

中国の乳製品は半加工品として日本に輸出されるケースもあるとされる。

中国の国家品質監督検査検疫総局が北京の日本政府大使館に対し、日本に輸出した事実はないと伝えたが、「三鹿集団」の製品は輸出許可を与えていないというだけで、他社の製品については触れていない。

ーーー

付記

問題の三鹿集団(San Lu)にはニュージーランドの乳業大手Fonterraが43%を出資、3人の取締役を派遣している。

FonterraのCEO Andrew Ferrierは9月15日、声明を発表した。

三鹿の取締役会で8月2日に、幼児用粉ミルクにコンタミ問題があることが報告された。
Fonterraが事件を知ったのはこれが最初。
この時点でFonterraはすぐ製品回収を行なうよう、強く主張した。

記者会見で、どうして早めに公表しなかったのか、と問われ、「合弁会社の少数株主として再三催促したが、三鹿は中国当局の指示に従わざるを得なかった」と答えた。

Helen Clark 首相は、ニュージーランド政府は、このコンタミ事件を地方政府が隠蔽しているのを知り、直ちに中国政府に連絡したとしている。
外相が9月5日、直接中国を訪問、本件について中国側に対応を要求したという。

ーーー

付記

香港政府の食品安全センターは9月19日、日清食品が香港で販売するデザートの原材料に、化学物質メラミンが検出された中国の大手乳業メーカー「伊利」の乳製品が使われていたと発表した。日清がセンターに連絡し、製品の回収を始めた。

回収されるのは、山東省青島の食品工場で製造された、香港のデザート「糖水」シリーズの「チャ・チャ・デザート」。アズキや豆がベースのおしるこ風のレトルト製品。

丸大食品も製品の回収を始めた。
中国山東省にある子会社で製造し、日本に輸入している「クリームパンダ」、「抹茶あずきミルクまん」、「グラタンクレープコーン」の3品に伊利集団の牛乳を使用していた。
その後、住金物産の中国子会社が製造し、丸大が輸入した「角煮パオ」、「もっちり肉まん」も回収を始めた。

ーーー

食品のたんぱく質含有量は窒素の測定値を基に計算される。
デンマークのビール醸造者
Johann Kjeldahl が19世紀後半に開発した方法で、強い酸で試料を溶かし,有機物質の分解で生じた窒素をアンモニアに変え、アンモニアの量で元の試料が窒素を、即ちタンパク質をどれだけ含んでいたかを調べる。

メラミンC3H6N6〕は尿素〔(H2N)2C=O〕とアンモニアを高温で反応させて工業的に合成しており、窒素含有量は67%と非常に高い。
このため、牛乳を水で薄めたことをごまかすため、メラミン混入でたんぱく質含有量を多く見せかけようとしたと見られる

2007年3月、米国とカナダでメラミンが違法に添加されていたペットフードを食べた数百匹の犬と猫が原因不明で死亡した。

FDAは中国の2社、江蘇省徐州Xuzhou Anying Biologic Technology Development Co. と山東省の Futian Biology Technology Co. Ltd.を突き止めた。

両社の製品は成分が小麦グルテンと米プロテインと表示されていたが、実際には単なる小麦粉であった。

中国では、メラミンには栄養価はないが、検査で蛋白質が入っているように見せかける安価な添加物として、動物飼料生産者は何年もの間メラミンを飼料に添加してきたという。

2007/5/19 中国製医薬品とペットフードから毒性物質 

ーーー

日本でも汚染米が問題になっており、中国のことを言っておられない。

付記

中国国家品質監督検査検疫総局は9月19日、汚染米が原料に使われたアサヒビールの焼酎を輸入停止にするとともに、日本から輸入される酒類に対する安全検査を強化すると発表した。


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Lasker Foundation 913日、優れた医学研究者に贈る「ラスカー賞 Lasker Award 」の今年の受賞者を発表した。

 基礎医学研究賞(Albert Lasker Basic Medical Research Award)
   Victor Ambros  (54) University of Massachusetts Medical School, Worcester
   David Baulcombe  (56) University of Cambridge
   Gary Ruvkun
(56) Massachusetts General Hospital, Boston and Harvard Medical School
   * microRNAs の発見

 臨床医学研究賞(Lasker-DeBakey Clinical Medical Research Award )
   遠藤章 Akira Endo
(74) Biopharm Research Laboratories, Inc., Tokyo
   * Statin の発見

 特別貢献賞(Lasker-Koshland Special Achievement Award in Medical Science )
   Stanley Falkow
(74) Stanford University School of Medicin
   * 51年にわたるバクテリアの研究

ラスカー賞は医学分野で画期的な成果を上げた研究者に贈られるもので、Albert Lasker と、彼の妻 Mary Woodard Laskerによって1946年に始まった。

ラスカー賞はしばしば「アメリカのノーベル生理学・医学賞」とも呼ばれる。実際、ラスカー賞を受賞した人のうちの75人が、さらにノーベル生理学・医学賞を受賞した。

日本人ではこれまで、下記4名が基礎医学研究賞を受賞している。
  1982年 花房秀三郎 がんの発生する仕組みの解明
  1987年 利根川進   多様な抗体が作られる遺伝的原理
  1989年 西塚泰美   「Cキナーゼ」の発見とその機能の解析
  1998年 増井禎夫   細胞分裂のカギを握る物質の発見

臨床医学部門の遠藤章・東京農工大名誉教授の受賞業績は、血液中のコレステロール値を下げる物質「スタチン」の発見。
治療薬として製品化され、心臓病の治療や予防に大きな進歩をもたらしたことが評価された。

遠藤氏は三共(現第一三共)の研究者だった1973年、コメの青カビがつくるスタチンを発見。これが血液中のコレステロール値を下げることを動物実験で確認した。

Statin はHMG-CoA還元酵素の働きを阻害することによって、血液中のコレステロール値を低下させる薬物の総称である。

発見の経緯は同氏の著書、岩波科学ライブラリーの「新薬スタチンの発見 コレステロールに挑む」に詳しく書かれている。

ーーー

1960年代初めまでに、高コレステロール血症が冠動脈疾患の重要な危険因子の一つであることが明らかになっていた。

同氏は三共在職中にコレステロール低下剤の開発を目指し、カビやキノコなどの中にコレステロールの合成阻害物質があると考えて微生物を調べ、1973年に青カビからコレステロール合成阻害剤スタチン1号のコンパクチンを発見した。

ラットのテストでは効果がなかった(理由あり)が、たまたま行なったニワトリのテストとその後の犬のテストで劇的な効果があった。

しかし安全性で疑問が出て、お蔵入り目前となったが、他に治療方法がない重症患者に医師の判断で投与してもらい、成功、再復活した。

遠藤氏は1978年に三共を退職、東京農工大で研究を続け、モナコリンを発見した。

Merck 1976年に三共からコンパクチンのサンプルや資料を受け取り、研究をしていた。
同社もモナコリンと同じものを発見したが、特許出願日の差で日本などではモナコリンの特許が成立した。(米国では先発明主義で
Merck のメビノリンの特許が成立)

1980年、三共は突如、コンパクチンの研究を中止した。(理由は明確でない)
このため「発がん性」の噂が世界に広まった。

1984年、Merck は三共の中止を受けて中断していたロバスタチン(モナコリンとメビノリンの総称)の臨床試験を再開した。
徹底的なテストで安全性を確認した。

1986年、FDAMerck のロバスタチン(商品名メバコア)の新薬承認を決定した。

現在、高コレステロール血症や心筋梗塞などの治療・予防薬として7種(日本では6種)のスタチンが商業化され、100カ国以上で販売され、3000万人が服用しているとされる。

  主な商品名 製薬会社 備考
アトルバスタチン リピトール アステラス製薬/Pfizer  
シンバスタチン リポバス(Zocor) 万有製薬/Merck  
ピタバスタチン リバロ 興和創薬  
プラバスタチン メバロチン(Pravachol) 第一三共/Bristol-Myers Squibb 1989年
フルバスタチン ローコール Novartis Pharma/田辺三菱製薬  
ロスバスタチン クレストール 塩野義製薬/AstraZeneca  
ロバスタチン メバコール Merck 1987年
セリバスタチン セルタ、Baycol Bayer/武田薬品 副作用のため各国で回収

7つの大規模臨床試験から、スタチンは悪玉LDLコレステロールを25~35%下げ、心臓発作の発症率を25~30%下げるのに加え、脳卒中の発症率も25~30%下げることが示された。
そのため、スタチンは「動脈硬化とコレステロールのペニシリン」「ペニシリンと並ぶ奇跡の薬」と呼ばれる。
さらに、アルツハイマー病、骨粗鬆症、多発性硬化症と一部の癌を予防することも示唆されており、「万能薬」とも呼ばれる。

2005年の世界の医療用医薬品売上高ベストテンにはスタチンが2つ入っている。
  ①リピトール(Pfizer/アステラス) 12,963百万ドル
  ⑧ゾコール(リポバス)(Merck)   4,382百万ドル
 


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中国・ロシア・韓国・日本の東北アジア4カ国の関係者は94日、吉林省の長春市で開かれた東北アジア投資貿易博覧会で、中国吉林省からロシアや韓国の港を経て日本に至る陸海輸送ルートの定期便運行に向けた協力協定を締結した。
この定期便は10月からテスト運行する。

新ルートは吉林省の琿春市から陸路でロシアのザルビノ港に送り、そこから海上で韓国の束草(ソクチョ)新潟と結ぶ。

ザルビノ港はロシア・ハサン地区ザルビノ町トロイツァ湾内に位置しており、港湾区域は一年中通航することが出来、 潮の干満差は大きくない。新しい港で、現在は4つの停泊地があり、 水深は8.5mから10mで1万トンクラスの船舶が停泊可能。貨物の年間可能取扱量は120万トン。今後、年間可能取扱量1000万トン以上の コンテナ運輸を中心とした国際貨物港にする計画。

日本海を囲むように走るこのルートは中国東北地方の国際輸送に大きな変化をもたらすことになる。

中国東北地方の貨物はこれまで、日本に輸送される場合、まず陸路で大連に集められ、海路で渤海・黄海・日本海を経て日本にいたるルートが取られていた。このルートでは、12日前後の輸送期間がかかる。

ロシアを通って直接に日本海にいたる新たなルートでは、新潟到着までに1日半しかかからない。輸送コストも大きく低下することになる。
当面はザルビノ→束草→新潟→ザルビノの時計逆周りルートでスタートし、2年目以降に双方向での運航を目指す。

この構想は環日本海経済研究所(ERINA)が中心となって推進した。

ERINAは1993年に、新潟県、新潟市を中心とし、東北6県、群馬・長野・富山・石川の4県、大手民間企業7社の出捐によりスタートを切っ た。
北東アジア経済を調査研究し、情報提供を行うことにより、日本と北東アジアの経済交流促進に寄与する役割を担っている。

今回締結された協定によると、新ルートの経営・管理を担当するのは、韓国に設立される東北アジア海上運輸 (Northeast Asia Ferry)
登録資金は300万ドルで、中国・ロシア・韓国・日本側がそれぞれ16%・17%・51%・16%の出資を行う。
日本側は新潟市の
北東アジアフェリージャパン(旧称北東アジアフェリー投資)が出資する。

当初構想では、日本が40%、ロシアが30%、中国が20%、韓国 が10%を出資する予定だった。
ところがその後調整されて、韓国側が51%をとることになり、これに対しロシアが反発、 運賃をめぐって「上げたい」とするロシアと「上げたくない」韓国で意見の食い違いもあり、2007年7月の就航予定が大幅にずれ込んだ。

ーーー

なお、これとは別に、中国は琿春から陸路で北朝鮮の羅津港へ向かい、ここから釜山を経て日本へ輸送する計画も考えている。
中国の長春-琿春高速道路計画を羅津まで延長し、そこから既存の海路を使用するもの。

 


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インド政府は9月5日、南米コロンビアとの間で、コロンビアでの共同での石油開発、生産、精製、販売及びLNG計画での協力の契約を締結した。両国の石油相が調印した。

契約によると、両国の国営石油会社は両国での石油開発計画に参加する。技術の交流も行なう。

ーーー

GAIL (Gas Authority of India Ltd.) は6日、コロンビアでの大規模石油化学プラント建設を考えていることを明らかにした。
石油化学プラントとガスのパイプラインをコロンビアに建設するというものだが、検討段階であるとして、能力、投資額、スケデュール等は決めていないとしている。

同社では共同で海外での石油化学事業を検討しているReliance Industries (RIL) を引き込みたいとしている。

 2007/12/22 インドのReliance とGAIL、共同で海外での石油化学事業を検討 
       

コロンビアは15億バレルの石油埋蔵量を有し、日産525千バレルの石油を産しているが、石油化学プラントは持っていない。

ーーー

インドのOil and Natural Gas Corp (ONGC) の子会社で海外での油田開発担当の子会社 ONGC Videsh (ロシアで石油開発をしている英国 Imperial Energy Corp Plc を買収)は既にコロンビアで活動している。

2006年9月に中国のSinopec と共同で、米国独立系石油会社Omimex Resourcesから、同社の子会社 Omimex de Colombia を買収した。
両社はそれぞれ50%の株式を取得し、合弁会社Mansarovar Energy Colombia Ltd を設立して、事業を行っている。

この買収によって、SinopecとONGC が取得した資産は次のとおり。
・ 確認埋蔵量約3億バレル、2
5千b/dの原油生産
・ カリブ海域(オンショア)CoralesにおけるTechnical Evaluation Agreement契約
・ Velasquez の100%権益と採掘権
・ Nare、Teca鉱区の共同開発権 (
コロンビア国営 Ecopetrol が残り50%の権益を保有)
・ 上記権益取得鉱区からBarrancabermeja 精油所までのVelasquez-Galanパイプライン(189km)

なお、ONGCは中国の中国石油(CNPC)とともに、200512月に、ペトロカナダとの油田権益獲得協定に調印している。

ペトロカナダとシェルが合弁設立したシリアの石油大手・アルフラット社の株式のうち、ペトロカナダが出資する37%の株式を50/50で買い取り、年間約300万トンの原油を生産する油田の権益を得た。

ーーー

このほか、インドのReliance Industries Limitedは2006年6月にANH(炭化水素庁)Technical Evaluation Agreement を結び、太平洋のTumaco海域157万ヘクタールの採掘権を獲得。現在すでに探鉱を行っている。


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OPECは9月9日定例総会を開き、10日未明、日量約52万バレルの実質的な減産を決めた。

生産枠は、原油輸入国に転落しOPECから離脱したインドネシア分を除く11カ国で日量2,880万バレルを据え置く一方で、加盟国に生産割り当ての順守を徹底、「ヤミ増産」分を40日以内に削減する。
これにより今年7月の生産量実績比で52万バレルの実質削減を見込む。

今年の春から夏にかけて原油高騰に悩む消費国の要請に応え、サウジアラビアが合計で日量50万バレルの増産を決めたことなどを受け、OPECの実質生産量は今年7月に同2,930万バレル程度まで上昇していた。

OPEC生産枠 1,000b/d   Iraq を除く)

  2007/2 2007/11 2008/1 2008/9
Algeria 794 1,357 1,357 1,357
Indonesia 1,370 865 865        
Iran 3,788 3,817 3,817 3,817
Kuwait 2,065 2,531 2,531 2,531
Libya 1,371 1,712 1,712 1,712
Nigeria 2,123 2,163 2,163 2,163
Qatar 663 828 828 828
Saudi 8,399 8,943 8,943 8,943
UAE 2,257 2,567 2,567 2,567
Venezuela 2,970 2,470 2,470 2,470
Angola     ー     ー 1,900 1,900
Equador     ー     ー 520 520
Total 25,800 27,253 29,673 28,808
(増減) (-500) (1,450) (2,420) (-865)

ーーー

OPECは定例総会で、インドネシアの申請を受け、同国の加盟停止を正式に決めた。
インドネシアが早期復帰することへの期待も表明した。

同国はスハルト政権下の90年代半ばには日量150万バレルを超えていたが、原油生産量が下降の一途で、最近は100万バレルを下回り、2004年に純輸入国に転じた。
今年5月、OPECからの脱退を正式に発表した。

加盟国はこれで12カ国となった。

OPEC加盟国 (2008/9 現在)

       加盟年 離脱 現メンバー
60 61 62 67 69 71 73 75 07
イラク                    ◎
イラン                    ◎
クウェート                    ◎
サウジアラビア                    ◎
ベネズエラ                    ◎
カタール                    ◎
インドネシア                  08  
リビア                    ◎
アラブ首長国連邦                    ◎
アルジェリア                    ◎
ナイジェリア                    ◎
エクアドル                  93  ◎
                 
ガボン                  95  
アンゴラ                    ◎
加盟国  3  12
  合計15(実質14) 実2

  

ーーー

9月9日のニューヨーク原油先物市場でWTI原油は、OPECの生産据え置き予測に加え、景気減速による需要鈍化懸念、ハリケーンの勢力緩和などで大幅に下落、終値は前日比 3.08$安の103.26$/bbl となった。

10日はOPECの実質減産の発表や、週間石油在庫統計(原油在庫、ガソリン在庫とも予想以上の減少)発表などで値上がりしたが、その後売り優勢となり、10月限は一時101ドル台前半まで下落、終値は102.58ドルとなった。


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中国国家発展改革委員会はこのたび、石炭液化(Coal-to-LiquidsCTL) 計画は神華グループ(Shenhua Group)関係の2計画を除き、新しい計画を承認しないと発表した。

まだ実験段階にあるため、技術と事業が確立するまでは過熱しているCTL事業をスローダウンし、事業リスクを避けることを狙ったもの。

例外的に認められた計画の1つは、神華グループが内蒙古のOrdosでの年産100万トンの直接法CTL事業で、既に建設中で、本年末か来年初めにスタートする。
もう1つは、
Shenhua Ningxia Coal Group と南アのSasolが共同で計画している年産320万トンの間接法CTL計画。

(石炭液化技術には石炭を粉砕し,溶剤と混合して高温・高圧下で水素と直接反応させる直接液化法と,石炭を一度石炭ガス化し,生成ガスを分離・精製した原料を合成反応させ液化する間接液化法に大別される。)

神華はサソールとのJVで、陜西 楡林と寧夏回族自治区のNingdong で夫々320万トンの間接法CTL事業を計画していたが、今回楡林の計画は棚上げした。
楡林では山東エン礦集団(
Shandong Yankuang Group)が自社開発技術で100万トンの間接法CTL事業を計画しているが、これも棚上げされる。

ーーー

石炭液化事業については下記参照。

2006/6/21 石炭液化事業 

中国の地方政府や企業は、内蒙古自治区、陝西省、寧夏回族自治区などの北中国の石炭が豊富な地域でCTL計画や石炭化学計画を次々に打ち出している。

中国石炭工業協会の範維唐会長は200511中国は2010年には、石炭のオイルへの転化、石炭ガス化を含めた石炭転化製品の生産高500万トンの実現を目指していることを明らかにした。

中国は「第11次五カ年計画」期に炭鉱の機械化生産を全面的に推し進め、大・中型炭鉱の機械化レベルを引き上げ、技術改造を通じて、300以上の高生産量、高効率の炭鉱を作り上げるが、この豊富な石炭を原料に石炭化学を推進する。

2006/6/23 中国の石炭化学 

NDRCは小規模計画の乱立を恐れ、2006年7月にCTLや石炭化学の小規模計画を規制した。
CTLについては年産300万トン以上、メタノール/DME100万トン以上、石炭からのオレフィン製造(coal-to-olefins)は60万トン以上としている。

2006/7/21 中国政府、石炭化学を規制 

NDRCは、2007610に北京で行われたセミナーで、石炭液化計画を見直すことを言明した。

「石炭液化は石油依存からの離脱に役には立つが、エネルギーを多用しすぎる」としている。
大規模な生産能力を持つ政府のモデル事業は続けるが、小規模な設備は認可しない方針。

2007/6/20  中国政府、バイオ燃料と石炭液化計画 見直し 

今回は更にこれを進め、当面、新計画を認めないこととした。

 


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99Bayer の株価が上がったが、Pfizer Bayer を買収するという噂によるものとされる。
Bayer の株価総額は570億ドルに達する。
両社とも
No comment としている。

Bayer は有力な新薬や有名なOTC ドラッグを持っており、以前から買収対象にはなっていた。
しかし、医薬品会社が買収した場合、石油化学や農薬などの事業をどうするかという問題がある。

Pfizerは2000年にWarner-Lambert を買収、2003年にはPharmaciaを買収し、同社のの非医薬品事業を売却した。
2006年12月にはConsumer health 部門を Johnson & Johnson に売却している。


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BP9月4日、折半出資するロシア石油大手TNK-BPの経営問題で、ロシア側株主と和解したと発表した。

TNK-BPではBPとロシア側株主との間で、経営方針を巡り、対立していた。
同社は折半出資だが、CEOの任命権をBPが持ち、多くの経営幹部や技術者がBP出身であるなど、BP主導で運営してきた。

本年7月、ロシア側株主がBP出身のDudley社長の雇用契約が2007年末で切れているとして、新社長の選出を求める訴訟を起こした。
ロシア連邦出入国管理局は雇用契約切れを理由に、10日間有効な暫定ビザを発行した。
BPは対抗してBPの技術専門スタッフ全員をロシアから引揚げた。
Dudley社長は暫定ビザ期限切れ前に出国し、中欧に滞在して、そこから社長業務を行なった。

ーーー

BPとロシア側株主は同日、基本合意書を交わした。

Dudley社長は年末までに退任し、新社長をBPから出し、取締役会の承認を得て就任する。
新社長はロシア語を話し、ロシアでのビジネス経験が豊富との条件も付けた。
取締役は双方から4人ずつ出し、そのほかに、両者と無関係の3人の取締役を選任する。
経営委員会メンバーは現在の14人から大幅に減員する。
合弁会社は従来通り、英国法の下で運営する。

TNK-BPは、BPの全原油・ガス生産の4分の1を占める。
このため、BPでは「問題を解決するためにあらゆる方策を検討する」と徹底抗戦の構えを見せていたが、ロシア側に譲歩する形となった。
しかし、将来的にロシア側が経営権を要求する可能性も残っている。

ーーー

TNK-BP はロシアで3番目に大きい石油会社である。
BPAlfa Access Renova group 50%ずつ所有している。

Alfa Access Renova 3社の連合。
Alfa Group は、ロシアの新興財閥で、ロシア最大の金融産業コングロマリットのひとつ。中心のアルファ銀行のほか、石油及びガス、消費財取引、保険業、小売業と電気通信分野などグループ企業は広範である。
Mikhail Fridman German Khan 50%ずつ保有。
Access Industries ロシア生まれの Len Blavatnik が設立し所有する米国の投資会社で、Basellを買収した。

 参考 2006/6/15
Basellの買収 
     2007/5/16
Access Industries の会長、Lyondell Chemical の株式を購入 
Renova Holding はロシアの長者番付では第5位のViktor Feliksovich Vekselberg SUALの大株主)の所有するベンチャーキャピタル。

Alfa Group Access-Renovaは共同でTyumen Oil Co.TNK)を所有していた。

Tyumen Oil Co.TNK)は1995年に西シベリアのハンティ・マンシ自治管区の要請で100%ロシア国営企業として発足した。
1997年、1999年に政府株は公開され、Alfa Group Access-RENOVA50/50で買収した。

TNKは当初は中堅石油企業であったが、垂直統合、資本投資、生産会社の吸収合併、破産法を利用した企業買収を行い、大企業となった。石油会社のOnakoKondopetroleumSidanko などを買収した。

2002年末にはSibneft (現Gazprom Neft )と折半出資でSlaneft74.95%を落札した。

2003年、BPAlfa Access Renova はロシアとウクライナにそれぞれが所有する石油資産を共同で所有する戦略的パートナーシップの設立を発表、50/50所有の TNK-BP が設立された。

Alfa Access Renova Tyumen Oil Co.TNK)株の97%Sidanko株の56%を新会社に移管、
BPSidanko株の25%、サハリン5の事業権益、モスクワのガソリンスタンドを新会社に移管した。

20041月、Alfa Access Renova の持Slavneft の持分をJVに移管することが合意された。

これにより、TNK-BP はロシアとウクライナで上流部門から下流部門まで一貫操業を行ない、生産子会社15社、精製子会社5社(うちロシア国内は4社)、販売子会社11社を保有する。

上流の事業は、西シベリア、東シベリア、ヴォルガ/ウラルにある。
2007年の生産量は石油換算で平均160万バレル/日で、Slaneft の持分50%を含めると180万バレル/日となる。

埋蔵量及び生産量でRosneft Lukoil に次ぎ、ロシアで第三位となる。

2008年上半期には、前年同期の利益21億ドルの2倍以上の47億ドルの利益を計上している。

ーーー

TNK-BP 20076月、東シベリアのKovyktaガス田などの権益をロシア政府系エネルギー会社、Gazpromに売却することを決めた。ロシア政府から圧力を受けたため。

TNK-BP は東シベリアのKovykta ガス田の権益を持つRusia Petroleum 社の持分62.89%と、ガスの輸送・販売会社 East Siberian Gas の持分50%Gazpromに譲渡する。Gazprom は代価として$700-$900 百万ドルを支払う。
Rusia Petroleum の他の株主はロシアの投資会社Interros Irkutsk の地方政府)

同時に、BP TNK-BP Gazpromとの間で世界中で共同でエネルギー事業に長期的に投資する戦略的協調のMOUを締結した。

TNK-BPKovykta ガス田のガスを中国、韓国などに供給すべく、パイプライン敷設のFSを実施していた。
蒙古を経由するライン、経由しないライン(北朝鮮を経由するラインと経由しないライン)などが考えられていた。

2007/6/26 BP、Gazpromにロシアのガス田売却 

ーーー

上記の通り、TNK-BP BPとロシア側の折半出資だが、CEOの任命権をBPが持ち、多くの経営幹部や技術者がBP出身であるなど、BP主導で運営してきた。

BPに対するロシア側の不満は以下の通り。
BPの海外展開にTNK-BPも参加させるべきだ。(ベネズエラ、ポーランド、イラクなど)
BP側からの出向者の給与が高すぎ出資者に損害を与えている。
・長期的な油田開発ではなく短期的な収益増を。

要はTNK-BPという会社がBPの利益ための会社であって、ロシアの為の会社でないという点にある。

ロシア側にはそもそも50/50が不公平との感があった。
ロシア側の拠出した石油資源はJVのベースとなるが、BP側は規模の小さな石油資源とガソリンスタンド網のみであった。
しかし、ロシア側株主には石油会社の経営の経験が少なく、BPの経験と技術力が非常に魅力であった。
また、BPによる追加資金投入と、海外進出への協力を期待した。

これに対してBP側はロシアの石油資源とロシア市場が狙いであり、既に目的を達していた。
TNK-BPを海外市場に参入させる考えは全くなかった。(これはロシア政府の希望にも反した)

両者の思惑の食い違いが今回のトラブルの原因となった。

BP側もロシア側も相手に持分を売却して撤退する考えはなく、今後もトラブルが発生する可能性は大きい。
場合によってはロシア政府が介入することも十分考えられる。


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米共和党の大統領候補 John Sidney McCain (72) は8月29日、Dayton, Ohio での集会で、副大統領候補に保守派でアラスカ州の女性知事、Sarah Palin (44)を選んだことを明らかにした。
共和党全国大会は9月3日夜、McCain、
Palin をそれぞれ正副大統領候補に指名した。

Sarah Palin は1964年2月生まれ。1987年にアイダホ大を卒業後、89年までアラスカ州の地元テレビのスポーツキャスター、92年からアラスカ州の小都市 Wasilla の市議、96年から2002年まで同市長を務めた。

2002年の州知事選でMurkowski 氏に協力、同氏の当選後は知事から重用を受けたが、その後対立した。
2006年8月の共和党内のアラスカ州知事候補者予備選で、現職のMurkowski 知事らと争い、51%の圧倒的多数の得票を得て勝利した。
11月のアラスカ州知事本選では民主党候補で1994-2002年の知事
であったTony Knowles を破り、知事に就任した。

ーーー

Palin 知事はアラスカのNorth Slope の石油生産の減退が予測されるなか、天然ガスを米国本土のマーケットに輸送する Alaska Gas Pipeline の建設に力を入れている。

Murkowski 前知事時代に本パイプラインの主要供給ガス田となるPrudhoe Bayの生産者であるBP、ExxonMobil、ConocoPhillips とアラスカ州政府との間で、本パイプライン推進について合意が行われたが その合意内容がアラスカ州議会で否決された。
Palin 知事は上記合意とは別に、ゼロから新たな法案を策定し、同パイプライン計画を進めようとしている。

North Slopeには35兆立方フィートのガスの確認埋蔵量を含む200兆立方フィート以上のガスの資源があると言われている。 

ノースロープ地域のガス・石油確認埋蔵量
  石油埋蔵量 ガス埋蔵量 参加企業(* オペレーター)及び生産状況
Prudhoe Bay 30.0億バレル  24.5TCF BP*ConocoPhillips, ExxonMobil,Chevron(38b/d)
Kuparuk River 12.5億バレル  1.2TCF ConocoPhillips*, BP, Chevron, ExxonMobil (16b/d)
Point Thomson 0.3億バレル  8.0TCF 開発が遅れExxonMobil*, BP, ConocoPhillipsから
州政府はリース権剥奪
NPRA
(National Petroleum
Reserves - Alaska
0.2億バレル    -  
その他 19.5億バレル   1.7TCF  
合計 61.5億バレル  35.4TCF  

<p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p>    JOGMEC資料から

Alaska Gas Pipeline は、この天然ガスをAlaska Highway 沿いにカナダのAlberta まで送り(全長2,000 km)、そこから既存のTransCanada のパイプラインで米国各地に送るという壮大な計画である。
別途、TransCanada Mackenzie Gas Pipeline も計画している。

アラスカには1975年-77年に建設されたPrudhoe BayからValdez までのアラスカ縦断原油パイプライン(Trans Alaska Pipeline)がある。

 2006/8/28 プルドー湾油田の操業停止ーBPとStandard Oil 

しかし、現存の原油パイプラインを天然ガスパイプラインへ転用することは出来ない。

原油は+60℃に加熱され、永久凍土地域では融解を防止するために地上敷設されている。
天然ガスは冷却されるため、地下埋設が原則となる。

ーーー

1969年、アラスカの南部ガス田 Kenaiから、日本にとっては初めてのLNGが輸出された。
売り手は、
Phillips/Marathon、買い手は東京電力と東京ガスであった。
以後、年間約
100万トンのLNGが中断されることなく輸出されている。

ノーススロープの天然ガスをアラスカ南部のValdes までパイプライン輸送し、そこで天然ガスをLNGに変換して、タンカーでアジア、メキシコ等へ輸出するという計画もあるが、アラスカ州内での輸送コストが嵩むため、価格競争力の面から難しいのではないかと見られている。

 <p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p>         TransCanada homepage から

ーーー

2006年11月にアラスカ州知事選で選出されたSarah Palin知事は、ガスパイプライン建設の実現に向け、知事就任直後のアラスカ州議会 (2007年1月から開催) にガスパイプライン建設業者にインセンティブを与え、建設を促すためのAlaska Gasline Inducement Act (AGIA) を提出し、法案は可決された。

パイプライン建設のためにパイプライン事業推進者はFERC (Federal Energy Regulatory Commision) への申請を行うことが必要となるが、その際に生じる費用について上限5億ドルまで補助金を給付すること、本パイプライン向 けの天然ガスについて生産税を10年間に亘り免除するという内容になっている。

ガスパイプライン建設業者を募る一般公募が行われ、Alaska Gasline Port AuthorityAenergia LLCTransCanadaSinopec ZPEBAlaska Natural Gas Development Authority の5社が応募した。
油田の権利を有するオイルメジャーはこの設計基準に達することが出来なかった。
この5社の中から、最終的にカナダのTransCanadaが選ばれた。

ノーススロープの主要生産者であるBP、ExxonMobil、ConocoPhillipsは、現行の AGIAの元で本プロジェクトは経済性がないとして、州政府にパイプライン建設の提案書を提出しない意向を表明していた。

マッケンジーガスパイプラインの主要推進者であるExxonMobilは、コストが大幅に増加している現状では、両パイプラインは経済性がなく、本計画を留保する旨発言した。

ーーー

2008年4月、 BP ConocoPhillips 天然ガスパイプライン建設に参加することを決めた。数十億ドルを投資するとしている。
Exxon はこの発表直前に連絡を受け、あらゆるオプションを検討するとしている。

本計画は North Slope でのガス処理施設(50億ドル)を含め、総額300億ドルかかると見られており、完成までに10年を要する。
両社は
先ず3年間で6億ドルを投じて建設準備を始める。

問題は多い。
米国とカナダの国、州、地方自治体からは
1,000件以上の認可取得が必要で、何年もかかる。
沿線の原住民との交渉も必要となる。

しかし、原油価格の高騰が、この計画を推し進める要因となった。


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